女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

ルイス・クー(古天樂)出演作続々登場!!

現在香港映画界で、若手の台頭のひとりとしてめざましい活躍をしているルイス・クー。 日本ではまだ知名度が高い…とはいえませんが、2月の『忘れえぬ想い(原題:忘不了)』に続き、5月13日から『柔道龍虎房(原題:柔道龍虎榜)』、6月24日からは『恋するブラジャー大作戦(仮)(原題:絶世好Bra)』と立て続けに主演作が公開されます。 

ではルイス・クーはいったいどんな俳優なのか?をここでご紹介したいと思います!

ルイス・クー(古天樂)は、1970年10月21日生まれの35歳。 カラオケビデオのモデルから93年に香港のTV局TVBと契約し、94年にテレビドラマ『婚姻物語』(主役はイーキン・チェン(鄭伊健))でデビュー。 その後はドラマと平行しながら映画界にも進出し、数々の映画に出演しています。 日本では99年作品の『OVER SUMMER(原題:爆裂刑警)』が初めて日本で公開され、軟派な刑事が同僚のン・ジャンユー(呉鎮宇)演じる刑事と関わっていくことによって、人間的に成長していくという役を好演。 テレビドラマで活躍していたデビュー当時は色が白くてちょっと陰のあるナイーブな感じだったのに、この頃には色も黒く髪もバッサリ短髪と見事にイメージチェンジを図っています。 役柄もおぼっちゃま役から男らしい役へと変化していきました。 イメチェンはなかなか難しいと思うのですが、ルイスに関しては役幅も広がり成功したといえるでしょう。 香港では4月27日から、ジョニー・トー(杜[王其]峰)監督ルイス主演の『黒社會以和為貴』が公開されています。 2000年には「男朋友」という歌で歌手デビューも果たし、4枚のアルバムをリリースしています。 2002年には香港ニューウェイブ・フェスティバル(シネジャWEB版特別記事参照)で来日し、ミニライブも行いました。

− 各年代のルイス −

1994年 24歳

1999年 28歳

2001年 30歳

2005年 35歳

では次に公開される2作品をご紹介しましょう。

◆ 柔道龍虎房 ◆ 

公式サイト http://www.judo-ryukobo.com/

柔道龍虎房 場面写真 柔道龍虎房 場面写真

「黒澤明監督に捧ぐ」というジョニー・トー監督作品。 ルイス演じるかつて柔道を極めた男の現在の転落した人生が、どのように再生していくのかというストーリーを、様々な人々(なぜか皆柔道ができる)を交えながら淡々と描いています。 最初は「どうしてルイスはこうも情けないのだ?」とイライラしたものの、彼の抱えてる問題が明らかになってくると「頑張れ〜!」とエールを送りたくなるんですよ。 そしてカルバン・チョイ(蔡一智)が歌う「姿三四郎」の歌がもう頭の中を流れているという相乗効果(笑)。 ルイスはちょっと柔道の達人に見えないなと思っていたものの、柔道シーンはアーロン・クォック(郭富城)共々迫力があります。 きっと練習の賜物なのでしょう。 撮影中もあざが絶えなかったそうです。 ひとつひとつのエピソードはおもしろく、脇役陣が一癖も二癖もあり、全員にドラマが感じられます。 4つのテーブルで会話が同時に進行するのが、その脇役陣の見所のひとつ。 そして柔道そのものより柔道の精神に重きが置かれていて、とてもメッセージ色の強い映画です。 2004年の東京フィルメックスで日本では初上映され、監督のティーチインがありました。 そのときのジョニー・トーの言葉がとても印象に残っています。 「明日は何が起こるかわからないから、今できることをしなければいけない」 それがそのまま『柔道龍虎房』のテーマになっています。

<一口メモ>

ルイスとアーロンの路上での柔道対決は圧巻。 撮影がとても暑い日だったのでルイスは「死ぬかと思った」そうです。

◆ 恋するブラジャー大作戦(仮) ◆ 

公式サイト http://www.koibra.com/

恋するブラジャー大作戦(仮)場面写真 恋するブラジャー大作戦(仮)場面写真

女性だけの下着会社で初めて男性社員を入社させることになり、採用されたのがラウ・チンワン(劉青雲)とルイス。 男性社員に色めき立つ女性社員なのに、なぜかひとりなびかないジジ・リョン(梁詠[王其])を振り向かせようとするルイスと、香港支社長のカリーナ・ラウ(劉嘉玲)を狙うラウ・チンワン。 このふたりが《究極のブラジャー》完成を命じられ悪戦苦闘する様を描いたラブコメディーです。 「ブラジャーを付けたことがなくてブラジャーが作れると思っているの?」とジジにいわれ、しぶしぶブラジャーを付けてみるルイスとラウ・チンワンのシーンはもう大爆笑間違いなしです! ルイスにとっては初めてのコメディー映画ですが、このあとにコメディー作品の出演が続くので、2枚目なのにコメディーができる俳優と認識されたのだと思います。 映画は全体的に色使いがきれいで、女性社員のファッションやオフィスの小物はとっても色鮮やか。 ルイスも負けずとばかりに、赤やピンクのYシャツを着こなしています。 2001年の作品なのでまさかこれが日本で観られるとはと驚きましたが、香港ではシリーズ化されて2002年に『絶世好B』という作品も製作されました(ルイス、ラウ・チンワンが引き続き出演)。 日本でも続けて公開されることを希望します!

<一口メモ>

ルイスは下着姿の女性が出演するシーンでは目のやり場に困り、「アクション」の声と共に顔をあげ、「カット」の声と共に下を向いていたそうです。

今年はジョニー・トー監督の『黒社會』が日本で公開されるというウワサもありますので、ますますルイス・クーから目が離せません! 『黒社會』は2部構成で1部ではルイスの出演シーンは少ないのですが、上記にも書いた2部の『黒社會以和為貴』では主役を演じています。 先日行われた香港電影金像奨では『黒社會』が監督賞、作品賞、主演男優賞(レオン・カーファイ(梁家輝))、編集賞の4部門を受賞しています。

return to top

(文: 金子ひろみ)
本誌「シネマジャーナル」及びバックナンバーの問い合わせ:
order@cinemajournal.net
このHPに関するご意見など: info@cinemajournal.net
このサイトの画像・記事等の無断転載・無断使用はご遠慮下さい。
掲載画像・元写真の使用を希望される場合はご連絡下さい。