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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
中国映画祭2002(9・18--22 朝日ホール、国際フォーラム)

『ラブストーリー・バイ・ティ(原題:菊花茶)』
ジン・チェン監督インタビュー

<映画紹介>

監督 金chen(ジン・チェン)
出演 陳建斌(チェン・ジェンビン) 呉越(ウー・ユエ)
2000年/92分

 青海省・ゴルムドの凍てつく長い冬。鉄道技師のマーは職場の勉強会で、古典詩を教える女性教師、リーと出会う。過去の失恋の傷を引きずるマーと重い心臓病を患うリーは、お互いに救いを求めるかのように愛し合い、結婚。つかし心臓発作による死を恐れ、二人は夫婦の契りを結ぶことができない‥‥。

 登場人物は最少限。「小雪」から「啓蟄」までの節気に重ね、少しずつ距離を縮めてゆく二人の純愛を静かに、シンプルに描く。沈んだ色調の中で、黄金色の菊花茶が生命の蘇りの象徴として使われている。

ジン・チェン監督インタビュー

ジン・チェン

ー とても美しい映画だと思いました。

ありがとうございます。

ー この映画はリアリズムではなく、映像的に「観せる」作品と感じましたが、いつもあのような手法を使われるのでしょうか?

詩の中には絵があり、映画も詩に近いものと考えています。詩を映画として撮る、詩で絵を描く。「詩情画意(詩や絵のような美しさ)」という言葉がありますが、これをまさに映画の手法として使いました。

ー 以前の作品も同じ手法で撮られたのですか?

はい、大体同じ手法です。長い詩、短い詩、色々なタイプの詩を映画にするという感じで撮っています。

ジン・チェン

ー この作品のアイデアは?

『山の郵便配達』の原作者でもある彭見明(ポン・ヂェンミン)が書いた「愛情」という小説が原作です。数年前の作品ですが、あまり評判にはなりませんでした。

ー 撮影で苦労された点は?

まず、お金ですね。そして現地の環境。零下27度の寒さで、しかも海抜2700メートル。高度障害もあったし、身心共に疲れ切りました。

(取材/岸井・景山 撮影:景山)


<おまけ>

正式インタビューに入る前、控え室で監督と少しお話をしました。以下、その内容。

ー 青海省の広大な風景が素晴らしく、物語も素朴な感じで気に入りました。

ありがとうございます。

ー 主演男優の陳建斌(チェン・ジェンビン)さんより、監督の方がずっと素敵ですね。俳優のご経験はあるのですか?

(照れながら)ないですよ。

ー ぜひ今度はご自身で出演してください。

(照れるのみでした!)

(景山)

 これが第2作目の金(ジン)監督は、いかにもスマートな現代青年という雰囲気。1作目は『網絡時代的愛情(インターネット時代の恋)』と、やはり今っぽいタイトル。その人がこのようなしっとりとした作品を撮るとは意外(失礼!)でした。前作も同じような手法とのことだから、タイトルの印象とは違って風雅な作品と期待できそうですね。

 彭見明(ポン・ヂェンミン)の「愛情」は、昨年『山の郵便配達』の公開時に買った作品集に収められていたのを読んだのに、原作のことを聞くまで、不覚にも忘れていました。映画を観ながら、「この話、どこかで聞いたような…」とうすうす感じてはいたのですが、主人公の職業と女性の病気以外、設定がすっかり変わっていたせいもあって気がつきませんでした。原作は、市井の一つのエピソードといった感じで淡々とさりげない調子で書かれていますが、金(ジン)監督は映像ならではの表現を駆使し、これを珠玉の愛のメルヘンとして作り上げたのです。(岸井)

舞台挨拶写真

チェン・ジェンビン、ウー・ユエ、ジン・チェン  チェン・ジェンビン、ウー・ユエ、ジン・チェン  ジン・チェン
ジン・チェン、ウー・ユエ、ジン・チェン  ウー・ユエ  ウー・ユエ
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