女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
トンマッコルへようこそ チラシ画像

『トンマッコルへようこそ』
パク・クァンヒョン監督&久石譲
舞台挨拶レポート

2006年6月21日(水) 於 有楽町朝日ホール
パク・クァンヒョン、久石譲

2005年8月に韓国で公開され、口コミでその面白さが評判になり、年間興行収入ナンバー1に輝いた『トンマッコルへようこそ』がこの秋いよいよ日本で公開になります。一足早く、マスコミ向け完成披露試写とパク・クァンヒョン監督と音楽の久石譲さんによる舞台挨拶が行われましたので、ご報告します。

監督:今日はこんなに沢山の人たちが来てくださって、とても興奮しています。

久石:これが初の韓国映画の仕事になりましたが、本当にやって良かったと思っています。

監督はこの作品の音楽を担当してもらおうと、久石譲さんに熱烈なラブコールを送ったそうですね。

パク・クァンヒョン
パク・クァンヒョン監督
監督:子供の頃から久石さんの音楽が大好きで、実はこの作品のシナリオもずっと久石さんの音楽を聴きながら書いていました。今回、プロデューサーに久石さんに依頼して欲しいとお願いしたときには、震えるような思いでした。そして引き受けて下さると知ったときは、それまでなかったくらいの歓声を上げて喜びました。

久石さんはお話を聞いてどう思ったのですか?

久石:実ははじめはどういうことかよく分からなかったんです。でも脚本を読んだら戦争が舞台なのに、とても人情味溢れたお話で、是非監督にお会いしたいと思いました。

久石さんは何回韓国へ行かれたんですか?

監督:1回目はご挨拶を兼ねて、2回目は撮影したものの編集会議の段階で、3回目は録音作業の時と、3回お越しいただきました。初めて音を聞いたとき感動して泣いてしまいました。正直な気持ちをお話しますと、音楽を入れていない状態では映画というより取るに足らない小道具のような、そんな印象があったのです。久石先生の音楽を入れることによって、この映画に命を吹き込むことができたと思います。音楽が入った後に観ますと、とても大きい映画に見えましたし、感動的でそして神秘的な映画に仕上がったと思っています。

久石譲
久石譲 氏
音楽をつける作業の中でなにかエピソードがありましたら

久石:良い映画にしか良い音楽は存在しえないものです。あんまり良くない映画に音楽だけがいいっていうことはないんですよ。そういう意味でこういう優れた素晴らしい作品に出会えたのがやっぱり一番嬉しいことです。監督は自分の中に全てビジョンを持っています。登場人物の表現にも組み立てにも非常に明快なビジョンを持っておられる。出会えてほんとに幸せです。

最後に映画の見所を教えてください。

監督:こういう舞台ではお互いを褒め合うということは常ですが、わたしたちはお話した以上に緊密な関係の中で仕事をすることができました。映画についてはここで私が説明しなくても、みなさん観ていただけば全員が理解できる映画になっています。携わったスタッフは、私を含めて殆どが新人で、音楽監督だけが巨匠という構成でした。この映画には1人ひとりの真心がこめられています。その真心をくんで観ていただけると、たぶん幸せな気持になれると思います。どうかみなさん、この映画を観て幸せな時間をお過ごしください。

久石:本当に良い映画です。特に後半は泣けます。保証します。リラックスして観ていただきたいです。

パク・クァンヒョン
なかなかエエ男さんです

前日には韓国の映画賞である第43回大鐘賞のノミネート発表があり、この作品は作品、脚本、音楽、新人監督等、9部門にノミネートされたことが会場で報告され、大きな拍手がお二人に送られました。久石さんはこのとき初めてノミネートされたことを知り、「知らなかった・・・」と驚いていらっしゃいました。

この日は大きな会場にもかかわらず立ち見が出るほどの盛況ぶり。皆さん、評判を耳にして駆けつけたのでしょう。そして上映終了後には、試写にしては珍しく拍手が湧き起こりました。

いわゆる韓流スターは1人も出演していませんが、巧みな脚本と監督始め若いスタッフたちの情熱により、これこそ韓国映画の底力だと思わせられる素晴らしい作品です。どうぞ、秋の公開を楽しみにお待ち下さい!

作品紹介はこちら

特別記事『トンマッコルへようこそ』舞台挨拶&記者会見もご覧下さい。

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(取材・写真・まとめ:梅木)
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