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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
(1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

追悼 高野悦子さん

70歳の誕生日の高野悦子さん(東京国際女性映画祭提供)

岩波ホール総支配人で、東京国際女性映画祭のジェネラルプロデューサーだった高野悦子さんが、2013年2月9日大腸がんのため東京都文京区の病院で死去した。83歳。
女性映画人の大先輩であり、女性映画人を輩出させるための後押しをしてくれた高野悦子さんのご冥福をお祈りします。

高野悦子さんは、旧満州(現中国東北部)生まれ。日本女子大学を卒業後、1952年に東宝に入社。映画監督を目指すが、「女性は映画監督にはむかない」と思われていた時代。1958年に退社し、パリ高等映画学院に留学し、映画監督を志す。帰国後、衣笠貞之助監督の助手を務め、テレビドラマの脚本や演出を手掛けた。しかし、まだまだ、女性の映画監督への道は厳しかった。
1968年、岩波ホールの創設に伴い、義兄で岩波書店社長だった岩波雄二郎さんに誘われて総支配人に就任。1974年、外国映画の配給を手掛けてきた川喜多かしこさんと、埋もれた名作映画を上映する組織「エキプ・ド・シネマ」(映画の仲間)を結成。岩波ホールを拠点に『大地のうた』、『木靴の樹』、『旅芸人の記録』、『大理石の男』、『八月の鯨』(2013年2月16日(土)より再ロードショー)などを公開し、ミニシアターブームの先駆けになった。


2008年東京国際女性映画祭 オープニングで      高野悦子さん(2008年東京国際女性映画祭)

★高野悦子さんと東京国際女性映画祭&シネマジャーナル

シネマジャーナルでは、なんといっても東京国際女性映画祭でのつながりが強い。「世界の女性監督の紹介」と「日本の女性監督の輩出」を目標に続けてきた東京国際女性映画祭。高野さんは、1985年から去年までの27年間、東京国際女性映画祭のジェネラルプロデューサーを勤め、現在のように女性が映画界で活躍できる道を作ってくれた。
2009年より、映画祭でお姿を拝見することができなかったので、ご病気だろうと思っていたが、亡くなったとお聞きし残念でなりません。
昨年末に亡くなったベアテ・シロタ・ゴードンさんといい、女性を応援してくれてきた方々が亡くなり心細いですが、これからも後押ししてくれた先輩たちの思いを引き継いで、私たちシネマジャーナルは益々女性映画人を応援してゆきます。

当初の目標だった「日本の女性監督の輩出」は、ある程度実現されたとして、昨年、東京国際女性映画祭は幕をおろした。近年、確かにドキュメンタリー部門だけでなく、商業映画部門で活躍する女性監督も登場し、映画界で働く女性も増えた。
去年の東京国際映画祭コンペティション部門では、15作品のうち4作品が女性監督の作品。しかも、さくらグランプリと監督賞を獲得した『もうひとりの息子』は、フランスのロレーヌ・レヴィ監督だった。女性が監督賞を受賞したのは、東京国際映画祭では初めてのこと。
また、キネマ旬報ベストテン2012年度の作品は、『かぞくのくに』『ふがいない僕は空を見た』『夢売るふたり』の3点が女性監督の作品。日本アカデミー賞では『わが母の記』で芦澤明子さんが撮影監督賞にノミネートされ、確実に女性映画人の活躍の成果が出てきている。その意味では東京国際女性映画祭の目的は、ある程度達成されてきた。
しかし、世界の女性映画人たちの活躍と比べると日本はまだまだ遅れているといわざるを得ません。高野悦子さんの残した功績を胸に、残された私達がこれからも映画のために邁進していかなければならないと思います。
東京国際女性映画祭を27年間続けてきた高野悦子さん、ディレクターの大竹洋子さん、コーディネーターの小藤田千栄子さん、実行委員の羽田澄子監督と内田ひろ子さん、そして映画祭を支えたスタッフの皆さまお疲れさまでした。そしてありがとうございました。

なお、シネマジャーナルでは1991年以来、毎回、東京国際女性映画祭をレポートしてきています。その中からいくつか写真を紹介します。

1999年第12回カネボウ国際女性映画週間


   記者会見                 記者会見での高野さん

2002年第15回東京国際女性映画祭


  『メタオ』ヴィエト・リン監督と  左から大竹洋子さん、ヴィエト・リン監督

2005年第18回東京国際女性映画祭


世界の女性映画人をかこむ集い

2006年第19回東京国際女性映画祭


         オープニング         『赤い鯨と白い蛇』せんぼんよしこ監督(左端)と出演者たち

オープニングで

2007年第20回東京国際女性映画祭


   クリスティン・ハキムさんに表彰状を渡す       2007年世界の女性映画人をかこむ集い   

2007年東京国際女性映画祭クロージング

2007年東京国際女性映画祭クロージング

2008年第21回東京国際女性映画祭


左:『ファット・チャンス(公開タイトルTHE ダイエット!)』関口祐加監督と
右:『ブラジルからきたおじいちゃん』栗原奈名子監督と          

左:『嗚呼 満蒙開拓団』満州シンポジウム 
右: 2008年東京国際女性映画祭 オープニング

左:2008年東京国際女性映画祭クロージング               
右:2008年東京国際映画祭クロージング TOYOTA EARTH Grand Prix受賞者発表

2012年第25回東京国際女性映画祭


  左から大竹洋子さん、藤原智子監督、羽田澄子監督       2012年東京国際女性映画祭フィナーレ    


>> スタッフ日記・高野悦子さんお別れの会で、素敵な映画の数々を思い出し感謝 (咲)(2013.6.4)
>> スタッフ日記・岩波ホール、54年の歴史に幕 2022年7月29日に閉館(2022.6.19)
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(記事&撮影 宮崎 暁美)
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