女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

長編劇映画『ひだるか』を観て

 題名は「ひもじくてだるい」の意味らしい。主人公は福岡のテレビ局で働く30歳代の女性キャスター。デジタル化や企業買収の波を受け労組が分裂、次は誰がリストラされるかと疑心暗鬼の職場。個人的にも30歳、上司のプロデューサーと長すぎる春の倦怠期を迎えている。そんな中で、三井・三池争議のドキュメント番組をつくることからさまざまなことを学び新たな生きかたをみつけ、「ひだるか」からぬけ出ていくストーリー。

 脚本・監督はPRビデオやテレビのドキュメントで実績をもつ港健二郎さん。自らも大牟田出身。構想25年、製作3年の作品である。

 内容も、作り方もいろいろな要素が詰まって骨太だ。女性キャスターの私生活を描くメロドラマ部分は正直言って???があった。イカニモというド派手な赤い車を乗り回すのって目立ちすぎ。その筋の人に因縁つけられそう。どうせなら「ワーキングガール」のファーストシーンのようにスニーカーで電車通勤(あちらはフェリー通勤だったが)し、職場でパッとヒールにはきかえたらもっと恰好がよかったのに。上司との関係も???。二人の時間はお酒のんで、人事のことばかり喋っている。私生活も職場の延長では上手く行くものもいかなくなるのでは。というか、つまんない恋愛してるなあと、思う。

 しかし、後半、三井・三池争議の番組作りで現地へ行くころから映画は突然熱を帯びてくる。争議の実写部分を効果的に挿入し、教育映画風に何故起こったか、その経過などの説明が始まる。それがものすごく解かり易くて感動的なのだ。ひだるかった前半がここでぱっと締まってくる。ドキュメント出身の本領発揮!。それにしても、出身地(大牟田)にこれほど情熱を持ち続ける港監督の執念、情熱ってすごい。三井・三池争議と今の日本を重ね合わせるといろいろ考えさせられるものがあった。

脚本・監督:港健二郎
出演:岡本美沙、小田壮史、内田宏美、四方堂亘、エド山口
残念ながら東京での上映は終わってしまいましたが、今後も全国各地で上映予定。詳しい予定は公式HPをご覧下さい。
公式HP:http://www.hidaruka.com/

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(文:上神 絵美)
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