女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
過去の映画作品紹介(2006年)

『シャーロットのおくりもの』  『合唱ができるまで』  『ファースト・ディセント』  『ルナハイツ2』  『フランキー・ワイルドの素晴らしき世界』  『鉄コン筋クリート』  『無花果の顔』  『ダーウィンの悪夢』  『イン・ザ・スープ』 『リトル・ミス・サンシャイン』 『長い散歩』  『あるいは裏切りという名の犬』  『愛されるために、ここにいる』  『とかげの可愛い嘘』  『敬愛なるベートーヴェン』  『ダニエラという女』  『ファミリー』  『Mr. ソクラテス』  『赤い鯨と白い蛇』  『めぐみ 引き裂かれた家族』  『コワイ女』  『パプリカ』  『ボクラの島を忘れない』  『沈黙の傭兵』  『雨音にきみを想う』  『キング 罪の王』  『家門の危機』  『ソウ3』  『麦の穂をゆらす風』  「中国文化フェスティバル2006」  『ナオミ・ワッツ プレイズ エリー・パーカー』  『HAZARD』  『ラブいぬ ベンジー はじめての冒険』  『ウィンター・ソング』  『氷の微笑2』  『TANNKA 短歌』  『Sad Movie<サッド・ムービー>』  『待合室』  『エコール』  『CHAOS カオス』  『炭鉱(ヤマ)に生きる』  『ユア・マイ・サンシャイン』  『ナチョ・リブレ』  『ニキフォル 知られざる天才画家の肖像』  『unknownアンノウン』  『明日へのチケット』  『トンマッコルへようこそ』  『バタリアン5』  『クリムト』  『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』  『地下鉄(メトロ)に乗って』  『天使の卵』  『ダンジョン&ドラゴン2』  『サラバンド』  『百年恋歌』  『ドラゴン・スクワッド』  『ハリヨの夏』  『幸福(しあわせ)のスイッチ』  『ヘイヴン 堕ちた楽園』  『旅の贈りもの 0:00発』  『いちばんきれいな水』  『ありがとう ー「奈緒ちゃん」自立への25年ー』  『ツヒノスミカ』  『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』  『スーパークロス』  『夜のピクニック』  『フラガール』  『奇跡の朝』  「ヴィスコンティ生誕100年祭」  『オーストラリア映画祭』  『天軍』  『記憶の棘』  『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』  『海と夕日と彼女の涙 ストロベリーフィールズ』  『出口のない海』  『靴に恋する人魚』  『弓』  『アガサ・クリスティーの奥様は名探偵』  『ONE LOVE』  『トリノ、24時からの恋人たち』  『マイアミ・バイス』  『幻遊伝』  『楽日』『迷子』『西瓜』  『青春☆金属バット』  『ハイテンション』  『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』  『マスター・オブ・サンダー 決戦!! 封魔龍虎伝』  『マッチポイント』  『深海 Blue Cha-Cha』  『愛と死の間(はざま)で』  『森のリトル・ギャング』  『島ノ唄 Thousands of Islands』  『鬘 かつら』  『ビースティ・ボーイズ 撮られっぱなし天国』  『ザ・フォッグ』  『恋する日曜日』  『トランスアメリカ』  『神の左手、悪魔の右手』  『ハチミツとクローバー』  『ダスト・トゥ・グローリー』  『蟻の兵隊』  『機械じかけの小児病棟』  『ディセント』  『ハイジ』  『ジャンプ!ボーイズ』  『奇跡の夏』  『ローズ・イン・タイドランド』  『胡同のひまわり』  『サイレントヒル』  『チーズとうじ虫』  『バタリアン4』  『レイヤー・ケーキ』  『美しい人 9lives』  『母たちの村』  『恋は足手まとい』  『春の日のクマは好きですか?』  『君に捧げる初恋』  『初恋』  『佐賀の がばいばあちゃん』  『13歳の夏に僕は生まれた』  『puujee プージェー』  『ママが泣いた日』  『恋するトマト クマインカナバー』  『間宮兄弟』  『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』  『雪に願うこと』  『隠された記憶』  『夜よ、こんにちは』  『かもめ食堂』  『家の鍵』  『ヨコハマメリー』  『ビリーブ』  「シネマート・シネマ・フェスティバル」  『第3回女たちの映像祭・大阪 2006』  「東京国際シネシティフェスティバル2006」  「さらば戦争!映画祭2006」  「第7回東京フィルメックス」  「大阪アジアン映画祭」  『ベアテの贈りもの』  「第7回 NHKアジア・フィルム・フェスティバル」  「第19回 東京国際映画祭」  「コリアン・シネマ・ウィーク 2006」  「第19回 東京国際女性映画祭」  「第2回甲賀映画祭」  「シネマトーク『クジラの島の少女』」  『メキシコ・ドキュメンタリー映画祭』  「溝口健二の映画」  「監督 鈴木英夫」  「中国映画の全貌2006」  「アニメはアニメである:夏休みは親子でアニメ映画を!」  『家族プロジェクト 父の家』  『ダメジン』  『クール・ディメンション』  『ジョルジュ・バタイユ ママン』  『ハーダー・ゼイ・カム』  『ふたつの恋と砂時計』  『アフロサッカー』  『恋するブラジャー大作戦(仮)』  『バルトの楽園』  『ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン』  『ジャスミンの花開く』  『タイヨウのうた』  『TWO LOVE〜二つの愛の物語〜』  『ココシリ』  『トランスポーター2』  『親指さがし』  『DEATH TRANCE デス・トランス』  『ガーダ −パレスチナの詩−』  『玲玲の電影日記』  『ダック・シーズン』  『戦場のアリア』  『リトル・イタリーの恋』  『タブロイド』  『僕の恋、彼の秘密』  「連連影展〜フェミニスト・アクティブドキュメンタリー・ビデオフェスタ(FAV)」  「アジアフォーカス・福岡映画祭2006」  「シネマコリア2006」  「ソビエト映画回顧展06」  『映画の記憶』  「第2回 アジア海洋映画祭イン幕張」  「アルメニア・フィルム・セレクション」  「下北シネマタイフーン 都市を生きる」  「ロシア・ソビエト映画祭」  「第3回SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006」  「ドイツ映画祭2006」  「中国映画祭 横浜プレミアム」  『ライフ シネマティック 映画的人生(1)』  「オキナワ映画クロニクル2006」  The Japan Foundation Film Series Part.6「巨匠と時代劇」  「韓国女性監督映画の夕べ」  「中国映画祭」  「華流シネマウィーク2006」  『水に棲む花』  『夢駆ける馬ドリーマー』  『GOAL!』  『ジャケット』  『アンジェラ』  『柔道龍虎房』  『ニューヨークで暮らしています 彼女たちがここにいる理由(わけ)』  『太陽に恋して』  『愛より強く』  『デュエリスト』  『トム・ヤム・クン!』  『ディバージェンス−運命の交差点−』  『ダンサーの純情』   『緑茶』  『クライング・フィスト』  『連理の枝』  『GINGA ジンガ』  『美しき運命の傷痕』  『立喰師列伝』  『リバティーン』  『風のファイター』  『マクダル パイナップルパン王子』  『ステップ!ステップ!ステップ!』  『プリティ・ヘレン』  『美しき野獣』  『クラッシュ』  『マイ・アーキテクト』  『白バラの祈り:ゾフィー・ショル、最期の日々』  『三年身籠る』  『ホテル・ルワンダ』  『カミュなんて知らない』  『ロバと王女』  『デック 子どもたちは海を見る』  「イタリア映画祭2006」  『パパラッチ』  『バイバイ、ママ』  「監督 川島雄三 第2弾」  『サウンド・オブ・サンダー』  『トゥー・フォー・ザ・マネー』  『ウォレスとグルミット』  『ghost dance』  『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』  『コルシカン・ファイル』  『Touch the Sound』  『ウォーターズ』  『エミリー・ローズ』  『沈黙の脱獄』  『力道山』  『SPL 狼よ静に死ね』  『六ヶ所村ラプソディー』  『スティーヴィー』  『ミュンヘン』  『小さな恋のステップ』  『僕が9歳だったころ』  『沈黙の追撃』  『B型の彼氏』  『RIZE<ライズ>』  『オリバー・ツイスト』  『博士の愛した数式』  「フランス映画祭2006」  「巨匠が描いた花街の女たち」  「第2回アラブ映画祭」  『WARU』  『イラクニ接近ス』  『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』  『僕と未来とブエノスアイレス』  『ギミー・ヘブン』  「第14回 EARTH VISION 地球環境映像祭」  「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2006」  「第16回にいがた国際映画祭」  「初笑いだよ!お正月映画大集合!」 

2006年12月23日〜

『シャーロットのおくりもの』

監督:ゲイリー・ウィニック
脚色:スザンナ・グラント、キャリー・カークパトリック
原作:E・B・ホワイト
撮影:シーマス・マクガーベイ
音楽:ダニー・エルフマン
プロダクション・デザイナー:スチュアート・ワーツェル
出演:ダコタ・ファニング(ファーン)、ケビン・アンダーソン(パパ)、エシー・デイビス(ママ)
声の出演:ジュリア・ロバーツ(クモのシャーロット)、スティーブ・ブシェミ(ネズミのテンプルトン)、ジン・クリース(羊のサミュエル)、キャシー・ベイツ(牛のベッツィー)、ロバート・レッドフォード(馬のアイク)、オプラ・ウィンフェリー(ガチョウのグッシー)、サム・シェパード(ナレーション)ほか

エラブル農場に11匹の子豚が生まれた。しかしママのおっぱいは10個。 はみ出してしまった小さな子豚は間引かれる寸前、ファーンに救われる。 「おんなじ命なのに。私が育てる!」ファーンは子豚にウィルバーと名前をつけ、 その日からお母さんがわりになった。 ミルクを卒業したころ、ウィルバーはファーンの農場の近所のザッカーマンおじさんに引き取られた。 ファーンは毎日会いに来てくれるが、ウィルバーは淋しくてたまらない。 納屋にいる動物たちに話しかけていると、優しい返事が。 みんなには嫌われているクモのシャーロットの声だった。

1952年にアメリカで生まれた小説が原作です。 ネズミが主人公の『スチュアート・リトル』も同じE・B・ホワイトの作品。 世界中で4500万部も発行され、多くの子供たちの愛読書となっています。
主人公の子豚の動物たちの声を豪華な俳優陣が担当、生き生きした動物たちの表情や動きも楽しめます。 子供たちはこのお話を通して、友達や命の大切さを知るでしょう。 冬休みの子供たちにぜひ観てもらいたい作品。もちろん大人もどうぞ。 クモやネズミに泣かされるとは思いませんでした。(白)

日本語吹き替え版では、鶴田真由(シャーロット)、福田麻由子(ファーン)、 山寺宏一(テンプルトン)たちが担当。ナレーションは高橋英樹。

2006/アメリカ パラマウント映画/UIP配給/
http://www.charlotte-movie.jp/site/index.php

12月23日(土・祝)〜日比谷スカラ座ほか全国ロードショー



『合唱ができるまで』

監督:マリー=クロード・トレユ
撮影:ピエール・ストウベール
録音:イヴ・ズロトニッカ
出演:クレール・マルシャンとパリ13区立モーリス・ラヴェル音楽院 合唱団

教会でのコンサートに向けて練習を繰り返すアマチュアの合唱団。 小学生から若者、中年女性、老人達まで、 さまざまなメンバーがパートに分かれてミサ曲を歌っています。 指導の仕方もグループによってそれぞれ違っていますが、 共通しているのは誰もがとても楽しそうなこと。 思わず観ているこちらも、呼吸したり声を出したりしそうになります。 こんな風に練習するものなのかと見入ってしまいました。 コンサートが近づくと全員が集まってのリハーサル。 女性指揮者のクレール・マルシャンを見つめる眼差しが真剣。 ひとりひとりの声・パーツが集まって心がひとつになり、ハーモニーが生まれていくのです。 合唱を楽しんでいる人はもちろん、そうでない人も音楽の楽しさに共感するはず。 できあがる過程の部分が主とはいえ、発表部分をもっと聞きたかったな。(白)

2005/フランス/カラー/35mm/ビスタ/DTS SR /98分/ドキュメンタリー
配給:バップ+ロングライド 宣伝:アルシネテラン

http://www.longride.jp/gassho/

★12月23日(祝)より、ユーロスペースにて 心ひとつにロードショー


『ファースト・ディセント』原題:FIRST DESCENT
プロデューサー/監督/脚本:ケビン・ハリソン
プロデューサー/監督/編集:ケンプ・カーリー
撮影:スコット・ダンカ
音楽:マーク・マザースポ
ナレーション:ヘンリー・ロリン
キャスト(世界のトップライダー達)
ショーン・ホワイト(トリノ五輪、金メダリスト)
ハンナ・テーナー(トリノ五輪、金メダリスト)
テリエ・ハーコンセン(スノーボード界のシンボル)
ショーン・ファーマー(ビックマウンテンのパイオニア)
ニック・ペラタ(誰よりもアラスカを知り尽くす男)
トラビス・ライス(オールラウンドに完成された最高のライダー)

「初めての滑走」を意味する『ファースト・ディセント』。 アラスカの山に集まった新旧のトップ・スノーボーダー六人が、 手付かずの斜面を滑り降りる、体感型スノーボード・ドキュメンタリーです。

標高が山の名前になった(7601)の頂上からの滑走は、産毛も逆立つ究極の興奮! とプレスに書いてありましたが、それ以上です…。
圧巻は滑走中に、自分の後ろから来る雪崩を、ただ迫りくる風圧や雪音を体で感じ取り、 避けるシーンは(予告に入っています)、それをとおり越しています。 ノリのよい音楽と共に興奮を体感しながら、 ライダーたちの恐怖はいかほどのものだろうかと身がすくみました。 年末から正月にかけての必見映画に加えたい作品です。(美)

2005年/アメリカ/英語/カラー/スコープサイズ/SRD/110分/配給:東北新社
日本語字幕:林完治/監修:石原繁

http://www.fd-movie.jp/

12月23日(祝)よりシネ・アミューズにて公開


『ルナハイツ2』

監督:初山恭洋
原作:星里もちる
脚本:ミスミホノオ
撮影:村埜茂樹
出演:安田美沙子(大月まどり)、柏原収史(南條隼人)、後藤ゆきこ(松浦友美)、斉藤優(茅ヶ崎裕子)、上野未来(日高りん)、山口由紀子(土屋重子)、小西大樹(大久保雅春)、村野武範(石塚部長)、乱一世(池野課長)ほか

同僚の隼人に告白したばかりのまどり、 そこへ隼人の婚約者だった友美が戻って妊娠していることを告げる。 ショックで落ち込むが、女子寮となっている家は元々隼人が友美との結婚のために用意した新居なのだ。 同居をしぶしぶ受け入れるみんなだったが、友美が入ったことでギクシャクし始める。 一方、新入社員の大久保がまどりへアタックし始め、気が気でない隼人。 3角どころか4角にまで発展しそうなこの恋の行方は??

星里もちるが2003年に連載したほのぼのラブコメ漫画が原作。 そういえば読んだことがありました。 優柔不断なやさ男と、しっかりもので行動的なヒロインという定番の組み合わせ。 ところどころに漫画そのまんまのギャグがあって、ちょっとういています。 出演の彼女たちはグラビアアイドルやレースクイーン出身のかわいこちゃん(死語?)ばかり。 男性には目の保養。おばちゃんな私が見るとしっかりせぃ!といいたくなるけど。
この2でお話は完結。特別先行上映の舞台挨拶に、主演のまどかを演じた安田美沙子が登場。 「本当に思い入れのある作品です。前回同様大きな優しい満月や並木道が印象に残っ ています。撮影中近所の人が現場に乱入したりのハプニングもありました。大事な人 と観に来ていただけるとすごく嬉しいです」とコメント。 (白)

2006/日本/カラー/ビスタ/ドルビー/SRD/100分
配給:リベロ

12月2日(土)有楽町シネカノンにて特別先行上映
12月23日(祝)より渋谷シネ・ラ・セットにてモーニング&レイトショー
前作『ルナハイツ』はDVD発売中

公式 HP >> http://www.lunaheights2.com/



『フランキー・ワイルドの素晴らしき世界』原題:It's All Gone Pete Tong

監督・脚本:マイケル・ドース
キャスティング・ディレクター:サム・シャンドリー
製作総指揮:キム・ロバーツ
音楽:グラハム・マッセイ
音楽スーパーバイザー:ロル・ハモンド
編集:スチュワード・ギャザード
撮影監督:バラージュ・ボリゴ
キャスト:ポール・ケイ(フランキー・ワイルド)、ペアトリス・バタルダ(ペネロペ)、マイク・ウィルモット(マックス)、ケイト・マゴワン(ソーニャ)、ピート・トン(本人)

スペイン、イビザ島。この島は地中海に浮かぶ高級リゾート地であると同時に、 超高級人気クラブの聖地でもある。 今夜も、カリスマDJのフランキー・ワイルドの神業プレイでクラブは最高潮。 富と名声をほしいままにするフランキーの暮らしぶりは、島の一等地の豪華なヴィラに住み、 妻は元モデル、一人息子ジャクソンはマイケル似(?)。 しかし、そんな生活も長くは続かなかった。 生まれつき聴覚の弱かったフランキーは少しずつ聴力を失う。 障害を隠しながらプレイするがクラブの客はごまかせない。 落ち目のフランキーは自暴自棄になる。妻子も去って行った…。

これはドキュメンタリー風に作られた映画です。フランキー・ワイルドは架空のDJですが、 病んだ彼が再起するまでの道のりは、生身の男の力強さを感じました。 完全に聴力を失った彼は、読唇術を学び、非常な努力と工夫を積み重ね、 今までの経験をベースにリズムは振動で、音程は機械の力で理解し、再度DJに返り咲きます。 しかし彼は華々しい場所を愛する人と去ります。 その終わり方が潔く見事でした。
この映画では本物のDJがたくさん出演しています。ポール・ヴァン・ダイク、ティエスト、サラ・メイン、ダニー・ホィッスル、カール・コックス、等々。(美)

2004年 トロント国際映画祭 シティ・アワード受賞
2005年 英国インディペンデント映画賞 最優秀プロダクション賞ノミネート
2006年 バンクーバー批評家協会賞 最優秀ブリティッシュ・コロンビア映画賞受賞

2004年/イギリス・カナダ合作/92分/シネマスコープ/ドルビー・デジタル/カラー/日本語字幕:風間綾平
配給:エイベックス・エンタテインメント
http://www.frankie-wilde.com/

12月23日(祝)、渋谷シネ・アミューズにてロードショー


『鉄コン筋クリート』

監督:マイケル・アリアス
脚本:アンソニー・ワイントラープ
演出:安藤裕章
キャラクターデザイン総作画監督:伏見祥示郎
美術監督:木村真二
原作:松本大洋
音楽:Plaid
アニメーション制作:スタジオ4℃
声キャスト:二宮和也(クロ)、蒼井優(シロ)、伊勢谷友介(ヤクザ・木村)、宮藤官九郎(沢田刑事)、田中泯 (ヤクザ・鈴木)、大森南朋(チョコラ)、岡田義徳(バニラ)、本木雅弘(蛇)、森三中(小僧)

義理と人情とヤクザの“地獄”の街、「宝町」。ここには「ネコ」と呼ばれる「第1級ぐ犯少年(注)」、クロとシロがいた。親を知らない2人は町中を自由に飛び、助けあって暮らしてきた。昔馴染みの「ネズミ」ことヤクザの木村が舞い戻ったころ、宝町に再開発の波が押し寄せ、「子供の城」というレジャー施設が建設されることになった。その中心にいるのは「蛇」と名のる不気味な男だった。
(注)「ぐ犯少年」とは,性格,行状等から判断して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある20歳未満の者をいう。

©2006松本大洋 小学館、アニプレックス、アスミック・エース、Beyond C

原作は『ピンポン』の松本大洋。1993年から週間ビックコミックスピリッツに連載。 これを1995年当時、来日していたマイケル・アリアス氏(CG映像の仕事をしていた)が見て、感動したのだとか。 以来ずっとアニメ化を夢見続けて、これが初監督作品となりました。集まった製作メンバーの全てが松本大洋と「鉄コン筋クリート」ファン。その熱意がひしひしと感じられる作品です。
監督が非常にこだわったという宝町の映像がもうすっごく好きです。雑多で混沌としたアジア〜ンな感じ。建物・看板などなんと味があるのでしょう。日本はもとより、やっぱり香港、スリランカへもロケに行って映像を集めてきたそうです。この町で繰り広げられる、クロとシロと大人たちのバトルが壮絶で、その分二人のつながりがくっきり浮き上がってきます。

クロ「心配ないよ。シロは俺が守るから。俺たちの、この町もな」
シロ「クロの足りないネジ、シロがみんな持ってる」


うるうる・・・。(白)

2006/日本/カラー/111分/35mm/アニメーション

公式 HP >> http://tekkon.net/

★12月23日(祝)より渋谷東急ほか、全国松竹・東急系にてお正月ロードショー


『無花果の顔』

監督・脚本・出演:桃井かおり
美術監督:木村威夫
撮影:釘宮慎治
照明:中村裕樹
衣装デザイン・アートディレクション:伊藤佐智子
美術:安宅紀史
録音:高橋義照
音楽:Gilad Benamram/主題歌「How Your Trees Grow」
出演:桃井かおり、山田花子、石倉三郎、高橋克実、岩松了、光石研、渡辺真起子、HIROYUKIほか

主人公は、庭に無花果の木が植えられた古い家に住む門脇家の四人家族。
縁側に面した茶の間で鍋を囲む彼らは、ありふれた日常を生きているように見えながら、実は家出、突然の死、引越し、再婚、出産と、ドラマチックな人生を歩んでいきます。

誰にも真似できない独創的なスタイルの「桃井ワールド」映画誕生です。軽妙な脚本、色彩、カメラの角度、音楽の素晴らしさ、そして、俳優たちの花(華)はないが実のある顔、顔…。特に、山田花子を起用した監督の確かな眼力に脱帽です。監督自身、映画作りを心底楽しんでいることが観ているものに伝わってくる作品です。きっと観た後は、ふんわりと心地よい感動に包まれるはずです。(美)
注:最後のタイトルロールも見逃せませんよ。

第11回釜山国際映画祭正式招待作品
2006/日本/カラー/94分/35ミリ/ヴィスタ/ドルビーSR
配給:シナジー

公式 HP >> http://www.129-movie.com/

★2006年12月23日(祝)より、シネマスクエアとうきゅう他にて全国ロードショー

★初日舞台挨拶
 場所:シネマスクエアとうきゅう(新宿)
 日時:12月23日(土)12:00〜12:20
   ☆初回10:30の回終了後
 登壇者:桃井かおり、石倉三郎、高橋克美(予定)



『ダーウィンの悪夢』Darwin’s Nightmare

監督・構成・撮影:フーベルト・ザウパー
録音:コスマス・アントニアデス
編集:デニーズ・ヴィンデフォーヘル

アフリカ・タンザニア共和国の北部には世界第3位の大きな湖、ビクトリア湖がある。 ここには多様な生物が生息していることから「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていた。 半世紀ほど前、誰かが放った大型の肉食魚「ナイルパーチ」が他の魚を駆逐して、 あっという間に増えてしまった。 白身のナイルパーチに目をつけた加工業者が湖畔に工場を建設、 漁師が獲ったナイルパーチは切り身となり、冷凍されて主にヨーロッパや日本に送られる。 農村からも仕事を求めて人が集まるが、誰もがありつけるわけではない。 貧困がはびこり、売春婦やストリートチルドレンが増え、エイズが蔓延していく。 切り身を取った後のアラはどこへ行くのか? 冷凍魚をヨーロッパへ運ぶ飛行機は、往路に何を積んでくるのか?

昨年の山形で観る時間がなく、3月にBSで放映されたものを一度観ました。 これは新しく字幕をつけ直したものです。 観終わってずっしり重い荷物を受け取った気分になった映画です。 この作品のほかには『亀も空を飛ぶ』、『ホテル・ルワンダ』もそうでした。 内容そのものと、描かれていたことをちっとも知らずにいたことがショックだったのですが、 この『ダーウィンの悪夢』は、さらに「自分もこの“システム”に参加している一人」 と気づかせるのです。 よくこれだけの取材をされたものだと頭が下がります。 どうか目をそらさずに観て、そして忘れないでください。(白)

2004年/仏・オーストリア・ベルギー/カラー/35mm/107分/英語、ロシア語、スワヒリ語/ 配給:ビターズ・エンド 宣伝:ムヴィオラ

★山形国際ドキュメンタリー映画祭2005 審査員特別賞+コミュニティシネマ賞受賞
12月23日(土)より、渋谷シネマライズにて上映

公式 HP >> http://www.darwin-movie.jp/



『イン・ザ・スープ』

監督:アレクサンダー・ロックウェル
製作総指揮:鈴木隆一
エグゼクティブ・プロデューサー:すずきじゅんいち、船原長生
音楽:メーダー
撮影:フィル・パーメット
脚本:アレクサンダー・ロックウェル、ティム・キッセル
出演:スティーブ・ブシェーミ、シーモア・カッセル、ジェニファー・ビールス、ジム・ジャームッシュ

クリスマスのニューヨーク。うらびれたイーストビレッジのア パートに住むアルドルフォは、隣に住む美女アンジェリカを主 人公に映画を撮ることを夢見ている。が、現実はバイトでなん とか食いつなぐ日々。ある日、自分の書いた映画の脚本を売り に出すことを思いつき、新聞広告を出す。それを見て映画製作 に資金を出すと現れた初老の男ジョー。調子のいいこの男、資 金調達のためと言って、次々と怪しげな仕事にアルドルフォを 誘い込む。一方、アンジェリカとのデートも取り持ってくれた りして、アルドルフォはすっかりジョーに振り回される日々。 “どつぼ=イン・ザ・スープ”にハマってしまったアルドルフ ォ、映画製作の夢は叶えられるのか?

  

製作から15年を経て、再度公開される「イン.ザ.スープ」。 日本で1994年に公開されたとき12週間のロングランを記録した というが、残念ながら観ていない。モノクロの映像が、もっと 昔に作られたような懐かしさをかもしだしていて素敵。
新聞広告を見て、脚本を買うと名乗りでた初老の男ジョーが、 次々に起こす不可思議な行動に、アルドルフォがおろおろしな がらも巻き込まれていく姿がなんとも可笑しい。『フラッシュ ダンス』(1983年)で初々しいダンサーとして一世風靡した ジェニファー・ビールスが、この作品では、ちょっと凄みもあ る大人の女というのも魅力。見終わって、狐につままれたよう な不思議な気分ながらも、ほんわかとした幸せを感じたのはな ぜだろう...。(咲)

シーモア・カッセルの芸達者ぶりがきわだちます。だ、誰この人?と思って調べましたら、出演作を何本か観ていました。記憶にないのは、この作品ほど目立たなかったからでしょうか。いつも一番変な人のスティーブ・ブシェーミがここではかなり普通で、いい男に見えてしまいます(笑)。(白)

◆1992年サンダンス・フィルム・フェスティバル グランプリ受賞

公式 HP >> http://www.web-wac.co.jp/group/inthesoup_intro.html

★12月23日より、シアターN渋谷にてクリスマス&新春レイトショー!
 連日21:20より上映<全国順次公開>


『リトル・ミス・サンシャイン』

監督:ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス
脚本:マイケル・アーント
撮影:ティム・サーステッド 音楽:マイケル・ダナ
出演:グレッグ・キニア(リチャード・フーヴァー)、トニ・コレット(シェリル・フーヴァー)、スティーヴ・カレル(フランク)アラン・アーキン(グランパ)、ポール・ダノ(ドウェーン・フーヴァー)、アビゲイル・ブレスリン(オリーヴ・フーヴァー)ほか

オリーヴはアリゾナに住んでいる9歳の女の子。美少女コンテストを目指して、今日も受賞の瞬間の練習中。パパは「勝ち組に入れ!」が口癖だけど、自分はちっとも成功できていない。お兄ちゃんのドウェーンはニーチェにかぶれていて、家族と口もきかず必要なときはメモを見せる。おじいちゃんはコカイン中毒で老人施設から追い出されたけど、オリーヴのミスコン出場を応援してくれる。ママは自殺を図ったお兄さんのフランクを引き取ることにした。フランクおじさんはゲイでプルースト研究の第一人者だったのに、恋人も名声もなくしてしまったのだ。おじさんがやってきた日、リトル・ミス・サンシャインコンテストに繰り上げ出場が決まったと連絡が入る。フーヴァー一家は本選の行われるハリウッドまで、おんぼろバンで出かけることになった。

第19回東京国際映画祭で最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、観客賞、3冠の作品。オーチャード・ホールでの満場の拍手に、監督ご夫妻がとても嬉しそうでした。
完成まで5年を要したというインディーズ作品ですが、各地の映画祭で絶賛。劇場公開もロングランとなったものです。俳優たちは人気の大スターではないかもしれませんが、きっちり仕事のできる人たち。パパ役のグレッグ・キニアは『ふたりにクギづけ』にマット・デイモンと双子の役で主演、ママ役のトニ・コレットは『イン・ハー・シューズ』の弁護士だけど容姿にコンプレックスのある姉を演じていました。伯父さん役のスティーヴ・カレルは『40歳の童貞男』の主役アンディ。子役のアビゲイル・ブレスリンは『サイン』でメル・ギブソンの末娘役。
よく言えば個性的なバラバラ家族が、小さな娘のため故障続出のボロ車で長い旅をし、ちょっとずつ気持が寄り添っていくロードムービー。クライマックスの美少女コンテストには口あんぐり。ジョンベネちゃんの映像を思い出しますが、あんなのです。実際にコンテストに出場する少女とその母親たちが登場しています。ここはとっても皮肉な場面だと思うのですが、彼女たちは映画に出て嬉しかったのかしらん? おなかぽっこりの幼児体型で、眼鏡っ子のオリーヴがどうしたかというと・・・映画館で観てくださいね。(白)

2006/アメリカ/カラー/100分
配給:20世紀フォックス

公式 HP >> http://movies.foxjapan.com/lms/

★12月23日(土)〜シネクイント、シネ・リーブル池袋にてロードショー


2006年12月16日〜

『長い散歩』

監督・企画・原案:奥田瑛二
脚本:桃山さくら、山室有紀子
撮影:石井浩一
音楽:稲本響
出演:緒形拳(安田松太郎)、高岡早紀(横山真由美)、杉浦花菜(横山幸)、松田翔太(ワタル)、大橋智和(浩司/真由美の情夫)、木内みどり(節子/松太郎の妻)、原田貴和子(亜希子/松太郎の娘)、山田昌(管理人)、津川雅彦(医者)、奥田瑛二(刑事)ほか

==人生は長い散歩。愛がなければ歩けない。==

校長を定年退職した松太郎は、名古屋の自宅を出て小さなアパートで一人暮らしを始めた。 仕事一筋で厳格すぎる彼は、家族と和を保てず妻節子はアルコール依存症となり、 節子が死んだことで娘の亜希子も松太郎を許そうとはしなかった。 家族への贖罪のように質素に暮らす松太郎の隣室には、水商売らしい若い母親と小さな娘、 その愛人が住んでいる。 母親に虐待され叫び声を上げている少女は、 いつも紙で作った天使の羽を背に一人で遠くを見ていた。 ある日松太郎は情夫の手から少女を助け出し、 「おじいちゃんと一緒に行くか?」と声をかける。 二人の小さな旅=長い散歩が始まった。

『少女』、『るにん』と映画製作をしてきた奥田瑛二監督の3本目の作品。 監督自身も二人を追う刑事役で出演。緒形拳に出会って以来、 ぜひ彼の映画を撮りたいと念じ続けて作ったもの。
壊れていく家族や幼児虐待、悩める若者など社会現象も盛り込んだ 「老人のハードボイルド(監督いわく)」&ロードムービーとなっています。 大人の思惑通りにはけっして行かずにてこずったという、 5歳の幸(さち)役の杉浦花菜ちゃんを中心に(お察しします)、 70代目前の緒形さんは走り、高岡さんはあざのできる熱演、 二人の若手男優もアップにはっとする存在感あり。 真摯な姿勢の感じられる映画でした。 (白)


モントリオール国際映画祭2006(8月24日〜9月4日)のワールドコンペティション部門に正式出品

2006/日本/136 分/アメリカン・ヴィスタ/ドルビーSRD 配給:キネティック

12月16日(土)より、渋谷Q-AXシネマ ほか全国順次ロードショー

http://www.eiga.com/official/nagaisanpo/

★「長い散歩」の初日舞台挨拶が決定しました。
12月9日(土)AM9:00より、劇場窓口にて初日舞台挨拶の回の座席指定券を受付(販売)開始
★舞台挨拶登壇者(予定)
奥田瑛二監督、緒形拳、杉浦花菜、松田翔太、高岡早紀

68号に完成披露記者会見記事が掲載されています。


『あるいは裏切りという名の犬』

監督:オリヴィエ・マルシャル
脚本:オリヴィエ・マルシャル、フランク・マンクーゾ、ジュリアン・ラプノー
共同脚本:ドミニク・ロワゾー
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデュー、アンドレ・デュソリエ、ロシュディ・ゼム、ヴァレリア・ゴリノ

シテ島オルフェーヴル河岸36番地にあるパリ警視庁に2人の男がいた。1人はBRI(探索出動班)のレオ・ヴリインクス警視(ダニエル・オートゥイユ)。正義感が強く、部下の信頼も厚いが、事件解決のために危ない橋を渡ることもある。もう一人はBRB(強盗鎮圧班)のドニ・クラン警視。出世欲が強く、次期長官の椅子を狙っていた。二人はかつては親友だったが、同じ女性を愛し、彼女がレオを選んだために、今は宿敵となって対立していた。
パリでは連続現金輸送車襲撃事件がおきていた。警察は特別捜査態勢を敷き、昇進の決まった長官は2人のうち、この事件を解決した方に次期長官にすると言う。しかし長官が信頼しているのはレオだった。ドニは焦りのあまり禁断の手を使う。レオはドニの裏切りで全てを失ってしまう・・・。

久しぶりに見応えのあるフランス・ノワール映画。オリヴィエ・マルシャル監督は元警察官で、当時に見聞きした警察内部の事件を元に、この作品の脚本を書いたそうです。映画の中の強盗団逮捕作戦のくだりも実際にあった事件を元にしているし、レオという人物のモデルもいるというから驚きです。あくまでも2人の警察官の話なのに、ギャング団なみにダークな世界が展開します。フランスきっての名優2人がそろい踏みし、フレンチローストのコーヒーのように苦みの効いた、しかし芳しい香りを放つ演技を見せてくれるのも嬉しいです。(梅)

2004年/フランス/110分/カラー/スコープサイズ/ドルビーSRD
配給:アスミック・エース

公式 HP >> http://www.eiga.com/aruinu/

★12月16日(土)より、銀座テアトルシネマにて独占ロードショー


『愛されるために、ここにいる』

監督・脚本:ステファヌ・ブリゼ 撮影:クロード・ガルニエ、ジュリエット・セールズ
音楽:クリストフ・H・ミュラー、エドゥアルド・マカロフ
美術:ヴァレリー・サダジアン
出演:パトリック・シェネ(ジャン=クロード)、アンヌ・コンシニ(フランソワーズ)、ジョルジュ・ウィルソン(父)、シリル・クトン(息子)、リオネル・アベランスキー(ティエリ)

ジャン=クロードはもうすぐ51歳になる。 父から継いだ執行官の仕事をずっと続けてきた。 家賃を滞納している家を訪ね、裁判所からの請求を伝え、泣かれたり罵倒されたりの毎日だ。 自分でもいやでたまらないこの仕事を、別れた妻との間の息子に継がせようと事務所に迎える。 口下手な似たもの親子は、会話も滞りがち。 週末は老人ホームの父親を訪ねているが、 年々気難しくなる老父に怒鳴り出したいのを押さえるのがやっとだ。 事務所の窓からは向かいのタンゴ教室が見える。 興味を持っていても、なかなか行動できずにいた。 医者の「運動をすること」という勧めで、思い切って教室のドアを開く。 そこで結婚式で踊るためレッスンに来ていたフランソワーズと出会う。

3月のフランス映画祭では『愛されるために、ここにいる訳じゃない』という仮題で上映されました。 「訳じゃない」がなくなると違うものになります。 「愛するために」「愛したいから」という能動的な意味がなくなってしまうのになぁ。 映画は初老の不器用な男と、30代後半の女性との心のゆらめきを、ほんとに少ないセリフとタン ゴで描きます。 この静かな日常の描写と、控えめな動きやセリフは昔の日本映画のようです。 二人の気持の動きが、ちょっとした指先や表情の変化から読み取れます。 ダンスも情熱的な動きはなく、流れるタンゴの名曲がロマンをプラス。 パトリック・シェネはすっかり人生に疲れた感じで、60代以上に見えます(このとき58歳)。 頑固な老父と自分、息子は、本人は気づかずともそっくり。 口に出さずに我慢した挙句、うっぷんを身近に八つ当たりしています。 全くもう、と笑えて後でしんみりしてきます。 アンヌ・コンシニは今まで出演作を見ているはずなのに、全然記憶にありませんでした。 この作品ではとても素敵。(白)

2005/フランス/カラー/93分/ヴィスタサイズ(1:1.85)/DTS
配給:セテラ・インターナショナル
http://www.cetera.co.jp/tango/
12月16日(土)より、ユーロスペースにてロードショー



『とかげの可愛い嘘』(原題:とかげ 英題:LOVE PHOBIA)

監督:カン・ジウン
脚本:ファン・イノ
音楽:パク・ギホン
編集:コ・イムピョ
撮影:キム・ヨンフン
製作総指揮:キム・インス
製作:チョン・スン
企画:イ・ジュンイク
出演:チョ・スンウ(ジョガン)、カン・ヘジョン(アリ)、カン・シニル、チョン・ソンファ、イ・ジェヨン、ビョン・ジョヨン、パク・コンテ

晴れの日も雨の日も黄色いレインコート、ポケットにとかげを入れ、嘘ばかりつい て、先生や友達を煙にまいている転校生のアリ。ジョガンはそんなアリを好きにな る。ある日、二人が雨に濡れて帰った翌日、アリは忽然と姿を消す。10年後、高校生 の二人は再会を果たすが、それもつかの間、アリはまたジョガンの前から行方をくら ましてしまう。3度目、社会人になったジョガンの前にアリが突然現れ、(明日アメ リカに行くの)とわざわざ別れを告げに来た。そして4度目の再会で、ジョガンはア リが悲しい嘘をつき続ける理由を知るのだった…。

一人の女性を20年間想い続ける青年ジョガンを『マラソン』のチョ・スンウ。可愛いが変わり者のアリには『トンマッコルへようこそ』のカン・ヘジョン。二人は3度の再会をしますが、その再会の瞬間のシーンがとても印象的です。その一瞬に様々な感情が入り交じり、相手を愛おしく想っている気持ちが強く伝わってきます。また、子役の二人がとても可愛いのです。特に黄色のレインコートの子、ビョン・ジョヨンに目を奪われました。韓国映画にも多数の名子役がいますが、目力(めぢから)No.1はこの子で決まりでしょう。
脇を固めるジョガンの父(カン・シニル/シルミド、公共の敵)も、ジョガンの先輩役(チョン・ソンファ)も台詞まわしがうまい役者さんです。撮影地の蕎麦の花で有名な(金羅北道高昌/トンマッコルへようこそのロケ地でもある)田舎風景も必見です。
ところでアリのユニークな性格を象徴するとかげは、本物の生きたとかげ(オーストラリア出身)を使い、出番までベストコンディションにする為、スタッフは餌の確保、温度調節、ストレス管理などで1番手間のかかる出演者だったそうです。(美)

2005/韓国/117分/カラー/シネマスコープ/ステレオ/ドルビーSRD/日本語字幕:根本理恵
配給:エスピーオー

公式 HP >> http://www.cinemart.co.jp/tokage/

★2006年12月16日、シネマート新宿、シネマート六本木ほかにて全国順次公開


2006年12月9日〜

『敬愛なるベートーヴェン』Copying Beethoven

監督:アニエスカ・ホランド
脚本・製作:クリストファー・ウィルキンソン、スティーヴン・リヴェル
撮影:アシュレイ・ロウ
美術:キャロライン・エイミーズ
出演:エド・ハリス(ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)、ダイアン・クルーガー(アンナ・ホルツ)、マシュー・グード(マルティン・バウアー)、ジョー・アンダーソン(カール・ヴァン・ベートーヴェン)、ラルフ・ライアック(ウェンツェル・シュレンマー)、ビル・スチュワート(ルディー)ほか

1827年3月、死の床にあるベートーヴェンのもとに駆けつける女性がいた。 アンナ・ホルツ、出会いは3年前のウィーンに遡る。 「第九」の初演4日前、ベートーヴェンの音楽出版社のシュレンナーは優秀なコピスト (写譜師:作曲家の書いた楽譜を清書する)を音楽学校に依頼していた。 現れたのは作曲家を志す若い女性のアンナ、困惑したシュレンナーは彼女に 「あの“野獣”ベートーヴェンだぞ」と翻意を促すが、 ベートーヴェンを尊敬するアンナは目を輝かせる。 若い女性コピストが来たことにベートーヴェンは激怒するが、 彼の書き間違いを堂々と「修正」したアンナの才能と自分の音楽への理解の深さを認め、 仕事を任せることにした。 アンナは家に煩雑に通ううちに天才作曲家の苦悩と孤独を知ることになる。 聴覚を殆ど失っていたベートーヴェンが「第九」を指揮する日が近づいてきた。

孤高の音楽家ベートーヴェンの歴史を丹念に検証しながら、大胆な脚色をほどこした作品です。 アンナは実在の何人かの女性のエピソードを融合して一人の女性に造形した架空の人物。 実際3人いたと言われるコピストの一人だけが不明なのだそうです。 ダイアン・クルーガーのクラッシックな美貌がこの時代のコスチュームによく似合い、 強い意志とひたむきさを感じさせます。 ベートーヴェンを演じたエド・ハリスは、この役のために激太りし、バイオリンにピアノ、 楽譜の書き方から指揮まで特訓して撮影に臨んだそうです。 音楽のノートの表紙やデスマスクでしか知らないベートーヴェンですが、 彼が演じるといつも体中に音楽がうずまいている天才音楽家が生き生きとせまってきます。 才能あふれ傲慢で率直なあまりに、 愛が成就しなかったというベートーヴェンにこういう物語を書き加えたのはアニエスカ・ホランド監督。 『太陽と月に背いて』で詩人のランボーを描いています。 10分間にわたる「第九」の演奏場面は圧巻です。 ベートーヴェンの隣に住むおばあちゃんのセリフも印象的。 (白)


2006/イギリス・ハンガリー/カラー/英語/104分/シネマスコープ/SRD
配給:東北新社、宣伝:アステア

http://www.daiku-movie.com/

12月9日(土)より、日比谷シャンテ シネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

★東京国際映画祭で一足早く上映されます。


『ダニエラという女』Combien tu m'aimes

監督・脚本:ベルトラン・ブリエ
撮影:フランソワ・カトネ
美術:フランソワ・ド・ラモット
衣装:カトリーヌ・ルテリエ
出演:モニカ・ベルッチ(ダニエラ)、ベルナール・カンパン(フランソワ)、ジェラール・ドパルデュー(シャルリー)、ジャン=ピエール・ダルッサン(アンドレ)、エドワール・バレル(エドワール)

〜イタリアの宝石、モニカ・ベルッチが教える本当の愛の見つけ方。
恋に臆病になってしまった大人に贈るラブストーリー〜

内気で恋人もないフランソワは、飾り窓の美女に釘付けになっている。 勇気を出して店に入り、「君はいくらなの?」と声をかける。 宝くじが当たったので、お金があるうち自分と暮らしてほしい、とダニエラに大胆な申し出をする。 承知したダニエラは「優しくすること」とフランソワに約束させ、アパートに住むことになった。 しかし妖艶で官能的なダニエラとの生活は、心臓の悪いフランソワには刺激が強すぎた。 彼を心配する医師のアンドレは静かな生活を送ること、と注意するのだが・・・。

ぱっとしない男と類稀な美しい娼婦とのロマンチックなストーリー、ではおさまりません。 そもそも宝くじの賞金から始まったこの生活なのです。 憧れの美女と暮らす夢が叶ったフランソワは、すっかり舞い上がっています。 「愛されるのが特技」というダニエラはそこにいるだけで男たちの目を引き、フランソワの苦悩の種となります。 二人の周りの同僚や隣人などくせのある人物たちが、うまくストーリーに配されて面白さアップ。 思わずにやりとする幕切れです。
モニカ・ベルッチの衣装やジュエリーは娼婦娼婦した安物ではなく、カルティエ、プラダ、ディオールなど。彼女のゴージャスな美貌をより引き立たせています。 1964年生まれというのが信じられない美しさですが、モニカは当時出産したばかりで、毎日赤ちゃんを連れてきて授乳しながら撮影に臨んでいたのだとか。 あっぱれ!(白)

ベルトラン・ブリエ監督は『アレックス』のモニカ・ベルッチを観て、惚れ込んでしまったそうです。彼女のために作った、娼婦でありなりながら、無邪気な愛らしさを持ち、母の包容力も兼ね備えた美しい女性と、ちょっと冴えない男との愛の物語はもう、監督(ひいては世の男性)の妄想全開な世界で、思わず笑ってしまいました。(梅)

2005年/フランス/カラー/1時間35分/シネマスコープドルビーSRD/
提供:ハピネット/配給:ハピネット、クレストインターナショナル

第28回モスクワ国際映画祭監督賞受賞(ベルトラン・ブリエ)

12月、、シアター・イメージ フォーラム、銀座シネパトスにてロードショー

http://www.crest-inter.co.jp/daniela/


2006年12月2日〜

『ファミリー』

監督・脚本:イ・ジョンチョル
製作総指揮:キム・スンボム
撮影監督:チェ・サンムク
美術:カン・ソヨン
出演:スエ(ジョンウン)、チョ・ヒョン(チュソク)、パク・チビン(ジョンファン)、パク・ヒスン(チャンウォン)、オム・テウン(ドンス)ほか

お父さん、世界で一番アナタが嫌いです。

傷害の罪で服役していたジョンウンは保護観察となり、幼い弟チュソクと父のいる家に帰ってきた。留学していると聞かされていた弟は素直に喜ぶが、3年ぶりに会った父は「何故帰った?いつ出て行くんだ」と冷たく言うだけだった。父は元警察官だったが目を悪くして辞職し、以来酒びたりになっては母に暴力をふるってきた。ジョンウンは6年前母が死んだのは父のせいだと思い、父は自分へのあてつけのように不良になった娘にさらに厳しくあたるようになったのだ。3年の間に二人の溝はさらに深まっていた。ジョンウンは美容院で働き始めるが、昔の悪い仲間がつきまとうようになった。


ⓒ2004 TUBE Entertainment. All Rights Reseved.

この試写でたまたま(美)さんと一緒になりました。二人とも幼い弟はてっきりジョンウンと不良仲間のどっちかの男の子供で、親が弟として育てたのだと勘違いしていました。それくらいこの家族の愛憎が激しかったのです。プレスノートの解説に「儒教の教えに近親相姦を絶対に悪とする」という一項があり、いとこ同士の結婚などありえない。だから家族は心おきなく愛情表現ができるのだというのに、へええ!でした。それでなくとも韓国の映画を観ると、情の濃さに驚かされます。ジョンウンを演じるスエはTVドラマで「涙の女王」と呼ばれているようですが、この映画では今までにないたくましく純粋なヒロインを好演していて、国内で多くの新人女優賞を獲得しています。パク・チビンくんは『奇跡の夏』より前の作品なのでちょっと幼くてさらに可愛いです。(白)

2004/韓国/カラー/96分/ビスタサイズ/SRD・SR/字幕:根本理恵
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
宣伝:スキップ
http://www.sonypictures.jp/movies/afamily/index.html
12月2日(土)シネマスクエアとうきゅう他にてロードショー


『Mr.ソクラテス』Mr.Socrates

監督・脚本:チェ・ジノン
撮影:チン・ヨンファン
音楽:ソン・ギワン
武術監督:イ・ウンジュン
美術:イ・ジョンピル
出演:キム・レウォン(ク・ドンヒョク)、カン・シニル(先生)、イ・ジョンヒョク(シン班長)、ユン・テヨン(チョ弁護士)、ホ・ジョンミン(ク・ドンピル/弟)、オ・クァンノク(父)、パク・ソンウン(ハンドゥ)、チュ・ミンチョル(イワシ)、パク・チョルミン(脱獄犯)ほか

不良青年のドンヒョクは札付きのワル。 刑務所の父にまで金をせびりに行くどうしようもない奴だ。 金にならないと知るや仲間の殺人を密告しようとしたとき、正体不明の男たちに拉致される。 連れて行かれたのは山の中の廃校で、なぜか無理やり勉強させられる羽目になる。 たった一人の生徒のドンヒョクに、見るからに悪人の生徒指導の面々。 “先生”は「勉強だけが生きる道だ」と警察官採用試験合格まで地獄のような特訓を開始する。 一度はまんまと逃げ出したドンヒョクだが、弟のドンピルをヤクザの鉄砲玉にすると脅され、 生まれて初めて猛勉強をするのだった。

キム・レウォンは『アメノナカノ青空』、『マイ・リトル・ブライド』 などで人気の甘いマスクの俳優。今回は笑顔を見せずにワル役に挑戦。 大柄なせいかあまり機敏に見えないのですが、アクション場面も多く頑張っています (暴力描写も多いので韓国ではR18指定)。 前半がちょっと長い感じがしました。
“先生”役のカン・シニル、警察の上司シン班長役のイ・ジョンヒョク、 極悪弁護士役のユン・テヨンなど、助演の俳優たちのユニークさも目立ちます。 資料によれば、製作会社代表の知り合いの一人が、 このドンヒョクのモデルとして貢献しているとのこと。 元チンピラから警察署の凶悪犯罪課勤務となった彼は、非常に型破りな刑事なのだそうです。 2を作ってドンヒョクが刑事になってからの活躍をもっと見せてほしいです。(白)

2005/韓国/カラー/111分/ビスタ/ドルビー/
配給:エスピーオー、宣伝:グアパ・グアポ

http://www.cinemart.co.jp/socrates/  (準備中)

12月2日(土)より、シネマート六本木ほかにて全国順次ロードショー


2006年11月25日〜

『赤い鯨と白い蛇』

監督:せんぼんよしこ
脚本:冨川元文
製作総指揮:奥山和由
撮影:柳田裕男
音楽:山口岩男
キャスト:香川京子(雨見保江)、浅田美代子(河原光子)、宮地真緒(田中明美)、坂野真理(河原里香)、樹木希林(大原美土里)ほか

物忘れの多くなった保江は、息子夫婦の家に身を寄せることになった。 迎えに来た孫の明美と千葉県の千倉に向かう電車内で、保江は突然館山に降りたいと言い出す。 戦争中に疎開した家をどうしても見たいと譲らず、明美は保江の記憶の中にある家を探すことになる。 かつて歩いた道を迷わず進む保江は、昔のままの萱葺き屋根の家を訪ねあてる。 そこには蒸発した夫を待つ光子と、小学生の娘里香が住んでいた。 家が取り壊されると聞いたからと、以前の住人だった美土里も現れ、光子の好意で3人はこの古い家に泊まることになった。 懐かしい家でおちついた保江は「昔この家には150歳の白い蛇がいた」と皆を驚かせる。

TV界では大ベテランのせんぼんよしこ監督が、長く一緒に仕事をしてきた冨川元文氏の誘いで、 初めて映画を撮りました。 5世代の女性が集まった古い民家は、約200年前江戸中期に建てられたというもの。 大きな萱葺きの屋根や広い土間、座敷や縁側など、昔の日本の美しいものが残されています。 違った年代の女性の気持が開かれ、 保江がしだいに記憶を取り戻していくのにこれほど似合いの場所はありません。 初めてこの家が現れるシーンはそのまま、 保江(ロケハンをしたスタッフや監督も)が驚いた気持が伝わってくるようでした。
年をとっても凛としたたたずまいの香川さん、 ようやく実年齢に近い役どころを観た気がする樹木さんは期待どおりですが、 浅田さんにはこんなにいい女優さんだったのか、と目うろこでした。(白)

わたしが生まれた家はぼろい長屋風社宅でしたが、そこにも白い蛇がいたそうです。母は驚いて追い払おうとしたのですが、祖母に家の守り神なのだから粗末に扱ってはいけないと怒られたと言っていたのを思い出しました。
白い蛇はわかるけど、赤い鯨とは何なのだろうと不思議だったのですが、見終わってなるほどそういうことかと思いました。館山は何度か行ったことがありましたが、そんな歴史があったとは知りませんでした。若い世代はほとんど知らないのではないでしょうか。せんぼんよしこ監督が戦時中に館山へ疎開されていて、どうしても伝えたいと思っていたテーマだそうです。悲しい歴史と大切な人を”忘れない”というメッセージが、わたしに今は亡き祖母の思い出を蘇らせてくれました。(梅)

2006/日本/カラー/102分/ヴィスタサイズ/DTS−SR

配給:東北新社クリエイツ+ティー・オー・ピー
宣伝:ムヴィオラ

http://www.asproject.jp/

★第 30 回モントリオール世界映画祭「First Films World Competition」部門へ出品
11月25日(土)より岩波ホールにてロードショー

脚本の冨川元文さんによる書き下ろし原作小説発売中!
「赤い鯨と白い蛇」
クリーク・アンド・リバー社刊/216p/定価1575円/ISBN 4-903679-00-4 C0093



『めぐみ 引き裂かれた家族』原題:ABDUCTION The Megumi Yokota Story

製作総指揮:ジェーン・カンピオン(ピアノ・レッスン)
監督/製作/協力:クリス・シェリダン&パティ・キム
製作協力:ユウコ・カワベ
編集/撮影:クリス・シェリダン
音楽:ジョージ・カメダ
出演:横田滋、横田早紀江、増元照明、他

1977年11月15日、当時13歳の横田めぐみさんが学校帰りに、忽然と姿を消した。
横田さん一家は、その日から帰って来ない娘を探し続けた。それが(北朝鮮拉致事件)という途方もないものとは、知るよしもなかった…。
国家的陰謀に巻き込まれた家族の30年を、日本人ではない部外者の目で、真っ正面から描かれたドキュメンタリー・フィルムです。

今日、若い人に人気のあるアイドル主演映画を観に行きました。会場は初日土曜とあって、予告中もざわめきは止みません。
ところが、この『めぐみ−引き裂かれた家族の30年』の予告が始まると、会場は水を打ったように静かになり、緊張感が走りました。
今だかつて、このような経験はありません。
前置きが長くなりましたが、このドキュメンタリーには予告だけでも、じーんと胸に迫り来る力強さがあります。私は製作総指揮が『ピアノ・レッスン』のジェーン・カンピオン監督で驚きましたが、彼女の「この作品に関われたことを心から誇りに思う」というメッセージに深く感動しました。
もう一つ。めぐみさんがシューマン作曲「流浪の民」の一節を独唱するテープが流れます。その歌詞は偶然にも、めぐみさんのその後を暗示するように思え、胸に迫ります。しかし、歌声はこれが幼い少女の声であろうかと疑うほど、美しく気高い声でした。(美)

2006年ダラス・アジアン映画祭、最優秀ドキュメンタリー賞受賞
2006年スラムダンス映画祭、観客賞受賞
2006年サンフランシスコアジアン・アメリカ国際映画祭、最優秀審査員賞受賞
2006年オマハ映画祭、観客賞受賞

2006年/アメリカ/90分/ビスタ/カラー
配給:ギャガ・コミュニケーションズ powered by ヒューマックスシネマ
http://www.megumiyokota.com/

11月25日(土)より シネマGAGA、テアトルタイムズスクエアほかにて全国ロードショー
(C) Safari media LLC 2004


『コワイ女』

「コワイ女」をテーマに3人の監督が撮ったオムニバスホラー作品。それぞれに全く違ったテイストを持っている。

『カタカタ』
原案・脚本・監督:雨宮慶太
出演:中越典子、小林裕子、豊原功補 ほか

吉沢加奈子は婚約者とのデートの帰り道、自宅近くにある、とあるマンションの前を通りかかったときに、”カタカタ”という奇妙な音を聞いた。その直後、何か大きな衝撃を受けて気を失う。目を覚ますと路上に倒れていたが、何事もなくそのまま自宅へ帰りつく。すると、婚約者から「別れた女房に刺された」と電話が掛かってきた。加奈子は驚くが、その時また”カタカタ”というあの奇妙な音が。振り向いた彼女が見たものは、赤いワンピースを着て包丁を手にした、もの凄い形相の異形の女だった。
ビジュアル的な恐怖を追求していて、小林裕子さんが扮する異形の女の造形が強烈。しかし、ストーリーには疑問が残るし、なぜかアテレコが浮き上がったような奇妙な感じがして、気になって仕方なかった。

『鋼 - はがね - 』
脚本・監督:鈴木卓爾
原案・脚本:山本直輝
出演:柄本佑、菜葉菜、香川照之

自動車修理工場で働く関口幹夫は、ある夜、上半身にずだ袋をかぶった奇妙な人間に体当たりを食らう。その翌日、工場の社長に自分の妹とデートしてやってくれないかと頼まれ、見せられた写真がかわいかったこともあって、渋々引き受ける。約束の日、社長の自宅を訪ねると、荒れ果てた家の中で、あのずだ袋をかぶった人間が、足踏みミシンを踏み続けていた。それこそが、社長の妹の”はがね”だった。どうして良いかわからないまま、幹夫はドライブに送り出されてしまう。
際だって独創的! 主人公と一緒に、こちらもワケのわからないシュールな世界に引きずり込まれます。幹夫が得体の知れないはがねの色っぽい足に発情し、はがねもとても気弱だけど優しくもある幹夫に発情するあたり、男女の性のようなものを感じて、可笑しいやら哀しいやら。柄本佑さんは、気弱で存在感の薄〜い男を、リアルに演じていて印象深いです。

『うけつぐもの』
原案・脚本・監督:豊島圭介
原案・監修:清水崇
出演:目黒真希、須賀健太、松岡俊介、左時枝

夫と離婚し息子の道夫を連れて田舎の母の住む実家へ戻ってきた菱川冴子。しかし母は、何かを恐れるようにすぐに東京へ戻れと言う。道夫は自分と同じ年頃の少年の写真を見つけた。その子は母の兄で、7歳の時に行方不明になっていた。ある日、冴子は家の裏手にある土蔵で、ひとつの掛け軸を見つける。そこに描かれたものを見て以来、彼女の道夫に対する態度が少しずつおかしくなり始める。
非常に日本的で古典的なホラー。古い田舎の家屋、そこに飾られた故人の写真、土蔵など、自分も子供の頃に気味が悪いと思ったものです。しかし、そういう体験が少なくなったであろう最近の若者が観たときに、やはり怖いと思うのだろうかと、ふと疑問に思いました。 (梅)

2006年/日本/カラー/35mm/ビスタサイズ/DTSステレオ/107分
配給・宣伝:アートポート

公式 HP >> http://www.kowai-onna.jp/

★11月25日(土)より、シネマート六本木、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー


『パプリカ』

監督:今敏
脚本:水上清資/今敏
原作:筒井康隆
作画監督:安藤雅司
撮影監督:加藤道哉
美術監督:池信孝
音楽:平沢進
アニメーション制作:マッドハウス
キャスト:林原めぐみ(パプリカ/千葉敦子)、江守徹(乾精次郎)、堀勝之祐(島寅太郎)、古谷徹(時田浩作)、大塚明夫(粉川利美)、山寺宏一(小山内守雄)、田中秀幸(あいつ)ほか

千葉敦子は若きサイコ・セラピスト。最先端のテクノロジーを駆使した精神医療臨床に携わっている。普段はクールで知的な容貌だが、患者の夢の中に入り込み「夢探偵」となるときは、全く別人の少女「パプリカ」に変身する。パプリカは患者と一緒に解決の糸口を見つけるため、夢の中を縦横無尽に動き、悩める患者を魅了する。正体を知るのは島所長と、同僚の時田の二人だけ。時田が考案したサイコセラピー機器「DCミニ」は、頭に装着して眠るだけで、同じ機器を使用している者同士が見る夢を共有できる。しかし、悪用されれば他人の人格を破壊できるという危険な面も持っている。それが何者かに盗まれてしまった。夢を犯していくのは誰か?そしてなんのために?

1991年から雑誌連載、1993年に出版された筒井康隆の人気SFが原作。『東京ゴッドファーザーズ』ですっかり今敏監督ファンになった私は、前作を遡って観て、この最新作を楽しみにしていました。これは夢の中が主な舞台ということもあって、ものすごいスピードで画面から溢れるほどのキャラクターが登場します。パレードは圧巻です。これを観ると人形嫌いになるかも(笑)。説明をあれこれ聞くよりも劇場でどっぷりひたってください。筒井康隆氏(玖珂)と今敏監督(陣内)も特別出演!(白)

2006/日本/ビスタ/SR,SRD、DTS/1時間30分/アニメーション
配給:ソニーピクチャーズエンタテインメント
宣伝:アルゴピクチャーズ

公式 HP >> http://www.sonypictures.jp/movies/paprika/

★今 敏×筒井康隆×マッドハウス『パプリカ』公式サイト内に秘密のサイトradioclub.jpがオープン!
秘密のページへアクセスし夢の世界へ!

11月25日(土)テアトル新宿ほか全国ロードショー


『ボクラの島を忘れない』

監督:多田亜佐美
語り:斉藤とも子
プロデューサー:伊勢真一

文通をしていた少女から、瀬戸内の小さな島の保育所が無くなってしまうことを聞いた監督は、島の保育所の最後の一年間を記録しようと通い始めます。
6人の子供たちと、保育士さんたちと、毎年芋掘りに招待してくれる木下のばあちゃんたちとの交流には、親だけでなく沢山の大人たちが子供たちの成長を見守り、子供たちの元気が大人たちに元気を与えるという、理想的な循環ができていました。「田舎だからできること」ではありません。ここにはきっと子供たちの明るい笑顔をみる秘訣が隠されているはずです。(梅)

アップリンクXにて、11月25日(土)〜12月15日(金)まで上映
11月25日(土)〜12月1日(金) 11時、14時、17時
12月2日(土)〜12月15日(金) 11時、14時

2005年/カラー/61分
ドキュメンタリー映画 文部科学省選定
製作:ASAMIプロ/いせFILM

同時期に伊勢真一プロデュース作品『めぐる』+『きゅう漆』も上映されます。

公式 HP >> http://asami.babyblue.jp/
アップリンクX HP >> http://www.uplink.co.jp/



『沈黙の傭兵』

監督・撮影監督:ドン・E・ファンルロイ
脚本:スティーヴン・コリンズ
出演:スティーヴン・セガール(ジョン・シーガー)、ルーク・ゴス(ジョン・ドレシャム)、ロジャー・グーンヴァー・スミス(アンソニー・チャペル)、ジャクリーン・ロード(マキシーン・バーナル)ほか

CIAの要請で屈強な傭兵たちが、手配師のチャペルにより集められる。湾岸戦争の英雄シーガーと親友のラジオも加わった。アフリカの独裁国家ガルモラル島の住民を解放するという名目だったが、欲に目のくらんだCIAのドレシャムの陰謀で傭兵た ちは倒れていった。シーガーは真相を知り、ラジオを埋葬して島を後にする。チャペルはラジオの未亡人と子供を人質に、実現不可能と思える新たなミッションをシーガーへ命じる。

92年の『沈黙の戦艦』から始まった沈黙シリーズ最新作。とはいっても日本の公開題名がそうなので、話が続いているわけではありません。製作・主演をかねているスティーヴン・セガールのアクション映画として定着しています。今回も冒頭からアクションシーン満載、銃器も多数登場するのでマニアの方には嬉しいことでしょう。ドラマのほうが脇にいってしまって、私など映画でも人を無駄に死なせないで・・・と思ってしまうのですが、セガールのアクションファンはそういう見方はしないんでしょうね。(白)

2005/アメリカ/35mm/カラー/ヴィスタ/96分
配給:アートポート、宣伝:アンカープロモーション

公式 HP >> http://www.chinmoku.jp/

★11月25日(土)より銀座シネパトスにてロードショー


2006年11月18日〜

『雨音にきみを想う』(原題:摯愛 英語題:Embrace your shadow)

監督・脚本:ジョー・マ
出演:ディラン・クォ(チョッカン)、フィオナ・シッ(ウィンイン)、チャン・コッキョン(フェン)、チャン・チンユー(シウヤウ)、サミュエル・パン(フー)ほか

香港の喧騒から離れた郊外に小さな家がある。ウィンインは妻に去られた兄フェンと、その娘シウヤウの世話をしながら内職を続けている。フェンは遺伝性の病で全身麻痺のため24時間介護が必要だ。ウィンインも同じ病気で体温が下がると体が硬直してしまう。辛く貧しい生活の中で笑顔も忘れがちだったウィンインの前に、チョッカンという青年が現れる。迷子になっていたシウヤウを送り届けてくれたのだった。 フェンに招かれ、3人の暮らしぶりを見たチョッカンは、翌日電動車椅子をプレゼン トに持ってくる。彼の優しさにふれ、初めは頑なだったウィンインもしだいに笑顔を見せるようになる。チョッカンは組織の若きボス、フーに一目置かれる泥棒だったのだが。

187cmという長身に甘いマスクのディラン・クォ、愛くるしいフィオナ・シッは人気上昇中。ジョー・マ監督は『ファイティング・ラブ』、『サウンド・オブ・カラー/ 地下鉄の恋』などラブ・ストーリーがお得意。なんだか久し振りのチャン・コッキョンに、子役のチャン・チンユーの演技も後押し、泣かせどころ満載のストーリーです。大分前のチョウ・ユンファやアンディ・ラウの青春映画を思い出します。これに海賊の話などからめたところがジョー・マ監督味かな。
敵役のサミュエル・パンがおもいきり悪役です。アニタ・ムイやアンディ・ホイのコンサートでのダンサー姿(写真で見ただけです)が眼に焼きついております。(白)

2005/香港/カラー/102分/ビスタサイズ
提供・配給:ムービーアイ
宣伝協力:アルシネテラン

公式 HP >> http://www.amakimi.com/

★11月18日(土)より、新宿武蔵野館他全国ロードショー


『キング 罪の王』原題:The King

監督:ジェームズ・マーシュ
脚本:ジェームズ・マーシュ、ミロ・アディカ
劇中曲:ドリー・バートン「谷間の静けさ」、「キャレキシコ「Crystal Frontier」、フレディ・フェンダー「涙のしずく」、ボブ・ディラン「COLD IRONS BOUND」
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル(エルビス)、ウィリアム・ハート(デビッド)、ベル・ジェームズ(マレーナ)、ローラ・ハーリングほか

エルビスは21歳、母親が亡くなって一人きりになってしまった。 海軍を退役したその足でポンコツ車を買い、テキサスの小さな町に向かう。 そこに住むデビッドが彼の父だと母親から聞いていたのだ。 期待をいだいて近づいたエルビスだったが、 エルビスの存在など知らないデビッドは訝しげな視線を向ける。 彼は人々の尊敬を受ける神父で、美しい妻と自慢の息子と娘がいた。 過去を封じ込めたいデビッドは子供たちに何も知らせず、 「家族に近づくな」とエルビスをつきはなす。 「家族」になることを拒否されたエルビスは、デビッドの娘=自分の腹違いの妹16歳のマレリーに接近する。

『モーターサイクル・ダイアリーズ』で若きチェ・ゲバラを演じ、 『バッド・エデュケーション』では妖艶な美女になり、 と作品ごとに全く違った顔を見せるガエル・ガルシア・ベルナルの主演作。 子犬系の童顔の彼が、この作品では危険な香りを漂わせ、 自分のほしいものをどんなことをしても手に入れようとします。 なんでそこまで?と思うのは、私がほんとの孤独を知らないからでしょうか。 家族や教会、社会への痛烈な皮肉の見える1本。(白)

第59回 カンヌ映画祭「ある視点」部門正式出品

2005/アメリカ/105分/カラー/35mm/シネマスコープ/ドルビーSRD
提供:プレシディオ、メディア・スーツ 協力:メディア・ファクトリー
配給:メディア・スーツ
http://www.king-movie.jp/

11月18日(土)より、渋谷アミューズCQNにて罪深くロードショー


『家門の危機』Marrying The Mafia II

監督:チョン・ヨンギ
脚本:キム・ヨンチャン,チョン・テウォン
撮影監督ムン・ヨンシク
出演:シン・ヒョンジュン(チャン・インジェ/長男)、キム・ウォニ(キム・ジンギョン/ジンスク)キム・スミ(ホン・ドクチャ/母親)、タク・チェフン(次男)、イム・ヒョンジュン(三男)、コン・ヒョンジン(ボン検事)、チョン・ジュナ(チョンミョン)、シニ(スンナム/次男嫁)、キム・ヘゴン(ユン・ドシク 斧派ボス)ほか

地方に拠点を持つ白虎組の女ボス、チャン・ドクチャの心配ごとは、ソウルに進出した跡取りの長男インジェがまだ独身ということ。彼はかつての恋人ジンスクが忘れられずにいたのだった。家門を守るため、エリートの嫁をと夢見る母親は、次男と三男に来月の還暦の祝いの日までに、インジェに嫁を見つけること、と命令する。そのころインジェはスーツをさっそうと着こなし、長い髪をなびかせた美女ジンギョンに一目ぼれしていた。ジンギョンがヤクザの天敵のマル暴担当検事とも知らずに・・・。

2002年に公開され、ヒットした『家門の栄光(邦題:大変な結婚)』の第2弾。ヤクザの組に生まれた者の伴侶探しという軸は同じで、スタッフ、キャストが変わったこの作品は前作を上回る大ヒット。2005年の興行成績は『トンマッコルへようこそ』、 『マラソン』についで第3位となっています。チョン・ヨンギ監督の第1作は『人形霊』、怖そうで未見ですが、このラブコメディをたいへんテンポ良く、楽しい作品に仕上げています。
クールな役の多いシン・ヒョンジュンがいつもと違ったコメディ演技。キレのいいアクションも見せますし、カッコいいのは変わりませんがコメディセンスも十分。2役のキム・ウォニと、シニのスケ番対決も見もの。コン・ヒョンジンは先輩検事役で、 愛の歌まで披露しています。早くも出来上がった第3弾ではもっと活躍しそうですよ (9月韓国で公開予定)。前作で入り婿となったチョン・ジュノもちょっと顔を出します。(白)

2005/韓国/カラー/115分/ビスタ/ドルビー
配給:リベロ、宣伝:アンカープロモーション

公式 HP >> http://www.kamon-kiki.jp/

★11月18日よりシネマート六本木他にてロードショー


『ソウ3』

監督:ダーレン・リン・バウズマン
原案・脚本:ジェームズ・ワン、リー・ワネル
撮影:ディヴィッド・A・アームストロング
音楽:チャーリー・クロウザー
特殊効果コーディネイター:ティム・グッド
出演:トビン・ベル(ジグソウ)、ショウニー・スミス(アマンダ)、アンガス・マクファデン(ジェフ)、バハール・スーメキ(Dr.リン)、ダイナ・メイヤー(ケリー)ほか

小学校の殺人事件現場に来たケリー刑事は、遺体が探していたエリック刑事ではなかったことにほっとする。 鎖で繋がれ、爆死したのは誰なのか? そして誰の仕業なのか? ケリーは「ジグソウじゃない」と言い切る。 ジグソウのパターンとは違う、それにジグソウは重篤のはず・・・。
最愛の息子を交通事故で失ったジェフは、息子の思い出に執着し、犯人を憎むことでようやく生きていた。 彼も突然何者かに拉致され、気がつくと食肉工場の地下にいた。 目の前のテープレコーダーを再生すると「さあ、ゲームをしよう」という声が聞こえる。

全世界を震撼させたソリッド・シチュエーション・ホラーの第3部。 先の1,2作の謎解きと新しいトリックが詰め込まれています。 よくこんなストーリーを考えつくものだ!という驚きが恐怖よりまさって、 ホラー苦手なのに目をつぶりながら(!)毎回観ています。 音も椅子を響かせて身体に伝わってくるので、どきどき倍増。 今回はジグソウに選ばれたゲームの相手ばかりでなく、ジグソウとアマンダの背景も明らかになります。 前作を観ていない人はおさらいしてから、劇場へ。 一挙3本上映という計画もあるそうですが、体力勝負ですね。 元気満タンのときにご覧ください。(白)

2006/アメリカ/カラー/ヴィスタサイズ/1時間47分/ドルビー・デジタル/15−R
配給:アスミック・エース
宣伝:ファントム・フィルム

http://saw-3.jp/

11月18日(土)TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー


『麦の穂をゆらす風』 原題:The Wind That Shakes The Barley(大麦を揺らす風)

監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァティ
主演:キリアン・マーフィー(『バットマン・ビギンズ』『プルートで朝食を』)

1920年、英国統治下のアイルランド南部の町コーク。 医学生デミアンは研修医としてロンドンに旅立つ前に、友人たちとの送別を兼ねてハーリングを楽しむ。 アイルランド特有の競技であるハーリングをしたことが、 悪名高き治安警察補助部隊“ブラック・アンド・タンズ”の知るところとなり、 仲間と共に屈辱的な尋問を受け、友人のミホールは、 “マイケル”という英語名を名乗らなかった為に殺されてしまう。 理不尽な殺人行為に、ロンドン行きをとりやめ、独立運動に身をやつすデミアン・・・。

本作の原題は、有名なアイルランドの伝統歌(アイリッシュ・トラッド)のタイトルからとっている。 その詩は、恋を捨て抵抗運動に身を投じる青年を唄ったもので、 弾圧により命を落とした者を悼んで、よく歌われたという。 美しい旋律が悲しく胸に響く。
アイルランドの人々の激しいゲリラ戦に、英国はやがて停戦を申し入れ、 講和条約により1921年「アイルランド自由国」が誕生する。 しかし、それがあくまで英連邦の自治領としての独立で、 しかも北部6郡は英国領として残るという分離独立であったために、その後、 主義主張の違いにより内部抗争に陥ってしまう。
人間の歴史の中で繰り返されてきた強国の支配と抵抗運動、そして権力者の去っ たあとの内戦。ケン・ローチは、国内で起こるであろう批判覚悟で英国の恥部を 描くことにより、今なお世界の各地で絶えることのない戦争の無念さを説き、共 生の可能性を願って本作を製作したのだという。それにしても、人間は敵対心を 持った時、どうしてあそこまで残酷になれるのだろう。悲しい。(咲)

*2006年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞

配給:シネカノン
後援:アイルランド大使館、ブリティッシュ・カウンシル
宣伝:ムヴィオラ

2006年/アイルランド=イギリス=ドイツ=イタリア=スペイン/126分/カラー/1:1.85/ドルビーSRD

★2006年11月18日(土) シネカノン有楽町、渋谷シネ・アミューズにてロードショー、以下全国順次公開
公式HP>>  http://www.muginoho.jp/


2006年11月17日〜

「中国文化フェスティバル2006」

「中国文化フェスティバル2006」が11月17日から1ヶ月に渡って開催されています。 お知らせが遅くなってしまいましたが、まだ参加できるイベントがありますのでご紹介します。
詳細はこちら
http://www.fmprc.gov.cn/ce/cejp/jpn/zt/qqq950/default.htm

任賢齊(リッチー・レン)コンサート
=就在「老地方」 いつもの場所で・・・=
台湾の人気歌手・俳優のリッチー・レン初の日本コンサートが開催されます。

◆12月8日(金)18:30開場 19:00開演
◆練馬文化センター 大ホール
◆S席 10,000円 A席 8,000円 B席 6,000円
 チケットぴあ
 電話予約 : 0570-02-9999 インターネット : http://pia.jp/t
◆問い合わせ 日中通信社 03-5984-3152
http://www.long-net.com/

●2004年の日中カラオケコンクールにゲストで来日したときのレポートはこちら。
 http://www.cinemajournal.net/special/2004/karaok/index.html
●日本公開作品:『星願 あなたにもういちど』、『ゴージャス』、『シルバーホー ク』、『ブレイキング・ニュース』

中国上海映画祭2006

◆12月16日(土)〜22日(金)
◆テアトルタイムズスクエア 新宿高島屋12F
◆チケット チケットぴあ 0570(02)9999
【当日券】 1,200円均一
【前売券】 共通1回券1,000円/5回券4,500円(劇場窓口のみ販売)

「芙蓉鎮/ふようちん」(1987年/165分)監督:謝晋(シエ・チン)
「喜瑪拉雅王子 / ヒマラヤ王子」(2006年/107分)監督:胡雪樺(フー・シュエフォア)
「長恨歌 / ちょうこんか」(2005年/110分)監督:關錦鵬(スタンリー・クワン)
「自娯自楽 / じごじらく」(2004年/120分)監督:李欣(リー・シン)
「上海倫巴 / 上海ルンバ」(2006年/110分)監督:彭小蓮(ポン・シャオリエン)
ほかに上海アニメーション、水墨画アニメーション

スケジュールなど詳細はこちら
http://www.cs-ff.net/index.html

●「自娯自楽 / じごじらく」に関しては、製作に関わった斉藤マユミさんの記事 「『自娯自楽』長ーい編集後記」がシネマジャーナル62号に掲載されています。 また李欣監督の以前の作品『天使の眼(花眼)』に関連して監督インタビューが シネマジャーナル56号 に掲載されています。



2006年11月11日〜

『ナオミ・ワッツ プレイズ エリー・パーカー』 ELLlE PARKER

監督・脚本:スコット・コフィ
製作:スコット・コフィ、 ナオミ・ワッツ
撮影:スコット・コフィ、 ブレア・マストパーム
音楽:ニール・ジャクソン
歌・演奏:ビルト・ライク・アラスカ
キャスト:ナオミ・ワッツ(エリー・パーカー)、レベッカ・リグ(サム)、スコット・コフィ(クリス)、マーク・ペルグリノ(ジャスティン)、チェビー・チェイス(デニス)、キアヌ・リーブス(本人)

ナオミ・ワッツ扮する無名の女優エリー・パーカーは、 明日のスターを夢みる女優の卵。 今日もオーディションを掛け持ちで受けまくり、一息入れる暇もない。 浮気者で売れないミュージシャンの彼との仲もうまくいかないエリーは、 追突事故でクリス(スコット・コフィ)と知り合う。 彼は売り出し中の写真家だった・・・。

なんて素晴らしい体当たり演技でしょうか! 観ていて(私もがんばらなきゃ!)と心底思えてくる映画です。
ナオミ・ワッツさんと言えば『ザ・リング』『キング・コング』 を立て続けに大ヒットさせたハリウッドの人気女優さん。 つい5年前の2001年にデヴィッド・リンチ監督『マルホランド・ドライブ』 で多くの主演女優賞をもらうまでは、こんな苦労をしていたのか・・・と頭が下がります。
監督のスコット・コフィは2001年のサンダンス映画祭で短編映画 『エリー・パーカー』を上映して好評を博し、その後4年かけて長編にしました。 その間にナオミ・ワッツがどんどん有名になり、 まるでセミ・ドキュメンタリーの様に変貌を遂げてしまった作品です。 元気をもらいたい方に、是非とも観ていただきたいです。(美)

2005年 サンダンス映画祭正式出品作
2005年 シアトル映画祭審査員特別賞受賞

2005年/アメリカ/カラー/35mm/1時間35分/ヴィスタ/
提供:レイドバック・コーポレーション
配給:グラッシィ

11月11日(土)より 渋谷シアター・イメージフォーラムにて上映

http://www.glassymovie.jp/naomi/


『HAZARD』

監督・原作・脚本:園子温
脚本協力:熊切和嘉
撮影:柳田裕男
スチール:黒田光一
挿入曲:オダギリジョー
出演:オダギリジョー(シン)、ジェイ・ウェスト(リー)、深水元基(タケダ)、池内博之(ウォン)ほか

1991年、バブル崩壊後の日本。退屈な学生生活を送っていたシンは、図書館でニューヨークを紹介した本を見つけた。 HAZARD(危険)を探すべく、ぬるい日常を捨てて飛び立つことにした。 行くあてもないまま到着したニューヨークでタクシーから降ろされ、 地下鉄で出会った2人組にバッグを取られ街をさまようはめになってしまう。 無一文で空腹のシンに声をかけたリーとタケダは、 彼を望みどおり刺激的な日々に放り込んでくれる。

ニューヨークのブルックリンを中心に、ゲリラロケも敢行したとか。4年前に完成後、 映画祭での上映だけだったのが、このほど劇場公開されることになりました。 オダギリジョーの映画初出演は『アカルイミライ』と思っていたら、 こっちの方が古かったのでした。 彼が主演なのですが、共演のジェイ・ウェストがめちゃめちゃテンション高くて、 ふり回されている感じです。 撮った監督本人が「かなり青臭いことをやった」と言っていますが、 若さの勢いや痛さがある作品。 園子温監督(1961年生・本名)は17歳で詩人としてデビュー、 “Gパンをはいた朔太郎”と称されていたそうです。 数々の作品はぴあフィルムフェスティバルを皮切りに、世界の映画祭で紹介されています。(白)

2002/日本/103分/DTS/アメリカンビスタ/
配給・宣伝:アンプラグド

★「HAZARD」写真展 カメラマン:黒田光一
10/27-11/5 LAPNET SHIP (渋谷区神宮前1-9-11-1F)
★オダギリジョー写真集「four years ago」、アルバム「JOE ODAGIRI」発売

http://www.hazardmovie.com/

11月11日(土)、シアターN渋谷にてロードショー


『ラブいぬ ベンジー はじめての冒険』BENJI: OFF THE LEASH!

監督・脚本・製作:ジョー・キャンプ
製作:マーガレット・ローシュ
撮影:ドン・レディ
音楽:アンソニー・ディロレンゾ
トレーナー(ベンジー):ジェニー・カーンズ
トレーナー(シャギー):ロジャー・シューマッハー
キャスト:ベンジー(ベンジー)、シャギー(ベロンチョ)、ジンジャー(デイジー)、ジプシー(マーリン)、ニック・ウィデカー(コルビー少年)、クリス・ケンドリック(父:ハチェット)、クリスティ・サマ−ヘイズ(母:クレア)、ランドール・ニューサム(リビングストン)、ドゥエイン・スティーヴンス(シェルドン)、ニール・バース(フィンチ)

コルビーは父に隠れて、親子の犬の世話をしていた。 母犬デイジーは高価な純血種だったが、雑種と交配されてしまったらしい子犬たちは、 悪徳ブリーダーの父に捨てられると思ったからだ。 案の定見つかって、デイジーと毛の色の違うチビちゃんは投げ捨てられてしまう。 コルビーは子犬を探し出し、自分の秘密基地でこっそり面倒を見ることにした。 子犬は元気で賢く育ち、具合の良くない母犬のデイジーを心配するようになる。

1974年に第1作が誕生した『ベンジー』ですが、今までにTVも含めて10本が製作されています。 すべてを手がけたジョー・キャンプが、監督・脚本・製作までつとめたのが今回の作品です。 主人公のベンジーは実際に動物保護施設で見つけたのだそうです (べンジーもシャギーも監督に引き取られています)。 こんなに利発で可愛いのになぜ捨てられたのだろう、という監督の疑問を元にオリジナル・ストーリーができたのだとか。
CGを使わず、セリフも言わせることなく、犬たちの本来の可愛さで出来上がっている作品です。 初め動物保護観察局のでこぼこコンビがかたき役かと思いましたが、悪役はコルビーの父のハチェットでした。 息子や妻に暴力をふるい、ブリーダーなのに犬たちの世話もろくにしないひどい男です。 このへんが現代的かな。(白)

2004/アメリカ/1時間37分/ビスタサイズ/
配給:東芝エンタテインメント

***あなたのラブいぬ自慢キャンペーン!***
『ラブいぬ ベンジー はじめての冒険』パンフレットにあなたの愛犬の写真が載ります。 詳しくはHPをご覧ください。10月15日まで受付。

http://www.benji.jp/

11(ワン・ワン)月11(ワン・ワン)日(土)、シネリーブル池袋ほか全国ロードショー


『ウィンター・ソング』(原題:如果・愛)

監督:陳可辛(ピーター・チャン)
脚本:林愛華(オーブリー・ラム)、杜國威(レイモンド・トー)
撮影:鮑徳熹(ピーター・パウ)
音楽:金培達(ピーター・カム)、高世章(レオン・コー)
振付:ファラー・カーン(FARAH KHAN)
出演:金城武、周迅(ジョウ・シュン)、張學友(ジャッキー・チュン) 、池珍煕(チ・ジニ)

上海の撮影所に天使 (池珍煕)が降り立つ。彼の役目は人間に、誤って切り捨てた人生のフィルムを返してあげること。そこには、映画への情熱と自信を失いかけている有名監督のニエ・ウェン(張學友)、主演女優で恋人のスン・ナー(周迅)、そして主演男優のリン・ジェントン(金城武)の3人がいた。
スンとリンは、かつて恋人同士だった。10年前、リンは北京で映画監督を目指す学生で、ある日スターを夢見て、踊り子をするスンと出会い、恋に落ちる。しかしスンは、自分の夢のために彼を捨て、リンはこの10年、片時も彼女を忘れられずにいた。ところが、再会したスンはまるで記憶を失ったかのように、彼を無視し、リンはあの愛の記憶は幻だったのかと苦悩する。同時に、2人の関係は撮影するミュージカル映画のストーリーとぴたりと重なっていた。役柄を通して本心を伝えてくるリンにスンの心は揺れ、ニエもまた彼女の心変わりを感じて揺れ始めるのだった。

特別記事『ウィンター・ソング』金城武、情けなくも美しいあなたに萌えた もご覧下さい。

2005年/香港/カラー/ドルビーSRD/ビスタサイズ/109分/日本語字幕:水野衛子
提供:角川ヘラルド映画、東宝
配給:角川ヘラルド映画

公式 HP >> http://www.winter-song.jp/

★11月11日(土)より、有楽町スバル座、TOHOシネマズほか 全国ロードショー


『氷の微笑2』(原題:Basic Instinct 2)

監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
脚本:レオラ・バリッシュ、ヘンリー・ビーン
出演:シャロン・ストーン、デヴィッド・モリッシー、シャーロット・ランプリング、デヴィッド・シューリス

自らの軌跡を作品の糧とし、官能的なミステリー小説を書き続けるキャサリン・トラメル。彼女はロンドンに居を移し活動していたが、自動車事故を起こし同乗者の男性を死なせたことから、警察の聴取を受け、精神鑑定を受けることになる。担当となった精神分析医マイケル・グラス博士は、将来を嘱望される優秀な学者だが、私生活では離婚したばかりで、不安を抱えていた。キャサリンに危険を耽溺する傾向があると見抜き、彼女には不利な診断を下したが、結局彼女は無罪放免になってしまう。キャサリンはマイケルの元に来て自分の危険中毒症を治療してほしいと願い出る。マイケルは若干の危険を感じつつ、彼女への興味から治療を引き受けるが、それから彼の周囲で不振な死が相次ぎ、彼自身の生活も歯車が狂い初め、次第に追い詰められていく。

©2006 IMF Internationale Medien und Film GmbH & Co.3.Produktions KG

第一作からすでに14年が経過し、シャロン・ストーンもさすがに当時の輝くばかりの美貌からは衰えましたが、それでも実年齢(48歳)を聞くとぶっ飛びの若さと美しさです。何より仕草が優美。アメリカでは制作途中でトラブルが続き、ゴシップだらけになって興行成績も悪かったのですが、わたしは映画自体はとても面白いと思いました。前作では「彼女は真犯人なのか?」が注目点でしたが、今回のキャサリンは徹底して悪女。他人に支配されることを極度に嫌い、欲望に忠実で常に刺激を求める究極のS女です。精神治療という名目で自分をコントロールしようとする精神科医の支配欲の強さを逆手にとって、巧みに破滅へと導く様は、痛快ですらあります。(梅)

2006年/アメリカ/シネスコ/DTS/114分/R-18/字幕:小寺陽子
配給:シナジー
提供:ジェネオン エンタテインメント
宣伝:フリーマン

公式 HP >> http://www.ko-ri2.jp/

★11月11日(土)より、全国シネコンロードショー


『TANNKA 短歌』

監督:阿木燿子
脚本:阿木燿子、岩下悠子
原作:俵万智「トリアングル」(中公文庫)
音楽:宇崎竜童
出演:黒谷友香、黄川田将也、村上弘明ほか

フリーライターの薫里にはカメラマンで年上の恋人がいる。彼には妻も子供もいたが、別に結婚したいと願う訳でもなく、心も身体も満たしてくれる彼との関係に、不満はなかった。しかし一方で、行きつけのバーで知り合った年下のバイオリニストの青年とも関係を持つ。まっすぐに自分を求めてくる彼が新鮮に思えたのだった。

折々に薫里の気持ちを詠んだ短歌はとても官能的だ。それなのに、どうしてこうも映像からエロスを感じないのだろう。主演の黒谷さんは手足の長いスレンダーな肢体をあらわにしてがんばり、セックスシーンもこんなに多いのに。それに年上の彼との関係について、彼女の心がどう動いているのかよくわからないし、男の言葉も嘘くさく感じてしかたない。ベリーダンスというアイテムももう一つ効果的に使われていなくて残念だ。(梅)

2006年/日本/R-15
製作プロダクション:東映東京撮影所

公式 HP >> http://www.tannka.jp/

★11月11日(土)、全国ロードショー


『Sad Movie<サッド・ムービー>』

監督:クォン・ジョングァン(『Sダイアリー』)
出演:チョン・ウソン(『私の頭の中の消しゴム』)、イム・スジョン(『アメノナカノ青空』、「ごめん、愛してる」)、チャ・テヒョン(『猟奇的な彼女』『僕の、世界の中心は、君だ』)、ソン・テヨン、シン・ミナ(『甘い人生』)、イ・ギウ(『ラブストーリー』『まわし蹴り』)、ヨム・ジョンア『ビッグ・スウィンドル!』、ヨ・ジング

危険と隣り合わせの消防士のジヌと、彼のプロポーズを待ちわびる手話アナウンサーのスジョン。
スジョンの妹で、火事で火傷をおった耳の聴こえない少女スウンと、彼女が着ぐるみのアルバイトをしている遊園地でよく絵を描いているハンサムな青年サンギュ。
いつまでも定職に就かず、「別れさせ屋」を思いつくハソク。そんな彼と付き合って3年、彼と別れることを決意するスーパーのレジ係スッキョン。
インテリアデザイナーとして活躍しながら、子育てをしているジョヨンと、その息子で小学校2年生フィチャン。
4組の別れの物語が、切なく描かれたサッド・ムービー。恋人、親子、友人…、人生には素敵な出会いがたくさんあるけれど、そんな大事な人たちとも、いつしか別れなければいけない時が訪れるもの。周りの人たちを大切にしたい… そんな思いにさせられます。

来日してくれたウソンさまや、テヒョンくんの魅力も勿論ですが、『まわし蹴り』で軽やかな蹴りを見せ、『ラブストーリー』では貧血を起こして転んでばかりいたのっぽのイ・ギウが、気の優しい絵描きの男の子を演じていて、ちょっと注目。 (咲)

提供:ギャガ・コミュニケーションズ ビックショット 関西テレビ放送 配給:ギャガ・コミュニケーションズ 2005年/韓国/109分/カラー/シネマスコープ/ドルビーSR・デジタル

公式 HP >> http://www.sadmovie.jp/

★11月11日(土)有楽座他東宝洋画系にてロードショー
特別記事『Sad Movie<サッド・ムービー>』来日記者会見&舞台挨拶レポートもご覧下さい。


2006年11月4日〜

『待合室』

監督・脚本:板倉真琴
撮影:丸池納(J.S.C)
音楽:荻野清子
主題歌:綾戸智絵
美術:鈴木昭男
出演:富司純子(和代)、寺島しのぶ(若き日の和代)、ダンカン(志郎)、あき竹城(澄代)、斉藤洋介(康夫)、楯真由子(晶子)、利重剛(浩一)、風見章子(母)、市川実和子(由香)ほか

いわて銀河鉄道の小繋(こつなぎ)駅の待合室には、いつからか「命のノート」がある。 「いつまでもつかわかりませんが、とりあえず置いてみます。旅のものより」と、 誰かが書き残して置いていったのが始まりだった。 ノートには旅人たちの様々な思いがびっしりと書き込まれている。 そのひとつひとつに返事を書いている女性がいた。 駅のすぐ近くでひとり酒屋を切り盛りする和代は、 旅人たちにお茶やおにぎりを差し入れしながら、ノートに励ましの言葉を書き続けてきた。 和代の元には、ノートを通じて知り合った若者が時々やってくる。 今日もトラックの運転手が友達を連れて訪ねてきた。

2003年に新聞に紹介された記事を読んだ板倉監督が、ぜひとも映画化を、 と奔走して完成した作品です。 全編実際に舞台となった岩手でのロケで、 和代のモデルとなった“おばちゃん”の店もそのまま使われています。 雪の舞う小繋駅、キュッキュッという雪を踏む音が厳しい寒さを感じさせます。
観光地でもない小さな駅に置かれたノートがなぜそんなに続き、大切にされてきたのか? 映画は和代の若きころまで遡ります。 東京オリンピックの放送が懐かしかったです(と、年がばれる・・)。 富司純子と寺島しのぶの親子共演が話題でしたが、 和代一人の時代を分けて二人が演じるので一つの画面に並ぶことはなくちょっと残念。 岩手の四季の風景が美しいです。劇中の小学校はすでに廃校となり、取り壊されることが決まっているのだとか。 映画の中に留めておけて地域の方はさぞ嬉しかったでしょうね。(白)

2006/日本/カラー/107分/デジタルシネマ作品
配給:東京テアトル/デジタルサイト
宣伝:マジックアワー

11月4日(土)より、ユーロスペース、銀座テアトルシネマほかにてロードショー
東京国際映画祭 日本映画ある視点部門 10月23日上映
http://www.machiaishitsu.com/


『エコール』(原題:INNOCENCE)

監督・脚本:ルシール・アザリロヴィック
撮影:ブノワ・デビエ 音楽:リチャード・クック 原作本:「ミネハハ」(フランク・ヴェデキント著/秋、リトルモアより発売)
出演:ゾエ・オークレール(イリス)、ベランジェール・オーブルージュ(ビアンカ)、リア・ブライダロリ(アリス)、マリオン・コティヤール(エヴァ先生)、エレーヌ・ドゥ・フジュロール(エディス先生)ほか

少女たちはどこから来て、どこへ行くのか?
小さな棺をかついだ男たちが地下道をやってくる。一室に棺が置かれると、どこからか白い服の少女たちが集まってきた。棺の中には下着ひとつを身につけた6歳の少女イリスが眠っていた。ここは深い森の中、高い塀で外界と遮断された学校(エコール)。今日からエリスの家となるのだ、と年かさの少女ビアンカが言う。少女たちは髪に学年別のリボンを結んでいて、エリスが入ったので順繰りに色を変える。6〜12 歳までの少女たちは1グループになり、毎日自然の生態やダンスを学んでいる。少女たちのほかには、2人の女性教師とまかないをする老女たち、と女性ばかりが住んでいる。森の外には出られないこと、様々な決まりに従うことをイリスは年上の少女たちから学んでゆく。

大人になる手前の可愛い少女たちが、森や池で戯れている場面はまるで妖精のようです。ただ、なぜ彼女たちがここに集められているのか、説明はありません。先生たちのセリフなど思わせぶりな場面が多いので、観客それぞれに想像+創造してくださいということかと思います。ダンスのできる子たち(うまくなくても)をキャスティングしたという監督の言葉でしたが、ポスターの写真の女の子の足が綺麗です。(白)

*ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 審査員特別賞を受賞

◆エコール人形展&人形写真集発売決定
「Petite Ecole exhibition 〜エコール人形展〜」
期間:9月15(金)〜24日(日)
   11:00〜20:00
場所:アニエスベー青山店(入場無料)
主催:アニエスベー
協力:キネティック、ピグマリオン

2005/ベルギー・フランス合作/カラー/1時間55分/ Dolby SRD / シネマスコープ
配給:キネティック

公式 HP >> http://www.mokeyama.com/ecole/

★11月4日(土)より、シネマライズほか全国順次ロードショー


『CHAOS カオス』

監督・脚本:トニー・ジグリオ
撮影監督:リチャード・グレートレックス
音楽:トレバー・ジョーンズ
ジェイスン・ステイサム(『トランスポーター』)、ウェズリー・スナイプス(『ブレイド』)、ライアン・フィリップ(『クラッシュ』)

武装集団によって銀行が襲撃される。しかし犯人は慌てて逃げる様子もなく、リーダー(ウェズリー・スナイプ)は包囲した警察に交渉人として、ある事件で謹慎処分となっていたコナーズ刑事(ジェイスン・ステイサム)を指名してきた。新米刑事のデッカー(ライアン・フィリップ)とコンビを組まされコナーズは現場に復帰し、交渉に当たるが、犯人は銀行を爆破し、まんまと逃げおおせてしまった。不思議なことに銀行からは現金を盗んだ形跡はなく、犯人が誰で何故コナーズを指名したのかも謎だった。テレビクルーが撮った映像がヒントとなって一味の一人が分かり、コナーズたちは追跡を開始する。だがデッカーは犯人の残した「カオスの中にも秩序はある」という言葉に引っかかるもの感じていた。

はじめに沢山の謎がばらまかれ混沌としてたものが、一つずつ解明されながらもまたそれが新たな謎を生むと言った具合で、観る者を最後まで厭きさせません。また、3人の役者のキャラクターも魅力的。冷静沈着で現場の仲間から厚い信頼を置かれる刑事役が、『トランスポーター』のフランク同様クールではまるジェイスン・ステイサム。アクションシーンは少なめですが、大胆不敵で冷酷な謎の銀行強盗犯役にウェズリー・スナイプ。そしてクレバーで熱い闘志をみなぎらし、コナーズの信頼を勝ち取るルーキー刑事役のライアン・フィリップ。童顔でとても若く見えますが、もう31歳、奥様はリース・ウィザースプーンでした(^^;)。実は彼が一番身体をはって活躍してくれます。アクション好きにも、サスペンス好きにも満足のいく一本です。(梅)

2005年/アメリカ/107分/35mm/カラー/シネマスコープ/SDDS、ドルビーデジタル
提供:アートポートxハピネット
配給:アートポート
宣伝:フレスコ

公式 HP >> http://www.chaos-movie.jp/

★11月4日より、シネマGAGA!、銀座シネパトス他にてロードショー


『炭鉱(ヤマ)に生きる』

監督 萩原 吉弘

今年は、炭鉱に関わる映画が続けて公開されていますが、この作品は、 筑豊炭鉱で鉱夫として長年働いていた山本作兵衛翁が炭鉱での生活を描いた絵画をもとに作られています。
作兵衛翁が描いた数百枚に及ぶ炭鉱絵画には、炭鉱の仕事や、炭住での生活、娯楽など、 筑豊炭鉱で暮らした人々の姿が生き生きと描かれ、炭鉱に生きた仲間たちの心意気、 人情、文化など、共に生きた人たちの姿を、私たちに伝えてくれる。
さらには、炭鉱で働いていた人々、劇場の支配人、炭住に来ていた大道芸人など、 炭鉱に関わっていた人たちへのインタビューからなる構成で、 筑豊には何百もの炭鉱があったと知り、日本にあった石炭産業の規模の大きさにびっくりした。 『三池 終わらない炭鉱の物語』『フラガール』、そして、この作品を観て、 日本の近代化を担ってきたのは、彼炭鉱夫たちだったんだと思った。 そして、炭鉱ではたくさんの女たちが石炭を切り出す最先端で働いていたことも知った。

http://www.montage.co.jp/yama/

11月4日より ポレポレ東中野にてモーニングロードショー公開中

11月18日(土)19時よりトークショー
「語りたい!! 筑豊炭鉱の本当の本当の姿を」
出演 田中直樹(日本大学生産工学部教授) 炭鉱労働史の第一人者
司会 萩原 吉弘 監督


2006年11月3日〜

『ユア・マイ・サンシャイン』you're my sunshine

監督・脚本:パク・チンピョ
撮影:ソン・スンテク
音楽:パン・ジュンソク
キャスト:チョン・ドヨン(ウナ/オップン)、ファン・ジョンミン(ソクチュン)、ナ・ニム(ソクチュンの母)、ソ・ジュヒ(ウナの友人)、ユン・ジェムン(ソクチュンの友人)、リュ・スンス(ソクチュンの友人)、ペク・ヨンハク(レポーター)、チョン・ユソク(ウナの前夫)ほか

36才独身のソクチュンは生まれ育った村で母親と暮らしている。 夢は自分の牧場を持つこと、お嫁さんを見つけて、幸せな家庭を作ること。 こつこつ働いて貯めた貯金があるが2つめの夢はなかなか実現しそうにない。 フィリピンへ花嫁探しに行って失敗したばかりだ。
喫茶室に勤めるウナは、業者のところで喧嘩しているソクチュンを見かけるが「オジサン」でしかない。 たまたまバイクに乗るウナとすれ違ったソクチュンは彼女に一目ぼれ、店へ通い牛乳を届けるわ、送迎をかって出るわとひたすら尽くしまくる。 かつて男性で苦労した過去のあるウナは「私は縁起の悪い女」と取り合おうとしないが、 裏表のないソクチュンの愛情にしだいにほだされてくる。

2002年韓国で論議をよんだHIVキャリアの女性とその夫のニュースを元に、パク・チンピョ監督が実際に彼らに取材し映画化した作品。 映画のうち5割ほどのエピソードが実話だそうです。 TVのドキュメンタリーのディレクターだったパク監督の脚本&演出に、演技派の俳優がこたえ、恋愛映画歴代NO.1ヒットの作品となりました。
構想段階からウナ役にチョン・ドヨンを考えていたという監督ですが、彼女は固辞し続け、最後にモデルとなった男性の2枚の写真を見せられてやっと受ける決心がついたそうです。 ファン・ジョンミンはその写真のように、初め純朴な田舎の青年らしく15kg体重を増やし、ウナに去られてからの撮影のために今度は12kg体重を減らしたといいます。 周りの偏見や妨害のため苦労し続ける2人ですが、実はとっても幸せなカップルだったのね!と祝福したくなる映画でした。(白)

DVに苦しみ、売春行為でHIVキャリアになり、投獄されと、ウナの人生は辛いことだらけですが、ソクチュンのとことん一途な愛によって全て帳消しになるほどの幸せを掴みます。フィクションの脚本だったら、ベタベタのおとぎ話のようですが、これが実話に基づいているというから、その愛の強さに感動してしまいます。(梅)

2005/韓国/カラー/122分/SRD/
配給:東芝エンタテインメント

11月3日(祝・金)、シャンテシネ、Q・A・Xほかにてロードショー

http://www.sunshine-movie.jp/

☆関連特別記事「『ユア・マイ・サンシャイン』チョン・ドヨン来日記者会見」もご覧下さい。


『ナチョ・リブレ』

監督・脚本:ジャレッド・ヘス
製作・脚本:マイク・ホワイト
撮影:ハビエル・ペレス・クロベット
音楽:ダニー・エルフマン
スタント・コーディネイター:ニック・ハウエル
出演:ジャック・ブラック(イグナシオ/ナチョ)、ヘクター・ヒメネス(スティーブン/ヤセ)、アナ・デ・ラ・レグエラ(シスター・エンカルナシオン)、セサール・ゴンザレス(ラムセス)ほか

両親に早く死なれて修道院で育てられたナチョは、 子供のころからルチャ・リブレ(メキシコ式レスリング)が好きだったが、 教会の教えに反すると禁止されていた。 ナチョの仕事は教会の料理番。 食材も十分なく「サラダが食べたい」という孤児たちに、ごった煮とチップスを配る毎日。 しかし新しくやってきたシスター・エンカルナシオンに一目ぼれ!がぜんやる気満タン。 孤児たちにおいしい食事を!シスターには愛を!自分には生きていく自信を! ナチョは憧れていたルチャのチャンピオン、ラムセスを目指すことにした。 町で捕まえたチップス泥棒のヤセをタッグの相棒に、 覆面ルチャドール(レスラー)となってリングに上る日がやってきた。


『スクール・オブ・ロック』で組んだマイク・ホワイトとジャック・ブラックのコンビが、 今度はメキシコを舞台に覆面プロレスラーとなる愛すべきダメ男の映画を作りました。 孤児院と覆面レスラーとくれば、思い出すのは「タイガーマスク」。 その原案とも言われるメキシコの伝説的ルチャドール、フライ・トルメンタ“暴走神風”を元に、 この「ナチョ・リブレ」が生まれました。 ジャック・ブラックは裸より恥ずかしいというぴちぴちタイツで頑張っています。 が、ナチョが強くなるのに、もうちょっと納得のいく修行をしてほしいと思うのは、 ジャッキー・チェン映画をさんざん観てしまったからでしょうか。 相棒のヤセの得意技?がお裁縫っていうのが笑えます。 (白)

2006/パラマウント映画/カラー/1時間32分/ビスタサイズ/SRD/
配給:UIP 宣伝:マンハッタン・ピープル

http://www.nacho-movie.jp/top.html

11月3日(金・祝)よりテアトルタイムズスクエアほか全国ロードショー
10月23日(月)東京国際映画祭(シアターコクーン)にて上映


『ニキフォル 知られざる天才画家の肖像』

監督:クシシュトフ・クラウゼ
脚本:ヨアンナ・コス、クシシュトフ・クラウゼ
撮影:クシシュトフ・プタク
美術:マグダレーナ・ディポイント
製作:ジュリアス・マチュルスキ
出演:クリスティーナ・フェルドマン(ニキフォル)、ロマン・ガナルテック(マリアン・ヴォシンスキ)、ルチアナ・マレク(ハンカ)、イエジ・グデンコ(ノワク)ほか

1960年、共産主義政権下のポーランド。南部の保養地クリニッツァに風変わりな老人がいた。 小さな旅行カバン一つを持ってどこででも絵を描き、観光客相手に売って日銭を稼ぐ放浪画家のニキフォルだ。 役所の美術担当として働くマリアン・ヴォシンスキも、役所の一角に小さなアトリエを構えていた。 栄転を間近に控え、妻子とともにより良い環境に移ることを楽しみにしている。 しかしニキフォルがアトリエに入り込み、勝手に絵を描き始めてしまう。 描きかけの自分の絵をけなされたマリアンは追い出そうとするが、ニキフォルが新聞に取り上げられたことから上司の言いつけで面倒をみるはめになってしまった。 頑固でわがまま、おまけに結核におかされた老人をうっとうしく思っていたマリアンだったが、何の束縛もなく自由で純朴なニキフォルの絵にいつしか魅了されていく。 妻のハンカが子供を連れて家を出、家庭崩壊の危機に陥りながらも、この孤独な老人を決して見捨てることはなかった。

ニキフォル(1895〜1968)は、現在ポーランドを代表する画家の一人として評価されています。 しかしその人生の大半を貧困と病苦の中で過ごしました。 言語障害を持ちはっきりと話せなかったために、絵を描くことを伝達手段としたのではないかと言われています。 誰かに習ったものではなく彼独特の描法で、生涯に4〜5万点もの作品を描き上げました。 映画は、ニキフォルと、晩年に出会ったマリアンとの交流を主に描いています。 二人の縁を感じずにいられません。ニキフォルを演じたクリスティーナ・フェルドマン(86歳の女優)は本人の写真に生き写し! 画面はニキフォルの目を通したかのように、どれも絵画的な感じがします。(白)

映画はニキフォルとマリアンの交流が中心なので、彼の作品の創作過程や、作品そのものはあまりクローズアップされません。そのため映画を観ていると、どんどん彼の作品を観てみたくなります。そんな欲求を満たすべく、劇場のロビーではニキフォルの原画などを展示するミニギャラリーが開かれます。 人よりも生きる苦しみが何倍も大きかったはずですが、彼の絵は鮮やかな色彩に溢れ、素朴で、ちょっとユーモラスですらあります。この機会に是非、ご覧になってみてください。(梅)

2004/ポーランド/カラー/1時間40分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/
提供:パイオニア映画シネマデスク
配給:エデン配給協力:レゾナント・コミュニケーション
宣伝:フリーマン

http://www.nikifor-movie.com/

11月3日(金・祝)〜12月14日(木) 写真美術館にて上映
休映日:毎週月曜日及び 12/1、12/9、12/10
★上映期間中、劇場ロビーにてニキフォルのミニギャラリーも開催されます。


『unknownアンノウン』
監督:サイモン・ブランド(映画初監督、CM出身)
脚本:マシュー・ウェイニー
撮影:スティーヴ・イェドリン
出演:ジム・カヴィーゼル(デニムの男)、グレッグ・キニア(鼻が折れた男)、バリー・ペッパー(作業着の男)、ジョー・ハントリアーノ(縛られた男)、ジェレミー・シスト(手錠の男)、ピーター・ストーメア(蛇皮ブーツの男)、ブリジッド・モイナハン(エリザ・コールズ)ほか

床に倒れていた男が目を覚ます。見回すと血のついたスコップが落ちている。 椅子に縛られている眼鏡の男、うつぶせに倒れている男、 手錠につながれて高い柵に吊り下げられている男がいた。 皆生きているのか死んでいるのか動かない。男は恐怖にかられて出口を探し回る。 古い工場のようだが他に人はいない。 トイレの手洗いで水を飲み、鏡に写った自分を見て愕然とする。俺は誰だ?! 目が覚めるまでの記憶が何一つなかった。

密室で人が倒れていて、手錠とくれば『SAW』を思い出しますね。 これは5人の記憶を失った男たちがまずいて、 なぜこんな状態になったのか誰にも思い出せません。 後にそのうちの2人が誘拐された人質、3人は誘拐犯とわかります。 わかったのはそれだけで、自分が誰でどちら側なのか、他の4人は敵か味方かが不明です。 誘拐犯の仲間が数時間後には戻ることで、緊張感がいよいよ高まっていきます。 この5人の生き残りへのかけひきと、警察と誘拐犯の仲間の攻防を交互に写して、ドキドキ。 観客も誰が誰で、何の役目を持っているのかと頭をフル回転させられます。 先に観た人はネタばらし厳禁ですよ。(白)

2006年/アメリカ/カラー/シネマスコープ/SRD・SR/上映時間:85分/字幕翻訳:太田直子

提供:ムービーアイ+プレシディオ+ジェネオン エンタテインメント
配給・宣伝:ムービーアイ
http://www.movie-eye.com/unknown/

11月3日(祝)、渋谷シネクイント他全国ロードショー


2006年10月28日〜

『明日へのチケット』原題:TICKETS

共同監督:エルマンノ・オルミ(『木靴の樹』)、アッバス・キアロスタミ(『桜桃の味』、ケン・ローチ(『麦の穂をゆらす風』)

いずれもカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した3人の監督が、 ローマへ向かう特急列車を舞台に、一本の作品を作り上げた。 様々な国の人たちが乗り合わせた列車の中で繰り広げられる人間模様・・・。登場人物は微妙に重なり合い、単なるオムニバスではない、 自然に繋がりのある長編となっている。

◆1枚目のチケット(エルマンノ・オルミ監督)

初老の大学教授(カルロ・デッレ・ピアーネ)は、 出張先のインスブルックからローマへの飛行機が全便欠航となった為、 列車で帰ることになる。仕事のパートナーであるオーストリア企業の秘書 (ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)が確保してくれた席は、食堂車。連結部分にも人が溢れる満杯の列車。食堂車入口の通路で、 アルバニア移民の家族が赤ちゃんのミルクを調合しようとしていたところに軍人が通りかかり、ミルクをこぼしてしまう。謝るどころか、彼らを邪魔扱いする軍人をみていた大学教授は、 思わぬ行動に出る・・・。

◆2枚目のチケット(アッバス・キアロスタミ監督)

翌朝、イタリアの小さな駅で、将軍の未亡人である太った中年女性 (シルヴィア・ドゥ・サンティス)が、兵役義務の青年(フィリッポ・トロジャーノ)をお供に、 将軍のお墓参りに向かうために乗り込んでくる。 彼女の持っているチケットは二等車のものだったが、青年が引きとめるのもかまわず、強引に一等車の空席に座ってしまう・・・。
窓ガラスに映る反対側の風景や、尾根に一定間隔を置いて並ぶ木など、いかにもキアロスタミの世界。彼女が座ってしまった席の指定券を持った二人連れの紳士は、 クレジットされていないが、ペルシア語で会話していて、イラン人と思われる。

◆3枚目のチケット(ケン・ローチ監督)

列車内のビュッフェ。 スコットランドから地元チームのローマでのサッカーの試合の応援に向かう スーパーマーケットの若い店員3人が、ベッカムのユニフォームを着た少年に声をかける。 少年はアルバニア出身。 3人があげたサンドイッチを席に戻って家族と分けあって食べている姿を見て、 持っていた残りのサンドイッチも彼らに差し出す。 アルバニアの家族は、一家の大黒柱である父親の出稼ぎ先であるローマに向かうところだったが、 訳あって切符は一人分足りない・・・。


人間のエゴ、勘違い、助け合い、思わぬ出会い・・・ 人生を凝縮したような列車内の出来事の数々に、 人の数だけ物語が存在することを思わずにいられなかった。 そして、自分の人生が、出会った人の人生の一部になっていくことにも思いが至った。 三人の監督は、この作品の構想が出るまで、会ったことはないという。 様々な出会いが人生を豊かにするごとく、三人の監督の出会いが、 この作品に不思議な味わいをもたらしているように思った。(咲)

イタリア・イギリス合作/110 分/ドルビー・デジタル/2005年
配給: シネカノン
宣伝: ムヴィオラ

★10月28日(土)より、渋谷シネ・アミューズにて都内独占ロードショー
公式サイト: http://www.cqn.co.jp/ticket/


『トンマッコルへようこそ』Welcome To Dongmakgol

監督:パク・クァンヒョン
脚本:チャン・ジン(原作)/パク・クァンヒョン
撮影:チェ・サンホ
音楽:久石譲
キャスト:チョン・ジェヨン(リ・スファ/人民軍)、シン・ハギュン(ピョ・ヒョンチョル/韓国軍)、カン・ヘジョン(ヨイル)、イム・ハリョン(チャン・ヨンヒ/人民軍)、ソ・ジェギョン(ムン・サンサン/韓国軍)、リュ・ドックァン(ソ・テッキ/人民軍)、スティーブ・テシュラー(スミス/連合軍)、チョン・ジェジン(村長)、チョ・ドッキョン(キム先生)、クォン・オミン(ドング)ほか

1950年代、朝鮮戦争まっただなかの頃。深〜い山の中に、争いごととは縁のない人情豊かな人々の住むトンマッコルという村があった。戦争があることも知らずに暮らしていた村に、ある日次々と外の人間がやってきた。墜落した連合軍偵察機のパイロット、アメリカ人のスミスは村人に助けられた。天真爛漫な娘ヨイルは、敗走する人民軍のリ・スファら3人を連れてくる。韓国軍のピョ・ヒョンチョルと衛生兵のサンサンも、道に迷っているところを救われた。ところが敵同士のこの5人、すぐさま銃を向け合い、村人にも動くな! と恫喝。村人たちは武器を見たこともなく、なんで怒ってるの? という始末。それより畑を荒らすイノシシのほうが大問題なのだ。睨み合ったまま朝を迎えた兵士たちは、誤って村の食料倉庫を手榴弾で吹き飛ばしてしまった。冬用に蓄えた食料を台無しにしたことに責任を感じた兵士たちは、ひとまず戦いはやめて畑仕事を手伝い始める。
一方連合軍は、行方知れずになったスミスを探して、新しい作戦を立てていた。

劇作家、映画監督としても活躍中のチャン・ジンの舞台劇を元に映画化したもの。後輩にあたるパク・クァンヒョン監督は、初の長編作品ですがこれまでCM界で高い評価を得ています。センスある映像美でファンタジーとヒューマンドラマを見事に融合させています。誰もが行ってみたくなるトンマッコルの村では、心身に傷を負った兵士たちも癒され、笑顔を取り戻します。思わず観ているほうも戦争など忘れてしまうのですが、外の世界は容赦なくこの村にも侵出して・・・。あとは劇場でどうぞ。久石譲氏の音楽がこの世界をより深くしています。妖精のようなカン・ヘジョンを始め、どの配役もぴったりでした。(白)

軍服を脱ぎ捨て、村人たちと同じ服を着たそれぞれの兵士たち。言葉や肌の色が違っても人間は皆、同じ。楽しそうに踊っている村人たちを見て、「これが人生だよね」とつぶやく連合軍の兵士。そう、戦いなんかやめて、皆輪になって踊りましょう! 民間人への誤爆をなんとしても避けようと、元は戦い合う立場の兵士たちが力を合わせる姿を、毎日のように聞こえてくる民間人の犠牲を引き起こしている人たちに是非観てもらいたいと思った。(咲)

トンマッコルで人生は憎しみあって争うためにあるのではなく、心穏やかに素直に楽しむためにあるはずと気づく兵士たち。彼らが命がけで守ろうとしたものは、誰にも汚されたくない自らの良心だったのではないでしょうか。
凝った映像はたまにやり過ぎに感じる部分もありましたが、素晴らしくファンタジックなシーンがいくつもあり、これから先もずっと心に残りそうです。(梅)

2005/韓国/132分/カラー/ドルビーデジタル
配給:日活
宣伝:メゾン

公式 HP >> http://www.youkoso-movie.jp/

★10月28日(土)より、感動の全国ロードショー

特別記事『トンマッコルへようこそ』パク・クァンヒョン監督&久石譲舞台挨拶レポートもご覧下さい。

特別記事『トンマッコルへようこそ』舞台挨拶&記者会見もご覧下さい。

試写会招待状プレゼント
試写会招待状プレゼント終了。
たくさんのご応募ありがとうございました。抽選の上(みなさんに差し上げたかったです。外れた方ごめんなさい)、15通を17日発送いたしました。

日程/8月29日(火)
会場/イイノホール (東京メトロ霞ヶ関駅徒歩2分)
時間/開場18:00  舞台挨拶18:30  上映開始19:00
ゲスト/シン・ハギュン、チョン・ジェヨン、カン・ヘジョン、パク・クァンヒョン監督  (4人揃っての舞台挨拶を予定)

15組 30名様をご招待


『バタリアン5』
監督:エロリー・エルカイェム
脚本:ウィリアム・バトラー、アーロン・ストロンゴーニ
音楽:ロバート・ダンカン、エイミー=リン・チャドウィック
出演:ジョン・キーフ(ジュリアン)、エイミー=リン・チャドウィック(ベッキー)、コリー・ハードリクト(コーディ)、ジェニー・モーレン(ジェニー)、ピーター・コヨーテ(チャールズ)ほか

チャールズはハイプラテックス社「トライオキシン5」で蘇ったゾンビによる混乱に乗じ、 研究所からトライオキシン入りドラム缶を盗み出していた。 黒服の二人に売りつける予定だったが、本物かどうか確認してからと言われる。 死体安置所で実験した挙句、チャールズは噛み殺されてしまう。 甥のジュリアンは家の片付けに行き、伯父の隠した残りのドラム缶を見つける。 ジュリアンに頼まれて缶の中味を調べた化学おたくのコーディは、 その液体がドラッグとなることを発見。 悪友たちと一儲けしようと、カプセルにつめて学生に売り始めてしまった。 チャールズの家には黒服の二人組が忍び込み、ドラム缶がほかにもあることを突き止める。 そんな騒ぎも知らず、ハロウィーンのパーティが着々と準備されていた。

前作の4と同時製作されたので、スタッフ、キャストほぼ同じです。 ホラーが苦手で、ポスターを見ただけで敬遠していた『バタリアン』シリーズを今回初めて観ました。 「ホラー/コメディ」ジャンルだったのね。あちこち笑えました。 トライオキシンの行方を追って出没するインターポールの二人組もお笑い担当。 次々と増殖するゾンビと個別に闘う主人公たち。効率が悪い! ドラッグとセックスとダンスと音楽に酔いしれる若者たちの中では、 「ブレイン〜」と頭に噛み付くゾンビたちが目立ちません。 収拾の仕方も皮肉。タールマンも出てきます。(白)

4からの続き物のはずなのに、高校生から大学生になった主人公たちは、ゾンビに対してまったく無知。前回、恋人や友人も失っているのに、そんな過去の痛みも全くナシ! 君たち、軍に記憶抹消されたの? それともドラッグやりすぎて、脳みそゾンビに食べられる以前に溶けちゃった?(笑) シュールな笑いが加速していて、5は4以上に面白いです。わたしはネズミが何処へ行ったのか気になってしかたありません。このシリーズ、まだまだ続くのかも・・・(梅)

2005/アメリカ/カラー/95分/映倫 R-15
アートポート/ギャガ・コミュニケーションズ

★10月28日(土)より銀座シネパトスほかにてロードショー


『クリムト』(原題:Klimt)

脚本・監督:ラウル・ルイス
製作代表:ディエター・ポホラトコ
撮影監督:リカルド・アロノヴィッチ
衣装:バージット・フッター
出演:ジョン・マルコヴィッチ、ヴェロニカ・フェレ、サフラン・バロウズ、ニコライ・キンスキー、スティーヴン・ディレイン ほか

クリムトは「エロスとタナトス(死)」をテーマにした、官能的な女性像を描き続けた画家ですが、彼の生きた時代にそのような題材を描くことは大変な挑戦であり、彼は常に賞賛と罵声の両方を浴びました。映画は単純にクリムトの人生を追うだけではなく、夢とうつつを彷徨いながら、彼の迷い続ける精神世界を、ひいてはフロイトやマーラーやウィトゲンシュタインが登場した19世紀末ウィーンの空気を描き出そうとしています。
モデルに触れなければ描けないと言い、当時ウィーンには彼の子供が30人もいたという噂。一方で彼の一番の理解者であったミディとはプラトニックな関係を通したと言います。画家でありながら、ボクシングやレスリングを好む体力自慢のマッチョな男。しかし子供たちの生活費の面倒は見ていたし、貧富や人種による差別や偏見も持たない人だったようです。この矛盾だらけの魅力的な人物を、マルコビッチが繊細に、危うさ一杯に演じています。
ところで今年の初めに、ナチスドイツ政権下で接収されたクリムトの代表作5作品が、絵画のモデルの遺族による訴えを裁判所が認めて、オーストリア政府に返還を命じたというニュースがありました。19世紀末の画家の代表作を多く収蔵するオーストリア・ギャラリーから、クリムトの主要作品が5つもなくなるのは大きな損失。どうするのか注目されましたが、その後、その中の一つ「アデーレ・ブロッホ・バウアーI」がオークションに掛けられ155億円でニューヨーク市の美術館「ノイエ・ギャラリー」が落札し、7月に一般公開されて話題となりました。
わたしはちょうどこの公開時期にニューヨークへ行っていて、ノイエ・ギャラリーの近くを通ったのですが、美術館の外に行列が出来ていました。しかしその時は、この話題を知らず「なにこの行列は?」と思っただけでした。後になってこの映画を観たり、ニュースを知ったりして、予定変更して観に行けば良かったとかなり後悔しています。(梅)

2006年/オーストリア・フランス・ドイツ・イギリス合作/97分/カラー/35mm/アメリカン・ヴィスタ/Dolby SRD/映倫 R-15
配給:メディア・スーツ

公式 HP >> http://www.klimt-movie.com/

★10月28日(土)より Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほか 全国順次ロードショー


『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』

監督:金子文紀
脚本:宮藤官九郎
撮影:山中敏康
音楽:仲西匡
プロデューサー:磯山晶
出演:岡田准一(ぶっさん)、櫻井翔(バンビ)、岡田義徳(うっちー)、佐藤隆太(マスター)、塚本高史(アニ)、酒井若菜(モー子)、阿部サダヲ(猫田)、山口智充(山口先輩)、ユンソナ(ユッケ)、栗山千明(杉本彩子)、MCUほか

ぶっさんが死んで3年。木更津キャッツアイのみんなは木更津を離れそれぞれの道に進んでいった。バンビだけは木更津に残り、市役所職員になった。市長選挙の宣伝カーで走っていたある日、バンビの耳にぶっさんの声が聞こえる。「それを作れば彼がやって来る」と。「それ」って何?バンビはケンカ別れしていたアニとマスターに会いにゆく。「俺たち、ちゃんとぶっさんにバイバイ言ってない」3人はぶっさんのいう「それ」を作ってぶっさんに再会しようと考える。もう一人のキャッツメンバー、うっちーは自衛隊員になっていた。美人教官の杉本の強烈なしごきに耐えかねて脱走したうっちーは、自分のと間違えてとんでもないものが入ったバッグを持ち出してしまう。

3年ぶりに復活した「木更津キャッツアイ」。上映前に興をそぐことのないよう、NGワードがたくさんあります。そこに触れずして、ストーリーや感想を語ることは非常に難しいので詳しくは語れません。がっ、前作にましてパワー炸裂(岡田くんがあんなにテンション高いとはっ)、なだれのようにありえない展開になり、豪華配役陣がスピード感もたっぷりに笑いと涙をプレゼント。一日でも早くクドカン脚本に引きず りまわされたい方は東京国際映画祭狙いで。(白)

2006/日本/カラー/2時間12分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:アスミック・エース

公式 HP >> http://www.tbs.co.jp/catseye/

☆10月25日(水)東京国際映画祭(シアターコクーン)にて上映
★10月28日(土)渋谷シネマライズほか全国一斉ロードショー


2006年10月21日〜

『地下鉄(メトロ)に乗って』

監督:篠原哲雄
原作:浅田次郎
出演:堤真一、岡本綾、田中泯、笹野高史、北条隆博、吉行和子、常盤貴子、大沢たかお

長谷部真次、43歳。下着メーカーの営業マン。 ある日、携帯に父が倒れたとの弟からのメッセージ。 巨大企業を一代で築いた父とは、高校卒業後縁を切って以来会っていない。 思えば今日は若くして亡くなった兄の命日。 過去に思いを馳せながら、地下鉄を降りると前を行く男が兄の姿に思えて、思わず追いかける。 階段を上ると、そこには、「東京五輪」と書かれた提灯の連なる町が…。 真次は昭和39年の町に迷い込んだのだった。 その日は、兄の亡くなる直前の日。 戸惑う真次の時空を越える旅は、終戦直後昭和21年の東京へと移り、闇市でアムールと呼ばれる男と、その恋人お時に出会う。 そこには、真次の恋人みち子も時空を越えてやってきていた。 そして、さらに遡り、真次とみち子は戦時中に誘いこまれる。 銀座線に乗って、出征する兵士たち。 そこで真次は、「祝出征 小沢佐吉」のたすきをかけたアムールを見かける。 闇市の男アムールは、忌み嫌った実の父親の若き姿だったことを知る…

このところ、『ALWAYS 三丁目の夕日』『嫌われ松子の一生』など、 戦後の混乱から立ち上がり、高度成長期に差しかかった時代を描いた映画をいくつか観て、 戦後生まれの私にとっては、懐かしい思いで胸がいっぱいになったが、 本作では、さらにその前の戦時中、終戦後の苦しい時代も描き出している。 私の両親の世代が、戦争に翻弄された青春を送った時代にあらためて思いが至り、 困難な境遇に陥ったときの人間のエネルギーは凄いと思った。 今の日本人、いや、私にそんな力はあるだろうか・・・。(咲)

10月21日(土) 丸の内ピカデリー2他 全国松竹・東急系にてロードショー

http://www.metro-movie.jp/


『天使の卵』
監督:冨樫森
脚本:今井雅子
撮影:中澤正行
主題歌:「君がいるから」SunSet Swish
原作:村山由佳「天使の卵 エンジェルス・エッグ」「天使の梯子」集英社
出演:市原隼人(一本槍歩太)、小西真奈美(五堂春妃)、沢尻エリカ(斉藤夏姫)、戸田恵子(歩太の母)、北村想(歩太の父)、鈴木一真、三浦友和

国語教師の夏姫(なつき)は、工事現場で懐かしい後姿を見つけ、声をかける。 一本槍歩太(いっぽんやりあゆた)、せっかく入学した美大にも行かず絵も描いていないと聞いていた。 「もう描きたい人がいない」、そう言って立ち去る歩太に夏姫は「いるじゃない、一人だけ」とつぶやく。 二人には忘れられない共通の思い出があった。

4年前、美大志望の浪人生だった歩太は満員電車で美しい女性に出会った。 面影を胸に刻んで、何枚もの絵を描いたが、父親が入院していた病院で偶然再会する。 彼女は五堂春妃(ごどうはるひ)、父の主治医だった。 さらに当時ガールフレンドだった夏姫の8歳違いの姉だとわかるが、歩太は彼女への想いを止めることができなかった。

94年に刊行された村山由佳「天使の卵 エンジェルス・エッグ」をもとに、 『ごめん』、『星に願いを。』の冨樫森監督がメガホンをとりました。 一途に恋する歩太に『チェケラッチョ!』の市原隼人。 この作品では優しくて繊細な表情を見せます。清楚で凛とした春妃には小西真奈美。 『阿弥陀堂だより』のことばの不自由な少女役でしたね。 元気な夏姫には出演作があいつぐ沢尻エリカ。 冒頭のスーツ姿に大人の女性になったんだなとびっくり。 それぞれが好演している胸の痛くなる純愛ストーリーです。 劇中歩太が描く絵は全て、東京芸大卒の津田やよいさんの手になるものです。 これがすごく繊細で、綺麗。寅壱のニッカボッカが似合う歩太のイメージとはちょっと違う気もするのですが。 市原隼人くん息子にしたい可愛さです。しかーし一番印象に残ったのは、 純な眼差しのお父さん役、北村想氏でした。(白)

2006/日本/カラー/114分/ビスタサイズ/
配給:松竹株式会社
http://www.tentama.jp/

10月21日(土)より東劇ほか全国ロードショー
劇場窓口にて特別鑑賞券お買い上げの方に「特製色鉛筆セット」プレゼント中。愛する人をデッサンしよう!


『ダンジョン&ドラゴン2』(Dungeons & Dragons:The Elemental Might)

監督:ゲリー・ライブリー
脚本:ロバート・キメル、ブライアン・ラドニック
撮影:イゴール・メグリック
音楽:デビッド・ジュリアン
出演:マーク・ダイモンド(べレク)、クレメンシー・バートン=ヒル(メローラ)、ブルース・ペイン(ダモダール)、 エリー・チドジー(ラックス)、スティーヴン・エルダー(ドリアン)、ルーシー・ガスケル(オーマリン)、ニム(ティム・スターン)ほか

イシュミールは人間とメイジ(魔術師)たちが力を合わせて平和を守っている国であった。 近衛隊長であったべレクは宰相となり、妻のメローラはメイジとしての研鑽も怠りなかった。 近衛隊が出かけてしまった後、近くの村に異変が起こった。 べレクとメローラが探索し、洞窟に眠る巨大な黒龍を発見する。 書庫にあった幻のチュランの書により、黒龍は大昔ファラジアという地獄を支配していたが、 チュラン国の魔術師によって山に封じ込められたことを知る。 一方、呪いをかけられて死んだダモダールが復活し、 龍を呼ぶ力を秘めたファラジアの宝珠(オーブ)を手に入れていた。 闇の力が強まったことを知った国王は、龍が目覚める前にオーブを探し出すよう、 べレクに命じる。べレクはバーバリアンのラックス、神官ドリアン、魔術師のオーマリン、 そして闇の世界を知るローグのニムを伴って旅に出ることになった。

前作2000年製作の『ダンジョン&ドラゴン』の100年後の世界を描いています。 元となっている「ダンジョンズ&ドラゴンズ」は1974年に誕生した、 世界初のロールプレイングゲーム(RPG)です。30年前のことですから、 コンピュータではありません。ダイスとダンジョンマップ(洞窟地図)、シナリオ、 ルールブックを使った複雑なボードゲームといえばいいのでしょうか。 後に続々と生まれるゲームはもちろん、映画や小説にまで大きな影響を与えたものです。 前作で死んだ悪の魔術師ダモダールが復活し、 黒龍を目覚めさせて復讐を遂げようとします。 それを阻止するべく、勇者が戦うというもの。 ゲームの世界観がどんなふうに映像で表現されているのか、お確かめください。 俳優さんがちょっと地味かなぁ。(白)

2005/アメリカ/カラー/105分/DTS/ビスタサイズ/
配給:AMGエンタテインメント
配給協力:シナジー
宣伝:フリーマン・オフィス

10月21日(土)より銀座シネパトスにてロードショー


『サラバンド』(原題:SARABAND)

監督・脚本:イングマール・ベルイマン
撮影:レイモンド・ウェンメンロブ、ペーオー・ラント、ソフィ・ストリッド
出演:リヴ・ウルマン、エルランド・ヨセフソン、ボリエ・アールステット、ユーリア・ダフヴェニウス、グンネル・フレッド

マリアンは離婚して30年ぶりに元夫ヨハンの住む別荘を訪ねる。争った過去は遠く過ぎ去り、懐かしい友のように抱き合い、再会を喜ぶ。戸惑いからその日に帰るつもりだったが、少し長く逗留することに変更する。
別荘の近くにはヨハンの息子ヘンリックとその娘カーリンが住んでいた。カーリンは音楽家の父の教育を受けてチェロの才能を伸ばしていたが、母を亡くして以来、父のカーリンに対する愛情は異常なまでに激烈で、彼女は持てあまし気味だった。一方、ヨハンとヘンリックの間には長年に渡り埋めようのない亀裂があった。マリアンは再びヨハンとその家族に関わり、その深い葛藤を間近に見つめることになる。

この作品は1974年に製作された『ある結婚の風景』の続編にあたります。ベルイマン監督は20年前に『ファニーとアレクサンドル』を撮って映画監督引退宣言をし、その後は舞台の脚本を演出をしていました。85歳でこの作品を遺作と公言して発表しましたが、デジタルハイビジョン撮影という新しい試みにチャレンジすることからして、その精神はいまだとても若々しいと感じます。物語も映像も一切の無駄が無く、シンプルの極み。それなのにどうしてこんなに心の揺れを露わにできて、観る者を引き込み、緊張させるのだろうと、感嘆しました。
尚、この作品はCS放送シネフィル・イマジカ開局10周年記念上映作品です。9月30日にはシネフィル・イマジカにてベルイマン特集として旧4作品が一挙放送されます。 (梅)

1974年作品『ある結婚の風景』は、夫婦関係に亀裂が生じ、崩壊するさまをリアルに描いた作品だが、『サラバンド』は別れて30年後の二人を描いた作品。リヴ・ウルマンと、エルランド・ヨセフソンが前作と同じ役で出演しているが、前作を観ていなくても、単独で充分に楽しめる作品となっている。
「サラバンド」とは、17〜18世紀にヨーロッパの宮廷で普及した古典舞曲のこと。元夫婦のヨハンとマリアン、父と息子ヨハンとヘンリック、父と娘ヘンリックとカーリン・・・、それぞれの愛憎を象徴するが如く、バッハの≪無伴奏チェロ組曲第5曲≫、ブルックナーの交響曲、ブラームスの弦楽四重奏曲などが奏でられる。幻想的な映像は、是非スクリーンで味わってほしい。(咲)

2003年/スウェーデン/112分/カラー/16:9(ハイビジョン)/ドルビーSRD/R-15
配給:シネフィル・イマジカ
宣伝:テレザ、グアパ・グアポ
後援:スウェーデン大使館

公式 HP >> http://www.saraband-movie.com/

★10月21日(土)より、ユーロスペースにてロードショー


『百年恋歌』原題:最好的時光/英題:Three Times

監督:ホウ・シャオシェン
脚本:チュー・ティエンウェン
撮影:リー・ピンビン
製作・編集:リャオ・チンソン
製作・美術:ホワン・ウェンイン
出演:スー・チー(秀美/芸妓/陳靖)、チャン・チェン(青年/客/震)、メイ・ファン(老女将)、ディ・メイ(秀美の母/女将)、リャオ・シュウチョン(ビリヤード場女主人/靖の母)、チェン・シーチャン(春子/妹芸妓/BLUE)、リー・ペイシュアン(ビリヤード場女の子/MICKY)

三つの時、三つの夢、三つの愛——
あなたといつも一緒にいたい、いつまでも

候考賢(ホウ・シャオシエン)の集大成ともいえる「百年恋歌」は三つの時代に、 儚くも激しく求めあった男女を描いている。

★1966年「恋の夢」
ビリヤード場で働く女シウメイ(スー・チー)と兵役を控えた若者(チャン・チェン)。 互いに柔らかい眼差しでチラッと見ているだけですが、幸せそう・・・。 聴いたことのある古い曲が、二人を優しく包んでいます。 また目をつむって音だけを聴くと、音楽は効果音とセッションしているのを強く感じました。 玉突きの音、チョークで擦る音、すべてが音楽に組み込まれているのです。 これは「珈琲時光」でも強く感じました。題名どおり、淡い恋の情感たっぷりです。

★1911年「自由の夢」
遊郭の芸妓(スー・チー)と外交官(チャン・チェン)の大人の恋をサイレントで表しています。 そこに漂う気品にはため息が出ました。 南管(四本弦だが三味線に似た音で爪弾く)の響きが胸のうちに秘めた恋の痛みを感じさせ、 どの場面を切り取っても色彩、陰影、光の取り入れ方に無理がなく圧倒されました。

★2005年「青春の夢」
バイクの爆音で始まる現在。 歌手のジン(スー・チ−)とカメラマン(チャン・チェン)は激しく惹かれあうが、 お互い独り身ではない。 心の奥底で激しく渦巻く恋しい気持ちを表に出せない苦しさが伝わりましたが、 私は現代なんだから、はっきり言って!と少し苛つきました。 これは時代も場所も「ミレニアム・マンボ」に共通するものがあります。

『ミレニアム・マンボ』の多感なス−・チ−、『ガラスの城』の上品なスー・チ−、 『トランスポーター』の躍動感あふれるスー・チーを観てきましたが、 『百年恋歌』では寡黙で横顔素敵!のスー・チーでした。(美)

2005年台湾電影金馬奨 最優秀主演女優賞(スー・チー)、最優秀台湾映画賞受賞

2005/台湾/カラー/ドルビーSR,SRD/ヴィスタ/131分
配給:プレノン・アッシュ

10月21日(土)より、シネスイッチ銀座にてロードショー


2006年10月14日〜

『ドラゴン・スクワッド』(原題:猛龍)

監督:ダニエル・リー
脚本:ダニエル・リー、ラウ・ホーリョン
アクション監督:チン・ガーロウ
撮影:トニー・チャン(HKSC)
美術:マー・クォンウィン
音楽: ヘンリー・ライ、チェン・ヨン
キャスト:ヴァネス・ウー(ホー)、ショーン・ユー(ロク)、ホァン・シェンイー(シュウ)、シャ・ユイ(シャオジュン)、ローレンス・チョウ(ジェイ)、マイケル・ビーン(ペトロス)、ホ・ジュノ(コー)、マギー・Q(ユエ)、ジン(リー・ピンピン)、サイモン・ヤム(ホン警視)、サモ・ハン(ゴン・ロン)ほか

黒社会の首領の弟パンサーが、重要事件の証言のため出廷することになった。 護衛のため、各地から若き精鋭が香港に召集される。 アメリカから元SWATの一級射手ホー、イギリスから元特殊部隊員のジェイ、中国からスナイパーのシャオジン、 地元香港からは最高のドライビング・テクニックを誇るロク、 紅一点の潜入捜査官シュウの5人。 綿密に練られた護送計画だったが、パンサーは突如襲ってきた強力な武装集団に拉致されてしまった。 失態を演じた5人をホン警視は、元の上司ゴン・ロンに預ける。 あと数日で定年になるロンは、銀行強盗事件の捜査で部下を死なせて以来なんの意欲もわかず、彼らを鍛えようともしなかった。 しかし事件当時敵対したコーが現れる。コーはパンサーを拉致した武装集団の1人だった。

『猛龍』という原題は、70年代の人気TVドラマ「Gメン’75」の香港タイトル「猛龍特警隊」からとったもの。 共通しているのはそれぞれ特技をもったメンバーが、チームとして難事件を解決すること、とリー監督。 東京でのソロ・コンサートを成功させたばかりのヴァネスは、 リー監督と『スター・ランナー』についで2度目の合作。 左手でのガンアクションがさまになっています。
映画の冒頭、風を切って現れる5人はとってもかっこいいのですが、 敵も豪華な布陣で、ひさしぶりのマイケル・ビーンに韓国の演技派ホ・ジュノ、 『M:i:III』での大役を射止めたマギー・Qほか。 貫禄負けしている若い5人をサポートするのは、ベテランのサイモン・ヤムとサモ・ハン。 派手な銃撃戦やアクションばかりでなく、 それぞれの背景も描き込まれていてサモ・ハンのエピソードはちょっと泣かせます。 ショーン・ユーの兄役でトニー・ホーも出演。(白)

2005/香港/カラー/111分/ビスタ/ドルビーSRD/
配給:SPO 宣伝:シナジー・リレーションズ

http://www.cinemart.co.jp/d-squad/

★10月14日(土)より、シネマート六本木、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー


『ハリヨの夏』

監督・脚本:中村真夕(なかむらまゆ)
撮影:山崎裕
音楽:PE'Z(ペズ)
出演:於保佐代子(大島瑞穂)、高良健吾(杉本翔)、風吹ジュン(母)、柄本明(父)、キャメロン・スティール(チャーリー)、谷川俊太郎(三木先生)ほか

1990年京都。瑞穂(みずほ)は高校3年生。居酒屋で働く母になにかと反発し、父が家を出たのは母のせいではと思っている。別居中の父とはときどき会い、いつか元どおりに家族が揃うことを願っている。父からハリヨという小さな魚をもらった。綺麗な水にしか住まないというその魚を育ててみるつもりだ。
同級生の翔は泳ぎを教えてくれたりする仲だけれど、瑞穂の友達も翔を好きらしい。 瑞穂の誕生日に必ず来ると約束した父は来なくて、母の居酒屋での男友達がケーキを持って訪れる。ベトナム帰りだというチャーリーに妹はすっかりなついているし、いたたまれなくなった瑞穂は一人家を飛び出してしまう。

中村真夕監督の劇場映画デビュー作品。1973年生まれの監督の思春期のころ、一足早く大人になった同級生がいたそうです。そんな思い出を元に、高校生の女の子が経験するひと夏のできごとを、ハリヨの成長と交互にみずみずしく描いています。ハリヨは背中に3本のトゲを持つトゲウオ科の小さな淡水魚。オスが巣を作ってメスを呼び、産卵した後の世話は全てオスが行う。で、男が子育てする話かと思ったのですが違いました。
現役高校生だった於保佐代子(おほさよこ)さんは、きりっとしてちょっと不機嫌そうな横顔が、一本気な瑞穂そのままです。高良健吾(こうらけんご)くんは、クラッシックな美青年だなぁと思ったら熊本出身でした。東京国際映画祭で上映される『犬神家の一族』、『M』に出演。中村監督のお父様(正津勉氏)つながりなんでしょうか、詩人の谷川俊太郎氏が特別出演しています。(白)

2006年/日本/98分/DVCPRO/HDCAM SR
制作・配給:葵プロモーション
製作:葵プロモーション/毎日広告社/アルゴ・ピクチャーズ/World apart ltd
宣伝:ライスタウンカンパニー

公式 HP >> http://hariyononatsu.jp/

★10月14日(土)より、シネマート六本木他にて、ロードショー公開
釜山国際映画祭NEW CURRENTS部門(アジアの新人監督を対象)出品決定


『幸福(しあわせ)のスイッチ』

監督・脚本:安田真奈
撮影:中村夏葉
音楽:原夕輝
主題歌:ベベチオ「幸福(しあわせ)のスイッチ」
美術:古谷美樹
出演:上野樹里(稲田怜)、沢田研二(父・誠一郎)、本上まなみ(姉・瞳)、中村静香(妹・香)、林剛史(電気工事士・鈴木裕也)、笠原秀幸(牧村耕太)、芦屋小雁(常連客・木山)、新屋英子(野村おばあちゃん)ほか

東京のデザイン事務所に勤める怜(れい)は、 今日も上司とやりあった勢いで「やめます!」と口走ってしまった。 頑固で言い出したらきかない自分にあきれながらも、頭を下げて撤回することができない。 仕事が見つからず先が心配になった頃、妹の香から切符入りの手紙が届いた。 「お姉ちゃんが絶対安静。早く帰ってきて!」と。 田辺市の小さな電器店イナデンが怜の実家。慌てて戻ってみたら姉の瞳は元気。 妊娠8ヶ月で順調だった。実は父親が全治一ヶ月の骨折で入院していたのだ。 お客第一、儲けや家族は二の次の父に反発して上京した怜だったが、 しぶしぶ店を手伝うことになってしまった。

主人公の次女・怜役の上野樹里は主演作が続いています。 奈良美智描くところの女の子のようにいつも不機嫌。 ほんわかした長女・瞳役に本上まなみ、 元気で屈託のない三女・香役にオーディションで選ばれた中村静香。 私も3人姉妹の次女なので、性格の描き分けには同感。 真ん中の子はなんだか意地っ張りになるんです。素直になれない自分がいやで不機嫌の二乗。 がんこな父親役の沢田研二が思ったより似合っていました。 父の姿が見えてきた怜がしだいに変わっていくところに泣け、 地域のお客とのやりとりに心が温まりました。私もイナデンのお客になりたい〜。
安田監督は、OL時代から映画を製作。 短編作品は映画祭で受賞、TVや映画の脚本も数多く手がけています。 電気メーカー勤務だったころから構想10年、綿密な取材を重ねて脚本が書き上げられました。 実際に電器店でも働かれたそうです。 小さいリアルなエピソードがたくさん集まって、命が吹き込まれた作品です。(白)

2006/日本/カラー/ビスタサイズ/105分/
配給:東京テアトル

http://www.shiawase-switch.com/

10月14日(土)より、テアトル新宿、テアトル梅田ほか全国ロードショー
★あいち女性映画祭2006にて上映決定 (9月9日)
★和歌山県先行上映決定 (10月7日より)

特別記事『幸福(しあわせ)のスイッチ』安田真奈監督インタビューもご覧下さい。



『ヘイヴン 堕ちた楽園』(原題:HAVEN)

監督・脚本:フランク・E・フラワーズ
出演:オーランド・ブルーム、ビル・バクストン、ゾーイ・サルダナ、アグネス・ブルックナー、スティーブン・ディレイン

楽園のように美しい島・ケイマン諸島を舞台に二つの物語が交錯する。
アメリカのビジネスマン・リドリー(ビル・バクストン)は、脱税の容疑でFBIの家宅捜索を受ける。直前に届いた謎のファックスによって、辛くもFBIの手から逃れたリドリーは、娘のピッパ(アグネス・ブルックナー)を連れ、かき集めた100万ドルを持って、彼のパートナーでケイマン諸島に住む弁護士のアレンに助けを求める。
そのケイマン諸島の観光客を乗せる船で働く青年シャイ(オーランド・ブルーム)は、ボスの娘アンドレア(ゾーイ・サルダナ)と愛し合い、人目を避けて逢い引きを繰り返していた。彼女の18歳の誕生日の夜に2人は初めて結ばれるが、彼女の父に見つかり、レイプだと訴えられる。アンドレアの兄は怒りにまかせてシャイを襲い…

カリブ海のケイマン諸島は島民から税金を免除する”タックス・ヘイヴン”の島として有名で、税金対策のために世界中の金持ちが集まってきている。今や何百もの銀行や信託会社が島に登録し、かつてはのどかな釣りの島だったのが、大きく様変わりしているという。ケイマン諸島出身の監督は、初めて島での長期ロケを敢行し、ドラッグやセックスに溺れる若者たちや、金にしがみつく大人たちといった、楽園の影の部分を告発している。製作も買ってでているオーランド・ブルームは、一方の物語の主役として、甘い恋に酔っていたのが、一転して肉体的にも精神的にも深い傷を負い、闇の淵へと沈んでいく青年を演じています。(梅)

2005年/アメリカ/35mm/ヴィスタ/ドルビーSDR/98分
配給:アートポートxギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:ビー・ウイング

公式 HP >> http://www.haven.jp/

★10月14日(土)、シネマGAGA!、新宿武蔵野館ほかにてロードショー


2006年10月7日〜

『旅の贈りもの 0:00発』

監督:原田昌樹
脚本:篠原高志
音楽:浅倉大介
挿入曲:徳永英明「時代」、中森明菜「いい日旅立ち」
キャスト:櫻井淳子(由香)、多岐川華子(華子)、徳永英明(チョンチョ先生)、太平シロー(若林)、細川俊之(網干)、大滝秀治(元郵便局長)、黒坂真美(ミチル)、樫山文枝(多恵)、梅津栄(喜助)ほか

心に傷を持つ5人の男女が乗り込んだ1本の列車。 キャリアウーマンの由香、高校生の華子、リストラされたサラリーマン若林、妻を亡くした網干、 夢にたどり着けないミチル・・・。 それぞれの思いを乗せて、深夜0:00大阪発のミステリートレインが到着したのは、「風町」という小さな港町だった。 なんのへんてつもないところなのに、どうしてここに? さて、みんなが出会ったもの、そして贈りものとはなんだったのか?

旅人たちが乗る列車として実際に走行しているのは、 今では国内に4輌しかないものだそうです。 お召し列車の牽引用機関車として製造された「EF58-150」と、 かつての特急列車の一等展望席として利用され、 動体保存されている車輌としては国内で1輌のみが現存する「マイテ49」。 優雅な姿と力強い走りは、鉄道ファンならずとも心躍ること請け合い!
日本に●十年住んでいても知らないところがいっぱい。 飛行機で遠くに行くばかりでなく、電車に揺られて知らない町へと小さな旅がしたくなりました。 ふらりと乗って来る女子高生役の子は、だれかに似ているなぁと思ったら、 多岐川裕美さんの娘さんでした。口元がそっくりです。 こんなに大きな子がいたんですね。 5人の男女のほかにも乗客はいます。旅する大学生、元気なおばちゃんグループ・・・。 自分に近い人に心重ねて映画の旅に出てみてください。 私はさしずめおばちゃんグループの一人かな。(白)

2006/日本/カラー/109分/ヴィスタサイズ/DTS,SR/
配給:パンドラ

http://www.tabi-000.jp/

★10月7日(土)銀座テアトルシネマほかロードショー決定!
特別鑑賞券1500円 発売中
劇場窓口でお求めの方に限り、“コネクトトレイン・ストラップ”プレゼント

10月7日(土)より全国公開となりました映画『旅の贈りもの -0:00発』の初日を記念して、 銀座テアトルシネマにて舞台挨拶がありました。 宣伝のスキップさんより写真とキャストのコメントが届きましたのでご紹介いたします。

映画初主演の櫻井淳子さん多岐川華子さん、 また今年デビュー20周年で映画に初出演の?コ永英明さん、 黒坂真美さんという豪華キャストが揃い、会場は大いに盛り上がりました。

由香役:櫻井淳子さん
温かい気持ちになる疲れた心に効く映画です。 30代女性でプレッシャーを感じる方々にも共感して頂けるような作品です。 もし一人旅をするとしたら、この映画でロケをした西日本に行きたいです。

華子役:多岐川華子さん
初めての演技だったので共演者が話してくれないかと心配していましたが、 みんな優しい人達だったのでよかったです。

越智太一(ちょんちょ先生)役:?コ永英明さん
監督の指示どおり演技をし、NGを出さない役者でした(笑)。 古きよき日本の風景が出ている懐かしい気持ちになる映画ですので、 皆さんに楽しんで見ていただける作品になりました。

ミチル役:黒坂真美さん
他のキャストは色々なものを抱えているけれど、 ミチルだけが元気いっぱいの憎めないキャラクターでこの役が大好きです。

原田昌樹監督
素晴らしいキャストの方々に出演してもらって、非常に良い作品になりました。

特別記事『旅の贈りもの −0:00発』原田昌樹監督インタビューもご覧下さい。



『いちばんきれいな水』

監督:ウスイヒロシ
脚本:三浦有為子
原作:古屋兎丸「いちばんきれいな水」
(「Wsamarus 2001」より)イースト・プレス刊
撮影:蔦井孝洋(J.S.C)
音楽:沢田穣治
美術:須坂文昭
出演:加藤ローサ(谷村愛)、菅野莉央(谷村夏美)、南果歩(母)、田中哲司(父)、カヒミ・カリィ(真理子)ほか

6年生の夏美は中学の受験を控えて、夏休みも毎日塾通いの予定だ。 家には難病の手術の後、8歳から11年間も眠ったままの姉の愛がいる。 夏美が赤ちゃんのころからなので、いばら姫のように眠った愛しか見ていない。 両親も夏美も愛を中心に穏やかに生活している。 母の妹でカメラマンの真理子がやってきて、夏美の写真も撮ろうとするけど 愛のように可愛くないから、と夏美は撮られるのをいやがる。 塾の男の子たちに「メガネザル」とからかわれても、軽くかわしている夏美だけれど、 実はちょっと気にしているのだ。
南米に出かけた真理子が事故に遭ったという知らせがあり、両親は留守を心配する が、夏美は「愛ちゃんのお世話ならちゃんとできる」と送り出す。生まれて初めて姉 妹だけの毎日が始まった。


(C)「いちばんきれいな水」フィルムパートナーズ

古屋兎丸の人気コミック「いちばんきれいな水」を映画化した作品。 姉妹だけの留守番の間におきる奇跡の3日間を描いています。 10年寝たきりの人を介護した経験からすれば、「ありえねー」ところいっぱいなのですが、 まあお話ですからね。 19歳になっているのに、心や記憶は眠る前の8歳という役を演じた加藤ローサは、 最初たいへんだったようすが、無邪気に生き生き演じています。 夏美が年齢よりしっかりしているのは、 眠り姫の姉の愛がいるので両親に負担をかけないよう知らず知らずにいい子、 しっかりした子になったのだろうと推測。 「いちばんきれいな水」とのつながりがちょっと遠い〜と思いますが、 この年頃の子ならよくわかるのかも。(白)

2006/日本/カラー/90分/ビスタサイズ/ドルビー/
配給:アミューズソフトエンタテインメント 宣伝:アステア

http://www.cplaza.ne.jp/kireina-mizu/

10月7日(土)ユナイテッドシネマ豊洲、渋谷シネクイント(レイトショー)ほか全国順次公開


2006年9月30日頃〜

『ありがとう ー「奈緒ちゃん」自立への25年 ー』

監督・脚本・演出・編集:伊勢真一
撮影:石倉隆二
出演:奈緒ちゃん一家

てんかんと知的障害を合わせ持つ奈緒ちゃん。監督は、姪である奈緒ちゃんの姿を8歳の時から追い続けてきた。長くは生きられないかも知れないという家族の心配を跳ね飛ばし、奈緒ちゃんは、今、32歳。お嫁にやりたいというお母さんの願いはまだ叶わないけれど、自立して、障害者のグループホーム「みなみ風3」で暮らし始める ことになった。弟の記一さんも別のグループホームの担当職員として障害者の親代わりの日々。家はお父さんとお母さんの二人きりになり、お母さんは「ぽっかり穴が空いたようで寂しいわ」と嘆くが、お父さんは、「新婚時代に返ったみたいでいいじゃないか」とくったくがない。

「奈緒ちゃんより先に死ねない」とお母さんはつぶやく。健常児でも子育ては大変だと思うのに、障害児を育てるのは並大抵のことでないと思う。でも、この一家は、奈緒ちゃんを中心にして、がっちり気持ちが結ばれていて、今どき珍しい位の家族愛に満ち溢れている。伊勢真一監督がプロデューサーを務める山本起也監督の『ツヒノスミカ』同様、家族の何気ない会話が光る作品である。(咲)

伊勢監督の姪御さんである西村奈緒ちゃんは、てんかんと知的障害があり、生まれたときにはそれほど長くは生きられないだろうと言われました。監督は家族のアルバムのつもりで、奈緒ちゃんが8歳の時から一家を撮り始めますが、奈緒ちゃんを中心として深い絆で繋がれる家族に惹かれて、長きにわたり撮り続け、とうとう1995年にドキュメンタリー映画『奈緒ちゃん』を発表しました。その後、2002年には『ぴぐれっと』を発表。そして今回、25年に渡る奈緒ちゃんの自立への記録としてこの『ありがとう』を制作したのです。  

奈緒ちゃんは32歳になりました。彼女のお母さんたちが立ち上げた、障害者の自立を助ける地域作業所「ぴぐれっと」は、さらに一歩進んでグループホームを開設し、彼女も家を出てグループホームで仲間と助け合いながら暮らすことを望みます。しかし、いざとなると奈緒ちゃん自身よりも、お父さん、お母さんの方が彼女が家からいなくなることに耐えられないのです。そのあたりの様子を見たときに思い出したことがあります。
韓国映画『マラソン』のモデルとなった母子が日本を訪問し、自立支援作業所を訪問する様子がテレビのニュースで放送されたことがありますが、その時も自閉症である息子は新しい環境と自立するということに興味があり、所長さんから「ここで一度生活してみてはどう?」という誘いにも前向きなのですが、お母さんが明らかにうろたえているのがとても印象的でした。

奈緒ちゃんのお父さんも、行かせたくないと言い、さらに定年を迎えることもあって、これからどうすればいいかと大いに悩んでいます。お母さんも奈緒ちゃんと福祉に没頭してきたこれまでの生き方に、ちょっと不安を感じて揺れています。一方、弟の記一くんは今や「ぴぐれっと」運営の中心メンバーとして信頼されており、姉のグループホームでの生活に不安を感じながらも、頑張って欲しいと冷静に願っています。

 
提供:いせFILM

年月が経てば、子供は親の元から旅立ち、どこの家族も形を変えていかざるを得ません。しかし西村家には、奈緒ちゃんという明るく素敵な心の接着剤があり、絆が断ち切れることはないようです。それは、とても幸せなことですよね。映画が映す彼らの様子は、思ったことを言い合い(亡くなった犬のぷーちゃんのお墓についての激論が面白い!)、一緒に考えることを止めません。それは絆を保つために、どこの家族にも必要なことだよなぁと、改めて思いました。(梅)

2006年/日本/16mm/カラー/105分/レーザーキネコ、レーザーサラウンド

ポレポレ東中野 HP >> http://www.mmjp.or.jp/pole2/
いせフィルムHP >> http://www2.odn.ne.jp/ise-film/

★9月30日(土)より、ポレポレ東中野にて公開
 プロデュース作品『ツヒノスミカ』同時公開 
 同一日に両作品をご鑑賞の場合、どちらかの作品を200円割引

☆14時45分からの『ありがとう』上映後、連日トークショー!(ホスト・伊勢真一監督)
トークショーゲスト
9月30日(土) 斉藤とも子 (女優、『ありがとう』応援団)
10月1日(日) 谷川賢作 (『ツヒノスミカ』作曲家)
10月2日(月) 林英哲 (『朋あり。』主人公、太鼓奏者)
10月3日(火) 澄川嘉彦 (『タイマグラばあちゃん』監督)
10月4日(水) 青木裕子 (朗読、NHKアナウンサー)
10月5日(木) 細谷亮太 (『風のかたち』企画者、小児科医)
10月6日(金) 松友了 (全日本手をつなぐ育成会)
10月7日(土) 伊藤俊也 (映画監督)
10月8日(日) 西村一家 (『ありがとう』主人公)
10月9日(月) 佐藤真 (映画監督)
10月10日(火) 苫米地サトロ (『風のかたち』歌手)
10月11日(水) 本橋成一 (映画監督、写真家)
10月12日(木) 白崎映美 (『上々颱風』ボーカル)
10月13日(金) 西村信子 (『ありがとう』主人公)


『ツヒノスミカ』

監督:山本起也
プロデューサー:伊勢真一、岩永正敏、米山靖
撮影:内藤雅行
出演:山本マツ、山本耕三、山本美代子、山本雅也
ナレーション:寺島進
音響構成:渡辺丈彦
音楽:谷川賢作
アルトサックス演奏:宮野裕司

マツばあちゃんの家が取り壊されることになった。90歳を越えて今なお達者だが、妹が風呂場で亡くなってから、「ひとりは寂しい」と言うようになったため、息子夫婦は家を建て直して同居することにしたのだ。
家を片付ける中で、がらくたと共に思い出が一つ、一つ消えていく。洋裁をして貯め込んだ布の切れ端を、ばあちゃんは「それを捨てられちゃ困る。死んでも捨てられない」と言う。息子も、じいちゃんが使っていた酒杯を捨てられない。静かに2人の家とのお別れが続く。

 
提供:こたつシネマ

静岡の実家から、「おばあちゃんの家を来週解体するよ」と連絡を貰った山本監督。 このチャンスを逃す手はないと、解体を2週間延期させて本作の撮影を敢行したそうだ。
おばあちゃんの朝食は、りんごと人参をジューサーで搾った生ジュースに、食パン2枚の間に納豆を挟んだサンドイッチが定番。長男は、「たくさん食べるね」と呆れるが、これがおばあちゃんの元気のもと。家中の物を整理するおばあちゃん。昔、洋裁をしていた頃の端切れの詰まった箱。「これはもう捨てようね」という長男に、「これは歳とって動けなくなった時の楽しみ!」と断固捨てさせない。なにげない会話の数々に家族っていいなぁ〜と、しみじみ。(咲)

処女作『ジム』から4年。第2作目として山本監督が撮ったのは、自分のおばあちゃんと取り壊される家でした。家の片付けも、おばあちゃんの日常も、周りに確かに喧噪があるのに、印象に残るのは耳の遠いおばあちゃんの中に入ったかのような静けさです。
若い者には、おばあちゃんはそこにいるけれど、違う世界に佇んでいるように感じることがあります。しかしこの映画を観て、どんなに年を取っても生ある限り人生は続き、確かに皆と共に生きていて、坦々とした日常に見えてもドラマは常に生まれているんだと確認しました。
寺島進さんの必要最小限のナレーションや、谷川賢作さんの音楽と宮野裕司さんのアルトサックスの音がツボを押さえて、とても効いています。(梅)

2006年/日本/16mm/カラー/80分
宣伝協力:スローラーナー

ポレポレ東中野 HP >> http://www.mmjp.or.jp/pole2/
いせフィルムHP >> http://www2.odn.ne.jp/ise-film/

★9月30日(土)より、ポレポレ東中野にて公開
 伊勢真一監督作品『ありがとう』同時公開 
同一日に両作品をご鑑賞の場合、どちらかの作品を200円割引

☆10月2日(月)から『ツヒノスミカ』(21:10の回)上映後、トークイベントあり。
トークイベントゲスト
10月2日(月) 林 海象 映画監督/『夢見るように眠りたい』『探偵事務所5』
10月3日(火) 成田裕介 映画監督/『あぶない刑事FOREVER』『バカヤロー!2』
10月4日(水) 高橋伴明 映画監督/『TATTOO(刺青)あり』『光の雨』『火火』
10月5日(木) 福岡芳穂 映画監督/『愛してよ』『空が、近い』
※6日(金)以降もサプライズゲストあり!ポレポレ東中野の情報にご注目下さい。


『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』(原題:THE DEVIL'S REJECTS)

監督・脚本:ロブ・ゾンビ
撮影:フィル・パーメット
音楽: タイラー・ベイツ、テリー・リード、ロブ・ゾンビ
出演:シド・ヘイグ(キャプテン・スポールディング)、ビル・モーズリィ(オーティス)、シェリ・ムーン・ゾンビ(ベイビー)、ウィリアム・フォーサイス(ワイデル保安官)、カレン・ブラック(マザー・ファイアフライ)、マシュー・マッグローリー(タイニー)、ジェフリー・ルイス(ロイ)、ケン・フォリー(チャーリー)、ダニー・トレホ(ロンド)ほか

大きな男の影が少女の死体を引きずって森の中を進んでいる。少し離れた道路をパトカーが数台通り過ぎていった。人里離れた農場に住むファイアフライ一家は、ワイデル保安官の襲撃にたたき起こされ、激しい銃撃戦が始まる。何件ものおぞましい殺人を繰り返してきた狂気の家族は一網打尽かと思えたが、母親一人を逮捕しただけで兄のオーティス、妹のベイビーは逃げおおせてしまった。二人は父親のキャプテン・スポールディングに連絡をとり、合流地点へ向かう間にまた死人を増やしていく。兄の復讐に燃えるワイデルは執拗に彼らを追いつめていくが・・・。

なんにも予備知識なしに観ましたら、めっちゃめちゃバイオレンスでした。第一作は『マーダー・ライド・ショー』(原題:House of 1000 Corpses)、あまりに衝撃的でなかなか公開されなかったようです。だって題が「1000の死体の家」ですよー。しかし、公開されたとたんヒットしたそうですから、この手の映画が好きな人には、さぞやそそるものがあったのでしょう。
ロブ・ゾンビ監督は「ホワイト・ゾンビ」というへヴィ・ロックバンドの有名ミュージシャンでもあります。バンドのミュージック・ビデオを自ら監督し95年には受賞もしています。子供のころからのホラー好きで、4000本ものコレクションがあるとか。映画は凄惨なシーンだけでなく、笑える場面もあってコミックも好きだというのが頷けます。一家は極悪人だというのに、全編に流れるロックが妙に明るいせいもあり、なんだかヒーローのようなのです。これは『俺たちに明日はない』を意識したという、監督の思惑にまんまと乗せられてしまった、というところです。
ベイビーを演じるシェリ・ムーンは一作目の後に結婚した監督夫人。マシュー・マッグローリー(『ビッグ・フィッシュ』に出ていた優しい巨人)が、この作品では一家の末っ子らしく「タイニー(おちびさん?)」と呼ばれていますが、昨年8月に32歳で亡くなっていたんですね、知りませんでした。合掌。(白)

2005/アメリカ/カラー/1時間47分
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
宣伝:アンカー・プロモーション

★9月30日(土)よりシアターN渋谷にてレイトショー公開


『スーパークロス』(原題:SUPERCROSS)

監督:スティーブ・ボーヤム
脚本:バート・ベイカー、ケン・ソラルツ
出演:スティーブ・ハウィー(KC・カーライル)、マイク・ボーゲル(トリップ)、ソフィア・ブッシュ、キャメロン・リチャードソン

KC・カーライルとトリップはプールの掃除のアルバイトをする貧しい生活ながらも、バイクに掛ける情熱と才能は誰にも負けない。兄のKCは慎重派で堅実なライディングが持ち味。弟のトリップは天才肌で危険で挑戦的なライディングを好む。いつかは亡き父の果たせなかった、”スーパークロス”で優勝するという夢を叶えたいと願っている。
2人はモトクロスのレースに出場し、素晴らしい走りを見せるが、トリップの無茶がたたり、惜しくも優勝を逃す。しかし、その様子を見ていた大手企業レースチームの監督からスカウトを受け、チャンス到来と2人は喜ぶ。ところが実際に採用されたのはKCだけだった。トリップはくさり、2人の間に微妙な溝が出来てしまう。KCもトップチームに入ったものの、トップレーサーの援護役でしかなく、自分のレースが出来ずに悩んでいた。

”スーパークロス”とは、スタジアム内に複雑多岐なダートコースを造り、そこでトップレーサーたちが速さ、高さ、Coolさを競うレースで、正式にはAMA Supercrossといい、今年はシリーズ16戦が行われました。アメリカではとても人気でESPNなどのスポーツチャンネルで放送されています。
物語はひたむきな兄弟の挫折と栄光を描く、まっすぐなエンタテインメントで楽しめますが、何と言っても主役はバイクレースです。映画は8割以上がバイクシーン。華麗なトリックシーンがふんだんに盛り込まれていて、バイク・ファンでなくてもその迫力に魅了されます。本物の一級ライダーたちも数多く参加しているので、その点はファンにはたまらないでしょう。
わたしはバイクに関しては無知なのですが、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキと、ほとんど日本企業の独壇場なんですね。それも凄いなぁと思っちゃいました。(梅)

2005年/アメリカ/82分/ビスタ/カラー/ドルビーデジタル
配給:日活
宣伝:スキップ

公式 HP >> http://www.supercross.jp/

★9月30日(土)よりシアターN渋谷ほか全国順次ロードショー!!


『夜のピクニック』

監督:長澤雅彦
脚本:三澤慶子+長澤雅彦
原作:恩田陸 第2回本屋大賞受賞作品
プロデューサー:上原英和
撮影:小林基己
音楽プロデューサー:伊東宏晃
音楽:REMEIDIOS, DAKOTA STAR
VFXプロデューサー:隠田雅浩
キャスト:多部美華子(甲田貴子)、石田卓也(西脇融)、郭智博(戸田忍)、西原亜希(遊佐美和子)、貫地谷しほり(梨香)、松田まどか(千秋)、柄本佑(高見)、高部あい(亮子)、加藤ローサ(杏奈)、池松壮亮(順弥)、南果歩(貴子の母)他

みんなで夜歩く。ただそれだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう。

80キロの道のりを夜を徹して歩きとおす、高校の伝統行事「歩行祭」。 高校生活最後の歩行祭を迎えた甲田貴子は一人密かに賭けをしていた。 一度も話したことのない同じクラスの西脇融に話しかけるということ。 そんな簡単なことができない、親友にも言えない秘密の理由が貴子にはあった。 西脇融も貴子を避けている。 友達は貴子が融を、融の親友戸田も融が貴子を好きなのではと勘違いして、何かと世話を焼くのだった。 なかなか話しかけるきっかけをつかめないまま時は過ぎ、残された道のりはあと20キロ。 クラスごとに歩く「団体歩行」から、友人や好きな人と歩く「自由歩行」へ変わるときが来た。

第2回本屋大賞を受けた恩田陸の同名小説に、プロデューサーと監督が惚れ込んで映画化権を獲得した作品。 「歩行祭」は恩田氏の母校、水戸一高で今も行われています。 「歩く会」と称して本当に24時間80kmを全校生徒が歩くのだそうです。 作品冒頭、1000人のエキストラが校庭に集まり、出発を今や遅しと待ち構えているシーンは、クレーン2台と手持ちカメラを使っての長回しです。 圧巻。 主要キャスト14名と監督、スタッフが撮影前、実際に60kmのコースを歩いたそうです。
大きな事件はありません。 ただ歩くだけの特別な一日に、高校生たちの思いが交錯していきます。 『HINOKIO』の多部美華子、『蝉しぐれ』の石田卓也を始めとするメインや脇の俳優たちのみずみずしい演技に、「ああ、こういう人いたなぁ」と、はるか昔となった高校生活を思い出しました。 歩行祭はなかったけれど、文化祭や修学旅行など、疲れるほどにハイになった行事がありました。 妙に素直になってお喋りしたものです。 キャストと、のべ5000人というエキストラにも特別な夏になったのは想像に難くありません。一服の清涼剤のような作品。(白)

2006年/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/117分
企画・製作:ムービーアイ エンタテインメント
配給:ムービーアイ・松竹
宣伝:アルシネテラン

http://www.yorupic.com/

★09/30(土) 丸の内プラゼールほか、全国松竹・東急系にてロードショー
劇場窓口にて「夜ピク万歩計」つき特別鑑賞券発売中 ¥1300


『フラガール』

監督:李相日
脚本:李相日 羽原大介
音楽:ジェイク・シマブクロ
美術:種田陽平
出演:松雪泰子、蒼井優、豊川悦司、富司純子、岸部一徳ほか

昭和40年、本州最大の常磐炭坑は、かつての隆盛は見る影もなく閉山の危機に陥っていた。そんな町を救うため、この北国に「常夏の楽園 ハワイ」を作り上げる起死回 生プロジェクトが持ち上がる。目玉はフラダンスショー! 東京からダンス教師平山まどか(松雪泰子)を呼び寄せ、フラガールに応募してきたど素人の娘たちの3ヶ月の猛特訓が始まるが・・・。

これは40年前、福島県常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)の誕生を支えた人々の奇跡の実話です。監督は『スクラップ・ヘブン』の期待の若手、 李相日(リ・サンイル)監督。俳優陣は松雪、蒼井、富司の三世代を代表する女優。 脇を固める山崎静代(南海キャンディーズ・しずちゃん)、豊川悦司、岸部一徳ら個性派俳優の熱演で笑いあり、涙ありの感動実話映画です!
観どころはなんて言ってもフラダンス。松雪さんは切れの良い動きで他を寄せ付けません。ダンス教師役だから当たり前の様ですが、体の線が美しい、それに体を鍛えた人しか出せない声を腹式呼吸で自然に出していました。蒼井優さんは『花とアリス』 で紙コップをガムテープで足に巻き、トゥシューズにして踊ったのを思い出しました。この映画の中でも、一生懸命踊って楽しませてくれました。他に特筆することは、美術の素晴らしさと松雪さんの衣装担当の方に頭が下がりました。このお二人の力で、観ている私たちを無理なく40年前にタイムスリップさせてくれました。(美)

提供:シネカノン
協力:スパリゾートハワイアンズ
後援:福島県 いわき市 ハワイ州観光局
企画・制作・配給:シネカノン
2006年/日本/120分/SRD

公式 HP >> http://www.hula-girl.jp/index2.html

★9月23日(土)より、シネカノン有楽町ほか全国一斉ロードショー


『奇跡の朝』(原題:Les Revenants)

監督:ロバン・カンピヨ
脚本:ロバン・カンピヨ、ブリジット・ティジュー
撮影:ジャンヌ・ラポワリー
出演:ジェラルディン・ペラス、ジョナサン・ザッカイ、フレデリック・ピエロ、ヴィクトール・ガリヴィエ、カトリーヌ・サミー、ジャメル・バレク、マリ・マテロン

ある朝、突然に無数の人々が、静かに街へと行進し流れ込んできた。それは皆、この10年ほどの間に亡くなった人々だった。人々は驚きのあまりに、言葉もなくその異様な光景を見つめていた。行政は彼らを受け入れるために動きだし、あらゆる調査を始める。一方、死んだはずの者が戻ってきた家族や恋人は、この信じがたい事実に戸惑いを隠せない。

死者が突然家族の元へと帰ってくると聞くと、日本では3年前にヒットした『黄泉がえり』を思い出します。『黄泉がえり』はエモーショナルなエンタテインメント作品でしたが、この『奇跡の朝』は似た題材でありながら、かなり印象が異なります。暖かみよりも、不気味さが強く、どっきりシーンはまったくありませんが、ちょっとホラー作品のような感じがします。あり得ない状況なのですが、その仮定を真剣に掘り下げ、直面した人たちのリアルな精神的葛藤を描いていて、つい観ているこちらも真剣に自分だったらと考えてしまうのです。映画では3組の人々が、それぞれに希望や諦めや覚悟を見いだしていきます。実は途中まで、彼らはなぜ、何のために戻ってきたのかが気になって仕方なかったのですが、蘇生も死と同様に現象として一律に起こり、それが周囲の人に作用する結果はそれぞれに異るのだと理解したら、腑に落ちました。(梅)

2004年/フランス/103分/カラー/35mm/シネスコ/ドルビー
配給:バップxロングライド
宣伝:フリーマン
協力:ユニフランス東京

公式 HP >> http://www.longride.jp/kiseki

★9月23日(土)より、ユーロスペースにてロードショー

特別記事 映画『奇跡の朝』シンポジウム ”死の準備教育”とはなんだろう もご覧下さい。



「ヴィスコンティ生誕100年祭」

ヴィスコンティ芸術の代表作3本を一挙上映!

『山猫』イタリア語・完全復元版
出演:バート・ランカスター、アラン・ドロン、クラウディア・カルデイナーレほか
1963年/イタリア=フランス合作/187分/カラー/シネマスコープ/モノラル/イタリア語版
第16回カンヌ映画祭グランプリ

『ルードヴィヒ』完全復元版
出演:ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー、トレヴァー・ハワードほか
1973年/イタリア=フランス=西ドイツ合作/237分/カラー/シネマスコープ/モノラル/イタリア語版

『イノセント』完全復元&無修正版
出演:ジャンカルロ・ジャンニーニ、ラウラ・アントネッリ、ジェニファー・オニールほか
1976年/イタリア=フランス合作/124分/カラー/シネマスコープ/モノラル/イタリア語版

テアトルタイムズスクエアにて10月7日(土)より11月2日(木)までロードショー
(新宿 タカシマヤタイムズスクエア12F TEL:03-5361-1937)
http://www.cinemabox.com/

◆ヴィスコンティ生誕100年記念「ヴィスコンティの遺香」篠山紀信写真展
・10月20日(金)〜11月18日(土)
・イタリア文化会館


日豪交流年2006「オーストラリア映画祭」

期間:10月3日(火)〜29日(日)月曜休館
会場:東京国立近代美術館フィルムセンター 大ホール
   中央区京橋3-7-6
料金:一般500円/高校・大学生・シニア300円/小・中学生100円
(生演奏付き上映:一般1,000円/高校・大学生・シニア800円/小・中学生600円)
/障害者(付添者は原則1名まで)は無料
・観覧券は当日・当該回にのみ有効です。
・発券・開場は開映の30分前から行い、定員に達し次第締切となります。
・学生、シニア(65歳以上)、障害者の方は、証明できるものをご提示ください。
・発券は各回1名につき1枚のみです。

開映後の入場はできません。
定員 310名 但し生演奏つき無声映画は300名(各回入替制)
発券 2階受付

主催:東京国立近代美術館フィルムセンター
   オーストラリア・フィルム・コミッション
後援:豪日交流基金
協賛:シェブロン・オーストラリアPty Ltd
協力:文化庁、オーストラリア大使館、オーストラリア外務貿易省

★スケジュールなど詳細はHPで

http://www.momat.go.jp/FC/fc.html


2006年9月23日頃〜

『天軍』

監督・脚本:ミン・ジュギ
撮影:パク・チェヒョン
音楽:ファン・サンジュン
キャスト:パク・チュンフン(イ・スンシン)、キム・スンウ(北朝鮮軍 ミンギル少佐)、ファン・ジョンミン(韓国軍 パク・チョンウ少佐)、コン・ヒョジン(キム・スヨン)、キム・スンチョル、キム・ビンチュンほか

2005年10月、北朝鮮・韓国共同で秘密裏に開発した核兵器「飛撃震天雷」がアメリカ側に譲り渡されることになった。 北朝鮮のカン・ミンギル少佐はこれに反発し、核物理学者キム・スヨンを拉致、飛撃震天雷の核弾頭を盗み出した。 連合軍首脳は、韓国軍のパク・チョンウ少佐に核弾頭の奪還と犯人射殺を命じる。 鴨緑江流域で、双方の銃撃戦が始まったその時、433年周期の彗星が上空を通過した。 激しい流れに巻き込まれた彼らが気がついたとき、目の前では見慣れぬ服装の男たちが刀や矢で血みどろの戦いを繰り広げていた。 思わず発砲すると蛮族たちは逃げ出し、残った村人たちは「天軍」と讃えて感謝した。 なんと彼らは時を越え、過去の朝鮮に来ていたのだった。 混乱したまま洞窟で寝入ったころ、一行の持ち物をあさる男を捕まえる。 そのこそ泥が、後に朝鮮の英雄となるイ・スンシンとわかる。

「朝鮮王朝実録」という歴史書からアイディアが出ているのだそうですが、韓国版『戦国自衛隊』といえばわかりやすいでしょうか。 戦車や飛行機はなく、抱えていた銃器を持ち込んだだけですが、過去の住民たちが驚くには十分。 南北の兵士たちは追うもの、追われるものであったため、タイムスリップ先でもいがみあい、 隠れ住むボロ家で境界線をひいたりしています。 会話に南北間の違いが垣間見られて面白いです。 天才核物理学者役のコン・ヒョジンがあまりに普通のおねえちゃんで、 天才学者にはとうてい見えないのは彼女の風貌もですが、服装がいまひとつふたつ。 壁いっぱいに計算すれば彗星の軌道がわかるのか(天才だから?)とか、 なぜ核弾頭のスイッチが入っていて、その進み具合違うのかなど、つっこみどころ満載です。 しかし、いかにも生真面目なファン・ジョンミンが、蛮族の襲撃に怯える村人を助け、 英雄になるはずの男を叱咤激励しと頑張っていますし、 キム・スンウの軍服姿もうるわしいです。 イ・スンシンは豊臣秀吉の水軍を破り、民族の英雄と呼ばれている人物です。 扮するパク・チュンフンは、最初の駄目男から徐々に雄雄しく変貌していく様を見せ、 いいところをさらって行きました。主役はこの人?(白)

2005/韓国/カラー/106分/ビスタサイズ/

配給:SPO 宣伝:アンカープロモーション

★9月23日(土・祝)より、シネマート六本木ほか全国ロードショー
http://www.cinemart.co.jp/tengun/


『記憶の棘』(原題:Birth)

監督・脚本:ジョナサン・グレイザー
共同脚本:ジャン・クロード=カリエール、マイロ・アディカ
撮影監督:ハリス・サヴィデス
音楽:アレクサンドル・デプラ
衣裳:ジョン・ダン
キャスト:ニコール・キッドマン(アナ)、キャメロン・ブライト(少年ショーン)、ローレン・バコール(アナの母)、ダニー・ヒューストン(ジョゼフ)、アン・ヘッシュ(クララ)、ピーター・ストーメア(クリフォード)ほか

アナの夫ショーンは10年前にジョギング中に急逝した。彼女は10年を経てようやくジョゼフと再婚して新たな人生を歩む決心をしたところだ。アナの母の誕生日で家族が集まる場に、突然10歳の少年が現れ「ぼくはショーン、君の夫だ。ジョゼフと再婚しないで欲しい。」と言い始める。アナを初め、誰もが悪い冗談だと本気にしなかったが、その真剣な瞳や夫婦の間でしか知り得ないようなことまで知っていることから、アナは激しく動揺し始める。

輪廻転生という東洋的思想は香港やタイの映画などアジアの映画では良く題材になりますが、アメリカ映画では珍しいですね。ファンタジーでありながら、リアルにこだわった為にちょっとどっちつかずな印象ですが、映像の美しさは特筆すべきものがあります。ベリーショートにしたニコール・キッドマンはその完璧なまでのデコルテ・ラインを見せて美しさが際だちます。またショーン役のキャメロン・ブライトは顔立ちや身体はあどけない少年なのに、瞳の奥に憂いを宿した大人の目をしていて驚きです。(梅)

2004/アメリカ/カラー/ビスタサイズ/1時間40分
配給:東芝エンタテインメント

公式 HP >> http://www.kiokunotoge.jp/

★9月23日(土・祝)より、シャンテシネ、新宿武蔵野館ほか めぐり合うロードショー


2006年9月16日頃〜

『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』

監督・特技監督:小中和哉
監修:円谷一夫
プロデューサー:鈴木清
脚本:長谷川圭一
美術:大澤哲三
編集:松本朗
音楽:佐橋俊彦
音楽プロデューサー:玉川静
CGI監督:板野一郎
主題歌・挿入歌:KIYOSHI (氷川きよし)
出演:五十嵐隼士( ヒビノ・ミライ/ウルトラマンメビウス)、黒部進(ハヤタ/ウルトラマン)、森次晃嗣(モロボシ・ダン/ウルトラセブン)、団時朗(郷秀樹/ウルトラマンジャック)、高峰圭二(北斗星司/ウルトラマンエース)、いとうあいこ(ジングウジ・アヤ)、田中碧海(タクト)、堀内正美、山田まりや、アメリカザリガニ、布川敏和、田中実、風見しんご他

20年前、ウルトラ4兄弟が力を合わせて、究極超獣Uキラーザウルスと戦ったことがあった。 彼らのエネルギーの殆どを使って神戸沖に封印したため、再び変身することが不可能になっていた。 4人は地球人として穏やかに暮らしていたが、Uキラーザウルスを蘇らせようとたくらむものが現れた。 “ウルトラマンメビウス”であるCREW GUYS隊員ヒビノ・ミライは異変を感じ、調査のため神戸に向かっていた。 同じく異変を察知していた海洋学者のジングウジ・アヤとその弟のタクトに出会う。

ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品。「ウルトラマン」のTV放送開始は1966年7月7日。 私も観ていて主題歌や怪獣のいくつかが記憶に残っています。 現在TVでは五十嵐隼士主演で「ウルトラマンメビウス」が放映中。 親子2代、もしかしたら3代に渡ってのファンがいるかもしれないこのシリーズ、試写室は男性ばかりでした。
すっかり渋いオジサマになったウルトラ4兄弟(怪獣、超獣たちも年を取ってるのかしら?)。 若き日の懐かしい映像も織り交ぜて、ヒーローのピンチにかけつける兄弟たちと超獣のバトルが大画面に繰り広げられます。 いまだに町を壊しながらの肉弾戦なのね。 変身ポーズや得意技も懐かしい! そうそう、小さなウルトラマン・ファンとの交流も見逃せません。 タクト役の田中碧海(たなかおうが)くんは『花よりもなほ』の吉坊。 エンディングでも懐かしい人たちの顔が観られますので、最後までお席に。(白)

2006/日本/カラー/1時間46分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/
配給:松竹株式会社
http://www.ultraman-movie.com/

★9月16日(土)より全国ロードショー


『海と夕日と彼女の涙 ストロベリーフィールズ』

監督・脚本・編集:太田隆文
撮影:三本木久城
音楽:遠藤浩二
出演:佐津川愛美(夏美)、谷村美月(マキ)、芳賀優里亜(理沙)、東亜優(美香)、浪岡一喜(鉄男)、伊藤裕子(京子先生)、小西博之(夏美の父)、三船美佳(春美)ほか

古い木造校舎で高校生活を過ごした夏美には、3人の級友たちとの忘れられない2日間の思い出があった。おとなしくていじめられッ子だった夏美は友達もいなかったのだが。ある日同じクラスのマキが柔道の大会に出場することになり、クラスから美香、 理沙、夏美の3人が代表で応援に行くことになった。夏美は大好きな8mmカメラを持参し、マキたち3人の笑顔を写していた。ところが会場に向かう途中で車は事故に遭い、夏美以外は死んでしまう。1人残った夏美が泣きながら名前を呼ぶと、なんと3人は48時間の期限付きで現世に戻ってきた。しかし彼女たちの姿が見え、会話ができるのは夏美だけ。残された時間でなにができるのだろうか、みんなの望みを叶えようと夏美は孤軍奮闘する。

佐津川愛美(さつかわあいみ)、谷村美月(たにむらみつき)、芳賀優里亜(はがゆりあ)、東亜優(ひがしあゆ)ら主演の女の子たちそれぞれがとても可愛くて、友達がいないという設定に無理があるなぁと思いました(笑)。親世代の私から見ると、 時間限定でせっかく戻ってきたのに、ぼーっとしている彼女らに「家に帰んないの?」「したいことないの?」と思わずあれこれ言いたくなります。あー歯がゆい。 これが長編第一作の太田隆文監督は、この和歌山県田辺市出身だそうで故郷への愛は十二分に伝わりました。『パッチギ!』で注目していた波岡一喜と死神さんがいい味出しています。(白)

佐津川愛美は『蝉しぐれ』でデビューし注目され、今年は『笑う大天使』にも出演していました。谷村美月は『カナリア』の主演で映画デビュー。現在NHKで放映中の「生物彗星WoO」に主演しています。芳賀優里亜は「仮面ライダー555」でブレイクし、今年は『マスター・オブ・サンダー 決戦!!封魔龍虎伝』にも出演。東亜優は宮藤官九郎脚本の話題の昼ドラ「吾輩は主婦である」でミッチー(及川光博)と斉藤由貴の娘役を演じていました。それぞれ今後を期待される若手女優たちです。涙いっぱいの演出にもう少し変化があれば、可愛い彼女たちの魅力をもっと発揮できたのではと思います。(梅)

★アジア海洋映画祭参加作品 9月1日、2日に上映が決定しています。
2006/日本/カラー/91分

公式 HP >> http://sbf.goo.ne.jp/ 公式ブログ >> http://blog.goo.ne.jp/umitoyuuhi

★ 9月16日(土)〜渋谷シアター・イメージフォーラムにてモーニングショー(10時45分より連日朝1回上映)


『出口のない海』

監督:佐々部清(『半落ち』『チルソクの夏』)
原作:横山秀夫(「出口のない海」講談社刊)
脚本:山田洋次、富川元文
主題歌:竹内まりや「返信」(ワーナーミュージック・ジャパン)
出演:市川海老蔵、伊勢谷友介、上野樹里、塩谷瞬、柏原収史、伊崎充則、香川照之、古手川祐子、三浦友和

1945年、太平洋戦争末期。戦局が日本にとって最悪の状況へと向かう中、日本海軍は最後の秘密兵器「回天」の開発を行っていた。高性能魚雷を一人乗り用潜水艦に改造したもので、敵艦へ体当たりして爆破させる究極の兵器だ。もちろん脱出装置はない。
この海の特攻部隊と言える任務に、多くの若者たちが自ら志願した。並木浩二(市川)もその一人だった。明治大学の野球部のエースピッチャーだった彼は、野球を、そして家族や友人たちや恋人を愛していた。部隊の仲間である北(伊勢谷)、佐久間(柏原)、沖田(伊崎)たちそれぞれも、迷いや恐れを抱きながら、ただ愛する者たちを守りたいと願い、艦長(香川)からの出陣命令を待っていた。

作品では回天の操縦訓練の描写に多くの時間が割かれていて、回天の操縦がどれだけ困難であったか、またその内部が操縦する者にとってどれほど狭い閉鎖空間であったか(観ているだけで息苦しくなる)がよくわかる。こんなもの到底人が乗るべきものではない。今から見れば試作品以下の出来だ。それでも作戦実行に踏み切ったことからも、当時の日本軍がどれほど焦り、常軌を逸していたかが知れる。
主人公の並木は大学生で戦況の悪化についても知っていて、親しい者の前では「日本は戦争に負けるだろう」とまで言っている。それでも世の大局に飲み込まれ、自ら海軍へ志願する。父の「敵を見たことはあるか?」「国家とは何だろうか?」という静かな問いかけに、十分な答えを持たない自分に気付きながらも。この状況に陥ってしまっては、どんな良識も冷静さも一般国民にとっては手遅れだったのだろう。
同時多発テロ以降、世の中が次第に民族主義に傾き、異文化への無知から来る不寛容がはびこってきている。それは悲劇への第一歩だと気づいているだろうか? 再び、彼らのように輝く未来への希望を捨てざるを得ない若者たちを生み出さぬように、今一度、回天に乗り込んだ彼らの切ない願いに思いを馳せてみてはいかがだろう。(梅)

2006年/日本/121分/ビスタサイズ
製作:松竹/ポニー・キャニオン/住友商事/テレビ朝日/衛星劇場/スカパー・ウェルシンク/IMAGICA/講談社/メモリーテック/Yahoo! JAPAN/朝日新聞社/東京都ASA連合会/アドギア/メ〜テレ/山口放送
配給:松竹

公式 HP >> http://www.deguchi-movie.jp/



2006年9月9日〜

『靴に恋する人魚』(人魚朵朵 THE SHOE FAIRY)

監督・脚本:ロビン・リー
撮影監督:チン・ディンチャン
美術・衣装:ワン・イーフェイ
音楽:ダニー・リャン
企画:Focus Films Ltd.
ナレーション:アンディ・ラウ
挿入歌:ビビアン・スー
出演:ビビアン・スー(ドド)、ダンカン・チョウ(スマイリー)、タン・ナ(魔女/靴屋)、チュウ・ユェシン(ジャック社長)、ラン・ウェンピン(ビッグ・キャット)ほか

あるところにドドという可愛い女の子がおりました。 楽しみは寝る前に絵本を読んでもらうこと。 パパが高い棚に上げてしまった『人魚姫』を読んで心配になりました。 ドドは歩くことができなかったのです。 足をもらうと声が出なくなってしまうの? パパとママはドドに手術を受けさせ、ドドが麻酔で眠っているとき、魔女が言いました。 「・・・幸せとは黒い羊と白い羊を手に入れること・・・」
手術は成功して、ドドはまっすぐな足の美しい娘に成長しました。 出版社で働くドドは綺麗な靴が大好き。 ウインドウに並ぶ靴を見ると連れて帰りたくなるのです。 ドドに選ばれなかった靴はぽろぽろと泣いてしまうのでした。 大好きな靴の手入れをしていた日、急に歯が痛くなったドドはスマイリー歯科に行きました。 真っ白な歯のスマイリー先生はドドの王子様になりました。 さて羊はどこにいるのでしょう?

童話がたくさんちりばめられた大人のためのラブストーリー。 日本では久し振りにお目見えのビビアン・スーが主演。 可愛いファッションで楽しませ、ちょっぴり泣かせます。 素敵な王子様役は『僕の恋、彼の秘密』、『セブンソード』のダンカン・チョウ。 ロビン・リー監督はこれが長編デビュー作ですが、ただのメルヘンに終わらないしっかりした演出力とセンスの持ち主です。 200足もの靴や衣装、絵本のように可愛いセットやインテリアなどなど、ストーリー以外にもお楽しみがたくさん。
歌手のタン・ナ、「猪頭皮」として知られるチュウ・ユエシュンらのキャストに加え、アンディ・ラウがナレーションをつとめています。 この作品は、彼が率いる映画会社フォーカス・フィルムズが2005年に発足させた、若手監督支援プロジェクト「FFC:アジア新星流」の1本。(白)

2005/台湾/カラー/95分/1:1.85/SRD/
提供:IMX
宣伝:マジックアワー

http://www.ffcjp.com/kutsu/index.html

★9月9日(土)より、新宿武蔵野館にてロードショー


『弓』

監督・脚本・製作:キム・ギドク
製作総指揮:鈴木径男、池田史昭
撮影監督:カン・ヨング
出演:チョン・ソンファン(老人)、ハン・ヨルム(少女)、ソ・ジソク(青年)、チョン・グクァン(青年の父親)ほか

海に浮かぶ古い船に、老人とどこからか拾われてきた少女が2人きりで住んでいる。 老人は少女を宝物のように育て、17歳になった日彼女と結婚するのを楽しみに生きている。街に出るたび美しい婚礼衣裳を少しずつ調えてきた。一日が終わるとき、カレンダーに×印をつけ、少女の手を握って彼は眠りに入る。
船にやってくる釣り客は2人を好奇の目で見、少女に手を出そうとする男もいたが、 老人は得意の弓で少女を守ってきた。2人の愛情は揺らぐことがないように見えたが、ある青年に少女が心ひかれたことから、老人は嫉妬にさいなまれる。

老人と少女は一言もセリフがなく、老人が持つ弓矢、奏でる楽器、少女の視線と微笑みが彼らの言葉代わり。「弓占い」をしたときだけ、少女は結果を老人に耳打ちしますが、それは観客には聞こえません。釣り客と青年だけが普通のセリフを話します。 青年の問いかけは当たり前のことですが、船は2人の聖域で老人には通じません。 『サマリア』のハン・ヨルムがこの作品でも微笑んでいて、無垢な少女にも妖艶な娼婦にも見えます。チョン・ソンファンは『清風明月』に出演していますが、この前来日公演のあったミュージカル『ジキルとハイド』にとっても似た人が出ていたのです。主役の説明しかないので確認できませんが、別人かな。
孤独な老人が純愛を捧げるストーリーですが、私はすごく居心地が悪かったです。海も風に吹かれる布も弓の音色も美しいのに、人間の業がからみついてくるような思いがしました。これがキム・ギドク的? みなさんはなんと観るでしょう。(白)

第58回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」オープニング上映作品

2005/韓国/カラー/ドルビーSRD/アメリカンビスタ/90分
提供:ハピネット
配給:東京テアトル、ハピネット
宣伝:ナインエンタテインメント

公式 HP >> http://yumi-movie.net/

★9月9日(土)より、Bunkamuraル・シネマにてロードショー


『アガサ・クリスティーの奥様は名探偵』(原題:Mon petit doigt m'a dit...)

監督:パスカル・トマ
共同脚本:フランソワ・カヴィリオーリ、ナタリー・ラフォリ、パスカル・トマ
原作: 「親指のうずき」アガサ・クリスティー著
撮影:ルナン・ポレス
音楽:ラインハルト・ワグナー
キャスト:カトリーヌ・フロ(プリュダンス)、アンドレ・デュソリエ(ベリゼール)、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド(ローズ)、ヴァレリー・カプリスキ(ブレイ)、ローラン・テルジェフ(アネット)、フランソワーズ・セニエ(アダ伯母)ほか

フランスの田舎で悠々自適の生活を送るベリゼールとプリュダンス夫妻。好奇心旺盛なプリュダンス奥様に、旦那様は退屈している暇がない。二人でアダ叔母さんの住む高級老人ホームを訪ね、プリュダンスはローズという老婦人に出会い不思議な言葉をかけられる。後日アダが亡くなり、遺品の整理に再訪して一枚の風景画に目が止まる。それはローズが贈ったもので、どこか見覚えのある屋敷が描かれていた。しかも彼女は突然ホームから姿を消してしまっていて、プリュダンスは気になってしかたがない。ベリゼールが出かけるのをまちかねて、さっそくローズの行方と屋敷の捜査を開始する。すぐに帰れるはずだったのだが・・・。

アガサ・クリスティーが創造したポアロ、ミス・マープルに継ぐ人気キャラクターのおしどり探偵「トミー&タペンス」がスクリーンに登場。カトリーヌ・フロとアンドレ・デュソリエのおしゃれで軽妙な夫婦の会話を楽しんでください。日本の中年夫婦ではなかなかこうはいきません。お屋敷もファッションもお金かかっているんですわ。この二人と脇を固める豪華キャストたちが、クリスティーお得意の美しい田園風景に隠れたミステリーを展開させていきます。プレスにはクリスティ作品の解説も詳しく載っていて、また読み返してみたくなりました。(白)

2005/フランス/カラー/105分/1:1.85)ドルビーSRD
提供・配給:ハピネット
宣伝:セテラ・インターナショナル

公式 HP >> http://www.okutan.jp/

★9月9日(土)より、シネ・スイッチ銀座にて奥様探偵“捜査開始”


2006年9月2日〜

『ONE LOVE』

監督:ドン・レッツ、リック・エルグッド
出演:キマーニ・マーリー、シェリーヌ・アンダーソン、アイドリス・エルバ

音楽を心から愛する青年カッサ。仲間たちとバンドの練習をしていたとき、地元のラジオ局が主催のコンテストが行われると知る。賞金は2万ドル、しかも有名な音楽プロデューサー・セレクターGのスタジオで録音できる! スタジオ録音の日、カッサは教会のゴスペル・グループで歌うセリーナに出逢い、その声に魅了されてしまう。彼女に自分のバンドで歌ってくれないかと誘うが、セリーヌはゴスペル以外の歌を歌うことは禁止されていた。その上、牧師である彼女の父や婚約者は異教のラスタファリアンであるカッサを蔑視し、娘に近づかせまいとする。それでもセリーナはカッサと音楽を通して徐々に心を通わせていく。そんなとき、カッサたちはセレクターGから契約を持ちかけられる。しかしそれはセレクターGの罠だった。

ジャマイカから南国の太陽のようにストレートに愛と平和を奏でるレゲエ・ムービーが届きました。主演のキマーニ・マーリーはボブ・マーリーの息子で自身もミュージシャン。(ちなみにボブ・マーリーの子供は11人以上います。) ヒロイン役のシュリーヌ・アンダーソンはシンガーとしても活躍しています。二人とも素晴らしい声の持ち主で、数々の歌のシーンは心躍ります。またレゲエ、ゴスペル、ラスタファリズム、キリスト教、呪術、海、森などなど、ジャマイカの様々な面をギュッと凝縮して詰め込んでいて、初めてジャマイカやレゲエに触れる者にとっては、珍しいことだらけで興味は尽きません。どうぞこの夏はこの作品を観て、復活したレゲエ・サンスプラッシュ(8月19日横浜にて開催)にでも行って、レゲエにはまっちゃってください。(梅)

2003年/ジャマイカ、ノルウェー、イギリス/96分/COLOR

公式 HP >> http://www.onelove-movie.jp/

★9月2日(土)より、シアターN渋谷にてロードショー


『トリノ、24時からの恋人たち』DOPO MEZZANOTTE

製作・監督・脚本:ダヴィデ・フェラーリオ
撮影:ダンテ・チェッキン
音楽:バンダ・イオニカ、ダニエル・セーベ
キャスト:ジョルジョ・パゾッティ(マルティーノ)、フランチェスカ・イナウディ(アマンダ)、ファビオ・トロイアーノ(アンジェロ)、フランチェスカ・ビコッティ(バルバラ)、シルヴィア・オルランド(語り手)ほか

イタリアの映画都市として知られるトリノの象徴は“モーレ・アントネッリアーナ”。元々教会として建てられたが、今は国立映画博物館となっている。夜警として働くマルティーノはシャイな映画好き。いつも1人で大好きなバスター・キートンのフィルムを楽しみ、大切にしている手回しカメラで自分の映画を撮り貯めている。
マルティアーノがいつも寄るハンバーガーショップのアマンダは、時間通りに仕事を終えると終バスに間に合わない。今日も店長ともめてしまった。恋人のアンジェラは車泥棒が生業。2,3人の手下を使って連携プレイをする。ちょっといい男なので、ルームメイトのバルバラもアンジェラを狙っている。アマンダがついに店長に切れてしまった晩、逃げ込んだのはマルティアーノの働くモーレだった。

主な舞台となるのは夜の映画博物館で、これだけでも作り手の映画への愛情が伝わってきます。そこで働く寡黙なマルティーノは、古いサイレント映画から全てを学んでいるような青年です。映画漬けの暮らしの中に恋人のいる女の子が飛び込んできて、1人の女に2人の男という黄金の△関係ができます(トリュフォーの映画の引用ももちろん出てきます)。このマルティアーノの現実の生活と、彼の好きな映画のシーンが交互に出てきて、これがなかなか楽しいのです。気がつけばずーっと顔がにやけていました。3人の俳優も個性的ですし、低予算・短期間で撮ったとは思えない作品でした。もうひとつの『ニュー・シネマ・パラダイス』かな?いつかあの映画博物館をゆっくり見たいです。
マルティーノが太極拳を練習するシーンがありますが、演じたジョルジョ・パゾッティは北京大学卒で、香港のカンフー映画に出演したこともあるのだとか。へぇ!(白)

2004/イタリア/カラー/1時間33分/1:1.85/ドルビーデジタル

公式 HP >> http://www.crest-inter.co.jp/torino24/

★9月2日(土)より、Bunkamuraル・シネマにて輝くようにロードショー!


『マイアミ・バイス』

監督・脚本・製作:マイケル・マン(『ヒート』『コラテラル』)
撮影:ディオン・ビーブ(『SAYURI』)
音楽:ジョン・マーフィー(『スナッチ』『ミリオンズ』)
出演:コリン・ファレル(『S.W.A.T.』)、ジェイミー・フォックス(『Ray/レイ』)、コン・リー(『愛の神、エロス』)

ソニー・クロケット(コリン・ファレル)とリカルド・ダブス(ジェイミー・フォックス)は強い絆で結ばれたマイアミ警察特捜部(バイス)の敏腕刑事コンビ。彼らの情報屋が家族を殺され、自分も自殺するという事態が起きた。同時にFBIの麻薬囮捜査官2人も殺害される。どうやら麻薬密売組織にアメリカ司法機関の合同捜査情報が流れているらしい。FBIは合同捜査とは関係のない彼らに潜入捜査を依頼する。それは孤立無援の危険な捜査だったが、2人は引き受ける。運び屋として組織への接触に成功した2人だが、クロケットは組織内部と深く関係しているらしい美女イザベラ(コン・リー)と恋に落ちてしまう。

1986年から88年にかけて日本でもテレビ東京系列で放送された「マイアミ・バイス」は、ドン・ジョンソンとフィリップ・マイケル・トーマスによるコンビでオシャレな演出にハードな物語という、マイアミという街そのものを巧みに表すようなテレビドラマで、世界的にヒットしました。この映画は登場人物や設定はそのままですが、焦点は潜入捜査の危険でドラマチックな面を再現することに当てていて、テレビの時のような軽いノリは無く、ダークでリアルです。特に、麻薬組織と警察の銃撃戦のシーンは、撃ち合う人間の視点で撮したアングルが多用され、着弾の音も凄くて迫力です。テレビドラマとは違うものと思って観た方が楽しめるかも知れません。(梅)

2006年/アメリカ/132分/シネマスコープ/DTS,SRD,SDDS,SR/Technicolor
ユニバーサル映画 UIP配給

公式 HP >> http://www.miami-vice.jp/

★9月2日(土)より、日劇ほか全国拡大ロードショー


2006年8月26日頃〜

『親指さがし』

監督:熊澤尚人
脚本:まなべゆきこ、高橋泉
原作:山田悠介「親指さがし」(幻冬舎文庫刊)
撮影:斉藤幸一
VE:さとうまなぶ
音楽:安川午朗>br> 美術:松本知恵
キャスト:三宅健(武)、伊藤歩(知恵)、松山ケンイチ(智彦)、永井流奈(綾)、尾上寛之(信久)、小野明日香(由美子)、手塚里美(由実子の母)、佐野史郎(刑事)ほか

12歳の夏、「死んだ子のなくなった親指を見つけたら願いが叶うんだって」と、由美子が始めた「親指さがし」ゲーム。 他愛ない遊びだったはずなのに、気がつくと由美子だけが消えてしまっていた。 始める前「もし私がいなくなったら探して」という由美子に、武は「きっと探し出すよ」と約束していたのだったが・・・。
それから8年がたった8月13日。母校で開かれた同窓会で、武、知恵、智彦、綾、信久たち5人は久し振りに再会する。武が4人に頼んだのは「親指さがしをもう一度、一緒にやってほしい。由美子のために」。 旧友たちは困惑しながらも、武の願いどおりゲームを再現する。

「リアルおにごっこ」で作家デビューした山田悠介の原作を『ニライカナイからの手紙』の熊澤尚人が監督。 V6の三宅健が初めて単独主演した作品です。 子供のころの記憶を封印したまま20歳になった5人が、行方不明になってしまった1人を探すのですが、わりあいあっさりしていてそんなに怖くありません。 原作者もその読者も若いせいでしょうか。 そんなに作りこまれていない感じがしました。 子供ってなんでわざわざ怖い遊びをするのかな。 考えると昔話も結構残酷だったりするし、今も残っている「かごめかごめ」や「はないちもんめ」などは「マザーグース」同様、「本当は怖い」んですよね。(白)

2006/日本/カラー/35mm/ビスタ/96分
http://oyayubisagashi.com/index.html
配給:ザナドゥー
(c)2006 映画「親指さがし」製作委員会

8月26日(土)、全国ロードショー

[ザナドゥーからのお知らせ]

全国の公開劇場において、本篇上映前に出演者の三宅健、伊藤歩、松山ケンイチ、永井流奈、 尾上寛之による、"舞台挨拶"プレミアムメッセージの上映が決定いたしました。
本メッセージは上映劇場のみにて観ることのできるもので、普段、舞台挨拶等でまわることのできない地区のお客様にも楽しんでいただけるものと思います。

■上映期間 : 8月26日(土)〜9月8日(金)(予定)
■場所 : 全国の映画『親指さがし』上映劇場


『幻遊伝』(原題:神遊情人)

監督:陳以文(チェン・イーウェン)
脚本:陳以文(チェン・イーウェン)、法四(ファースゥ)
撮影:リー・ヒンビン
音楽:神尾憲一
アクション監督:李忠志
キャスト:田中麗奈(シャオディエ/チンディーズ)、大杉漣(父親)、チェン・ボーリン(アミン/ハイション)、リー・リーチュン(百鶴道士)、ホン・ティエンシャン(アーゴウ)、ミャオ・ツーチィエ(浄心道士)、北村豊晴(キョンシー)、タイパオ(キョンシー)ほか

シャオディエ(小蝶)は台北生まれのいまどきの女の子。 母は小さい頃に亡くなって、漢方薬店を営む父と二人暮しだ。 両親の故郷の日本に行きたくて、毎日のように親子喧嘩をしている。 今日も夜遊びをした挙句、悪友達と映画の撮影所に忍び込んのだが、シャオディエだけがなぜか過去の世界にタイムスリップしてしまう。 女盗賊に間違えられ役人に追われたり散々な目にあう。 そして出会ったのは、キョンシーを送り届ける百鶴道士、貧しい村のために盗みを働いたハイションとアーゴウ。 元の世界に帰れないシャオディエは彼らと一緒に旅を続けるが、現代では目覚めない彼女を父とアミンが見守っていた。

異世界に飛び込んでしまったヒロインが、様々な人に出会い、困難をクリアして成長するというロールプレイングゲームのような作品。 田中麗奈が現代からやってきた少女と、過去での女盗賊の二役をこなし、アクション初挑戦しています。 チェン・ボーリンも同じく二役、過去でのシャオディエとのロマンスは胸キュンもの。 サモハンの長男のホン・ティエンシャン(洪天祥)も軽快な演技。 香港ものとちょっと違うキョンシー、上海・松江のオープンセットでの撮影も見所のSFアドベンチャー。 ボスキャラとの戦いが意外にあっさりでしたが、女盗賊を主役に続編の構想もあるようです。 (白)

2006/カラー/1時間42分/ビスタサイズ/SRD/
配給・宣伝:角川ヘラルド映画

8月26日(土)より【Q−AXシネマ】他にて時空を越えるロードショー!


【蔡明亮=監督・製作作品3本!!!】 『楽日』 『迷子』 『西瓜』

『楽日』(原題:不散/Goodbye, Dragon Inn)

監督・脚本:ツァイ・ミンリャン(蔡明亮)
製作:リァン・ホンチー
撮影:リャオ・ペンロン
美術:ルー・リーチン
編集:チエン・シェンチャン
衣裳:スン・ホイメイ
出演:チェン・シャンチー(陳湘?h)、リー・カンション(李康生)、三田村恭伸、ミャオ・ティエン(苗天)、シー・チュン(石雋)、ヤン・クイメイ(楊貴媚)、チェン・チャオロン(陳昭榮)ほか

今日で閉館という台北の古い映画館(福和大戯院)。 最後の映画はキン・フ−の傑作『血闘竜門の宿』が、大スクリーンに映し出されている。 しかし客はまばら。 そんな中で食い入るようにスクリーンを観ているのは往年のスター、ミャオ・ティエンとシ−・チェン。 彼らは今日最後の映画の主演男優たち。
さて一方、闇と大音響に隠れて繰り広げられる男たちの集い場のトイレでは、孤独な男たちがうごめく。
そんな場内の出来事も知らないで、足の悪い受付係りの女(チェン・シャンチ−)は、桃饅頭を保温器に入れ、映写技師に届ける。 その最後のプレゼントに思いを込めて。

ゆっくりとした流れの中に身体を預けて、観ていただきたい作品です。 巨大なスクリーンが大きくうねっている中で激しく戦う剣士の表情がとても新鮮で、 客席にはその剣士の面影を宿した往年のスターが目に涙を浮かべ見入っています。 劇場も往年の俳優も一体となって、過去との決別を確認しあっているようでした。 この映画の終盤に、上映が終わったスクリーンを5分間不動で写し出していました。 この5分の中には(二度と取り戻すことができない)何かがたくさん含まれているんだと感じ、 波のように哀しみが押し寄せて来ました。
さて、楽日で日本の俳優さんがデビューしました。 彼はトイレに集う男の役でせりふは確かではありませんが、 (僕は○○です 日本から来ました)だけだったと思うのですが、 急に日本語が出てきたのでインパクトがありました。 最後のタイトルロールでは山田村恭伸となってましたが、それは間違いで三田村恭伸さんです。 彼はツァイ・ミンリャン監督の『青春神話』を観て衝撃的に会いたくなり、 制作会社だけを頼りに台湾へ行き、出会いを実現させたそうです。(美)

2003年/台湾/カラー/ビスタ(1:1.85)/82分/

2003年 ヴェネチア国際映画祭 国際批評家連盟賞 受賞

★8月26日(土)より 渋谷ユーロスペースにてロードショー

『迷子』(原題:不見/The Missing)

監督・脚本:リー・カンション(李康生)
製作:ツァイ・ミンリャン
撮影:リャオ・ペンロン
美術:ルー・リーチン
編集:チェン・シェンチャン
出演:ルー・イーチン(陸弈静)、ミャオ・ティエン(苗天)、チャン・チェア(張捷)ほか

不安が人に思いがけない行動を起こさせる。 原因不明の伝染病の記事を読み、突然新聞紙を切り刻み部屋中にばらまく老人。 金魚鉢にも・・・、共有階段にも・・・。
一方、三歳の孫が公園で迷子になり、探し回る中年女は、 もうこのまま出てこないのではと不安に駆られ、 断りもなしに見ず知らずの男のオートバイの後ろに乗り「街中をさがして!」と懇願する。 最後は死んだ連れ合いの墓所まで行き、願をかける。

泣きながら孫の名を呼び、公園中の人に聞き廻るのは、 リー・カンション監督お気に入りマダム、ルー・イ−チン! 便所でしゃがみ込んで用を足している姿も、力尽きて鼻水垂らして泣いている姿も、 オートバイジャックをして喚いている姿も、驚くほど汚く、醜く、不様。 しかしどの場面も、彼女の引力で目をそらすことは出来なかった。 (美)

2003年/台湾/カラー/ビスタ(1:1.85)/88分/

2003年 釜山国際映画祭 最優秀アジア新人作家 受賞
2004年 ロッテルダム国際映画祭 タイガーアワード、NETPAC賞 受賞

★8月26日(土)より 渋谷ユーロスペースにてレイトショー

『西瓜』(原題:天邊一朶雲/The Wayward Cloud)

監督・脚本:ツァイ・ミンリャン
製作総指揮:ヴィンセント・ワン 製作:ブリュノ・ペズリー
撮影:リャオ・ペンロン
美術:イップ・カムティン
編集:チェン・シェンチャン
衣裳:スン・ホイメイ
出演:チェン・シャンチー(陳湘?h)、リー・カンション(李康生)、ルー・イーチン(陸弈静)、ヤン・クイメイ(楊貴媚)、夜桜すもも

極限状態の水不足が続く台湾の街。 テレビでは節水の方法として西瓜ジュースを奨励している。 帰国したばかりのシャンチーもせっせと作っている。 そんなある日、以前路上で時計を買ったことのあるシャオカンに会う。 鍵を無くしたスーツケースを開けてもらおうとシャンチーは彼を招待する。 二人はお互いに惹かれあい、少しずつ親密になるが・・・。 彼の今の職業はAV男優、しかもシャンチーの同じマンションが撮影現場! 彼女にばれたくない彼は、悪戦苦闘する。

『西瓜』は台湾で2005年の興行収入第1位を記録しました。 強烈なセックスシーンはタブーとされている台湾に衝撃が走った問題作です。 セックスシーンは凄いというほどではありませんが、西瓜を媒体としているところに凄みを感じました。 西瓜が粘膜(膣)、血、腹に取って代わる創造性は、観ているこちらが触られている奇妙な感覚がしました。 現実の生活、AV撮影シーン、空想上の鮮やかなミュージカルシーンを行き来するうちに、 登場人物の思いや焦りが伝わってきました。
見どころ1 夜桜すももさんのAV女優としてのプロ根性には頭が下がります! 見どころ2 ラストでシャオカンが究極の技でシャンチーに求愛します! 見どころ3 ルー・イーチンの蜘蛛女姿の舞踏! (美)

2005年/台湾/カラー/ビスタ(1:1.85)/112分/

2005年ベルリン国際映画祭 銀熊賞(芸術貢献賞)、アルフレッド・パウエル賞、国際批評家連盟賞 受賞

★9月23日(土)より 渋谷/シアター・イメージフォーラムにて
12:30/14:50/16:10/18:30 (レイトショー:20:50 9/23〜9/29)

配給:プレノンアッシュ
http://www.prenomh.com/

==カウントダウントークショー==

		◆ 第五弾 
		日 時:8月13日(日)
		受 付:15:00
		開 演:15:30
		ゲスト:西島秀俊(俳優)
		    ×三田村恭伸(『楽日』出演)
		場 所:T'S SALON 1Fイベントスペース
		     渋谷区渋谷1-6-8 渋谷井上ビル1F
		URL:http://www.salon.tsstyle.jp/map2.html
	  
		●第六弾 
		日時 :8月19日(土) 14:00〜16:00(予定)
		ゲスト: 斎藤綾子(作家/『愛よりも早く』、『ルビーフルーツ』など)
		    ×伏見憲明(作家/『魔女の息子』、『ゲイという[経験]』など)
		場所 :渋谷/T'S SALON 1F(http://www.salon.tsstyle.jp/map2.html
		●第七弾 
		日時 :8月20日(日) 15:00〜17:00(予定)
		ゲスト: 野崎歓(翻訳家・映画評論家)
		    ×三田村恭伸(『楽日』出演)
		    ×夜桜すもも(『西瓜』出演)
		  場所 :渋谷/COZMO'S CAFÉ & BAR(http://www.cozmoscafe.com/
◎料金はすべて 2500円均一(『楽日』『迷子』『西瓜』のいずれかのチケット付!選べます!)

蔡明亮倶楽部 HP
http://www.tml-movie.jp/index.html
ブログはこちら
http://tml.jugem.jp/


『青春☆金属バット』

監督:熊切和嘉
脚本:宇治田隆史
原作:古泉智浩(秋田書店ヤングチャンピオン刊)
撮影:橋本清明
音楽:赤犬(P-VINE)
主題歌:「ならば、友よ」野狐禅
出演:竹原ピストル(難馬)、安藤政信(石岡)、坂井真紀(エイコ)、上地雄輔、佐藤めぐみ、若松孝二(なぞの老人)、寺島進ほか

社交性はないが、未完成な愛があった。
高校の野球部でベンチを暖めていた難馬は、27歳になった今もコンビニのバイト店員。バイト仲間の女子高生には「キモイんですけど」と言われるし、店長にもまともに相手にされていない。毎日バイト先とアパートを往復し、バッティングセンターに行くだけだ。たった一つの目標は「究極のスイング」を体得すること。そのためにこの10年間毎日バットを振ってきたのだ。そんな難馬の前に巨乳自慢の酔っ払い女エイコが現れ、傍若無人な彼女に振り回されつつもなぜだか、アパートに泊める流れに。 おまけにエイコのせいで「バット強盗の2人組」として警察に追われることになってしまった。2人を見つけたのはやる気ゼロの不良警官、石岡。難馬を「バナンバ」と呼ぶ石岡は、同じ野球部でエースだったのだ。

主演の竹原ピストルは、フォーク・ロック・バンド「野狐禅(やこぜん)」メンバー。寡黙な青年をまるで地のように自然に演じています。エンディングの力強い歌を聞くと同一人物とは思えません。安藤政信はいつも不機嫌で投げやりな青年役。 酔っ払いで暴力的なエイコを坂井真紀。ほんっとに迷惑な女なのに、難馬はひかれていきます。巨乳だから、ばかりではなくどこか可愛いところがあるんです。要領よく生きられる人間もいるけれど、不器用な彼らは裏も表もなく、状況は悪く転がるばかり。この困った3人を結ぶのは「野球」で、「野球」に関わるときだけ笑顔になります。熊切監督の作品は痛いところもあるのですが、なんだかじんわりさせられます。 (白)

ダメダメな主人公たちの痛いシチュエーションをザラザラした映像で描く。じめっと暗くて、きつい作品になってしまいそうなものですが、意外にからっとして見終わったときに明るい気持ちにしてくれる青春映画になっているのは、監督の才能なんだと思います。映画のラストシーンを石岡(安藤)のあの一言で締めさせるなんて、最高です。(梅)

2006/日本/カラー/アメリカンビスタ/DTSステレオ/96分/PG-12
配給:ゼアリズエンタープライズ+日本出版販売

公式 HP >> http://www.s-bat.com/

★2006年8月26日(土)より、 渋谷シネアミューズ他にてロードショー


『ハイテンション』

監督:アレクサンドル・アジャ
脚本:アレクサンドル・アジャ、グレゴリー・ルヴァスール
特殊メイク:ジャネット・デ・ロッシ
出演:セシル・ドゥ・フランス、マイウェン、フィリップ・ナオン

アレックス(マイウェン)とマリー(セシル・ドゥ・フランス)は田舎にあるアレックスの実家で週末を過ごそうとやってきた。その夜、皆が寝静まった頃、正体不明の男がやってきて呼び鈴を押した。それは恐ろしい惨劇の幕開けだった。男はアレックスの一家を次々と惨殺し、アレックスを縛り上げて連れ去ろうとする。機転を利かしたマリーは男の魔の手を逃れ、アレックスを助けようと追跡を開始するのだが・・・

リュック・ベッソンのヨーロッパ・コープで製作されたフランス産のスプラッター映画という変わり種。タイトル通りハイテンションにこれでもかと残虐無慈悲な惨劇が繰り広げられる。スプラッター映画としてのお楽しみはきっちり押さえられていると思う。しかし、このエンディングはいかがなものか。これを許したら何でもアリになってしまうのでは?(梅)

2003年/フランス/カラー/スコープサイズ/ドルビーデジタル/91分
提供:ヨーロッパ・コープ、アレクサンドル・フィルム、アスミック・エース エンタテインメント
配給・宣伝:ファントム・フィルム
宣伝協力:アンカープロモーション

公式 HP >> http://www.hightension.jp/

★8月26日(土)より、お台場シネマメディアージュ、新宿オスカー他にてロードショー


2006年8月19日〜

『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』

監督:水田伸生
原作:一色まこと(講談社刊)
脚本:大森寿美男
音楽:岩代太郎
主題歌:サンボマスター「美しさと心の壁」(Sony Music Records Inc.)
出演:須賀健太、篠原涼子、西村雅彦、北村一輝、安藤希、杉本哲太、もたいまさこ

海辺の田舎町に住む花田一路(須賀健太)は有名な腕白少年。ある夏の日、トラックと衝突して意識を失う。そのまま天に昇っていこうとする一路を、セーラー服を着た謎の少女(安藤希)が引き留めて下界に突き戻したため、一命を取り留める。ところがそれ以来、一路には幽霊が見えるようになってしまった。助けてくれたセーラー服の少女の他に、死んだ近所のばあちゃんには犬のジロの世話を頼まれるし、一路の本当の父だと名乗る怪しげな男まで現れる。一路にとっては怖いばかりでとんだ迷惑の能力だが、次第に知らなかった大人たちの世界を垣間見ることになるのだった。

思いっきり笑って観られる作品かと思ったら、意外にも大泣きしながら観てしまいました。大人の都合で辛い思いをしながらも、健気にもそれを受け入れようとする子供たちの演技に涙を搾り取られました。一路の親友・壮太役の松田昴大くんが良い!(梅)

主演の須賀健太くん、『雨鱒の川』の舞台挨拶で見たことがある。 恥ずかしそうにでもしっかり挨拶していたなぁ。 『ALWAYS三丁目の夕日』でも元気な姿を見せていたけど、この作品ではくりくり頭でさらに腕白。 子供といっしょに観られるいい映画があると、未来の映画ファンが育つと思う。
西村雅彦70年代ファッションは笑えるけど、家族思いの「とうちゃん」を好演。 「かあちゃん」役の篠原涼子さんは綺麗だし、もたいさんはあいかわらずおかしいし、 VFXはつめこみすぎ?と思える話をひっぱっているし、で、 お子様といっしょに安心して観られる作品。(白)

企画・製作:日本テレビ放送網、光和インターナショナル
製作:バップ、読売テレビ、読売新聞、報知新聞、読売エージェンシー、松竹
配給:松竹

公式 HP >> http://www.hanada-shonen.com/

★8月19日(土)より夏休みロードショー!


『マスター・オブ・サンダー 決戦!! 封魔龍虎伝』

監督・動作設計:谷垣健治
脚本:谷垣健治、青木万央
撮影:芹沢亮
特技監督:小田一生
音楽:吉川晃司、特撮(大槻ケンヂ、NARASAKI、三柴理、ARIMATSU)
キャスト:木下あゆ美(アユミ)、芳賀優里亜(ミカ)、椿隆之(トオル)、永田杏奈(アンナ)、小松彩夏(カオリ)、アドゴニー・ロロ(アポロ)、平中功治(コースケ)、杉原勇武(イサム)、中村浩二(悪鬼)、松村雄基(小野篁)、J.J Sonny chiba/千葉真一(源流和尚)、倉田保昭(三徳和尚)、長谷部瞳(美央)、竹財輝之助、岡田秀樹ほか

かつて「青龍の7人衆」により封じられていた怨霊「小野篁(おののたかむら)」が、多くの悪霊を従え現世に蘇ってきた。 桔梗院の住職、三徳和尚の一番弟子イサムらは、怨霊の潜む五重塔へ向かうが、篁の配下の悪鬼に瞬く間に打ち倒されてしまう。 桔梗院に預けられていたアユミはこの光景を目撃し、三徳和尚はアユミに鬼封じの歴史を語った。 三徳は「鬼封じ」の法力を持つ「青龍の7人衆」の一人であり、戌年の今年は12年に一度の「鬼封じの年」だということ。 しかし、鬼/怨霊の力は強大で今のままではとても勝ち目がない。 アユミは一人山を降りて「青龍の7人衆」の縁者を探すことにした。

戦隊・ヒーローもので人気の若手俳優たちと、アクション好きにはたまらない千葉真一&倉田保昭の顔合わせが観られる(よくぞ揃えてくださいました!)作品。 谷垣健治監督が、「青春スポ根ものです」という初の劇場公開作品は、両方のファンを取り込める楽しいものとなりました。 集まった7人は修行も能力もとても足りなそうなへなちょこぶりだし、冒頭の1人勝ちの悪鬼は強すぎるし(中村浩二さんすごいです。お疲れ様でした)、絶対に勝てないわ、こりゃと思えるのです。 が、文句言いつつ脱落もせず一所懸命な7人(特に女の子頑張ってます)と、彼らの対極にいる二人の重鎮がひとつのストーリーに収まっているのです。 今までもこれからも観られないだろうベテラン二人のアクションと、これから伸びていくに違いない若手をぜひチェックしましょう。

うんちく:小野篁(おののたかむら)は平安時代の実在の人物で、小野小町は彼の姪と言われています。 文武に優れ、多くの和歌が残されていて「わたの原八十島(やそしま)かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人(あま)の釣り船」が有名です。 6尺2寸の美丈夫で腹違いの妹と恋に落ちたとか、閻魔大王の臣下で井戸を通ってこの世と黄泉の国を行き来したとか伝えられています。 この作品には篁伝説のネタがちゃんと仕込まれていました。

本誌68号(8月発行予定)に谷垣監督インタビュー掲載予定です。(白)

冒頭の悪鬼vs三徳和尚の弟子100人の長回しは谷垣監督の意気込みを感じる迫力のシーンです。ステディカムを背負って何テイクも撮ったカメラマンさん、本当にお疲れ様でした。
若手の俳優陣のがんばりは爽やかで好感が持てます。ベテランの2人のがっぷり四つに組んだ対決は今後もう観る機会が無い貴重なものでしょう。そして松村雄基さんの劇画から抜け出てきたような哀しみの怨霊がいいんですわ。(梅)

2006/日本/ カラー/92分/1:1.85ビスタサイズ/DTS/
配給:日活株式会社

http://www.m-thunder.com/

オリジナル・サウンドトラック:徳間ジャパンコミュニケーションズより8月2日発売

★8月19日(土)、シネマート六本木ほか伝承開始!


『マッチポイント』

監督・脚本:ウディ・アレン
撮影:レミ・アデファラシン
美術:ジム・クレイ
キャスト:ジョナサン・リース・メイヤーズ(クリス)、スカーレット・ヨハンソン(ノラ)、エミリー・モーティマー(クロエ)、マシュー・グード(トム)、ブライアン・コックス(父アレック)、ペネロピー・ウイルトン(母エレノア)、ジェームズ・ネズビット(バナー刑事)、スティーヴ・ペンバートン(パリー刑事)ほか

テニスの試合でボールがネット上に当たる。
その瞬間 ボールがどっちに落ちるか。
運良く向こうに落ちたら、勝ち。こっちに落ちたら、負けだ。

クリスは元プロテニスプレイヤー。 野心家の彼はアイルランドを出て、ロンドンでテニスコーチの職を見つけた。 クラブのメンバーは上流階級の人々。富豪の御曹司トムと知り合い、トムの妹のクロエとも懇意になっていく。 別荘に招かれ魅力的なアメリカ人女優のノラに出会うが、彼女はトムの婚約者だった。 クリスはやがてクロエとその父親にも気に入られ、クロエと結婚し事業に頭角を現わしていく。 上流階級の仲間入りをし、地位もお金も手に入れるが、どうしてもノラを忘れることができなかった。 クロエと約束した美術館で、偶然ノラを見つけたクリスはむりやり電話番号を聞きだしていた。

ニューヨークから移ったウディ・アレンが初めてロンドンから発信した作品。
2006年第63回ゴールデン・グローブ賞4部門ノミネート、2006年第78回アカデミー賞脚本賞ノミネート。 ありがちな不倫の話をイギリス上流階級を舞台に、おしゃれでスピーディかつスリリングにまとめています。 不倫といえば思い出す『ウディ・アレンの 重罪と軽罪』は、2組の夫婦の物語でアレン自身も出演していたブラックコメディでしたが、こちらは若いカップルのみでコメディ色はありません。 しかし冒頭のことばがその後の展開に深くかかわっていたり、地位が上がるにつれて生活の場所も高くなっていくクリスが高所恐怖症という設定だったり、と思わずニヤリとします。 うまいなぁ。 メイヤーズとヨハンソン、モーティマーのリアルな演技に、身に覚えのある人はぎくり?街の映像も美しく、これからウディ・アレンがどんなロンドンを見せてくれるのか楽しみです。(白)

2005/イギリス/カラー/2時間4分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル
製作:ジェイダ・プロダクション
提供:BBCフィルムズ・セーマ・プロダクションSA
配給:アスミック・エース

2006年8月19日、恵比寿ガーデンシネマ、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
『マッチポイント』特別企画

(1)キレイになる! プレゼント
9/16(土)〜18(月・祝) 恵比寿ガーデンシネマ、シネスイッチ銀座ご来場のお客様、 毎日先着各100名様に "マッチポイント" 力 UPアイテムをプレゼント
  • 9/16(土):100% りんごのお酒 シドニーサイダー(20歳以上のみ) 提供:カーヴ
     パリっと爽やか、後味さっぱりのシャンパン果実酒を飲んで、ほろ酔い気分で意中 の相手を虜に!
  • 9/17(日):レッグケアシステム7.5.3 提供:ドクター・ショール
     英国のフットケアブランド「ドクター・ショール」から脚の疲れ、 ムクミを解消するストッキングを。 脚と美しくサボートし、オシャレなデイリースタイルを!
  • 9/18(月・祝):グラムシャイン N ほかスキンケアサンプル入りの"マッチポイント" 特別セット 提供:ロレアル パリ
     S・ヨハンソンのような官能的な唇を目指すには、グラムシャイン Nがぴったり。 ハート型のアプリケーターを使ってグロスを塗ったら、一度でふっくらツヤ唇に。 「特別な女」になれるかも・・・

(2)スペシャルトークショー 開催!

人生は運しだい?! 恋の、人生のマッチポイントを勝ち抜くコツが聞けるかも?!

登壇者:【第一弾】9/12(火) 鏡リュウジさん(心理占星術家)
    【第二弾】9/26(火) TAKAKOさん(ビューティークリエイター)
場所:恵比寿ガーデンシネマにて/時間:19:00の回上映終了後 (両日共)

■鏡リュウジさん(心理占星術家):
心理術を心理的アプローチで解釈・紹介した日本での第一人者。著書、翻訳多数。 幅広い層から圧倒的な支持を受け雑誌、テレビ、ラジオなど幅広いメデイアで活躍。

■TAKAKOさん(ビューティークリエイター):
ロンドン、NYで数々の一流ブランドCM、人気雑誌、アーティストを手掛け帰国。 そのグローバルなスーパーテクニックは幅広い層に絶大な人気を誇る。 イベントやラジオなどでも活躍。



『深海 Blue Cha-Cha』

監督:チェン・ウェンタン(鄭文堂:『時の流れの中で』)
出演:ターシー・スー(蘇慧倫:『宝島 トレジャー・アイランド』『藍月』)、リー・ウェイ(李威)、ルー・イーチン(陸?静:『青春神話』『河』『ふたつの時、ふたりの時間』)、レオン・ダイ(戴立忍:『ヤンヤン 夏の思い出』)

刑務所から出所したアユー(ターシー・スー)は、身寄りもなく、服役中に知り合って実の姉のように慕っていたアン(ルー・イーチン)を頼って、海辺の彼女のバーで働き始める。いつも自分の殻に閉じこもっているアユーだが、魅力ある彼女に、羽振りのいい客の男(レオン・ダイ)が好意を寄せ、大金を積んで彼女を外に連れ出す。男に夢中になり、「また来る」という男の言葉を信じて待つが、一向に現れない男に、アユーは執拗に電話をかける。男はバーに怒鳴り込み、アユーは男に掴みかかる。アンは問題を起こしたアユーに工場勤めを勧める。新しい職場で、作業指導にあたる先輩の若い男シャオハオ(リー・ウェイ)が彼女に寄せた好意にすがるように、アユーは彼の家で暮らし始めるが・・・

いつもそばにいたいのに、一緒にいられないと、もう愛されてないと思い込むアユー。愛が感じられなくなった時、彼女の心の中で何かが爆発してしまい、思いもかけない行動に出てしまう。(若い頃、一途に追いかけすぎて相手に拒否された苦い経験を思い出して痛かった!) 物憂げなリズムに乗せて、アンやアユーがチャチャを踊る姿に、人間は所詮一人で生きていかなくてはならないことを感じながら、心のよりどころがあってこその人生を思った。家族、友達、恋人、同僚・・・まわりのいろんな人の領域を侵さないようにしながら、お互いささえあって歩んでいくのが人生だろうか。
かつて歌手として、フルーズ・ガーデン(独)のカヴァー曲「LEMON TREE」などで大ヒットを飛ばしたターシー・スーが、心の病を抱えた女性を演じきっていて、心の糸が切れる様が実にリアル。ラスト、海のそばで演じられる布袋戯の人形使いの若い男性も心の病を抱え、家族に支えられて心の平安を保っているという役どころだが、演じているのは、『戯夢人生』の李天祿の愛弟子の方とのこと。また、アンを演じたルー・イーチンは、『青春神話』などでシャオカンのお母さん役を演じているツァイ・ミンリャン監督作品の常連の方。
アユーの人生はちょっと痛いけれど、鉄橋を渡る列車が川面に映る姿や、高雄の海など、映像が素晴らしくて、明日への希望が感じられた。(咲)

2005年台湾・金馬賞音楽賞受賞(シンシン・リー:李欣芸)
第18回東京国際映画祭〈アジアの風〉台湾:電影ルネッサンス出品 (2005年)

2005年/台湾/108分/北京語/ヴィスタ(1:1.85)ドルビーSRD
後援:台湾駐日経済文化代表部
協賛:チャイナエアライン
提供:コミックリズ、エスピーオー、レゾナント・コミュニケーション、ワコー
配給:コミックリズ、ワコー
宣伝: グアパ・グアポ

公式 HP >> http://www.shinkaimovie.com/

★8月19日 新宿武蔵野館にてロードショー〈全国順次公開〉


2006年8月12日頃〜

『愛と死の間(はざま)で』All about love

監督・脚本:ダニエル・ユー/ユー・コンロッ
エグゼクティブ・プロデューサー:アンディ・ラウ、リ・ナン、ユー・ドン
撮影:ジェイソン・クワン
美術:クリスタル・バー
主題歌:アンディ・ラウ
キャスト:アンディ・ラウ(コウ/デレク)、チャーリー・ヤン(ユンサム)、シャーリン・チョイ(チーチン)、アンソニー・ウォン(ホー医師)、ホイ・シウホン(チーチン父)、ラム・シュッ(コウ同僚)ほか

コウ医師は日々忙しさに追われ、愛妻のチーチンとの約束もしょっちゅう破り、先延ばしばかり。 食事の約束がまた先送りになり、1人帰る途中チーチンは事故にあって亡くなってしまう。 悲嘆にくれたコウは、医師をやめて救護隊員となり、時間厳守の生活をしていた。 ある夜、たまたま遭遇した交通事故の被害者を救出しようとしたとき、なぜか彼女の心音に特別な感情を呼び起こされる。 その女性はユンサム、かつて心臓移植手術を受けていた。 ユンサムが気になってならないコウは、主治医のホー医師に詰め寄り、ユンサムに移植されたのはチーチンの心臓と確信する。


© 2005 FOCUS FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED

アンディ・ラウが医師と美容師の二役をこなし、しかも両手に花。 シャーリンが幼く見えるので、チャーリーとカップルの方が安心して観ていられました(?)。 『インファナル・アフェア 終極無間』を撮った後の作品で、久々の優しいラブロマンスです。 しかし、せっかく純愛に涙しているというのに、どうしても気になるシーンがあるのです(どう考えてもいらないんじゃないの、と思える)が、みなさんはいかがでしょうか?
プレスにアンディの年齢が書かれていなかったのですが、柳葉敏郎、中井貴一・・・この作品で共演のアンソニー・ウォンも同い年の40代。 相変わらずアップにたえる男前でした。 ホイ・シウホン、ラム・シュッもいい味出しています。(白)

2005/香港/カラー/ヴィスタ/SRD・SR/1時間42分
提供・配給:ムービーアイ

http://www.ai-to-shi.com/top.html
★8月12日(土)よりシャンテシネにてロードショー
ミニ・クリアファイルつき特別鑑賞券発売中


2006年8月5日〜

『森のリトル・ギャング』(原題:Over the Hedge)

監督:ティム・ジョンソン、キャリー・カークパトリック
原作:マイケル・フライ、T・ルイス「Over the Hedge」
音楽:ルパート・グレグソン=ウィリアムズ
歌:ベン・フォールズ
キャスト(声):ブルース・ウィリス(RJ)、ギャリー・シャンドリング(ヴァーン)、スティーブ・ガレル(ハミー)、ワンダ・サイクス(ステラ)、ウィリアム・シャトナー(オジー)、アヴリル・ラヴィーン(ヘザー)、ユージン・レヴィ(ルー)、キャサリン・オハラ(ペニー)、ニック・ノルティ(ヴィンセント)

ある春の日に冬眠から目覚めた森の動物たちが目にしたものは、巨大などこまでも続く緑の壁(垣根)。彼らのリーダー亀のヴァーンは、おそるおそる垣根の向こう側を見に行くと、そこには新しく開発されたヒトの住む世界が広がり、彼らの森はかろうじてほんの一部が残されただけだった。これでは十分な食料が確保できない、どうしよう!とうろたえる彼らの前に、流れ者のアライグマ・RJが現れる。RJは食べ物ならヒトの世界にとびきりおいしいものが一杯あるから奪ってくればいいと教える。ヴァーンは危険すぎると反対するが、一度ヒトの食べ物の味を知ってしまった仲間たちはRJに従って食べ物奪取に奔走する。しかしRJには下心があった。

『シュレック2』や『マダガスカル』のドリームワークスアニメーションがこの夏に提供するのがこの作品。原作は人気コミックでRJとヴァーンのコンビが人間社会を観察・風刺するというものですが、映画は原作にはないこの二匹が出逢って森の家族となる過程を描いています。
基本的には子供向けアニメーションですが、ユーモアは鋭いウィットに富んでいて大人向け。RJが森の仲間にヒトの習性について説明する部分には大笑い。またハミーの大活躍には、大人も子供も爆笑必死です。
笑わせながら、誰かのために生きることや、動物がヒトの家に侵入してるんじゃない、ヒトが動物のエリアを侵害したんだといったメッセージも伝えてくれます。是非家族でご覧下さい。(梅)

2006年/アメリカ/カラー/84分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/日本語字幕:稲田嵯裕里
ドリームワークスアニメーション提供
配給:アスミック・エース

公式 HP >> http://mori-gang.com/

★8月5日(土)より全国松竹・東急系にて拡大ロードショー


『島ノ唄 Thousands of Islands』

監督:伊藤憲
撮影:夏海光造
出演:吉増剛造、島尾ミホ、里英吉、松田栄喜

現代詩人でありアーティストでもある吉増剛造。 基地の街東京福生で育った彼が奄美や沖縄の島々を巡りはじめて20年。 伊藤監督がそんな吉増剛造の島を旅する姿を4年間追い続けた静かなドキュメンタリーが完成した。 訪れたのは、奄美大島、沖永良部島、加計呂麻島、沖縄本島。 昔からヤマトだけでなく、中国、朝鮮半島、東南アジアから様々な人々が渡来し、戦後はアメリカの基地の文化も入ってきた地。 吉増の背中越しに、島の人々の暮らしが描かれる。 辛い過去を押し殺したように、楽しそうに踊り出す島の人たち姿が哀愁を誘う。 島の風を受けて作った吉増の詩も語られて、この島が歩んできた歴史に思いが至る。

監督は、自分たちの住む日本という島国とは何なのか、どういう生き方が島国にとって美しいのか、そんなことを考えながら、映像で何ができるかを模索したという。 島国日本では、かつては、海の向こうからしか入ってこなかった外の文化。 今は様々なルートで外の文化が乱入する。 切磋琢磨で文化は変わっていくものだと思うが、あらためて島国日本のはぐくんできたものを見直してみたいと思った。(咲)

ハイビジョン・ビデオ作品/カラー/93分
★8月5日(土)よりポレポレ東中野にてモーニング&レイト ロードショー


『鬘 かつら』

監督・脚色:ウォン・シニョン
脚本:ド・ヒョンジョン
出演:チェ・ミンソ(スヒョン)、ユソン(ジヒョン)、ムンス(ギソク)

ジヒョンには癌で余命幾ばくもない妹のスヒョンがいる。治療の為に髪を失った妹に姉は鬘をプレゼントした。その美しい鬘をスヒョンはとても気にいり、鬘を着けているときは健康を取り戻したかのように元気だった。しかし、次第にスヒョンは黒髪にまつわる幻覚を見て取り乱したり、姉のジヒョンを挑発するような行動を取り始め、ジヒョンは言いしれぬ恐怖を抱くのだった。

女性の長い黒髪というのは美しさの象徴であると共に、恐怖を増長するものです。日本古来の女性の幽霊は皆長い黒髪ですし、最近では「貞子」も長い黒髪が強烈な印象を残しています。この作品はストレートにその黒髪が主役で、意思を持ち、人を操り、自ら動いちゃいます。その鬘の秘密が徐々に明かされる展開や、仲が良かったはずの姉妹の関係が軋んでいく様子はとてもスリリングです。スヒョンの顔つきが段々変わっていくのがとても自然なのにもびっくり。ギソク役のムンスの妖しい魅力にも大注目です。一番怖さを感じさせるのは坊主頭のスヒョンのやせ細った全裸シーンだったりするのですが・・・ 
ところで髪にはその人の記憶が宿るものというのは韓国古来の考え方なのでしょうか?(梅)

2005年/韓国/102分/SRD/ビスタサイズ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
宣伝:フリーマン・オフィス

★8月5日(土)より、シネマート六本木ほか 全国ロードショー

◆『鬘かつら』 美人姉妹割引!

ご姉妹でご来場いただくと、当日1人1000円でご鑑賞頂けます。

※自己申告制となります。
※シネマート六本木のみでの実施になります。
※お連れ様皆様、同時の入場となります。
※他の割引との併用はできません。
※女性姉妹の方のみご利用頂けます。
※ご姉妹であれば何名様でもご利用頂けます。


2006年7月29日〜

『ビースティ・ボーイズ 撮られっぱなし天国 』AWESOME;I FUCKIN' SHOT THAT!

監督・製作:ナサニエル・ホーンブロワー
キャスト:ビースティ・ボーイズ(マイクロ、アドロック、MCA)、ミックス・マスター・マイク、マニー・マーク、アルフレッド・オルティズ、ダグ・E・フレッシュ(スペシャル・ゲスト)

2004年10月9日ニューヨーク、満員御礼のマジソン・スクエア・ガーデン。
ビースティ・ボーイズのライブ直前、50人の観客に1台ずつのビデオカメラが手渡された。 彼らの使命は自分達の視点でこのライブを撮影すること。 何を撮ってもいい、ただしライブの最後まで決して録画を止めないこと。 この「素人たち」が撮った映像を監督のナサニエル・ホーンブロワー(ビースティ・ボーイズのメンバー、MCAの変名)が1年をかけて編集、ついに1本の作品として完成。 これ以上ないほどのリアリティで、ライブの熱狂と興奮が伝わってくるコンサート・フィルムが誕生した!

アメリカ/カラー(1部モノクロ)/1時間29分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:アスミック・エース
宣伝:エレクトリック89

7月29日(土)よりシネマライズにてレイトショー
8月5日(土)より梅田ガーデンシネマにてレイトショー



『ザ・フォッグ』THE FOG

監督:パート・ウェインライト
製作・オリジナル脚本:ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル
脚本:クーパー・レイン
撮影:ネイサン・ホープ
音楽:グレーム・レヴェル
キャスト:トム・ウェリング(ニック・キャッスル)、マギー・グレイス(エリザベス・ウィリアムズ)、セルマ・ブレア(スティヴィー・ウェイン)ほか

1871年オレゴン州の小さな港町、アントニオ・ベイ。 濃い霧がたちこめる海にボートを漕ぎ出した男たちがいた。 彼らは帆船エリザベス・デイン号で待っていた乗客や乗員をだまし、 金目のものを持ち出したうえに、人々を閉じ込めて火を放って逃げ出した。 船は海底に沈み、おぞましい事件は誰にも語られず葬り去られたのだった。
そして100年後。アントニオ・ベイの功労者4人を讃える銅像が完成し、祝典が近づいていた。 不思議な霧が海上を覆い始めたころ、 ニューヨークから帰郷したエリザベスが恋人のニックと再会していた。 エリザベスはたびたび同じ悪夢にうなされ、その謎を解くため戻ってきたのだ。

鬼才ジョン・カーペンター監督の同名 ホラー(1980年公開)を、 『スティグマータ/聖痕』のルパート・ウェインライト監督でリメイク。 ホラー苦手な私でもカーペンター監督の『遊星からの物体X』や『透明人間』は観たことがあります。 このリメイク作品では製作にまわり、若いウェインライト監督にまかせました。 オリジナルよりも怨霊たちの悲しみや恨みを前面に出し、ドラマを感じさせます。 主演のトム・ウェリング、マギー・グレイスともTVでの活躍が長く、 あまりなじみがありませんが、トム・ウェリングのスタイルと笑顔に心惹かれるものがありました。 TVの「ヤング・スーパーマン」の主演だったのだとか。納得。 「100年前の罪を償え!」とやってくる怨霊はもちろんですが、 濃い霧の中スピードを落とさず走る車も怖かったです!ぶつかるって。(白)

2005/アメリカ/カラー/シネスコ/ドルビーデジタル/1時間39分
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
配給協力:メディアボックス

http://www.sonypictures.jp/movies/thefog/index.html

7月29日(土)〜8月25日(金) シネマートN渋谷にて4週間限定ロードショー!
初日プレゼント:『ザ・フォッグ』特製パニック防止酸素ボンベを先着50名様へ


2006年7月22日〜

『恋する日曜日』

監督:廣木隆一(『ヴァイブレータ』『やわらかい生活』)
脚本:いずみ吉紘
主題歌:「君が僕を知っている」RCサクセション
出演:水橋貴己、若葉竜也、芳賀優里亜、佐々木和徳、水橋研二、小山田サユリ、石野真子

1学期の終業式の日。高校生の晶(水橋貴己)は父の仕事の都合で、長年暮らしてきた上田から明日東京に引っ越すことになっている。最後の日を幼なじみの直(若葉竜也)と二人で過ごしたい、そして思いを伝えたいと願っていた。しかし直は同じクラスの環(芳賀優里亜)に夢中で、送別会に彼女も呼んでしまう。一方、弓道部の先輩・楽(佐々木和徳)は晶に思いをぶつけてきた。楽は環の元カレで、環はまだ未練がある様子。晶の上田での最後の夜は、晶の思いをよそに、なぜか4人で過ごすことになってしまう。

幼い頃からずっと一緒で家族同然のつきあいだから、相手が自分を恋愛対象には思っていないことは重々承知。それでも女の子の方が心は先に大人になるので、優しい彼を好きにならずにはいられない。でも今好きだなんて言ったら、二人の距離は上田と東京の距離よりも離れてしまうかもしれない。言う?言わない?言う?言わない・・・
晶の千々に乱れる心を、水橋貴己が等身大に無理なく演じていて好感度大。1人何も知らない脳天気な直役の若葉竜也も、ちょっと可愛いです。彼は大衆演劇の若葉劇団でチビ玉三兄弟の1人として活躍してきた役者。二人ともこれから活躍することでしょう。晶が最後に出した答えには、高校生がそこまで達観した言葉を伝えられるのは凄いなあ、凄すぎないかなぁとも思いますが、夏の朝のように爽やかな青春映画で、幼なじみがいる人がうらやましくなりました。(梅)

★7月22日(土)より、シネマート六本木にてさわやかなロードショー
 7月15日〜 名古屋シネマスコーレ
 8月12日〜 大阪シネ・ヌーヴォ ほか


『トランスアメリカ』(原題:TRANSAMERICA)

脚本・監督:ダンカン・タッカー
音楽:デヴィッド・マンスフィールド
主題歌:ドリー・バートン「Travelin' Thru」
出演:フェリシティ・ハフマン、ケヴィン・ゼガーズ、フィオヌラ・フラナガン、バート・ヤング、エリザベス・ペーニャ、グレアム・グリーン

ロサンゼルスで慎ましく暮らすブリー(フェリシティ・ハフマン)は性同一性障害で男性から女性へと変わる最後の手術を1週間後に控えている。その彼女にニューヨーク警察から一本の電話が入る。 トビー(ケヴィン・ゼガーズ)という少年が万引きで捕まり、父親のスタンレーを探しているというのだ。ブリーは激しく動揺する。なぜなら”スタンレー”とは、男性だった頃のブリーの名で、一度だけ関係を持った女性が知らぬ間に息子を生んでいたからだ。 過去を切り離そうとするブリーに、彼女の良き相談相手のセラピストは、過去に立ち向かわなければ手術に同意するサインはしないと言い、ブリーは渋々ニューヨークへ向かう。 初めて会う息子のトビーは、母を亡くし、テキサスの養父の元を飛び出して、ニューヨークで仲間と男娼をしながら暮らしていた。荒んだ生活をする彼をさすがに放っておけない。トビーはブリーを教会のボランティアだと思いこんだ。彼の勘違いはそのままに、ブリーはロサンゼルスへ父親を探しに行きたいという彼の願いを聞くふりをして養父の元へ届けようと考える。二人の大陸横断の旅が始まる。

男性から女性へ変わる人の役はこれまでは男性の俳優が演じることがほとんどだったと思う。しかし実は女性の俳優の方が合っているのかも知れない。彼らは心が女性なのだから。フェリシティ・ハフマンは外見的にも、散々傷ついて殻に閉じこもって生きてきたブリーの内面もとても上手く演じている。対するケヴィン・ゼガーズも繊細さと傲慢さが入り交じる美しい青年を好演していて印象深い。イケメン好きは要チェック。 主人公がトランスジェンダーなのでそこに注目がいくが、物語の核は親子の絆。ブリーが息子のトビーと、あるいは両親との愛と絆を取り戻し、再出発する。笑いながらほろりとさせられる、素敵な作品。(梅)

2005年/アメリカ/103分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/カラー
配給:松竹
宣伝:ザジフィルムズ

公式 HP >> http://www.transamerica-movie.jp/

★2006年7月22日(土)より、シネスイッチ銀座ほかにてロードショー


『神の左手、悪魔の右手』

監督:金子修介
原作:楳図かずお
脚本:松枝佳紀
出演:渋谷飛鳥、小林翼、前田愛、清水萌々子、小木茂光、田口トモロヲ

イズミは弟のソウが人間の悪意を夢で予知するという不思議な能力を持っていて、そのために苦しんでいるのを知っている。弟を助けたいと願うイズミだが、どうしたらいいのか分からない。
ある夜、ソウは原因不明の大量出血で病院に運ばれる。このままでは本当に命が危ないと知り、イズミはソウが話していた夢の中の親子を捜し始める。その親子というのは、娘は歩くことが出来ず、父親が描いてくれる絵本だけを楽しみにしているのだが、そこに描かれているのはいつも少女を惨殺するというおぞましい物語だった。

とにかく瞳孔まで開いちゃっているような田口トモロヲさんが怖いよぉ。娘のモモ役の清水萌々子ちゃん(『誰も知らない』の末の子ね)、怖くて泣かなかったかしら(笑)。
楳図かずおの漫画はセリフをそのまま役者に言わせると、突然、時代が100年くらいさかのぼってしまう。だけど設定は現代。なんだかちょっと気持ち悪い。(梅)

2006年/日本/95分/カラー/35mm/ビスタサイズ(1:1.85)/ドルビーサラウンド
配給:東芝エンタテインメント

公式 HP >> http://www.kaminohidarite.com/

★7月22日(土)より、渋谷アミューズCQNにてロードショー


『ハチミツとクローバー』

監督:高田雅博
脚本:河原雅彦
原作:羽海野チカ(月刊「コーラス」連載中/集英社刊)
撮影:長谷川圭二
音楽:菅野よう子、主題歌:スピッツ、エンディングテーマ:スガシカオ
キャスト:櫻井翔(竹本祐太)、蒼井優(花本はぐみ)、伊勢谷友介(森田忍)、加瀬亮(真山巧)、関めぐみ(山田あゆみ)、堺雅人、西田尚美、中村獅童ほか

浜美大建築科三年の花本祐太は、美大生らしからぬ純朴で健康的短パン男。 花本研究会の餃子パーティに参加した竹本は、そこで噂の天才転校生、はぐみに一目ぼれしてしまう。 竹本が「恋に落ちる瞬間」を見た真山は、先輩の理香に密かな恋心を抱いている。 そんな真山を見つめるのは山田あゆみ。 竹本は、はぐみと顔をあわせるだけでバラ色の日々を送っていたが、放浪中の先輩森田が寮に帰って雲行きがあやしくなってきた。

美大生5人、全員片想いというせつない状況を描いたこの大人気のコミック、映画でもキャストの魅力との相乗効果でますます「青春!」な作品となりました。 高田雅博監督は「KDDI」、「BOSS」などCMの人気ディレクター。 映画作品はこれが初めてですが、俳優の魅力を十二分に引き出しています。 完成披露試写会では、海外で撮影中だった加瀬亮以外の4人の主人公と高田監督が登壇しましたが、それぞれ映画は地だったの?と思うほどキャラが近い感じがしました。 あ、櫻井翔くんは映画の竹本くんより明るく行動的でした。
タイトルは原作者の羽海野チカがスピッツの「ハチミツ」、スガシカオの「clover」を聴いていたことからつけたもの。 天才少女はぐの絵はMAYAMAXX、もう一人の天才森田の彫刻は、伊勢谷と同じ東京藝術大学卒の森田太初が手がけています。 プライベートでも仲の良いバイク仲間だとか。(白)

2006/日本/カラー/配給:アスミック・エース

映画公式サイト http://hachikuro.jp/

★7月22日(土)より、渋谷シネマライズ、新宿ジョイシネマ、池袋シネマサンシャインほか全国ロードショー


『ダスト・トゥ・グローリー』

監督:デイナ・ブラウン
クリエイティブ・コンサルタント:ブルース・ブラウン
出演:マイク“マウス”マッコイ、ジミー・バッサー、ロビー・ゴードン、ジョニー・キャンベル、ライアン・アルシエロ、アラン・フルーガー、JN&ジミー・ロバーツ、マリオ・アンドレッティ、チャド・マックィーンほか

「バハ1000」は世界最長のノンストップのオフロードレース。 1967年の第1回から、毎年秋にはバイクやトラック、バギー、ワーゲンに乗った冒険者たちが集まってくる。 彼らはバハ・カリフォルニア半島を端から端(エンセナーダ〜ラパス)まで1000マイル(約1600km)に渡って不眠不休で縦断する。 一般車両と一緒に公道を走る部分もあり、ここではレース中といえども交通規則に従わねばならない。 警官にお説教された挙句、数珠繋ぎになって先導されていく面白い光景が見られる。 パリ=ダカールのような大きなレースと違って、バハにはプロ、アマ問わず個人やチーム様々な形で参加している。 サボテンが林立し、コヨーテがひそむ荒野を砂塵を巻き上げて疾走するので、ちょっとした凹凸で転倒し故障することもざら。 他者と競うというより、バハと闘っている。 この美しくて過酷な地では、べテランだから、プロだから勝てるとは限らない。 何度でも挑戦したくなる所以だろう。 スティーブ・マックィーン、ジェイムズ・ガーナーもこのレースを愛していた一人で、フィルムに顔を見せていた。 走る一人一人にドラマがあり、車好きでなくとも熱くなれたドキュメンタリー!(白)

極めつけのレース・バカたちが集まる「バハ1000」。あまりに過酷なコースに、なんだってこんなレースにみんな出たがるんだ!?と思うのは最初だけ。参加者たちの目の輝きを観ているうちに、こちらもワクワクしてきてしまう。愛するものが共通の人間たちが世界中から集まるその場所が、いかに楽しくて特別で、毎年でも来たいと思ってしまうかは、愛するものがある人にはよ〜く分かるはず。
途中のメンテナンスでストップする以外は、不眠不休で走り続けるため、アドレナリンが極限まで吹き出して、ドライバーの言動が明らかにおかしくなっている様子など、カメラは生々しく映している。ドライバーの1人は、「バハから戻ると日常はあまりに穏やかで止まっているようにさえ見える」と語る。一度この状態を経験したら、さもありなんだ。参加者の中には親子のチームや女性だけのチームもある。夫たちがバハに夢中になっているのを見て、自分もやりたいと思った妻たちが集まったという。子は父親がいつも語るバハの魅力に憧れたという。こうしてバハの熱は人から人へ伝えられてきた。そして今、この映画を通してわたしたちはその熱を受け取れる。(梅)

2005/アメリカ/カラー/ビスタ/97分
提供:レイドバックコーポレーション
配給:グラッシィ
http://www.glassymovie.jp/d2g

★7月22日(土)より、シアターN渋谷ほか全国爆走ロードショー!



『蟻の兵隊』

池谷 薫 監督

日本軍山西省残留問題とは?

 1945年6月15日に太平洋戦争が終わってからも武装解除されず、中国山西省に残って、中国の内戦を戦った日本軍兵士がいたことを知っていますか? その数2600名。国民党系の軍閥の部隊と合流して、その後4年間共産党軍と戦い、550名が戦死。700人以上が捕虜になり、戦後10年近くたって、やっと帰国できたのだという。この方たちは軍の命令で残留したにも関わらす、自ら志願して残ったとされ、戦後補償を受けられないでいます。このドキュメンタリーは、当事者であり、捕虜として5年間中国に抑留された後、やっと、戦後9年たって日本に戻ることができた奥村和一さんの姿を追う。軍の指示により残留したということを認めない国に対して、裁判を起こした元軍人たちだが、認められるため、その証拠を探して、奥村さんは自分が駐留した中国に出かける。
 証拠探しだけでなく、初年兵だった自分が、初めて人を殺した場所を訪ね、線香をあげ、多くの仲間を失ったかつての戦場を訪ね、亡くなった人たちの無念の思いを国に伝えたいと誓う。
 冒頭、奥村さんが靖国神社に行くシーンが出てくるが、靖国神社に行ってもお参りをしない奥村さんの「国に取られ、侵略戦争の戦いに出て死んだ人間は神ではありません。そういうごまかしは許さない」という言葉がこのドキュメンタリーのすべてを語っている。
 また、靖国神社で講演をしていた小野田寛郎さんに対し、「侵略戦争を美化するのか」と、奥村さんが、するどい言葉を投げかけて詰め寄るシーンも出てくる。

 

戦後、中国に残された残留孤児や残留婦人などの問題はよく知られているが、兵士が残されて、さらに中国の内戦を戦ったということを知りびっくりした。日本軍再興のための軍上層部の作戦だったらしいが、残った人たちが自分の意志で残ったとされて、戦後補償を受けられないでいるということを知り、そんなことってあり?と許せない気持ちになった。そういうことを、靖国神社にお参りする小泉首相はご存知なのだろうか。ぜひ、政府関係者は靖国のことを言う前に、この作品をみるべくだろう。
「私たちは上官の命令に従い、蟻のように黙々と戦った」という言葉が重い。(暁)

公式 HP >> http://www.arinoheitai.com/

★7月22日(土)より、渋谷シアターイメージフォーラム、名古屋シネマスコーレ、大阪第七芸術劇場にて公開中


2006年7月15日〜

『機械じかけの小児病棟』(原題:Fragile)

監督:ジャウマ・バラゲロ
脚本:ジャウマ・バラゲロ、ホルディ・ガルセラン
出演:キャリスタ・フロックハート、リチャード・ロクスバーグ、エレナ・アナヤ、ヤスミン・マーフィー

イギリスのワイト島にある古い病院。老朽化で閉鎖される予定だったが、患者を移送する日に大きな列車事故が発生して移送先の病院が満杯になってしまった。やむなく小児病棟患者の移送は延期され、病院は臨時に夜勤の看護婦としてエイミーを雇う。前任の看護婦が病欠してしまったからだ。エイミーが仕事を始めて早々に、長いあいだ閉鎖されている3階から恐ろしい大きな音を聞いた。子供たちは異常に何かに怯えているようだった。その中の1人の少女マギーは「シャーロットが怒っている」とエイミーに告げる。シャーロットとはこの病院に出るという全身に矯正器具を付けた幽霊のことだった。初めは本気にしなかったエイミーだが、度重なる異常な出来事に、次第に深刻な事態だと気付いていく。

監督自身が幼児期に体験した不安と恐怖を映像化したものだそうです。邪悪な力が子供たちの骨をボキッ!と折るシーンは、痛そうでかわいそうで。また登場する幽霊の造形がかなりエグイ。監督もホントいやなシーンを考えつきます(笑)。
主演のキャリスタ・フロックハートは心に何かトラウマを抱えて、今度こそ失敗はしまいとピリピリしている女性を演じてますが、その折れそうに細い身体と相まって実にうまくはまっています。でもロバート先生役のリチャード・ロクスバーグはちょっと印象薄い。この方は『レジェンド 三蔵法師の秘宝』で楊紫瓊(ミシェール・ヨー)の相手役でした。(梅)

2005年/スペイン/英語/102分/シネマスコープ/ドルビーデジタル
提供:松竹
配給:ザナドゥー

公式 HP >> http://www.xanadeux.co.jp/kikaijikake/

★7月15日(土)よりシネマスクエアとうきゅうにて痛撃のロードショー


『ディセント』(原題:The Descent)

監督・脚本:ニール・マーシャル
出演:シャウナ・マクドナルド、ナタリー・メンドーサ、アレックス・リード、サスキア・マルダー、ノーラ・ジェーン・ヌーン、マイアンナ・バリング

サラは女友達のジュノやベスたち7人でアパラチア山脈の洞窟探検へと出かける。ジュノが企画したこの冒険は、観光マップにも載っている気軽に楽しめる洞窟探検のはずだった。ところが途中で落盤事故が発生。来た道を戻ることは出来なくなる。サラたちは他の出口へのマップを求めるが、実はジュノが皆には黙って当初の計画とは違う、より刺激の多い未踏の洞窟へ案内していた。もう自分たちで出口を探すしかないのだ。暗闇の恐怖と闘いながら出口を探す7人の前には、さらなる恐怖が待ち構えていた。

暗くて狭くて何があるのか全然わからないという、恐怖映画のシチュエーションとしてはうってつけに思える洞窟。でもこれまで洞窟を舞台にした怖い映画ってあんまり無かったですね。サイコホラーのような始まりですが、予想を裏切る展開で驚愕。ショッキングなシーンは、ギョエ〜ッって感じでちょっと直視できませんでした。しかし暗闇よりも何よりも恐ろしきは人の心かな。絶対洞窟探検になんて行きたくなくなります(笑)。ディセントとは急降下の意味。ジェットコースターやフリーフォールなどの刺激がお好きな方は是非どうぞ!(梅)


写真提供:フリーマン

2005年/イギリス/カラー/シネマスコープ/ドルビーSR/99分/R-15
配給:エイベックス・エンタテインメント、トルネード・フィルム
宣伝協力:フリーマン

公式 HP >> http://www.descent.jp/

★7月15日(土)よりシネセゾン渋谷ほかにてロードショー


『ハイジ』原題:HEIDI

監督: ポール・マーカス
出演: エマ・ボルジャー(『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』)、マックス・フォン・シドー(『ヒマラヤ杉に降る雪』、ジェラルディン・チャップリン(『ドクトル・ジバゴ』『トーク・トゥ・ハー』)

アルプス山麓の小屋で人を避けるように一人暮らしをする老人アルム(マックス・フォン・シドー)のもとに、幼い頃両親を亡くした孫のハイジ(エマ・ボルジャー)が、連れて来られる。 近くの貧しい家のヤギ飼いの少年ペーターと仲良くなったハイジは、毎日ペーターと一緒に山の放牧地へ。 ペーターにとってはこれまで辛い仕事だった放牧も、楽しいピクニックに。 アルム爺さんも、ハイジにチーズの作り方を教えたりして、すっかり顔も和やかになる。 そんなある日、ハイジの叔母デーテが突然ハイジを連れ戻しにきて、富豪のお嬢さまで車椅子生活のクララの遊び相手にと都会に連れていく。 母を亡くしたクララの面倒をみている執事のロッテンマイヤー夫人(ジェラルディン・チャップリン)は、ことごとくハイジに辛く当たる。 山の楽しかった生活を思い出して、町の教会の搭から山を眺めようとするハイジ・・・・。

あまりにもお馴染みの「アルプスの少女ハイジ」。 テレビでロングランしたアニメ版は、残念ながら観ていなかったが、小学生の時に、ワクワクしながら本を読んだ時の記憶は今でも鮮明だ。 屋根裏部屋の干し草のベッドから眺める星空、ペーターと共に歩くアルプス山麓の牧草地、町でのお嬢さまとの暮らし・・・、本で読んで想像していた光景が、まさにそのままにスクリーンに繰り広げられる。 原作は19世紀のスイスを舞台にした物語だが、本作の撮影が行われたのは、アルプスの山小屋の場面はスロベニア共和国のリゾート地クランスカ・ゴーラ、フランクフルトの町はリュブリャナ。 19世紀の雰囲気の出せる場所をスタッフがあちこち探した結果のロケ地だそうだ。 スロベニアにほんの2日間行ったことがあるが、景観がどこもほんとに美しい国。

無垢で天使のような少女ハイジが、アルムお爺さん、ペーター、クララ・・・まわりの人たちの人生を、まるで魔法をかけたように変えていく姿に、世の中こんな人物ばかりなら平和なのにと思わずにはいられない。(咲)

2005年/イギリス/104分/ビスタ/SR,DIGITAL/カラー
文部科学省 選定/(社)日本PTA全国協議会 特別推薦
協力:ポニーキャニオン
提供・配給:ギャガ・コミュニケーションズGシネマグループ

★7月15日(土)より、恵比寿ガーデンシネマ、シネ・リーブル池袋他全国公開

公式HP>> http://www.heidi-movie.jp/


『ジャンプ!ボーイズ』(原題:翻滾[ロ巴]!男孩)

監督:リン・ユゥシェン(林育賢)
撮影:リン・ユゥシェン、チュアン・チンシェン
音楽:ジェフリー・チェン
出演:林育信(リン・ユゥシン)、楊育銘(ヤン・ユゥミン)、黄靖(ホァン・ジン)、李智凱(リィ・チカイ)、黄克強(ホァン・ワーチャン)、林信志(リン・シンチ)、小軒(シャオシュエン)、小恩(シャオエン)

2003年春、台湾東部の地方都市の公正小学校。放課後、体操選手に選ばれた子供たちが体育館に集まってストレッチに励んでいる。コーチは林監督の実兄、林育信33歳。 かつてアジア大会の金メダリストで、今は現役を引退し母校で子供たちを指導している。6歳から9歳の7人は、10月の全国大会に向けて猛特訓中。種目は、ゆか、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒。時には痛さに泣き、できない悔しさに泣きながらも諦めずに練習を続けている子供たちに胸が熱くなった。家族や先生のコメントを交え、まだまだ幼く無邪気な素顔と、真剣に試合に臨むようすを見せる。
林コーチ自身もジュニアから体操を続けていて、飴とムチを使い分けながらの指導ぶりも素晴らしい。秋の全国大会、そしてさらに1年後、成長した子供たちに拍手したくなった。ドキュメンタリー映画ながら、2005年の台湾映画では第5位の興行成績をあげたという作品。(白)

金馬賞ドキュメンタリー部門最優秀賞
アジアフォーカス福岡映画祭・釜山映画祭上映

2004年/台湾/カラー/84分/ドキュメンタリー

公式 HP >> http://www.jumpboys.net/

★7月15日(土)より、シネスイッチ銀座にてロードショー


『奇跡の夏』

監督:イム・テヒョン
脚本:キム・ウンジョン
原作:キム・ヘジョン ノベライズ:竹書房
撮影:キム・ヨンホ
音楽:イ・ジス、ナ・スクジュ
キャスト:パク・チビン(ハニ)、ソ・テハン(ハンビョル)、ペ・ジョノク(母)、パク・ウォンサン(父)、チェ・ウヒョク(ウク)、オ・ジヘ(ウクの母)ほか

腕白で元気いっぱいのハニは9歳の男の子。 もの静かで優しいお兄ちゃんハンビョルとは正反対だが二人は仲良しだ。 ゲームに夢中のハニは塾に行くのをすっかり忘れてしまう。 お兄ちゃんも寝たまま起きられなくてお母さんに叱られた。でも様子がおかしい。 あわてて病院に連れて行かれ、とても重い病気だとわかりすぐ入院することになった。 お父さんもお母さんも元気がないので、ハニはお母さんに得意のダンスをして見せたり、お兄ちゃんには宝物のカードをあげたりした。 病院にはいろんな子供がいて、お兄ちゃんはウクという男の子と仲良しになったらしい。 ハニは面白くない。

脚本のキム・ウンジョンの実姉のエッセイ「悲しみから希望へ」がもとになった作品。 9歳の弟の眼を通して、どこの家庭にでも起き得るドラマと、それを乗り越えていく家族の絆や愛情を描いています。 子供たちが主人公で、おまけに重病とくるともう涙腺崩壊です。 もっとも重い症状のウクが、ニコニコと天真爛漫な男の子で、緊張を緩める役を担っています。 陰で見えないように泣いている母親たちの様子には、もらい泣きしてしまいました。 ハニ役のパク・チビンは韓国の’05大鐘賞新人男優賞にノミネート、カナダのニュー・モントリオール映画祭では主演男優賞を受賞。 ハニに限らずどの子も演技と見えないのです。 韓国は子役も層が厚いと感心させられました。 小児ガン病棟でのお楽しみ会のシーンに、この映画のモデルとなった母子が出演しているそうです。(白)

2005/韓国/97分/カラー/シネスコサイズ/SRD/

7月15日(土)より、シャンテシネにてロードショー!
提供:松竹・衛星劇場
配給:パンドラ 宣伝協力:スキップ

公式 HP >> http://www.kisekinatsu.jp/



2006年7月8日〜

『ローズ・イン・タイドランド』(原題:TIDELAND)

監督:テリー・ギリアム
脚本:テリー・ギリアム、トニー・グリゾーニ
原作:ミッチ・カリン
撮影:ニコラ・ベッコリーニ
音楽:ミカエル&ジェフ・ダナー
キャスト:ジョデル・フェルランド(ローズ)、ジェフ・ブリッジズ(父ノア)、ジェニファー・ティリー(ママ)、ジャネット・マクディア(デル)、ブレンダン・フレッチャー(ディケンズ)ほか

ローズは「不思議の国のアリス」が大好きな10歳の少女。学校にも行かず、すっかり太って人使いの荒いママや、元ロックスターでジャンキーのパパの世話をしている。 ある日ママが薬の飲みすぎで死んでしまい、盛大に見送った後、パパとローズはパパの好きなユトランドへ向かう。バスに揺られて着いたところはパパの故郷のテキサスだった。おばあちゃんが死んだ後荒れ放題の家で、パパはさっそく「バケーション」に入ってしまった。ローズはお気に入りのバービー人形(首だけ)と仲良くお喋りしながら近所の探検に出かける。

『12モンキーズ』、『ロスト・イン・ラ・マンチャ』の後、時間をおいて『ブラザーズ・グリム』で完全復帰したテリー・ギリアム最新作。前回は大作だった分普通にまとめた感じでしたが、今回はギリアム満開!の不思議空間が広がっています。主人公のキャスティングに成否がかかっていたとの監督の弁でしたが、ジョデル・フェルランドはず〜っと(殆ど一人で)ギリアム・ワールドを自在に動き回っています。すごい! 撮影中に10歳になったのだそうですが、赤ちゃんのときから活躍しているベテラン子役。
しかしこの作品、10歳の子供は観られないでしょうに、出演するのはいいのでしょうか? 疑問。童話は実は残酷と言われますが、これも「可愛いおとぎ話」と期待するとのけぞります。題のタイドランドは「干潟」と「境界」の意味があるそうです。ローズの幻想(海)と現実(草原)の境界線となる場所がすなわちタイドランド、10歳のローズは子供から大人の女性になる境界にもいるわけですね。大人になってしまうとこういう幻想の世界からいやおうなくはみ出てしまいます。ジェフ・ブリッジズもある意味出ずっぱり。(白)

2005/アメリカ/カラー/スコープサイズ/SRD/117分
配給:東北新社

公式 HP >> http://www.rosein.jp/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『胡同のひまわり』(原題:向日葵/Sunflower)

監督:張楊(チャン・ヤン)(『こころの湯』『スパイシー・ラブ・スープ』)
脚本:張楊、蔡尚軍(ツァイ・シャンチュン)、霍[日斤](フォ・シン)
撮影:林良忠(ジョン・リン)
音楽:林海(リン・ハイ)
出演:孫海英(スン・ハイイン)、陳冲(ジョアン・チェン)、劉子楓(リウ・ツーフォン)、張凡(チャン・ファン)、高歌(ガオ・グー)、王海地(ワン・ハイデイ)、李濱(リー・ビン)、張[王月](チャン・ユエ)

1967年、夏の日に男の子が生まれる。父(孫海英)は庭に咲いていた向日葵にちなんで「向陽(シャンヤン)」と名付けた。
1976年、シャンヤン(張凡)が9歳の時、文化大革命が終わりを告げ、強制労働にかり出されていた父(孫海英)が6年ぶりに戻って来る。母(陳冲)は嬉しそうだが、ずっと父なしで暮らしてきたシャンヤンにはぴんと来ない。それどころかそれまでの自由気ままな生活から一変し、父の監視の下、絵を勉強する日々が始まる。強制労働で手を痛め画家の夢を絶たれた父は息子にその夢を託そうと考えたのだ。それはその後20数年に渡る、父と子の葛藤の日々の始まりだった。

親が果たせなかった自分の夢を子供に託すというのは、古今東西よくあることですが、多くの場合は子供の反抗にあって成就するのは難しいものです。この父子の場合は本当に子に才能があったのと、父の本気度がハンパでなかったと言うことでしょうか。
主人公は張楊監督と同い年で、監督の父もまたあまり有名ではない映画監督だったそうで、色々と監督自らの経験が反映されているようです。でも自伝ではなくあくまでも創作だとのこと。
またこの作品はシャンヤンの30年あまりの人生を描きながら、文革後、劇的に変貌する北京とそこに暮らす人々を映しだしています。この世代の監督だからこそ描ける北京が観られて、その点でも大変興味深いです。(梅)

サンセバッスチャン映画祭 最優秀監督賞 最優秀撮影賞 受賞

2005年/中国/129分/ビスタ/SRD
配給:東芝エンタテインメント

公式 HP >> http://www.Himawari-movie.com/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。
特別記事『胡同(フートン)のひまわり』来日記者会見もご覧下さい。

●『胡同のひまわり』公開記念 ジャン・シャオガン展

映画の公開を記念し、劇中に登場する父子愛を象徴する家族の肖像画を描いた画家ジャン・シャオガンの日本初の展覧会を、渋谷のトーキョーワンダーサイトで開催することが決定いたしました。 ジャン・シャオガンは、現在世界で最も注目され急成長を遂げる中国のアート界を常にリードし、4月に行われたサザビーズでは作品が中国人コンテンポラリーアート史上最高額の1億円(1ミリオンUSドル)で落札されるなど、今最も注目を集めるアーティストです。 絵画展開催にあわせて、ジャン・シャオガンが来日する予定です。

*期間 7/4(火)〜7/14(金)
*開催場所 トーキョーワンダーサイト渋谷
 開館時間 :11:00〜19:00(入場は18:30まで)
 月曜休館(祝日の場合はその翌日火曜日)
 展覧会関連イベント アーティスト・トーク 7/5(水)18:00〜20:00(予定)

お問い合わせ
 トーキョーワンダーサイト渋谷   http://www.tokyo-ws.org/shibuya.html
 〒150-0041 東京都渋谷区神南 1-19-8
 Tel:03-3463-0603  Fax:03-3463-0605


『サイレントヒル』

監督:クリストフ・ガンズ(『ジェヴォーダンの獣』)
脚本:ロジャー・エイヴァリー
製作:サミュエル・ハディダ、ドン・カーモディ
製作総指揮:ヴィクター・ハディダ、山岡晃、アンドリュー・メイソン
撮影:ダン・ローストセン
プロダクション・デザイナー:キャロル・スピアー
音楽:ジェフ・ダナ
クリーチャーデザイン&スーパーバイザー:パトリック・タトポロス
キャスト:ラダ・ミッチェル(ローズ)、ショーン・ビーン(クリストファー)、ジョデル・フェルランド(シャロン、アレッサ、ダーク・アレッサ)、ローリー・ホールデン(シビル巡査)、デボラ・カーラ・アンガー(ダリア)、キム・コーツ(グッチ刑事)、タニヤ・アレン、アリス・クリーグほか

ローズとクリストファーの娘シャロンは、赤ん坊のときに養女にしたのだがこのごろ悪夢に苦しんでいた。 最愛の娘を救うため、ローズはシャロンを連れてウェストバージニア州の無人の街「サイレントヒル」に向かった。 娘がつぶやく「サイレントヒル…」という言葉を手がかりにやってきたのだが、ローズは車の事故で意識を失ってしまう。 気がついたとき娘の姿は消えていた。 後悔にさいなまれながら霧と灰の中をさまよううち、娘が死んだという女性ダリアに出会う。 シャロンの写真を見た彼女は、自分の娘の「アレッサ」だと言う。 ローズは追ってきたシビル巡査から逃げ出し、シャロンらしき少女を追って学校へやってくる。 二人を心配する夫のクリストファーは、「サイレントヒル」の忌まわしい過去と明かされない秘密を探し出そうとしていた。

原案はコナミの人気ゲーム「サイレントヒル」。現在4まで発表されています。 全く知識なく試写に出かけましたら、アドベンチャー&ホラーでした。 夜中に一人で帰宅しなくちゃいけないのにこれを観に来たなんて、と後悔しましたね。 ああ、怖かった。
映画はゲームにはいない母親を主人公に、娘を救うのに奔走&闘わせます。 ただのお母さんがこんなことができていいもんでしょうか?  いや、子供のためなら母親は力が出るのです。でも私は気絶必至。 一方父親は謎解きに努力はするけれど、妻が想像を絶する恐しい目に遭っている街へ入ることができません。 出てくる敵がまあおぞましいのなんの、って。 ゲームにあるもの、新しく作られたもの、クリーチャー好きな人は嬉しいでしょう。 ガンズ監督がキャスティングしたというジョデル・フェルランド(『ローズ・イン・タイドランド』)は3役をこなす活躍ぶり。 日本版イメージソング「Lovin’you」を土屋アンナが歌っています。(白)

提供:松竹/ポニーキャニオン/衛星劇場
配給:松竹
宣伝:リベロ
c) Silent Hill DCP Inc. / Davis Production SH S.A.R.L

http://www.silenthill.jp/main.html
http://www.konami.jp/gs/game/silenthill/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『チーズとうじ虫』

監督:加藤治代
撮影:加藤治代/加藤直美/栗田昌徳/中嶋憲夫 整音:菊池信之/早川一馬/久世圭子
編曲:須賀太郎
出演:加藤直美、小林ふく、加藤治代 他

発酵したチーズから天使が現れるような希望と安らぎ
3人で過ごしたかけがえのない時間

加藤治代はがんを患っている母直美の看病のため、群馬へ帰省する。 母の回復を信じ「退屈しのぎに、あるいは遊びの道具として」カメラを回し始めた。 祖母ふくと女3代の何気ない日常が収められていく。 母親の笑顔と気丈な姿は闘病の苦痛などはすこしも感じさせず、治代の声もあくまで明るく優しい。 しだいに母親の病状が進み、最後のときを迎える。 母を送った後、治代は思い出を辿る祖母との生活を記録する。
これは病気の母親を持つ娘として撮ったものだったが、途中映画美学校のドキュメンタリーコースに通い始め、映像が編集された。 さらにスカラシップ作品に選出されて予算を得、菊池信之の手により整音が加えられた。

昨年山形に行ったとき、この作品を観ることができず残念でしたが、ようやく試写で観られました。 闘病中の母親(素敵な笑顔)とその高齢の母親(ユーモアたっぷり)、娘である監督の3人の生活が、時折入る雲や花や夕焼けの映像と一緒に思い出アルバムのように映し出されていきます。 ナレーションはなく、主なシーンの切り替わりはミルクのような白い画面に小さくタイトルが現れます。 母親の葬儀の後のこの画面がほかよりも長く、その白いスクリーンを見ながら私は自分の父親の死と、監督の心を思いました。 画面に辛いところや涙はないのですが、それはそんなときはカメラが持てなかったから。 個人的な映像ですが、肉親の病気と死という誰もに起こる出来事を素直に記録しているのに、とても好感を持ちました。
タイトルは、カルロ・ギンズブルグ著「チーズとうじ虫」より。 作品とは直接関係はありませんが、下のメノッキオの言葉が、母親の死を受け入れようと苦悩していた監督にインスピレーションを与えたため、タイトルとして用いられたそうです。 画面にも母親が丹精していた畑のコンポストのうじ虫が登場します。 数回挿入されていたさなぎ(?)のアップから、カメラがぐっと引くラストに監督の新しい決意のようなものを感じました。(白)

「私が考え信じているのは、すべてはカオスである、すなわち、土、空気、水、火、などこれらの全体はカオスである。 この全体は次第に塊になっていった。 ちょうど牛乳のなかからチーズの塊ができ、そこからうじ虫があらわれてくるように、このうじ虫のように出現してくるものが天使たちなのだ。——メノッキオ」

——「チーズとうじ虫」カルロ・ギンズブルグ著 杉山光信訳 みすず書房

2005年山形国際ドキュメンタリー映画祭小川紳介賞・批評家連盟賞ダブル受賞
2005年フランス・ナント三大陸映画祭ドキュメンタリー部門最高賞(金の気球賞)受賞

2005年/日本/ビデオ/98分/配給:「チーズとうじ虫」上映委員会
http://chee-uji.com/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。


『バタリアン4』(原題:Return of the Living Dead: Necropolis)

監督:エロリー・エルカイェム
特殊効果:ジョン・ヴリッチ&オプティック・ナーヴ・スタジオ
出演:ピーター・コヨーテ、ジョン・キーフ、エイミー・リン・チャドウィック

化学兵器「トライオキシン5」は度重なるゾンビ発生事故を起こしたため、廃棄されたはずだった。しかしそれは密かにチェルノブイリ原発の倉庫に隠されており、アメリカのハイブラテック社は密かにこれを回収した。
高校生ジュリアンは両親を事故で亡くして以来、弟のジェイクと共に叔父の家で暮らしているが、叔父との折り合いは悪く、憂鬱な日々を送っている。ある日モトクロスの練習中に、仲間のジークが転倒し病院へと運ばれる。ジュリアンたちは病院へ駆けつけるが、医者に搬送中に彼は死亡したと告げられる。しかしジークは病院ではなく、ハイブラテック社へと運ばれていたことが判明。ジュリアンたちはジークを取り戻すべく、ハイブラテック社へと乗り込むのだが、そこに待ち受けていたのはゾンビの群れだった。

21年前にゾンビブームの中、発表された『バタリアン』は笑えるゾンビ映画として多くのホラー映画ファンの支持をうけました。それから『バタリアン2』(1987年),『バタリアン・リターンズ』(1993年)と作られ、この作品は久しぶりの新作。また「ブレイ〜ン(脳みそくれ〜)」と言いながらゾンビが頭にかぶりついてきます。引き続き『バタリアン5』の公開もあるそうです。
巨大総合企業ハイブラッテック社のCMから始まりますが、一昔前のような妙に明るい如何にもな企業CMが笑えます。主人公たちが住む街は全てにおいてハイブラテックに寄りかかっている企業城下町。アメリカの一部地方都市の現状を皮肉っていたりするわけですが、そんな風刺も大した効果はなく、とにかくユルイ(笑)。今回のボスキャラは“メカタリアン”ですが、これも思わず「よわくさっ!」と叫んでしまいます。つっこみまくりながら観られる、徹底して正しくB級ホラーです。(梅)

2005年/アメリカ/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/90分/R-15
提供:アートポート
配給:アートポート、ギャガ・コミュニケーションズ

公式 HP >> http://www.batarian4.jp/

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2006年7月1日〜

『レイヤー・ケーキ』Layer Cake

監督・製作:マシュー・ヴォーン
原作・脚本:J・J・コノリー
撮影:ベン・ディヴィス
美術:ケイヴ・クイン
音楽:リサ・ジェラード、アイラン・エシュケリ
キャスト:ダニエル・クレイグ(XXXX)、コルム・ミーニイ(ジーン)、ケネス・クラナム(ジミー・プライス)、ジョージ・ハリス(モーティ)、ジョイミー・フォアマン(デューク)、シエナ・ミラー(タミー)、マイケル・ガンボン(エディ・テンプル)ほか

すべては終わらせるために始まった。
「レイヤー・ケーキ」とは下っ端のチンピラから、上層部のボスまで裏社会の階層(レイヤー)をケーキにたとえたことば。 一番上は美味しそうだが、この仕事そんなに甘くない。

XXXXは麻薬のディーラー。 クールで凄腕の彼はこの仕事の潮時を見極め、ボスのジミーからの依頼を最後に裏社会から引退するつもりだった。 その依頼とはジミーの親友の娘を探し出すこと、大量の「高純度エクスタシー」をさばくことの二つ。 すぐに解決できるはずが、失踪した娘はなかなか見つからない。 おまけにクスリは国際指名手配中のセルビア人スラヴォから、信用ならないデュークがまんまと盗んできたものだった。 スラヴォはデュークがXXXXの指示で動いたと誤解し、強力な殺し屋を送り込んできた。今まで好調だったXXXXの歯車が狂い始め、引退どころか決して手にしなかった銃を持ち、自分の身を守らねばならなくなってしまった。

『スナッチ』などのプロデューサーとして著名なマシュー・ヴォーン監督第1作。 この作品で2004年の英国アカデミー賞、新人監督賞にノミネートされています。 名前も過去も明かされない主人公の麻薬ディーラーに、『007カジノロワイヤル』で6代目ジェームス・ボンドとなるダニエル・クレイグ。 1968年生まれ。『ミュンヘン』や『ジャケット』も記憶に新しいですね。 そんなに長身ではありませんが、細身で均整のとれた立ち姿がカッコいいです。 映画は非常にテンポ良く、スタイリッシュに欲望うずまく裏社会の男たちを描いていきます。 全般ブリティッシュ・ロック(たぶん)が流れますが、ラストにとっても懐かしい歌が流れました。日本語歌詞の方が有名でしょう。劇場でご確認ください。(白)

2004/イギリス/1時間45分/スコープサイズ/SRD・SR/
ソニー・ピクチャーズ クラッシックス提供
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給

http://www.sonypictures.jp/movies/layercake/site/

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『美しい人 9lives』

監督・脚本:ロドリゴ・ガルシア
エグゼクティブ・プロデューサー:アレサンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ

『彼女を見ればわかること』で女性たちの痛みを鮮烈に映像化したロドリゴ・ガルシア監督の最新作。9人のアメリカを代表する女優たちが、10分ほどの物語の主人公になり、演技を競う。その熱演たるやすごいのひとこと。ショートストーリーだからテンションを保ち続けられるのか、ただただ驚くばかりである。また、監督の実験的試みなのか、一話がワンカットで描かれていることにも驚いた。いつ、カットが変わるのか、そちらに興味がいってしまったところもあるのですが。

それぞれのエピソードには、女性なら誰でも直面するリアルな問題が描かれている。ただ、ややこしい問題は現実だけでたくさん。映画でも、せつない女性たちのもやもやした問題を見せられて、欝になってしまう人もいるかも。個人的には、やはり映画はウソでも楽しい気持にさせてくれるものがいい。

ガルシア監督、第一作目の『彼女を見ればわかること』では、女性たちがよく泣くので、ちょっと白けた覚えがありましたが、それを言ったら、「そんなことはない、私は女性たちに強い共感を覚えた、ベスト3にはいる映画だ」と支持する意見も多かった。

エピソードの中、好みで言えば第2話が好きである。竹内まりやの『駅』という歌がある。その駅がスーパーマーケットになったような話。ショーン・ペンの美しい奥さん、ロビン・ライト・ペンが主役。恋人と別れて結婚し、もうすぐ出産というときに、その恋人と再会。その場所がスーパーマーケット。お互い、普段着で買い物する姿にちょっとどきっとする。籠に食料品を入れながら、現在の生活を報告しあうが、やがて、恋人同士だったころの熱い思いがわき上がって。ま、男は今の家庭にもどるが、ロビンは家庭に戻るのかどうかははっきり描かれてない。

エピソードを飾る女優たちは、一話からエルビディア・カリーロ、ロビン・ライト・ペン、リサ・ゲイ・ハミルトン、ホリー・ハンター、アマンダ・セイフライド、エイミー・ブレナマン、シシー・スペイセク、キャシー・ベイカー、グレン・グロース。(中原絵美)

2005年ロカルノ映画祭で、最優秀作品賞、9人の女優たちが最優秀主演女優賞を受賞。

アメリカ/2005年/114分/カラー/35mm
提供:博報堂DYメディアパートナーズ、ENTERTAINMENT FARM、ツイン、エイベックス・エンタテインメント、テレビ東京
配給:エレファン・ピクチャー、ツイン、博報堂DYメディアパートナーズ
宣伝協力:テレザ

公式 HP >> http://www.elephant-picture.jp/utsukusii/

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2006年6月17日〜


『母たちの村』moolaade

監督・脚本・製作:ウスマン・センベーヌ
撮影:ドミニク・ジャンティ
美術・衣裳:ジョセフ・クポブリ
音楽:ボンカナ・マイガ
キャスト:ファトゥマタ・クリバリ(コレ)、マイヌナ・エレーヌ・ジャラ(ハジャトゥ)、サリマタ・トラオレ(アムサトゥ)、ドミニク・D・ゼイダ(兵隊さん)ほか

西アフリカの小さな村。 太鼓の音で子供が6人いなくなったと知らされる。 そのうちの4人がコレを頼ってくる。 もうじき受けることになっていた割礼を恐れて逃げてきた少女たちだった。 コレが自分の娘の割礼を拒否していたのを知って、「保護」を求めて来たのだ。 コレは家の入り口に縄をかけ「モーラーデ(弱いものを保護すること)」を宣言する。 始めたものが終わるというまで、この聖域には立ち入ることができない。 少女たちはこの中にいる限り安全なのだ。 しかし割礼師や少女たちの母親が談判にやってくる。 割礼は古くからの風習で、受けないものは不浄で結婚できないとされている。 コレは割礼のおかげで難産し、2度も子供を死なせていた。 3度目は帝王切開でやっと産むことができ、この娘の割礼を拒否し続けているのだ。

 

男性の割礼は宗教的あるいは衛生上から行われていると聞いています。 しかし一部の国で行われている女性の割礼には百害あって一利なしです。 いったいいつまでこんなことが続けられるのでしょう。 この映画は伝統に真っ向から立ち向かい、娘たちを守ろうとした勇気ある母たちの物語です。 テーマは重いのですが、画面はアフリカの光のもと原色の衣裳が美しく、母親たちの笑顔に力づけられます。 「アフリカ映画の父」と尊敬されているウスマン・センベーヌ監督は83歳でこの作品を作りました(拍手〜!)。

この映画の後に「砂漠の女ディリー」という本を読みました。 ソマリアの遊牧民の娘が年寄りに嫁がされるのを嫌って家出し、親戚を頼りロンドンでメイドをします。 その間にカメラマンに見出され、モデルの仕事につきニューヨークでトップモデルにまでなる実話です。 その中にこの割礼のくだりがあり、あまりにもひどいしうちなので震えそうでした。 ディリーは親しい記者に割礼の話をしたのがきっかけで、国連大使をつとめ女子割礼廃絶のための運動もしています。(白)

女たちが頭上に水がめを載せて、モスクの前を歩いていく。 木のくいがいっぱい飛び出たモスクは、世界遺産に指定されているマリ共和国トンブクトゥのモスクと同じタイプの、西アフリカでよく見られる日干し煉瓦で造られたスーダン様式。 のどかな風景だが、水汲みという重労働が女たちに課せられていて、一夫多妻は労働力確保のためかと思いたくなる。 本来、イスラームが一人の男に4人まで妻を娶ることを認めたのは、イスラーム初期の聖戦で男たちが数多く戦死したための方策であったはずだ。 イスラームが各地に伝播するうちに解釈が違っていたり、本来の宗教の教義と、その土地の因習が交じり合い、あたかもそれがイスラームの定めであるかのように扱われていたりしていることは実に多い。 本作で取り扱われている女子割礼(女性性器切除)については、十数年前に現代アラブ文学者の岡真理さんの講義で知り驚愕したが、もちろんイスラームの教義に定められたことではない。
本作では女子割礼が神の定めたこととして、村の長老たちは絶対的権力をもって執り行っている。 しかしある日、女たちはラジオを聴いていて、「メッカに巡礼している女たちは割礼していない」という指導者の言葉を耳にする。 ラジオを取り上げ焼き払う長老たち。 けれども、指導者の言葉というお墨付きを得た女たちは、女子割礼廃止に向けて立ち上がる。 エンディングに高らかに唄われる歌の歌詞「割礼のことは書かれていない」とは、もちろん、「コーランに書かれていない」という意味。 女子割礼に苦しむ女たちに、安心して反対運動を起こしなさいとエールをおくっているようである。

本作には、女たちだけでなく、悪しき因習から立ち上がろうとする男たちも描かれている。 パリ帰りの村長の息子、長兄の命令で妻に鞭を振るいつつも妻に理解を示す夫…。 男も女も共に意識を変えていかなければ社会は変らないことを訴えているのであろう。
もう一人、際立った登場人物が「兵士」と呼ばれている商人の男。 普段、村人相手に暴利をむさぼる商売をしているが、割礼廃止に立ち上がった村の女たちの味方をする。 そのために長老たちによって葬りさられるのだが、この男、国連平和軍に従軍していた折りに、高官が給料をピンはねしていることを口外したために刑務所送りとなった経験があるという人物だ。 監督はアフリカの伝統社会に一石を投げているだけでなく、国際社会に向けても、ぴりりと批判の言葉を発していて、喝采をおくりたい。(咲)

第57回カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ受賞

2004/フランス・セネガル/124分/カラー/35mm/ヨーロピアン・ビスタ/ドルビー・SR/
配給・宣伝:アルシネ・テラン

http://www.alcine-terran.com/main/home.html

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2006年6月24日〜


『恋は足手まとい』原題:UN FIL A LA PATTE

監督:ミシェル・ドヴィル
脚本/製作:ロザリンド・ドヴィル
原作:ジョルジュ・フェドー
撮影:ピエール=ウィリアム・グレン
美術:ティエリ・ルプルスト
衣装:マドリーヌ・フォンテーヌ
キャスト:エマニュエル・ベアール(リュセット)、シャルル・ベルリング(エドワール)、サラ・フォレスティエ(ヴィヴィアヌ)、ドミニク・ブラン(男爵夫人)、タニスラス・メラール(イリグア)、ジャック・ボナフェ、マチュー・ドゥミ、ジュリー・ドパルデュー、トム・ノヴァンブルほか

文化・芸術が花開いたべル・エポックのパリ。 社交界で人気の歌姫リュセットのサロンには、いつも多くの男たちが集まってくる。 別れた夫は養育費の無心に、自分を天性の物書きと信じるプーザンは詩を持って、リッチな若者イリグアは高価なプレゼントを持って。 気のいいリュセットは一文無しのエドワールに恋していたが、彼は持参金目当てに若い令嬢と婚約している。 そんなこととは知らないリュセットは、婚約式で歌う約束をする。 エドワールはリュセットに別れ話が切り出せず、婚約がばれないように、あの手この手でごまかそうと一騒動。

ジョルジュ・フェドーの19世紀の戯曲を映画化したコメディ。 エマニュエル・ベアールは年齢不詳の可愛らしさ満開、しゃれたドタバタ喜劇となっています。 恋人が来なくてさめざめと泣くリュセットが涙を拭いたり、鼻をかんだりするオープニングのシーン、この時代ティッシュはないので、真っ白なハンカチ(レースや縫い取りがある)をボーイが次々と捧げ持ってくるのです。 ま、贅沢!と思いましたが、これは洗ってまた使うので、紙を使い捨てている今の方が贅沢。 いつまでもあると思うな地球の資源。
エマニュエル・ベアールの髪型や衣裳、部屋の調度も素敵です。 それなのに、色男のはずのエドワールの裸のしまりのなさときたら! イリグア役のタニスラス・メラールに替わってほしかったです(笑)。(白)

2005/フランス/カラー/1時間20分/ビスタサイズ/ドルビー/R−15
配給:バップ/ロングブライド

http://longride.jp/ashidematoi/

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2006年6月10日〜


『春の日のクマは好きですか?』

監督:ヨン・イ
脚本:ファン・ジョユン
出演:ペ・ドゥナ、キム・ナムジン(『永遠の片思い』)、ユン・ジヘ、ユン・ジョンシン

ヒョンチェ(ペ・ドゥナ)は、ちょっと変わっていて彼氏の出来る気配がない。しかし妄想力だけは人一倍で、いつかは王子様が現れると信じている。そんな彼女だけをずっと見つめてきた幼なじみのドンハ(キム・ナムジン)の気持ちは、もちろん全然気付いていない。
ある日ヒョンチェは、父に頼まれて図書館で借りてきた美術書の中に、「春の日のクマのように、君が愛おしくてたまらない」という愛のメッセージを見つける。そしてそこには次の美術書とページが示されていて、次なる愛のメッセージへと繋がっていた。
ヒョンチェはこのメッセージの送り主こそ王子様だと確信して夢中になって探し始めるのだった。

もう3年も前の作品ですが、ようやく公開の運びとなりました。これまたペ・ドゥナの魅力が満載。か、かわいいっ!! 相手役のキム・ナムジンもイケてない感じがとても良くて、ガンバレと応援したくなります。春の日の暖かい日差しのような作品です。(梅)

2003年/韓国/98分/カラー/SRD/ビスタサイズ
配給:アット エンタテインメント
宣伝:アンカー・プロモーション

公式 HP >> http://www.harukuma.com/

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『初恋』

監督:塙幸成
脚本:塙幸成、市川はるみ、鴨川哲郎
原作:中原みすず(「初恋」リトルモア刊)
主題歌:元ちとせ「青のレクイエム」(Epic Records Japan)
出演:宮崎あおい、小出恵介、宮崎将、小嶺麗奈、柄本佑、青木崇高、松浦祐也、藤村俊二

みすずの母は兄だけを連れて失踪し、彼女は叔父の家で誰からも愛されず深い孤独の中に生きていた。ある日、突然兄が尋ねてきて「何かあればここに来い」と手渡されたのは、新宿にあるジャズ喫茶Bのマッチ。
兄の仲間たちがたむろするその場所に初めて足を踏み入れたとき、「子供が何の用だ」と冷たく言い放ったのは東大生の岸。その言葉にみすずは「大人になんてなりたくない」と思わず叫ぶが、それによって仲間として受け入れられた。Bはみすずにとって初めて知る暖かい場所、そして岸は初恋の人となる。しかし楽しい日々は、そう長くは続かなかった。激化する学生運動は仲間たちの生活にも影響し、徐々にちりぢりになっていく。そして岸はある途方もない計画を立てていた。

あの3億円事件の実行犯は女子高生だった・・・
これだけ聞くとかなり突拍子もない話しに聞こえるが、当時の時代背景を踏まえた設定やみすずの感情描写が緻密で、それもあり得るかも知れないと思わせる。
事件が起きたのはわたしの生まれた年で、その頃の空気は知るよしもないが、ただ初恋に殉じただけだったみすずの切なさは、十分に伝わってきて、ラストシーンには久々に胸が締め付けられるような気持ちになった。
NHK朝の連続テレビ小説「純情きらり」での主役や『NANA』『ギミー・ヘブン』『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』『好きだ、』など映画主演作も目白押しで、飛ぶ鳥落とす勢いの宮崎あおいが、この作品では一層の輝きを放っている。 兄役の宮崎将は実兄で、『ユリイカ』でも共演していた。2人ともすっかり大きくなってと、まるで近所のおばさんのような気分。(梅)

私が高校時代の忘れられない事件といえば、3億円事件、三島由紀夫自害、東大安田講堂占拠に象徴される学生運動である。 主人公みすずのほんの少し下の世代の私にとって、この作品は、あの時代にタイムスリップさせてくれた。 タータンチェックのプリーツのミニスカートやベルボトムのジーパン(当時は、ジーンズというより、こう呼んでいた)は、私も太い足を気にせず穿いていた。 実に時代の色がよく出ていて、新宿南口の階段にそっくりな風情の場所をよく見つけてきたものだと思う。 ジャズ喫茶は、煙草の煙が充満している上に音がうるさくて好きになれなかったが、足を踏み入れたことはある。どれもこれもが懐かしい。
それにしても、あの3億円事件と学生運動を結びつけた発想はすごい。 あの頃の若者はほんとに反体制運動に熱くなったものだ。 学生運動が私の高校にも飛び火して、2〜3ヶ月授業をせずに連日教室で討論を重ね、最後3名がハンストを起こし、結果勝ち取ったのが、文科系理科系別のクラスの廃止と男女別クラスの廃止。 その後、親友のF君はべ平連(ベトナムに平和を! 市民連合)に参加し、あげく自殺。 学生運動で検挙された同級生もいたらしい。 『初恋』の登場人物は、まさにあの時代の若者たちだ。(咲)


2006/日本/カラー/ビスタサイズ/DTS-SR/114分
製作・配給:ギャガ・コミュニケーションズ

公式 HP >> http://www.hatsu-koi.jp/

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2006年6月3日〜


佐賀の がばいばあちゃん』

監督:倉内均
脚本:山本清多、島田洋七
撮影:三好保彦
音楽:坂田晃一
原作:島田洋七 同名 徳間文庫刊
キャスト:吉行和子(ばあちゃん)、三宅裕司・鈴木祐真・池田晃信・池田壮磨(明広)、工藤夕貴(母)、浅田美代子(おば)、山本太郎(中野先生)ほか

新幹線の車中で岩永明広は、母と離れた一人旅で泣きべそをかいている少年に出会った。 明広は44年前の自分を思い出す・・・。
昭和32年の広島。小学2年だった明広の父は原爆症で亡くなり、母は女手ひとつで小さな居酒屋を切り盛りし息子たちを育てていた。 母の故郷佐賀から急に母の姉だというおばさんがやってくる。 明広は駅まで見送るが発車直前、母に汽車の中へ押し込まれてしまった。 驚く明広におばさんは「これから佐賀のおばあちゃんのところで暮らすんよ」と告げる。 明広はそれから8年の間、ばあちゃんと佐賀で生活する。 これがまた「がばい(佐賀弁で“すごい”)ばあちゃん」だった!

B&Bの島田洋七(1950〜)が2001年に発表した自伝がもと。 発行されてからじわじわとファンが増えて、映画化を応援する基金ができ完成しました。 母親と離れてばあちゃんと暮らす少年が、「明るい貧乏」がモットーのばあちゃん、友達や先生とのふれあいの中、元気に成長してゆくようすを描いています。 このばあちゃんの前向きな生活ぶり、その中から生まれるきらりとした言葉の数々が秀逸。 それを聞いたビートたけしが「財産だから書きとめておけ」と言ったのだとか。 漫才のぼけとつっこみのようで、映画を観ながら笑ったり泣いたりしました。 ちょっとだけご紹介。 こんなおばあちゃんになりたいものです。ばあちゃん役の吉行和子さんが綺麗で、あんまり田舎のばあちゃんに見えないんですが・・・。友情出演の方々も多数。(白)

明広:ばあちゃん、英語なんかさっぱり分からん
ばあちゃん:じゃあ答案用紙に、「私は日本人です」って書いとけ
明広:漢字も苦手で…
ばあちゃん:「僕はひらがなとカタカナで生きていきます」って書いとけ
明広:歴史も嫌いでなあ…
ばあちゃん:歴史もできんとか?「過去には、こだわりません」って書いとけ!

http://www.gabai-baachan.com/

1時間44分/配給:T・ジョイ 配給協力:東映

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『13歳の夏に僕は生まれた』Once You Are Born

監督・脚本:マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ
脚本:サンドロ・ぺトラリア、ステファノ・ルッリ
原作:マリア・パーチェ・オッティエーリ
「生まれたからには逃げも隠れもできないー埋もれた民族をめぐる旅」
撮影:ロベルト・フォルツァ
美術:ジャンカルロ・バジリ
衣裳:マリア・リタ・バルベラ
音響:フルジェンツィオ・チェッコン
挿入歌:「Un'Emozione per Sempre」 キャスト:マッテオ・ガドラ(サンドロ)、アレッシオ・ボーニルチア(父)、ミケーラ・チェスコン(母)、エスター・ハザン(アリーナ)、ヴラド・アレクサンドル・トーマ(ラドゥ)、ロドルフォ・コルサート(ポーピ)

北イタリアの小都市ブレシャ。実業家の父に連れられて自家用ヨットで地中海クルージングに出かけた13歳の少年サンドロは、真夜中に海に転落してしまう。漂流していたサンドロは、不法移民をめざす様々な国の人々でひしめく密航船に拾い上げられる。助けたのは、ルーマニア人の少年ラドゥ。妹アリーナと共に国を出てきたのだった。密航船の船員たちが、難民たちをイタリアに上陸させずに逃げてしまい、海上巡視船に保護された難民たちは、移民センターに送りこまれる。サンドロは、イタリア国民で、行方不明となり話題になっていた金持ちの息子と判明し、両親が迎えに来るが、彼は世話になったラドゥとアリーナを家に一緒に連れ帰ってほしいと頼むが・・ ・。

『ペッピーノの百歩』『輝ける青春』で、政治的に揺れ動く70年代のイタリアを描いた監督が、本作では、少子化と移民流入という、イタリアの現代社会が抱える問題を実にうまく捉えて描いている。また、13歳の夏に、これまで自分の育った環境とは違う世界を垣間見て、少年が大人になっていく様が生き生きと描かれている。
一方で、目を引いたのが、冒頭に映し出された、アラビア文字やイタリア語でない様々な文字の壁の落書き。この映画が何を描こうとしているのか・・と、興味を惹かれたのだが、見ている途中で、その落書きが移民してきた人たちのものであるとわかり、国を捨ててイタリアに新天地を求めてきた人たちのいろんな思いに心が馳せた。 (咲)

2005年/イタリア/カラー/シネマスコープ1:2.35/SR-D/120分

提供:レントラックジャパン コムストック
配給:コムストック 宣伝:アステア 宣伝協力:キネティック

(C)2005 Cattleya S.p.A.-Rai Cinema S.p.A.-Once You Are Born Films(UK)Ltd.-Babe Sarl

公式 HP >> http://www.13natsu.jp

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。
特別記事 イタリアの移民問題を少年の目を通して描く『13歳の夏に僕は生まれた』マルコ・トゥーリオ・ジョルダーナ監督インタビューもご覧下さい。


『puujee プージェー』

監督:山田和也
撮影:佐々木秀和
音楽:川崎真弘
出演:関野吉晴、プージェー(プレブヒシグ:木曜日に生まれた幸せな子)、エルデネチメグ(母)、スレン(祖母)、シャラフドルジ(祖父)、バーサン(いとこ)、セルチン(叔父)

1999年、探検家の関野吉晴は、南米最南端から人類誕生の地アフリカを目指す旅の途中モンゴルを訪れた。 首都ウランバートルから100kmほど離れた大草原で、自在に馬を操るひとりの少女と出会い、思わず近づいてシャッターを切る。 厳しい目でこちらを見ていた少女は「写真撮るなら、こっちに来ないで!」 とぴしりと言う。 少女の名前はプージェー、当時6歳で祖父母と母、2歳のいとことゲルに住んでいた。 誇り高い遊牧民の姿に魅了された関野は、それから何度もこの家族のもとを訪れる。

市場経済導入後貧富の差が広まり、草原では遊牧民の命ともいえる家畜泥棒が横行していた。 プージェーの家でも放牧していた馬が盗まれたばかり。 決して楽ではない生活の中、いつも笑顔を絶やさないおばあちゃんとお母さんは関野を暖かく迎え入れる。
その冬、草原は「ソド」という寒波の被害を受け、飢えと寒さで全体の1割もの家畜が死に、遊牧民の生活はますます困窮していく。 春にプージェーの家族を再訪した関野は、おじいさんばかりかお母さんまで亡くなったことを知り絶句。 落馬して重傷を負ったお母さんは救急車が来ず診療を受けるのが遅れ、健康保険もないことから結局受診もできずに死んでしまったのだった。

プージェーと同い年の一人娘があった関野氏は「かっこいい!娘に見せてやりたい」 とプージェーを撮ります。 初めは厳しい表情だったプージェーも、次第に笑顔を見せるようになります。 現金収入を得るため、父親は町へ出稼ぎに出ていて画面には登場しません。 女と子供と年寄りで守る草原の生活では、小さな子にも果たすべき役割があります。 母親が盗まれた馬を探して家を空ければ、母親の分の仕事はプージェーの肩にかかってきます。 知らない外国人を警戒するのは当然、おまけに仕事の邪魔をされては、あの眉を寄せた表情になっても無理はありません。
学校の先生になるのが将来の夢だったプージェーは、関野氏と出会ってから「勉強をして通訳になりたい」と言うようになりました。 人は人と出会うことで、深く印象に残ったり互いに影響しあったりします。 この5年にわたった記録から関野氏の感動を分けてもらいました。 特に同じくらいの子供たちや、そのお母さんにぜひこの映画を観てほしいです。(白)

2006/日本/カラー/110分/長編ドキュメンタリー/puujee製作委員会

ポレポレ東中野にてアンコール上映中

<関野吉晴さんと山田和也監督のトークイベント>映画上映前
★山田和也監督 トーク
  6月3日(土) 10:40/13:00
  6月4日(日) 10:40/13:00
★関野吉晴氏  トーク
  6月10日(土) 17:40
  6月11日(日) 13:00
  6月17日(土) 17:40
  6月18日(日) 13:00

http://www.mmjp.or.jp/pole2/


『ママが泣いた日』 原題:The Upside of Anger

監督・脚本・出演:マイク・バインダー
出演:ジョアン・アレン(「『きみに読む物語』」/ケヴィン・コスナー(『ダンス・ウィズ・ウルブズ』『ボディガード』)/エリカ・クリステンセン/エヴァン・レイチェル・ウッド(『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』)/ケリー・ラッセル/アリシア・ウィット/デーン・クリステンセン

デトロイト郊外の閑静な住宅街に住むウルフマイヤー家。 ある日、テリー(ジョアン・アレン)は、書き置きもなく帰ってこない夫が、秘書と駆け落ちして秘書の故郷スウェーデンに行ってしまったと思い込む。 それからというもの、酒浸りになり、4人の娘に怒りをぶつける日々。 そんなテリーのところに、元野球選手で今はラジオ番組でDJを務める隣人のデニー(ケヴィン・コスナー)が両家の間にある土地開発のことで訪れる。 夫に家出されたことに同情し、飲み友達を買ってでるデニーに、いつしか心も体も許し、娘たちも二人を公認。 美しい4人の娘たちも、それぞれに勉学、就職、結婚と自分達の道を歩んでいく。そうして3年程たったある日・・・。

実家と離れた大学在学中に恋人を作って出来ちゃった結婚をする長女ハドリー(アリシア・ウィット)、バレエダンサーを夢見て芸術学院への入学を決め、母親に猛反対される次女のエミリー(ケリー・ラッセル)、大学に進学せず、デニーの口利きでラジオ局に就職する三女のアンディ(エリカ・クリステンセン)、そして、転校生に恋する高校生の末娘ポパイ(エヴァン・レイチェル・ウッド)。 テリーと隣人デニーが心を通いあわせていく姿と共に、父親不在の家庭の娘たちの人生の転機も丁寧に、かつ、ユーモラスに描かれ、家族や男女の絆の大切さを感じさせてくれる。 けれどもこの映画は、ただただ泣いて笑えるハートウォーミングな物語に終わらない。 本作では折々にテロへの報復、アフガン侵攻、白人至上主義団体KKK、宗教戦争、はたまたボツワナのある民族の怒りの行動などのニュース映像が流される。 ヒロインのテリーは、夫が駆け落ちしたと思い込んで怒りを爆発させるのだが、この世界も、思い込みや偏見が争いを起こしていると訴えているのだ。 「寛大な心に安らぎが訪れる」と映画は結ぶ。(咲)

2005年/アメリカ/117分/ カラー/シネスコサイズ/ドルビーデジタルDTS
提供:ギャガ・コミュニケーションズ
配給:ギャガ・コミュニケーションズ、アニープラネット
協力:日活
宣伝:グアパ・グアポ

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。
公式HP>> http://www.annieplanet.co.jp/mama/


2006年5月13日〜


『恋するトマト クマインカナバー』

監督:南部英夫
企画・脚本・製作総指揮:大地康雄
撮影:小松原茂
音楽:寺田鉄生
原作:小檜山博「スコール」集英社刊
キャスト:大地康雄(野田正男)、アリス・ディクソン(クリスティナ)、富田靖子(景子)、ルビー・モレノ(リバティ)、清水綋治(中田)、村田雄浩(和男)、藤岡弘(勇作)ほか

野田正男45歳、老いた両親と田畑を守る働き者。不器用で要領が悪く、これまで何度お見合いしても断られてきた。気合を入れて臨んだダンスパーティは大ウケ。田舎暮らしに憧れるOL景子との縁談が進むかに思えたのだったが、農家の長男なのが災いしてか破談に終わる。意気消沈する正男に、勇作はフィリピン・パブで働くリバティを紹介する。交際した末、リバティの両親に会い、結婚式を挙げるため二人は フィリピンへ向かう。歓待を受けて正男は翌朝リバティを迎えに行くが、家はもぬけのからだった。農協から借りた結婚資金も騙し取られ、正男は生きる気力をなくしフィリピンの街を放浪する。

茨城県霞ヶ浦近くの農村が正男の故郷。フィリピンに渡ったまま帰れなくなった正男が、後にたまたま立ち寄るフィリピンの農村ラグーナ。驚くほど似通ったその村で、 水田で働く娘クリスティーナに出会います。題名の『恋するトマト』のわけは物語後半になってあきらかになります。「クマインカナバー」と小さく添えられた題名はタ ガログ語で「ご飯食べませんか?」の意味。この作品のためフィリピン取材に出かけたおりの事。大地康雄さんと脚本の小檜山さんが、浜辺で貧しい食事をとっていた ホームレスからこう声をかけられたのだそうです。貧しくても他人への思いやりを忘 れない心に二人はいたく感激、この言葉と心を映画の核にしようと決意したのだとか。この映画の企画がスタートしてから13年、大地さんの真摯な情熱と多くの人の心が詰まった作品が完成しました。ぴったりのキャストと、「大切なのは土と水と太陽」というセリフが印象に残ります。(白)

2005/日本/カラー/126分/35mm/アメリカンビスタ/DTSステレオ
配給:ゼアリズ・エンタープライズ

公式 HP >> http://theres.co.jp/tomato/

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『間宮兄弟』

監督・脚本:森田芳光
撮影:高瀬比呂志
音楽:大島ミチル
主題歌:「Hey,Brother」 RIP SLYME
原作:「間宮兄弟」江國香織著 小学館
キャスト:佐々木蔵之介(兄)、塚地武雅(弟)、常盤貴子(葛原先生)、沢尻エリカ(本間直美)、北川景子(本間夕美)ほか

間宮明信(兄)はビール会社の開発研究員。徹信(弟)は小学校の校務員。三十路を 過ぎた二人だが、まだ独身で仲良く共同生活をしている。横浜ベイスターズの試合を スコアをつけながらTVで応援、ポップコーンと飲み物を用意してのビデオ鑑賞、紙飛 行機にクロスワード、今日の反省会・・・二人で楽しめることはいっぱいあった。全 くモテない二人だったが、ビデオ店でバイトをしている直美だけは笑いかけてくれ る。徹信は学校の葛原先生と直美を誘って「カレーパーティ」をしよう、と提案す る。綿密に計画を立て、明信が作った3種類のカレーは大好評。モノポリーも盛り上 がった。さて、彼らは友達以上になれるのか?

大きな事件も起きず、仲良し兄弟の毎日とちょっとした感情のゆれをほのぼのと描いています。全然似てない兄弟だけど、とってもいいコンビです。彼らが暮らす部屋は本や面白いものがいっぱい。居心地良さそうで、ほんとに誰かが住んでいそうです。 ああ、私も招かれたい(笑)。「協力」に「ブックオフ」とあるので、あのたくさんの本もみな美術や道具のスタッフさんが集めたのでしょう。動くと骨が鳴ったり、寝ていてびくッと動いたり「あるある、いるいる」と笑える小ネタがちりばめてありま す。
中島みゆきさんが母親役というのは意外でしたが、こういうお母さんならいい息子たちになりそう、と思わせます。そういえば登場するのは美女ばかり。沢尻エリカは 『パッチギ!』で朝鮮高校生キョンジャを演じていました。妹役の新人、北川景子は同じ’86年生まれ。観終わったら「兄弟っていいなぁ」と思うでしょう。そして、 ビールかコーヒー牛乳が飲みたくなるかも。(白)

*試写の前に突然、主演の佐々木蔵之介さん、塚地武雅さんが現れました。息のあった凸凹コンビで笑わせてくれました。現場での楽しさが伝わってくるようです。カメラは持っていましたが撮影はできなくて残念。

2006/日本/カラー/1時間59分/ヴィスタサイズ/ドルビーSRD
配給:アスミック・エース

公式 HP >> http://mamiya-kyoudai.com/

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2006年5月20日〜


『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』(ドキュメンタリー)

監督・脚本:ハインツ・バトラー
出演:アンリ・カルティエ=ブレッソン、アーサー・ミラー、エリオット・アーウィット、イザベル・ユペール

2004年8月アンリ・カルティエ=ブレッソンの訃報が世界中を駆け巡った。 95歳だった。
彼は、ロバート・キャパらとともに、写真家集団“マグナム”を設立し、小型カメラのライカを片手に、スペイン内戦前夜やパリ解放、ガンジーの死など歴史的瞬間を撮った報道写真の先駆者だった。
また、写真集『決定的瞬間』(英語版タイトル)で独自の写真美学を確立し、世界中の写真家に多大な影響を与え、写真を芸術の域に高めた。 ヨーロッパ、アメリカ、インド、中国、日本など世界中を旅した彼は、その“激動の20世紀”の瞬間を捉え続けた。

人前に顔をさらすのを嫌い、自身についてほとんど語ることのなかった偉大なる芸術家が、人生の最期に初めて、その半生と作品について語る。 映画は当時93歳のカルティエ=ブレッソン本人と、親交のあった写真家エリオット・アーウィットや昨年惜しくも亡くなった劇作家アーサー・ミラーなどの貴重なインタビューで構成されている。 撮影の大半は、チュイルリー公園を望むカルティエ=ブレッソンの自宅で行われた。 青春のメキシコ、捕虜収容所の脱走、戦時下のパリ、助監督もつとめた映画監督ジャン・ルノワールと の出会い、 “マグナム”の仲間たちとの思い出、マリリン・モンロー、ココ・シャネル、トルーマン・カポーティ、サルトルとボーヴォワールら20世紀の“顔”を撮影したエピソード…。 そして、ついにカルティエ=ブレッソン本人の口から“決定的瞬間”の謎が明かされる。 (資料より)

2003年/スイス・フランス/72分/カラー/ビスタサイズ/ステレオ/デジタル

http://www.longride.jp/hcb/

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『雪に願うこと』

監督:根岸吉太郎
脚本:加藤正人
原作:「輓馬」鳴海章 文藝春秋刊
キャスト:伊勢谷友介(矢崎学)、佐藤浩市(矢崎威夫)、小泉今日子(田中晴子)、吹石一恵(首藤牧恵)、山崎努、草笛光子(母)、香川照之ほか

矢崎学は東京での会社経営に失敗し、妻や友人にも去られ、かつて捨てた故郷の帯広へと舞い戻って来た。 “ばんえい競馬”の厩舎を営み家を守ってきたきた兄の威夫は、そんな学を「こきつかってやる」と馬の世話をさせる。 成績を上げなければ馬肉になるしかない「ウンリュウ」や、厩舎の仲間と寝起きを共にするうち、都会の華やかな生活に未練たらたらだった学は少しずつ変わってゆく。


©『雪に願うこと』フィルムパートナーズ

第18回東京国際映画祭グランプリ、監督賞、男優賞、観客賞受賞作品で、昨秋いちはやく鑑賞しました。 輓馬(ばんば)の馬たちの存在感が圧倒的で、俳優のみなさんはさぞ大変だったこととお察しします。 佐藤浩市さんも「馬に負けないように頑張りました」と挨拶していました。
私の故郷も北海道なので、「きーん」と表現したくなる冷気や、馬の白い鼻息、きゅっきゅっと鳴る雪道など懐かしいです。 そんな風景の中での兄弟の確執、家族の絆、挫折から立ち上がる人々のようすが丁寧に描かれ胸をうたれました。 何もかもなくしたとき、あなたはどこへ帰りますか?(白)


根岸監督(右)と佐藤浩市さん
第18回(2005年)東京国際映画祭
グランプリ、監督賞、男優賞、観客賞受賞


2005/日本/カラー/112分/35mm/ドルビーSR/配給:ビターズ・エンド

舞台挨拶決定!詳細は公式HPをご覧ください
★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。

http://www.yukinega.com/


2006年4月29日〜


『隠された記憶』

監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
撮影:クリスチャン・ベルジェ
キャスト:ダニエル・オートゥイユ(ジョルジュ)、ジュリエット・ビノシュ(アン)、モーリス・ベニシュー(マジッド)、レスター・マクドンスキ(息子ピエロ)、ベルナール・ル・コック(上司)、アニー・ジラルド(母)ほか

ジュルジュはTV局の人気キャスター。 妻のアン、息子のピエロと共に何不自由なく暮らしていたが、ある日差出人不明の包みが届けられる。 中には子供の落書きのような絵とビデオテープが入っていた。 再生するとすぐ近くで撮ったらしい彼の家と家族たちが映っていた。 度重なる不気味なプレゼントに不安を募らせるが、実害がないので警察も対応ができない。 やがてジョルジュの記憶の底から幼い日の思い出が蘇ってきた。

フランス映画祭ではお馴染み、『8日目』でカンヌ映画祭男優賞を受けているダニエル・オートゥイユと、ジュリエット・ビノシュが夫婦役。 『ピアニスト』のミヒャエル・ハネケ監督作品。 これもなんだかひりひりと痛い映画で、記憶の底に沈めていたものが浮かび上がってくるときの怖さったらない。 どのシーンも意味ありげで、でも過ぎていってしまうので巻き戻したくなる。 キャッチコピーの「衝撃のラストカット」、ちゃんとわかった人教えて〜。(白)

カンヌ映画祭 監督賞ほか3部門受賞

2005/フランス・オーストリア・ドイツ・イタリア/カラー/1時間59分/

http://www.kioku-jp.com/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。
渋谷区円山町1-5 Q-AXビル3F(渋谷・文化村前交差点左折)

■ミヒャエル・ハネケ映画祭開催決定!   2006年4/15(土)〜4/28(金)
会場:ユーロスペース


『夜よ、こんにちは』

監督・脚本:マルコ・ベロッキオ
撮影:パスクァーレ・マーリ
音楽:リッカルド・ジャーニ
キャスト:マヤ・サンサ(キアラ)、ルイジ・ロ・カーショ(マリアーノ)、ロベルト・ヘルリツカ(モロ首相)、ピエル・ジョルジュ・ベロッキオ(エルネスト)ほか

1978年、ローマ。 歴史の裏には、自由と理想を追い求める葛藤があった。
1977年の暮れ、キアラとエルネストは新居の下見に訪れる。 2人は極左集団「赤い旅団」のメンバー。 隠れ家にするため、不動産屋には夫婦と偽っているのだった。
1978年3月16日、キアラはアパートの上空を飛ぶヘリコプターに気づいて、テレビに見入る。ニュースはモロ元首相が誘拐されたことを告げていた。 リーダーのマリアーノ率いるメンバーの計画が成功したのだ。

実際に起こった事件を「赤い旅団」メンバーの手記を元に映画化したもの。 ほとんどが閉ざされたアパートのシーン。 外が陽光にあふれていても、モロを監禁していることが知られないようカーテンが引かれています。 思惑と違って、労働者に受け入れられず苛立つ若いメンバーたち、 監禁されて要求に従いながらも家族を思うモロ。 メンバーとして行動してきたキアラは、しだいに自分の信念に疑いを持つようになります。 引き裂かれそうなキアラは夢を見、監督が史実から離れて加えてくれたシーンに私も息をつきました。 スクリーンに映ったのはカラーの映像のはずなのに、蘇るのは白黒のシーンばかりです。なぜかな?(白)

2003/イタリア/カラー/105分/1:1.66/ドルビーデジタル/
配給:ビターズ・エンド
宣伝:ムヴィオラ

http://www.bitters.co.jp/yoruyo/

★東京での上映は終わりました。全国の詳しいスケジュールは公式HPをご覧下さい。
☆4/29(祝)、4/30(日)各日先着300名様に、イタリアで一番売れているパスタ「バリラ・スパゲッティ」をプレゼント!


2006年3月11日〜


『かもめ食堂』ruokala lokki

脚本・監督:荻上直子
原作:群ようこ(「かもめ食堂」幻冬社、2006年1月刊)
エンディング・テーマ:井上陽水「クレイジーラブ」
出演:小林聡美(サチエ)、片桐はいり(ミドリ)、もたいまさこ(マサコ)、ヤルッコ・ニエミ(トンミ)、タリア・マルクス(リーサ)、マルック・ペルトラ(マッティ)

サチエはフィンランドのヘルシンキに、一人「かもめ食堂」を開いたが、窓越しに興味本位で覗く人ばかりで、お客さんはさっぱり来ない日が続いている。それでもサチエは毎日まじめにやっていれば、きっと上手くいくと信じている。
ある日、ニャロメのTシャツを着た青年トンミが一人「コンニチハ!」と入ってくる。トンミはサチエに「ガッチャマン」の主題歌を教えてと頼むが、サチエ冒頭の歌詞しか思い出せない。しかしこの「ガッチャマン」がサチエとミドリの出会いをもたらし、二人の出会いがシナモンロールを作らせ、シナモンロールの香が窓の向こう側にいたお客さんをお店の中へと誘う。そうしてちょっとずつ、かもめ食堂の席が埋まり始めた頃、ロスト・バゲージで途方に暮れるマサコがやって来る。

初めに試写状を見た時、「かもめ食堂、オールフィンランド撮影!なんじゃ?」と頭の中にクエスチョンマークが一杯になった。しかし主演女優が3人で小林聡美、もたいまさこ、室井滋じゃないけど片桐はいりって即刻「やっぱり猫が好き」を思い出し、期待値がググッと上昇。しかも監督は『バーバー吉野』『恋は五・七・五!』の荻上(おぎがみ)直子監督で、この方はフジテレビ「やっぱり猫が好き2005」の脚本を書いていた。
そんなわけでちょっと期待して観に行った作品。果たしてその結果は、なんと心楽しい映画だった事か!
小林聡美演ずるサチエは、凛とした立ち振る舞いが美しい。料理の所作もテキパキとし、どの位訓練したのか知らないが、フィンランド語の台詞もよどみなく実に堂々としていた。人種・国籍関係なく人間に対してオープンで、変化する事を恐れず受入れる。でも自分の好きな事しかしない。とにかくこの女性がカッコイイ!!3人の女性たちの背景はあまり多くは語られないが、3女優の実に巧みな演技によって、大いに想像力をかき立てられる。この物語はファンタジーではあるが、彼女たちに自分の姿を重ねる女性も多いのではないだろうか。
観終わると「ちゃんと食べて、ちゃんと生きよう!」と背筋を正され、思わずシナモンロールとコーヒーを食べに行ってしまったのでした。(梅)

2005/日本/カラー/35mm/アメリカンビスタ/102分/DTS
配給・宣伝:メディア・スーツ

公式 HP >> http://www.kamome-movie.com/

★2006年10月21日(土)より11月3日(金)まで、三軒茶屋シネマにて上映


2006年4月8日〜


『家の鍵』(原題:Le Chiavi di Casa)

監督:ジャンニ・アメリオ
脚本:ジャンニ・アメリオ、ステファノ・ルッリ、サンドロ・ペトラリア
出演:キム・ロッシ・スチュアート、アンドレア・ロッシ、シャーロット・ランプリング

ジャンニは15年前に障害を持って生まれた息子パオロから逃げ出していたが、これまでパオロを育てていた叔父からベルリンの病院へ彼を連れて行くことを託される。ジャンニは初めて接する息子に戸惑いと緊張を隠せないが、パオロの方は何にも誰にも臆すること無く、ジャンニを親しい友人の様に受け入れる。上手くいくかと思えたが、パオロの行動は時にジャンニの予測を越え、不安と混乱をもたらす。病院で彼は重い障害を持つ娘の母ニコールと出会う。彼女との出会い、そしてパオロとの触れ合いを重ねる中で、ジャンニは恐る恐るながら父性に目覚めていく。

これまで障害を持つ子とその母の関係を描いた映画は多いけれど、父との関係を描いた作品というのは珍しいです。しかもパオロを演じているのは、本当に障害を抱えているアンドレア・ロッシという少年。監督は当初映画の中でも登場する「明日、生まれ変わる」というジュゼッペ・ポンティッジャの著書を元に映画を撮ることを依頼されました。その時は自分にはできないと思ったのだけれど、アンドレア・ロッシとの出会いによって、この作品を撮れると確信したのだそうです。その結果、彼はパオロの役を演じているのだけれど、彼自身の個性と渾然一体となっていて、演じている様にはとても見えません。そして幼子のように屈託なく笑い、老人のように頑固で、繊細なのに大胆な行動をとり、好奇心に瞳を輝かせる彼の存在が、観る者を惹き付けてやみません。
これまでの人生で子供と接する経験が殆どない私には、父ジャンニの不安と混乱がリアルに感じられました。演じるキム・ロッシ・スチュアートは『アパッショナート』などに出演している正統派美男俳優ですが演技も素晴らしく、映画監督もするという、天が二物も三物も与えてしまっている人。そんな彼だからこそ、息子を受け入れられずにいることに、一層の説得力を感じるのです。
そしてもう一人ニコールを演じるシャーロット・ランプリングも素晴らしいです。ジャンニがまだパオロとの関係を始めたばかりで、不安と喜びの両極端な感情に振り回されているのに比べ、ニコールは20年間、娘の世話一筋に生きてきたため、感情をある程度コントロール術を身につけていて、常に穏やかな様子でいます。しかし一瞬吐露する言葉が心の中の深い闇の淵をみせ、ゾッとさせられます。果たして多くの親が彼女と同じようなことを考えるのでしょうか? 介護を巡るあらゆる問題が頭を巡ります。
深刻なテーマではありますが、重くなりすぎず、むしろ観終わって心に温かいものが残りました。映像は美しいけれど華美ではなく、泣かせるための過度な演出など一切無く、調和のとれた素晴らしい作品です。(梅)

第61回ヴェネチア国際映画祭 正式出品作品
第77回アカデミー賞外国語映画賞 イタリア代表作品
イタリア映画祭2005 オープニング作品

2004年/イタリア映画/111分/カラー/1:1.85ヴィスタ/ドルビー・デジタル
提供:朝日新聞社、国際メディア・コーポレーション、ザジ