女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

『ヘレンケラーを知っていますか』初日舞台挨拶レポート

3月24日(土) 銀座シネパトスにて

『ヘレンケラーを知っていますか』(中山節夫監督)の初日舞台挨拶が行われました。

まず、今回、映画初主演で15歳から78歳までを演じられた小林綾子さんのご挨拶が行われました。NHKドラマ「おしん」の子役で世界中に知られた小林さんですが、舞台とテレビドラマでの活躍が中心で、映画は初主演だったんですね。

小林綾子

小林:今日は朝早くから観に来てくださいまして本当にありがとうございます。私、この映画で初主演をやらせていただきました。本当に嬉しく思っています。
 盲聾の役ということで、どんな風に演じたらいいのか、撮影に入る前に盲聾の女性にお会いする機会をえて、そこで勉強させていただきました。その方はとても朗らかだったんですね。でもお話では、何度も人生をやめたくなることがあったと伺いました。たくさんの苦労を乗り越えて、大変な思いをされてきたと思います。それをいかに役柄として私が映画の中で表現できるか、一生懸命努めてまいりました。
 この映画では、15歳からなんと78歳まで演じているんですね。その多くがおばあさん役の78歳の役なんです。女学生のところは、セーラー服着て、三つ編みして若づくりして、まだ何とかごまかせるところはあるかなあと感じたんですが、おばあさん役というのは、私の年齢ではとても難しい挑戦でした。特殊メイクなども使っておりませんし、かつらをかぶって、あとは猫背になってみて、腰を落として手の仕草をおばあさんっぽくしてみたり、声のトーンを低く下げてゆっくりしゃべるなど、自分なりに工夫し、随分おばあちゃん研究もしました。
 この映画に出てきた手話を習いましたので、皆さんにご披露したいと思います。“(手話で)みんなちがって、みんないい”これを覚えてお帰りいただきたいなと思います。

会場から手話に「上手!」の声と大きな拍手が送られました。

引き続き、この映画の公式PR大使である女劇TOKYO23KUの皆さんによる、手話イベントも行われました。女劇TOKYO23KUとは、仕事や学業をこなしつつ、演劇とボランティアを両軸にして活動している女性だけの劇団です。メンバーの名前はそれぞれが縁があったり、思い入れのあったりする東京23区名になっています。その名前を、今回は手話で自己紹介。知っている地名に場内が沸きました。そして、金子みすゞの詩の「こだまでしょうか」を品川くんと大田くんが、「ばあやのお話」を港くんと足立くんが、「星とたんぽぽ」を板橋くんと豊島くんが、手話と朗読で披露しました。

最後に映画のテーマの「私と小鳥と鈴と」の一節“みんなちがって、みんないい”の手話を観客の皆さんにレクチャーし、共に声を揃えて“みんなちがって、みんないい”を言いながら手話で表すことに成功しました。

TOKYO23KU:私たちは試写会でこの映画を拝見して、最初からずっと感動しっぱなしで、終わった後は皆涙で顔がぐしゃぐしゃで、そのぐしゃぐしゃの顔のままPR大使として紹介されたというエピソードもあります。それぐらい心に響く映画です。この言葉は私たちも胸を打たれた言葉なので、周りの方で手話を知らない方がいらっしゃったら、是非“みんなちがって、みんないい”の手話を教えてあげて下さい。宜しくお願いします。

写真・資料提供:フリーマン・オフィス まとめ:梅木

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『ヘレンケラーを知っていますか』公式HPはこちら

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