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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
(1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

負けないで、日本はひとりじゃない。
愛は国境を越えるチャリティ・コンサート
(愛心無國界311燭光晩會)

劉徳華、成龍、曾志偉、中村雅俊、陳美齢、翁倩玉
日本、頑張れ!とエールを送る成龍(ジャッキー・チェン)たち

2011年3月11日午後2時46分、日本の東北地方を襲った地震、津波そして原発事故。危機的状況の中、世界中が日本の為に支援の手を差し伸べてくれています。
4月1日、ここ香港でも大きなチャリティ・コンサートが開催されました。
愛は国境を越える(愛心無國界311燭光晚會)と銘打たれたチャリティ・コンサートは成龍(ジャッキー・チェン)の呼びかけで企画されたもの。劉徳華(アンディ・ラウ)や郭富城(アーロン・クォック)などの香港人歌手の他に、韓国からクォン・サンウやWonder Girlsが来場、スマトラ島沖地震で被害に遭ったインドネシアからもゲストが駆けつけ、集まったアーティストは総勢200名以上。オーストラリアからはライオネル・リッチーがビデオで日本への声援を送ってくれました。
香港の主なテレビ局、ラジオ局は全て特別番組としてチャリティ・イベントを生放送、日本語ホットラインを含む150の募金専用ダイヤルを用意して大々的に募金を募りました。最終的に集まった募金は2600万香港ドル(約2億8千万円)。必要経費を差し引いた金額が救世軍(注)へ寄付され、飲料水や食料、生活用品の購入資金に充てられるとの事です。

(注)救世軍・・・イギリスに本部を置き、世界121の国と地域で活動する国際的なキリスト教(プロテスタント)団体。東日本大震災でも福島県いわき市で給食活動を行うなど、物資の支援を行っている。

◆チャリティ主題歌「雨ニモマケズ(無懼風雨)」

手をつないで「雨ニモマケズ」を歌う参加者たち
手をつないで「雨ニモマケズ」を歌う参加者たち

ニュージーランド(2月22日)、雲南(3月10日)、東日本(3月11日)、ミャンマー(3月24日)と立て続けに発生した地震による被害者の方々への黙祷で始まったチャリティ・コンサート。黙祷後、劉徳華(アンディ・ラウ)が「天災が大きいほど、みんなの心を一つにしていかなければならない」と語り、壇上の歌手たちがみんなで手をつないでチャリティ主題歌である「雨ニモマケズ(無懼風雨)」を歌いました。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」は震災後に渡辺謙さんが被災地に向けて朗読しており、チャリティ実行委員はこれを聞いてチャリティ主題歌にしようと決定したそうです。曲は日本語バージョン(雨ニモマケズ(無懼風雨))と中国語バージョン(不要輸給心痛(心の痛みに負けないで))も作られ、チャリティでは日本語と中国語をミックスして歌いました。「雨ニモマケズ」はYoutubeでも視聴できます。

Youtube雨ニモマケズ(無懼風雨)-日本語フルバージョン http://www.youtube.com/watch?v=7kkNJVP50Go

Youtube心の痛みに負けないで(不要輸給心痛)-中国語フルバージョン http://www.youtube.com/watch?v=2b7KeuVneeY

◆日本からの参加者

田中千絵、千昌夫、翁倩玉(ジュディ・オング)、中村雅俊
下段左から田中千絵さん、千昌夫さん、翁倩玉(ジュディ・オング)さん、中村雅俊さん

日本からも東北出身の歌手である千昌夫さん、中村雅俊さん、そしてAKB48(前田亜美さん、梅田彩佳さん、松井咲子さん)などが参加。日本で育ち、養母が被災地に住んでいるという翁倩玉(ジュディ・オング)、日本人と結婚した陳美齢(アグネス・チャン)も参加し、ガスや電気、水が足りないという現状を声高に訴えていました。
千昌夫さんは忙しいスケジュールの合間を縫っての参加。香港の人気歌手容祖兒(ジョイ・ヨン)、關淑怡(シャーリー・クァン)と「北国の春」を合唱。「香港の皆様の温かい想いを日本に持ち帰りたい。」と語り、翌日の日本での仕事の為にそのまま帰国しました。

中村雅俊

主演ドラマ「俺達の旅」が香港でも大ヒットした事で香港で知名度の高い中村雅俊さんも、友人である翁倩玉(ジュディ・オング)の呼びかけによりチャリティに参加しました。彼は今回の震災で特に被害の激しかった宮城県女川の出身で、チャリティ当日には仲の良かった従兄弟が車の中で亡くなっているのが発見されたとの報告を受けたばかりだったそうです。それでも人前では涙ひとつ見せず気丈に振る舞い、香港の方々への感謝と日本のこれからについてを坦々と語る姿には胸を打たれました。
中村さんは香港の四天王の1人、郭富城(アーロン・クォック)と日本語・中国語版の「俺達の旅」を合唱しました。

◆ジャッキー個人からも300万香港ドルの募金!

成龍とWonder Girls
成龍(ジャッキー・チェン)とWonder Girls

チャリティ開催にあたり、参加した芸能人たちは成龍自らが連絡を取り参加を呼びかけたという事ですが、中でも特に翁倩玉(ジュディ・オング)と韓国のパク・ジニョンにはどうしても参加してもらいたかったとか。というのも「2008年の四川大地震の際、日本のアーティストたちが四川の被災者たちの為に開催してくれたチャリティ・コンサートに翁倩玉(ジュディ・オング)が招待してくれ、感謝の気持ちで一杯だった。韓国のパク・ジニョンも韓国での四川地震チャリティ・コンサートに招待してくれた。だからこの2人にはどうしても参加してもらいたかったし、今回の東日本大震災では日本に恩返しをする番だと思っている」と語り、成龍個人から300万香港ドル(約3300万円)を寄付すると発表しました。

参加してくださったアーティストの方々(写真が撮れた方のみ)


梁漢文(エドモンド・リョン)

楊千[女華](ミリアム・ヨン)

AKB48

Wonder Girls

何韻詩(デニス・ホー)

容祖兒(ジョーイ・ヨン)

「昴」を歌った
譚詠麟(アラン・タム)

張智霖(チョン・チーラム)

任賢齊(リッチー・レン)

林峯(レイモンド・ラム)
黄宗澤(ボスコ・ウォン)

蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)

権相祐(クォン・サンウ)

香港有名漫画家・黄玉郎が
描いた成龍(ジャッキー・チェン)

今回のイベントはただ歌手たちが歌うだけでなく、日本の状況を細かく香港の方々に伝えようと様々な趣向が凝らされていました。震災の時に仙台に留学していた香港人留学生や四川地震の被災者を会場に招いて当時の状況を語ってもらったり、被災者の方々の心理ケアの必要性を説明。天災は恐ろしいものだが、それによって生じる人間同士の摩擦が恐ろしい、とした上でそれを戒める相田みつをの「わけ合えば」の詩も梁朝偉(トニー・レオン)によって紹介されました。また、地震・津波による被害状況や原発事故の段階を追った説明、原発で作業に当たっている方々に関するVTRもイベント中の随所に盛り込まれ、メリハリのあるプログラムだったと思います。
舞台での演目の他にも短い期間での呼びかけであつまったボランティアの方々も相当な数だったようです。募金受付ダイヤルでの応対、海外ゲストへの通訳、案内、会場整理など多くの方々がチャリティの手伝いをしてくださいました。連日遅くまで奔走してくださったチャリティ実行委員会の方々、参加してくださったアーティスト・ボランティアの方々、そして募金してくださった全ての方々に感謝。

また、このイベントだけでなく、香港の各地でチャリティ・イベントが開催されています。
わたしもライブハウスで行われたチャリティ・イベントに行って来ましたが、日本人だけでなく香港人、欧米人の姿も多く、みなが口々に日本の一日でも早い復興を願っていると言っていました。
スターバックスでは3月18日午後3時から5時までの2時間の間に販売した飲み物の売り上げ(コスト除外コストを含む全額)を寄付すると発表。平日の昼間にも関わらず香港中のスターバックスに長蛇の列が出来、わたしの友人には1時間待ってようやくコーヒーが買えた、という人もちらほら。
震災後、しばらく連絡を取っていなかった香港人の知人からも「家族や友達は大丈夫か?」等の連絡を貰ったり、たまたま乗ったタクシーの運転手さんからもわたしが日本人だと分かると地震の話しでもちきりです。いつも行くクリーニング屋のおかみさんからは「今回の地震で日本人の民度の高さには本当に敬服した。」と熱く語られました。
他国での出来事にも関わらず、香港人がこれだけ大きな関心を寄せてくれている事が嬉しくも頼もしくもあり、今回のチャリティ・イベントのスローガン「頑張って、日本はひとりじゃない」という気持ちがわたしが関わる全ての香港人から伝わってきます。
わたしもいち日本人として日本の為に出来る事をしていかなければ、と思う日々です。

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(文:阿嵐 写真:阿松)
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