80年代から韓国映画を上映し続けるミニシアターの老舗シネマスコーレ
90年代から未公開の韓国映画を紹介してきたミニ映画祭シネマコリア
そして、2008年から新しく多様な作品の製作・配給を始めた韓国の映画会社キノアイ
韓国映画の“ソムリエ”とも言える三者が…
リアルな韓国の“今”を伝える、本物の韓国映画4本を共同配給。
フェスティバル形式で、2009年末より、シネマスコーレほか全国のミニシアター・映画祭にて巡回上映!
■上映作品
主催:「真!韓国映画祭2009」配給委員会(キノアイ、シネマスコーレ、シネマコリア)
協賛:プラザマルマン、マルマン会館、Timestory Film & Books
★12/26(土)より、シネマスコーレにて名古屋・先行公開
2010年春より、ポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー
公式 HP >> http://cinemakorea.org/rkcf/
美術・舞台演出:串田和美
出演:中村勘三郎(聖天町法界坊)、中村橋之助(道具屋甚三郎)、中村勘太郎(永楽屋手代要介/吉田宿位之助松若)、中村七之助(花園息女野分姫)、中村歌女之丞(仲居おかん/淡路七郎女房早枝)、中村扇雀(永楽屋娘お組)、坂東彌十郎(永楽屋権左衛門)、片岡亀蔵(番頭正八)、笹野高史(山崎屋勘十郎)
法界坊は金と女に目がない乞食坊主。今は永楽屋娘お組に恋こがれているが、お組は大店の一人娘、手代の要助と恋仲だった。手代とは仮の姿、実は吉田宿位之助松若(よしだとのいのすけまつわか)はお家の宝“鯉魚の一軸(りぎょのいちじく)”を捜し求めているところ。そのお宝はお組を見初めた山崎屋勘十郎が入手し、縁組と引き換えに渡そうと永楽屋にもちかけていた。儲け話を耳にした法界坊は、横取りしようと企む。一方、松若の許婚の野分姫がしのぶ売りに身をやつし、松若を探してやってきた。
シネマ歌舞伎第13作目。今回は平成20年11月浅草寺境内での平成中村座公演です。舞台は生で観るのがそれはもう一番なのですが、公演に足を運べなかった方、チケット代が折り合わなかった方、ちょっと歌舞伎を観てみたいという方、映画館で熱演を楽しむことができます。勘三郎、勘太郎、七之助親子に加え、中村扇雀(お父様そっくりです)、中村橋之助(涼やか)、坂東彌十郎(渋い!)と共演陣も豪華。
目を見張ったのは片岡亀蔵さん、笹野高史さんの身の軽さ!こんな笹野さんを観たのは初めてです。勘三郎さんは欲深だけれど憎めない法界坊を楽しげに演じ、客席とのやりとりや身内ネタのアドリブなど、歌舞伎座公演とは少し違った雰囲気です。明かりや音響こそ違いますが、江戸の昔も、みなこうやって楽しんだのでしょう。試写では1度休憩が入りましたが、いっきに観てしまうほうがいいなぁと思いました。(白)
2009年/日本/カラー/2時間30分/
製作・配給:松竹 宣伝:スキップ
(C)松竹株式会社
監督:クレイ・ホール
製作総指揮:ジョン・ラセター
声の出演:メイ・ホイットマン/深町彩里(ティンカー・ベル)、ジェシー・マッカトニー/細谷佳正(テレンス)、アンジェリカ・ヒューストン/山像かおり(クラリオン女王)ほか
秋の祭典が近づいてきて、ピクシー・ホロウの妖精たちは準備におおわらわ。ものづくりの妖精ティンカー・ベルは、クラリオン女王から大役を仰せつかる。「妖精の粉」を作る月の石をおさめる「聖なる杖」を作ることになったのだ。親友のテレンスも大喜び、材料を届けたり口を出したり、なにかと手伝ってくれるのだけど気短かなティンカー・ベルはイライラが募るばかり。ある日ついにかんしゃくを起こし、そのはずみで完成間近の聖なる杖が壊れてしまった。すっかり怒った彼女は全てをテレンスのせいにして追い出してしまう。一人であたりちらしていると今度は貴重な月の石が壊れてしまう!妖精の粉を作り出すのに欠かせない月の石はもうネバーランドにはない。代わりの石を祭典までに見つけ出し、聖なる杖を完成させなければ。ティンカー・ベルは一人危険な旅に出ることにした。
昨年誕生するところから観せてくれた『ティンカー・ベル』に続く第2弾。今回はものづくりの才能を認められた彼女が一人旅に出発。元はといえば怒りっぽい性格が災いしての苦労なのですが、自分の欠点に気づき、友達を思う気持ちを取り戻していきます。ティンカー・ベルと同行する可愛い仲間も大活躍。さらにキュートになった衣装、広がった冒険の世界、誰でも共感できるティンカー・ベルのドラマを、この冬お子様と一緒にお楽しみください。(白)
2009年/アメリカ/カラー/1時間21分/ビスタ/ドルビーSRD
配給:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
© Disney Enterprises,Inc. All Rights Reserved.
期間:12月19日(土)・20日(日)
主催:上智大学アジア文化研究所
日本ではなかなか見ることのできないアルジェリアのドキュメンタリー作品が多数上映されるほか、パリ在住のアルジェリア人監督、マレク・ベンスマイル氏を招き、最新作『中国はいまだ遠し』の上映の後、会場との交流会が予定されています。
※会場の四ツ谷キャンパスは、JRおよび東京メトロ「四ツ谷」駅下車、徒歩5分です。
※マレク・ベンスマイル監督はフランス在住のアルジェリア人。
京都・ヴィラ九条山2009年度招聘アーティスト。日本とイスラーム世界の交錯する近代に関する新作の製作に取り組んでいる。詳しい経歴はヴィラ九条山のホームページ(http://villa-kujoyama.com)を参照。
※カイナ・シネマは2003年にパリで結成された文化協会。アルジェリアと地中海諸国との映画を通じた交流促進を目的とする。2008年、アルジェリア・ビジャーヤにて若手ドキュメンタリー作家育成のための研修を行う。今回の上映作品はその優秀作。
公式 HP >> http://www.info.sophia.ac.jp/iac/news/docs/news20091130_207181205.html
監督:オーレ・クリスチャン・マセン
脚本:オーレ・クリスチャン・マセン、ラース・K・アナセン
出演:トゥーレ・リントハート(フラメン)、マッツ・ミケルセン(シトロン)、クリスチャン・ベルケル(ホフマン)、スティーネ・スティンゲーゼ(ケティ)ほか
ただ生きるためなら降伏を、だが、“存在する”ためには戦いを―
1944年ナチス占領下のデンマーク、コペンハーゲン。ナチス・ドイツによる弾圧が強まる中、地下抵抗組織「ホルガ・ダンスケ」の一員であるフラメンとシトロンは、上層部からの指令により暗殺を実行に移していた。自分の行動を愛国のためと疑わず、冷徹にことを運んでいく若いフラメン。愛する妻子とともに暮らすこともままならず、彼らと守るためと信じて殺しに手を染めるシトロン。しかし二人が暗殺していく人物がほんとうに「売国奴」なのか、疑う事態に直面する。
あまり紹介されることのないデンマーク映画ですが、これは1本で何本分もの衝撃を覚えた作品でした。実在した2人の男性を元にした実録ドラマということに慄然とします。いつも安全なところにいて指令を出すだけの上層部の人間と、身体を張って戦い続ける前線の人間とおかれた立場に違いはあっても、国や守るべき人を思う気持ちは同じ、と信じたいのですが…。ただの手駒にすぎないという事実がここに。ほんとに戦争はいやだ~!印象的な二人の俳優トゥーレ・リントハートは『天使と悪魔』に。マッツ・ミケルセンは『007/カジノ・ロワイヤル』に出演しています。(白)
2008年/デンマーク、チェコ、ドイツ/カラー/136分/シネマスコープ/ドルビーデジタル
配給・宣伝:アルシネテラン
監督・脚本・編集:イ・チュンニョル
製作:スタジオ・ヌリンボ
プロデューサー:コー・ヨンジェ
出演:チェ・ウォンギュン、イ・サムスン
慶尚北道の古刹・清涼寺。老夫婦がまっこり酒を携えて階段を上り、長年飼っていた牛の供養に訪れる。「余命1年と言われたけれど、私たちが逝くまで待って欲しかった」と語る79歳になるチェおじいさん。牛の寿命は普通15年ほどなのに、この牛は40年も生きて、チェおじいさんを支えてきたのだ。
カメラは遡って、チェおじいさんが牛と過ごしてきた日々を四季折々の風景を背景に映し出していく。夜明けから牛のためにエサを作るおじいさん。農薬は牛に毒と決して撒かない。皆が耕作機械を使うようになっても、この牛のお蔭で9人の子供たちを育ててきたのだと、チェおじいさんは頑なに牛を手放さない。お盆に帰ってきた子供たちから、「牛を売って隠居して」と言われても黙っていたおじいさんが、足を怪我して、いよいよ観念して牛を売りに行く・・・
おじいさんが「人間より牛が大事」と優先するので、長年連れ添ってきたおばあさんはちょっぴり焼きもちをやいている様子。「私に食わせないで牛に食わせて」「私の人生は惨め。私の青春はどこへ行った?」日々口をついて出るおばあさんの不平に、観ている方は思わず笑ってしまいます。牛が売られて行く日、「あんたも苦労したね。あの人のせいで」と声をかけるおばあさんに、ほろっ!
本作は、チェおじいさん夫妻のところに足かけ3年、月2~3回のペースで通って撮影したドキュメンタリー。淡々と農村の老夫婦の暮らしを追った地味な作品なのに、韓国で累計約300万人動員の大ヒット。失われつつある懐かしい風景や人々の温かい気持ちが、じぃ~んと染み込むように迫ってくる作品でした。(咲)
2008年/韓国映画/78分/HD→35mm/1:1.85/カラー/ドルビーステレオ
配給:スターサンズ、シグロ
宣伝:ムヴィオラ
公式 HP >> http://www.cine.co.jp/ushinosuzuoto/
監督・脚本:松下俊文
音楽:ルスミラ・カルピオ
―父なる太陽、母なる大地。僕らはあなた達の子ども―
南米ボリビア・ウユニ塩湖の 空の色に息をのんだ。これほど穢れのない、突き抜けた青空は初めて。そして塩の白さ・・・よく見ると表面は純白だが、中は泥のようなものが層になって入っている。家畜のミネラル補給のための塩だ。それを切り出し、父と子で三ヶ月かけて各地をまわる。塩を待つ人々の交わりを、監督の温かい目線で見せてくれた。道中、緑の葉っぱを取り、束ねて持ち歩くが、後でそれが薬草だとわかって「薬草ならもっと取ればよかったのに」と思った。それも惜しげもなく、通りすがりの病気の幼子を抱く母親に分けてあげていた。
「パチャママの贈りもの(母なる大地の恵み)」を、みんなで分け合う暮らしに考えさせられた。松下監督が、南米ボリビアとそこに暮らす素朴な人々を深く愛していることが伝わって来る。
今年の東京国際映画祭で上映された『ボリビア南方の地区にて』は首都のラパスだったが、ゆったりとした時間の流れの中、本当の豊かさを感じさせてくれたボリビアが好きになった。(美)
2009/日本・アメリカ・ボリビア合作/カラー/アメリカンビスタ/102分/ケチュア語(一部アイマラ語、スペイン語)
配給:ゼアリズエンタープライズ 配給協力:マコトヤ
公式 HP >> http://www.pachamama-movie.com/
会場:東京 ポレポレ東中野
期間:12月12日(土)~12月29日(火)
昨年に引き続き、今年も「中国インディペンデント映画祭」が開催されます。
実行委員会からのメッセージ:
「今年は、皆様のご期待にお応えすべく、1年以上かけて日本初公開となる優秀作品を多数用意しました。多様化する現在の中国を反映するかのように、最近のインディペンデント映画にも様々なタイプのものが出てきています。今回はインディぺンデント映画でありながら検閲を通して政府から上映許可を得ている作品や、「80后」と呼ばれる80年代生まれの監督たちの短編集など、いろいろな種類の作品を集めてあります。
昨年以上に面白く、楽しく、エキサイティングな9プログラムを通じて、“主流”な中国映画や公的メディアからは知ることのできない中国の今を感じていただけるはずです。ご期待ください。」
上映作品:
『ジャライノール』(日本初上映)
『グッド・キャット』
『小蛾(シャオオー)の行方』
『武松の一撃』(日本初上映)
『牛乳先生』(日本初上映)
『新鋭監督短編集』(日本初上映)
『収穫』(日本初上映)
『俺たち中国人』(日本初上映)
『オルグヤ、オルグヤ…』(日本初上映)
スケジュールやシンポジウムなどのイベントに関しては公式サイトをご覧下さい。
公式 HP >> http://cifft.net/
プロデューサー: 堀江慶
●『茜さす部屋』
監督・脚本:星崎久美子 特別記事 星崎監督インタビュー
出演:吉本菜穂子、崔哲浩、大和屋敬、星ようこ、津田寛治、本多章一
長すぎた同棲生活にも、やる気の出ない仕事にもうんざりの29歳派遣OLが子作り大作戦を展開。
●『FROG』
監督・脚本:長久允
崔哲浩、桃生亜希子、倉方規安、児玉貴志、小林三四郎、カゴシマジロー
雨が降らず、世界の終末が近づく中で生きる人々。
●『ブーケガルニ』
監督・脚本:波多野純平
杉山文雄、諏訪太朗、並樹史朗、加藤裕月
3年前の事件に関する雑誌記事を巡り、3人の男女のからみあう運命。
2000年~2009年を「ゼロ年代」と呼ぶのだそうです。その世代に登場した3人の新鋭若手監督によるオムニバス・ストーリー。唯一の女性監督の『茜さす部屋』が、「ああ、こんなことありそう」と思わせるエピソードをつないでリアル、そこはかとなくおかしみもあって好きな作品でした。(白)
配給:アルゴピクチャーズ
公式 ブログ >>
http://zeronendaizenkei.blog83.fc2.com/
上映スケジュールなど >>
http://www.uplink.co.jp/x/log/003267.php
監督:浅香守生(あさかもりお)
脚本:鈴木智
出演:堺雅人(ナビゲーター/葉蔵)、高木渉(堀木)、朴璐美、久川綾(志津子)、能登麻美子(美子)、田中敦子(マダム)
東北の素封家の末っ子に生まれた葉蔵は、何不自由なく育ったが人間の生活というものがよくわからない。他人が恐ろしく、いつも顔色を伺い、自分が道化になることで人付き合いをしのいできた。政治家の父は東京の大学へ進ませるが、絵描きになりたかった葉蔵は授業にも出ず、左翼運動に参加していた。特高警察に追われて逃げ込んだバーで女給の恒子に匿われ、そのまま彼女の世話になる。
日本テレビで10月から放送されているアニメーション「青い文学」シリーズのうちから、「人間失格」4話分を再構成してディレクターズカット版として劇場公開するもの。生誕100年を迎え、再び注目されている太宰治の代表作の一つです。活字離れと言われて久しい気がしますが、実写版なりアニメーション版なりで名作が身近になれば、原作にも手が出やすいかもしれません。
文章を映像化するには、作り手の大きな想像力が必要です。読んでから観るか、観てから読むかお好み次第。私は先に原作を読んでいたので「ああ、ここを残したのね」とか「あれをこう描いたのか」とか自分の思いと付き合わせる形になりました。堺雅人さんのちょっと不思議な微笑みを含んだ声が、キャラとぴたりと合っていました。(白)
2009年/カラー/デジタル上映
配給:株式会社ハピネットピクチャーズ
©「青い文学」製作委員会
公式 HP >> http://www.ntv.co.jp/bungaku/
監督:タル・ベーラ
原作:ジョルジュ・シムノン「倫敦(ロンドン)から来た男」(河出書房新社)
共同監督・編集:フラニツキー・アーグネシュ
出演:ミロスラヴ・クロボット、ティルダ・スウィントン、ボーク・エリカ、デルジ・ヤーノシュ、レーナールト・イシュトヴァーン
夜霧に包まれた波止場。鉄道員マロワンはいつものように、ガラスの檻のような制御室から港と駅を見下ろしていた。マロワンは、漆黒の闇の中で男が殺され、トランクと共に海に投げ捨てられるのを目撃してしまう。トランクを拾いあげてみると、そこにはぎっしりと札束が入っていた。翌日、マロワンは、手漕ぎボートで海の中を探る男を見かける。男の視線を感じて、思わず心を乱すマロワン。やがて、倫敦から刑事がやって来る・・・
ハンガリーの巨匠タル・ベーラ監督が、「メグレ警視」シリーズの文豪ジョルジュ・シムノンの原作を、チェコやハンガリーの俳優を起用して製作。平凡な毎日を送っていたマロワンが、倫敦から来た男・ブラウンの犯した殺人現場を偶然見てしまったことから、大金を手にし、次第に犯罪に巻き込まれていく姿が、モノクロームで静かに描かれ、なんとも味わい深い作品でした。窓からじぃ~っと眺めている横顔、暗闇の中でキィ~っと響きわたる線路を切り替える音、雰囲気あるカフェでの刑事との会話・・・ 一つ一つのシーンにぞくぞくさせられました。(咲)
2007年/ハンガリー=ドイツ=フランス/138分/35mm/ヨーロピアンビスタ/ドルビーデジタル
第60回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品
後援:駐日ハンガリー共和国大使館、ハンガリー政府観光局
配給:ビターズ・エンド
《豪華ゲストを迎え、スペシャルトークショー開催!》
※全てシアター・イメージフォーラムにて開催
◎<“映像美を語る”~光と影の芸術作品~>
12月17日(木)19:00の回 上映前
若木信吾さん(写真家)×立川直樹さん(プロデューサー/ディレクター)
◎<“監督タル・ベーラを語る”~世界の映画人を魅了する孤高の芸術家~>
12月19日(土)13:30の回 上映後
田中千世子さん(映画評論家・映画監督)×市山尚三さん(映画プロデューサー)
◎<“文豪ジョルジュ・シムノンを語る”~脅威のベストセラー作家、隠された素顔~>
12月25日(金)19:00の回 上映前
堀江敏幸さん(作家)×長島良三さん(原作翻訳者)
公式 HP >> http://www.bitters.co.jp/london/
監督:木崎文智
原作:岡崎能士
美術監督:池田繁美
音楽:TheRZA
製作:GONZO
出演:サミュエル・L・ジャクソン、ルーシー・リュー、マーク・ハミル他
アーティスト岡崎能士が生み出したアフロヘアの孤高の刺客“アフロサムライ”待望の続編。
よりパワーアップしたアクション、ストーリーに加え、ルーシー・リューら豪華キャストが実現。
日本史上、初めてのエミー賞アニメーション作品賞にノミネートされたジャパニメーションです。 セリフが英語で音楽はヒップホップ、でも舞台は古く懐かしい日本なので、とまどいましたが(笑) エンタテイメントに富んだ時代劇アニメでした。(千)
2009年/日本/カラー/ビスタサイズ/ステレオ/100分
配給:トルネード・フィルム宣伝:エイスワンダー(B.B.B.inc)
公式 HP >> http://www.afrosamurai2.jp/
監督・脚本:エミール・クストリッツァ
製作:ホセ・イバネス
製作総指揮:ベレン・アティエンサ、アルバロ・アウグスティン、オリビエ・デルボス、マルク・ミソニエ、ガエル・ヌエイーユ、バンサン・マラバル
撮影:ロドリーゴ・プルペイロ・ベガ
音楽:ストリボール・クストリッツァ
編集:スベトリク・ザイッチ
出演:マラドーナ・ファミリー、カストロ将軍、マヌ・チャオ他
20世紀スポーツ界もっともスキャンダラスなスーパースター ”神の子”マラドーナ48歳を名匠エミール・クストリッツァ監督がブエノスアイレスからナポリ、ベオグラードへと追ったドキュメンタリー。
右腕にチェ・ゲバラの、足にはカストロ将軍のタトゥーを入れてました。反米、反大英帝国、反資本主義! それでいて薬物中毒だったり家族愛に悩みまくるマラドーナの姿がとても魅力的でした。なにより作品の中に時折、当時のプレイが映るのですが、それが本当に“神の子”と呼ぶに相応しい震えるほどのゴール・シーン! マラドーナ教のロザリオはサッカー・ボールで出来てました(笑) マヌ・チャオも良かったです。 (千)
2008年/スペイン・フランス合作/カラー/95分 配給:キングレコード 宣伝:TEAM BEER
★12月12日(土)シアターN渋谷にてロードショー
公式 HP >> http://www.maradonafilm.com/
市川雷蔵が37歳の若さでこの世を去ってから早40年。15年間に159本もの映画作品を残し、今なお新しいファンを増やし続けている、日本の映画黄金期を駆け抜けた最高のスターです。
この秋、没後40年の特別企画として何と100作品が一挙上映されます! 眠狂四郎や陸軍中野学校、忍びの者などのシリーズものはもちろん、歌舞伎もの、現代もの、市川崑監督との作品『炎上』『ぼんち』『破戒』も! ニュープリントも多数あります。
ファンはこの秋、どっぷりと雷蔵に浸ること間違いなしですが、雷蔵を知らない若い方も、是非この機会に贅沢に作られた日本の娯楽映画と役者・市川雷蔵の魅力に触れてみて下さい。

今回の映画祭は史上最大の100作品一挙上映。この上映作品数は、映画祭としても俳優の出演作品数としても、世界最大級の規模となります。去る8月29日は市川雷蔵の誕生日。その前日にギネス世界記録に正式申請されました。
配給:角川映画
★12月12日(土)より、角川シネマ新宿他にて開催
公式 HP >> http://www.dairaizosai.jp/
監督・脚本:ピート・ドクター, ボブ・ピーターソン
製作総指揮:ジョン・ラセター
音楽:マイケル・ジアッチーノ
声の出演:エド・アズナー(カール・フレドリクセン)、ジョーダン・ナガイ(ラッセル)、ボブ・ピーターソン(ダグ、アルファ)、クリストファー・ブラマー(チャールズ・マンツ)ほか
©WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.
冒険ドキュメンタリーが大好きだけどシャイで無口なカール少年は、ある日同じように冒険に憧れる元気な少女エリーと出会った。二人は空き家を秘密基地にして、いつか伝説の場所「パラダイス・フォール」に行こうと誓う。大人になった2人は結婚して、空き家を買い取り新居にした・・・長い月日が流れて、カールはひとりぼっちになった。
いつも不機嫌な顔のカールじいさんは、周囲が開発の波に飲まれても愛するエリーと暮らした家を一人守り抜いていた。そこへまん丸顔の少年ラッセルがやってくる。「なにかお手伝いできることはありませんか?"お年寄りお手伝いバッジ"がもらえたら、シニア自然探検隊に昇格できるんです」カールじいさんは「ふん!」とドアを閉める。工事関係者とトラブルを起こしたカールじいさんは、家を立ち退いて施設に入ることになってしまった。迎えの来た朝、カールじいさんは家ごと空高く飛び上がった!無数の風船と・・・ラッセルも一緒に!?
ピクサー10作目の長編アニメーションの主人公は頑固なおじいさん。四角い顔に四角いめがね、3頭身の愛すべきキャラクターです。初めに披露される子ども時代からの回想シーンは、少ない台詞ながら表情豊かなアニメーションで2人の人生の全てが表現されています。幸せだった時間が思い出になり、カールじいさんはそれを大事にするあまりに頑固になりました。彼と反対に卵に目鼻をつけたようなラッセルは、お喋りし続けの少年です。最初は迷惑がり、追い出そうとしたじいさんですが、いつのまにかかけがえのない相棒に昇格していきます。 胸がいっぱいになる冒頭、色とりどりの風船が現れ、空飛ぶ場面にわくわく。噴き出してしまうカールじいさんのアクションシーンなど、一瞬も退屈させない名場面続きです。1日でも早く観たい方は東京国際映画祭のクロージングを狙いましょう。(白)
2009年/アメリカ/カラー/1時間43分/ビスタサイズ/ドルビーSRD・EX
配給:ウォルトディズニースタジオモーションピクチャーズジャパン
★12月5日(土)全国ロードショー(一部劇場にてディズニーデジタル3‐D同時公開)
監督:大塚祐吉
出演:桜井莉菜、加賀美早紀、石原あつ美、細貝圭、渡辺哲ほか
家族に見放され、彼氏にも裏切られ、ピンクのキャリーケースを引いて大阪から東京にやって来た一之瀬ハルカ(桜井莉菜)。お供は背中にジュエリーを背負った亀のジミー1匹。仕事を探そうと面接にこぎつけるが、ゴージャスに盛った金髪にド派手メイクのハルカは、場違いと追いかえされてしまう。ネットカフェ暮しをしていた彼女は、お金も底をつきそうになり、夜の世界に飛び込む。どうせやるなら、店のナンバーワンにと頑張るが・・・・
ふっと立ち止まった時、「本当は何がしたいんだろう?」と、つぶやくハルカ。そして、自分なりに頑張ってしまう姿が眩しい。見た目で判断して受け入れない大人たちがいる一方で、彼女に優しく声をかけるのが、ホームレスのおっちゃん。お互い大阪出身ということもあって、大阪弁でのやりとりが、なんとも暖かい。当初のハルカのセリフは、大阪弁ではなかったそうだが、桜井莉菜さんの出身が大阪だということもあって、彼女は全編大阪弁でしゃべっている。大阪弁の持つなんともいえない可笑しさが、作品全体を柔らかく包んでいる。(咲)
2009年/カラー/83分
配給:GPミュージアムソフト
監督:井坂聡
原作・脚本:伊藤秀裕
美術:大庭勇人
撮影監督:さのてつろう
編集:矢船陽介
音楽:遠藤浩二
出演:高島礼子、榎木孝明、加藤和樹、亀谷さやか、今木洋子、竹本聡子、蜂谷眞未、西村雅彦、島田陽子
島美輪子(高島礼子)は心臓移植を受けて間もない夫の信二(榎木孝明)を連れて高原の別荘を訪れる。信二はミステリー作家で、療養と執筆を兼ねてやって来たのだった。別荘に来て以来、何かに怯えている様子の信二。温和で紳士的だった彼が、次第に凶暴な態度を取るようになる。夫の人格が変わったことに驚き、美輪子はその原因を探ろうと別荘管理人の甥の武(加藤和樹)に付き添ってもらって東京へ戻る。信二の担当医である三田(島田陽子)や、とある連続殺人事件を追っている河野刑事(西村雅彦)と会い、信二に移植された心臓が殺人鬼のものだったことを知る。別荘に戻ると、信二はさらに戦慄の行動に出ていた...
きっと榎木さんは凶暴な人物に豹変するのを楽しんで演じたのだろうなと思いつつ、ファンとしては、ちょっと辛いものがありました。性格まで移植されるなどということはないと思うのですが、殺人犯の臓器を貰ったことは出来れば知りたくないですね。でも、殺人犯としては、人生最後の善行ですね。(咲)
2009年/日本/カラー/87分/R15+
公式 HP >> http://www.exf.info/dear-heart/
監督・脚本・製作:マイケル・ムーア
100年に1度の世界同時不況!? 失われたお金を取り戻すためにあの男が帰ってきた!! 史上最強の$マネーエンタテイメント
ムーア監督の突撃取材は今回も健在。世界中に吹く不況という風の起こりはここに。経済のしくみがうっすらわかるのと同時に、これはたいへんなことなのだと目からウロコがぽろぽろ…。かつて憧れたアメリカンドリームはどこへやら、格差は拡がるばかりの超大国アメリカ。
もともと多く持っている人たちが「もっとほしい」と欲張れば、しわ寄せは庶民にやってきます。銀行から融資をうけたばかりに、高い金利にがんじがらめになり持ち家や先祖代々の土地を手放すことになった人。真面目に働いてきたのになぜこんなことに、という嘆きはマネービルに狂奔する一部の人たちには届かないのでしょうか。長めのドキュメンタリーですが、目が釘付けの2時間あまり。勉強になりました。(白)
2009年/アメリカ/カラー/127分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
提供:ショウゲート、デイライト 配給:ショウゲート
©2009 Paramount Vantage, a division of Paramount Pictures Corporation and Overture Films, LLC
公式 HP >> http://www.capitalism.jp/
監督:アンジェイ・ワイダ
原作:アンジェイ・ムラルチク長編小説「死後」
脚本:アンジェイ・ワイダ、ヴワディスワフ・パシコフスキ、プシェムィスワフ・ノヴァコフスキ
撮影:パヴェウ・エデルマン
音楽:クシシュトフ・ペンデレッキ
出演:マヤ・オスタシェフスカ、アルトゥル・ジミイェフスキ、ヴィクトリャ・ゴンシェフスカ、マヤ・コモロフスカ、ヴワディスワフ・コヴァルスキ
ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督の積年の思いが込められた作品。
ドイツのヒットラーとソ連のスターリンの密約により、ポーランドは1939年に双方から侵略された。
ソ連の捕虜になった約15000人のポーランド将校が、1940年を境に行方不明になり謎となっていた。
1943年ドイツがソ連に侵略した時、カティンでポーランド将校の遺体を発見したことから「カティンの森」事件が明らかになった。
ワイダ監督の父も、アンナを演じるマヤ・オスタシェフスカの曾祖父もカティン事件の犠牲者だ。
今年観た中で、No.1の重い映画。
重い内容ではあるが、わかりにくい部分はなく、カティン事件を名前だけ聞いていた私にも理解できた。
この映画の見どころというか、ワイダ監督の巨匠と言われる所以がはっきり解るシーンは最初と最後のシーン。
始まりでポーランドの行き場のない国の状態を、最後は坦々とした作業のように殺戮が・・・。
スクリーン真っ暗になり、10~20秒そのまま無音の状態で、そしてエンドロール…。
無音の中、将校たちの叫びが聞こえてくるようだった。
この暗黒無音の何秒間にこそ、ワイダ監督の積年の思いが込められているように感じた。(美)
★12月5日(土)より、岩波ホールで上映
公式 HP >> http://katyn-movie.com/
2009年11月28日(土)~12月11日(金) ポレポレ東中野にて二週間限定開催!!
日本発展の原動力だった石炭産業。かつて多くの炭鉱があり、たくさんの人が働いていました。そして、炭鉱にまつわる映画も、記録映画から商業映画まで、たくさん製作されてきました。そんな作品を集めた映画がポレポレ東中野で上映されます。これを機会に、見逃した作品をぜひ観に行ってみてはいかがでしょう。
シネマジャーナル本誌でもいくつか作品を紹介しています。
『炭鉱(ヤマ)に生きる』 シネマジャーナル69号
『三池 終わらない炭鉱(やま)の物語』 シネマジャーナル69号
『荒木栄の歌が聞こえる』 シネマジャーナル76号
(宮)
詳細情報:
この特集上映は11月4日より開催中の「 '文化 '資源としての<炭鉱>展」の
Part-3 として、主催・ポレポレ東中野、共催・目黒区美術館により行われるものです。
Part-1は【<ヤマ>の美術・写真・グラフィック】と題して、炭鉱がモチーフとなっている美術作品を目黒区美術館で展示します。
Part-2は【川俣正コールマイン・プロジェクト】。世界的に活躍する美術家・川俣正の新作個展を目黒区美術館で開催します。
Part-3は、炭鉱にまつわる記録映画・劇映画14本が一同に会す【特集上映<映像の中の炭鉱>】をポレポレ東中野にて開催します。
本企画はPart-1、Part-2への出品作家である写真家・本橋成一氏が映画館・ポレポレ東中野のオーナーでもあることから実現いたしました。
かつて主エネルギー源として日本の発展を支えた石炭産業/炭鉱は、戦後制作された様々な映像作品に登場します。炭鉱会社のPR映画、炭鉱の実体を記録したドキュメンタリーから、青春映画、怪獣映画、文芸映画などさまざまな劇映画まで、映画だけでも、炭鉱町を舞台にしたもの、炭鉱を記録したものなど、優に数百を数えます。
女ひとり大地を行く(1953年/亀井文夫監督)
はじけ鳳仙花 ―わが筑豊わが朝鮮(1984年/土本典昭監督)
炭鉱 政策転換の戦い(1961年/徳永瑞夫監督)
にあんちゃん(1959年/今村昌平監督)
おとし穴(1962年/勅使河原宏監督)
日本女侠伝 血斗乱れ花(1971年/山下耕作監督)
爆裂都市.. BURST CITY(1982年/石井聰亙監督)
プ(1994年/山崎幹夫監督)
三池 終わらない炭鉱の物語(2005年/熊谷博子監督)
荒木栄の歌が聞こえる(2009年/港健二郎監督)
他全13作品上映
前売 1200円、当日1400円
you tubeに配信された予告編:
http://www.youtube.com/watch?v=fclqi8xKsrM
開催記念トークイベント開催!!
11月28日(土) 『はじけ鳳仙花』上映後
富山妙子(画家/『はじけ鳳仙花』原案・絵・詞)
11月28日(土) 『女ひとり大地を行く』上映後
吉岡宏高(NPO法人「炭鉱の記憶推進事業団」理事長)
12月3日(木) 『炭鉱に生きる』上映後
本橋成一(写真家/映画監督)
12月4日(金) 『三たびの海峡』上映後
神山征二郎(『三たびの海峡』監督)
12月5日(土)、10日(木) 『プ』上映後
山崎幹夫(『プ』監督)
12月5日(土) 『三池 終わらない炭鉱の物語』上映後
熊谷博子(『三池 終わらない炭鉱の物語』監督)
劇場 HP >> http://www.mmjp.or.jp/pole2/
監督・撮影:張麗玲
ナレーター:段田安則
プロデューサー:横山隆晴
2006年11月3日、ある3人家族の10年を追ったドキュメンタリーがフジテレビで全国ネット放送され高視聴率を記録。その後、多くの視聴者から再放送やDVD化希望の声があったが叶わず3年経った今、番組に感動した一人の大学生の熱い思いにより劇場上映が実現した。
1989年、一人の中国人男性が上海から日本へと渡ってきた。丁尚彪(ていしょうひょう)、35歳。
上海の街角で日本語学校のパンフレットを手にした彼は、親戚や知り合いに頼み込んで借金をし日本へとやってきたのだが・・・ 中国に住む妻、一人娘と離れ離れの生活が始まる。

私も当時、自宅でテレビを観ていて号泣しました。あの時の感動は今でも 忘れてません。画質などはやや落ちますがノンフィクションのテレビ番組が 映画ぽく綺麗に編集されていました。 (千)
この番組が放送された時、あいにく見ることができなかったので、映画として公開されると知りうれしかった。
大学に行きたいという思いを叶えるため、多額の借金をし、妻子を中国に残して日本にやってきた丁尚彪さん。文化大革命時、農村に下放された世代で、高等教育を受けることができなかったのである。しかし、生活のやりくり、借金の返済に追われ、結局、大学に行くことはできなかった。その思いを一人娘に託し「娘に一流の教育を受けさせたい」と、日本で働き続けていた。
早朝から夜遅くまで、いくつもの職をかけもちし、深夜にアパートに帰る毎日。帰ると夜ご飯を作り、ついでに次の日のお弁当も作る。丁さんのつましい生活。稼いだお金は妻子に送金。妻は夫から送金されたお金は使わず、娘の進学のために貯金。生活は自分が働く縫製工場の収入でやりくりをする。
そんな父母の思いを知り、娘は勉学に励み、1997年、見事ニューヨーク州立大学に合格。医者になるという夢に向かって歩み始めた。カメラは、上海、東京、ニューヨークと離ればなれで暮らす家族の姿を追い、家族の絆を描く。
時代に翻弄されながらも、前向きに生きる丁さんの姿、懸命に生きる一家の姿に、心動かされない人はいないだろう。不況下の現代だからこそ、励まされ、優しい気持ちになる。
10年に渡り、一家の姿を追い続けたのは、日本在住の張麗玲さん。今までフジTVで何度か彼女が撮ったドキュメンタリーが放映されてきたが、私が見たのは「小さな留学生」と、彼女自身が取材する姿を追ったドキュメンタリー「中国からの贈りもの」だった。どれも感動作で、涙なしに見ることができない作品だった。
その集大成がこの『泣きながら生きて』だと思う。日本と中国との関係を改善したいという高い志を持った彼女の生き方が反映された作品である。
現在、張麗玲さんは、中国映画や香港映画ファンにとってはおなじみのTV局、CCTV大富の社長である。中国や香港からのTV番組が放送されている。これを作るまでのいきさつや名前の由来も感動的。大富は、彼女が就職した大倉商事とフジTVが出資して始められた会社。始めた直後に大倉商事が倒産してしまい、新しい名前に変えるという話もあったけど「水を飲む時は井戸を掘った人の苦労を忘れてはいけない」と、大倉商事が自分に示してくれた支持と理解を決して忘れないよう、従来の社名を使用し続けている。
彼女が最初のドキュメンタリー作品を撮り始めたのは、大倉商事に勤めているときだったのである。理解を示してくれた会社への感謝の気持ちがこの名前に込められている。 (暁)
2006年/4:3/日本/カラー/108分
配給:ムーンビームス、ピクチャーズデプト 宣伝:る・ひまわり
★11月28日(土)新宿バルト9ほか全国順次ロードショー
公式 HP >> http://nakinagara.net/
監督・脚本:カイル・ランキン
製作:ブルース・ディヴィ、ローズ・レイダー
撮影監督:トム・アッカーマン
デジタル効果SV:P・Jフォーリー
出演:クリス・マークエット、ブルック・ネヴィン、レイ・ワイズ
巨大昆虫VS人類。世界が突然、巨大な昆虫の大群に占拠されてしまう。
なぜ起きたのか、その記憶は繭に包まれた人々の心の中に・・・
犠牲者たちの運命は不運にも万年怠け者のクーパーに委ねられた。
ダメ男クーパーは世界を救えるのか!?
撮影はマイケル・ジャクソンのMVなどを手がけたトム・アッカーマン。デジタル効果に“スター・トレック”のP・Jフォリーで迫力のあるアクションとCGが絶妙でした。 巨大昆虫と戦いながらも、ちゃんと恋愛もしているクーパーはダメ男ではなかったです・・・ (千)
2009年/アメリカ/カラー/ドルビー・デジタル/ビスタサイズ/91分
提供・配給・宣伝:プレシディオ
★11月28日(土)銀座シネパトスほか全国ロードショー
監督:渡邊貴文
音楽:金子ノブアキ
製作:伊藤久美子
プロデューサー:高柳利恵子
出演:弓削智久 須賀貴匡
弓削智久と須賀貴正匡は短編映画『FREE』を撮影するためにクルーを連れてアメリカへ。サンフランシスコから出発し台本に沿ってシーンを撮影していくが何かが足りない。そんな矢先、途中で無くしたと思っていたカメラが発見され、それをヒントに二人は旅で出会った人々にインタビューを開始。ゴール予定のラスベガスまで後3日。二人はスタッフとはぐれ、しかも道に迷ってしまう。仕方なくヒッチハイクで進んだ先に“生きていることの意味”を探る出会いが待っていた。

6月に行われた「Short Shorts Movie Festival」で特別上映し絶賛された『FREE』の撮影に密着、二人の役者の短編映画を作る旅を追ったドキュメンタリー。弓削智久監督脚本の『FREE』も作品中に含まれているが分かりにくかった……。そして電波少年を思い出してしまいました。 (千)
2009年/HD/カラー/ビスタサイズ/75分
配給宣伝:アルゴ・ピクチャーズ
★11月28日(土)渋谷ユーロスペースにてレイトロードショー
公式 HP >> http://www.baka2.jp/
監督:鈴井貴之
原作:浅田次郎著「銀色の雨」(文春文庫「月のしずく」所収)
脚本:宇山圭子、鈴井貴之
撮影:喜久村徳章
音楽:坂本昌之
主題歌:徳永英明 「透徹の空」
出演:賀来賢人(平井和也)、前田亜季(菊枝)、中村獅童(岩井章次)、濱田マリ(平井幸緒)、音尾琢真(草野)、大島優子(みのり)、冨澤たけし(小島)、伊達みきお(電気屋)、柳憂怜(森尾)、眞島秀和(柳沢)、品川徹(岩井耕造)、佐々木すみ江(岩井光子)ほか
和也は住み込みで新聞配達をしながら高校に通う17歳。3歳のときに父が亡くなり、東京から母親の故郷米子に移ってきた。陸上競技にも打ち込み、「模範少年」として新聞にも取り上げられた和也だったが、今は周囲の期待が息苦しい。ちょっとしたことで衝突した新聞販売店を飛び出し、母親とも喧嘩して家出を敢行。東京行きの電車がなくなり、途中の米子駅で降りることになった。
駅前で酔客にからまれていた若い女性を目にする。彼女は、幼い和也を弟のように可愛がってくれた母の同僚の菊枝だった。ちょうど米子に降り立った男性が菊枝を助け、名前も告げずに立ち去っていく。和也は菊枝のアパートの居候になった。菊枝は助けられた男性に再会し、しばらく同居させることになる。彼はプロボクサーの岩井章次だった。
浅田次郎原作の短編が映画化されました。監督は『銀のエンゼル』など北海道を舞台にした作品を撮り続けてきた鈴井貴之。昭和40年代の大阪が舞台の原作を、現在の米子を中心にした山陰地方に移し、「人生の雨宿り」(監督いわく)のような優しい映画にしあがっています。
父親の思い出を持たない和也と、両親からことさら離れて生きてきた章次が、まるで誰かに引き合わされたように出会います。大衆演劇によく似た話があり、そちらは股旅物や親子の人情劇ですが、底に流れるものは同じ。
初主演となる賀来賢人(かくけんと)は『Little DJ小さな恋の物語』(2007)に、光石研さんの息子役で出演していて、出番は多くないものの目を引きました。若く不安定な和也を中村獅童演じる岩井が受け止め、実際の撮影もこうだったのかもと想像。大泉洋らNACSのメンバーも、菊枝の勤めるスナックのお客として顔を出しています。ロケ地である鳥取県、島根県では10月31日(土)より先行ロードショー。(白)
2008年/日本/カラー/113分/ビスタサイズ/DTSステレオ
配給:エスピーオー、マジックアワー
© 2009「銀色の雨」製作委員会
公式 HP >> http://giniro-movie.com/
監督・脚本・声の出演:アリ・フォルマン
音楽:マックス・リヒター
美術監督・イラストレーター:デヴィッド・ポロンスキー
アニメーション監督:ヨニ・グッドマン
©2008 Bridgit Folman Film Gang, Les Films D'ici, Razor Film Produktion, Arte France and Noga Communications-Channel 8. All rights reserved
イスラエル人のアリ・フォルマン監督には80年代にレバノン戦争へ従軍しているが、その確かな記憶がない。最近悪夢にうなされるようになり、友人にうちあける。監督はかつての戦友たちを訪ね歩き、失われた自分の記憶を取り戻していく。
人はあまりに辛い目にあうと、自分の心を守るために記憶をなくしてしまうことがあるそうです。フォアマン監督は体験したはずの戦争の記憶をなくしていました。記憶を辿る旅は、閉じていた扉を開き見たくないものを見ることになります。映像は実写をイラストっぽくしたような、幻想的なアニメーションですが、ストーリーの真実味を薄めることなく胸にせまってきます。2008年東京FILMEXで『バシールとワルツを』の邦題で上映され、最優秀作品賞を獲得しました。(白)
ドキュメンタリーとアニメーションの合体という、これまであまりなかった形態です。アニメになると戦争や死のリアリティに薄皮一枚かぶせたような感じがするものですが、これは違います。ピカソの「ゲルニカ」のように、かえって恐怖や悲しみが増幅されているようです。今年、絶対観るべき映画の1本です。(梅)
★ゴールデングローブ賞 最優秀外国語映画賞はじめ多くの受賞あり
2006/カラー/イスラエル・ドイツ・フランス・アメリカ合作、イスラエル映画/90分/ドルビーデジタル/1:1.185/PG-12
配給:ツイン=博報堂DYメディアパートナーズ
公式 HP >> http://www.waltz-wo.jp/
監督・撮影・編集:伊藤弘二
音楽:大内勇太
出演:楳図かずお、祖父江慎、竹熊健太郎、金子デメリン
1955年にデビューして以来“まことちゃん”“漂流教室”など多くの名作傑作を生みだしギャグや恐怖で日本中を驚かしてきた天才漫画家・楳図かずおを追った初めてのドキュメンタリー映画。
小学3年の時、同級生の家で初めて読んだ”まことちゃん”に感激して以来、ずっと私も大好きな漫画家です。ニュースでも報道され社会問題となった赤白ストライプ御殿「楳図ハウス」の中が、あんなファンタジーあふれる空間だったなんて。嗚呼、私もいつか御邪魔してみたいです! (千)
2009年/日本/DV/91分
配給:トリウッド 宣伝:ブラウニー
★11月23日(月・祝日)下北沢トリウッドにてロードショー
公式 HP >> http://gwashi.com/
制作・監督:増田久雄
監修:矢沢永吉
―60歳になってもロックンロールやれる。ケツ振れる。
これを感謝と言わずに何が感謝だ。―
1949年9月14日生まれの矢沢永吉は今年60歳になった。
いや、親しみと憧憬を込めて「永ちゃん」と呼ばせてもらおう。彼は、私たち団塊世代の旗手の一人だ。それもとびきりの。
このドキュメンタリーは、永ちゃんの起きぬけから始まり、サイパンでのリラックスした表情の彼に会える。いつも走り続けてきた〝トップランナー〟の印象のある人が軽やかに走っている。
30年前の若い永ちゃんも画面に登場する。そりゃ還暦の今、外見は違ってきたけれど、パッションは変わっていない。熱い青年のままなのだ。昔も今も、白いTシャツ姿でバンドのメンバーを気遣い、雰囲気を盛り上げる。最高のステージを観客に楽しんでもらうため、入念なリハーサルが幾度も繰り返される。ライブでは選び抜かれた楽曲を精魂こめて歌う。サスペンダーつきの白いパンツで登場しマイクターンも健在! こんな人他にいる? 観客は総立ち「止まらないHa~Ha」ではタオルが乱舞する。
数々の矢沢語録は、一人歩きして伝説のようになった。けれど、それは一面でしかない。このドキュメンタリーでの永ちゃんは実に率直でチャーミングな人だった。そしてかっこいい!(白)
2009年/日本/カラー/90分/
配給:東映 宣伝:P2,グアパ・グアポ
© 映画「ROCK」製作委員会
公式 HP >> http://www.rock-yazawa.com/
「第10回東京フィルメックス」(2009年11月21日(土)〜11月29日(日) 有楽町朝日ホール、東劇 他にて)のラインナップ(全61作品 *予定*)が発表されました。
★追加情報★
東京フィルメックスでおなじみのアモス・ギタイ監督の『カルメル』(イスラエル)が特別招待作品として追加上映されることが決定しました。
また、上映スケジュールもアップされました。HPでご確認く
ださい。
★2009年11月21日(土)〜11月29日(日) 有楽町朝日ホール、東劇 他にて
公式 HP >> http://www.filmex.net/
11月21日(土)から30日(月)まで有楽町スバル座で10日間開催される「韓国映画ショーケース2009」では、韓国の観客から広く支持を受けたヒット作から国際映画祭で賞賛されたインディペンデント映画まで、様々な意味で2009年の韓国映画を代表する10本の素晴らしい作品が上映されます。
オープニング作品はチャン・ドンゴン主演の『グッドモーニング・プレジデント』です。
監督・脚本:チャン・ジン
出演:イ・スンジェ、チャン・ドンゴン、コ・ドゥシム、イム・ハリョン、ハン・チェヨン
史上最年少の独身大統領チャ・ジウクは前大統領の娘で幼なじみのイヨンを愛していた。ある日、ジウクはイヨンが対立する党のスポークスウーマンになったことを知る……。『ガン&トークス』のチャン・ジンが政界をユーモラスに描いた作品。チャン・ドンゴンが若き大統領を演じる。プサン映画祭オープニング上映。
詳細や、その他の作品については公式サイトをご覧下さい:公式 HP >> http://www.filmex.net/kfs
監督・脚本:片渕須直(かたぶち・すなお)
原作:髙樹のぶ子「マイマイ新子」マガジンハウス、新潮文庫刊
アニメーション制作:マッドハウス
主題歌:コトリンゴ「こどものせかい」(commmons)
音楽:Minako "mooki" Obata(みなこ・むーきー・おばた)
村井秀清(むらい・しゅうせい)
声の出演:福田麻由子(青木新子)、水沢奈子(島津貴伊子)、森迫永依(諾子)、本上まなみ(新子の母長子)ほか
昭和30年代の山口県防府(ほうふ)市。麦畑の広がる国衙(こくが)に住んでいる新子は小学3年生。おでこの生え際にマイマイ(つむじ)がある元気な女の子だ。大好きなおじいちゃんから「ここは昔周防(すおう)の国と言って、国衙は国の都という意味」と聞いた。千年も前のことだという。新子の目にはこの小道を1000年前の人たちが行き交うところが浮かんで見える。
新子のクラスに東京から転校生がやってきた。お父さんが紡績工場のお医者さんだという島津貴伊子は、初めての田舎の暮らしになかなか馴染めない。好奇心旺盛な新子は貴伊子に声をかけ、二人は互いの家を行き来するようになった。新子が生き生きと話す1000年前の女の子の話に貴伊子も夢中になる。

丁寧なリサーチをへて、原作の髙樹のぶ子氏が驚くほどに再現された国衙の風景。台詞もきちんと土地の言葉になっています。日本のどこかでなく、ここでなければならなかったという「リアル」は、1000年の昔にも及びます。想像力豊かな新子が紡ぎ出す平安時代の女の子「諾子(なぎこ)」のストーリーが、昭和30年代の風景の上に重ねられます。「つむじが二つある子は気が強い」と言われていた覚えがありますが、マイマイ新子も夢見るだけの女の子でなく、男の子顔負けの意地も度胸もあるのがすかっとします。
自分のことを思い返しても、ただただ無邪気に遊んでいるだけでは済まないこともありました。大人が懐かしむだけでなく、子どもたちには今と違った軽さ、風通しの良さを感じてもらえそう。テレビやゲームがなくても楽しむタネをいくらでも見つけられた、そんな力を取り戻してほしいものです。(白)
2009年/日本/カラー/93分/35mm/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:松竹
製作:「マイマイ新子」製作委員会
(c)2009 高樹のぶ子・マガジンハウス/「マイマイ新子」製作委員会
★11月21日(土)“心に残る”ロードショー
公式 HP >> http://www.mai-mai.jp/
11月21日(土)より東京・シネマート六本木
12月大阪・シネマート心斎橋
チケット発売日:9月26日
シネマート共通5回券 5000円 1回券 1500円 (大阪は1300円)
*特別上映3作品(『霜花店(サンファジョム)- 運命、その愛』『作戦 - The Scam』『悲しみよりもっと悲しい物語』)には〈5枚綴り回数券(5回券)〉及び〈1回券〉はご使用できません。また、その他イベント付き上映など、ご使用できない上映回もございます(詳細は劇場までお問い合わせ下さい)。
| 上映作品 | |
|---|---|
| 『ロマンチック・アイランド』 | 2008年/監督:カン・チョルウ/イ・ソンギュン、イ・ミンギ、イ・スギョン |
| 『ビースティ・ボーイズ』 | 2008年/監督:ユン・ジョンビン/ユン・ゲサン、ハ・ジョンウ、ユン・ジンソ![]() ©2008 DCG Plus. All Rights Reserved. |
| 『あなたは遠いところに』 | 2008年/監督:イ・ジュニク/スエ、チョン・ジニョン、チョン・ギョンホ |
| 『最後の贈り物』 | 2008年/監督:キム・ヨンジュン/シン・ヒョンジュン、ホ・ジュノ、ハ・ジウォン |
| 『赤ちゃんと僕』 | 2008年/監督:キム・ジニョン/チャン・グンソク、キム・ビョル、ムン・メイスン |
| 『少年は泣かない』 | 2008年/監督:ペ・ヒョンジュン/ソン・チャンウィ、イ・ワン、イ・ギヨン |
| 『マイ・ファーザー』 | 2007年/監督:ファン・ドンヒョク/ダニエル・ヘニー、キム・ヨンチョル |
| 『ガールスカウト』 | 2008年/監督:キム・サンマン/キム・ソナ、キム・ウンジュ、ナ・ムニ、イ・ギョンシル |
| 『Sダイアリー』 | 2004年/監督:クォン・ジョングァン/キム・ソナ、コン・ユ、イ・ヒョヌ、キム・スロ |
| 『ナンパの定石』 原題:作業の定石 |
2005年/監督:オ・ギファン/ソン・イェジン、ソン・イルグク、ヒョニョン |
| 『情熱のステップ』 英題:Dance Of The Dragon |
2008年/監督:ジョン・ラデル/チャン・ヒョク、ファン・ウォン、ジェイソン・スコット・リー |
| 『霜花店(サンファジョム)-運命、その愛』 | 2008年/監督:ユ・ハ/チョ・インソン、チュ・ジンモ、ソン・ジヒョ![]() ©2008 Showbox/Mediaplex, Inc., United Pictures & OPUS Pictures. All Rights Reserved |
| 『作戦-The Scam』 | 2009年/監督:イ・ホジェ/パク・ヨンハ、キム・ミンジョン、パク・ヒスン |
| 『悲しみよりもっと悲しい物語』 | 2009年/監督:ウォン・テヨン/クォン・サンウ、イ・ボムス、イ・ボヨン![]() ©2008 CORE CONTENTS MEDIA ALL RIGHTS RESERVED.< |
監督:佐藤祐市
脚本:いずみ吉紘
出演:小池徹平、マイコ、池田鉄洋、田中圭、品川祐、中村靖日、千葉雅子、森本レオ、田辺誠一
高校中退のニート・マ男は、母の死をきっかけに就職することを決心する。しかし学歴無し、キャリア無しの彼が就職できる会社など、どこにもなく、やっとの思いで採用してもらえたのは小さなIT会社。ところが、そこはとんでもない"ブラック会社"だった。
出社初日から「定時なんてもんは、都市伝説だ!」と言い放たれ、サービス残業、徹夜は当たり前。交通費などの経費は決して出ず、怒鳴り散らすだけのリーダーとその腰巾着のガンダムオタク、お局様に挙動不審者とろくな同僚もいない。唯一、藤田さんだけが優しい言葉をかけてくれ、仕事もできて尊敬できる先輩だった。納期に向けて日々つづくデスマーチ。それでも後のないマ男は、がむしゃらに働き続けるのだが・・・


長くつづく不況でますます労働環境は厳しくなり、ワーキングプアなる言葉もよく聞かれる昨今。何のために働くのか? お金のためだけと言ってしまっては、こんな過酷な状況をとてもじゃないけれど乗り切れない。人とのつながりをの中で尊敬できる人と出会い自分を成長させていく、そんな楽しみや目標があってこそ、多少辛くたってがんばれるはず。でも、やっぱり会社に使われるだけじゃだめ。マ男くんがいかにして最悪の状況を打破して厳戒を超えていくのかをご覧下さい。
それにしても、小池徹平くんは頭ぼさぼさ、目に隈げっそりメイクでも綺麗な顔をしているなぁ。(梅)
2009年/日本/カラー/104分/ヴィスタサイズ/ドルビーSRD
配給・宣伝:アスミック・エース
9月14日(月)、完成披露試写会が開かれ、監督と出演者が舞台挨拶に立ちました。キャストの皆さんは、撮影現場はまるで漫画喫茶のようにマッタリとソファーで漫画を読んでいて居心地の良い現場だったと口を揃えて言います。「ブラック会社度チェック」のフリップが各人に渡され、それにまつわる質問が司会者からされましたが、数々の項目について品川祐さんは「ざっとみて、これ吉本興業ですよね」。監督に「週1回でこんな会社、辞めてやる!って思うの?」と聞かれ、「週2で思いますよ」(笑)。
★11月21日(土)、シネクイントほか全国ロードショー
公式 HP >> http://black-genkai.asmik-ace.co.jp/
監督:エリク・ヴァン・ローイ
製作:ヒルデ・デ・ラーレ
脚本:バルト・デ・パウ
撮影:ダニー・エルセン
音楽:ヴォルフラム・デ・マルコ
出演:ケーン・デ・ボーウ(クリス)、フィリップ・ペーテルス(ビンセント)、ブルーノ・ヴァンデン・ブロッケ(ルク)、マティアス・スーナールツ(フィリップ)、ケーン・デ・クラーレ(マルニクス)、ヴェルル・バーテンス(アン)、アン・ミレル(クリスの妻エレン)、ティン・レイマー(ビンセントの妻バルバラ)ほか
建築家ビンセントが設計したマンションが完成し、パーティが開かれた。ビンセントは4人の友人たち、精神科医のクリス、その義弟のフィリップ、ルク、マルニクスに「何に使ってもいい」と最上階のロフトの鍵をこっそり渡す。男たちは妻に知られずに、秘密の情事部屋としてかわるがわる使っていた。ある朝ルクがロフトに来てみると、ベッドには全裸で手錠をかけられた女性が血まみれで死んでいた。この女性は誰なのか?合鍵を持っているのはこの5人だけ。犯人は友人の一人だ。誰もが疑心暗鬼にかられ、互いの腹を探り合う。

ベルギーで公開されるや、国民の10人に一人は観たという大ヒットを記録したサスペンス。私には馴染みは少ない出演者たちですが、どの俳優も人気と実力を備えているようで、なかなか魅力的です。5人の男たちとそれぞれの連れ合いとの生活が描かれ、一見幸せそうなのに秘められていたことがらが次々と暴かれていきます。誰もが嘘をつき、犯人に見えるうまい筋立てです。推理しながら探偵気分になりましょう。公開に先立ち、10月31日~12月3日に開催される大阪ヨーロッパ映画祭オープニング作品に決定しました。(白)
第16回大阪ヨーロッパ映画祭 公式サイト http://www.oeff.jp/
2008/ベルギー/カラー/117分スコープサイズ/SRD/R-15
提供:角川映画 配給:フリーマン・オフィス
公式 HP >> http://loft-m.jp/
監督:ウェイン・ワン(『ジョイ・ラック・クラブ』『スモーク』)
原作・脚本:イーユン・リー
出演:ヘンリー・オー(『ラスト・エンペラー』『ヒマラヤ杉に降る雪』『シャンハイ・ヌーン』)、フェイ・ユー(『ジョイ・ラック・クラブ』『アンディ・ラウ/天興地』)、ヴィダ・ガレマニ、パシャ・リチニコフ、
アメリカに住む一人娘イーランが離婚したと知り、北京から訪ねてきたシー氏。妻に先立たれて以来、料理の腕を磨いてきたシー氏は、たくさんのご馳走を作って娘の帰りを待つが、娘はほんのちょっと義理で箸をつけるだけ。久しぶりに会った父に「幸せよ」と語るが、会話は続かない。「幸せな人間が、そんなに無口か?」と問いかけるシー氏に、「お父さんも昔、無口だったわ」と切り返す。シー氏は娘の幸せを願って再婚を勧めたいのだが、父娘の距離はなかなか縮まらない。一方、シー氏は、娘が仕事で不在の昼間、片言の英語で積極的に人々と交流する・・・
親子だからこそ、心のうちを明かせないこともあると思う。それが誤解を生んだり、心配の種になったりすることもあるかもしれない。親子とはいえ、どこまでお互いの人生に立ち入っていいものだろうか。そうはいっても、やっぱり親子。静かな語り口で親子の絆を考えさせてくれる一作だった。 シー氏が公園で知り合い、片言の英語とお互いの国の言葉と手振り身振りで親しくなるイラン人のマダム。文革にイスラーム革命と、互いに政変を経験している二人の出会いが興味深い。イラン人のマダムの息子はアメリカで医者として成功しているが、孫の世話をさせたくないと、母親を老人ホームに入れてしまう。親を大事にするイラン人らしからぬ行為と、イランの友人に聞いてみたら、普通、孫が生まれたら、おばあさんを1週間べったり張り付かせて面倒を見てもらうものだという。老人ホームに入れる行為も信じられないという。アメリカ育ちのイラン人は、そんなところまでアメリカ的になってしまうのだろうか・・・ マダムを演じたヴィダ・ガレマニさんは、イラン人として、この設定に疑問を持たなかったのだろうか・・・と、つい考えてしまった。ま、不満は残るけれど、この映画を通じて、普段イランに接する機会ない方にペルシア語の美しさを知っていただけるのは何より嬉しい。(咲)
2007年/米・日本合作/35mm/ビスタ/カラー/ドルビー・デジタル/83分
配給:東京テアトル
公式 HP >> http://sennen-inori.eiga.com/
監督:ホ・ジノ(『八月のクリスマス』『四月の雪』)
出演:チョン・ウソン、カオ・ユアンユアン、キム・サンホ
韓国の建設会社に勤めるパク・ドンハは、同僚の代理で中国・成都に出張することになる。成都は、アメリカ留学時代に思いを寄せながら告白できなかった中国人留学生メイの故郷だ。到着した日、現地支店長に連れられて行った杜甫草堂で、ドンハはメイと偶然再会を果たす。10年の空白を埋めるように語り合う二人。留学時代、メイはドンハがサトコと、ドンハはメイがベンと付き合っていたと、お互いに思い違いをしていたことに今さらながら気付いた二人に恋心が燃え上がる。ドンハは帰国を一日延ばして、メイとの時間を作る・・・
ドンハを演じるチョン・ウソンの、男性としての自然な行動にドキドキさせられました。それに素直に応じられないメイ・・・。離れていた10年の間に、二人それぞれに出会いがあったのは当然のことでしょう。その相手との別れが不可抗力の天災で起こったものだとしたら、なかなか心の傷は癒えないものでしょう。でも、それを乗り越えていかなければならないのが人生。戸惑いはあっても、前に進むしかない。出会いは大切にしたいもの。(あ、出会いがなかなかない私!)
私ごとで恐縮ですが、成都には1989年にチベットへの行き帰りに行ったことがあります。杜甫草堂の竹林や赤い塀の変わらぬ美しさを懐かしく拝見しましたが、びっくりしたのは、立派になった空港でした。掘っ立て小屋のようだった空港から、ラサに向けて飛び立ったことを昨日のように思い出すのですが、20年の歳月が流れ、中国の変貌ぶりはほんとに凄いと驚くばかりです。
ちなみに、原題の「好雨時節」は、杜甫の詩の一節で、よい雨は、降るべき時期を心得て降ってくるという意味。
また、ドンハとメイの二人の会話は全編英語。中国が舞台なのに、英語?と、不思議に思うかもしれませんが、二人がアメリカ留学時代に知り合ったという設定だから。成都駐在の支店長は、中国留学経験があって、中国語ができますが、ドンハとは当然韓国語で会話しています。(咲)
2009年/韓・中合作/カラー/35mm/ビスタサイズ/100分/ドルビーSRD
配給:ショウゲート
チョン・ウソンが、『きみに微笑む雨』について語った特別記事
「WOW FES! 記者会見 〜 チョン・ウソン 大いに愛を語る」は、こちら→
http://www.cinemajournal.net/special/2009/wowfes/index.html
公式 HP >> http://www.kimiame.com/
監督:ロバート・ゼメキス
製作:ロバート・ゼメキス、スティーヴ・スターキー、ジャック・ラプケ
原作:チャールズ・ディケンズ「クリスマス・キャロル」
出演:ジム・キャリー(エベニーザ・スクルージ、3人の亡霊ほか全7役)、ゲイリー・オールドマン(マーレイ)、コリン・ファース(フレッド)、ロビン・ライト・ペン(ベル/ファン)、ボブ・ホスキンス(フェジウィッグ/ジョー老人)
19世紀のロンドン。クリスマス・イヴにスクルージの同僚マーレイが死んだ。共同経営者として長いつきあいだったのに、スクルージは悲しみもせず死者の瞼に置かれた小銭まで取り上げる。それから7年後のクリスマス・イヴ。スクルージはたった一人の甥フレッドの招きにも応じず、寄付を募る人を「余計な人口が減る」とはねつける。冷え切った我が家に帰ったスクルージは次々と奇妙なできごとに見舞われ、ついに死んだマーレイの亡霊が思い鎖を引きずって現れる。マーレイは自分の生き方を悔やんで泣き叫び、恐怖に震えるスクルージに「これから過去、現在、未来の3人の亡霊がやってくる」と告げる。
イギリスの文豪チャールズ・ディケンズの有名な物語を、ディズニーが忠実にアニメ化しました。実写版ではなしえなかった、独特なキャラクターの造形、自由自在なカメラワーク、スピード感をたっぷり楽しめます。メイキング映像では、顔にモーション・キャプチャー用の点をつけたジム・キャリーの演技のようすが見られました。彼の表情ひとつひとつがアニメに再現されて、キャラクターに命が吹き込まれています。彼は主人公のスクルージを始め、3人の亡霊など7役をひとりでこなしています。
スクルージはお金があっても貯め込むだけ、冷酷なこの老人をすれ違う犬さえよけてゆきます。一方、スクルージに雇われている事務員クラチットは、安くこき使われながらクリスマス・イヴにはスクルージのために乾杯するような人間です。二人の対照的な表情、家の造形なども見どころです。3人の亡霊に連れ回されたスクルージがどう変化してゆくのか、めくるめく映像をお見逃しなく。背景になる19世紀半ばのロンドンが、たんねんなリサーチを重ねてすばらしく描き込まれています。一時停止してゆっくり眺めたいくらい。一部劇場では3Dでご覧になれますので、19世紀のロンドンの街と人生模様をお楽しみください。(白)
2009/アメリカ/カラー/96分/シネスコ/ドルビーSRD/翻訳者:松浦美奈
配給:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
© Disney Enterprises,Inc. All Rights Reserved.
公式 HP >> http://www.disney.co.jp/movies/christmas-carol/
11月11日(水)、六本木ヒルズアリーナにて「クリスマス・キャロル」熱唱ジャパン・プレミアが開催されました。
最初にストーリー・メッセンジャー福田沙紀さんが登場し、アリーナに飾られた高さ10mの巨大なクリスマス・ツリーの点灯式で始まり、映画『DISNEY'S クリスマス・キャロル』イメージソングを歌うJUJUさんのライブ、そして楽しい亡霊キャラクターとして登場したハリセンボンが、再び点灯式に挑もうとすると・・・光ったのは自分たち!!なんと!電飾一杯の衣装を身にまとっていたのです! 最後は、一般公募による890人の「クリキャロ聖歌隊」の皆様とゲストとで、クリスマス・キャロルのなかで最も日本人に親しみの深い「もろびとこぞりて」を大合唱を行い、楽しい中にも厳かで美しい祭典は幕を下ろしました。


監督:ヤン・ヒンリック・ドレーフス、レネー・ハルダー
出演:ウラジミール・ピリペンコ、その家族、友人、村の人々
ちゃんと、いいかげんに生きる。
ウクライナで年金生活をしているウラジミール・ピリペンコさん62歳。小さな村で妻と動物達とのんびり暮らしているが、彼には30年来の夢があった。それは一人でこつこつ作り続けてきた「潜水艦」で海に潜ること。特別な技術があるわけでなく、愛読していた雑誌に出ていた潜水艦の記事を参考に、古いパーツを集め、年金をつぎ込んでようやくリハーサルまでこぎつけた。孫を助手に、近くの沼(?)に進水してみるが、思うように動かないわ、水は漏れるわで大変な思いをする。しかしめげずにトラックを借り、親友と2人でいよいよ400km先の黒海へ向けて出発~!
ウクライナでは不可能を意味するとき「草原にある潜水艦のよう」と言うのだそうです。この言葉を形にしたように、のどかな農村に出現した緑色の潜水艦。何十年も彼の趣味に付き合わされた奥さんは「もう知りません」、村の人たちもやれやれと呆れている風です。それでもリハーサルを成功したとして(私は不安でいっぱいでしたが)、総出でお祝いをする気のいい人たちに顔がほころびます。愛する潜水艦いるか号は車と宇宙船が合体したような、可愛い形。黒海までの道中、興味深々に寄ってくるのは男性ばかりなのが面白いです。
2007年山形国際ドキュメンタリー映画祭で市民賞を受賞しました。(白)
この作品、主人公のピリペンコさんの魅力が炸裂してます。奥さんに超文句言われながらも、へそくり引っ張り出してバッテリーを買ってきてご満悦。街から来たらしいお金持ちの男たちに大事な部品を言い値で買うから売って欲しいと言われ、本人思いっきり吹っかけたつもりなのにあっさりOKと言われたときの慌てよう。も〜、なんとも可愛いおっちゃんなんです。やっとこさ憧れの黒海を眺めたときのひと言には、ずっこけちゃいました。そしてピリペンコさん、歌が上手い! ドキュメンタリーと言ってもご本人たちによる再現ドラマのような作りなのですが、不思議と演技して作っているいるような感じがしないのです。どうやって撮ったのかしら。(梅)
2006年/ドイツ/カラー/90分/ロシア語、ウクライナ語
配給:パンドラ、宣伝:エスパース・サロウ
★11月14日(土)、渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー!!
★前売鑑賞券1,500円:イメージフォーラムの劇場窓口にてお買い求め頂くと、「ピリペンコさんをちょっと体験!潜水艦ペーパークラフト(1/30)」をプレゼント!
監督:宮平貴子
企画・原案・製作:ユリ・ヨシムラ・ガニオン
プロデューサー:サミュエル・ガニオン
製作総指揮:クロード・ガニオン ポール・カデュ
脚本:KIKYO GONPIN
出演:穂のか、ロザンナ、ダニエル・ピロン、紺野まひる、高部あい、ジョニー・サー、吉行和子
亡き祖母の思い出を胸に、少女・杏里は一人プリンス・エドワード島にやって来た。 遺された古いノートに綴られた、祖母の初恋のカナダ人兵士を探していたのだ。 そんな杏里を温かく迎えるB&Bの女主人マリ、マリに想いを寄せる隣人ジェフ。 島で暮らす人々にも、悲しい過去と、悩みがあり、様々な出会いの中で杏里の悲しみに 閉ざされた心もいつしか癒され成長してゆく。

記者会見で宮平監督はケベックからの助成金も得ました、と話してました。 とても細くて綺麗な女性監督! 100年前モンゴメリが書いた「赤毛のアン」は世界中で翻訳され、 日本でも多くの人に今もなお感動を与え続けている。 パンフレットに「主演の穂のかさんは“とんねるず”の石橋貴明さんの娘」 と書かれてありました。そう言われて見ると、似ている感じがしました(笑) 宮平監督も穂のかさんも、これからの活躍が楽しみです。(千)
2009年/日本・カナダ/カラー/105分
配給:シネカノン グランジュテ 配給協力:映画センター全国連絡会議
★10月31日(土)よりシネカノン有楽町1丁目ほかにて全国順次ロードショー
シネカノン有楽町1丁目にて12/22まで上映中!
監督・脚本:森田芳光
出演:小雪、黒谷友香、伊坂俊哉、山中崇、小澤征悦、小池栄子、仲村トオル ほか
東京から突然故郷の函館に戻ってきた摩耶は、高校時代の友人たちと再会する。市電の運転手で世界の路面電車を見て歩きたいという道上保。足の故障を抱えて苦しんでいるマラソンランナーの川上孝。箱庭作りが趣味の夫と2人暮らしの専業主婦・平場さくら。養魚試験場の研究員でその研究が世界から注目されている保利満。地元の有力企業の社長と結婚し、摩耶をライバルと思っている魚住サキ。摩耶はそれぞれの夢や希望を叶えるための資金を差し出し、彼らは戸惑いながらもそのお金を受け取ってしまうのだが・・・


『(ハル)』以来13年ぶりの森田監督完全オリジナル作品は、お金をめぐる、ちょっと不思議なテイストの物語。お金の話になると妙に生臭くなりそうでいて、摩耶というキャラクターのとらえどころのなさや、映像の雰囲気はどこか現実離れしていて、鑑賞後、いいとか悪いとかじゃなく、どこかひっかかる作品でした。
宝くじを買うと必ず言うのは「1等、3億円当たったらどうする?」。絶対当たらないと思っているので、いつも結論が出ないのですが・・・。映画を観て、摩耶のように人の夢(ただし具体性は必要)に投資するのも、面白いかもしれないと思う一方、相手の人生を変な風に狂わせる可能性もあって、ちょっと恐くもあります。って、どうせ当たらぬものを、考えてもしゃあないのですが。お金は全然無いと困るし、ありすぎても困る、というのは小市民の発想でしょうか。(梅)
2009年/日本/カラー/110分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:アスミック・エース
特別記事 『わたし出すわ』完成披露試写会レポート もご覧下さい。
公式 HP >> http://watashi-dasuwa.com/
監督:片岡英子
出演:こまどり姉妹 長内栄子・長内敏子/渥美二郎
昭和30年代に一世風靡した双子の演歌歌手「こまどり姉妹」。71歳を越えた今も、「厚化粧の顔は見ないで、着物を見てね」「泣いてツケまつ毛が落ちそう」と観客を笑わせながら、日本全国を飛び回って歌い続けている。しかし、彼女たちは「歌手になったのは、歌が好きだったからじゃない。食べるためでした」と語る。戦時中、樺太から北海道に引き揚げてきたのは姉妹が7歳の時のこと。炭鉱夫だった父が結核に罹り、母は担ぎ屋をするも捕まってばかり。母は1軒1軒の家の前で歌って日銭を稼ぐ“門付け”を始めるが、双子が歌ってくれれば銭をやると言われ、12歳だった姉妹は歌い始める。やがて“門付け”より、“流し”の方が稼げると誘われ、帯広での流し時代を経て、一家は上京して山谷に移り住み、浅草で“流し”を始める。苦労の時代が続いたが、芸能界入りのチャンスが訪れ、「浅草姉妹」でレコードデビューを果たす。「三味線姉妹」「ソーラン渡り鳥」などでヒットを飛ばし、NHK紅白歌合戦や映画にも出演。しかし、人気の絶頂期、妹がステージ上でファンに刺され、もう左手が動かないかもしれないと言われる程の重傷を負う。懸命なリハビリで回復するも、次には末期癌が発覚。さらに両親が相次いで亡くなる。姉は一人で舞台に立ち、妹の介護に奔走する中、理想の男性と出会い子供も授かる。妹が癌を奇跡的に克服し、また2人で舞台に立てることになった頃、姉は子供を引き取り恋人と別れる。1983年再出発した2人は、レコードデビュー50周年を迎え、昨年その栄誉が讃えられて「日本レコード大賞 功労賞」を受賞した。
昭和30年代、テレビがわが家にもやってきて、よく観ていた「シャボン玉ホリデー」に出演していたのが、やはり双子の姉妹歌手“ザ・ピーナッツ”でした。洋風の彼女たちに対抗するように、着物姿で活躍していたのが“こまどり姉妹”。歌をそれほど覚えてはいないのですが、NHK紅白歌合戦の常連だった彼女たちの印象は鮮明に残っています。華やかに見えた彼女たちですが、これほどまでに波乱万丈の人生だったとは・・・ それは、戦争を経てきた日本人の多くが味わってきた人生とも重なるのではないでしょうか。炭鉱の町、引揚げ船、青函連絡船、上野駅、闇市、賑やかだった浅草六区、山谷・・・戦前戦後のモノクロ映像から昭和の時代を垣間見ることができ、決して忘れてはならない時代であることを再認させられます。姉妹の原点、小樽・銭函の冬の海を背景に2人が辿ってきた道を語る姿に、人生、諦めずに立ち向かうことの大切さを感じました。(咲)
2009年/カラー/35mm/ビスタサイズ/DTSステレオ/71分
配給・宣伝:アルタミラピクチャーズ
公式 HP >> http://www.komadorishimai.com/
監督・原案:ポン・ジュノ(『ほえる犬は噛まない』『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』
脚本:パク・ウンギョ、ポン・ジュノ
出演:キム・ヘジャ、ウォンビン、チン・グ、ユン・ジェムン、チョン・ミソン
天井にも薬草が溢れる漢方薬屋。ナタで薬草を切る女。通りの向こうで犬と戯れている息子トジュンとその友達ジンテ。猛スピードで走ってきた高級車が息子を吹き飛ばす。轢き逃げ。「ベンツの行き先、ゴルフ場以外にあるか?」とゴルフ場に向かい、車を見つけ、車体を蹴るジンテとトジュン。さらにプレイ中の車の主らを待ち伏せして殴る。警察に連行され、轢き逃げを暴行と引き換えで示談にしようとしている脇で、トジュンは拾ったゴルフボールに無心に自分の名前を書いている。
数日後、行きつけの飲み屋でジンテに待ちぼうけを食わされたトジュンは、帰り道、女子高生の後姿を見かけて声をかけるが無視される。翌日、その女子高生が家の屋上で殺されているのが発見される。トジュンの名前の書かれたゴルフボールが証拠となり、トジュンは殺人犯として捕まる。「息子は殺人犯なんかじゃない!」母の真犯人探しが始まる・・・


トジュンは28歳。ジンテに「女と寝たことがあるか?」と聞かれて、「ある」「誰と?」「オンマ(お母さん)」と答えるような、未だに子どもの心を持つ青年。兵役を終え、映画復帰第一作に本作を選んだウォンビン。“小鹿のような目をした”純粋なトジュンを、ほんとうにそんな青年がいると思わせる演技で見せてくれています。通りの向こうから犬を母親の方に向かせ、軍隊風の挨拶をさせるトジュンの姿は、ウォンビン自身が兵役から戻ってきた挨拶をしているように思えました。母親が「あのワルとは遊ぶな」と言う友人のジンテを演じているチン・グは、NHK衛生放送で放映された韓流ドラマ「スポットライト」で、ソン・イェジン演じる主人公の大学の同級生で、1年遅れて放送局に入社したイ・スンチョル役だった若手有望株。テレビでは声が吹き替えで、ちょっと甘ったれた印象だったのですが、本作では、いかにも不良っぽくて存在感があります。そして、何より圧巻は母を演じたキム・ヘジャ! 息子の立ちションの跡を消そうとする姿には、大人になりきれない息子を思う気持ちが滲み出ています。真犯人探しをする執念は、朝鮮民族の持つ「恨(ハン)」の感情に裏づけされたものでしょうか。また、冒頭と最後に、枯れ草の原っぱでラテン風の音楽に乗せて踊る姿には、アリランの精神を感じました。テレビドラマの母役として数多くの作品に出演しているキム・ヘジャですが、最近では「宮~Love in Palace」の皇太后パク氏役が日本では有名でしょう。ずっと前にどこかで観たことがあると思って、ご経歴をみたら、映画『マヨネーズ』(1999)を拝見していました。チェ・ジンシル演じる娘の母親役。マヨネーズを髪の毛に塗りたくる姿が迫力でした。それにしても、本作の凄さ! ポン・ジュノ監督、またまた怪作を作ってくれました。(咲)
2009年/韓国/カラー/35mm/シネマスコープ/ドルビーSRD/129分
本年度(第62回) カンヌ国際映画祭<ある視点>部門正式出品
提供:「母なる証明」フィルム・パートナーズ
協力:ハピネット、大韓航空
小説「母なる証明」(幻冬舎文庫)
宣伝:樂舎
配給:ビターズ・エンド
公式 HP >> http://www.hahanaru.jp/
監督:ジュリアン・ジェロルド
出演:アン・アサウェイ、ジェームズ・マカヴォイ、ジュリー・ウォルターズ、ジェームズ・クロムウェル、マギー・スミス
イギリスの女流作家、ジェイン・オースティン。
『プライドと偏見』、『エマ』、『いつか晴れた日に』など映画化されている作品の原作者。彼女の生涯、唯一の恋をドラマティックに描いたロマンティック・ラブストーリー。
1795年、イギリス、ハンプシャー。当時のイギリス社会で、愛のための結婚は愚か者のすることだった。ジェイン・オースティンの両親も、財産があり家柄も良い夫こそが娘たちに相応しいと考えていた。両親がジェインの相手に白羽の矢を立てたのが、ウィズリー氏。非常に裕福な地元の名士レディ・グレシャムの甥だった。両親の必死の努力にもかかわらず、ジェインはウィズリー氏との結婚に同意しない。20歳の彼女は、階級や財産を越えたところに人生の価値があると考え、愛のために結婚するつもりだった。そんな中ジェインは若いアイルランド人のトム・レフロイに出会う。ジェインの兄に伴ってロンドンからやってきたトムは、ハンサムで知的な法律を学ぶ学生だったが、貧しかった。トムは洗練されていない地方の人々を蔑視していたが、ジェインが優れた才能に恵まれ、強い独立心を持つ女性とわかり徐々に惹かれていく。狭いハンプシャーの村の中で2人は様々な場所で顔を合わせるようになり、次第に惹かれあうようになる・・・・。


高校生の時、ジェイン・オースティンの小説「高慢と偏見(Pride1813年)」や「分別と多感(Sense and Sensibility、1811年)」を夢中になって読んだのを思い出します。男女の恋の紆余曲折が描かれていたという以外、実は、どんな内容だったか、今となってはすっかり忘れているのですが、その作者自身の恋愛を描いた映画が出来たと聞いて、これは是非観たい! と飛びつきました。あれほどの恋物語を書くには、ジェイン・オースティン自身にも豊かな恋愛経験があるはずと思っていたのですが、彼女が一生独身だったことや、恋愛経験について、これまで知られていなかったことなど、この作品の資料を読むまで知りませんでした。本作で描かれたトム・レフロイとの駆け落ちまで考えるほどの真剣な恋をしたらしいことは、2003年に伝記作家のジョン・スペンスが独自の調査に基づき発表したもの。それまでトム・レフロイとは短い火遊びのような恋愛だったというのが定説だったそうです。当時のイギリス社会の結婚や恋愛事情の背景にあらためて興味を持ち、もう一度、彼女の小説をゆっくり読んでみたくなりました。(咲)
2007年/イギリス/シネマ・スコープサイズ/1時間53分
配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ
宣伝:ヘキサゴン・ピクチャーズ
★10月31日(土)より TOHOシネマズ シャンテ他にて全国順次ロードショー
公式 HP >> http://www.jane-austen-movie.jp/
監督脚本:松村浩行
助監督:大城宏之、石住武史、本間幸子
製作:柴野淳、河合里佳
撮影:居原田眞美
装置:相馬豊
装飾:浦井崇
編集整音:黄永昌
スチール:宮本厚志
出演:藤田陽子、菅田俊、上野龍成、上野凌雅
国境の海岸線を見張り続ける戦争遺跡トーチカ。
同じひとつの場所へと引き寄せられるように出会った男女。
トーチカの内側に拡がる深い暗闇の一点で二人の記憶が交差する。

『YESMAN NOMAN MORE YESMAN』 で2003年京都国際学生映画祭の 準グランプリを受賞した松村浩行監督の最新作。現ロシア領国後島出身の母親を持つ監督にとって 映画のロケ地である北海道根室市は縁のある土地だそうです。実存するトーチカを舞台に 主要登場人物は2人、劇中音楽も無くセリフと環境音のみで表現された映画。 目と耳と心が、どんどん深みに入っていく作品です。 (千)
2008年/日本/カラー/93分/DV-CAM Stereo 4:3
配給宣伝:トーチカ・ユニオン
★10月24日(土)渋谷ユーロスペースにてレイトショーほか
公式 HP >> http://www.tochka-film.com/
監督:サーシャ・ガバシ
出演:スティーヴ“リップス”クドロー(ANVIL)、ロブ・ライナー(ANVIL)、ラーズ・ウルリッヒ(Metallica)、レミー(Motorhead)、スコット・イアン(Anthrax)、スラッシュ(Guns N' Roses/Velvet Revolver)、トム・アラヤ(Slayer)
夢を諦めきれない人に捧げる、男たちの夢と友情の物語
カナダのトロントで結成されたバンド「アンヴィル」は、1982年にアルバム「メタル・オン・メタル」をリリース。多くのバンドがアンヴィルに影響を受け、成功してビッグになっていったが、アンヴィル自身はスターダムにのし上がることもなく、今なお成功を夢見て活動を続けている・・・
監督のサーシャ・ガバシは、高校生の時、ロンドンのクラブでアンヴィルの演奏を聴き、惚れこんで楽屋を訪れたのがきっかけで、夏休みに彼らの北米ツアーの裏方として付いていくことになる。多くのことを彼らから学んだ素晴らしい2ヶ月だったが、その後の関心は他のことに移り連絡も絶っていた。20年以上の時を経てアンヴィルとの再会を果たした監督は、彼らが昔と変わらずロックスターになることを目指して頑張っていることに胸を打たれ、ドキュメンタリーを撮る決意をする。2年に渡って彼らを追って綴った本作には、自分を信じて夢を持ち続け、友情という絆で苦境を乗り越えていく姿が映し出されている。本人たちには悪いけれど、思わず笑ってしまうような場面も! ヘヴィメタは苦手な私も、彼らの日常の素の姿に引き込まれてしまった。何事も継続は力!と、勇気付けられた一作。(咲)
2009年/アメリカ/81分/1:1.85/ドルビーデジタル
配給:アップリンク
10月24日の公開に合わせて、映画の主人公であるバンド・ANVILの来日、日本史上最大のメタル・フェスティバルLOUD PARK 09に出演することが決定!
【LOUD PARK 09】
日時:2009年10月17日(土)、18(日) 開場 10:00 / 開演 11:00
会場:幕張メッセ 9・10・11ホール
★ANVILは10月18日(日)SANCTUARY STAGEに出演
公式 HP >> http://www.uplink.co.jp/anvil/
監督:船曳真珠
脚本:柴田一成
原作:kagen(魔法のiらんど)
出演:石黒英雄(高原直人)、川島海荷(上野美里)、朝倉あき(小野寺由香)、落合扶樹(金田正敏)、桑江咲菜(斉藤久美)ほか
里美と由香は「彼氏に殺される…」というメールをよこしたまま、学校を休んだ真由美の家に向かっていた。心配する2人の目の前に真由美が落ちてくる! 死んだ真由美の携帯には彼女がハマっていた "携帯彼氏"のリクが笑う姿が残っていた。"携帯彼氏"とは、人気モバイルゲームサイト「あい・すくりーむ」で配信されている恋愛シミュレーションゲームのことだ。好みの「彼氏」を作成し、手軽に擬似恋愛を楽しめる。由香も"携帯彼氏"を持っていてラブラブなのだという。
これまで関心がなかった里美だったが、真由美の自殺の真相を探るため"リク"を自分の携帯にダウンロードする。しかし、リクのメモリにはもう元彼女の真由美は残っていなかった。もっと調べようとした矢先、バイト仲間の絵里が無断でリクを自分の携帯に転送し、またも不審な死をとげてしまう。

「魔法のiらんど大賞2007ケータイ小説アワード」で"ジャンル賞(ホラー・オカルト部門)"と"Hana*chu→賞"をダブル受賞した作品。女子中高生たちに口コミで広がり、累計180万の読者がいたそうです。すごい。北野武、黒沢清監督に師事した船曳監督はこれが長編映画デビュー。新人の川島海荷がヒロインの美里を、『エリートヤンキー三郎』の石黒英雄が、美里が憧れる先輩川原直人役で登場。
ケータイ小説は読者を飽きさせず逃さず、毎日引っ張っていくものですから、女の子が飛びつくネタ満載です。定番の純愛にサスペンスを加えたストーリーが新鮮で、今どきの女の子ファッションもきっちりきめています。イケメン揃いの"携帯彼氏"たちはラブゲージがあがっているうちはニコニコと可愛いのですが、雰囲気が悪くなると豹変して怖いです。これがほんとになったらぞっとしますね。人気沸騰したため、続編のケータイ小説「携帯彼女」というのも登場したとか。(白)
2009/日本/カラー/102分/
共同配給:GONZO、シナジー
★10月24日(土)新宿ピカデリーほか全国順次公開
公式 HP >> http://k-kare.jp/
9月24日(木)、草月ホールにて、『携帯彼氏』の舞台挨拶つき完成披露試写会が開催され、主演の川島海荷さん、朝倉あきさん、石黒英雄さん、船曳真珠監督、主題歌を担当した 弓木英梨乃さんが登場。満員の女子高生たちの声援を浴びました。

企画・製作:ネピュラプロジェクト
脚本・演出:成井豊、真柴あずさ
上演:演劇集団キャラメルボックス
映像監督:佐藤克則
撮影監督:大嶋広樹
キャスト:黒川智花、西川裕幸、大森美紀子、岡田さつき、菅野良一、大内厚雄、前田綾、岡内美喜子ほか
テレビの脚本家、根室美彦は40歳過ぎていまだ独身。しっかり者のアシスタントにアプローチしたいが、気弱なうえいつも邪魔が入る。飲めないお酒を飲んでテレビ局のディレクターのご機嫌取りをした夜、やっと自宅で2人きりになるチャンスがやってきた。ところがこんな時間に訪問者。ドアを開けると根室を「お父さん!」と呼ぶ若い娘が立っていた。実は大学卒業後、結婚して娘をもうけたのだが6年で離婚。妻には娘と会うことを禁じられ、札幌に住む妻子とは14年も会っていなかった。別れたとき5歳だった娘のいぶきは19歳になっていた。

演劇集団キャラメルボックスの2008年クリスマスツアー公演が映画館で観られます。原作は脚本・演出担当の成井豊がこの公演のために書き下ろした小説。この作品が初舞台となる黒川智花がいきいきと主役を演じます。黒川の父親役はキャラメルボックスの看板俳優・西川裕幸。大きくなった娘といきなり再会して戸惑う父親をペーソスとユーモアを交えて熱演。全国ツアーで3万人を動員した舞台を、生の迫力と臨場感を損なわずに再現した映像で楽しめます。劇団入門にぴったりです。(白)
2009年/日本/カラー/127分/HD(16:9)/5.1ch
配給:ソニー株式会社
宣伝:株式会社H14
★秋、新宿ピカデリーほか全国順次公開
全国共通鑑賞券2000円上映劇場にて販売中(当日:一般2500円、学生・小人2000円)
公式 HP >> http://www.livespire.jp/kimikodou/
会期:2009年10月24日(土)~29日(木)
会場:NHKみんなの広場 ふれあいホール(東京都渋谷区神南2-2-1)
入場料:500円(前売り/当日共通:アンコール上映も同額)
国際共同制作1本、アジア各国・地域制作4本、過去の名作3本、計8作品が上映されます。監督などゲストが来日し、Q&Aが行われる作品もあります。詳細は、HPでご確認ください。
●国際共同制作作品
『ピノイ・サンデー』(台湾・NHK・フィリピン・フランス)
●アジア各国・地域制作作品
『タハーン ~ロバと少年~』(インド)
『トゥルー・ヌーン』(タジキスタン)
『シャングリラ』(中国)
『キャプテン アブ・ライード』 (ヨルダン)
●アンコール上映
*第10回を記念して、過去のNHK共同制作3作品をアンコール上映
『アフガン・零年:OSAMA』
『リトル・チュン』
『ペパーミント・キャンディー』
★『キャプテン アブ・ライード』は、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2008で上映された作品。シネマジャーナル74号に記事を掲載しています。丘の上から素晴らしい光景を見晴らすアンマンの町で繰り広げられる老人と子どもたちの心温まる交流が描かれています。一方で、ヨルダンで初めて家庭内暴力を描いた作品です。
公式 HP >> http://www.nhk.or.jp/sun-asia/
監督:清水崇
脚本:保坂大輔
音楽:配島邦明
主題歌:ストレイテナー「CLONE」(EMIミュージック・ジャパン)
出演:柳楽優弥(ケン)、蓮佛美沙子(ユキ)、勝地涼(モトキ)、前田愛(リン)、水野絵梨奈(ミユ)、松尾スズキ(刑事)ほか
ケンは子供のころ転校して以来、ひさしぶりに旧友と再会する。モトキの婚約者は盲目の少女だったリン。ユキと名乗る少女も、モトキとケンを待っていた。ユキは10年前、みんなと一緒に遊園地のお化け屋敷に入ったまま、消息を絶っていたのだ。ここにいるのは本当にあのユキなのか?3人は半信半疑のまま、ユキを家まで送り届ける。ユキの母は娘の失踪後精神が不安定になり、妹ミユは「ユキは死んだ」と聞かされていた。ユキは家に戻って突然倒れてしまい、意識の戻らない彼女を4人は真夜中の病院へと運ぶ。辿り着いた病院には誰一人おらず、捜し歩くうちに、まるで迷宮のような不気味な空間となった。この場所にはみな覚えがあった。そして封印していた10年前の事件が蘇っていく。
富士急ハイランドの人気お化け屋敷「戦慄迷宮」を舞台に作られた、日本初の長編実写デジタル3D映画。
今まで観た3D映画は全てアニメーションだったので、実写版はこれが初体験。手がこちらに伸びてくるところなど特に不気味~でした。『包帯クラブ』(2007年)後、丸2年ぶりに観た柳楽優弥くんは、髪型も体型もすっかり変わって最初誰かわかりませんでした。まだ10代なのに、もっと身体しぼったほうがいいんじゃないかなぁ。目力はそのままなのでなんだかもったいない。ベネチア国際映画祭から戻った清水崇監督と、プロデューサーが舞台挨拶に登壇し、フッテージ上映の感想と「3Dアワード」のプレゼンターを担当した思い出など語りました。(白)
2009年/日本/カラー/3D映画/95分/ビスタサイズ/DTS
配給:アスミック・エース
(C)ショック・ラビリンス・フィルム・コミッティ2009
公式 HP >> http://3d-shock.asmik-ace.co.jp/
監督・脚本・製作:イエジー・スコリモフスキ
脚本:エヴァ・ピャスコフスカ
出演:アルトゥル・ステランコ、キンガ・プレイス、イエジー・フェドロヴィチ、バルバラ・コウォジェイスカ
どんよりとした雲がフタをしているかのような、ポーランドの田舎町。病院の火葬場で働く寡黙な中年男レオンは、年老いた母と2人暮らし。彼の日課は夜、自宅の部屋から見える病院の女子寮にいるアンナの様子を双眼鏡で覗くこと。しかし、街中で彼女に会っても声をかけることはおろか、まともに彼女の姿を見ることすらできない。それにはある理由があった。
アンナへの思いは日ごとに募る。母が亡くなり、仕事もリストラされてしまったレオンは、大胆な行動に出る。
アンジェイ・ワイダ、ロマン・ポランスキ、クシシュトフ・キェシロフスキと並びポーランドを代表するの映像作家でありながら、日本公開作品が少なく「幻の巨匠」と呼ばれるイエジー・スコリモフスキ監督。71歳となって17年ぶりの新作を撮り、今なお現役であることを知らしめました。
あまりに寡黙で、暗い眼をしたレオンの様子は、初めこの男は殺人鬼か何かかと思ったほど。ところが、次第に彼のそれまでの過酷な人生が次第に明らかになり、アンナへの愛のいじらしさに、深いため息をついてしまいました。それでも、女性としてアンナの選ぶ結論は、やはりそれしかないだろうと思うのです。人が人とつながりを持つことが、ますます難しくなってきている今の世の中、レオンのような男がたくさんいるような気がします。(梅)
第21回東京国際映画祭審査員特別賞受賞
2008年/カラー/フランス、ポーランド合作/ポーランド語/94分/35mm/ヴィスタ(1:1.85)/Dolby Digital, Dolby SR
配給:紀伊國屋書店、マーメイドフィルム
宣伝:VALERIA
★10月17日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムにてロードショー
公式 HP >> http://www.anna4.com/
監督:セス・グロスマン
脚本:ホリー・ブリクス
出演:クリス・カーマック、レイチェル・マイナー、ミア・セラフィノ、ケヴィン・ヨン
サムは時空を越える能力を使い、事件現場を観察して、これまで多くの難事件を解決してきた。警察のグレン刑事はその方法をいぶかりながらも、サムに一目置いている。ある日、かつての恋人レベッカの姉が尋ねてくる。10年前にレベッカを殺した真犯人を捜して欲しいという。レベッカの当時の日記が発見され、犯人として死刑が決まったロニーは冤罪の可能性が高いというのだ。サムは妹のジェナや相談相手のゴールドバーグ教授の静止も聞かず、過去へ戻り真相を確かめようとするのだが・・・
2009年/アメリカ/カラー/90分/シネマスコープ/SRD/R-15指定
提供:AMGエンタテインメント/プレシディオ
配給:リベロ/AMGエンタテインメント
★10月17日(土)より、銀座シネパトスにてロードショー
公式 HP >> http://butterflyeffect.heteml.jp/
主催:財団法人日本映像国際振興協会 (ユニジャパン/第22回東京国際映画祭実行委員会)
共催:経済産業省(マーケット部門)、東京都(コンペティション部門)、文化庁(映画人の視点)
期間:2009年10月17日(土)~10月25日(日) 9日間
会場:六本木ヒルズ (港区) をメイン会場に、都内の各劇場及び施設・ホールを使用
公式サイト:http://www.tiff-jp.net/ja/
新たな才能から成熟した監督までを対象に、世界中から厳選されたハイクオリティーなプレミア作品群より“東京 サクラグランプリ”を選出する[コンペティション]のほか、日本未公開のエンタテインメント作品が集う[特別招待作品]、TIFF最多の作品数と観客数を誇る [アジアの風]、バラエティーに富んだ日本映画を海外へ発信していく[日本映画・ある視点]、「自然と人間との共生」をテーマにした特集上映 [natural TIFF]など様々なジャンルの作品を9日間で一挙に上映。
>> 本年度受賞結果
●映画批評家プロジェクト
“東京国際映画祭では、人材育成の一環として、映画を愛し、映画をしっかり見る目を持った映画界の未来を支えていく批評家のプロが育つことを望んでいます。そのプロを目指す方を応援する意味も込めて、今年も「映画批評家プロジェクト」を実施致します。映画祭期間中にコンペティション作品をご覧になり、批評を書ける方ならどなたでも参加できます。”
>> 応募資格・応募要領など
●共催企画「映画人の視点 Director's Angle/Actor's Angle」
“日本を代表する「映画人」を招き、トークと上映をオールナイトで堪能できる、映画ファン必見のイベント。
「Director's Angle」として、国内外で最も高い評価を受ける日本の映画監督のひとり、是枝裕和監督が登場。
さらに「Actor's Angle」と題して、日本を代表する俳優にもスポットを当てます。”
>> 詳細
コンペティション作品 シネジャ・スタッフ感想集。これから観る参考にどうぞ!
●『ダークハウス』
ほんとに暗い映画なんですが、映画らしいというか、うまいなぁと思わせる作品。『アンナの過ごした4日間』と同じポーランド映画で、なんだか似ています。(白)
●『少年トロツキー』
イッセー尾形みたいな高校生役の俳優さんがなかなか面白いです。楽しくて好き。(白)
●『台北に舞う雪』
チェン・ボーリンとトン・ヤオの「ボーイ・ミーツ・ア・ガール」作品。舞台になる台北近郊のひなびた町の雰囲気がいい。(白)
●『テン・ウインターズ』
大学入学で出会った2人の10年間の愛の軌跡。ヴェネチアの風景の中、すれ違いに胸が痛む普遍的なラブストーリー。(白)
●『イースタン・プレイ』
ブルガリアの首都ソフィアで、右翼の若者たちが観光で来ていたトルコ人の家族連れを襲います。いやはや、オスマントルコ支配500年への恨みは凄い! その場に居合わせた芸術家崩れの青年イツォは右翼集団の中に丸刈りにした弟の姿を見つけ、久方ぶりに家に帰るのですが、母親との会話にトゲがあると思ったら、母親ではなく父親が連れ込んだ女性。複雑な家庭環境を背景にした父や弟との確執を描く一方で、襲われたトルコ人の娘とイツォとの間に恋が進行していきます。う~ん・・・ 未来は明るいのか?!(咲)
●『ボリビア南方の地区にて』
ボリビアの首都ラパスが舞台の作品を初めて観ました。ワンシーン・ワンショットのカメラワークが素晴らしい。(千)
ボリビアの先住民族の人たちは時間や人生を輪で考えるそうで、カメラワークも常にぐるっと廻っている感じ。高地にある首都ラパスでは、お金持ちほど気圧の低い南の方に住むので、南方の地区=高級住宅街。ボリビアの上流階級の生活を垣間見るという好奇心を満たされただけでない、不思議な余韻の残る作品でした。(咲)
2009・東京国際映画祭上映作品で、一番最初に観たのがこれ。観終わって、とっても幸せな気分…。ラパス南方の低地に住む、子ども三人と、自分の意志を押し通すエネルギーを持った美人の母親を軸に、先住民族の使用人を含む生活を、たおやかに描いている。登場人物には、一つずつ(こればっかりは変えられない)ことを抱えている。それに、ボリビアの現実がスパイスとして、うまくミックスされていた。ストーリーは、世界のどこの家庭でも有り得る展開だ。どうして私を幸せ気分にさせたのだろう…。
贅沢な家、自然と調和した庭、調度品、召し使いが丹精して作る郷土料理、どれをとっても素敵なものばかり。使い勝手も良さそう。化粧水の瓶一つ一つが美しく、まさに今、使っているとわかる。シーツも上質らしく、包まれて寝てみたくなる…。素敵なもので溢れかえっていたが、最後、今後は自分の思い通りには生活できないと悟った母親が、涙ながらに大きな決断をする。母親の涙を見た、可愛い末っ子坊やが、「どうして泣いているの?」とママに聞く。すると「家族が一緒だから、幸せ。だから泣いているのよ」と言う。ずいぶん前に、ちょっぴり似た経験をした私は、映画が終わり、会場が明るくなる前の何秒かの間に、頑張ってね、とそっと呟いた。(美)
●『エイト・タイムズ・アップ』
職も家も失ったバツイチ女性が主人公で、かなりリアルな作品でした。就活に失敗し続けても諦めない「七転び八起き」の精神を私も見習いたいです。(千)
●『NY スタテンアイランド物語』
ニューヨークのすぐそばにスタテン島と云う町があるなんて知らなかったです。ギャング、ギャンブル、エコ? を描くところがアメリカ的で少しグロテスクだけど面白いし泣けました。(千)
●『マニラ・スカイ』
実話に基づく作品。だとしたら本当に絶望的で重くて暗くて辛い・・・ 救いようが無いくらいの不幸な人生をおくるフィリピン青年でした。(千)
●『ロード、ムービー』
映写機を搭載したボロボロのトラックが、インド西部ラージャスターンの沙漠をひた走る。撮影会には、どこからともなく人々が集まりお祭り騒ぎ。まるで夢の世界。水の大切さ、人を思いやる心・・・ 素直に笑って感動できる映画でした。インド映画にしては短い97分!(咲)
●『永遠の天』
いきなり流れてきたイントロが、まぎれもなくレスリー・チャンの曲! それだけで、もうドキドキ。(最初と最後に流れる歌は、谷村新司のカバー曲「有誰共鳴」。途中に、もう1曲かかります。)両親を亡くした少女と幼馴染の少年との恋の行方を、少女の腹違いの弟を絡ませて、1990年代初頭から北京オリンピックまでの時代を背景に描いたもの。年代の目安にレスリーのことなどが語られます。ファンにとっては辛い2003年春のことも、SARS騒動と共に触れられます。レスリーの歌以外にも、懐かしい曲が出てきます。きゅんと切ない物語。それにしても、主役3人とも親との関係が不幸すぎる・・・(咲)
会期10月17日(土)~21日(水)
主催:東京国際女性映画祭実行委員会
<共催>東京都/ユニジャパン(財団法人日本映像国際振興協会)
会場:東京都写真美術館 *ホールお問合せ03-5777-8600 (8:00-22:00)
東京国際映画祭と共に22回目を迎えた東京国際女性映画祭。今年は、会場を東京都写真美術館に移して開催されます。上映作品は、7カ国 10作品。オープニングは、田中絹代生誕100年記念として、今回が初上映の貴重な映像が披露されます。
◆上映作品
女ばかりの夜 田中絹代監督
田中絹代の旅立ち占領下の日米親善芸術使節 梶山弘子監督
今、このままがいい プ・ジヨン監督
母の道、娘の選択 我謝京子監督
ビューティフル・アイランズ 海南友子監督
カティンの森 アンジェイ・ワイダ監督
アンを探して 宮平貴子監督
アニエスの浜辺 アニエス・ヴァルダ監督
赤い点 宮山麻里枝監督
東海道四谷怪談 羽田澄子監督
●シンポジウム <私たちの選択>
日時: 10月18日(日) 12時よりの『母の道、娘の選択』上映後
★入場無料 どなたでも参加できます。
登壇者:
『母の道、娘の選択』我謝京子監督
『ビューティフル・アイランズ』海南友子監督
『アンを探して』宮平貴子監督
『赤い点』宮山麻里枝監督
独自の経歴を携えて日本映画界に新しく登場した4人の監督が、それぞれの経験を踏まえた女性の生き方の広がりと可能性を話しあう。
東京国際女性映画祭で上映される2つの作品を紹介します。

公式 HP >> /http://www.iwff.jp/
監督:アン・フレッチャー
脚本:ピーター・チアレッリ
撮影:オリヴァー・ステイプルトン
音楽:アーロン・ジグマン
音楽監修:バック・デイモン
出演:サンドラ・ブロック(マーガレット・テイト)、ライアン・レイノルズ(アンドリュー・パクストン)、マリン・アッカーマン(ガートルード)、クレイグ・T・ネルソン(父ジョー)、メアリー・スティーンバージェン(母メアリー)、ベティ・ホワイト(祖母アニー)
©Touchstone Pictures, Inc. All Rights Reserved.
超やり手の女性編集長マーガレット40歳、「魔女」と部下から怖れられている。アシスタントのアンドリュー28歳は編集者になることを夢見て3年、今日も彼女のためにコーヒーを運んでいた。会長室に呼ばれたマーガレットは、カナダ国籍の自分のビザが切れ、国外退去になると聞かされる。慌てたマーガレットはそこへ来合わせたアンドリューを捕まえ「私たち結婚します」と宣言する。マーガレットはキャリアを守るため、アンドリューは編集者となるため、この偽装結婚でな難局をうまく乗り切ろうとする2人は、結婚の挨拶にアンドリューの実家を訪ねることになった。そこはアラスカ…!
鼻っ柱の強い女性がよく似合うサンドラ・ブロック、今回は恋よりも仕事に生きるキャリアウーマンのマーガレット。会社では怖いものなしですが、アンドリューの実家に行ってみると、ことごとく勝手が違いとまどいます。シャワーでかちあってしまった2人のヌードシーンもありますが、まるでスポーツ選手のタッグマッチのようで、ひとつも色っぽくないのはなぜでしょう??
アンドリューを愛する人々に嘘を重ねなければいけない2人、その嘘を見破ろうとやってくる調査官とのかけひきにも注目。先の見える展開ではありますが、ロケーションの美しさと芸達者な面々が揃って最後まで面白く見せます。(白)
2009年/アメリカ/カラー/108分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:ディズニー
公式 HP >> http://www.movies.co.jp/ana-muko/
「アメリ」(2001)で主役のアメリを演じ大ブレイク、新作「ココ・アヴァン・シャネル」が9月18日に日本公開となるなど、ハリウッドでも大活躍のフランスの人気女優オドレイ・トトゥ。 日本では、「コーラス」(2004)でその存在感をアピールし、新作「幸せはシャンソニア劇場から」では主役もつとめる天才子役、マクサンス・ペラン。 フランス映画界の今を彩るこの2人が、ブレイクする前に出演していたショートフィルム2作品(「Triste a Mourir」「For interieur」)が、10月16日(金)~11月15日(日)まで、ブリリアショートショートシアター(横浜・みなとみらい)の「Short Shorts 4」プログラム内にて特別上映されます。
オドレイ・トトゥ主演「Triste a Mourir (哀しき旅路)」
(フランス/1999/Alexandre Billon監督)
オドレイ・トトゥ演じるキャロの、友人を捜し求め続ける寂しい旅を描く。オ
ドレイが、『アメリ』でブレイクする前の貴重な作品。
マクサンス・ペラン主演「For interieur (おじいちゃんの秘密の缶)」
(フランス/2005/Patrick Poubel監督)
ボクのおじいちゃんのコレクション、それはいろんな思い出の音が詰まった、たくさんの缶!
『コーラス』、『幸せはシャンソニア劇場から』の実力派人気子役、マクサンス・ぺラン主演。

★ブリリア ショートショート シアターにて 10月16日(金)~11月15日(日)の間上映
劇場 HP >> http://www.brillia-sst.jp/
主催:ドイツ映画輸出公団/GOETHE-INSTITUT JAPAN ドイツ文化センター
会期:10月15日(木)~10月18日(日)
会場:新宿バルト9(新宿区新宿3-1-26)
今年も待望のドイツ映画祭の季節がやってきました! 昨年に引き続き新宿のど真ん中で、本国ドイツでも話題の最新作を中心に、トーマス・マンの古典『ブッデンブローク家の人々』から、戦後の伝説の女優の人生を追った『ヒルデ - ある女優の光と影』、監督の故郷ハンブルクに捧げられた『SOUL KITCHEN』(ベネチア映画祭で審査員特別賞受賞)等など、多彩な作品が公開されますので、ドイツ・ファンもそうでない人も要チェック!!! (I)


公式 HP >> http://www.germanfilmfest.jp/
監督・脚本:市井昌秀
撮影:関将史
録音:茂木祐介
制作:遠矢東宏
衣装:市井早苗
メイク:佐藤絵里
音楽:朝真裕稀
出演: 森谷文子(律子) 今野早苗(千夏) 柿沼菜穂子(ルミ子)西本竜樹(礼二) 中村邦晃(野村)
緑の穂が揺らぐ田園風景の中、ポツンとある町工場。そこで働く主婦、律子30歳。 小さなプラスチック部品を目の高さまで近づけ、歪み、突起を検査する律子の目は、 人との関わりを拒絶する冷たさを浮き上がらせている。 過去の辛い体験から、夫とも冷え切った関係だ。 毎日、毎日、変化のない生活の中、ある日、新しいパート従業員・千夏が入って来た。 彼女は妊婦だった。律子は仕事を教える立場上、少しずつ親しくなる。
今年になり自腹でパンフレットを買ったのは、確か五冊目。 今、公開中の『無防備』を観て、迷わずパンフレットを買いました! シネマート新宿で上映中! 今週は確実、来週も多分やるとおもいますので、是非ご覧下さい。
哀しみ、嫉妬、怒り、不満、諦め、自暴自棄…。 あらゆるマイナス感情を体現できる女優さんに巡り会いました。 主演・森谷文子さんです。 この方の無表情の中のマイナス引力に痺れました。 服を脱ぎ捨てるシーンで見せた母性を感じさせる体、 農道を裸足で走るシーンで見せた諦め切れない人生の地団駄・・・。
観終わって、シネマート新宿を出て「彼女はこれからどう生きていくのか、私なら・・・」など、 律子に想いを馳せていたところ、(咲)さんに呼び止められ、現実に戻りました。 でも、今でも律子のそれからが気になっている私です。(美)
第13回 釜山国際映画祭コンペティション部門グランプリ受賞
第30回 ぴあフィルムフレスティバルグランプリ受賞
2008年/日本/88分/デジタル/カラー/R-18/シネマート新宿にて上映中
公式 HP >> http://www.muboubi.com/
監督・脚本:アニエス・ヴァルダ
出演:アニエス・ヴァルダ、ジャック・ドゥミ、マチュー・ドゥミ
登場者:ジャン=リュック・ゴダール、ジェーン・バーキン、カトリーヌ・ドヌーヴ、ハリソン・フォード、ジム・モリソン 他
映画作家になってから今年で55周年、81歳になるアニエル・ヴァルダが自らの人生をたどる旅。それは彼女の個人的なものであるとともに、さながら現代社会史をたどる旅でもあるのです。
アニエス・ヴァルダを全く知らず、ジャック・ドゥミのパートナーであることすら初めて知りました。冒頭から、生まれ故郷のベルギーの浜辺に鏡をいっぱい設置していろんな角度から撮影する試みを楽しそうにしている姿や、パリの街中に砂を敷き詰めて自分のオフィスを出現させちゃったりする様子が、とってもお茶目で、人生の大先輩に失礼かもしれませんが、なーんか可愛い人だなぁと思ってしまいました。(梅)
第65回ヴェネチア国際映画祭 特別招待作品
第34回フランス・セザール賞 ドキュメンタリー賞受賞
2008年/フランス/113分/字幕:寺尾次郎
配給:ザジフィルムズ
★10月10日(土)より、岩波ホールにてロードショー
公式 HP >> http://www.zaziefilms.com/beaches/
この作品の上映を記念して特集上映「アニエス・ヴァルダの世界」が開催されます。
監督:堀部圭亮
原作:木下半太「悪夢のエレベーター」(幻冬舎文庫刊)
脚本:鈴木謙一、堀部圭亮
撮影:北信康
美術:磯田典宏
主題歌:タカチャ「AIO~愛をください」レインボーエンタテインメント
出演:内野聖陽(安川三郎)、佐津川愛美(愛敬カオル)、モト冬樹(牧原静夫)、斎藤工、大堀こういち(管理人)、芦名星(須藤陽子)、本上まなみ(小川麻奈美)ほか
©2009「悪夢のエレベーター」製作委員会
小川順が目醒めると見知らぬ男が覗き込んでいた。そこはエレベーターの中、閉じ込められて非常電話もつながらず、唯一の携帯は充電が切れている。順のほかには派手なシャツの安井三郎、緑色のジャージ姿のめがね男牧原、黒尽くめのゴスロリ少女カオル。痛む頭の中で順はそれまでのできごとを思い出す。そうだ、身重の妻からの電話で急いでいるところだったのだ。出産の立会いをしなければっ!! 大声で助けを呼び始めた彼を3人は冷ややかに見る。「もう全部試しました・・・」

木下半太原作の悪夢シリーズの第1弾にして1番のヒット作。閉じ込められたエレベーターの中での人間模様。これは何も情報を入れずに観るのが絶対に面白いです。そして観終わった後、情報を探したくなることうけあい。
メガホンをとったのはこれが初の長編作品となる堀部圭亮監督。共同脚本は『アヒルと鴨のコインロッカー』の鈴木謙一。個性豊かなキャラクターにぴったりの配役を迎えて、映画ならではの面白さで魅せます。中でも注目したのは佐津川愛美さん、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』と並ぶ代表作になるのではないでしょうか。(白)
話が二転三転する面白さもさることながら、それぞれのキャラクターが濃く、くっきりと描かれているのが魅力的。そして何となく世の中全体を覆っている閉塞感に対して、かっこわるくても打破してやりたいという思いが、重くなりすぎずにエエ塩梅で込められているのがいいです。それにしても、大堀こういちの顔は出てくるだけで悪夢だ。(梅)
2009/日本/カラー/105分/ビスタサイズ/DTSステレオ
製作プロダクション:ダブ/製作:日活、スモーク
配給:日活
宣伝:トルネードフィルム
公式 HP >> http://www.akumu11.jp/
※ 10月5日(月)、セルリアンタワー東急ホテルにて、"エレベーター尽くし"のプレミア記者会見が開催されました。 エレベーターから登場し、記者会見場に向かった登壇者5名(内野聖陽さん、佐津川愛美さん、モト冬樹さん、斎藤工さん、堀部圭亮監督)。公開を目前として撮影秘話や公開への意気込みを披露しました。 フォトセッション時にはヒットを祈願して史上初となるオーダーメイドのエレベーター型ケーキ(高さ75cm、幅60cm)への入刀イベントも行われ、大盛り上がりを見せました。


監督:飯田基晴(『あしがらさん』)
企画:稲葉恵子
撮影:常田高志、土屋トカチ、飯田基晴
音楽:末森樹
製作:映像グループ ローポジション
―いのちをめぐる旅が始まる。―
飯田監督は一人の老婦人に「映画を作ってください」と依頼を受ける。彼女は長い間捨てられた猫たちの面倒を見てきた。あとからあとから捨てられる小さな命、救っても救ってもきりがない。「これ以上不幸な犬猫が増えないように、たくさんの人に知らせるには」と映画を作ることを思いついたのだという。それまで特に関心があるわけではなかった飯田監督は、町にいる犬猫を見つけることから始め、犬猫の保護・処分施設や助けようと奔走する人たちを訪ねる。現実を知るにつけ、真摯に犬と猫と人間とのかかわりを見つめていくことになります。

日本はペット大国と言われているらしいですが(これは売買されるペットの数からでしょうか)、そんな国で、殺処分される犬と猫が年間30万頭、1日に1000匹近くが殺されているというのをご存知でしょうか? 取材に応じて撮影を許可してくれた行政施設は1件。飼い主によって持ち込まれた「不要犬・猫」はすぐに処分。外で保護された犬たちは1日ごとに押しだされるように処分される箱へと近づいていきます。1週間以内に引き取り手が現れなければ、短い命を終えることになります。施設の職員、不妊手術をする獣医師の方々の率直な言葉が胸に響きます。4年間かけて作られた映画なので、初めと終わりころでは現状が少し変わっていますが、今も人間の都合で捨てられる犬と猫は後をたちません。民間の保護施設で訓練される「しろえもん」と名づけられた犬の姿に、思わずエールを送ってしまいました。「私が生きているうちに見せて下さい」という老婦人との約束は残念ながら守れませんでしたが、時間がかかった分中味のつまった作品になりました。(白)
2009年/日本/カラー/HD/16:9/118分
配給:東風
宣伝協力:スリーピン
★10月10日(土)ユーロスペースほかにてロードショー
公式 HP >> http://www.inunekoningen.com
監督:ジャスティン・リン
脚本:クリス・モーガン
出演:ヴィン・ディーゼル(ドミニク・トレット)、ポール・ウォーカー(ブライアン・オコナー)、ジョーダナ・ブリュースター(ミア)、ミシェル・ロドリゲス(レティ) ほか
©2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
トレイラー強奪事件の犯人として警察に追われL.A.から逃亡した後も、相変わらずドミニカで仲間とオイルタンクトレイラー強奪を続けている凄腕のドライバー、ドミニクだったが、派手にやり過ぎてそろそろまた逃げなくてはならない状態になった。恋人のレティを巻き込むことを恐れた彼は、黙って彼女の前から姿を消す。
パナマに1人潜伏していたドミニクの元に、妹のミアから衝撃的な知らせが届き、彼の怒りに火をつけた。危険を顧みずL.A.へと戻ってきたドミニクの情報は、FBI捜査官となったブライアンの耳にも届く。
『ワイルド・スピード』シリーズとしては4作目ですが、第1作目の出演陣が再結集して作られた真の続編となります。車、スピード、女、犯罪、友情と、徹底して男の子とカーマニアのための娯楽作品です。アメリカでは大ヒットしたようですが、最近は若者の車離れが深刻という日本ではどうでしょうか? 数々の車が出てきますが、日本からも日産 スカイラインR34 GT-Rとスバル インプレッサWRX STIが参戦しています。(梅)
2009年/アメリカ映画/スコープ・サイズ/カラー作品/107分/ドルビーSRD/字幕翻訳:岡田壮平
ユニバーサル映画
配給:東宝東和
★10月9日(金)、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
公式 HP >> http://wild-speed-max.com/
公開決定!
監督・脚本:ホン・ジヨン
撮影:チェ・サンムク
出演:チュ・ジフン、シン・ミナ、キム・テウ
モレは幼いころからずっとそばにいてくれたお兄さんのような存在のサンインと結婚して1年。甘く、幸せな新婚生活を送っていた。サンインはファンドマネージャーの仕事を捨て、昔からの夢だったフレンチ・レストランを開こうとしている。モレはそんなサンインを笑顔で応援していた。
ある日、モレは開館時間以外にこっそり忍び込んだ美術館で、不思議な青年と出会う。美術館員に見つからないようにと一緒に隠れた窓際の狭い空間で、肌が触れあい、吐息が耳をかすめるほど接近し、夏のまぶしい日差しは2人の理性を奪いさる。
その夜、モレはサンインに隠しごとはできないと、名も知らない青年としてしまったことを打ち明ける。サンインは怒るが、正直であろうとするモレのために、このことは忘れようと言う。ところが、レストランを開業するためにサンインがフランスから呼び寄せたシェフこそが、あの日の青年・ドゥレだった。ドゥレは2人の家に居候することになり、3人の奇妙で危うい共同生活が始まる。

韓国映画で三角関係というと、なんだかひどくドロドロしそうですが、そうはなりません。一目で心惹かれた女性が、大切な先輩の妻だと知っても、愛する気持ちに素直であろうとするドゥレ。確かに夫を愛しているのに、全然違うタイプの男性にどんどん惹かれていく自分自身に戸惑うモレ。確かな絆を感じていたのに、ドゥレの登場によるモレの変化にうろたえ、芽生える嫉妬心をどうしようもないサンイン。三者三様の理性と感情のせめぎ合いが、どれも共感できて、どう決着をつけるのかとちょっとドキドキしながら観ていました。この作品でのチュ・ジフンは実にナチュラルなたたずまい。新しいファンを獲得するのは間違いないでしょう。(梅)
2009年/韓国/102分/カラー/スコープサイズ/ドルビーSRD/字幕翻訳:根本理恵
配給:ショウゲート
協力:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテインメント
宣伝:アルシネテラン、ショウゲート
★10月3日(土)、シネカノン有楽町2丁目、渋谷ヒューマントラストシネマ文化村通り、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
公式 HP >> http://kitchen-movie.com/
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
原作:ギュスターフ・フローベール
脚本:ユーリィ・アラボフ
衣装:クリスチャン・ディオール
音楽:ユーリイ・ハーニン
出演:セシル・ゼルヴダキ(エマ・ボヴァリー)、R.ヴァーブ、アレクサンドル・チェレドニク、B.ロガヴォイ
修道院で厳格な教育を受けたエマは医師シャルル・ボヴァリーに嫁ぐ。田舎の町での単調な生活、凡庸な夫に失望したエマはふさぎがちになる。エマの健康を気遣って、夫が引越した新しい町でエマは娘を出産する。エマの心は満たされることがなかったが、慰めになるのは隣家の青年レオンだった。レオンは勉学のためにパリへ旅立ち、エマはドンファンのロドルフォとの情事に身を焦がす。夫は新しい治療法に失敗し、さらに失望したエマはロドルフォに一緒に逃げようという。そんなつもりのないロドルフォは手紙を残して出奔し、エマはショックのあまり床に伏してしまった。シャルルが誘った観劇でレオンに再会したエマは、ついに彼と結ばれる。
世界文学全集にあったけれど読んでいなかったフローベールの「ボヴァリー夫人」。実際にあった事件をもとに、5年の歳月をかけて執筆したものだそうです。今に置き換えても気持ちは充分通じる話。時代変われども、人のすることというのは変わらないのですねぇ。心の隙間を浪費で埋めていくというのは、現代では買い捲ったあげくのカード破産ですし、人妻の不倫も昼メロだけではありません。さすがに1857年に発行された当初、風俗紊乱(びんらん)の罪に問われ裁判となったそうですが結局は無罪。この作品についてフローベールは「ボヴァリー夫人は私だ」と記者に言ったとされています。
映画は鬼才ソクーロフが1989年の自作を再編集したものです。167分あったという前作のどこが削られたのでしょう? エマの夫のシャルルは妻を気遣う優しい夫なのに、エマは不満たらたら。めぐり合わせが悪かったようで実にお気の毒。ソクーロフ監督は中学2年生で原作を読んで衝撃を受けたとか。私も遅ればせながら読んで3つの柩の謎を知りたいものです。(白)
1989年=2009年/ソ連=ロシア/カラー128分/DVカム/ロシア語、フランス語/日本版字幕:児島宏子
配給:パンドラ
★10月3日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
公式 HP >> http://www.pan-dora.co.jp/bovary/
監督・脚本:ギジェルモ・アリアガ
プロデューサー:ウォルター・パークス、ローリー・マクドナルド
音楽:ハンス・ジマー
撮影:ロバート・エルスウィット
キャスト:シャーリーズ・セロン(シルヴィア)、キム・ベイシンガー(ジーナ)、ジェニファー・ローレンス(マリアーナ)、ホセ・マリア・ヤスピク(カルロス)、ヨアキム・デ・アルメイダ(ニック)、J・Dバルド(サンティアゴ)ほか
©2008 2929 Productions LLC, All rights reserved.
海辺の繁盛しているレストランのマネージャー、シルヴィアは美貌と知性、そつのない接客によってスタッフや顧客からの信頼もあつい。しかし、ひとたび仕事を離れると全く違った一面を見せた。だれかれかまわず肉体関係を持ち、1人になると自傷行為に走っていた。関係を続けていたシェフはそんなシルヴィアをなじるが、聞く耳を持たない。ある日、シルヴィアを追ってきたカルロスという男性を部屋に招き入れるが、彼の話は意外なものだった。シルヴィアは封印してきた過去を思い出す。
マリアーナという名で呼ばれていた10代のころ、ニューメキシコの国境の町で家族と暮らしていた。一見仲睦まじい家族だったが、マリアーナは美しい母ジーナの微妙な変化に気づく。
ギジェルモ・アリアガは『バベル』『21グラム』脚本として知られていますが、この作品で初の長編監督としてデビュー。脚本を大いに気に入ったシャーリーズ・セロンは主演ばかりでなく、エグゼクティブ・プロデューサーとしても参加し、クリエイターをバックアップしています。
彼女の推薦で母親役のジーナを演じたのは『L.Aコンフィデンシャル』でオスカーを獲得したキム・ベイシンガー、不倫の愛に葛藤する主婦を熱演。2人のオスカー女優と共演することになったジェニファー・ローレンスは、母親への愛と憎しみで引き裂かれる思春期の娘を殆ど素のままかと思うほど自然に演じて、第65回ヴェネチア国際映画祭で「マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)」を受賞しました。(白)
2008年/アメリカ/カラー/106分/シネスコ/SRD・DTS・SDDS/英語・スペイン語/
配給:東北新社
公式 HP >> http://yokubou-daichi.jp/
監督・脚本:イ・ファンギョン
原作:クィヨニ
撮影:イ・ガンミン
キャスト:ソン・スンホン(チ・ウンソン)、チョン・ダビン(ハン・イェウォン)、イ・ギウ(キム・ハンソン)、アン・ヘス(キム・ギョンウォン)、イ・ミニョク(キム・スンピョ)、キム・ジヘ(ヒョビン)
©2009 Com Entertatinment.&(株)BM
ネットの掲示板に自分の学校の悪口を見つけたイェウォンはさっそく、抗議の書き込みをして溜飲を下げた。ところが携帯にチ・ウンソンと名乗る男からの電話がかかってくる。悪口を書いた張本人の商業高校の男子生徒でなんと番長であるらしい。なぜ私の番号がわかるの?と不思議に思うイェウォンはとにかく逃げまくる作戦に出るがウンソンは学校までやってくる。担任の目をかすめ、塀を乗越えたイェウォンはウンソンの上に落っこち、はずみでキスしてしまう。「責任を取れ!」と彼氏きどりのウンソン。イケメンのウンソンは「自分こそ彼女」と公言する女子高生もいるモテ男、イェウォンにはみんなのやっかみも迷惑なだけ。ウンソンが絶対に来いよ、と念を押した誕生パーティに旧友との約束を優先してしまう。
当時28歳だったホン・スンホンの高校生姿は、少女漫画に出てくるイケメンそのままのルックスで、少しも違和感ありません。制服の着崩し方も長身に似合ってカッコよく、下着が見えるように学生ズボンを下げてはいている男子に見習ってほしいほどです。おまけに喧嘩も強いのなんの。不良と思われていたウンソンが自分のために怪我までしたことを知り、イェウォンの気持ちは次第に傾いていきます。2人のついたり離れたりが面白く、ネット小説で大評判だったというのも、平凡な女子高生イェウォンに親近感が湧いたからでしょう。病院の中でウンソンとイェウォンが一緒に見ている映画は、『バンジージャンプする』(2001年/キム・デスン監督)のようです。注意してみてください。(白)
2004年に韓国で公開されたものの、スンホンが兵役につくつかないで活動休止したために、日本での公開が実現していなかった作品が、やっと公開されることになり嬉しい限りです。 高校生役だから、もちろん若作りですが、なんといっても5年前。スンホン、若い! タイトル通り、カッコいいスンホンですが、それよりも何よりもチョン・ダビンちゃんのやることなすこと一つ一つの可愛いこと! ゲームセンターでボコボコ思い切りモグラ叩きをする姿や、カラオケで絶唱したり、シマウマ柄のスーツで校庭のスンホンを覗き込んだり... ドラマ「屋根部屋の猫」でも、決して顔は可愛いと言い難いのに、愛くるしい演技を見せてくれたダビンちゃん。なぜ自ら命を絶ってしまったの?と、観ていてずっと切ない思いでした。あともう一つ嬉しいのがイ・ギウの出演。もっとも『ラブストーリー』や『回し蹴り』で強烈な印象を与えてくれたイ・ギウが、本作では、優しくて控え目なお兄さんといった感じで、監督、もっと彼の面白さを引き出してくれるといいのになと思いました。(咲)
*特別鑑賞券1000円(当日1500円)を劇場窓口でお買い上げの方に限り「ソン・スンホンのオリジナル生写真」1枚プレゼント。なくなり次第終了します。
2004年/韓国/カラー/117分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:マジックアワー、ポニーキャニオン
公式 HP >> http://aitsu.ponycanyon.co.jp/
監督・脚本・編集:是枝裕和
原作:業田良家「ゴーダ哲学堂 空気人形」(小学館ビックコミックススペシャル刊)
撮影:李屏賓(リー・ビンビン)
美術監督:種田陽平
出演:ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、オダギリ ジョー、富司純子 ほか
ー 私は、「心」を持ってしまいました。
持ってはいけない「心」を持ってしまいました。 ー
型遅れで空っぽな空気人形は、持ち主である秀雄と暮らしている。秀雄はまるで人間のパートナーのように人形に接している。それでも所詮は誰かの代用品でしかない。
ある朝、空気人形は動き出す。軒をつたい落ちる水滴を見て「き れ い」とつぶやく。心を持った空気人形は、秀雄が買ってくれたメイド服を着て外の世界へと歩き出す。見るもの、聞くものすべてが新鮮な驚きに満ちた外の世界。そしてたまたま入ったレンタルビデオショップで、店員の純一と出会い一目で恋に落ちてしまう。


生まれ落ちたばかりの赤ちゃんが急激に大人の女性へと成長していくかのような空気人形を、ペ・ドゥナは完璧なスタイルと演技で、実に可愛らしく体現しています。CGは使わず、ビニールのラブドールが生身の人間へと変化する瞬間も違和感がなくて驚きました。
空気人形が世界の美しさに心奪われる一方で、取り残されたような街に住む隣人たちは、孤独で空虚感や死に取り憑かれているようです。大人になるということは、足らないものに気づくこと? 幸せとは足らないものを満たし、満たされる誰かと出会うこと?
そんな思索をめぐらすトリガーを引き、愛らしさに頬をゆるませる空気人形のたどる運命の切なさに衝撃を受けてしまいました。(梅)
メイド服で空を見上げるペ・ドゥナさんの画像に、どんな映画なのかと想像がかき立てられました。好きな人を見つけた空気人形、その後のストーリーが切なくて胸痛みます。これを救うのがオダギリジョーさん演じる人形師。短い出演シーンなのに、彼の持つ雰囲気がぴったりなのと優しさのこもった台詞がすごくいい!(白)
2009年/日本/カラー/116分/ヴィスタサイズ/ドルビーSR/R-15
配給:アスミック・エース
宣伝:アスミック・エース、る・ひまわり
特別記事 『空気人形』記者会見&舞台挨拶レポートもご覧下さい。
公式 HP >> http://kuuki-ningyo.com/index.html
【映画祭開催期間】 9月21日(月・祝)~25日(金)
【場所】 浅草公会堂
昨年の第1回では、プレイベントとして大盛況のうちに開催された人気企画、「声優口演ライブinしたコメ」が、今回はクロージングイベントとして開催されます。
無声映画に、台詞という新たな命を吹き込むこの企画。往年の名作が生まれ変わる歴史的瞬間です。
大好評だった昨年に引き続き、人気、実力ともにNo.1声優、山寺宏一氏が今年はチャップリンの巧みなドタバタ劇『チャップリンの冒険』に挑戦します。また、羽佐間道夫氏(ロッキー』などのシルヴェスター・スタローン)と、近石真介氏(『サザエさん』の初代マスオ役)、井上喜久子氏(キャメロン・ディアス、デミ・ムーアなど)らが、喜劇の神様、斎藤寅次郎監督による貴重な作品『子宝騒動』を熱演します。
さらに、大変貴重な「チャップリンNG集」を見ながらの声優達のトークショーもありますのでお楽しみに。
【声優口演inしたコメ開催日】9月25日(金)
【時間】(以下、予定)
18:00 開場
18:30 クロージングセレモニー開演
19:00 「声優口演ライブinしたコメ2009」開演
【出演者】山寺宏一氏、羽佐間道夫氏、近石真介氏、井上喜久子氏
- 『子宝騒動』声優口演
- チャップリンNG集トークショー
- 『チャップリンの冒険』声優口演
公式 HP >> http://www.shitacome.jp/
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
製作:ステイシー・スミス、グレッチェン・マッゴーワン
製作総指揮:ジョン・キリク、ジム・ジャームッシュ
撮影:クリストファー・ドイル
プロダクションデザイン:エウヘニオ・カバイェーロ
衣装デザイン:ビナ・デグレ
編集:ジェイ・ラビノウィッツ
音楽:ボリス
出演:イザック・ド・バンコレ(孤独な男)、アレックス・デスカス(クレオール人)、ジャン=フランソワ・ステヴナン(フランス人)、ルイス・トサル コードネーム(ヴァイオリン)、パス・デ・ラ・ウエルタ(ヌード)、ティルダ・スウィントン(ブロンド)、工藤夕貴 コードネーム(モレキュール/分子)、ジョン・ハート コード(ギター)、ガエル・ガルシア・ベルナル(メキシコ人)、ヒアム・アッバス(ドライバー)、ビル・マーレイ(アメリカ人)
©2008 PointBlank Films Inc. All Rights Reserved.
空港に男が1人、自分に接触してくる人間を待っている。コードネーム「孤独な男」と呼ばれる彼は、ある任務を遂行するために仲間たちからの指示を待っていた。彼らは皆コードネームで呼ばれ、合言葉で互いを確かめる。黙々と指示にしたがう男はストイックに規則正しく日を送っている。電車に乗り、宿を替え、彼はだんだんと目標に近づいていった。
『ブロークン・フラワーズ』のジム・ジャームッシュ監督4年ぶりの長編作品。「アクションのないアクション映画を撮りたかった」というこの作品には、あの人もこの人も!? という俳優が次々と登場します。しかし主人公と謎めいた会話をするだけでいなくなり、大きな動きはありません。思えばとっても贅沢な映画。
寡黙な主人公のイザック・ド・バンコレの「孤独な男」は太極拳を日課とし、着替えの入ったバッグ1つを持っているだけカーチェイスもガンアクションもなし。エスプレッソを必ず別々のカップで2杯飲み、合言葉のほかに語ることは稀です。緊張感漂う画面を見ているうちに終幕となる不思議な作品でした。わかりやすいクライム・ストーリーを期待してはいけません。ジャームッシュ作品ファンなら先刻ご承知ですね。(白)
2009年/アメリカ/カラー/115分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:ピックス
宣伝:メゾン
公式 HP >> http://loc-movie.jp/index.html
舞台映画化第2弾『曲がれスプーン!』の公開をひかえ、映像+トークのスペシャルプログラムを、7日間日替わりで京都シネマにて敢行!
映画『サマータイムマシン・ブルース』(’05)ほか、色とりどりの映像たちが、紅葉なにするものぞとスクリーンを彩ります! さらに、各階から多彩なトークゲストが日替わりで登場! 秋の夜長を、鈴虫なにするものぞとクロストークで鳴きとおす!
そしてそして、11/21公開『曲がれ!スプーン』の予告編も・・・って、京都シネマ『曲がれ!スプーン』の上映館じゃないじゃん!(えっ、えぇ〜!? from シネジャの梅) 戦争だ!
日時:9/19~9/25 19:00~21:30 ※開場時間は18:45
開場:京都シネマ
チケット販売中 Pコード 555-526
一般 2000円(当日2300円)
学生・京都シネマ会員 1800円(当日2000円)
チケット取扱:京都シネマ窓口 075-353-4723
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード 555-526)
| 9/19(土) | 映画『サマータイムマシンブルース』上映 ゲスト 本広克行(映画監督 テレビ版、映画版『踊る大捜査線』シリーズ) |
| 9/20(日) | 舞台『あんなにやさしかったゴーレム上映』 |
| 9/21(月) | 映画『サマータイムマシンブルース』上映 ゲスト バッファロー吾郎 木村明浩(吉本興業所属お笑い芸人) |
| 9/22(火) | SSMF(ショートショートムービーフェスティバル)傑作選上映 ゲスト なるみ(吉本興業所属お笑い芸人) |
| 9/23(水) | 映画『サマータイムマシンブルース』上映 ゲスト 山下敦弘(映画監督 『天然コケッコー』『リンダリンダリンダ』『リアリズムの宿』) |
| 9/24(木) | 舞台『ボス・イン・ザ・スカイ』 ゲスト 松本雄吉(劇団維新派主催) |
| 9/25(金) | とりおろし上映『ヨーロッパ企画の町内会ディスコ』 ゲスト ヨーロッパ企画 |
ヨーロッパ企画 HP >> http://www.europe-kikaku.com/
京都シネマ HP >> http://www.kyotocinema.jp
『曲がれ!スプーン』公式 HP >> http://www.magare-spoon.com/
会期: 2009年9月18日(金)〜 9月27日(日)
場所: 西鉄ホール、エルガーラホール(福岡市天神)
今年で19回目を迎えたアジアフォーカス・福岡国際映画祭。オープニング上映は、韓国映画『GO GO 70s』。福岡—釜山友情年を記念して組まれた「特集 韓国映画最新コレクション」の中の1本です。また、今年の特徴として「欧米人監督が撮ったアジア映画」が挙げられます。かつての欧米人監督が撮ったアジア映画は、監督をはじめ主要なスタッフ・キャストは欧米人で、アジアは単に映画の舞台にすぎないものがほとんどでした。それが『スラムドック$ミリオネア』のように、監督を除いた主要キャスト・スタッフがアジア人という映画も製作されるようになりました。本映画祭では、イタリア人監督が撮ったスリランカ映画「マチャン/大脱走」、イギリス人監督が撮った日本映画「扉のむこう」が上映されます。また、去る7月25日に急逝されたマレーシアのヤスミン・アハマド監督の『タレンタイム』が上映されるのも注目です。その他、協賛企画も盛りだくさんです。是非ホームページでご確認を!

◆アジアの新作・話題作
黒犬、吠える(2009年/トルコ)監督:メフメット・バハドゥル・エルマリナ・ゴルバチ
難民キャンプ(2008年/トルコ)監督:レイス・チェリッキ
ザクロとミルラ(2009年/パレスチナ)監督:ナジュワ・ナッジャール
アバウト・エリ(原題)(2009年/イラン)監督:アスガー・ファルハディ
テヘランの孤独(2008年/イラン)監督:サマン・サルール


★特集 韓国映画最新コレクション (福岡—釜山友情年記念)
酒を呑むなら(2008年/韓国)監督:ノ・ヨンソク
GO GO 70s(2008年/韓国)監督:チェ・ホ
イリ(2008年/韓国)監督:チャン・リュル
★特別上映
スラムドッグ$ミリオネア(2008年/イギリス)監督:ダニー・ボイル
冬冬の夏休み(1984年/台湾)監督:ホウ・シャオシェン
公式 HP >> http://www.focus-on-asia.com
監督:中野裕之
脚本:市川森一、水島力也
プロデューサー:山本又一朗
撮影:古谷巧
美術:林田裕至
衣装:千代田圭介
編集:掛須秀一
音楽:大坪直樹
音楽プロデューサー: 古川ヒロシ
キャスト:小栗旬(畠山直光)、柴本幸(阿古姫)、田中圭(桜丸)、やべきょうすけ(盗賊道兼)、池内博之(畠山信綱)、 本田博太郎(所司代 栗山秀隆)、松方弘樹(多襄丸)、近藤正臣(景時)、萩原健一(将軍義政)他
何不自由ない家柄畠山家の次男に生まれた直光。彼には、阿古姫という幼馴染の許嫁がいた。家督を継ぐはずであった兄の信綱は、将軍善政の酔狂によりそれがあやうくなる。信綱も阿古に心を寄せており、家臣桜丸の諫言によって弟を窮地に立たすことになる。桜丸は子どもの頃直光によって助けられ、屋敷に引き取られた孤児であった。直光が弟のように思っていた桜丸の裏切りにより、直光と阿古は畠山家を追われることになってしまう。
山中に逃げ込んだ二人は藪の中で大盗賊の多襄丸に襲われ、不意をつかれた直光は意識を失う。直光は木に縛り付けられ、阿古はその間に多襄丸に汚されてしまう。しかも阿古は妻になれという多襄丸に「ついていくかわりに、直光を今ここで殺して」と答える。

多襄丸は芥川龍之介の「藪の中」に登場するキャラクターですが、この作品はオリジナルのストーリーで、裏切りにあいながらも自分の信念を曲げず自由に生きる男が主人公です。 武家の御曹司直光から盗賊多襄丸となる小栗旬は『クローズZERO』シリーズに続き、男気のあるいいやつを演じて、涙にくれる表情もまたすてき。彼がその愛の全てを注ぐ阿古役には、『真夏の夜の夢』の柴本幸。前作とはガラリと変わって、清楚な中に強い意思の見える阿古を演じます。多襄丸に仕えながら、密かに野心と憎しみをくすぶらせる家臣桜丸役には、田中圭。こういうキャラは珍しいですね。盗賊仲間のやべきょうすけは、完成披露の舞台挨拶で映画そのままに毎日が宴会だったと楽しい雰囲気を伝えました。萩原健一、松方弘樹、近藤正臣ら大物俳優が顔を揃え、画面をぐっと引き締めています。(白)

2008年/日本/カラー/118分/スコープサイズ/ドルビーデジタル
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督・脚本:大森美香
原作:桜沢エリカ
撮影:谷峰登
音楽:金子隆博
主題歌:「タイヨウ」佐野遊穂(ハンバートハンバート)
劇中歌:「君の好きな花」パクチーズ 作詞・作曲:小林聡美
出演:小林聡美(京子)、加瀬亮(市尾)、伽奈(さよ)、もたいまさこ(菊子)、シッティチャイ・コンピラ(ピー)
― 理由なんて、愛ひとつで十分 ―
さよは大学の卒業旅行に、母京子の住むタイのチェンマイを訪れた。空港に迎えにきたのは、京子と一緒にゲストハウスで働く青年市尾だった。自分と祖母を残して4年前に家を出た母は、見知らぬ人の中で楽しそうにみえた。さよはなんだかやりきれない思いで食事もせずに眠ってしまう。
ゲストハウスのオーナーの菊子は病を得ながらもゆったりと暮らし、たくさんの捨てられた動物ばかりか、母親を探すピーという少年をもゲストハウスで世話をしていた。ピーや市尾はさよをそれとなく気遣い、さよの京子へのわだかまりも少しずつほぐれていく。

ゲストハウスには青い空を映しているプールがあります。久しぶりに会う母娘は特にたくさん話すわけでもなく、淡々と6日間を過ごします。小林聡美演ずる母親、京子がプールサイドでギターを弾きながら歌う「君の好きな花」は小林本人が作詞作曲したもの。みんなが揃ってこの歌を口ずさむシーンで、なんだかほろほろと泣けてしまいました。
あれやこれやに縛られず、自由な京子は"一緒にいたかった"さよの思いを汲まなかったわけで、先にやったもん勝ちと言ったら言い過ぎでしょうか。好きな場所で好きなように暮らすというのはとてもシンプルに見えますが、なかなか叶えられないことです。気持ちよくうたた寝をして見た夢のような映画でした。優しい風の吹くタイに行ってみたくなります。それにしても小林聡美さんの外国語はどんな言葉でも流暢に聞こえます。不思議な方です。(白)
2009/日本/カラー/96分/アメリカンビスタ/DTSステレオ
配給・宣伝:スールキートス
公式 HP >> http://pool-movie.com/
監督:ラモーナ・ディアス
出演:イメルダ・マルコス ほか
ー 3000足の靴だけでは語れない、真実がある ー
20年もの間フィリピン共和国のファーストレディとして政治を操り、贅の限りを尽くしたイメルダ夫人が自らの人生を語ることを承諾した初めてのドキュメンタリー。
80歳を過ぎた今もなお元気なイメルダ夫人。その本人や彼女を知る周囲の人々、戒厳令下で囚われ拷問を受けたジャーナリストなど多方面にわたる人物へのインタビューにより、彼女を多面的にとらえています。幼い頃は内気な少女だったと言いますが、誰もが美しい少女だったと言い、きっと自分の美しさには相当自信があったはず。そんな女性がマルコスというパートナー(権力)を得て、人たらし的な才能を開花させたように思います。グロテスクなまでに誇大妄想化した自己正当化のための思考回路。人間てここまで突き抜けられるんだ、と感動すら覚えました。非常に貴重で面白い人間観察記録といえます。(梅)
第20回サンダンス映画祭ドキュメンタリー部門最優秀撮影賞受賞
第19回国際ドキュメンタリー協会ABCニュースソースアワード受賞
2004年/フィリピン・アメリカ/カラー・モノクロ/103分/DVCAM/日本語字幕
配給:ユナイテッド エンタテインメント
★9月12日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー!
特別記事 『イメルダ』ラモーナ・ディアス監督インタビューもご覧下さい。
上映終了後にゲストによるトークイベントが開催されます。それぞれのゲストが異なる視点からイメルダ夫人について語ります。
公式 HP >> http://www.imelda.jp/
監督・脚本:クリストフ・バラティエ
製作:ジャック・ペラン、ニコラ・モルヴェネ
撮影:トム・スターン
音楽:ラインハルト・ワグナー 作詞:フランク・トマ
出演:ジェラール・ジュニョ(ピゴワル)、カド・メラッド(ジャッキー)、クロヴィス・コルニアック(ミルー)、ノラ・アルネゼデール(ドゥース)、ピエール・リシャール(ラジオ男)、ベルナール=ピエール・ドナデュー(ギャラピア)、マクサンス・ペラン(ジョジョ)ほか
1936年、パリ郊外。不況の為、閉館したミュージックホール・シャンソニア劇場。
裏方をしていたピゴワルは失業。生活の為、最愛の息子ジョジョは元妻の家へ、泣く泣く離れることになった。しかし、何とか仲間と力を合わせ劇場を占拠?! やくざの脅し、仲間の裏切り、別離、様々な困難に遭いながらも、息子と一緒に暮らしたい一心で、懸命に劇場再建に向かうピゴワルだった。
ジャック・ペラン…『WATARIDOR』監督、『コーラス』の名製作者。そして監督は、ペラン氏の甥クリストフ・バラティエ。最新作であるこの作品は、2008年に130万人を動員した大ヒット作品だ。『コーラス』のスタッフ・キャストを再結集させて作られた。ミュージカル、舞台、私生活の場面が非常にバランスよく描かれている。
それに舞台装置、見事に細工された衣装…うっとり、魅了された。
・うっとり1 ジェラール・ジョジュのなんとも言えない丸みのある表情。
・うっとり2 フランスの歌う新星ノラ・アルネゼデール!気品あるグレース・ケリーを彷彿させる。
・うっとり3 お芝居が始まる前にドゥースが、劇場付近の商店の宣伝を歌声にのせていた。例えば(♪お帰りには~○○屋さんのケーキをお買いくださ~い♪)本当にこの時代にやってたのかな。そうだったらスゴイ!
・うっとり4 ドゥースが舞台で歌いながら踊っている。周りの男性ダンサーが彼女のスカートのすそ紐を引っ張るとカーテンのように、だんだん上がっていく・・・観客は大興奮。
・うっとり5 最後の舞台ステージの美しさ。あの舞台の狭さであれだけの量感を出すなんて!
セピア色・ロマンチック・ミュージカル作品。ここに誕生!(美)
2008年/フランス・チェコ・ドイツ/カラー/120分/シネマスコープ/ドルビーデジタル/35mm/字幕翻訳:丸山垂穂
配給:日活 宣伝:アルシネテラン
© Cos Aelenei
公式 HP >> http://www.chansonia.jp/
監督: デレク・チウ(趙崇基)
撮影: チェン・チーイン(陳志英)
美術: テレンス・フォック(霍達華)
出演:ウィンストン・チャオ(孫文)、アンジェリカ・リー(シュー・ダンロン)、ウー・ユエ(チェン・ツイフェン)、チャオ・チョン(ルゥオ・ジャオリン)、ワン・ジェンチョン(シュー・ボウホン)、ヴィッキー・リウ(シュー夫人)
©深圳電影製片廠
-苦しいときこそ、煌いていた。-
1910年、孫文は極秘にマレーシアを訪れていた。支援者たちに会い、革命資金を調達するためだったが、度重なる失敗になかなか資金は集まらなかった。チェン・ツイフェンがやってきて、失意の孫文を力づける。この地に根を下ろして成功した中国人の富豪シュー家の一人娘、ダンロンはのびのびと育ち、教師のルゥオ・ジャオリンとの恋愛も隠そうとはしない。援助を渋る父親に代わり、ダンロンは彼を応援するべく父の知り合いを紹介しようとする。一方孫文を狙う暗殺者は着々と近づきつつあった。
革命家として知られる孫文が、運動資金を得るために世界中を回っていたときのエピソードをもとに、彼を蔭から支えた女性チェン・ツイフェンとのラブ・ストーリーを芯に描きます。孫文の妻は宋慶齢ですから彼女とは添えないのだとわかっているのに、この恋の行く末を心配してみてしまいました。孫文は自分の生活よりも革命に夢中で、そんな彼を敬愛しているツイフェンは、平凡な夢を抱きながら自分はつりあわないと思っています。そんな彼らと対照的な若い男女、富豪シュー家の娘のダンロンとジャオリンの恋模様も合わせて描き、どちらも女性がしっかりしているのににんまりしました。ウィンストン・チャオは『宋家の三姉妹』(1997年、香港、監督:メイベル・チャン)でも孫文を演じています。(白)
2006年/中国/カラー/2時間7分/ビスタサイズ/ドルビーSRD
提供:バンダイビジュアル/配給:角川映画
公式 HP >> http://www.sonbun.jp/
期日:2009年9月5日(土)〜13日(日)
会場:シネマート六本木
| 上映作品 | |
|---|---|
| シンガポール・ドリーム | 監督:コリン・ゴー&ウー・イェンイェン 2006年 105分 |
| 愛を探すこどもたち | 監督:ブライアン・ゴソン・タン 2008年 87分+短編=約100分 |
| ゴーン・ショッピング | ウィー・リーリン 2008年 100分 |
| 4:30 | 監督:ロイストン・タン 2005年 93分 |
| ブー・ジュンフェン短編集 | 監督:ブー・ジュンフェン 2004〜2009年 約80分 |
| タン・ピンピン特選 | 監督:タン・ピンピン 2001年、2005年 55分+22分 |
| エリック・クー特集 | |
| ミーポック・マン | 1995年 98分 |
| 12階 | 1997年 105分 |
| 一緒にいて | 2005年 90分 |
◎来日ゲストと上映後にトークセッション、Q&Aがあります。
◎オンライン中継でのゲストの参加予定
★9月5日(土)『愛を探すこどもたち』上映に先立ち14:10からはゲストたちによるオープニング挨拶
公式 HP >> http://www.sintok.org/
アニエス・ヴァルダの最新作『アニエスの浜辺』日本公開にあわせ、彼女の処女作品『ポワント・クールト』から近作『落ち穂拾い』までが一挙に上映されます。また、アニエス・ヴァルダの人生のパートナージャック・ドゥミ作品も併せて上映されます。
2009年9月5日(土)〜9月19日(土)
会場:東京日仏学院2階エスパスイマージュ
チケット:東京日仏学院、横浜日仏学院の会員及び、エキプ会員は500円、一般は1000円
当日券のみ 初回の1時間前から、その日のすべての回のチケットを発売開始
開場は上映20分前
お問い合わせ:東京日仏学院(03-5206-2500)
詳しいスケジュールはこちらをご覧下さい。
2009年9月26日(土)〜10月9日(金)
会場:岩波ホール
チケット:当日券 一般 1800円 / シニア・学生 1500円 / エキプ会員・日仏会員 1400円
前売り券 一般 1500円 / エキプ会員・日仏会員 1200円
前売り券は全作品共通 / 岩波ホール窓口(9/25まで)他、ローソンチケット、チケットぴあにて販売
開場は上映20分前
お問い合わせ:岩波ホール(03-3262-5252)
詳しいスケジュールはこちらをご覧下さい。
アニエス・ヴァルダの最新作『アニエスの浜辺』についてはこちら
監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス
撮影:エリック・ゴーティエ
出演:マギー・チャン、ニック・ノルティ、ジェームズ・デニス
製作:ヴ・フィッチマン
2004年製作
ロックスターのリーと、その妻のエミリー(マギー・チャン)。エミリーはリーのマネージャー的役割を務める傍ら、歌手として成功することを夢見ている。二人にはジェイ(ジェームズ・デニス)という息子がいるが、二人とは同居せずバンクーバーに住むリーの両親の元で育てられている。
かつての栄光にしがみつこうとするリーと現実的なエミリーは、所属するレコード会社をどうするかということで激しい口論をしてしまった。いたたまれなくなったエミリーは宿泊先のモーテルを抜け出し、一晩中街中を彷徨し、モーテルに戻ってみると夫は死んでいた。ドラッグの過剰摂取だった。エミリー自身もドラッグを持っていたため、夫の突然の死を受け入れる間もなく留置所ですごすことになった。
リーの母親と、一部の友人は、事故を防げなかったのはエミリーのせいだとエミリーを苦しめる。
出所後、エミリーは全てをやりなおそうと、かつて住んでいたことのあるパリへと向かった。そして、「息子と暮らしたい」と、リーの父親(ニック・ノルティ)と連絡を取る。しかし、しばらく息子とは距離を置くように言われてしまい、逆に「息子を取り戻すためにはなんでもする」そう決意することに。
生活の建て直し、捨てきれない歌手の夢、いろいろな思いが交錯し、望んだ仕事を得ることも、息子と一緒に暮らすことも出来ずにひとりぼっちになってしまったエミリーの孤独。でも、友人の紹介で職を得ることができた。
そんな暮らしの中、義父のアルブレヒトが、ジェイを連れてロンドンに滞在しているという情報を得たエミリーは、「息子に会いたい」と連絡を取り、2日間だけ息子との再会を楽しむ機会を得た。しかし、ちょうど、同じ日にアメリカでレコーディングするチャンスの話が来る。どちらかを選ばなくてはならなかったエミリーはジェイを選んだ。しかしせっかく会ったジェイは「パパを殺したのはママだ」と母に感情をぶつける。それでもアルブレヒトの取り成しで、なんとか二人はバイクにまたがり動物園へと向かう。
あきらめたレコーディングだったが、再度の連絡がありエミリーは決心する。
母と子の再生、人生のやり直し。そんな女性を演じたマギー・チャンは、この演技で第57回カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞した。オリヴィエ・アサイヤス監督が、『イルマ・ヴェップ』(96)以来、マギーと再度タッグを組んだ作品。
冒頭の、自分がいない間に夫がドラッグの過剰摂取で死んでしまい、自分も警察に逮捕されるシーンは、この作品の試写を観た直後に起こった最近芸能界の話題を集めている俳優兼歌手Oの事件との類似点を感じ、この事件に繋がる話題を先取りした作品だと思った。しかし、この映画の本質はそこにあるのではない。夫を亡くし、息子の養育権も奪われてしまった一人の女性が、絶望のふちから這い上がろうと奮闘する姿。マギーが息子をバイクに乗せ走り去ってゆく後姿は、不安を抱えながらも前進する彼女の決意を感じさせられる印象的なシーンだった。
英語、フランス語、中国語の3カ国語を操るマギー・チャンがかっこいい! さらに自分で歌まで歌っている! 歌っているマギーを見るのは初めてだった。香港芸能界では、俳優と歌手を兼ねている人が多い中、マギーが歌っている姿を見たことはなかった。こんなに歌がうまかったとは驚き。
『イルマ・ヴェップ』を見逃してしまっていた私は、オリヴィエ・アサイヤス監督の作品を観るのは、これが初めてだった。マギー・チャンが『イルマ・ヴェップ』後、アサイヤス監督と結婚したということは知っていたし、その後離婚したという話も聞いていたが、この作品が2004年製作と聞き、離婚する前の作品だと思ったのだが、離婚してから撮った作品だった。離婚しても映画への思いを共有する仲間として繋がっている、いい関係だなと思った。アサイヤス監督の『夏時間の庭』もいい作品です。こちらもぜひどうぞ。(暁)
公式 HP >> http://www.clean-movie.net/
監督:キム・ジウン
脚本:キム・ジウン、キム・ミンスク
撮影:イ・モゲ
美術:チョ・ファソン
武術:チ・ジュンヒョン
音楽:タル・パラン
出演:イ・ビョンホン(パク・チャンイ)、チョン・ウソン(パク・ドウォン)、ソン・ガンホ(ユン・テグ)、リュ・スンス(マンギル)、リュ・チャンスク(ハルメ)、イ・チョンア(ソンイ)、キム・グァンイル(サンカル)、マ・ドンソク(クマ)、ザリーガル(チャンチュイ)ほか
1930年代、混沌の満州。大陸横断列車が襲われた。目的のためには情け容赦のないギャング団のボスはパク・チャンイ。なによりも「一番!であること」が大事なプライドの高い男。彼が探しているのは1枚の宝の地図。ところがそれは横入りしてきたこそ泥のユン・テグの手に渡る。雑草のようにたくましく、転んでもタダでは起きず、いつのまにかいいところだけ持っていく変な男。もう1人かんできたのは賞金ハンターのパク・ドウォン。ライフル片手に疾走する汽車や馬上から正確に敵を狙い撃つ。流れるような華麗なアクションと冷静な判断力を持つ男。まだ見ぬお宝を巡って、いい奴(グッド)、悪い奴(バッド)、変な奴(ウィアード)の3人に、日本軍まで加わって繰り広げられるストーリー。ムチャクチャは楽しい! ムチャクチャでイイノダ!


韓国映画界の人気者3人がうちそろった、ど派手なコリアン・ウェスタン。主役をはれる3人が集まるなんて、贅沢な映画です。監督は『甘い人生』、『箪笥』、『反則王』のキム・ジウン。3人の特徴をよく生かして撮っています。いろんな顔を見せる俳優さんたちですが、それぞれの役をとても楽しんだようす。ファンは必見です。
中国の砂漠や草原でのロケは、10℃~45℃という気温差のある過酷なものであったようです。がっ、汽車、馬、銃、女性、乱闘・・・と、まあ男の子の好きなものばっかりの中で縦横無尽に動き回っているじゃないですか。これだけ好きなことができたら、環境は厳しくとも楽しいはずです。
武術指導のチ・ジュンヒョン氏はこの映画の撮影中交通事故で亡くなられました。アクション・コーディネイター、アクション監督、アクションスクールの講師として活躍中のことで早過ぎる死が惜しまれます。(白)
ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ウソンという、韓国映画界きっての俳優たちの共演、競演は、息もつかせぬ展開で観る人をあきさせない。それにしてもこの泥臭さは、『反則王』を作ったキム・ジウン監督ならではのもの。最後にわかる指切り魔というのが笑える。やはり『反則王』の路線を引き継いだ「変な奴」が主役の映画なのだ。なので、「ウィアード」なる日本人になじみのない言葉をタイトルに持ってゆくより、これはやはり『いい奴 悪い奴 変な奴』だと思う。変な奴役がぴったりのソン・ガンホとキム・ジウン監督の「おバカ路線」が大好きな私としては、日本での売りがイ・ビョンホンとチョン・ウソンなのはちょっと不満。もちろん2人とも好きなんだけど、やっぱりこの映画の主役は「変な奴」のソン・ガンホでしょう。(暁)
2008/韓国/カラー/2時間9分/スコープサイズ/
配給:CJ ENTERTAINMENT、ショウゲート
★8月29日(土)新宿バルト9、TOHOシネマズシャンテほか全国順次公開
公式 HP >> http://www.gbw.jp/
特別記事
監督:ゴリ(ガレッジセール)
脚本:ゴリ、杉山嘉一
主題歌: 夏川りみ 「ウンジュの原点(ふるさと)」
出演:ゴリ(栄昇)、照屋政雄(マサル)、諸見里大介(ヒトシ)、ボビー・オロゴン(マックス)、AKINA(りみ)、平良とみ(空手の達人:金城先生)、川田広樹(レフリー)、レイラ(オレンジ)、吉田妙子(ポールバーのママ)、福田加奈子(マサルの妻)
-フツーじゃないのがフツーです。-
コザ市に1人で暮らす栄昇は、気ままな仲間マサルやヒトシと遊んでばかり。隣家のマサルの娘、幼なじみのりみは栄昇に思いを寄せていたが、あまりに近すぎて気持ちと裏腹にケンカばかりしていた。ポールバーに遊びに出かけた栄昇は、新人のダンサー、オレンジに一目惚れしてしまった。
マサルたちはあれこれ知恵をつけて応援、オレンジに告白しているところへアメリカ兵のマックスがやってくる。強引なマックスに激怒したマサルは、オレンジを賭けて1:1の決闘を提案する。猶予は1ヵ月、このままでは栄昇の勝ち目はない。マサルは空手の師匠に紹介するというのだが?!

ガレッジセールのゴリさんが、故郷沖縄で沖縄出身の仲間を集めて作った初監督作。「フリムン」とは沖縄の言葉で、「愛すべきおバカさん」という意味だそうです。のんびりまったりな沖縄の空気の中、ちょっとおバカで熱い青春の日々を切り取っています。自然豊かな背景に、テーブルに並んだ美味しそうな沖縄料理、濃い人々とのおつきあいが散りばめられています。16日間という短い撮影日数ながら、緩急つけた演出で生き生きみせています。ゴリ監督は日大映画学科卒業だそうですが、「観る人に楽しんでもらおう」という芸人魂を1番感じました。(白)
2009年/日本/カラー/97分/ビスタサイズ/DTSステレオ
製作:吉本興業株式会社
配給:角川映画
公式 HP >> http://www.furimun.jp/
監督:オリヴィエ・ヴァン・ホーフスタッド
脚本:ジャン=マルク・スヴィラ、ビビ・ナセリ、エマニュエル・プレヴォスト
撮影:ジャン=フランソワ・エンジェン
音楽:アレクサンドル・アザリア、アゴリア
出演:ロシュディ・ゼム(マレク/スリマン)、オリヴィエ・グルメ(ジャン・ドゥー)、ジャン=ミシェル・フェト(メコ)、ジル・ミラン(リュシアン)、カタリーナ・ドゥニ(グラディス)
2人組みの強盗が宝石店を襲う。その1人はBRI(パリ警視庁探索出動班)の警察官マレク。裏社会に潜入捜査官として入りこむための工作だった。BRIは麻薬密売のリュシアン一味を一網打尽にするべく、捜査を続けていた。最前線にいたマレクの同僚ジャン・ドーは、リュシアンの襲撃を受けほかの捜査員とともに殺されてしまう。リュシアンは逮捕されたが証拠不十分で釈放。マレクは麻薬取締局の猛訓練を受け、スペインの組織への潜入を図る。ヨーロッパ最大の麻薬密売組織の信用を勝ち得たマレクは、「ゴー・ファースト」として雇われ、マラガからパリへと麻薬を運ぶことになった。

リュック・ベッソン率いるヨーロッパ・コープから、事実を元にした潜入捜査官ものが届きました。スタイリッシュなカーアクションの作品を次々と送り出していますが、これもその1本です。ポルシェ、BMW、アウディなど車も俳優のようにその役割りを果たしています。
この運び屋という仕事、潜入捜査官も実在であるため、フランス警察の協力を得て検証を重ね、俳優も訓練されました。おかげでドキュメンタリーを観ているかのようなリアルな作品となっています。主演俳優と監督はこのルートを実際に車で駆け抜けてみたそうで、この臨場感、迫力を出すのにおおいに役立ったことでしょう。車好き、クライムストーリー好きにはこたえられない作品。(白)
2008年/フランス/カラー/89分/スコープサイズ/ドルビーデジタルサラウンドEX
配給:アスミック・エース エンタテインメント
宣伝:アステア
公式 HP >> http://gofast.asmik-ace.co.jp/
監督・脚本:森岡利行
原作:西原理恵子「女の子ものがたり」(小学館刊)
出演:深津絵里、大後寿々花、福士誠治、波瑠、高山侑子、森迫永依、風吹ジュン、板尾創路、奥貫薫 ほか
漫画家の高原菜都美は現在スランプのドツボにはまっている。新しく担当になった新人編集者の財前は、10年前の菜都美の作品を好きだと言うが、最近の彼女の作品は評価していない様子。締め切りになっても全く焦らず、やる気も起こさず、ただ財前を振り回す菜都美に、「 先生、友だちいないでしょ」ときついひと言を投げかける。その時、菜都美の脳裏には、郷里の子どもの頃からの大切な、だけど心の奥底にしまい込んだ、友だち、きいちゃんとみさちゃんとの思い出が蘇ってきた。


なっちゃん、きいちゃん、みさちゃんの女の子3人の友情ものがたり。思えば、自分も小、中、高校とメンバーは違えどいつも仲良くつるんでいたのは3人だった。女ともだち3人というのは、微妙な力学で成り立っている。共通で気が合うベースの部分は確実にあるけれど、3人バラバラの個性があり、1対1だとぶつかり合う部分をもう1人が緩衝材になってバランスを保っている。お互いに良いところ、悪いところをわかり合っていて、尊敬も信頼もしているのに、ひどく冷静に相手の行動を観察していたり、ときどき嫉妬心も顔を出す。そんな微妙な関係を、映画は色彩やちょっとしたセリフで描けているのが良かった。また、就職先も限られる田舎で、どうやって自立して生きていくのか、ここではないどこかへ行けるのか、将来に対する漠然とした不安を抱える女の子たちの思いは、今も昔も共通でしょう。答えがあるわけではありませんが、映画に出てくる西原さんが描いた絵は、少しの勇気と励ましを与えてくれると思います。(梅)
2009年/日本/カラー/110分/ビスタサイズ/ドルビーSR
配給・宣伝:IMJエンタテインメント/エイベックス・エンタテインメント
全国の上映劇場に"女の子3人"で観に行くと、お1人様1,000円で鑑賞できます。こちらのサイトをプリントアウトして持っていくか、モバイルで画像を提示することが必要です。
公式 HP >> http://onnanoko-story.jp/index.html
監督:トム・リン
脚本:ヘンリー・ツァイ、トム・リン
撮影:フィッシャー・ユイ
照明:ハーカー・チュウ
美術:リー・ティエンチュエ
衣装:スン・フイメイ
編集:チェン・シャオトン
音響:チョウ・チェン、フランク・チョン
音楽:ブレア・コー
プロデューサー:エリック・ツァン、イェ・ルーフェン
共同プロデューサー:チュオ・リー、ゲイリー・ツォン
出演:リディアン・ヴォーン(チョン・シーイェン)、チャン・チエ(タン・チーチン)、ジェニファー・チュウ(ホアン・ユンチン)、ワン・ポーチェ(リー・ヤオシン)、リン・チータイ(リン・チンチャオ)、シェン・ウェイニエン(リン・ポーチュー)、チウ・イーチェン(シエ・チーション)、チー・ペイホイ(シェン・ペイシン)、 リー・ユエチェン(ホアン・チョンハン)
特別出演: リャオ・ミンシュン(本人役)、エリック・ツァン(イェンの父)、ルー・イーチン(クン教官)、リゥ・ピンイェン(モンルン)、クー・ユールン(ビリヤード場でタンを殴る男)
1997年夏。竹東高校卒業式の朝。タンは一年前の夏の出来事を振り返っていた・・・。去年の9月。高校3年のタン、同級生のイェンとチンチャオ、落第生で最年長のヤオシン、二年生のポーチュー、入学したばかりの1年生チーションとチョンハリは、新竹野球場で台湾プロ野球の人気スター、リャオ・ミンシュンの活躍に声援を送っていた。いつも、この7人で騒動を起こしては、教官室に呼び出されるトラブルメーカーの常連だった。彼らはこの友情が永遠に続くものと、信じて疑わなかったが・・・。

台湾近郊にのんびりと暮らす、野球が大好きな7人の高校生と可憐な2人の女子学生。9人の若者1人1人とても個性があり、魅力的だ。悪さもする彼らだが、台湾野球界の賭博・八百長事件は非常にショックだったろう。ましてや、リャオ・ミンシュン選手が中心人物とみなされていたのだから、社会や大人の世界に対して失望したに決まっている。今まで集めていたプロマイドを、泣きながら破る彼らの姿が目に浮かぶ。
9人の仲間もいろいろな出来事の中で、気持ちがだんだんずれて行く。そして、もう修復できないと諦めかけた時、思いもしなかったとてつもない不幸のもとで、彼らはまた集うのだ。少し大人の雰囲気を身につけて・・・。
トム・リン監督は「この作品は80%僕の高校時代の物語です。当時の仲間たちを彷彿させるような俳優キャスティングをしました。僕の役どころは捉えどころのないタンに近いです」と語っている。最後のシーンの野球選手は、リャオ・ミンシュンご本人だ。私はこのシーンに「どんな事があっても生き抜くのだ! いつでも人生やり直しできるぞ!」というメッセ-ジが込められているように感じ、体があつくなった。(美)
昨年の東京国際映画祭で上映されたときに観ました。いまだに懐かしく思い出す高校生活。時代は違っても思うことはそう変わらず、誰にでも共感できる映画だと思います。日本と違い、台湾では9月に卒業、新学期が訪れるのだそうです。その時期に吹く季節風は、日本でいえば桜の花のように、特別な節目を思い起こすもののようです。ラストに流れるのは張雨生の歌う「我期待」。張雨生は映画背景の97年自動車事故で亡くなったシンガーソングライターで、台湾の番組で何度も見たことがありました。戻らない青春時代と、逝ってしまった人を思うと切ないですが、いつでも取り出せるように胸の中にしまっておくことにします。(白)
2008年/台湾=香港/35mm/カラー/DolbySDR/107分/北京語/PG-12
配給:グアパ・グアポ+アジア・リパブリック
★8月29日(土)より、ユーロスペース、シネマート新宿 他にて全国ロードショー
公式 HP >> http://www.9wind.jp/
特別記事 『九月に降る風』初日舞台挨拶レポートもご覧下さい。
監督:スティーブン・セブリング
出演:パティ・スミス
ROCKER
POET
ARTIST
MOTHER
それは
パティ・スミスという生き方。
パティ・スミス。1970年代に頭角を現し、類まれな音楽性、怒りを表現した詩、独自のスタイルを貫くパフォーマンスで、ミュージックシーンを刺激し続けてきた伝説のロッカー。
パンクの女王であると同時に、詩、絵画、写真…多岐にわたる分野で活躍するアーティストであり、社会活動家であり、そして母であり、娘でもある、ひとりの女性…。(作品資料より)
本作は、写真家スティーブン・セブリングが、1995年「スピン・マガジン」の写真撮影でパティ・スミスと出会い、彼女の人間的魅力に惹かれ、彼女を記録したいと彼女に密着して11年間撮り続けたもの。モノクロとカラーの交錯する記録映像は、詩的な雰囲気に溢れ、画面に惹きつけられる。私自身、パティ・スミスのことは、本作で初めて知った。語る言葉の一つ一つが、彼女の声のトーンともあいまって、胸に響いてくる。「ブッシュを告発する! 自由の名を語り、国を冒涜した」イラクの黄金のドームを冠したモスクの爆撃前と後の写真が映し出される。「アメリカが爆撃した。なぜイラクへ? 正義の戦争はない!」と叫ぶパティの猛々しさ。エルサレムのスークを歩くパティの姿にも、平和への思いが溢れている。彼女のメッセージが本作を通じて世の権力者に伝わることを切に願いたい。(咲)
2008年/アメリカ/109分/カラー&モノクロ/アメリカン・ヴィスタ/ドルビーSRD
配給:トランスフォーマー
宣伝・配給協力:ザジフィルムズ
公式 HP >> http://pattismith-movie.com/
監督・脚本:マシュー・エバーハートandリーンダー・ワード
製作:ポール・ウェブスター、リーンダー・ワード、マシュー・エバーハード
日本語吹替版ナレーション:宮﨑あおい
©DISNEY ENTERPRISES, INC. ALL RIGHTS RESERVED
地球は、最高のエンターテイメント。そして、最大のミステリー。
故ウォルト・ディズニーは、1948年から1960年にかけて、『砂漠は生きている』(53)などの自然ドキュメンタリー映画を制作し、8つものアカデミー賞に輝きました。この偉大な先駆者のビジョンを継承した精鋭スタッフの才能と情熱、そして最新鋭の技術が生み出す壮大なる映像エンターテイメント≪ディズニーネイチャー≫。この第1弾がフラミンゴたちの繰り広げる命のドラマです。思わず手をさしのべたくなったり、胸が熱くなったりします。日本語版での上映ですので、夏休みにお子様とごらんになってはいかがでしょうか。(白)
2009/アメリカ/カラー/ビスタ/1時間19分/PG-12/翻訳:いずみつかさ
配給:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
監督:デヴィッド・スレイド
製作:サム・ライミ、ロブ・タパート
原作:スティーヴ・ナイルズ『30デイズ・ナイト』(マイクロマガジン社刊)
ベン・テンプルスミス
脚本:スティーヴ・ナイルズ、スチュアート・ビーティー、ブライアン・ネルソン
撮影:ジョー・ウィレムズ
プロダクションデザイン: ポール・D・オースタベリー
音楽:ブライアン・レイツェル
出演:ジョシュ・ハートネット(エバン)、メリッサ・ジョージ(ステラ)、ダニー・ヒューストン(マーロー)、ベン・フォスター(謎の男)、マーク・ブーン・jr(ボウ)、マーク・レンドール(ジェイク)ほか
アラスカ州北端の小さな町バロウに極夜の季節がやってきた。夏の白夜と反対にこれから30日間太陽が昇らないのだ。保安官のエバンは、パトロール中に飼い犬数十頭が惨殺されたとの連絡を受け、現場に急ぐが誰の仕業なのか見当もつかない。離婚係争中の妻ステラは最終便に乗り遅れ、極夜が明けるまでこの街を出ることができなくなった。
さらに突然の停電で、エバンが発電所へ急行すると管理人は無残な姿になっていた。街にたどり着いた見知らぬ男は「彼らがやってくる」とつぶやく。不安に包まれた街を跳梁跋扈するいくつもの黒い影は何者なのか?

上は疑問で閉じましたが、突然の侵入者たちがヴァンパイアであるのは、すぐにわかってしまうのです。ただし『インタビュー・ウイズ・ヴァンパイヤ』や最近のヒット作『トワイライト』に出てくるような美しい吸血鬼ではありません。プロデューサーがサム・ライミ(『死霊のはらわた』は怖かった!)ですから。クリーチャーのメイクは俳優さんの原型を留めていませんが、リーダーのマーロー役のダニー・ヒューストンは、割合そのままなのに充分に怖いです。巨匠ジョン・ヒューストンの息子さん。
日光で灰になるという定石はあるものの、この街は30日間太陽が昇りません。体力、スピードに勝るヴァンパイアを相手に、その中で人間たちがどうサバイバルするのかが見どころです。(白)
2007年/アメリカ/カラー/1時間53分/シネマスコープ/ドルビーデジタル
配給:ブロードメディア・スタジオ
公式 HP >> http://www.30days-night.jp/
監督:平林克理
脚本:吉井真奈美、平林克理
出演:古川雄大(神崎浩紀)、細貝圭(沢田修)、永岡卓也(吉永直)、佐藤永典(鉄平)、矢柴俊博(菅原先生)ほか
神崎浩紀は明るく人気もあり、生徒会長もつとめる高校3年生。将来の夢は漫画家になることでずっと投稿を続けている。絵はうまいが、ストーリーがいまいちで毎回残念賞だ。そんなときにアメリカから転校生がやってきた。母親の病気治療のために一時的に日本に帰国した沢田修。浩紀はその名前に聞き覚えがあった。浩紀とは逆にストーリーはうまいが絵が弱いと講評を受けて、いつも残念賞を分け合っている彼だ。

卒業前の1年間を描くには、エピソードと展開が物足りなかったです。浩紀と修が入れ込んでいる漫画の魅力が全然出てこないのが残念。予算の関係もあるのでしょうが、時間と人数が限られていても、もっとリアルにできたのではないでしょうか? 古川雄大くんは『2STEPS!』でのダンサーを目指す青年役がずっと良かったし、高校生役じゃなくてもと思ってしまいました。若い人たちは切れ目なく出演し続けないといけないのでしょうか。今輝いているとはいえ、いつ充電するのでしょ? と、まさに老婆心。(白)
夢に一途な高校生の青春を描こうとするのは好感が持てますが、なんだか映画というより深夜ドラマのよう。主役3人の造型も高校生というよりホストのようだと思ってしまった。(梅)
2009年/日本/カラー/68分/ビスタサイズ/
製作・配給:日本出版販売
公式 HP >> http://www.bokusora.com/
公開初日の舞台挨拶に、主演の古川雄大さん・細貝圭さんそして平林監督が登壇しました。古川「今日という日を迎えられてとても嬉しいです。自分は主人公の浩紀とは真逆の性格で、浩紀はまっ直ぐ過ぎる熱い性格なんですが、自分はその熱さを内に秘めるタイプなんです。ですが、今回の浩紀のテンションの高さは、自分が友達と遊んでいるときのテンションに似ていると思うので、そういったところは役に共感できました。 また本作のみどころは、キャストが少ない分、個々のキャラクターや関係性が深く描かれているところです。現役高校生の方、また高校を卒業された方は、自分のときと見比べて頂ければなと思います。何度も足を運んで、細かい部分に注目して下さい!」
細貝「皆さん作品はいかがでしたか。(劇場から歓声と拍手が沸く) 僕が演じた修は、アメリカから日本へ転校してくる高校生の役なのですが、なかなか自分を出せなくて打ち解けられないんです。僕も6歳の時にアメリカへ行ってなかなか打ち解けられなかったことがあったので、今回の役に共感できましたね。何度も観て出演している気持ちになり、自分の青春時代と照らし合わせたり、共感したりしてほしいです!」
監督「やっと初日を迎えることができました。有難うございました。高校時代の葛藤という、誰もが通る道を描いたので、共感してもらえる部分が多いと思います。何か心に引っかかる部分をみつけてください。」
提供:フリーマン・オフィス
監督:福田是久
脚本・原作:山下久仁明
撮影:青木 正
音楽:椎名邦仁
主題歌:高橋直純「まひるのほし」
出演:大塚ちひろ(門倉明日美)、伊藤祐貴(浅野淳一)。石井めぐみ(母)、秋野太作(吉田慎之助)、大森暁美(吉田の妻ハル子)、小林裕吉(弟 健二)、松崎初音(安西香織)、ピエール瀧ほか
©2009ぼくはうみがみたくなりました製作委員会
看護学生の明日美は、思い出のあるマンションの屋上で、同級生に良く似た青年と出会った。駐車中の明日美の車を覗き込む彼を誘って、海までドライブをすることになった。明日美は彼の障がいに気づかず変わった青年だなと思うだけ。しかし助手席で一言も発しない淳一に疑問がわいてくる。海辺で老夫婦に出会った明日美は、淳一との2人だけなのが気詰まりで「城ヶ島まで乗りませんか」と声をかける。
原作・脚本の山下久仁明さんは自閉症児大輝(ひろき)くんの父親です。この病気のことを多くの人に知ってもらいたいという願いから、小説を書き、映画化を企画しました。大輝くんは企画中に事故のため亡くなられてしまいましたが、山下さんが15年間一緒に暮らした日々がこの中にちりばめられています。19歳の淳一は、その後の大輝くんを想定して書かれたそうです。伊藤祐貴さんは関係者たちが驚くほど障がいのある青年役を好演。まっすぐな視線が印象に残りました。ヒロインの明日美は、自閉症という病気を知らない観客の代表で、脇のベテラン陣が劇中でわかりやすく解説をしてくれます。この映画は、自分のペースで生き生きと暮らしている淳一、見守る家族、周囲の目などいろんな側面を見せています。
病気や故障は、数え上げてみれば軽重の差こそあれ、誰もが抱えています。自分は全くの健康体だという方も関係ないとせずに、「知ること」でずっと互いが暮らしやすくなるのではと思いました。(白)
「自閉症」に関して知っていることと言えば、話しかけた言葉を、同じように聞き返してくることや、行動に順序やこだわりがあることしか知らなかった。この作品に登場する淳一くんは、リズムに非常に敏感で、自動車免許の問題も、メトロノームの弱拍途中の同じ箇所で答を出していた。微妙なリズムを難無くやってのけていたのには驚いた。
それにしても、この淳一役の伊藤祐貴青年! 観ている間ずっと、「えっ、彼は自閉症? 違うよね? 演技だよね?」と何回も?マークが点滅した。うまい!というより、よく観察し、研究し、体で感じて演じている。先月、スキップシティDシネマ映画祭2009で上映された邦画『Lost Paradaise in Tokyo』で、知的障害青年を演じた菟田高城も自然体で素晴らしかった。まだ無名に近い彼らの今後がとても楽しみだ。
印象深いシーンがあった。園長先生は純一が、以前、自分の幼稚園でお世話した生徒だと遅まきながら気付いた時、あの淳一くんがこんなに成長して、と感慨深くうなづいていたが、淳一は始めから、気付いたいたんだよね。初対面だと思っていた園長先生にお返事していたし…。
全編を通して、海と空の青さが目にしみる画面に、もし、今年幕張の海洋映画祭があったら、この作品なんて、ぴったりなのにと残念に思った。(美)
2008年/日本/カラー/113分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:ぼくはうみがみたくなりました製作委員会
公式 HP >> http://bokuumi.com/
構成・演出:伊藤善亮
企画・撮影:若尾泰之
制作・取材:林昌幸
出演:飯田進
大正12年生まれの飯田進さんは、青年期のすべてを戦場と牢獄で過ごした。太平洋戦争ではニューギニア戦線に送られ地獄のような体験をし、戦後はBC級戦犯として裁かれ巣鴨プリズンに長く収容された。ようやく釈放され、家庭を持ち、社会生活を楽しむことができるようになったころ、飯田さん一家をサリドマイド薬害事件の悲劇が襲う。妻が妊娠期に飲んだサリドマイドが長男の腕を奪ったのだ。それ以来、飯田さんは薬害訴訟と障害児童福祉に打ち込んでいく。
戦争、戦犯、原爆、サリドマイド、薬害C型肝炎。飯田さんの人生は昭和という時代に翻弄され続けてきました。なぜこれほどの試練を1人の人間が受けなければならないのかと、ため息が出るほどです。それでも飯田さんはうちひしがれるばかりでなく、自ら体験した昭和の闇を後世に伝えようと、今なお考え、行動し続けています。その思いを真摯に受け止めたいと思いました。
映画は少々文字が多いのが気になったのですが、それでもテンポが崩れることなく、若い人が見てもわかりやすい作りになっています。
私事ですが、飯田さんと亡くなった父とは同い年で、同じ京都の出身で、なんとなく風貌も似ているため、人ごとと思って見られませんでした(父はもっとずっとヘタレでしたが)。戦前の家父長制度の中で育ち、軍隊に入って死線をかいくぐって生き残った昭和の男の匂いを感じたのです。社会的生活には猛烈に責任感と意欲を発揮するけれど、家庭のこととなると上手く対処できない。戦後生まれの子どもたちの価値観とかけ離れてしまって、家の中でちょっと浮いた存在になってしまうあの感じもまた、昭和だなと思いました。(梅)
2009年/日本/カラー/84分/DVCAM/16:9
★2009年8月22日(土)より、渋谷UPLINK公式 HP >> http://d.hatena.ne.jp/s84
監督・脚本:園子温(『愛のむきだし』)
出演:AKIRA(EXILE)、伊藤歩、奥田瑛二、高橋惠子、高岡蒼甫
地方都市のタウン誌編集部に勤める27歳の史郎。ある日、父が倒れ病院に運び込まれ、癌に蝕まれていると知らされる。1日1時間、仕事の合間に時間を作って父を見舞う史郎。高校サッカー部の鬼コーチとして知られる父は、家でも高校でも息子に厳しくて、これまできちんと父と対話したことなどなかったのだ。ぎこちない面会を続けるうち、父は史郎に「元気になったら湖で2人で釣をしよう」と誘う。父子が打ち解けてきた頃、お腹の痛みを感じて病院で検査を受けた史郎は、担当医から「あなたも癌です」と告げられる。しかも、父より余命は短いというのだ。父にそんなことは伝えられない。史郎は、恋人の陽子に「もし俺が、父さんみたいに癌で死ぬってわかっても一緒にいてくれるかな」と問いかける・・・・
何気なく日々を過ごしてきた人間が、余命わずかと宣告された時の衝撃・・・ 残された人生、思い残すことなく過ごしたい。家族や恋人や友達に、きちんと自分の思いを伝えたい。一方で、親には、自分が先に逝くかもしれないなどということは伝えられない。「オヤジ、先に逝ってくれ!」という史郎の悲痛な思い。親より先に逝くなどという親不孝はしたくない・・・ そんな息子の気持ちを、EXILEの一員として活躍するAKIRAが、髪も短めにし、スーツ姿で普通の青年に成りきってじわじわと観る者に伝えてくれる。『山形スクリーム』ではじけるような演技をしていたAKIRAとは、まるで別人でびっくりさせられた。
最近、同年代の知人友人があっけなく逝ってしまったり、癌を宣告されたりと、人生には限りがあることをひしひしと感じさせられている。悔いのないように、自分の思いをちゃんと伝えることの大切さを再認させてくれる作品だった。(咲)
2009年/108分/カラー
配給:ギャガ・コミュニケ—ションズ
公式 HP >> http://chantsuta.gyao.jp/
監督:リチャード・デイル
製作:デンジャラス・フィルムズ
字幕監修:毛利衛
日本語版ナレーション:宮迫博之
主題歌:ゴスペラーズ「宇宙(そら)へ 〜Reach for the sky〜」
1961年5月ジョン・F・ケネディ大統領は、「1960年代中に月への有人飛行を実現する」と宣言。そして1969年7月20日に実現した月面着陸。
この作品は、アメリカ航空宇宙局 (NASA)が設立以来16mmカラーフィルムで克明に記録してきた全プロジェクトの秘蔵映像に初めてアクセスを許されたBBCによるドキュメンタリー映画。数千時間にも及ぶ映像の中から厳選して、冷戦の中で米ソが競い合って宇宙開発を進めてきた歴史が綴られている。

7月20日、アポロ11号が人類初の月面着陸を果たしてから40周年の報に、当時の感慨を思い出しました。お月様にウサギはいないのねと、子供心に思ったものでした。本作では、チンパンジーの宇宙初飛行のときからリアルタイムで報道を見ていた宇宙飛行開発の歴史を一気に拝見することができ、なんとも懐かしい思いでした。スペースシャトル・チャレンジャーの打上げシーンでは、民間人の先生を乗せて打上げ失敗に終わったことを克明に覚えているだけにドキドキでした。海に着陸した宇宙飛行士は、ちゃんと見つけてもらえるのかしら・・・という子どもの頃に抱いた疑問も、解決しました!
そういえば、アメリカ在住のイラン人監督アミール・ナデリが、「次は月の映画を撮る!」と宣言していました。彼は小さい頃に月面着陸のニュースを見て以来、月に憧れ続けているのです。どんな映画を作ってくれるのでしょうか・・・
それにしても、人類の宇宙への飽くなき挑戦! 凄いですね。(咲)
NASAが開設されて50年。家庭にTVが入ってきたのもほぼこの時期です。米ソの宇宙をめぐる熾烈な一番乗り争い報道をず~っと観てきました。40年前の「月への第一歩の映像」にくぎづけになっていた記憶も鮮明です。このお蔵出し映像を観ると、これまでのことが浮かんできます。いまや日本からも多くの宇宙飛行士が誕生しています。若田さんが宇宙ステーションでの4ヵ月半の任務を終え、エンデバーで地球へ戻ったばかり。12月には6ヶ月間の任務のために野口さんが出かけます。
外に行けば行くほどに地球という星の美しさが再確認され、大きな視点でとらえれば国家間の争いさえ小さなことに思えてしまいます。地球の上に住んでいるもの同士もっと仲良く、ひとつきりの私たちの星を大事にしていかなくちゃ。人間は好き勝手していると、地球という大家さんに愛想をつかされるのではないかと思ってしまいます。(白)
2009年/イギリス
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
提供:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント / 博報堂DYメディアパートナーズ
*公開初日の21日と翌22日限り、どなたでも500円で観ることができます。タイアップしているIHIの協力によるもの。この機会に貴重な映像をご家族でどうぞ!
公式 HP >> http://we-love-space.jp/
監督:田口トモロヲ
原作:みうらじゅん
脚本:向井康介
音楽:大友良英
撮影:柴主高秀
照明:蒔苗友一郎
美術:丸尾知行
スタイリスト:北條訓子
出演:渡辺大知(乾純)、森岡龍(純の友人、池山)、森田直幸(純の友人、伊部)、峯田和伸(ヒゲゴジラ)、岸田繁(ヒッピー)、臼田あさ美(オリーブ)、石橋杏奈(足立恭子)、堀ちえみ(純のおかん)、 リリー・フランキー(純のおとん)、大杉漣(医師)、木村祐一(池山の父)、山本浩司(アキちゃん)監督・脚本:なまえ
© 2009色即ぜねれいしょんズ
僕の名前は乾純。あだ名はイヌ。京都の仏教系男子高校の1年生だ。ボブ・ディランに憧れてロックな生き方を目指している。学校では僕のような文化系は肩身狭いし、家は平穏で優しい両親。ロックな人生とはほど遠いのが悩み。それが、高校の友人池山と伊部から「夏休みに、フリーセックスの島に行かへん?」の一言で、僕の世界が少しずつ変わり始めた。ギターを抱え向かったのは、隠岐島。そこで僕達を待っていたのは…。
なんて気持ちのよい青春ストーリーでしょう! 携帯電話のない時代…約35年前。その頃、私は何していたかと、ふと考えた。ぐぁ~ん!新婚時代だった!(おもいっきり冷汗)どんな生活していたんだろう…。
いつ帰るともわからない夫の足音に耳をすまし、足音と同時に汁ものを温めて、テーブルに並べる手筈を整えてたり…緊張の連続だった。妻はこうしなくちゃいけない! と私も周りも信じていた。
そんな時に、この作品に出て来るヒゲゴジラさんみたいなおばさんがいてくれてたら、としみじみ思った。今はいろんな環境の方と交わり、友達になれるが、あの時代はお付き合いする範囲は狭かった。だからひと夏のユースホステルという設定に納得できた。そう、ここならいろんな人とお話でき、自分を新しい目で見つめ直せる!と。それに俳優さんすべて自然だった。
若い時代にどんな大人に巡り合い、影響されるかで随分人生違うなぁ~と感じた。青春時代に想いを馳せるのも良し! 今が青春の方ならもっともっと良し! の作品。(美)
2009/日本/カラー/114分/35mm/ビスタサイズ/DTSステレオ
配給:スタイルジャム
公式 HP >> http://shikisoku.jp/indexp.html/
監督:オリヴィエ・メガトン
製作:リュック・ベッソン、スティーブン・チャスマン
脚本:リュック・ベッソン、ロバート・マーク・ケイメン
撮影:ジョヴァンニ・フィオール・コルテラッチ
武術指導:コーリー・ユン
音楽:アレクサンドル・アザリア
出演:ジェイソン・ステイサム(フランク・マーティン)、ロバート・ネッパー(ジョンソン)、ナターリア・ルダコワ(ヴァレンティーナ)、フランソワ・ベルレアン(タルコニ警部)セーム・シュルト(ザ・ジャイアント)ほか
-手首に罠、依頼品は赤い代物-
闇の運び屋稼業のフランク・マーティンの部屋に車が突っ込んできた。運転していたのは知人の同業者マルコム。フランクは依頼をひとつ断わってマルコムを紹介していた。瀕死のマルコムを救い出し、救急車に乗せる。彼は車から離れるのを拒んでいたのを不審に思うフランク。直後救急車は爆発炎上する。車には赤毛の女が残されていて、彼女によればマルコムにも彼女にも特殊なブレスレットがはめられていて、車から20m離れると爆発するのだという。背後に近づいてきた何者かに殴られて失神したフランク。目をさますと、手首にあのブレスレットがあった。依頼人のジョンソンが現れ、「これはミッションだ」とフランクにルールを説明する。助手席に謎の女を乗せ、指示されたマルセイユ、ミュンヘン、ブタペスト、オデッサへと爆走するフランク。ミッションは無事クリアできるのか?

シリーズ3作目にしてテンションはますます上がり、今回は愛車から20m離れると爆発するという縛りがあります。ブレスレットも発信機も外すことができず、ミッションを放棄すると待っているのは爆死。コーリー・ユン指導のアクションも冴え渡り、頭ひとつ違う巨漢相手のバトルも楽しめます。謎の女性を演じる新星ナターリア・ルダコーワはNYで美容師をしていたところ、リュック・ベッソンにスカウトされたのだとか。堂々のヒロインぶりです。フランクには珍しくラブシーンもあります。依頼人ジョンソン役のロバート・ネッパーの沈着冷静な悪役ぶりも光り、ヒーローと同じくらい敵役は大事、なのがよくわかります。超スピードで駆け抜ける街の風景もお見逃しなく。(白)
2008/フランス/カラー/1時間43分/スコープサイズ/ドルビーデジタル
配給:アスミック・エース
公式 HP >> http://tp3.asmik-ace.co.jp/
監督:友松直之、西村喜廣
脚本:友松直之
原作:内田春菊「闇のまにまに~吸血少女対少女フランケン」青林工藝舎
編集・造形・キャラクターデザイン:西村喜廣
出演:川村ゆきえ(有角もなみ)、乙黒えり(富良野けい子)、斎藤工(水島樹権)、亀谷さやか(ミドリ先生)、ジジ・ぶぅ(イゴール)、津田寛二(富良野ケン児)、しいなえいひ(もなみの母)ほか
©2009 PONYCANYON/Concept Films
転校生もなみから、バレンタインデーの手づくりチョコを受取った水島樹権(じゅごん)は、食べたとたんに不思議な感覚に襲われる。もなみの正体は吸血鬼、チョコに自分の血を混ぜて樹権を仲間にするつもりだった。樹権を彼氏だと思っているけい子は、二人に嫉妬しもなみを屋上で襲うが自分が墜落してしまう。けい子の父でマッドサイエンティストである富良野教頭は、けい子を少女フランケンとして蘇らせる。樹権を張り合うもなみとけい子の血しぶきバトルが始まる。
冒頭でいきなり「うわ~~!」なスプラッターシーンが展開されます。ここを耐えるとストーリーは少し戻って、一見普通の高校での持ち物検査の場面に。よく見ると全然普通じゃない生徒と教師ばかりで、リスカ(リストカット)部、怖いです。笑っていいのかなぁと思いながら、どこか突き抜けているのでやっぱり笑ってしまいました。吸血少女は美人ですが、一瞬形相が変わるのでご注意ください。津田寛治さん振り切ってしまったサイエンティストを怪演。なんといってもすごいのは、改造された少女フランケンが飛立つシーン。出演作の続く斎藤工さん、女性パワーにたじたじなイケメン役。(白)
2009/日本/カラー/1時間25分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給・宣伝:エクセレントフィルムパートナーズ
配給協力:ゴー・シネマ
監督・脚本:西澤昭男
作画監督:柳野龍男
演出:島津裕行、清水聡
音楽監督:クリヤ・マコト
主題歌:川嶋あい「大丈夫だよ」
声の出演:福圓美里(アイ)、高橋惠子(アイの母)、高橋和也(秋葉社長)、山本學(老人)、高木渉(石田武士)、吉野裕行(瀬尾彰二)、水島大宙(中井文人)、安藤瞳(梅沢泉)
©『8月のシンフォニー』製作委員会
2002年渋谷の駅前やNHK前で自作の歌をうたう女子高校生がいた。川嶋アイ16歳。福岡にいる母との約束「歌手になる」夢を果たすため、高校入学と同時に東京に出てきて1年。芸能事務所との契約も切れ、1人でも多くの人に歌を聞いてもらうために1000回の路上ライブをすると決心していた。雨が降り出したため、地下街で歌い続けるアイ。その歌に足を止めた秋場社長と大学生たちは、アイのサポートをかって出る。
実在のシンガーソングライターの川嶋あいさんの自伝「最後の言葉」を原作に映画化した作品。実写に近い感覚のアニメーションです。俳優の演技を元に絵コンテをおこしたのだそうで、会話の多い地味な動きの劇をアニメーションにするのは難しかったでしょう。川嶋あいさんのことを私は全く知らなくて、この作品でなんとドラマチックな! と驚きました。この背景となる、2002年~2003年は試写や映画祭で渋谷にも通いましたが、駅前でライブに出会ったことはありませんでした。その場に出会いたかったです、残念。作中に紹介されるあいさんの歌はわりあい淡々として、心のうちがぽつりぽつりとこぼれるようです。高校生が夢を持って頑張る姿に、大人が心動かされて応援していくという物語。このせちがらいと言われる世の中も案外捨てたもんじゃないですね。実話ですって、実話。(白)
2008年/日本/カラー/118分/
配給:ムービーアイ
川嶋あいさんのドキュメンタリー映画『最後の言葉』については本誌66号に掲載されています。
公式 HP >> http://www.8gatsu-eiga.com/
監督:ジェームズ・マンゴールド(『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』)
脚本:ハルステッド・ウェルズ、マイケル・ブランド、デレク・ハース
原作(短編より):エルモア・レナード
出演:ラッセル・クロウ(ベン・ウェイド)、クリスチャン・ベイル(ダン・エヴァンス)、ピーター・フォンダ(バイロン・マッケルロイ)、ローガン・ラーマン(ウィリアム・エヴァンス) ほか
南北戦争では優秀なスナイパーだったが、足を負傷し今は貧しい牧場主として必死に家族を養おうとしているダン・エヴァンス。しかし借金はかさみ、鉄道建設予定地となった自分の土地を追われそうになっている。ある日、強盗団のボス、ベン・ウェイドが逮捕された。刑務所のあるユマ行きの列車に乗せるため、駅まで護送しなければならないが、ベンの手下たちがボスを奪還しようと襲ってくることが予想される。この危険な仕事をダンは金のために引き受ける。ベンの手下たちをかわしつつ、過酷な乾いた大地で様々なトラブルに巻き込まれながら進むうちに、ダンとベンには不思議な絆のようなものが芽生え始める。
これ以前に西部劇の公開作品を観たのはいつだったでしょう? 全く思い出せません。最近のハリウッドでは西部劇は当たらないと言われてぜんぜん作られていませんが、このマンゴールド監督は大の西部劇好き。メジャー各社に断られ続けた企画を自身のプロダクションで執念で完成させたそうです。1957年の『決断の3時10分』(デルマー・デイヴィス監督、グレン・フォード主演)のリメイクで、ストーリーラインはシンプルですが、善とも悪とも言い難い登場人物の複雑な感情が絡み合い、ぶつかり合う様が、非常に見応えがあります。ラッセル・クロウとクリスチャン・ベイルの2人が互いに一歩も譲らぬ演技対決を見せてくれます。ダン・エヴァンスの息子・ウィリアム・エヴァンスを演じるのは『幸せのセラピー』にも出演していたローガン・ラーマン。いい目をしています。
その場の損得勘定ではなく、人としての誇りを守り抜く美しさが、昨今の世に最も足らないものではないかと、問いかけられているようです。(梅)
2007年/アメリカ/カラー/122分/スコープサイズ/DTS
提供:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
配給:シナジー
宣伝:フリーマン・オフィス
公式 HP >> http://www.310-k.jp/

監督: ラッセ・ハルストレム
製作:リチャード・ギア、ビル・ジョンソン
脚本:スティーヴン・P・リンゼイ
撮影:ロン・フォーチュナト
編集:クリスティーナ・ボーデン
音楽:ジャン・A・P・カズマレック
出演:リチャード・ギア(パーカー・ウィルソン)、ジョーン・アレン(ケイト)、ケイリー=ヒロユキ・タガワ(ケン)、サラ・ローラー(アンディ)、ジェイソン・アレクサンダー(駅員)、エリック・アヴァリ(ホットドッグ屋)ほか
ベッドリッジ駅、午後5時。駅にはいつも君が待っていた。
日本からアメリカに送られた秋田犬の子、宛名札がなくなって迷子になってしまった。偶然出会ったパーカー・ウィルソン教授は見過ごすことができず、こっそりと連れ帰る。案の上妻の反対にあうが、子犬は家族の一員となった。首輪についていたのは漢字の「八」。日本人の友人に説明をうけたパーカーはそのまま、子犬の名前とする。ハチはパーカーの愛情を受けて成長し、毎日駅までパーカーの送り迎えをするようになった。毎日5時になると駅に到着する電車、パーカーが降りてくるのを待つハチの姿は近隣の人々を和ませていた。そんな日々が永遠に続くと思われたが・・・。

渋谷駅前のハチ公の銅像と、その背景にあるエピソードは知らない人がないくらい有名でしょう。1987年に神山征二郎監督・進藤兼人脚本で映画化され大ヒット。今度はアメリカに舞台を移し、やはり大学教授と愛犬の物語として蘇りました。前の作品も観ているので、1人と1匹の行く末もわかっているのですが、別れが近づくのにハラハラし、毎日毎日駅に主人を迎えにくるハチにやっぱり泣けました。子犬の時代から老いていくまでを何頭もの犬が演じていますが、人間に劣らない名優ばかりです。
我が家でも犬や猫といっしょに暮らした日々があり、懐かしく思い出しました。どんなにダメな飼い主でも信じていてくれた気がしています。こんな絆を人間同士が持つのが難しいのは、余計なものがありすぎるからでしょうか。こういう映画を観るとむしょうに動物と暮らしたくなりますね。(白)
2008年/アメリカ/カラー/98分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
提供:フジテレビジョン、松竹
配給:松竹
公式 HP >> http://www.hachi-movie.jp/
監督:小沼雄一
原作:小谷野敦「童貞放浪記」(幻冬舎文庫刊)
脚本:石垣直哉、安立紳
脚色:前田司郎(五反田団)
出演:山本浩司(金井淳)、神楽坂恵(北島萌)、堀部圭亮(山口)、古舘寛治(黒瀬)、松井周(本村)、内田慈(朝原)、木野花(淳の母)、志賀廣太郎(犀藤)
© SEIWA FILMS
東大大学院出身の金井淳はある大学の専任講師となった。講義で男女の機微を語りながら、30歳の今も童貞である。女性に興味がないわけでなく、まっとうな意欲はあるもののチャンスに恵まれなかったのだ。酒癖の悪い先輩にからまれ、ストレス解消に風俗店に行ってみたものの不完全燃焼。出張先で院の後輩北島萌に出あった淳は、以後たびたび連絡をとるようになり、今までにない心のトキメキを覚える。初めて感じるこれが「恋」というものなのか?
誰にでもまあ初めてのときはあるわけで、それが遅いか早いかの差だけ。女子と男子は違う感覚ではと想像するのですが、この作品の金井淳くんはまじめでいじらしいほどです。初めて恋心を覚えた後輩北島萌は、すでに経験者で妻子ある男性を追って、外国へ留学しようとしている行動派。先輩の金井をむげにもできず、なんとなくいい感じまでいくのです。この北島萌役はグラビアアイドルから女優に転身した神楽坂恵さん。名前のように恵まれた肢体を見せて堂々の脱ぎっぷりです。山本浩司さんは『ばかのハコ船』以来注目している俳優さん。なんだか母親になった気分で見守ってしまいました。脇も濃い面々がかためて、おかしい中にこんな人いそうだと現実味あります。(白)
2009年/日本/カラー/98分/HD
配給:アルゴ・ピクチャーズ
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http://blog.livedoor.jp/dotei_horoki/
公式 HP >> http://www.doteihoroki.com/
監督:ジャン=ポール・ジョー
音楽:ガブリエル・ヤレド(『アズールとアスマール』、『イングリッシュ・ペイシェント』)
出演:エドゥアール・ショーレ、ぺリコ・ルガッス他
老人が2人、木陰でたたずんでいる。4人の子どもたちが手作りのブリオッシュを売りに来る。老人が問う。「オーガニックって?」 一瞬ためらって男の子が答える。「自然のまま!」
フランス南部アルルにも近いバルジャック村。村長エドゥアール・ショーレは全ての学校給食と高齢者の宅配給食をオーガニックにするという試みに挑戦する。農薬や化学肥料、食品添加物による食物汚染から、子どもたちの未来を取戻そうとする村ぐるみの運動を1年にわたり追ったドキュメンタリー。

のどかで風情のある家並み、一面のひまわり畑や、赤い花の絨毯・・・ 絵のように美しい映像とはうらはらに、語られるのは農薬や添加物の恐ろしさ。村の近くにある世界遺産ポン・デュ・ガールは、ローマ時代に作られた水道橋。ここで子どもたちは先生から水の大切さを教えてもらう。畑では皆で有機農法による野菜作り。うらやましい教育の現場にため息がでました。原題Nos enfants nous accuserontは、「子どもたちは私たちを告発するでしょう」という意味。この村のような教育を受ければ。食の安全を考えない社会に子どもたちはきっと疑問を持つでしょう。
さて、映画を観終わって、食べるものに関してあまりに無頓着な我を反省。毎日、毒をずいぶん摂取しています。できることから変えていかなければ・・・と真剣に思う日々です。(咲)
2008年/フランス/35mm/カラー/ドルビー/112分
配給・宣伝:アップリンク
特別記事 『未来の食卓』ジャン=ポール・ジョー監督 来日記者会見もご覧下さい
公式 HP >> http://www.uplink.co.jp/shokutaku/
監督・撮影・編集:松林要樹
編集:辻井潔
プロデューサー:安岡卓治
©2009 Yojyu Matsubayashi
-あなたには いま 伝えておきたい-
太平洋戦争中、日本はビルマ侵攻作戦に着手した。連合国から中国国民政府へと送られる物資の輸送路を断つためであった。緒戦は圧勝したものの、ミッドウェー海戦で大敗を喫してから戦況は大きく変わった。泰緬鉄道の建設でおびただしい数の犠牲者を出し、さらにインパール作戦での悲惨な逃避行により33万人の将兵のうち、19万人が亡くなってしまった。
タイ・ビルマ国境付近で終戦を迎えたのち、祖国日本に帰らずその土地に残った「未帰還兵」がいた。このドキュメンタリーは、2005年から3年間の取材で、彼らのもうひとつの戦後史をとらえたものである。
日本映画学校の創設者である今井昌平監督は「未帰還兵を追って」(1971年)、「無法松故郷に帰る」(1973年)という2本のドキュメンタリーを撮っています。松林監督は映画学校在学中にこの作品を観、その中に登場した未帰還兵を訪ね、その3人が『花と兵隊』にも登場しています。
なぜ残られたのかという問いに、それぞれの心のうちを搾り出すように、当時の記憶を話す人がいます。戦争を知らない若者に向かい、辛い話ができるまでに長い時間がかかっただろうと想像します。知る人が語らなければ、私たちは知るすべがなく、戦後60何年もたてば次第に語る人もいなくなってしまいます。この映画の6人のうち2人が鬼籍に入られました。
土地に根付いた方々が現地の女性と結婚し、今も仲睦まじいようすであること、笑顔の良いことに気持ちがやわらぎました。(白)
2008年/日本/カラー/106分/DVCAM/日本語・ビルマ語・タイ語
配給:安岡フィルムズ
配給協力:東風、KAWASAKIアーツ
公式 HP >> http://www.hanatoheitai.jp/
監督・脚本:マーク・ハーマン
撮影監督:ブノワ・ドゥローム
音楽:ジェームズ・ホーナー
原作:ジョン・ボイン「縞模様のパジャマの少年」岩波書店刊
出演:エイサ・バターフィールド(ブルーノ)、ジャック・スキャンロン(シュムエル)、デヴィッド・シューリス(父)、ヴェラ・ファーミガ(母)、アンバー・ビーティ(グレーテル)、リチャード・ジョンソン(祖父)、シーラ・ハンコック(祖母)、ルパート・フレンド(コトラー中尉)、デヴィッド・ヘイマン(パヴェル)ほか
© 2009 WALT DISNEY STUDIOS MOTION PICTURES, JAPAN. ALL RIGHTS RESERVED
第2次世界大戦下のベルリン。8歳の少年ブルーノは、ナチスの将校である父の昇進で大好きな市内の家から、遠くの田舎に引越すことになった。父の仕事がどんなものなのか少しも知らなかったが、家での父は優しくて威厳があり、ブルーノは心から尊敬していた。街から離れたくはなかったが、父の言うことは絶対で、早く元に戻れるように願うばかりだ。
仲良しの友達と別れて着いた新しい家。近所には店どころか家1軒さえなく、殺風景でなんだかいやな感じのするところだった。母は家の囲いから外へ出ることを許さず、姉のグレーテルとブルーノのために毎週家庭教師がくることになった。遊び相手のいないブルーノは、窓から見えた農場らしきところを探検してみることにした。友達になれそうな子どもがいるかもしれない。森を抜けてフェンスまでたどりつくと、そこには縞のパジャマを着た少年シュムエルがいた。ブルーノは同い年の友達を見つけて嬉しくてたまらない。誰にも知られないように、フェンス越しにシュムエルと話すのが日課になった。
何ヶ国語にも訳され、ベストセラーとなった同名の小説が原作です。ホロコーストの渦中にいながら理解できない子どもの視線から書かれています。父が国家のために誰もできない仕事をしていると信じ、収容所の縞の制服をパジャマだと思います。ユダヤ人のシュムエルも家族ばらばらにされ、辛い目にあっているのですが具体的に何が起こっているのか理解できません。歴史を知っている私たちは、ブルーノとシュムエルをはらはらしながら見守ることになります。モデルであろうアウシュビッツ収容所の監視は厳しく、こんな交流はとてもできなかったと思います。しかし、無垢な子どもを中心にしたこの設定は、体験していないことを書く上で必要だったと原作のジョン・ボイン。知らないうちに渦に飲み込まれ、声も上げられなかった人々が、シュムエルやブルーノとして登場するのです。
子役はそれぞれオーディションで選ばれ、ベテラン俳優陣が回りの大人たちを演じます。父親役のデヴィッド・シューリスは「ハリー・ポッター」のルーピン先生でした。収容所の所長が自分の子供たちに送った愛情あふれる手紙を読んで、役作りの参考にしたそうです。メガホンをとったのは『ブラス!』のマーク・ハーマン監督。胸に刻まれる1本です。(白)
2008/アメリカ、イギリス、/1時間35分/ビスタ/字幕翻訳:菊地浩司
配給:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
公式 HP >> http://www.movies.co.jp/pyjamas/
監督:沖田修一
原作:西村淳「面白南極料理人」「面白南極料理人 笑う食卓」(新潮文庫刊)
脚本:沖田修一
撮影:芦澤明子
美術:安宅紀史
フードスタイリスト:飯島奈美、樽谷孝子
音楽:阿部義晴 主題歌:ユニコーン
VFX:小田一生
照明:豊見山明長
出演:堺雅人(西村淳/調理担当)、生瀬勝久(本さん/雪氷学者)、きたろう(タイチョー/気象学者)、高良健吾(兄やん/雪氷サポート)、豊原功補(ドクター/医療担当)、西田尚美(西村の妻・みゆき)、古舘寛治 小浜正寛(主任/車両担当)、黒田大輔(盆/通信担当)、小浜正寛(平さん/大気学者)、小野花梨(西村の娘・友花)、小出早織(KDD清水さん)、嶋田久作(船長)ほか
1997年南極。ここは昭和基地から約1000キロ離れた南極ドームふじ基地。氷点下54度の超極寒地。ペンギン、アザラシはおろか、ウィルスさえ生存できないこの地で、8人の南極観測隊員たちが、約1年半の間、共同生活を送る。この映画の主人公・西村は海上保安庁から派遣された調理担当。隊員の為、毎日料理を作るのが仕事。南極観測の悪戦苦闘の中で、手間ひまかけて作った彼の料理を、8人全員がそろって食べる。その瞬間に、みんなの顔がほころぶ・・・それが西村には何にもかえがたく嬉しいことだった。

こうやってパソコンを打ちながらも、私の口元はにんまりと笑っている、いろんな場面を思い出しながら。ちょっと固くなった心を、マッサージされたような気持ちよさがこの極地映画には流れている。一応、私も主婦だから料理は避けて通れないが、1年半も毎日3度3度・・・いやだぁ~、絶対! 原作者の西村さん、辛かっただろうな。たまには外食・店屋物にしたかっただろうな、無理だけど。
ところでこの作品を観て2002年山崎努主演、崔洋一監督『刑務所の中』を思い出した。さぁ、そこで、究極の選択だ。1年半南極に行き、限られた食材で暮らすか、刑務所で1年半、カロリー計算しつくされた料理で暮らすか・・・どっちにする? どっちも、国の税金料理には変わりないけど、私は年中ダイエット宣言してるから、刑務所かな。
話しが変な方向にそれてしまった、ごめんなさい。はっきり言って、自腹で1800円出しても惜しくないし、太っ腹なあなたなら、パンフレットも買うに違いない作品。それに小学生高学年のお子様なら十分楽しめる。
目にも美味しそうな料理で、むっさい男たちを手なずけた? 堺雅人。今度は秋公開の『クヒオ大佐』で女たちをどう騙すのか、今から楽しみ・・・。
追加:面白いはず!『このすばらしきせかい』の監督さんだった。1977年愛知県生まれ・・・いま32歳? スゴイの一言。(美)
2008年/日本/カラー/125分/アメリカンビスタ/DTSステレオ
配給:テアトル
公式 HP >> http://nankyoku-ryori.com/
監督・脚本:ジョー・マー
原作:篠原とおる
撮影監督:ジョー・チャン
アクション監督:ウォン・ワイファイ
主題歌:中村中「怨み節」
出演:水野美紀(松島ナミ)、ディラン・クォ(ケンイチ)、ブルース・リャン(赤城)、サム・リー(チョンロン)、エメ・ウォン(セイコ)、ラム・シュ(所長)、夏目ナナ(エリカ)、サイモン・ヤム(老人)、石橋凌(ジョンオー)、ペギー・ツァン(サヨ)ほか
©2009篠原とおる/アートポート
― 恨みも、愛 ―
恋人の警察官ケンイチとの結婚を間近にひかえたナミは、幸せの真っ只中にあった。ケンイチの父ナカイ教授と妹の訪問を待ちかねていたときに、赤城をボスとした暗殺集団に襲われる。彼らの目的はナカイ教授だったが、ナミを脅して教授と妹を殺させる。凶悪殺人犯として女子刑務所に収監されたナミは、所長のセクハラと女囚たちの激しいリンチに遭う。面会に訪れたケンイチに罵倒され、絶望するナミは自分を陥れた赤城たちへ復讐を誓い、なんとしても生き抜く決意をする。
梶芽衣子主演のオリジナルは今も強烈な印象を残していますが、水野美紀主演でのリメイク。香港のスタッフ、キャストを加えてアクションの見せ場の多い作品となりました。水野美紀は、『ハードリベンジ・ミリー』で愛する家族を惨殺され、鍛錬の末復讐を遂げる女性を熱演していました。今回も痛そうなシーンが多く、満身創痍だったのではないでしょうか?そんな彼女の頑張りが花開いたかというと、なんだかばらけた印象のストーリーで、もったいないです。ジョー・マー監督といえばラブ・ストーリーが浮かぶのですが、陰惨な話は向いてなかったのかな。ブルース・リャンを敵に回してどうするのだ??とどきどきしたら、そ、それですかい・・・監督ぅ~~。劇場でご確認を。中村中さんの主題歌すごすぎ。(白)
主人公と対立する女囚エリカ役の夏目ナナさんの闘志むきだしの顔が印象に残った。猟奇的な印象ばかり強くて、情の深さや哀しさが伝わってこない。そういうものの表現は目指していないのか? でも最後の中村中さんの「恨み節」はどっぷりねっとり情の世界。(梅)
2008年/香港・日本/カラー/113分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給・宣伝:アートポート
監督:スティーヴン・ソマーズ
脚本:スチュアート・ビーティー、デヴィッド・エリオット、ポール・ラヴェット
撮影:ミッチェル・アムンドセン
音楽:アラン・シルヴェストリ
出演: チャニング・テイタム(デューク)、レイチェル・ニコルズ(スカーレット)、マーロン・ウェイアンズ(リップコード)、シエナ・ミラー(バロネス/アナ)、レイ・パーク(スネーク・アイズ)、イ・ビョンホン(ストームシャドー)、ジョセフ・ゴードン=レヴィット(コブラコマンダー)、アドウェール・アキノエ=アグバエ(ヘビー・デューティ)、クリストファー・エクルストン(マッカラン)、サイード・タグマウイ(ブレイカー)、デニス・クエイド(ホーク将軍)、ジョナサン・プライス(大統領)ほか
©2009 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
軍隊でナノマイトの輸送にあたっていたデュークとリップコードは最新兵器を手にした闇の組織に襲われる。黒髪をなびかせた女性をみてデュークは胸をつかれる。かつて婚約していたアナは、いまやバロネスと名乗り、世界征服を企む悪の組織"コブラ"の一員となっていたからだ。ナノマイトを奪還するためアメリカ政府は "G.I.ジョー"を送り込むことにした。それは各国の精鋭を集めて組織した史上最強の国際機密部隊、デュークとリップコードも参加する。G.I.ジョーはコブラへの切り札と成り得るのか。エジプト、パリ、東京など世界の都市で壮絶なバトルを繰り広げる。
アメリカの男の子たちが夢中になって遊んだ戦闘フィギュアが「G.I.ジョー」。この映画では1人をさすのでなく、訓練を受け特殊な戦闘スーツに身を包んだエキスパートチームをいう。世界中から集められた戦闘員なのでキャラは豊富。お気に入りができるでしょう。黒尽くめのスネークアイズのライバルとして登場する敵側コブラのストームシャドーは、ハリウッド大作に初出演となったイ・ビョンホン。アジア人ということからか、武器は刀・手裏剣。こちらは全身白装束なので、なんだか正義側に見えてしまいます。27日に行われた「東京アーバンドックららぽーと豊洲」でのジャパン・プレミアには監督を始め、主要な出演者が登場しましたが、誰よりも大きな歓声を浴びていたのがこのイ・ビョンホン。詳しくは公式ブログへ。
既出の『ターミネーター4』『スター・トレック』『トランスフォーマー』などとCGの戦闘シーンがかぶりますが、出だしからクライマックスのような派手さで、2本分観た感じがしたほど濃い映画でした。(白)
2009/アメリカ/カラー/113分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:パラマウント
公式 HP >> http://www.gi-j.jp/
監督・脚本・美術:イジー・バルタ
屋根裏の古いトランクの中には、忘れられた人形たちが暮らしている。ポムネンカは帽子の好きな青い目の女の子。ぬいぐるみのクマのムハ、粘土とガラクタでできている妖精シュブルト、操り人形のクラソンは正義の騎士だ。
朝ごはんを食べてみんなが仕事に出かけたあと、お掃除を始めたポムネンカをじっと見ている怪しい目玉。屋根裏の果てに住む悪の帝王フラヴァは、可愛いポムネンカをさらっていってしまった。仲間たちは彼女を助けるために知恵と勇気をふりしぼる。


チェコの長編人形アニメ。イジー・バルタ監督は1948年生まれ。1978年からイジー・トルンカ・スタジオで製作に従事。1993年から自身も卒業したプラハ工芸美術大学、映画テレビグラフィック学科の学科長に就任しています。チェコアニメの巨匠。23年ぶりのこの新作は、「観る人の想像力と思考力」を刺激するアニメーション。気が遠くなるような手間ひまをかけてできあがった作品です。ほこりと思い出のつもる屋根裏の世界で、人形達が自在に動く様子をお楽しみください。「ポムネンカ」とはチェコ語で「思い出」という意味だそうです。日本語吹替え版ではポムネンカを貫地谷しほり、フラヴァを佐野史郎。(白)
2009/日本、チェコ、スロヴァキア/カラー/75分/ビスタサイズ/
配給:アットアームズ
宣伝:東風
公式 HP >> http://a-a-agallery.org/intheattic/
監督:クリス・ウィリアムズ/バイロン・ハワード
製作:クラーク・スペンサー
製作総指揮:ジョン・ラセター
脚本:ダン・フォゲルマン/クリス・ウィリアムズ
音楽:ジョン・パウエル
声の出演:ジョン・トラヴォルタ(ボルト)、マイリー・サイラス(ペニー)、スージー・エスマン(ミトン)、マーク・ウォルトン(ライノ)マルコム・マクダウェル(ドクター・キャリコ)、ジャームス・リプトン(ディレクター)、グレッグ・ジャーマン(マネージャー)
― ずっと家族だって、信じてる ―
ペニーは動物保護施設で白い子犬と出会い、ボルトと刻まれた首輪をかける。5年後、たくましくなったボルトと、ペニーはドクター・キャリコ率いる悪の組織と戦っている。ペニーの父親が改良したスーパー・パワー犬ボルトの使命は、ペニーを命がけで守ることなのだ!…とはテレビドラマの中のお話。ボルトはスタジオのセットの中だけで育てられ、それが全部本物だと思いこんでいる。ボルトの本気が迫真の演技となり視聴率を上げているので、スタッフはボルトに気づかれないように必死だ。しかし、手違いでボルトの入った箱がハリウッドからニューヨークへ発送されてしまった。箱から出たボルトは、一刻も早くペニーの元へ帰ろうとするが、いつものスーパー・パワーが少しも発揮できない。ニューヨークの野良ネコ、ミトンを道案内に捕まえ、ドラマ大好きのハムスターのライノも加わって、3匹の珍道中が始まる。

ドラマの中がほんとの世界と信じていたボルトが、現実世界に放り出されておきる珍事件。いちずなボルトが自分の勘違いに少しずつ納得していくのが、なんとも切ないです。ひねくれネコのミトン、妄想系ハムスターのライノ、ときどき顔を出すハトたちのキャラクターがくっきりしておかしさ満点。ボルトは真実を知ったあとでも、ペニーの愛情だけは疑いません。
このところ犬が主人公の映画が多いのですが、この「主人に忠実、純情」というところが今の世に渇望されているのでしょうか?? ともあれ、ピクサーから数々の作品を送り出したジョン・ラセターがディズニーで作った最初の作品です。3匹と一緒に大陸横断の旅へ出かけましょう。お子様と一緒に大人も楽しめる夏休みにぴ~ったりの映画。(白)
2008年/日本/カラー/1時間36分/ビスタサイズ/ドルビーSRD-EX
配給:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
宣伝:リベロ、アンリミテド
公式 HP >> http://www.disney.co.jp/movies/bolt/
監督・製作:ベニー・チャン
脚本:ベニー・チャン、アラン・ユエン
原作:ニューライン・シネマ映画『セルラー』
原案:ラリー・コーエン
撮影:アンソニー・プン(HKSC)
出演:ルイス・クー(アバン)、バービー・スー(グレイス)、ニック・チョン(ファイ刑事)、リウ・イエ(誘拐犯)、エディ・チョン、ルイス・ファン
©2008 Emperor Motion Picture(International)Limited, Warner China Film HG Corporation & BNJ Armor Entertainment Limited. All Rights Reserved.
ロボット設計士のグレイスは夫に先立たれ、娘ティンティンと2人暮し。ティンティンを学校へ送った帰りに黒尽くめの一団に突然拉致されてしまう。理由もわからずパニックになるグレイスは娘を守るために、閉じ込められた小屋の壊れた電話を修復して、外への連絡を試みる。
一方アボンは妻に逃げられ、息子ギットを心のよりどころにしている。もうすぐ離れ離れになるので見送りのために、空港へ急いでいた。アボンの携帯にグレイスからの必死の電話が偶然につながる。涙ながらの訴えはいたずらとは思えなかった。切ったら2度とつながらないかもしれない、と訴えるグレイス。交通警官のファイを見つけて、後を託したいアボンだったがうまくいかない。一味の目をかすめてのグレイスの連絡はしばしば止まり、アボンは携帯が切れないように奔走しつつ、彼女を救う算段とギットとの約束を果たす方法を考えねばならなかった。
ノンストップアクション、ノンストップ携帯のこの作品。あれよあれよというまに、主演の2人と一緒に事件にまきこまれて行きます。ベニー・チャン監督作品ですから筋はしっかり、アクションもカーチェイスもてんこ盛り、親子の情愛も描いて1分たりと目が離せない展開です。アイドルだったバービー・スーもまだ若い印象でしたが、この作品のように子どもがいてもおかしくない年齢。ルイス・クーはデビュー当時のTVドラマも見ているので、すっかり精悍になった外見ばかりでなく、幅広い役柄ができるようになっていること、人気俳優の地位も確立していることに感慨しきりです。ベニー・チャン監督とはコミカルな作品『プロジェクトBB』についで2本目。かなり情けないシングルファーザーのアボンが、グレイスを救おうと奮闘、息子の信頼を取り戻そうと必死になる姿を熱演しています。『一個好爸爸(監督:張艾嘉)』では、香港電影金像奨主演男優賞に初ノミネートされました。受賞したのはこの作品で熱血警官を演じているでニック・チョン(『証人』ダンテ・ラム監督/日本未公開)。彼もとてもいい俳優さんになりました。リウ・イエの切れっぷり、ルイス・ファンのアクションもみどころです。(白)
香港映画初のハリウッドリメイク作品(『セルラー』)ということで、香港でも公開当時話題になりました。『セルラー』の舞台は海辺で、どこか開放感が感じられる作品でしたが、『コネクテッド』はオール香港ロケで、香港の市街地でのカーチェイスシーンがより緊迫感を演出しています。1本の電話を取ってしまったがために、様々な災難に巻き込まれる主人公アボン。子供に「パパはいつも約束を守らない」といわれている彼が、この災難を乗り越えた時に得るものは何か? …感動しました。アボン演じるルイス・クーは男性的な役を演じることが多かったのですが、この作品ではハンサムな顔をメガネで隠し、気弱なシングルファーザーを熱演しています。グレイス役のバービー・スーも初めての母親役ということで、この主役2人が今までのイメージとは違う役を好演した上、脇役陣の存在感などによって、携帯電話という現代ではポピュラーとなった電子機器を題材としながらも、人情味のあるアナログ的な人間ドラマにもなっていると思います。そしてスリリングなシーン連続の中で、笑いを担当した携帯電話店の店員を演じた王祖藍は、香港ではチャウ・シンチーの跡を継ぐといわれている俳優だそうです。(裕)
2008年/香港・中国/カラー/110分/シネマスコープ/字幕翻訳:税田春介
配給:ブロードメディア・スタジオ
宣伝:アルシネテラン
公式 HP >> http://www.connected-movie.jp/
監督・脚本:エルマンノ・オルミ
製作: ロベルト・チクット、ルイジ・ムジーニ
撮影:ファビオ・オルミ
音楽:ファビオ・ヴァッキ
出演:ラズ・デガン、ルーナ・ベンダンディ、アミナ・シエド、ミケーレ・ザッタラ
Copyright© 2009 Crest International Inc. All rights reserved. (C) 2006 cinema11unidici-Rai Cinema
夏期休暇に入ったばかりのボローニャの大学で、貴重な神学書の手稿写本が太い釘で打ち抜かれる。発見した守衛は卒倒しそうになりながら、警察へ連絡する。容疑者として浮かび上がったのは将来を嘱望されていた若い哲学教授。彼は近く国際舞台で論文を発表することになっていたが、前日の授業を最後に姿を消していた。
彼は車であてもなく走り、わずかな品を残してジャケットも財布もポー川へ投げ捨てる。車も乗り捨てて、川べりの朽ちた小屋を住みかに定める。近くに住む村人たちは彼に興味を持ち、その風貌から親しみを込めて「キリストさん」と呼ぶようになる。
原題は「百本の釘」。冒頭でおびただしい古文書が磔のように釘で打ち抜かれています。イエス・キリストが十字架に止められたような太い釘です。この図書館のシーンで『天使と悪魔』を思い出しました。この象徴的な行為の後、哲学教授としての日々を捨てた彼は名もない1人の男となります。自然に集まってきた村の人々に請われるまま、聖書の一節を語るシーンがとても良くて、人々の声を聞き、癒し、福音を説いて歩いたキリストはこんなだったかもと思わせます。村に溶け込んで新しい人生を始めてまもなく、意外なところからまた世俗に関わることになってしまいます。牧歌的な風景と、彼を待ちながら村の人々がともす蝋燭の光が美しいです。主演のラズ・デガンは、CMから人気が出た人だそうでなかなか素敵。エルマンノ・オルミ監督はこれが最後の長編作品と公言しているそうで、撮影を息子が、製作総指揮を娘がそれぞれつとめています。(白)
2006年/イタリア/94分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:クレストインターナショナル
公式 HP >> http://po-gawa.net/

監督:ジェレミー・ゴッシュ
出演:ウェイン・ラビット・バーソロミュー、マーク・リチャーズ、ショーン・トムソン、ピーター・タウネンド、トム・カレン、ケリー・スレーター、ドリュー・カンピオン、エディ・ロスマン、フレッド・ヘミングス、ロブ・マチャド
ナレーション:エドワード・ノートン
— 1975年、たった6人の若者が、世界の波を変えた −
1970年代前半、ハワイ・オアフ島ノースショアはすでにサーフィンのメッカとして世界中のサーファーの憧れの地として名を馳せていた。当時、ノースショアを率いていたのは地元ハワイのサーファーたち。彼らにとってスポーツとしてのサーフィン以上に、波を神聖視した一種宗教にも通じるものだった。1974年、南アフリカとオーストラリアから夢を求めてやってきた6人の若者たちが、サーフィン界に革命を起こす。果敢にラディカルな波に挑む姿がサーフィン雑誌の表紙を飾り、もてはやされるようになる。よそ者たちがプロのサーファーを目指すのを疎んじた地元ハワイのサーファーたちは、自警集団「ブラックショーツ」を結成する。長い間表沙汰にされなかった抗争事件が、当事者の口から明らかにされる・・・
ちなみに、「BUSTIN' DOWN THE DOOR」とは、ウェイン・ラビット・バーソロミューがオーストラリアの雑誌に書いたコラムの題名で、「ドアをブチ破れ!」さらに、「逮捕してやる!」というニュアンスも含むものである。温厚なハワイアンたちが怒るのも無理はない?
今や一大スポーツとして華やかな世界を築いているサーフィン。本作は、初めてプロのサーファーを目指した男たちが自らの青春時代を語るドキュメンタリー。当時の彼らの姿を、サーフ映画のバイブル『FREE RIDE』など70年代サーフムービーの数々の映像で見せてくれる。それから30数年を経て過去を語る彼らは皆、とても魅力的だ。私にとってサーフィンは、茅ヶ崎に住んでいた高校時代の親友から、「人気のない早朝にこっそり楽しんでるの」と聞かされていただけで自分には無縁のものだけれど、このドキュメンタリーには、ぐいぐい惹かれた。男たちの語り口は物静かで、大きな事を成し遂げた気負いは感じられない。苦難を越え、信念を貫いて道を切り開くことの素晴らしさをじわじわと感じさせてもらった。(咲)
2008年/アメリカ/96分/カラー/ビスタサイズ
提供・配給:キングレコード/ビーチカルチャー
宣伝:アップリンク
公式 HP >> http://www.bustindownthedoor.jp/
演出:伊勢真一
撮影:石倉隆二、世良隆浩
出演:小児がんと闘う仲間たち
1999年から10年来、伊勢監督は、小児がんの子どもたちと医師たちの病気との闘いと、彼らが毎年行ってきたサマーキャンプの様子を撮り続けてきました。小児がんはもう不治の病ではありません。8割は完治できるといいます。それでもその治療は難しく、患者にとってつらくて苦しいものであることに変わりはありません。社会的偏見・差別もあるし、本人も大きな病気をしたことで他の人たちと同じように暮らしていけるのか不安を抱えています。何より幼くして死と直面するつらい体験は経験したものでなければわからない部分が沢山あります。
サマーキャンプは、聖路加国際病院小児科の細谷先生たちが中心となって始められました。現在病気と闘う子どもたちや、かつて闘って克服した子どもたち、そして医師や看護師たちが全国から集まって海や山でキャンプをします。そこでは学校の友達や家族にさえも伝えにくい悩みや不安を、何の前置きもなく話すことができます。みんな心底楽しそうな顔をしているのが印象的です。友となって別れのときにかわされる「来年もまた会いましょう」という言葉の重さは、普段使われるよりもずっとずっと重いのです。
自分の受けた痛みや苦しみを力に変えて、人の痛みを深く思いやり、人を助ける仕事がしたいと語る子どもたちがいます。病気を克服し、大人になって、「看護師になりたい」「お母さんになりたい」という夢を実現した子どもたちがいます。10年という長い歳月を地道に撮り続けたことによってカメラがとらえられた「希望」。ささやかに、光り輝き、観るものを照らします。(梅)

2009年/日本/カラー/105分
企画:スマートムンストン
製作:いせFILM、スマートムンストン関連映画製作委員会
いせFILM HP >> http://www2.odn.ne.jp/ise-film/
監督:竹中直人
企画:中沢敏明
出演:成海璃子、AKIRA、マイコ、竹中直人、沢村一樹
竹中直人の無謀ならぬ野望がついに実現!
笑撃度200%超えの山形発絶叫エンタメムービーで世界を震撼させる!
夏休み、都立紅女子高校の歴史研究会の美香代(成海璃子)たち一行は、顧問の勝海子先生(マイコ)の発案で平家の落ち武者の里として知られる山形県・御釈ヶ部村に研究旅行へ。折しも町興しイベントで落ち武者の霊が眠る祠が掘り起こされ、落ち武者たちが復活してしまい、次々に村人たちを襲い始める。しかも、美香代は侍頭・忠経(沢村一樹)が生前愛していた官女・光笛にそっくりだった為に、惚れられて連れ去られてしまう。美香代を奪回しようとする女子高生や村の床屋・三太郎(AKIRA)と落ち武者ゾンビとの壮絶なバトルが始まる・・・

まさにドタバタのホラーコメディ。ゾンビになってしまった村人たちの中腰で歩く姿や、由紀さおり演じる銀髪の老美女の歌う「やめてけ〜れ ゲバゲバ♪」などが脳裏から離れません・・・ 昭和30年生まれには、ほんと、突飛な才能を持っている方が多いですね。(咲)
2008年/日本/116分/カラー
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
製作「山形スクリーム」製作委員会
特別記事 『山形スクリーム』記者会見レポート もご覧下さい
公式 HP >> http://yamagatascream.gyao.jp/
監督・脚本・プロデューサー:関口祐加(せきぐちゆか)
撮影:キム・バターファム
登場人物:関口祐加、ジョージ・ブレア=ウェスト博士(精神科医)、ゲイリー・エガー博士(肥満研究家)、ショーン・ニックリン博士(美容整形外科医)、イヴォンヌ・アレン(パートナー紹介所所長)、フィオル・ガルデリシ(スタイリスト)
―私の好物が私の敵になった―
1957年生まれ、オーストラリア在住28年の関口監督は161cm、95kgのシングルマザーである。超高齢出産で授かった一人息子と走ることがままならなくなってきた。ついに医者から「このままだと長生きできない」と宣告を受ける。一大決心をして自らをカメラの前にさらけ出し、本気でダイエットに挑戦することにした。

昨年の国際女性映画祭のクロージング作品。「とても面白かった!」と聞いていたので、観られなかった私は今回一般公開されることになって楽しみにしていました。関口監督は食べることが大好きで、屈託なく明るいチャーミングな人。自分の体型に悩んでではなく、健康のためにこのままではいかん、というのが第一。コメディタッチにしよう、との狙いどおり、自分をまな板に乗せた監督の挑戦は楽しくて思わず笑ってしまいます。その一方、セラピーの先生の質問に真摯に答え、自分の両親とのかかわり、人生の目標など心の深いところにあるものを掘り下げていく真剣な場面もちゃんとあります。息子にとっての母であり、日本にいる母親と亡くなった父の娘であり、そして一人の女性でもあることを大切にしている監督。母娘がキッチンタオルで涙を拭く場面にこちらもグッと来ました。ダイエットに関心のある方、そうでない方もぜひご覧下さい。(白)

2007年/オーストラリア/カラー/52分/DVカム
配給:パンドラ
宣伝:太秦
関口監督の初監督作『戦場の女たち』のインタビュー記事が本誌12号に掲載されています
監督:中江裕司
脚本:中江素子
撮影:高間賢治(JSC)
出演:柴本幸(ゆり子)、蔵下穂波(マジルー)、平良とみ(タンメー)、平良進(アンマーハーメー)、和田聰宏(敦)、中村優子(梨花)ほか
ゆり子が故郷の世嘉冨(ゆがふ)島に帰ってきた。島の守り神・キジムン(精霊)のマジルーは、子供のころゆり子と交わした約束を忘れずちゃんと見守っていた。ゆり子は東京での不倫の恋に疲れて、カマドおばぁと暮らした懐かしい家に戻ったのだ。若い娘が増えて青年会は大喜び、村長の息子の結婚祝いの芝居に誘う。あれよあれよというまに話が進み、当惑するゆり子の前に不倫の恋人敦が現れる。敦を追ってその妻の梨花までが島にやってきた。
沖縄の小さな島での人間と精霊の交流というファンタジックなお話と、リゾート開発にからんだ政略結婚や不倫など、人間界の騒動を描いた作品です。東京生まれの柴本幸は、島を出ていたという設定なので違和感はなく、中江監督作品に欠かせない沖縄のスターたちも総出演。キジムンの王タンメー役には平良とみ。『ホテル・ハイビスカス』の元気な女の子蔵下穂波が、三千人ものオーディションから選ばれ、マジルーを魅力たっぷりに演じています。すっかり大きくなって見違えました。
手づかみで魚を捕るシーン、さんかく山の上でゆり子とマジルーが語るシーンなど、自然を生かした見どころもたくさん。劇中劇「大琉球王国由来記」も平良夫妻の協力を得て本格的な沖縄芝居になりました。今回も沖縄方言は字幕つきです。(白)
2008年/日本/カラー/105分/ビスタサイズ/DTSステレオ
配給:オフィス・シロウズ
宣伝:グアパ・グアポ
©2009「真夏の夜の夢」パートナーズ
特別記事『真夏の夜の夢』琉球ナイトレポート もご覧下さい。
★7月25日(土)よりシネカノン有楽町二丁目・シネマート新宿ほかにて万々歳ロードショー!公式 HP >> http://www.natsu-yume.com/
監督:レオン・イチャソ
出演:マーク・アンソニー(エクトル・ラボー)、ジェニファー・ロペス(プチ)、ジョン・オルティス(ウイリー・コロン)、イスマエル・ミランダ(父)ほか
2002年、古びたスタジオでインタビューを受ける女性。ブロンクスなまりのある彼女はエクトル・ラボーの妻でありプロデューサーでもあったプチ。「エクトルはスターになるために生まれてきた…」と語り始める。
1963年、プエルトリコからニューヨークへ歌手を夢見てやってきた青年エクトルはまだ17歳だった。ラティーナの集まるナイトクラブのステージに立つようになった彼は、ジョニー・ラチェコの目に止まり、ついにファーストアルバムを出す。


エクトル・ラボーのことを全く知らずに見ました。プエルトリカンの中では知らない人がないというほど、有名なスターで、その歌声は彼の辿った波乱の人生とともにいつまでも記憶にある人なのだそうです。「エル・カンタンテ」は「歌手の中の歌手」というような意味で、エクトル自身のことを歌った彼の代表曲です。
マーク・アンソニーとジェニファー・ロペスも歌手ばかりでなく俳優としても活躍していて、夫婦でもあります。ジェニファー・ロペスが映画化を熱望して製作にあたっていますが、子犬系のマークと並ぶとなかなかの迫力です。実際の彼女もこうかも、と思ってしまいそう。(白)
2006年/アメリカ/カラー/114分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/R-15
配給:アートポート
監督・撮影:川本昭人
編集:川本昭人、小野瀬幸喜
ナレーター:岩崎 徹、谷信子、川本昭人
©2009『妻の貌』上映委員会. All Rights Reserved.
- 家族を撮ること、それが私の愛情表現です -
広島在住の川本昭人監督は長男誕生を機に手にした8ミリフィルムカメラがきっかけで、半世紀にわたって家族を撮り続けてきた。学徒動員で知り合ったキヨ子夫人は原爆症を宣告され、甲状腺がんの手術をしている。監督はキヨ子さんの日常を中心に、家族の歩みをフィルムに焼きつけてきた。キヨ子さんは自分の病気と向き合いながら、子育てをし、川本監督の母の介護を10数年続けてきた。
初めは個人の記録として撮られたものですが、戦後の一家族の歴史を観ました。今も日常に影を落としている戦争への怒りや悲しみも内に包みこみます。半世紀分のフィルム、かつて短編作品として発表したものも含めて編集したものですが、子どもたちが成長していき、奥様のキヨ子さん、寝たきりのお母様がだんだんと年を重ねていくようすが目の前にあります。膨大な記録のうちの一部分しかここには出ていないのでしょうが、親しい友人から今までの話を聞いているようで、見終わった後キヨ子さんが身近に感じられました。孫の姿に目を細めるキヨ子さんと同じく、小さい人たちの未来へ希望をつなぎたいと思いました。作中朗読される「慟哭」(大平数子)の詩も心に刺さりました。(白)
原爆で亡くなった当時新婚だった弟さんのお嫁さんからの手紙を読むキヨ子さん。そのお嫁さんもどんな人生を歩まれたのでしょう。被爆した大勢の方が、キヨ子さんと同様、家族を亡くしたり、病気に苦しみながらも静かに人生を歩んできたことを思い、戦争責任は誰も取ってくれないことをあらためて感じました。非難の声もあげずに、前向きに生きるキヨ子さんの姿を、戦争を起こす世の権力者にしっかりと見て欲しいと切に思いました。核廃絶や戦争反対を声高に語った映画ではないのに、ずっしりと反戦の思いを感じさせてくれる作品です。(咲)
2009年/日本/カラー/114分/
配給:『妻の貌』上映委員会
配給協力:KAWASAKIアーツ、東風.
川崎市アートセンターでは、川本監督の旧作上映予定あり
公式 HP >> http://www.tumanokao.com/
特別記事 『妻の貌(かお)』川本昭人監督インタビュー もご覧下さい。
監督・脚本:ヘルマ・サンダース=ブラームス
撮影:ユルゲン・ユルゲス(BVK)
アートディレクター:イシュトヴァーン・ガランボス
衣装:リッカルダ・メルテン=アイヒャー
編集:イザベル・デヴィング
音声:ヤーノシュ・ロージャ
プロジューサー:アルフレート・ヒュルマー
演奏:ダヌビア交響楽団
指揮:イシュトヴァーン・デネシュ
出演:マルティナ・ゲデック(クララ・シューマン)、パスカル・グレゴリー(ロベルト・シューマン)、マリック・ジディ(ヨハネス・ブラームス)、クララ・アイヒンガー(娘マリー)、アリーネ・アネシー(娘エリーゼ)、マリーネ・アネシー(娘オイゲニー)、サーシャ・カパロス(息子ルードヴィヒ)
ドイツ・ロマン派の音楽界に咲いた名花クララ・シューマン。
彼女は夫シューマンとブラームスの二人から愛された才気あふれる美貌の音楽家だった。この作品は、クララとシューマン夫婦の家庭に、若きブラームスが登場し、奇妙な三人の同居生活を軸に、枯渇する才能の不安、苛立ち、経済的悩み、薬物依存の恐怖、若き才能への嫉妬等を、赤裸々に描いた愛の協奏曲・・・。
映画はどうしても題名から受ける印象が強い。
この作品も、私は勝手にイメージをふくらませていた。
ひと口に言えば音楽に対して激しく、過剰さが目に付いた。
観るものに音楽の感動を、いち早く味わってもらいたい! それが全面に出て、味わう音楽が上すべりしていると感じた。
しかし、この作品の中で強烈、かつ重大な歴史(それも女性史にとって)が描かれていた。これは見逃せない。
映画監督世界は男性優位の見本のように言われているが、作曲・指揮の世界も、まだまだ女性の活躍する場が少ない職業だ。
40数年前、私の友人が東京の音大作曲・指揮科を目指し、受験前の作曲科教授のレッスンで、玄関に入ったとたん、教授から出た言葉が「なんだ、女だったのか、紹介の先生には悪いが、女はダメだ」と門前払いをくった。
クララも、シューマンの代理でオーケストラの前に立つが、シューマン大先生の奥様であろうとも、遠慮なしのブーイングの嵐だった。女に指揮される…指図されるが我慢できないのだろう。
2006年公開の『敬愛なるベートーヴェン』もそうだ。ベートーヴェンの写譜師アンナは元々作曲志望の女性だった。第九の初演の成功は、アンナが影の指揮者になり、耳の聞こえないベートーヴェンを助けていたシーンを思い出す。
クララには、シューマンに負けず劣らずの才能と持ち前の明るさがあった。彼女の立派なところは、シューマン亡き後も、クララ・シューマンとして尊厳ある(女の愛と生涯)を全うしたことだろう(美)
2008年/ドイツ・フランス・ハンガリー合作/ドルビーSRD/ビスタサイズ/109分
配給:アルバトロス・フィルム
公式 HP >> http://clara-movie.com/
監督:ウーリー・エデル
製作:ベルント・アイヒンガー
原作:シュテファン・アウスト
脚本:ベルント・アイヒンガー
撮影:ライナー・クラウスマン
出演:マルティナ・ゲデック(ウルリケ・マインホフ)、モーリッツ・ブライブトロイ(アンドレアス・バーダー)、ヨハンナ・ヴォカレク(グドルン・エンスリン)、アレクサンドラ・マリア・ララ(ペトラ・シェルム)、ブルーノ・ガンツ(ホルスト・ヘロルド)ほか
1967年6月の西ベルリン。イランのパーレビ国王訪問反対を叫ぶデモ隊と警官隊が衝突し、1人の学生が警官に射殺された。ウルリケ・マインホフは左翼系雑誌に記事を寄せるジャーナリストだったが、その事件以来反権力、反資本主義を掲げる学生運動に傾倒していく。世界中で社会運動、学生運動が急進していく中1968年、アンドレアス・バーダーとグドルン・エンスリンがベトナム戦争に抗議してデパートへ放火する。エンスリンに出会ったマインホフは、取材目的で会ったバーダーを脱走させ、共に活動家として指名手配される。メディアは彼らを「バーダー・マインホフ」グループと称したが、70年5月に正式にドイツ赤軍(RAF)を立ち上げ、武装闘争へと傾斜していく。


この作品を観てすぐ思い出すのは、若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』だろう。日本も西ドイツもほぼ同じ時代に、若者が社会に対して同じ憤りを持ち、次々と重大なテロに突き進んで行く様が目まぐるしく展開していく。ドイツ赤軍と言われる前は「バーダー・マインホフ」グループと言われていたことは、この作品を観るまで知らなかった。映画に出てくるテロでも、1972年6月にミュンヘン・オリンピック選手村で、イスラエルの選手11人がパレスチナ武装組織"黒い9月"により射殺されたこと、1977年のルフトハンザ機をハイジャックし、何日か後にパイロットが射殺されたことの記憶があるがおぼろだ。ただ、当時の西ドイツ首相がテロの要求を一切拒否したことだけが印象に残っている。
観ていて楽しい作品ではないが、いま私達の国や世界の現状を考えれば、あの時代に彼らはどうしたかったのかと振り返るには、一番良い時期だと思う。(美)
学生運動盛んなときに早々と主婦におさまっていた私は、すっかり顔つきが違って体制批判をするかつての同級生をただ見ていた。日本、ドイツの赤軍とも始まりは「世界をよりよく変えよう」だったろうに、人心が離れるほど次第に変わっていってしまう。抗議デモで射殺された学生のために立ち上がった人が、ほかの人を傷つけてしまう。理想の名の下に、線引きが変わっていく。
人が人そのものでなく、敵か味方かどうか、ただの数としてしか見なくなったら・・・? 戦う前に兵士達は徹底的にそう教え込まれる。相手の心情や家族や背景や自分と同じ人間であると思ったら、戦えない。ではなんのために戦うのか? 自分のために? 国家のために? ずっと身近にある小さないざこざや諍いはなぜ起こるのか? 考えるうちに、いや考えなくとも1日がすぎ、1年がすぎてしまう。それでも映画人がこうして蒔いてくれる種を、自分の心の中で育てたいと思う。(白)
2008/ドイツ、チェコ、フランス合作/カラー/2時間30分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給・宣伝:ムービーアイ
公式 HP >> http://baader-meinhof.jp/
監督:アンドレア・モライヨーリ
原作:カリン・フォッスム
原案・脚本:サンドロ・ペトラーリア、アンドレア・モライヨーリ
撮影:ラミロ・チビタ
音楽:テオ・テアルド
出演:トニー・セルヴィッロ(サンツィオ刑事)、ヴァレリア・ゴリーノ(キアラ・カナーリ)、オメロ・アントヌッティ(マリオの父)、ファブリツィオ・ジフーニ(コッラード・カナーリ)、ネッロ・マーシャ(アルフレード)ほか
©2007 INDIGO FILMS
— 真実は深く、そして美しく眠っている —
北イタリアの小さな村の湖のほとりで美しい少女・アンナの遺体が発見される。アンナは争った形跡もないことから顔見知りの犯行と推測された。この村に越してきたばかりの刑事、ジョバンニ・サンツィオはアンナの周辺の人々に聞き込みを開始する。
アンナを偏愛していた父親、アンナの姉、ボーイフレンド、アンナがベビーシッターをしていた障害児の両親… 捜査をするうちにどの家庭にも悩みがあり、ひとりひとりが誰にも打ち明けられない痛みを抱えていることがわかっていく。サンツィオにも若年性認知症のため、家族の記憶を失っていく妻があり、それを娘に伝えられずにいた。
始まりは「ツイン・ピークス」のように少女の遺体が見つかって、その犯人探しに刑事が活躍するのかと思いました。音楽の静かさ、画面の美しさなどに「あれ、ちょっと違う」と気づきます。少女の事件を追いながら、実は出会う人々のドラマを見せ、刑事自身が抱える問題も明るみに出します。サンツィオ刑事を演じるトニー・セルヴィッロはイタリアで一番忙しい俳優だとか。昨年の東京国際映画祭で上映された『ゴモラ』(カンヌ映画祭グランプリ)に主演していました。この作品で2度目のダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞主演男優賞を獲得しています。助演にも主演級の俳優たちが参加、イタリア映画好きは見逃せません。(白)
2007/イタリア/カラー/95分/シネマスコープ/イタリア語
配給・宣伝:アルシネテラン
公式 HP >> http://www.alcine-terran.com/lake/
監督:武正晴
脚本:金杉弘子
製作:伊藤明博 久松猛朗 佐伯寛之 久保和明 朴泰奎
プロデューサー:村田亮 谷口広樹 ホン・ミンギ
撮影監督:キム・ビョンジョン
照明:ユ・ギョンス
美術監督:チャン・スンチョプ
衣装:浜井貴子 ハ・ジン
音楽:Tatsuya
主題歌:the ARROWS「FREE AND SHIP」
出演:John Hoon(サンヒョク)、斎藤工(井坂順)、チェ・ソンミン(サンウ)、チョン・スギョン(おばさん)、キム・ウンス(ボス)、京野ことみ(編集長)、キム・ドンウク(サンジン)、チャン・ソウォン、ク・ボヌンほか
©2009「カフェ・ソウル」製作委員会
フードルポライターの井坂順は、ソウルでの取材先を探していた。たまたま街角で男性にぶつかった拍子に、相手は持っていた袋の中身をこぼしてしまう。弁償したいと後を追うと、伝統的な菓子店「牡丹堂」に入っていく。祖父の代から続くこの店を、一人で切り盛りしているサンウとわかる。寡黙でまじめなサンウの人柄と、手づくりの菓子の味に魅了され、順は取材を願い出る。代々大切に守ってきたこの店は、開発のため街のヤクザに目をつけられていた。立ち退きをせまって日参するヤクザとのいざこざから、サンウは大事な右腕を骨折してしまう。そこへ疎遠だった弟のサンヒョクが現れ、順と反発しあいながら、ともに店の再建をはかろうとするのだが。
『ボーイ・ミーツ・プサン』、『花婿は18歳』の武正晴監督がソウルロケで作り上げた作品。主人公の順が出会った牡丹堂という古い菓子店とその周りの人々とのエピソードを描いています。斎藤工が自然体。韓国語の本を見ながら単語を連発する順、その強い味方が店の裏に住んでいるというおばさん。日本人の夫と死に別れたという設定で、ややこしいところは彼女が通訳をしてくれています。
もう一人の主人公サンヒョクを演じるJohn Hoon(ジョンフン)は、歌手でもありドラマ「宮-Love in Palace-」で人気、華があって目をひきます。この出演を最後に兵役についたそうで、国民の義務とはいえこの時期とはちょっと惜しいですね。
3世代にわたる店と人々をつないだものはなんだったのか、じーんとするしめくくりでした。どの登場人物もいい味出していました。和菓子とよく似た、蒸したりこねたりの伝統的なお菓子もおいしそうです。ソウルに行ったときは食べてみたいもの。(白)
2008年/日本/カラー/94分/ビスタサイズ/ステレオ/HD/一部日本語字幕
配給:アールグレイフィルム コミュニティ・アド
公式 HP >> http://www.cafe-seoul.com/
監督:ロブ・レターマン、コンラッド・ヴァーノン
プロデューサー:リサ・スチュワート
声の出演:リース・ウィザースプーン、ヒュー・ローリー、ウィル・アーネット、セス・ローゲン、レイン・ウィルソン、スティーヴン・コルバート、キーファー・サザーランド、ポール・ラッド
声の出演(日本語吹替版): ベッキー、日村勇紀
人生で一番ハッピーなはずの結婚式当日、落下してきた隕石と接触したスーザンは、式の最中なんと15mに強大化してしまった。大混乱の中、スーザンは新種のモンスターとして政府の秘密機関に捕らえられ「ジャイノミカ」という名前までつけられる。しかもその秘密基地には長い間捕われたままのモンスターがいた。ゼラチン質で全身胃袋の"ボブ"、ゴキブリと合体したイカレタ科学者の"コックローチ博士"、 氷河から発見された半猿半魚の"ミッシング・リンク"、放射線を浴びて100mに巨大化した"ムシザウルス"。そのころアメリカに降り立ったエイリアン・ロボットと大統領の友好的な会見は決裂。軍隊も歯が立たず、モンガー将軍はモンスターたちにエイリアンと闘うことを命じる。元の生活に戻れるという条件でスーザンたちはサンフランシスコへ向かうが、ロボットはあまりにも大きく強敵だった。


『シュレック』や『マダガスカル』を製作したドリームワークスが、ヒロインが活躍するアニメーションを送り出しました。デフォルメされているのに、髪の毛や肌、髭の剃り跡までがとてもリアル。キャラクターのぷよぷよ、ぬめぬめした感じもよく出ています。技術の進歩はすごいですね。
スーザンの身長15mと言えば、奈良の大仏様の座高くらい、ビルなら4,5階の高さでしょうか。普通の女の子がそんなに大きくなったらパニックもいいところ。大きいからというだけで、エイリアンと闘うはめになってしまうスーザンは世界一不幸なヒロインかもしれませんが、ふっ切れてからの強さが半端ではありません。ボイスキャストはリース・ウィザースプーン、キーファー・サザーランドほか。なんだか容姿が似ています。(白)
2009年/ドリームワークス作品/カラー/94分/シネマスコープ/DTS SRD SDDS SR
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
公式 HP >> http://www.mon-eri.jp/
原作:三遊亭円朝
脚本:大西信行
演出:戌井市郎
美術:古賀宏一、中島正留
出演:片岡仁左衛門(伴蔵)、坂東玉三郎(お峰)、坂東三津五郎(円朝、船頭、馬子久蔵)、片岡愛之助(萩原新三郎)、中村七之助(お露)、中村壱太郎(お竹、お梅)、中村吉之丞(お米)、上村吉弥(お国)、坂東竹三郎(飯島平左衛門)、中村錦之助(宮野辺源次郎)
©松竹株式会社
飯島家の一人娘お露は、萩原新三郎に恋焦がれていたがこちらは旗本、あちらは一介の浪人、身分違いの恋は叶わない。ある晩お露と乳母のお米が、牡丹燈籠を持ち下駄の音を響かせながら新三郎のもとを訪れる。喜ぶ新三郎は部屋に迎え入れ、若い2人はようやく思いを遂げる。しかしお露は恋わずらいで亡くなり、お米は後を追って自害して果てていた。2人はすでにこの世のものではなかったのだ。
一方、娘お露を亡くした飯島平左衛門は、下女のお国を後添いにしていたが、お国は隣家の次男坊宮野辺源次郎と不義密通。あげく源次郎を養子にして家督を狙おうとしていた。気づいた平左衛門は成敗するつもりが2人がかりで返り討ちに遭う。「相続人も決まらぬうちに自分が死ねば、家は改易」と、浅慮な2人を笑って絶命する。平左衛門の死体を見た女中のお竹まで手にかけた今、お国と源次郎は有り金持って家を出るほかなかった。
お露との逢瀬のたびに衰えていく新三郎は、占い師の見立てにより亡霊退散の札を貼り、お守りを懐に入れるようになった。新三郎の家に入れなくなってしまったお露は悲しみ、乳母のお米が新三郎の手伝いをしている伴蔵のもとに「お札を剥がしてほしい」と頼みにくる。しっかりものの女房お峰は「百両持ってきたなら、と言ってみたら」と震える伴蔵に知恵をつける。
お馴染みの三遊亭円朝作「怪談 牡丹燈籠」、一昨年10月歌舞伎座公演の舞台映像です。脚本は1974年に文学座のために書き下ろしたもので、原作者の三遊亭円朝が高座にかける体裁をとっています。台詞もわかりやすくなって、それぞれの人間を深く描いており、げに幽霊よりも恐ろしいのは人間の業。
お露と新三郎の恋物語が始まりですが、話の中心は伴蔵とお峰夫婦。お露の父の後添いであるお国と隣家の源次郎との不義密通が加わり、欲深い人間たちの顛末まで描かれます。
仁左衛門、玉三郎が欲に目がくらんだ夫婦を演じ、軽妙なやりとりは息もぴったり。仁左衛門の伴蔵は小悪党ですが色気があり、お峰の玉三郎は亭主を支え、夜なべもいとわない女房の健気さ可愛さがあります。美しくはかない玉三郎ばかり見てきましたが、こんなにコメディセンスもある人だとは目から鱗でした。三津五郎が円朝として聞かせる「枕」にも思わず笑いました。ほかに2つの役で登場と活躍しています。特等席で観た気分になるシネマ歌舞伎の12作目。長尺ですがあっというまに時間がすぎます。(白)
2007年/日本/カラー/155分(途中休憩あり)/
製作・配給:松竹株式会社
期間:7月11日(土)〜8月7日(金)
会場:シネマート六本木
去る7月5日(日)には盛大な23回忌法要が行われ話題となった石原裕次郎。52歳の若さで亡くなったこと、あれからもう23年もたつことにあらためて驚きを感じます。今も尚、多くのファンの心をとらえて放さない、昭和のヒーロー石原裕次郎主演映画の特集上映です。
7/11(土)~17(金)
『陽のあたる坂道』(1958年/監督:田坂具隆)■『世界を賭ける恋』(1959年/監督:滝沢英輔)
7/18(土)~24(金)
『あじさいの歌』(1960年/監督:滝沢英輔)■『男と男の生きる街』(1962年/監督:舛田利雄)
7/25(土)~31(金)
『銀座の恋の物語』(1962年/監督:蔵原惟繕)■『太陽への脱出』(1963年/監督:舛田利雄)
8/1(土)~7(金)
『赤いハンカチ』(1964年/監督:舛田利雄)■『栄光への挑戦』(1966年/監督:舛田利雄)
料金:一般・大高1,200円 シニア1,000円(2本立て)
オールナイトも開催! 8/7(金) 2000円均一 「男と男の生きる街」「太陽への脱出」「赤いハンカチ」「栄光への挑戦」
公式 HP >> http://www.cinemart.co.jp/theater/roppongi/lineup/20090526_3716.html
期間:7月10日(金)〜20日(祝・月)
場所:埼玉県川口市「SKIPシティ」彩の国ビジュアルプラザ 映像ホール・多目的ホール他
アクセス:会期中、JR川口駅東口キャスティ前臨時バス停より、SKIPシティまで直行の無料シャトルバスが20分間隔で運行されます。(所要:約12分)
2004年に始まったSKIPシティ国際Dシネマ映画祭も今年で6回目。フィルムを使用せず、デジタルで撮影・制作された作品のみにフォーカスし、全作品を、4Kデジタルシネマプロジェクターという最高クラスの上映環境で味わうことができます。メインは、国内外のデジタルで撮影・制作されたデジタルシネマ作品の長編・短編コンペティション。作品上映後の各国から訪れた作品ゲストとの交流の場も魅力です。
また、オープニングでは、黒澤明監督不朽の名作『羅生門』のデジタル復元版が上映され、Dシネマの潮流を感じることができます。そのほか、「カメラクレヨン」、「彩の国地域発信映画プロジェクト」、「D-MAP2009キックオフイベント」、「D-コンテンツマーケット」、「くりっく!「アニメど埼玉」スペシャル」など、盛りだくさんのプログラムが開催され、家族連れでも一日楽しめる映画祭です。
*ノミネート(海外)作品(12作品)
『それぞれの場所で』 2009年/セルビア、ドイツ、アメリカ
『バレンティーナの母』 2008年/イスラエル
『アダムの壁』 2008年/カナダ
『めざめ』 2008年/スペイン、ポーランド
『愛を求めて』 2008年/デンマーク
『神の耳』 2008年/アメリカ
『エル・システマ 〜音楽の喜び〜』 2009年/ドイツ
『あなたなしでは生きていけない』 2009年/台湾
『鷹匠の息子』 2009年/スウェーデン、ドイツ
『ジョニー・マッド・ドッグ』 2008年/フランス、ベルギー
『少女マサンヘレス』 2008年/ベルギー、チリ、キューバ、スイス、ウルグアイ
『ノラの遺言』 2008年/メキシコ
*ノミネート(国内)作品(3作品)
『Lost Paradise in Tokyo』 2009年/日本
『求愛』 2008年/日本
『カケラ』 2008年/日本
監督:アンディ・フィックマン
脚本:マット・ロペス、 マーク・ボンバック
撮影:グレッグ・ガーディナー
音楽:トレヴァー・ラヴィン
キャスト:ドウェイン・ジョンソン(ジャック・ブルーノ)、アナソフィア・ロブ(サラ)、アレクサンダー・ルドウィク(セス)、カーラ・グギーノ(アレックス・フリードマン博士)、キアラン・ハインズ(ヘンリー・パーク)
©2008 Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.
タクシー運転手のジャックは、不思議な兄妹セスとサラを乗せた後、得体の知れない車に付け狙われる。セスとサラは重大な任務を帯びて、ほかの惑星からやってきたのだ。合衆国政府の特殊機関が総力をあげて「捕獲」しようと追いかけてきた。半信半疑のジャックだったが、彼らの特殊な能力を目の当たりに見て、ようやくことの重大さを知る。もとレーサーだったジャックは卓越したテクニックで追跡をかわしながら、目的地まで送り届けようとする。
ミステリーサークルや、未確認飛行物体など宇宙にまつわる謎は、政府による情報操作が行われ、一般人には知ることのできない地域に巧妙に隠されています。…という設定の物語。実際あるかもしれませんね。これは難しく考えずに楽しめるファンタジー・アドベンチャー。異星人の2人とまきこまれた運転手とのやりとりや、フリードマン博士に披露するシーンなどが面白く、2人の特殊能力を使ってのアクションがもっとあっても良かったです。
原作は1975年に映画化され、『星の国から来た仲間』という邦題で公開されています(1978年の続編は未公開)。当時主人公だった子役が、この作品では2人を助ける役回りで登場しています。(白)
2009年/アメリカ/カラー/98分/シネスコ/ドルビーデジタル
配給:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
アメリカのワシントン州で世界で初めてUFOが発見された日を記念して制定された<UFOの日>(6/24)にちなみ、「こりん星」のプリンセス“ゆうこりん”こと小倉優子さんをゲストに迎えた舞台挨拶つき特別試写会が行われました。
これまで謎に包まれていた“こりん星のミステリー”を解明するため<こりん星ミステリークイズ>を実施し、観客400人から勝ち残った5名には、本日限定プレミアもの“こりん星の住民票”が、ゆうこりんから直々に贈呈されました。住民票には「こりん星」の住所(こりん星港区ウィッチマウンテン町-エリア51)が記され、ゆうこりん直筆で登録者の名前が明記されています。ゆうこりん曰く「これでいつでもこりん星に行くことができます。大事に取っていてくださいね」 う〜ん、宇宙船で迎えに来てくれるのかしら?
[提供:フラッグ]
公式 HP >> http://www.disney.co.jp/movies/w-mt/
演出:鈴木裕美
脚本:大石静
作曲:三木たかし
映像監督:長嶋永知・青山賢治
キャスト:紫吹淳/湖月わたる(リュータン)、彩輝なお/貴城けい(タッチー)、星奈優里/大鳥れい(トモ)、紫城るい/映美くらら(ベニ)、石井一孝(影山航)、本間憲一(速水悠介)、佐藤アツヒロ(オサム)ほか
*本作品はWキャストのため2パターンでの上映を予定しています。
昭和14年、宝塚歌劇で人気を集めていたのは雪組トップスター、リュータンこと嶺野白雪だった。彼女率いる雪組に、トップスターを目指すトモ、リュータンに憧れるベニ、衣食住の足りた生活に惹かれて入団したタッチーが入ってくる。舞台人として研鑽する傍ら、それぞれに将来や恋愛についての悩みを抱え、支え励まし合って日々を送るタカラジェンヌ(=宝塚歌劇団員)たち。しかし、やがて"乙女の園"にも戦争の影が迫り、宝塚大劇場は封鎖、舞台を失った団員たちは戦地の慰問に回る日々を過ごすことになる。

2008年冬、新宿コマ劇場のラストを飾ったミュージカルを完全収録。2幕仕立ての舞台映像は劇場でナマの舞台を見ているかのような迫力ですが、固定された客席では見られないアングルやキャストの細かい表情など、映像ならではの魅力にも溢れたミュージカル映画となっています。
戦時中の宝塚歌劇という一般には馴染みの薄いテーマを、実際に宝塚歌劇団に所属していた元"タカラジェンヌ"たちが演じるということで、宝塚ファン以外には敷居の高い作品かと思いきやさにあらず。時代の波に翻弄されながら懸命に生きていこうとする女性たちの等身大の姿には、時代や立場を超えて誰もが心を動かされるのではないでしょうか。そもそもはフジテレビで2002年に放送されたスペシャルドラマを舞台化したこの作品ですが、舞台こそ命というタカラジェンヌたちの熱い思いがいっそうリアルに息づくのは、やはりテレビよりも舞台。ミュージカル作品としても専門誌で高い評価を得たステージだけに、耳馴染みの良い三木たかしの楽曲、華やかなタカラジェンヌたちを支える実力派の男優陣など、見所も多くあります。
特筆すべきは、物語に込められたメッセージをストレートな情熱で表現しきった、元トップスターを含む元・タカラジェンヌのキャストたち。作中のタカラジェンヌたちがどんな境遇にあっても夢に見続ける、宝塚の舞台――そこに実際に立っていた彼女たちだからこそ、特殊な場所での特殊な物語となってしまいそうなこの作品を、広く共感を呼ぶものに仕上げることができたのだと思います。Wキャストの醍醐味は宝塚ファンにしか意味をなさないものかもしれませんが、劇場に入るよりはずっと気楽に見られる映像作品として、宝塚歌劇というジャンルに距離を感じている宝塚ファン以外の方々にこそオススメしたい作品です。(慶)
2009年/日本/カラー/≪紫吹・彩輝版≫169分(第一幕:82分/第二幕:87分) ≪湖月・貴城版≫166分(第一幕:81分/第二幕:85分)/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:ソニー株式会社
公式 HP >> http://livespire.jp/ai-takarazuka
監督:坪田義史
脚本:福田真作、坪田義史
撮影監督:山崎大輔
照明:高橋拓
美術:田中浩二、尾崎雅朗
音楽:SPARTA LOCALS、垣松正敏、他
出演:水橋研二(阿部慎一)、町田マリー(阿部美代子/慎一の妻)、本田章一(川本賢治/阿部の同郷の友人)、松浦裕也(池田搦/阿部の同郷の友人)、あんじ(真知子/美代子の友人)、佐野史郎(松田/編集者)
70年代初め。漫画家・阿部慎一は、恋人美代子と阿佐ヶ谷で、同棲生活を送っていた。自らの生活体験を元に創作する慎一は、美代子の気持ちの変化を探るかのように、美代子の友人・真知子と関係を持つ。そして目撃させる。 慎一は自らの行為の意味を成立させる為に、自分の目前で、無理矢理美代子を、ひそかに美代子に想いを寄せていた同郷の友人川本に抱かせる…。 次第に私生活と作品世界の境界を見失い、創作に行き詰まる慎一は、故郷の福岡・田川に戻り、美代子と結婚する。
つげ義春、永島慎二が開いた私漫画を引き継いだ作家、阿部慎一。彼は「私がひそかに私の漫画について自負する点は、この、美代子に対する愛の従属性である。私は彼女を書きたいためにストーリーを作った」と語っている。
この作品のすべてが真実なら、ひどく辛い。目を背けたくなる。しかし、その反面、2人の仲には、他の者が入り込めない濃密な絆があり、ストイックな純愛を感じた。阿部の描く美代子と演者・町田マリーが、見事に画面の中でぴったりと重なり合う。この町田マリー、いや、美代子が醸し出す雰囲気こそ、阿佐ヶ谷気分なのだ。
その気分が一番濃厚な場面がとても気に入った。美代子が「彼のいない時、みんな面倒…」と、けだるそうにトーストを焼き、バターをつけ、林檎を皮も剥かず、薄く切ってトーストに無造作にのせて食べるシーン…。食べるシーンで、生唾ゴックンは初めて! 早速、帰ってからやりましたよ! 林檎の美味しい季節ではない今でも、美味しかった! 本当に! 是非、"阿佐ヶ谷気分トースト"を男に熱愛されてる気分で召し上がって!(美)
2008年/日本/カラー/86分/ビスタサイズ/R-15
配給:ワイズ出版
配給協力・宣伝:アルゴピクチャーズ
公式 HP >> http://www.miyoko-asagaya.com/
監督:岩本仁志
原作:手塚治虫
出演:玉木 宏、山田孝之、石田ゆり子、石橋 凌、山本裕典、山下リオ、風間トオル、鶴見辰吾、中村育二、半海一晃、品川 徹、林泰文
16年前、沖之真船島で一夜にして島民全員が死亡する事件が起こった。この惨事は政府によって闇に葬りさられるが、この悪夢を奇跡的に生き延びた2人の少年がいた。成長しエリート銀行員となった結城美智雄(玉木宏)は、惨劇の復讐に燃えている。一方、もう1人の生き残りの賀来裕太郎(山田孝之)は神父となり、殺人鬼と化した結城を救おうと憂いていた。度重なる殺人事件の被害者が沖之真船島出身者であることを突き止めた新聞記者の牧野京子(石田ゆり子)は、事件の鍵となる「MW」の存在を知る・・・
「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」を始め、数々の作品を遺した日本を代表する漫画界の巨匠、手塚治虫。生誕80周年を機に、これまで実写化不可能と言われていた「MW」を映画化。これはありえない!という場面続出ですが、「都合の悪いことは民に知らせない」というのは、いつの時代も、どこの政府も同じだということは、ずっしり伝わってきました。玉木宏の怪演ぶりもそれなりに楽しめました。(咲)
2009年/日本/カラー/シネスコ/ドルビーデジタル/129分
製作:「MW」製作委員会
制作プロダクション:STUDIO SWAN IMJ-E
VFXプロダクション:白組
企画:アミューズソフトエンタテインメント
配給:ギャガ・コミュニケーションズ Powered by ヒューマックスシネマ
公式 HP >> http://mw.gyao.jp/
監督・脚本・原作:西川美和
原案小説:「きのうの神さま」西川美和(ポプラ社刊)
撮影:柳島克己
美術:三ツ松けいこ
編集:宮島竜治
音楽:モアリズム
出演:笑福亭鶴瓶(伊野治)、瑛太(相馬啓介)、余貴美子(大竹朱美)、香川照之(斎門正芳)、松重豊(波多野巡査部長)、岩松了(岡安警部補)、井川遥(鳥飼りつ子)、八千草薫(鳥飼かづ子)、笹野高史(曽根)ほか
©2009『Dear Doctor』製作委員会
山間の小さな村。診療所の医師伊野治(笑福亭鶴瓶)がバイクを駆って出たまま戻らない。無医村だったこの地で3年半勤めてきた伊野を、村人たちは神仏よりも頼りにしていた。みなに慕われ、献身的に仕事をしてきた彼はなぜ失踪してしまったのか。研修医の相馬は伊野の姿に感動して、研修終了後も僻地医療に携わろうと思っていたところだった。脱ぎ捨ててあった白衣を見つけて落胆する。捜査に来た波多野巡査部長(松重豊)は、伊野の以前の勤め先を調べるが、不審な点ばかりが浮かび上がってくる。
『ゆれる』で国内の各映画賞を総なめにした西川監督の三年ぶりの長編作品。人をぐるりと剥いて内側を見せたような前作は、すごい!と思うと同時に、自分が赤裸になったようにひりひりと痛かったものです。この作品はツボをついて、後からじんわりきいてくる感覚がします。
山と棚田に囲まれ、半分以上が老人という過疎の村の医療を丹念にリサーチして、納得のいくストーリー運び。思わず感情移入してしまうキャラクターと、そのキャスティングにも感心しきり。主演の笑福亭鶴瓶師匠の持ち味で作品全体が暖かくなり、どこか哀しさも漂います。西川監督、存在感ある出演者のみなさまに拍手。第33回モントリオール世界映画祭(8月27日〜9月7日)のコンペティション部門に出品決定。(白)
2008/日本/カラー/127分/1:1,85/ドルビーSRD
配給:エンジンフィルム+アスミック・エース
公式 HP >> http://deardoctor.jp/
監督:トム・マッカーシー
出演:リチャード・ジェンキンス、ヒアム・アッバス、ハーズ・スレイマン、ダナイ・グリラ
大学教授のウォルター・ヴェイルはピアニストだった愛妻を亡くして5年、無気力な毎日を過ごしている。ニューヨークでの学会に出席するように命じられるが、名前を貸しただけの共同研究の発表は憂鬱の種でしかない。久しぶりにニューヨークの別宅に行くと、そこには、シリア人の青年タリクと、その恋人でセネガル人のゼイナブの二人が友人から又貸しされたとして住み着いていた。一度は二人を追い出したウォルターだが、行き場が見つかるまでと二人を住まわせる。次第にウォルターは、タリクの敲くジャンベ(アフリカンドラム)に興味を持ち、公園で一緒に敲く楽しみも覚えるようになる。そんなある日、二人で地下鉄に乗ろうとしたところをタリクが不法移民として捕まってしまう。弁護士を雇い、入国管理局に掛け合うウォルター。一方、タリクの母モーナが、毎日電話をよこしていた息子から5日も電話がないと、シカゴから訪ねてくる。モーナは、新聞記者だった夫が政治犯として投獄されたあげくに亡くなり、国に絶望して息子のタレクを連れてアメリカに渡ってきたのだった。タレクを助けるために奔走するうちに、ウォルターとモーナは次第に心を寄せ合うようになる・・・
9.11以降、イスラーム系移民への対応が一変したアメリカ社会で、登場人物が心を通じ合わせる物語というだけではない、人生をどう過ごすかを考えさせてくれる作品でした。『シリアの花嫁』で花嫁の姉を演じたヒアム・アッバスが、息子を思う気丈な母モーナを静かな存在感で演じていて好感が持てました。女としての一面をさりげなく出したり、アラビア語で話しかける失礼なエジプト人の男に毅然とした態度を示したり、とにかく素敵なのです。こういっては申し訳ないけれど、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたリチャード・ジェンキンスより、ずっと印象に残りました。(咲)
半年ほど前、シドニー在住の娘から「お母さん、訪問者っていう映画知ってる?すっごくよかったから是非観てね。アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされてるから、日本でもきっと公開するよ」と、日頃、私が薦める映画に冷淡な娘が、興奮ぎみにメールしてきたのが、 この『扉をたたく人』だった。
主演のリチャード・ジェンキンスは、どの映画に出てた? とすぐにはわからなかったが、確かによく観てる顔だ。名脇役として40年間で、初めてこの作品で主演したのだそうだが、やることすべて面倒くさく、つまらない顔つき、何にも反応しない無気力な表情・・・。これほど退屈顔が板に付いた俳優さんって他に知らない。
始めは、あ〜陰気臭い顔、と先が思いやられたし、設定も、ニューヨークのマンハッタンにアパートメントがあるのに、ほったらかしにしているという余裕のかまし方も気に入らん…と、なかなか手厳しい私。
しかし、この男が、妙な縁で知り合った若者に、優しさを小出しにするに従い、表情に微かながら動きが出て来る。主人公のウォルターはこの作品中、破顔して笑う場面はなかったが、彼は、彼と向かい合う俳優から、しなやかさや柔らかさを引き出し,際立たせる力があると感じた。これってすごいことじゃない?
ウォルターの退屈な人生の扉をノックした登場人物の魅力、親子・恋人の結びつき、ジャンベの響き、政治の矛盾、それら全部ミックスされた上品な香り高い作品だ。(美)
2007年/アメリカ映画/1時間44分/35mm/1:1.85/カラー/ドルビーデジタル
提供:東宝、ロングライド
配給:ロングライド
宣伝:ムヴィオラ
公式 HP >> http://www.tobira-movie.jp/
監督・脚本:三宅隆太
原案・監修:清水崇
出演:南明奈、鈴木裕樹、みひろ、中村愛美、宮川一朗太、ムロツヨシほか
©2009東映ビデオ・CELL
司法試験に落ちた息子が家族5人を次々と殺害し、首吊り自殺をした。その足元には彼が死ぬ直前の「行きます…すぐに行きます」という彼の声と少女の声が録音されたテープが残されていた。当時小学生だったあかねは、その被害者となった未来と親友だった。高校生となった今、その未来が赤い帽子にランドセル姿で、あかねの前に姿を現す。
監督・脚本:安里麻里
原案・監修:清水崇
出演:加護亜依、瀬戸康史、中村ゆり、高樹マリア、勝村政信ほか
看護士の裕子は、芙紀絵という少女の担当になってから、奇妙なできごとに遭うようになり、裕子の隣人の学生は壁越しの声や音に悩まされる。芙紀絵の母は霊力の強い妹に助けを請い、病院を訪れた彼女は芙紀絵の除霊を試みるが…。
ホラーは苦手な上、日本の作品は身近な分だけぞわぞわっとくるほど怖いので今まで観にいきませんでした。10年前のオリジナル版はビデオジャケットを観るだけでも怖かったですね。今回は年もとったことだし(?)と、観るつもりになりました。あぶなくなると目を細くし、かなり覚悟してのぞんだおかげか、3度鳥肌が立っただけですみました。ホラー好きな方はしっかり目を開けてご覧下さい。同名の書籍は6月25日、Wiiのゲーム「恐怖体感 呪怨」は7月30日発売です。(白)
2008/日本/カラー/各60分、2本で120分/R-15/
配給:東映
公式 HP >> http://www.juon2009.jp/
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:スカーレット・ヨハンソン、ペネロペ・クルス、バビエル・バルデム、レベッカ・ホール ほか
©2008 Gravier Productions, Inc. and MediaProduccion, S.L.
ヴィッキーとクリスティーナは親友同士だが性格は正反対。ヴィッキーは慎重で、堅実な人生を夢見てサラリーマンの恋人と婚約中。一方のクリスティーナはユニークな生き方に憧れ、いつも刺激的な恋を求めている。バカンスを過ごしにきたバルセロナで、2人はフアン・アントニオという画家の男と出会い、不躾なまでにストレートな誘いをうける。クリスティーナは瞬時に恋に落ち、ヴィッキーは初めは失礼な男と怒りながらも次第に惹かれていってしまう。ヴィッキーの戸惑いに気づかずクリスティーナは彼と付き合い始めるが、そんな2人の前にアントニオの元妻マリア・エレーナが現れる。
女性の観客はカタログ的に個性豊かな3人の女性の内、自分はどのタイプだろうと考えながら観るのではないでしょうか。(わたしは絶対ヴィッキーだ。)1人の男を巡って個性豊かな3人の女が入り乱れるのですが、全く泥仕合にならない展開に驚きました。バビエル・バルデム演ずるアントニオは、それぞれの女性たちの個性を愛する気持ちになんの躊躇も持たない男。まさに花を愛でて飛び回る蝶のよう。ここまで自然体でやられたら、自分もヴィッキーのように価値観崩壊しかねないなと思わせられました。このアントニオをしても手を焼く元妻マリア・エレーナを演じるのがペネロペ・クルス。その貫禄、吸引力、凄まじいものがあります。この女性の前ではスカーレット・ヨハンソンもレベッカ・ホールもネンネにしか見えません。
ウディ・アレン監督は最近作品の若々しさが増しているように思います。(梅)
第81回アカデミー賞助演女優賞受賞(ペネロペ・クルス)
第66回ゴールデン・グローブ賞作品賞受賞
2008年/アメリカ、スペイン/カラー/96分/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル
配給:アスミック・エース
公式 HP >> http://sore-koi.asmik-ace.co.jp/
監督:ジョン・ギャラガー
脚本:パトリック・メルトン&マーカス・ダンスタン
出演:ジョニー・ウェイド、クルー・ギャラガー、ダイアン・ゴールドナーほか
砂漠のバーでの死闘から一夜明けた。生き残ったのはわずか数人。動ける者は車で安全な場所を探しに出発したが、謎のモンスターたちもまた新たな餌食を求めて町へ移動していた。バーにやって来たバイカー・クイーンは、人間の手首を犬がくわえているのを見つけ、愕然とする。揃いの刺青を彫った血だらけの手首は、姉ハーレー・ママのものに間違いない。生き残っていたバーテンは昨夜の凄惨な事件を説明するが、バイカー・クイーンは怪物の存在など信じない。復讐を誓って仲間と町へ向かう。町はさらに増殖した怪物によってゴーストタウンと化していた。
前作『フィースト』の続編&完結編。ホラーやスプラッターは苦手なのですが、このフィーストシリーズは人が死んでいくというのに不謹慎にも笑ってしまいます。今回も掟破りのシーン連発で、意味なく裸や汚物が登場し、動物も赤ん坊もお年寄りも容赦なし。え!こんなことをしていいの? とレーティングを確かめましたが、何も書かれていません。これはきっとお化け屋敷のようにわいわい騒いで観る映画なのでしょう。
バーテン役のクルー・ギャラガーは多くの映画に出演しているベテラン俳優で、ジョン・ギャラガー監督の実父。10年近く俳優業から離れていたのですが、息子の初監督作だった『フィースト』から復帰したのだとか。ハーレー・ママを演じていたダイアン・ゴールドナーは、1で人間爆弾となって死亡。2、3で双子の妹として復活、復讐に燃えるバイカー・クイーンを熱演しています。(白)
2008/アメリカ/カラー/II97分、III 80分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/
提供:AMGエンタテインメント
配給:トルネード・フィルム
宣伝:エイスワンダー
公式 HP >> http://www.feast2-3.com
監督・編集:四ノ宮浩
製作プロデューサー:森崎偏陸、長島洋
配給プロデューサー:金子学
— ぼくは、ここで生きている。—
マニラ近郊の巨大なゴミ捨て場“スモーキーマウンテン”には、40年以上に渡り、ゴミを拾って生活費を稼ぐ2万人以上の人々がいた。しかし海外にこの事実が紹介され、貧困の象徴として見られたことから、政府は1995年10月に突如閉鎖してしまった。徒歩10分の場所に新しくアロマ仮設住宅が建てられたが、生活の糧を失った住民の大半は、また新たなゴミ捨て場でゴミを拾う生活を続けている。
バスーラとはタガログ語で「ゴミ」の意味。四ノ宮監督は、スモーキーマウンテンで暮らしゴミ拾いをして働いている子供たちを6年の歳月をかけて撮影し、1995年に第1作『忘れられた子供たち スカベンジャー』として発表しました。その後第2作『神の子たち』を送り出し、この最新作はスタートに立ち戻って、20年前に撮影で出会った人々のその後を追っています。若くして結婚したクリスティーナとジェイアール夫婦には5人めの子供が生まれましたが、血液の伝染病にかかっています。母親を助けてゴミ拾いをしていたエモンは、留置所で死亡。ゴミ捨て場では今日も子供たちが学校に行かずに働いています。たくさんの問題を抱えながらも力強く生きている彼らに、私たちができることはなにか考えてみませんか。(白)
2009/日本/カラー/106分/HDCam
製作・配給:オフィスフォープロダクション
共同製作:映画5000人製作委員会
共同配給:浦安ドキュメンタリーオフィス
宣伝:スリーピン
★6月27日(土)より、東京都写真美術館ホールにてロードショー
公開記念プレミアイベント@東京都写真美術館ホール
第1作『忘れられた子供たち』、第2作『神の子たち』の無料上映会
四ノ宮浩×ゲストトークつき『BASURA バスーラ』特別先行上映会開催!
5月26日〜5月31日(29日は休み)
スケジュールはHPでご確認ください。
公式 HP >> http://www.office4-pro.com