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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
(1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

『ケープタウン』
オーランド・ブルーム記者会見

『ケープタウン』


オーランド・ブルーム

8月30日(土)新宿バルト9 他にてロードショー!


作品紹介

凄惨な殺人事件。多発する子供の失踪

南アフリカ、ケープタウンで起こった「子ども失踪事件」の捜査をする2人の刑事ブライアン(オーランド・ブルーム)とアリ(フォレスト・ウィテカー)は、事件の背後に麻薬を巡る組織的な陰謀があることに気付く。事件の真相に迫った時、2 人の刑事はケープタウンに潜む深い闇に飲み込まれていく。
人気の元ラグビー選手の娘が殺された。2 人の刑事ブライアンとアリが、少女の事件当夜の足取りをたどるとある薬物の売人と会ったことがわかる。その薬物は、最近頻繁に起こっている「子ども失踪事件」の現場にも残されていたものだった。その成分が明らかになり、一連の事件は組織的な陰謀の一部分に過ぎないことがわかってきた。事件の真相に辿り着きついた2人の前に、最新の銃器で武装した凶暴なギャングたちが立ちはだかる
ブルームは「仕事はできるが女にだらしなく、酒を手放せない」刑事ブライアンを熱演している。フォレスト・ウィテカーは南アフリカで初めての黒人管理職でブライアンの上司を演じる。
原作はフランス推理小説大賞他、7つの賞を受賞した小説「ZULU」。
第 66 回カンヌ国際映画祭 アウト・オブ・コンペティション部門 クロージング作品

監督:ジェローム・サル(『ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀』)
脚本:ジュリアン・ラプノー(『あるいは裏切りという名の犬』)、ジェローム・サル
原題 ZULU
出演:オーランド・ブルーム フォレスト・ウィテカー コンラッド・ケンプ
原作:「ZULU」キャリル・フェリー著
2013 年/フランス/シネマスコープ/DCP5.1ch/107 分
配給:クロックワークス


(C)2013 ESKWAD-PATHE PRODUCTION-LOBSTER TREE-M6FILMS

公式HP http://capetown-movie.com/

シネマジャーナルHP 『ケープタウン』作品紹介
http://cinemajournal-review.seesaa.net/article/404643565.html
ミッキーの毎日・映画三昧
http://mikki-eigazanmai.seesaa.net/article/404625817.html


オーランド・ブルーム

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの王子レゴラス役でブレイク。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズでは、ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)に振り回されるウィル・ターナー役を演じ人気者になったオーランド・ブルームが、最新作『ケープタウン』のプロモーションのため7年ぶりに来日した。
今作では、今までの作品で見せた好青年とは全く違う「仕事はできるが女にだらしなく、酒を手放せない刑事」という、自堕落でワイルドな役柄を演じた。
ブルームの育ての父は、南アのアパルトヘイトに反対した社会活動家であり、ジャーナリストだったという。


オーランド・ブルーム記者会見

2014年 8月27日 ザ・リッツ・カールトン東京


オーランド・ブルーム

*役柄が決め手

司会 公式に日本に来ていただいたのが7年ぶりということで、日本のファンもオーランド・ブルームさんの来日を非常に楽しみにされていると思います。久しぶりに日本に来た今のお気持ちを話していただけますか。

オーランド・ブルーム:日本は大好きで、日本に戻って来られて本当に嬉しいです。初来日は確か23歳、『ロード・オブ・ザ・リング』の時でしたが、その時から本当にステキな記憶がたくさんあって、日本に早く戻りたいと思っていました。今回も大好きな日本食と、日本の文化を味わって帰りたいと思います。

司会:ありがとうございます。ではさっそく、オーランド・ブルームさんの新作『ケープタウン』のお話しを伺いたいと思います。カンヌに行った時のインタビューでオーランド・ブルームさんはこの作品の出演に対して思い入れがあると聞いたんですけど、出演を決めたポイントをぜひ教えてください。

オーランド:なんといっても今回演じたブライアン・エプキンというキャラクターが決め手でした。自分でも劇中のセリフで言うのですが、ちょっと自堕落な生活を送ってはいるけれど、同時に矜持(きょうじ)というものもはっきり持っていますし、倫理観、価値観。価値観は少し揺らぐこともあるんですけれど、間違っていない、そういう価値観をしっかり持っているキャラクターで、やり甲斐があると思ったのが引き受けた理由です。

司会:とてもワイルドな役どころでかっこよかったんですが、さらに名優フォレスト・ウィテカーさん(『ラストキング・オブ・スコットランド』など)とのコンビぶりも素晴らしかったと思います。フォレスト・ウィテカーさんとご一緒して、どんな思い出が残っていますか?

オーランド:フォレスト・ウィテカーと共演できたことは光栄でした。本当に才能があり、アーティストでもある彼とスクリーンを分かち合うことができたこと、本当に嬉しく思っています。

Q:今回、ブライアンはアウトローな役柄です。演じる上でさまざまな困難があったと思いますが、どのように乗り越えたり挑戦されたのかを教えてください。

オーランド:今回このキャラクターを演じることに演じ甲斐があると感じて役に向かったわけですが、監督とも最初に話したときに、「自分がファイナルカット権を持っている。そして、スタジオ映画ではないから振り切ってやろう」と声をかけてくれました。自分もそういう姿勢でおおいに楽しみながら、このキャラクターがもたらしてくる挑戦に向かったわけです。
今回演じたブライアンは矜持といった核の部分をしっかり持っているのですが、南アフリカで警察官であるということは本当に大変なことなんです。撮影前に南アフリカに4週間6週間入って過ごした中で、自分は理解しました。まず南アフリカの文化、南アフリカで男性であるということはどういうことか。そして南アフリカで警察官であるということがどういうことか。そういうことをその期間に知ったんです。その時に警察官として南アフリカに生きることの厳しさも知りましたし、また、多くの一般の方の人生がいかに厳しいものなのかということも目にしました。言い換えれば一人の命の代価がとても安いということでもあり、命に重きを置かれないということは、警察官としてはより仕事が大変になることも知りました。そういうことを鑑みて、このブライアンというのは警察官として生きる上で、毎日厳しい現実に直面したくないという気持ちから、おそらくタバコを吸ったり、アルコールや薬に依存している。そういうキャラクター造形が浮かび上がってきました。

Q:ブライアンのキャラクターは、今までオーランド・ブルームさんが演じてこられた数々のキャラクターと、違って無頼というか、ワイルド、ハードボイルドでした。他の作品を演じた時と何か変えられたこと、特別に意識したことはありますか?

オーランド:このキャラクターを演じることは自分にとってエキサイティングなことでもあったのですが、同時に初めてのタイプのキャラクターでもあったので、結果的にどうなるのかということがはっきり見えないまま演じているところもありました。その中でも準備の段階で気を使ったのが(南アフリカ特有の)アクセント。そして肉体の部分です。南アフリカの男性は典型的なマッチョな体型の方が多いので、そういう身体作りも含めて準備をしました。

司会:ちなみに、今の身体作りは、どれぐらいの期間でどんなトレーニングをしたんですか?

オーランド:だいたい6ヵ月ぐらいウェイトトレーニングをしたり、有酸素運動的なもの。もちろん食事にも気を遣いました。

司会:確かに、今までのオーランド・ブルームさんとは違う、鍛えるになっていましたよね。


*共演のフォレスト・ウィテカーさんとコンラッド・ケンプさんについて

Q:さきほどお話に出たフォレスト・ウィテカーさんとの共演についてですが、名優と言われる彼と共演してどんなことを学びましたか? また、次に共演するとしたらどういう映画で共演したいというのはありますか?

オーランド:本当にフォレスト・ウィテカーという人は真のアーティストであり、彼の役への向かい方は見ていてグッとくるものがありました。1つ例を挙げると、病院のベッドから起き上がるシーンがあったのですが、起き上がって彼がそのまま床にドンと倒れてしまいました。みんなはケガをしたんじゃないかと慌てて駆けつけたのですが、 「ごめん、ごめん、ちょっと役に入りすぎてヤリすぎた」と言っていました。そこまでそのキャラクターに成りきるというというものを、そこで見たという思いがしました。
また、人柄も素晴らしくて、人間性、思慮深さ、心の広さ。本当に素敵な方です。 もし、また共演する機会があればなんでもいいです。1回共演できただけでも自分にとっては贈り物のようなので、また共演する機会があるならば、どんな作品でも出たいと思います。

Q:今回フォレスト・ウィテカーさんと共演され、とてもいい経験をされたとのことですが、同じ共演者のコンラッド・ケンプさんとは映画とは別に、舞台「ロミオとジュリエット」で共演したと聞きました。今回の映画で与えたグルーブ感とか、共演したことで変わったこと、影響を受けたことがありましたか? 続けてタッグを組んだことについてお話しいただければと思います。


オーランド・ブルーム

オーランド:コンラッドが、日本での記者会見でこんな質問が出たと聞いたらすごく喜ぶと思います! コンラッドも日本で有名になった!と言えるし(笑)。早く彼に伝えたいです。
『ケープタウン』を撮り終えたあとに、ブロードウェイで「ロミオとジュリエット」をやるかどうか悩んでいたのですが、結果的に出演を決めました。その時、コンラッドに「南アフリカ人でもあるし、ニューヨークだから受かる可能性は低いかもしれないけど、舞台のオーディションを受けてみたら?」と声をかけたんです。結果的に120回も彼と一緒にステージに立つことができました。自分にとってもブロードウェイの芝居、舞台に立つということは脅威を感じることでもあり、大きな目標でもありました。この旅にコンラッドが一緒に来てくれたことはとても嬉しかったです。


*日本ではどのようにすごしたの?

Q:昨日来日されましたが、その後はどのように過ごされましたか?

オーランド:昨日はいろいろ歩き回ったり、おいしい日本食をいただいたり、ちょっと泳いだりもしました。ほんとに街歩きが大好きです。日本の文化、そして自分の文化と違う部分に触れることも楽しんでいます。

質問者:ちなみにどちらへ行かれましたか?

オーランド:原宿、渋谷、あと公園です。

質問者:原宿は「カワイカルチャー」発信地として有名ですが、そういう日本のカルチャーはどう思われますか?

オーランド:日本のユースカルチャーは依然から大好きです。日本には他に類を見ない、とてもユニークなユースカルチャーがありますし、若い人たちがそのユニークさを大切しているところが好きです。それはファッションや髪型に現れていると思います。


*映画を観て南アフリカを知ってほしい

Q:この映画を拝見して、アパルトヘイトとか社会問題についてリアルに描いていましたが、オーランドさんが役を通じて、どう考え方が変わったかとか、またこの映画を通して一番伝えたいことは何かを教えてください。

オーランド:今回この映画を作ることができたこと。撮影前からケープタウンに入って、撮影中も南アフリカに滞在することができて、本当に目から鱗が落ちるような経験をしました。南アフリカという国の中には、これからの希望や可能性というスリピットを感じました。同時に、自分の理解の範囲ではありますけれど、これからも南アフリカの方々には大きな困難が立ちはだかっている中を進んでいかなくてはならないのだという思いもしました。タウンシップといわれる地域では、100万、200万人という人たちが貧しい状況の中で暮らしていて、それを目にすると心動かされます。この映画の中ではケープタウンは存在感を持って、1つのキャラクターとして描かれています。だから日本のタイトルが『ケープタウン』となったのも、とても喜ばしく思っています。映画を観てもらえれば、ケープタウンにいることがどういうことなのかということも経験してもらえるのではないかと思います。

司会:最後に、日本のオーランド・ブルームさんファンもすごくあいたがっていたと思いますので、日本のファンのみなさんにメッセージをお願いできますか。

オーランド:この映画、『ケープタウン』をぜひご覧になって楽しんでいただければと思います。自分も演じていて素晴らしい経験をしました。キャラクターも、今まで演じた役とまったく違います。演じていて手ごたえもありました。そんなキャラクターを観て楽しんでいただければ嬉しいです。また、応援し続けてくれてありがとうございます。「ミンナダイスキ!」

司会:どうもありがとうございます。




オーランド・ブルームと佐々木希

*女優の佐々木希さんがゲストとして大きな花束を持って登場

オーランドの過去の主演作『エリザベスタウン』(05年)の大ファンだという佐々木希さんは「オーラがすごい!顔が小さいし、映画で見るのもカッコイイですけど、生で見るほうがやっぱりカッコイイです」と照れながらオーランドに挨拶。

オーランド:『ケープタウン』はご覧になったんですか?

佐々木:はい、拝見しました。肉体美にやれました。とても頼りない自堕落な役だけど、最終的に一番頼れるカッコイイ存在で、そういう男性に女性は惹かれると思います。同僚や家族との愛に、とても感動しました。見所がたくさんあると思いました。最後まで釘付けで観ました。とても良い作品だなと思いました。

オーランド:佐々木さんに、代わりにプロモーションしてもらったほうがいいかもしれません(笑)。これからヨーロッパのプロモーションは佐々木さんにお任せしてもいいですか?(笑)

佐々木:嬉しいです。ついて行きます!(笑)



記者会見を終えて

『パイレーツ・オブ・カリビアン』を観て、このかっこいい人は誰?と思ったのが、オーランド・ブルームを知るきっかけでした。でも、残念ながら『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズは観ていない。
この『ケープタウン』での自堕落な刑事役のオーランドを観て、こういうみだれ役もできるんだと、さらに好きになった。それほど、この映画でのオーランドの「だめ刑事ぶり」が光っている。
でも、この作品での主役はケープタウンそのもの。そして南アフリカの変遷が描かれていた。
フォレスト・ウィテカー演じる、南アフリカの黒人(ズールー族出身)で初めて警察幹部になった男の、子供の頃からの歩みも描かれ、黒人の苦悩が描かれていた。オーランドは「日本のタイトルが『ケープタウン』となったのも、とても喜ばしく思っています」と語っていたが、私は原題の『ZULU』のほうが良かったと思っている。(暁)

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(取材:宮崎暁美)
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