女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

『ノートに眠った願いごと』ユ・ジテ初日舞台挨拶

2007年11月3日(祝) シネマート六本木
ユ・ジテ

『バンジージャンプする』のキム・デスン監督の第3作『ノートに眠った願いごと(原題:秋へ)』に主演のユ・ジテが来日。公開初日の舞台挨拶が行なわれた。
会場には舞台挨拶のチケットを入手するために早朝よりつめかけたファンでぎっしり。上映後のまだ余韻の覚めやらぬ中、歓声と拍手で迎えられユ・ジテ登場!会場の熱気に手を振って応えたりと、これまでのユ・ジテにはあまり見られなかったパフォーマンスも飛び出し、短い時間だったがファンとの交流を楽しんだ様子だった。

まずは挨拶から・・

ユ・ジテ

こんにちは、ユ・ジテです。
みなさん、楽しんでご覧いただけましたか? 
この映画は一年をかけて撮影しました。監督も私も、スタッフみんなが一体となっていい映画を作ろうと努力して頑張って作った作品です。例えてみれば手作りの工芸品のようなもので、自分の手で削ったり、陶磁器をつくるように真心をこめた作品です。一つ一つの真心がみなさんに伝わればと思います。

Q:ヒョヌを演じていかがでしたか?

僕が演じたヒョヌという人物は、愛していたミンジュを失ってしまいます。その後10年間は罪悪感に苦しんで生きてきたのですが、映画撮影中はどうしてもキャラクターが自分の中に入り込んでくるので、私の人生に深く染み入ってきて撮影中も常に辛い気持ちでした。周りの方からも「辛そうですね」と言われるほどブルーな気持ち、罪悪感や喪失感にさいなまれ、自分自身と役柄とのバランスをとるのが大変でした。

Q:ご自身がお気に入りのシーンはどこでしょうか?

ミンジュがヒョヌを想って会いたいあまり想像するシーンです。ソセウォンという場所で、雪が降る中、ヒョヌがコーヒーを持って立っているシーンがあるのですが、ガクッと滑りそうになるところもあって、この映画が持っている温かさを伝えるシーンに思えて気に入っています。

この後は、観客から直接質問を受けるコーナーがあり・・

Q:特殊な時代や環境にある時の役と、平凡な青年を演じている時では役作りの違いはありますか?

ユ・ジテ

『オールドポーイ』や『美しき野獣』『南極日誌』などに出演を決めたのは、ジャンル映画としての強さや激しさ持った作品性のあるものだったからです。ですので今回の作品は初めは何か物足りない感じがあり、もっと演技しなくてはという気持ちが少しありました。でもよく考えてみると、激しいジャンルのものよりもラブストーリーの演技の方が、空白の美を必要とされるので、もっと難しい気がしました。どの映画にも共通することかもしれませんが、言葉で何かを伝えるよりにじみ出るような演技の方が難しいと実感しました。少ないセリフで日常生活を演技するのは、俳優としての心構え、気持ちの持ち方が本当に大変ですし、感性を自分の中で見つけ出して演技に投影させる必要性を強く感じました。

Q:日本語でなにかお話できますか?(というリクエストに・・)

(日本語で)僕は日本で勉強しました。4ヶ月くらい勉強しました。少し日本語を話します。
※『春の日は過ぎ行く』のプロモーションで来日した際、そのまま帰らず日本に滞在していたとか。

ユ・ジテ ユ・ジテ

6月のショートショートフィルムフェスティバルの審査員に続き、今回は俳優しとて、久々のラブストーリーを携えての来日。『リベンバー・ミー』『春の日は過ぎゆく』の優しい笑顔のユ・ジテが見られます。日本でも記憶に残る衝撃的な出来事を題材として扱い、青年の心の再生を韓国の美しい自然を見せながら丹念に綴った作品となっています。10年の時を経て映画としても観客に受け入れられるようになったのではないかと思います。

音楽は、『接続』や『カル』でセンスの良さが際立っていたチョ・ヨンウク。心の琴線に触れる音楽と、紅葉の美しさに心癒される作品です。

★『ノートに眠った願いごと』は11月3日よりシネマート新宿、シネマート六本木ほか全国順次ロードショー

作品紹介はこちら

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(文・写真:日向夏)
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