女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
(1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
いっこく堂とビリー

『デッド・サイレンス
腹話術人形ビリー来日!?記者会見


© 2007 UNIVERSAL STUDIOS All Rights Reserved.

日本でも大ヒットし、シリーズ化されてパート4まで制作されている『ソウ』の生みの親である、ジェームズ・ワンとリー・ワネルの新作ホラー『デッド・サイレンス』。腹話術人形にまつわる謎と恐怖の物語ですが、映画のキャストとして重要な位置を占めているのが人形のビリーくん。そのビリーくんが映画の公開に先立ち、緊急来日して記者会見を開くというので行ってきました。ビリーくんの通訳(?)をつとめるのは、いっこく堂の玉城一石(たまきいっこく)さん。はて、どんな会見になりますか?

ちなみに、いっこく堂というのは、いっこくさんと師匠やカルロスといった人形たちを含めた劇団全体を指す名前なんだそうです。なので、この日は玉城一石さんとしての登場です。通訳は慣れない仕事だけど、師匠たちに励まされて出てきたとのこと。

さて、司会の筒井さんがビリーくん登場を願ったところ、何やらどこからか声が聞こえてきます。

Help me〜!

いっこくさんがステージ上にあった箱を開けると

「Help me〜!」

いっこくさんとビリー 助け出されたビリーくんはご機嫌斜め。「Do you kill me?(殺す気か)」といっこくさんや司会をにらみます。その眼、怖いって。なんとかご機嫌を直してもらって、みなさんにご挨拶です。

ビリー:Hello everyone, welcome to my theatre. (みなさん、こんにちわ、わたしの劇場へようこそ)I came to Japan for the first time, thank you.(日本へは初めて来ました、よろしくお願いします)

ー ところでこの映画の見所は?

ビリー: You scream, you die.(叫んだら死ぬよ)

ー あの、今通訳しなかったんですけど、日本語わかるんですか?

ビリー:もちろん、知ってるよ

いっこく:なんか不機嫌ですね

ビリー:舌を抜いてやろうか

いっこく:ぼくが舌を抜かれたら商売あがったりですよ

ビリー:生意気な奴だと聞いているぞ

いっこく:誰にですか?

ビリー:ぼくには腹話術人形界のネットワークがあるんだ

いっこく:それで?

ビリー:それでもわからないのか? おまえの身近にもぼくと似たような者たちがいるだろう

いっこく:ぼくの身近にいるのは、さとるや、ジョージや、師匠ですけど。あ・・・、そういえばこの間、ジョージがぼくのパソコンの前に座ってたなぁ


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またまた、気持ち悪いことになってきました。このあと、記者からの質問が受け付けられました。

Q:先ほど英語でも腹話術を披露されてましたが、日本語と英語の腹話術に違いや、工夫されていることはありますか?

いっこく:fやvの下唇をかむ発音が日本語にはないもので、これを口の中の舌に触れることで代用して発音していますね

ビリー:簡単だ

Q:腹話術をやっていて、映画のように怖いことになったとか、人形から何かを感じ取ったりすることはありますか?

ビリー:(にらむ)

いっこく:本当はあるんですけど、あんまり言うなといわれてますんで・・・ でも、確かに一瞬ですけど、舞台の上で人形先行で何かものを言われてしまうことがあります。そのときには、ちょっとハッとします

Q:映画の中では腹話術師の人形への尋常でない愛情が描かれていますが、いっこくさん自身は、人から見るとちょっと変かなと思われるような人形への愛情はありますか?

いっこく:自分で変だとは思いませんが、例えば手がポンと人形にあたってしまったときに「あ、ごめんね」って謝ったりするようなことは日常茶飯事ですね

ビリー:それが変だと世間では言う

いっこく:やっぱり大切にしなきゃなという気持ちはあります。仲間なんでね。ちゃんと拭いてあげるとか、綺麗に保管するとか、ちゃんとベッドに、いやベッドというか棚に寝かせてあげるとか。体勢が悪いと苦しいんじゃないかなとか、ビリーの場合はちょっと寒そうだったんでコートを掛けてあげたりとかしてました

ビリー:やさしい・・・

Q:いつもは師匠やジョージたちと一緒ですが、今日は?

いっこく:今日はね、えっと・・・

ビリー:袖にいるな

いっこく:師匠来てたんですね

いっこく堂とビリー

師匠:あたりまえじゃ。やっぱりおまえはわしがいないとだめじゃな。わしとビリーの相性は合うかな?

いっこく:合うんじゃないですかね

ビリー:尊敬してます・・・

いっこく:まぁ、腹話術界の重鎮ですからね

師匠:わしと結婚したいとかいうことか?

いっこく:いや、そうじゃないです。師匠いると、ホラーが台無しになると思います

とまぁ、ビリーくんといっこくさんと師匠という奇跡の3ショットが実現して記者会見は終了しました。

それにしても、ビリーくん達者な日本語で。通訳いらなかったんじゃ? そんなビリーくんが大活躍し、『ソウ』のジグソウもカメオ出演している『デッド・サイレンス』は3月22日(土)より有楽町スバル座ほか全国ロードショーです。

作品紹介はこちら

(取材・写真:梅木)

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