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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

安田真奈監督作品オールナイト上映

少し肌寒くなった9/22土曜日の夜、安田監督の作品が一挙に観られるというオールナイト上映に行ってきた。作品は観てみたいもののオールナイトなんて初めて(徹夜すること自体ここ何年もしていない)なので、寝てしまわないか不安だったけど、とにかく作品がおもしろいのと間にトークショーをはさむという配慮で全然眠くならずに楽しめた。上映作品の紹介と感想をお伝えしたい。(『オーライ』は前述なので除く)


『わっつ・ごーいん・おん』92年34分8mm

94年五日市(あきる野)映画祭グランプリゲストでいらしていたあきる野映画祭事務局の小林さんが「観てすぐ、これがグランプリだと思った」と話されていた作品。留年している学生と一足早く社会に出ている元同級生が、一緒に活動していた映画研究会がなくなるのを機に同窓会を開く。少しずつ変わっていく同級生を見てさみしく思ったり変わっていないとホッとしたりする複雑な思いを見事に表していた。セリフがリアルで「うんうん、そう思うことってあるよ」と何度も思った。34分とは思えない凝縮された作品だった。


『おっさん・らぷそてー』95年45分8mm

96年広島映像展グランプリ 96年あきる野映画祭脚本賞受賞
ある会社の新人研修を受けている新入社員に、事故で亡くなった熱血会社人間のおっさん幽霊が乗り移り、やる気のない若者にカツを入れるというコメディ。乗り移ったおっさんは仕事大好きでお説教ばかりでうっとうしいんだけど、いつしか頑張っているおっさんを尊敬するようになるという話に、ホモ疑惑とかグレている息子のエピソードが絡んでくるが、話があちこち飛ばずにピタッと落ち着くのがすごいと思った。


『Listen to CAMERA』98年18分8mm

映画を撮っていた恋人に先立たれた女性が、恋人のカメラを手に彼に見せたい風景を撮りながら、悲しみを乗り越えて行く様子が綴られた作品。大げさに悲しみをあおるような演出でなく淡々と撮っている事によって、ふとした時にもう恋人がそばに居ない喪失感や悲しみが浮かび上がる繊細な作品だった。


『ヒトチガイ』94年15分8mm

96年キリンコンテンポラリーアワード奨励賞 96年ひろしま映像展演技賞
ある日急に見知らぬ女性に妹と間違えられ、延々と追いかけられるサスペンスもの。追いかける女性を安田監督が演じているのだが、こわいのなんの。妹ではないと言っているのに有無を言わさず追いかけてくる迫力がすごい。演技も出来るのだ。家まで追いかけてきて、隠れた妹を探す時に床がずーっとキーキーときしむのが緊張感があった。今まで観た作品と全くテイストが違うのにびっくり。


『忘れな草子』96年16分8mm

97年あきる野映画祭グランプリ
旅行で行った尾道の風景・用事で行った鎌倉の風景・8年前に図書館で注文して今ごろ届いた本・昔の友人の消息、この4点をうまくつなげてひとつの物語に作り上げたそう。尾道での同窓会旅行の際に話題に出てきた昔の友人を鎌倉に出張へ行った時に訪ねてみるが、その友人は夢やぶれて故郷の奈良に帰ってきていた。そんな時8年前に注文していた本が届き、その友人が自分の名前で予約していた事を思いだして久しぶりに会う。そして昔語り合っていた自分の夢を思い出す…・・。もともとあったそれぞれのネタをよくぞこううまくまとめるなあと感心しきり。『オーライ』舞台挨拶の時に話されていた、いくつかの条件を入れなくてはいけないTVの脚本を書いていたのが生かされているのだろう。


『ハレのちザクザク』2000年36分VIDEO

のどかな田舎の島に化石が出るという話が出て、いい大人がそれぞれの思惑を胸に必死で化石を探しまくるという明るいタッチのドラマの中に、そっと大事にしておきたい故郷への思いや、いつも憎まれ口ばっかりたたき合っている幼馴染の男女の微妙な関係が盛りこまれている。


『something interesting』2000年1分VIDEO

『オーライ』主演の三嶋幸恵さんのプロモビデオ?風の1分間のイメージビデオ。公園で人待ち顔の三嶋さんが、置いてあった一輪車を見つけて試しに乗ってみるがうまくいかず、ムキになって乗る様子を撮影したもので、三嶋さんがかわいく撮られていた。


『イタメシの純和風』97年26分8mm

96年あきる野映画祭グランプリ 98年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭入選 2000年インディーズムービーフェスティバル入選
メークアップアーチストを目指すヒロインが、ちょっとした挫折を味わい、両親が引っ越したかなりの田舎家に帰ってきて、いとこだという田舎娘と交流する様子を描いたもの。都会育ちのヒロインは田舎の生活が不便だとグチばかり。田舎娘の文ちゃんは「そんなことない」とばかりにカマドでイタメシも作ってしまう。凄く昔の新聞が出て来てそれに載っていた化粧品の広告や「美人の心得」という記事を見て、又メークへの情熱を取り戻していく。顔も考え方も対称的な二人のやりとりがおもしろい。


安田監督の作品には観た後に、「さあ明日もがんばろうか」と思えるような明るさがある。テンポの良い関西弁のセリフをおもしろく聞いているうちに、大事な何か、監督が作品で言いたい事がトンと胸におちてきて優しい気持ちになれる。もっともっと観ていたい・・・・そんな気分のまま帰路についたのだった。

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(文:みずま)
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