CWD /public_html/special/2011/sandai2011 『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』裕木奈江さん合同インタビュー
女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
(1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』
裕木奈江さん合同インタビュー

裕木奈江さん(写真提供:アップリンク)
裕木奈江さん(写真提供:アップリンク)

アイスランド初のホラー映画『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』が6月4日銀座シネパトス、新宿K’scinemaで公開された。 準主役(ほとんど主役に近いです!)で出演されている女優・裕木奈江さんに、合同インタビューをさせていただいた。


*ストーリー*
ホエール・ウォッチングのため、世界中から観光客の集まるアイスランドの首都レイキャビク。ある日、6組の客を乗せていつもどおりに出航した観光船が、客の悪ふざけが原因で帰港できなくなってしまう。取り残されて困っていた観光客たちを助けたのは、反捕鯨運動が原因で失業した、小さな捕鯨船の一家3人だった・・・。


― とても面白い映画でした。このお仕事を引き受けられた経緯を教えてください。

裕木奈江さん(以下・裕木):ありがとうございます。クリント・イーストウッド監督『硫黄島からの手紙』と、デヴィッド・リンチ監督『インランド・エンパイア』の2作品を見た監督とプロデューサーから、マネージャーのところに連絡が来たんです。ちょっと会ってみたいと言われ、それでロサンゼルスでお会いしました。

― 脚本を読まれて、この役について、始めはどんな気持ちでしたか。

裕木:お決まりなんですが、海外作品で日本人がホラーに出てくると、最初の5分で殺されることが多いんですね(笑)。なので、今回もそうかなと思ったんですが、台本を読んでいくうちに、そうじゃないと分かったんです!「アレッ、ちょっとこれは出番も多そうだし、ただ無力に殺されるだけの役じゃないから、やりがいがあって面白いんじゃないかな」と思ってお引き受けしました。

― 監督さんとお会いした時、例えば、役作りや指示されたことなどありますか。

裕木:そんなに多くの指示はなかったのですが、私がこういう映画に出たことがなかったので、台詞の中で「トラ、トラ、トラ」と言う場面が心配だったんです。「もし日本で公開するなら、印象がよくないんじゃないか」と…。でも、この作品に出てくるキャラクターは、みんな利己的に振舞う設定になっているので「大丈夫」と答えました。監督さんがやりたいと考えている方がうまくいくので協力しました。

― 共演者とのコミュニケーションはどうでしたか。

裕木:他の日本人役の方はブラジルから来た二世さんで、日本語は台詞の練習で言えますけど、やっぱり不思議ななまりがあります。私たちがみると「あれっ、違う」と思いますが、外国の方は、全くわからないですよね。そこが突っ込みどころでもありますし、面白さでもありますね。

― 共演された『悪魔のいけにえ』のガンナー・ハンセンさんとはお話になりましたか。

裕木:ホテルでお隣りの部屋だったんです。寡黙な方で、髪は真っ白でサンタクロースみたいでした。わたしが寒がっていた時、いっぱい紅茶のパックを持って来てくださいました。とってもいい方でした。

― この作品でも少し出てきますが、実際に生活していて、宗教の違いによって差別を感じたり嫌な思いをして苦労したことなどございますか。

裕木:うーん…、あるんでしょうけど、ジョークとして自虐的にこちらの特徴を出していった方が、たとえば、「日本人ってそうなの?」「そうなんだよ~。こういうとこ、ちょっと変でしょう?」って言うようにすると意外と友だちになれたりします(笑)。毒のないところでお互いに突っ込みあって、コミュニケーションしていきますね。いじられもしないよりは、何か言われる方がいいのかなと思っています。私は苦手ですけど。

― ここに出てくる捕鯨船の三人家族はもともとは観光客を殺していくような家族ではなかったと思うのです。捕鯨ができなくなったり、父さんが死んだり、不況になったりで切羽詰まってしまい、凶行に出たと思いますが、裏設定ではもっとすごいことをやっていると書いてありますが、そこをもっと盛り込んでほしかったです。ホラー映画大好きな私にとって何故、これを入れないなんて!と悔しいです。


裕木奈江さん
(提供:アップリンク)

裕木:ホラー映画お好きなんですか?!「ホラー映画反対!撲滅委員会」の方みたいだと思って心配してたんです。(一同、大笑い)
私自身はそんなには観ないんですが、アメリカにいる時、劇場に行って観ている人の反応を楽しんでいました。部屋で一人では見ませんよ。向こうの方はポップコーンを食べながら、げらげら笑いながら観ていましたね。

― 撮影は船の内部が多かったですが、ご苦労はありましたか。

裕木:小さな船の時はみんな船酔いしていましたし、クライマックスの惨殺シーンは、 もう血だらけです。衣装が変に汚れてしまうと大変で、衣装さんが一番大変だったと思います。

― 一番苦労したシーンはどこですか。

裕木:岩を登るシーンです。本当に崖を登ったんですが、落ちて骨でも折ったらどうなるのかと思いました。撮影の日はうす暗くて、どんなに危険な場所かあまりはっきり映ってないんですが・・・。

― この映画のアイスランドの評判や他の国ではいかがでしたか。

裕木:アイスランドではもう終わっていますが、評判が良く、長く上映されました。
イギリスのロンドンも終わりました。既にDVDが発売されています。
アメリカでは「ホラー映画フェスティバル」で上映されて、公開はまだです。
そして、日本が6月4日公開です。

― つい先ほど、渋谷の近くでコーヒーを飲んで、プレス資料を見ながら質問を考えていましたら、カウンター席のすぐ隣の学生風の男の方が、「これはいつから公開ですか。僕、映画館で予告を見ました」と話し掛けられたんですよ。

裕木:宣伝の効果がありますね!(と、宣伝さんによかったですねと声をかけられた裕木さん)それって、ナンパされたのではないですか?(一同、大笑い)

― それはありません。難破船ですよ。
日本はホラー映画の人口は多いです。確実な観客層がいるし、この作品に話題性がありますから、きっと日本でも期待できますよ。

裕木:ありがとうございます。そうだといいです。

― では最後に差し支えなければ次回作などお話ください。

裕木:次は日本の映画に出ます。伊勢谷友介監督作品で、長編2作目『セイジ─陸の魚─』です。私は日本にいなかったので知らなかったのですが、素敵な監督さんですね。役もちょっといい女なんですよ(笑)。


(インタビューを終わって・・・)
「あっという間に時間がたつ」とはこういう時間のことだなぁとうらめしく思った。
おしゃべりしている時は、ユーモアもあり、女優さんとは思えない気さくな方ですが、帰ってからお写真を見ると、そこには、私とお話していた方とは思えない、何か凛とした美しさが漂っていた。貴重な時間をさいてくださりありがとうございました。


※映画のネタバレを削っていくとだんだん短くなり心細くなった。インタビューの技術の未熟さを実感した。

return to top

合同取材・まとめ:(美)
写真提供:アップリンク
本誌「シネマジャーナル」及びバックナンバーの問い合わせ:
order@cinemajournal.net
このHPに関するご意見など: info@cinemajournal.net
このサイトの画像・記事等の無断転載・無断使用はご遠慮下さい。
掲載画像・元写真の使用を希望される場合はご連絡下さい。