女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

『香港国際警察 NEW POLICE STORY』来日記者会見

ダニエル・ウー、ジャッキー・チェン、ニコラス・ツェー

2005年2月24日(木)  於 東京全日空ホテル
出席者:成龍(ジャッキー・チェン)、呉彦祖(ダニエル・ウー)、謝霆鋒(ニコラス・ツェー) 
司会:襟川クロ

3月5日(土)からの公開に先駆けて、御大ジャッキー・チェンが次世代の香港映画を背負って立つであろう若手ダニエル・ウーとニコラス・ツェーを引き連れて来日記者会見を行いました。
ここのところハリウッドでの出演作品が続いていたジャッキーですが、この作品は香港に戻り、相当な覚悟と気合いを入れて自分の思うように撮った入魂の一作です。その思いが伝わる、久々の傑作香港アクション映画になっています。沢山の若手俳優が出演しているのも楽しいです。中でも、犯人役だったダニエルの成長ぶりには目を見張るものがあります。二世俳優も多数いますので、誰が誰の子かを当てるのも一興でしょう。そして久々にスクリーンに復帰した楊采[女尼](チャーリー・ヤン)の変わらぬ美しさも必見ですよ。

*挨拶*

 ミナサン、コンニチワ。この記者会見で皆さんにお会いできて嬉しく思っています。この新しいポリス・ストーリーを皆さんに紹介できる事を凄く誇りに思っています。ここに来る前に、既に多くの映画ファンや評論家の方々がこの映画を賞賛して下さるのを聞いています。今回日本に来るのは、とても嬉しいし自信も持っています。皆さんの応援をよろしくお願いします。

 ミナサマ、コンニチワ。本当に久しぶりに日本にやって来られて嬉しく思っています。お会いできない間、日本のファンの方々に早く会いたいという気持ちで一杯でした。そしてここに来られる機会を作ってくれたのはジャッキーで、とても感謝しています。映画の方は是非楽しんで下さい。

 コンニチワ、ワタシハ ダニエル・ウーです。また日本に来られて、とてもとても嬉しいです。この作品は我々が汗と涙と努力を、本当に心を傾けて作った作品です。香港のベストな映画を観ていただきたいと思って作った作品ですので、是非ご覧になって下さい。

*質問*

Q 今後ハリウッド映画の他に、中国や韓国など色々な国の俳優やスタッフが共演する国境を越えたインターナショナルな作品を作っていく予定はありますか?

 はい、あります。この後、韓国のテレビ局と30集のテレビドラマを製作する話を進めています。それから、アメリカではある会社と10本のアクション映画を製作する話があります。1本、200から500万米ドルぐらいの制作費です。でも僕はプロデューサーとして関わっているだけです。また、来年には日本の会社と日本のどこかで映画を撮影する予定になっています。銀座(※注)で起こる事件の物語です。でも夜、銀座で撮影する事は難しいと思いますので、どこかに銀座のセットを組んで撮影する事になると思います。これから段々とアジアの国々と協力して映画を撮っていきたいと思っています。今アメリカの大きなスタジオも、アジアの協力できるスタジオを探しています。将来的に最も大きなマーケットはアジアだからです。アメリカでは俳優の値段も制作費もどんどんとつり上がっていくばかりです。僕自身もそうですが。

(※注)ここで銀座と言っていたのが、あとで訂正が入り、新宿の間違いであることが分かりました。ジャッキーの勘違い。確かに夜の歌舞伎町あたりで撮影するのは難しいかも。

Q 今、タイではトニー・ジャーというアクション俳優が活躍していますが、彼もジャッキーさんと同じように、スタントマンを経て有名になった方で、噂ではジャッキーさんとの共演の話しもあると耳にしました。彼の事はどう思われますか?

 僕も彼の映画は観ましたが、僕の若いときに似ているなと思いました。しかし今はオーストラリアやアメリカでも、素晴らしいアクションをする人たちがとても多いです。なぜなら、最近は武術やアクションに興味を持つ人たちがどんどん増えていますから。僕がプロデューサーとしてやるのかどうか、まだ分かりませんが、トニーと一緒にやる話は出ています。でも次から次へと色々なプロジェクトがあって、僕一人ではやりきれなくなっています。今年は自分で監督する映画が控えています。ジカンガナイネ。

Q 今回の撮影で苦労した点や現場の雰囲気をお話しして下さい。

 僕は香港の中だけで撮った純正の香港映画を撮ろうと決めました。それで何が撮れるかと考えて行き着いたのが、『ポリス・ストーリー』でした。でも自分の中には色々な葛藤がありました。今回自分が演じるのは失敗した警察官です。お酒を飲んで、失恋をして、若者に助けられるんです。こういうストーリーは僕にとっては大きな挑戦でした。でも他の人たちに多くの機会を与えていかなくてはならないと思ったのです。最終的に出来上がったものはとても良いものになりました。東南アジアでも大ヒットしてますし、色々なところで賞をいただいたり、評論家の方々にも良い評価をいただいて、とても嬉しく思っています。スタッフ、出演者を代表してお礼を申し上げます。自分の好きなものを撮って評価してもらえれば自信が持てます。この次の脚本はもう既に書き上がっているのですが、僕が演じるのは世界で最も悪い男です。皆さんどうぞご期待下さい。きっと観たら驚くと思います。

Q ご自分からみて、他の二人をどの様に感じていますか?尊敬している点は?

 僕は子供の頃からジャッキーを見てきました。そして撮影の時には本当に沢山のことを教えてもらいました。ジャッキーの普段の細かい仕草を見ていると、色々な事を学ばなくてはいけないなと思います。ジャッキーの精神については、僕が言うまでもないでしょう。
 ダニエルは第一作目の時に共演して以来、ずっと良い友人で、暗黙の了解の内に事が進められます。彼の心や時間厳守の所、献身的な態度といったものは素晴らしいと思っています。

 ジャッキーは小さい頃から僕のアイドルでした。香港で仕事をしていて、とうとうこのように共演する機会に恵まれました。ジャッキーが教えてくれるのは、役者としてどうこうとか、演技の方法だとかではなく、よりよい人間であるためにはどうすればいいかという事です。例えば撮影現場にいても、たばこの吸い殻を自ら拾って片づけたりして、そういう姿勢を見ているだけで、人間としてこうあるべきだという基本を自分の中にチェックしないではいられません。
ニコラスとは二人ともこの業界に入ったばかりの頃からのつきあいです。彼がその頃から変わっていないのは、向こう見ずと言ってもいいくらい勇敢なところですね。アクションシーンの撮影においても、音楽活動においても、或いは役者としての演技の面においても、どんな場面でも誠心誠意ぶつかっていく態度が素晴らしいと思います。特にこの業界の中でそのような態度を貫くことは難しい事だと思いますが、彼のそういった点をリスペクトしています。

 これまで新しい人たちを捜し続けていました。僕は若い頃に沢山のチャンスを与えてもらったので、僕も新しい人を発掘して機会を与えたいと思っています。ダニエルは出逢った頃、広東語も北京語も一言も話せませんでした。今ではどちらもとても上手に話せるようになりました。これは凄い大変な事だと思います。特に広東語については。時々会社に戻ると、彼は一人脚本を読み広東語を勉強している姿が見られました。なかなか出来ない事だと思います。だから、事あるごとに彼を起用するようにしてきました。アメリカにも連れて行ってチャンスを与えたり、この映画にも出演してもらったりしているわけです。彼は抜きんでた俳優だと思います。
僕は香港監督協会の会長をしています。俳優協会の会長でもあります。会議の時には色々な話を聞きます。監督たちがどの俳優が遅刻した、どの俳優が酷い、誰が良くない、誰が仕事をしないなどです。でも、どの監督からもニコラスが良くないと言う事は聞いた事がないです。僕は人を選ぶときに、まず向上心がある、困難を恐れず努力家である若い人を選びます。この映画に出てくる若い人たちは皆、僕が気に入っている人たちです。この業界に限らず、どの業界の人でもこういった精神はとても大切だと思います。それが僕がこの二人と一緒に撮った理由です。

Q ジャッキーのパワーを保ち続ける秘訣は?

 トレーニング!トレーニング!トレーニング!昨日の夜もステーキを一杯食べたし、カニも一杯食べました。梅酒も沢山飲んだんですよ。だから、部屋に帰ったとたんに(腕立て伏せのアクション、会場笑)。一杯食べるけれど、その後に必ずトレーニングしなくちゃいけません。この世の中、トレーニングもせず薬だけで痩せることはできません。(若い女性の質問者に向かって)Remember! ただ座って薬を飲むだけで太らないなんて不可能です。薬を飲んでも、トレーニング!トレーニング!トレーニング!

Q この作品に参加するにあたって、一番意識した事、重要だと思った事は?

 実はとてもプレッシャーを感じました。『ポリス・ストーリー』シリーズは世界中でヒットした映画ですし、我々新人がジャッキーと一緒に映画を撮るということからです。撮影現場で時々自分をたたいて、夢を見ているんじゃないかと確認したりしていました。現場ではいつもテンションを高くキープするように努めていました。エネルギーをキープしていれば、僕は何でもできるんです。

 確かにプレッシャーはありました。以前『ジェネックス・コップ』や他の映画でジャッキーとはちょっと共演した事がありましたが、その頃は自分がこんな凄いジャッキーの映画に出られるとは思ってもみませんでした。撮影に入る2週間前から、ジャッキーが以前撮った作品を全部ビデオで観ました。実際にスタントをやって怖い事もありましたが、『ジェネックス・コップ』を撮っていたときにジャッキーに言われた言葉があり、それを思い出していました。4年半前のある日、ジャッキーが僕に言ってくれたのは「覚えとけ。以前の僕は今日のお前だ。今日の僕は今後のお前なんだよ。」ということでした。これを思い出すと、やり続けなくてはと思うのです。
(ニコラスの記憶がちょっと曖昧だったので、ジャッキーが通訳に言い直して伝えていました。「今日のお前は以前の僕だ。今日の僕は今後のお前だ」だそうです。)

 実際僕は頭が良いと思いました(笑)。この作品を撮るときにどう言えば新人を騙せるかな、と。この作品の評価が良くなかったら、若い人たちが良くなかったと言えるし、良ければ僕の力ですし。アタマイイネ(笑)。
ここに来ている皆さん、そしてファンの皆さん本当にありがとうございます。20年前『ポリス・ストーリー』を撮り始めてから今までずっと撮ってきて、今観ても面白いと言って下さる。この長い間ずっと応援して下さって、心からお礼を申し上げます。皆さんの応援があるからこそ、僕も『ポリス・ストーリー』をパート20くらいまで撮れるわけです。パート20になったら僕は全く動かずに椅子に座ってふんぞり返っているだけで、「ゴー!」(座ってふんぞり返って左手でゴーサインを出す)。ドウモアリガトウゴザイマシタ!

 

 

 

 

 

ジャッキー・チェン

 

 

 

 

 

 

ニコラス・ツェー

 

 

 

 

 

 

ダニエル・ウー

 

 

 

 

 

 

ジャッキー・チェン

 

 

 

 

 

 

 

ニコラス・ツェー

 

 

 

 

 

 

ダニエル・ウー

 

 

 

 

 

会場には大変な数のマスコミが押しかけていました。ジャッキーは終始ご機嫌で語っていましたねぇ。でも若い二人をPRすることもしっかり忘れておりません。さすが御大。
会見では3人とも、広東語と英語を駆使して話していました。ですから通訳さんも2人です。ダニエルは基本的には英語を使いますが、本当に広東語が上手になりました。
初めて間近で見るニコラスは可愛かったですよ!色々と経験して、ちょっと大人になった感じです。映画の中でもとっても良かったので、皆さん是非ご覧になって下さいね。

★3月5日から 有楽町スバル座ほか全国ロードショー
 作品紹介はこちら

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(取材、撮影:梅木・景山 まとめ:梅木)
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