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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
(1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

フランス映画祭2010 いよいよ3月18日開幕!

6月に横浜で開催されていたフランス映画祭が、六本木で3月に開催されるようになって4年目を迎えました。六本木に移ってからは、公開の決まっている作品が増えましたが、公開未決定の長編作品も6本。映画祭でしか観られないかもしれません。何よりゲストと直接触れ合える映画祭に、是非、足を運んでみてください。

期間:3月18日(木)~22日(月・祝)
開催会場:六本木ヒルズ
上映場所:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ
主催:ユニフランス

◆来日ゲスト情報

団長は、今回の出品作品『テルマ、ルイーズとシャンタル』主演のジェーン・バーキン。
その他、セシル・ド・フランス(『スフィンクス』『シスタースマイル ドミニクの歌』)、クリストファー・トンプソン監督(『バス・パラデイアム』)、ラデュ・ミヘイレアニュ監督(『オーケストラ!』)など総勢18名が来日します。
http://www.unifrance.jp/festival/news/2010/03/18.php


◆オープニングレッドカーペット

団長 ジェーン・バーキンをはじめ、フランスから来日した代表団たちが華やかに登場します。

日時:3月18日(木)18:00(予定)
場所:六本木ヒルズ 大屋根プラザ ※入場無料
http://www.unifrance.jp/festival/news/2010/03/post_6.php


◆サイン会

各作品の上映後(トークショー含む)にフレンシネマカフェ(ヒルズカフェ/スペース)で来日ゲストによるサイン会が開かれます。
フレンチシネマカフェにて当日行われるサイン会の参加整理番号シールを鑑賞チケットに貼る形で配布。(配布開始時間など → 詳細



★シネジャスタッフによる感想集★

シネジャのスタッフが試写で観た上映作品の中より、いくつかピックアップして紹介します。鑑賞作品を選ぶ参考になれば幸いです。

◆『バス・パラディアム』 2009年/100分/原題:Bus Palladium
監督:クリストファー・トンプソン
出演:マルク・アンドレ・グロンダン、アルチュール・デュポン
音楽を通して芽生える友情を描いた監督処女作。
日本配給未定。本映画祭と同じ週に本国で公開。

パリに実在するクラブ「バス・パラディアム」が伝説的な盛り上がりを見せた80年代を舞台に、監督自らの体験を踏まえた大人への一歩を踏み出す若者たちの恋と友情。

ルカ、マニュ、フィリップ、ジャコブ、マリオの五人組は仲の良い幼なじみ。彼らが結成したロックグループ「ラスト」は、着実にファンを増やしていた。レコード会社との契約も目前だ。だが、学業かプロになるのか将来の不安で、メンバーの思いはすれ違う。そこにローラという魅力的な女の子が現れ、微妙に人間関係が崩れていく。


目新しいストーリー展開ではないが、出て来る若者、女の子たちがとても個性的で素敵。音楽も歌も◎!特に、仲間の一人が、兵役を免除してほしいために、ノイローゼだと申告する場面は秀逸。アメリカの兵役に関する作品を観た後だったので、お国柄の違いを面白く観た 。(美)

ルカとマニュの二人がユダヤ人であるらしいことに興味を惹かれました。マニュが兵役を逃れるために画策するので、もしやイスラエルの兵役?と思ったら、フランスで徴兵制がまだあった時代だったのですね。(段階的に徴兵制が廃止されたのが、1990年代) 部屋に1984年のシカゴ・ブルース・フェスティバルのポスターが貼ってあって、なんとも懐かしかったです。 この作品、最初に結末はおぼろげにわかるのですが、結末に至るところが思いのほか唐突でした。思わず、私、寝ていた?と思った次第です。(咲)

◆『パリ20区、僕たちのクラス』 2008年/128分/原題:Entre les murs
監督:ローラン・カンテ 
出演:フランソワ・ベゴドー、24人の生徒たち
2010年6月12日(土)岩波ホールにてロードショー 配給:東京テアトル
2008年カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞

パリ20区にある中学校の教室。生徒は出身国も生い立ちもばらばらな24人の生徒。担任は国語を教える男性教師フランソワだ。彼は、生徒に国語とは、生きる為の言葉を学ぶこと、他人とのコミュニケーションを学ぶこと、社会で生き抜く手段を身につけることなど、言葉の力を教えたいフランソワだが、生徒の未熟さに苛立ち、生徒もフランソワの言葉に傷つくのだった。

私のイメージからいうと「この中で生粋のフランス人っているの?」と感じるぐらい多国籍なクラスだ。それにドキュメンタリーではない。あくまでも映画だ。そう思っても、すぐ頭の中は<現実だ!ドキュメンタリーだ!>の文字で埋め尽くされた。それほど計算しつくされた脚本、自然で憎いほど生意気な生徒たちの演技…。
それに日本の学校・学級運営とは一味も二味も違う。一番の違いは校長だ。自分の地位の保身などはなく、感情的にならず、問題児に根気よく話しかけていた。最悪の決断を保護者に知らせる時も、決然としている。校長、先生、生徒、保護者が対等だ。これがフランスの現実を切り取ったものだったら、良い点を日本の学校も取り入れたらいいなと感じた。(美)

フランスもアメリカほどでは無いにしろ多民族国家なのだと改めて思い知りました。 色んな背景を持つ思春期の生徒達と日々生活を共にする事は大変・・。 (千)

◆『ハデウェイヒ』2009年/105分/原題:Hadewijch
監督:ブリュノ・デュモン 
出演:ジュリー・スコロウヴスキ
日本配給未定作品
『ユマニテ』を撮った鬼才の最新作。

修道院で暮らすセリーヌは、盲目的な信仰の為、尼僧たちも持て余し、修道院を出されてしまう。彼女の実家は財閥だが、両親はなぜか白々しい。家庭には温かみもなく、(それが原因とは違うと思うが)彼女はやり場のない気持ちを、神への倒錯的な愛へ突き進む。そこに、偶然イスラム系の兄弟に出会う…。

難解な作品だった。というより、ここまで狂気になっている少女を、立派な親がいるのに、修道院を出す時、少女に関して親に説明するだろうに…。修道尼の「神に近づけるのは修道院だけじゃない」と言っていたのが、印象に残った。歴史上の聖女の名を冠した作品だが、私には理解できない深い部分があった。イスラムの兄弟を出してストーリーの展開をはかったが、純真性の両極として対峙させたのだろうか。(美)

イスラム教やキリスト教にかぎらず、どんな宗教であれ信仰心の度が過ぎると命に関わる問題になってゆく・・ それは日本でも何年か前に地下鉄サリン事件があった事で私の脳に鮮明に刻まれました。忘れないようにしたい。 (千)

◆『ミックマック』2009年/104分/原題:Micmacs à tire-larigot
監督:ジャン=ピエール・ジュネ 
出演:ダニー・ブーン、アンドレ・デュソリエ、ドミニク・ピニョン
『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネが現代に贈る痛快ハート・ウォーミング・コメディ
2010年夏 恵比寿ガーデンシネマ他全国ロードショー  配給:角川映画

父親を西サハラの砂漠での地雷除去作業中に亡くした少年バジル。大人になり、彼の働くレンタルビデオ店の目の前で起こった発砲事件の流れ弾が頭に当たってしまう。一命は取り留めたものの、失業してしまった彼はパントマイムをしながら路上生活。そんな彼を救ってくれたのが、廃品回収で生計を立てている個性的な仲間たち。頭から取り出してもらった弾のマークから、父の遺品の地雷と同じ会社の製品と知ったバジルは、死の商人への復讐を開始する・・・

『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督なので、イスラームが絡まないはずはない!と観にいってきました。それほど絡まなかったのは、ちょっと残念でしたが、やんわり戦争批判をしながら大いに笑わせてくれました。監督は、当初、バジルのキャラクターを『アメリ』で脇役の野菜市場の兄ちゃんを演じていたジャメル・ドゥブーズの為に書いたそうです。モロッコ系フランス人のコメディアンで『アンジェラ』や『デイズ・オブ・グローリー』では主役を務めたジャメルですが、監督からのオファーに「個人的な事情があって仕事に意欲がなくなった」と断られたそうです。その後、第6感でジャメルとは違うタイプのダニー・ブーンにオファー。最初はジャメルの為に書かれた脚本と知って断ったダニー・ブーンも、すっかり監督と意気投合して完成に漕ぎ着けたそうです。ダニーだからこその作品に仕上がっているのは、さすがです。(咲)

◆『旅立ち』2008年/85分/原題:Partir
監督:カトリーヌ・コルシニ 
出演:クリスティン・スコット・トーマス、セルジ・ロペ、イヴァン・アタル
愛の情熱を描いて昨年末のフランスで大ヒットを記録。
日本配給未定作品

医者の夫と二人の子どもと暮らす主婦スザンヌ。40代の彼女は運動療法士の仕事を再開することになり、工事が始まる。そこで前科のある工事請負業者のイヴァンと知り合う。

女性監督作品だから腰を据えて観た。それに主演女優は『ずっとあなたを愛してる/フィリップ・クローデル監督』のお姉さん役の方。この作品でも、ほとんどノーメークで中年女性を演じていた。女の身勝手さ、世間知らず、男の(夫もイヴァンも)煮え切らなさを感じた。結末も私の思ったものとは違った。だが、主人公を17歳ぐらいの女の子として考えたら、すべての行いが納得できた。彼女は今の歳になるまで(自分)を閉じ込めていて、イヴァンとの愛で、女としての旅立ちを、一歩から始めたのだろう。(美)

原題のPartirは出発する、と云う仏語。家族も安定した暮らしも捨て不倫する事が旅立ち(出発)なのか理解に苦しみましたが、ラスト近くになって因果応報で違う方向へ旅立って行ったことに一応納得です。 (千)

◆『アンプロフェット』2009年/150分/原題:Un Prophète
監督:ジャック・オディアール 
出演:タハール・ラヒム、ニルス・アレストリュプ

*カンヌ国際映画祭2009グランプリ受賞、第35回セザール賞史上最多9部門受賞など、国内外で数多くの賞を受賞
*日本公開未定

ツワモノの多いパリ中央刑務所に6年の刑で収監されたアラブ人の青年マリク。「宗教は?」「特に」「食べられないものは?」「特に」「豚肉は?」「大丈夫」と刑務官の質問が終わり、観察期間用の牢に入れられる。服役者たちを牛耳るコルシカマフィアのボスが、「あいつ(反対勢力のアラブ人レィエブ)を殺さなければ、おまえを殺す」と脅しにくる。看守に助けを求めるが、看守もマフィアに押えられている。やがて、レィエブに麻薬を貰うという口実で近づき、彼の牢を訪れる。アラブ人どうし打ち解けた会話がはずむ。「母国語は?」「孤児だから(アラビア語でもフランス語でもどちらでもないという意味?)」施設でフランス語を習っただけというマリクに、レィエブは刑務所でフランス語を学ぶと良いと薦める。そんなレィエブを自己保身の為に殺してしまうマリク。1年後、アラブ人の友も出来、誕生日を祝ってもらう。(アラビア語のhappy birthday♪が嬉しい。) その友の子供の名付け親になるマリク。だが、その友はやがて病で逝ってしまう。模範囚として外出も許されるようになったマリクは、亡くなった友が捕まる前に隠した麻薬を入手し、それを元にだんだん力をつけていく・・・・

刑務所の中で、「犬よりタチの悪いアラブ野郎」と、コルシカマフィアたちに蔑まされているアラブ系囚人たちですが、中庭で過ごす時間になり、アラブ系の人たちがお互いに握手を交わしている姿に、見知らぬ人ともすぐに打ち解けるイスラームの精神を垣間見る思いでした。(コルシカマフィアたちが、そうした彼らを見ながら「アラブどもが増えた。大きな絨毯がいる」という言葉に思わず笑ってしまいました。)
原題をそのままカタカナにした『アンプロフェット』というタイトルに、最初ピンと来なかったのですが、フランス語原題をよ~く見て、なぁ~んだ、「プロフェット(預言者)」だと納得! イスラームでは旧約・新約聖書のアダム、モーゼ、ノア、イエスなども預言者(神の言葉を預かる人)として認めていますが、最大にして最後の預言者がムハンマド。豚肉もいとわないと言っていた主人公が、アッラーの名前を一心不乱に唱えるほど宗教心にめざめていきます。そして、麻薬ビジネスで成功し、刑務所の中でだんだんと服役者たちに認められていきます。彼の周りにアラブ系の人々が集まっていく姿に、イスラーム創設当時、ムハンマドが信奉者を集めていった様を思い浮かべました。タイトルに込めた思いを、是非監督に伺いたいところです。(咲)

◆『テルマ、ルイーズとシャンタル』2009年/90分/原題:Thelma, Louise et Chantal
監督:ベノワ・ペトレ
出演:ジェーン・バーキン、カトリーヌ・ジャコブ、キャロリ―ヌ・セリエ
自由気ままで、素敵な音楽に溢れたロードムービー。
日本配給未定作品 ★2010年フランス映画祭団長ジェーン・バーキン出演作

ガブリエルとネリーとシャルタンは、昔の恋人の結婚式に出る為に、ラ・ロシェルに向かう。 今までの人生も波瀾含みだった3人だが、この小旅行で50代の青春?を分かち合うのだった。

主演のジェーン・バーキンは、今年のフランス映画祭団長として、この主演作品を引っ提げて来日する。驚愕シーンあり、爆笑あり、涙あり、言われない秘密あり…でとても楽しめた。50代って微妙だな…、子どもも成長した、ばぁさまになるのにはまだ時間がある、問題はお金と愛する男?(美)

映画『ナック』を観てからジェーン・バーキンがダイスキになり、CDも買って彼女 の歌もよく聞いてたはずなのに、この作品のドコに登場してるのか最初 全く分からず.. ニコって笑顔になって歯並びが見えた瞬間にやっと判明しました(苦笑) アラ還世代の女性が恋愛に奮闘する笑いアリ涙アリの楽しいストーリーでした。 (千)

◆『クリスマス・ストーリー』2008年/143分/原題:Un Conte de Noël
監督:アルノー・デプレシャン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニ
2010年秋 恵比寿ガーデンシネマ他全国順次ロードショー 配給:ムヴィオラ
カンヌ国際映画祭特別賞(カトリーヌ・ドヌーヴ)。豪華な出演者に注目!

ルーベの町。ヴュイヤール家では、母ジュノンが骨髄癌にかかったことをきっかけに、疎遠になっていた子供たちがクリスマスを過ごすために家に集う。しかし数年前、借金問題で姉と絶縁状態になった次男アンリが帰ってきたことから、ひと騒動が起きる。実は、この次男のアンリ、そもそも長男ジョゼフが幼稚園の時に白血病とわかり、両親が骨髄移植の為にもうけた子だったのだが、不適合で長男を救えず、生まれた時から「役立たずのアンリ」と呼ばれていたのだ。それが、思いもかけず母親と骨髄が適合。あと一人、適合したのは長女の息子ポール。さて、どちらが移植に応じるのか・・・

内容を検索してみたら、「クリスマスを祝わないユダヤ人の彼女」という文言があったので、これは観なくては!と観にいきました。ユダヤ人は、役立たずのアンリが連れてきた彼女というだけの要素でしたが、クリスマスに、家族や友人にユダヤ人は決してプレゼントをあげないことを彼女は断言していました。カトリーヌ・ドヌーヴ主演の本作、骨髄移植に絡む家族の物語で、素敵な映画でした。最近、友人たちが相次いで癌に罹って闘病中ということもあって、いろいろ考えさせられました。(咲)

◆『スフィンクス』(仮題)  2009年/105分/原題:Gardiens de l'ordre
監督:ニコラ・ブークリエフ
出演:セシル・ド・フランス、フレデリック・テスト
日本配給未定作品
2010年4月のフランス公開に先駆けてのプレミア上映。

エジプトが絡みそうで外せない・・・と試写を観にいったら、なぁ~んだ、スフィンクスは薬物の名前でした! エジプトは全然関係なかった! 突っ込みどころ満載の犯罪映画でしたが、そこそこ楽しめました。セシル・ド・フランスが、地味な警官姿と、囮捜査のためにドレスで色っぽく迫る姿の両方を魅力的に見せてくれます。(咲)

◆『エンター・ザ・ボイド』2010年/143分/原題:Enter The Void(英)、Soudain le vide(仏)
監督:ギャスパー・ノエ 
出演:ナサニエル・ブラウン、パズ・デ・ラ・ウエルタ、シリル・ロイ
いまフランスで最も挑発的な監督による、昨年カンヌを震撼させた問題作。
2010年5月公開 シネマスクエアとうきゅう他にて 配給:コムストック・グループ 配給協力:トルネード・フィルム
オスカーは東京にあてもなくやってきて、定職を持たずドラッグに染まっている。ディーラーとなって手にしたお金で呼び寄せた妹リンダと二人暮らし。両親は交通事故で亡くなり、後部座席にいた彼らだけが生き残り、もともと仲の良かった二人の絆はさらに強くなった。ドラッグの引き渡しをする際、オスカーは警察の手入れにあって撃たれ、抜け出した魂は一人遺してしまった妹を追って東京をさまよう。

「ボイド」というのは映画の中に出てくるバーの名前、「無」という意味だそうです。タイトルにはその店に入り、撃たれて死んでいく(無になる)という2重の意味があります。ドラッグでトリップしているオスカーの目でカメラが動くので、こちらも酔いそうになります。CGで作り出した幻想的な映像と、魂が東京の空を縦横無尽に飛び、建物の内部に入りこむ動きは面白いです。ただ目の前に現れるのがあまり観たくない場面(18禁です)続きで、長時間ちょっと辛かったです。鬼才の衝撃作というのは間違いなかった…。(白)

★映画祭期間中のみ特別バージョンの162分で上映されます。

◆『オーケストラ!』 2009年/124分/原題:Le Concert
監督:ラデュ・ミへイレアニュ 
出演:アレクセイ・グシュコブ、メラニー・ロラン、フランソワ・ベルレアン
パリで「マイケル・ジャクソンTHIS IS IT」を越えオープニング№1を記録した大ヒット作!
GW Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座他にて全国順次ロードショー 配給:ギャガ 

アンドレは、かつては天才指揮者と呼ばれて名声をほしいままにしていた。共産主義の80年代、ユダヤ系の演奏者の排斥を拒否して解雇され、今はロシア ボリショイ交響楽団の清掃員に甘んじている。責任者が休暇で不在のとき、パリからの出演要請のFAXを偶然目にしたアンドレは、とんでもないことを思いつく。ボリショイ交響楽団の代わりに、自分と仲間達が出演しようというのだ。楽団を辞めさせられて以来、様々な職業で糊口をしのいでいた仲間たちは彼の呼びかけに応じてやってくる。実はアンドレの真の目的は別のところにあった…。

長い間演奏をしていない仲間、資金不足のために仕方なく加えた素人など、寄せ集めの楽団員たちのキャラクターが笑いを誘いました。原題が「コンサート」なのは、アンドレにはコンサートを開くこと自体が最も重要だったからでしょう。そのため、肝心なはずの楽団の質が…門外漢の私でも少しは練習しなさいよと言いたくなるほど。これがラストへ向けて出来上がっていくのですから映画ですね~。
史実を元にして、ドラマとユーモアをたっぷり加えたのは『約束の旅路』のラデュ・ミへイレアニュ監督。勇気と情熱の人アンドレイにはロシアの名優アレクセイ・グシュコブ。物語のキーである人気バイオリニストのアンヌ=マリー・ジャケには、『イングロリアス・バスターズ』で活躍したメラニー・ロラン、彼女を支えるマネージャー役にミュウ=ミュウが扮して華を添えています。シャトレ座で迎えるコンサート本番のシーンでは、うって変わった真剣な表情の楽団員の演奏に感動します。2月末のセザール賞で音響・作曲賞を受賞。(白)

公式HP  http://www.unifrance.jp/festival/

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【関連企画】アラン・レネ全作品上映

3月4日(木)から4月18日(日)まで東京日仏学院とユーロスペースにて ヌーヴェル・ヴァーグ左岸と称されながら、独自の道を大胆に歩み、一作ごとに新た なフォルムを発明してきた巨匠アラン・レネの日本初の全作上映を開催します。

お問い合わせ先:東京日仏学院 TEL:03-5206-2500 http://www.institut.jp


◆『風にそよぐ草』(仮) 2009年/104分/原題:Les Herbes folles
監督:アラン・レネ
出演:アンドレ・デュソリエ、サビーヌ・アゼマ、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニ
2009年カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞

アラン・レネ監督の作品は『ヒロシマモナムール』(1959年)だけ観たことがありました。その時の人物設定もハチャメチャでビックリしましたが、この作品もそこかしこにそのハチャメチャぶりが発揮されていて相変わらず凄いなあと思いました。ジッパーが忘れられません。 (千)

88歳の監督の最新作。有名な俳優が多く出演しているのは監督の力なんでしょうね。主人公ジョージ(アンドレ・デュソリエ)が、拾った財布の持ち主の女性に妄執し、ストーカー化するのがもしかして認知症か?と思わせます。渋くて素敵なおじ様なので、女性たちが惹かれるのもわかるのですが、ストーリーはあっちこっちへ飛び、ラストもあっけにとられました。なんと表現してよいのかわかりません。昔の作品『夜と霧』を観てみなくちゃ。(白)





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