このページはJavaScriptが使われています。
女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
(1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

第28回香港電影金像奬ノミネート作品発表

第28回香港電影金像奬ノミネート作品発表記者会見

今年も香港電影金像奬(香港のアカデミー賞)の時期が近づいてきました。2月11日(水)に香港で記者会見が開かれ、今年のノミネート作品が発表されました。ノミネート作品は以下の通り。

賞項目 ノミネート
作品賞
  1. 生きていく日々/天水圍的日與夜
  2. レッドクリフ Part.I/赤壁
  3. ミラクル7号/長江7號
  4. 畫皮
  5. 葉問
監督賞
  1. アン・ホイ/許鞍華(生きていく日々/天水圍的日與夜)
  2. ジョニー・トー/杜琪峯(文雀/文雀)
  3. ジョン・ウー/吳宇森(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  4. ベニー・チャン/陳木勝(保持通話)
  5. ウィルソン・イップ/葉偉信(葉問)
脚本賞
  1. スーザン・チャン/陳淑賢、シルビア・チャン/張艾嘉、マチアス・ウー/胡恩威(一個好爸爸)
  2. ロウ・シウワー/呂筱華(生きていく日々/天水圍的日與夜)
  3. ゴードン・チャン/陳嘉上、ラウ・ホーリョン/劉浩良、クウォン・マンワイ/鄺文偉(畫皮)
  4. ジャック・ン/吳煒倫、ダンテ・ラム/林超賢(証人)
  5. アイビー・ホー/岸西(親密/親密)
主演男優賞
  1. ルイス・クー/古天樂(一個好爸爸)
  2. サイモン・ヤム/任達華(文雀/文雀)
  3. トニー・レオン/梁朝偉(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  4. ニック・チョン/張家輝(証人)
  5. ドニー・イェン/甄子丹(葉問)
主演女優賞
  1. パウ・ヘイジェン/鮑起靜(生きていく日々/天水圍的日與夜)
  2. プルーデンス・リウ/劉美君(性工作者2 我不賣身‧我賣子宮)
  3. バービー・スー/徐熙媛(保持通話)
  4. ジョウ・シュン/周迅(畫皮)
  5. カレーナ・ラム/林嘉欣(親密)
助演男優賞
  1. チャン・フォンイー/張豐毅(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  2. チャウ・シンチー/周星馳(ミラクル7号/長江7號)
  3. リウ・カイチー/廖啟智(証人)
  4. ラム・ガードン/林家棟(葉問)
  5. ファン・シウウォン/樊少皇(葉問)
助演女優賞
  1. ノラ・ミャオ/苗可秀(一個好爸爸)
  2. チャン・ライウン/陳麗雲(生きていく日々/天水圍的日與夜)
  3. ヴィッキー・チャオ/趙薇(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  4. レイス・ウォン/黃婉伶(性工作者2 我不賣身‧我賣子宮)
  5. スン・リー/孫儷(畫皮)
新人賞
  1. モニカ・モク/莫小奇(一半海水 一半火焰)
  2. チャン・ユーチー/張雨綺(女人不壞)
  3. ジュノ・リョン/梁進龍(生きていく日々/天水圍的日與夜)
  4. リン・チーリン/林志玲(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  5. シュー・チャオ/徐嬌(ミラクル7号/長江7號)
撮影賞
  1. 張東亮(三国志/三國之見龍卸甲)
  2. 鄭兆強(文雀/文雀)
  3. 呂樂、張黎(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  4. 黃岳泰(畫皮)
  5. 柯星沛(葉問)
編集賞
  1. David Richardson(文雀/文雀)
  2. 林安兒、Robert A. Ferretti、楊紅雨(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  3. 邱志偉(保持通話)
  4. 陳祺合(証人)
  5. 張嘉輝(葉問)
美術賞
  1. 李仁港、馬光榮(三国志/三國之見龍卸甲)
  2. 奚仲文、劉敏雄(エンプレス —運命の戦い—/江山美人)
  3. 葉錦添(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  4. 雷楚雄(畫皮)
  5. 麥國強(葉問)
衣装賞
  1. 莊志良、黃明霞(三国志/三國之見龍卸甲)
  2. 張叔平(女人不壞)
  3. 奚仲文、吳里璐(エンプレス —運命の戦い—/江山美人)
  4. 葉錦添(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  5. 吳寶玲(畫皮)
アクション設計賞
  1. サモ・ハン/洪金寶(三国志/三國之見龍卸甲)
  2. コリー・ユェン/元奎(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  3. リー・チョンチー/李忠志(保持通話)
  4. ステファン・トン/董瑋(畫皮)
  5. サモ・ハン/洪金寶、リョン・シウホン/梁小熊(葉問)
音響効果賞
  1. 吳江、Roger Savage(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  2. Chris Goodes、王磊(保持通話)
  3. 曾景祥、黎志雄(畫皮)
  4. 鄭穎園、聶基榮、黃大衛(証人)
  5. 曾景祥(葉問)
視覚効果賞
  1. Craig Hayes(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  2. 黃宏顯、黃宏達、羅偉豪(ミラクル7号/長江7號)
  3. 何兆倫(深海尋人)
  4. 吳炫輝、鄒志盛、譚啟昆(畫皮)
  5. 黃智亨(葉問)
映画音楽賞
  1. ヘンリー・ライ/黎允文(三国志/三國之見龍卸甲)
  2. Xavier Jamaux, Fred Avril(文雀/文雀)
  3. 岩代太郎(レッドクリフ Part.I/赤壁)
  4. 藤原いくろう(畫皮)
  5. 川井憲次(葉問)
映画主題歌賞
  1. 隨夢而飛(エンプレス —運命の戦い—/江山美人)
    作曲:マーク・ルイ/雷頌德 詞:リン・シー/林夕 歌:ケリー・チャン/陳慧琳、レオン・ライ/黎明
  2. 分手要狠(我的最愛)
    作曲:アンドリュー・チュウ/朱敬然 詞:ファン・ジエ/方杰 歌:カリー・ン/吳雨霏
  3. 心戰(レッドクリフ Part.I/赤壁)
    作曲:岩代太郎 詞:フランシス・リー/李焯雄 歌:アラン/阿蘭
  4. 一萬年的序幕(深海尋人)
    作曲:Kerman 詞:螞蟻米工廠 歌:アンジェリカ・リー/李心潔、Dilnur
  5. 畫心(畫皮)
    作曲:藤原いくろう 詞:キース・チャン/陳少琪 歌:ジェーン・チャン/張靚穎
新人監督賞
  1. デレク・クォック/郭子健(青苔)
  2. ヘイワード・マック/麥曦茵(烈日當空)
  3. アイビー・ホー/岸西(親密/親密)
アジア映画賞
  1. 非誠勿擾(中国・フォン・シャオガン/馮小剛監督)
  2. 海角七号/海角七號(台湾・サミュエル・ウェイ/魏徳聖監督)
  3. 容疑者Xの献身/神探伽俐略(日本・西谷弘監督)
  4. 花の生涯ー梅蘭芳/梅蘭芳(中国・チェン・カイコー/陳凱歌監督)
  5. 戦場のレクイエム/集結號(中国・フォン・シャオガン/馮小剛監督)
ニック・チョン  ケイト・チョイ

やはり今年は『レッドクリフ Part.I』が強く、主演女優賞、新人監督賞、アジア映画賞以外のすべての部門にノミネートされています。それに続いて『畫皮』が12部門、ウィルソン・イップ監督の『葉問』も11部門ノミネート(助演男優賞には2人ノミネート)で大健闘です。しかし、注目すべきは『生きていく日々/天水圍的日與夜』でしょう。去年の東京国際映画祭やアジアフォーカス福岡国際映画祭でも上映されましたが、地味ながらもアン・ホイ監督の円熟を感じられる大変素晴らしい作品です。作品、監督、脚本、主演女優、助演女優、新人賞といった主要6部門にノミネートされています。

『畫皮』と『葉問』は日本未公開。『畫皮』は古装の怪奇ファンタジーで、美しい女性に化けた妖怪と武将とその妻の愛憎劇。ジョウ・シュン(周迅)、チェン・クン(陳坤)、ヴィッキー・チャオ(趙薇)の豪華キャストです。一方、『葉問』はブルース・リーの師匠でもある武術家・葉問(イップ・マン)の半生を描いた作品。葉問を演じるのはドニー・イェン(甄子丹)です。

主演男優賞の注目はルイス・クー(古天楽)とニック・チョン(張家輝)、そしてドニー・イェン(甄子丹)の初ノミネート。ルイス・クーとニック・チョンは、近年ジョニー・トー作品に立て続けに出演し、その一方でアクション、コメディ、ラブロマンスものと、なんでもござれでこなす俳優に成長し、その演技力が注目されてきました。2人ともこれまでに助演男優賞へのノミネートはありましたが、主演男優賞は初めて。本人もファンも嬉しいことでしょう。ドニー・イェンはベテランですが、演技者としてノミネートされるのは第12回『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』での助演男優賞以来となり、主演は初めてです。これら3人の初ノミネートに、トニー・レオン(梁朝偉)とサイモン・ヤム(任達華)がレースに加わります。サイモン・ヤムはこれまでに助演男優賞に4度、主演男優賞3度ノミネートされていますが、いずれも受賞できていません。今回、4度目の正直なるでしょうか? トニー・レオンはすでに5度も最優秀主演男優賞を受賞しているので、今回は遠慮してもらって(ファンの方には失礼ですが・・・)、初受賞者の喜ぶ顔が見たいものです。

映画音楽賞には何と日本人作曲家が3人もノミネートされています。岩代太郎さん、川井憲次さんはおなじみですが、藤原いくろうさんはご存じでしょうか? 初めはポップスの分野でお仕事をされていましたが、徐々にクラシックの分野にも活躍の場を広げて来られた方です。ピアニストとしてソロアルバムも出しています。映画音楽は『69』(李相日:監督) 『同じ月を見ている』(深作健太:監督)などを手がけ、これから日本公開の映画では『ヤッターマン』(三池崇史:監督)、『ニセ札』(木村祐一:監督)の音楽も担当されています。最近は香港の大作映画の陰に日本人音楽家ありといった風情があります。

授賞式は4月19日(日)に香港文化センターにて行われます。

return to top

(文:梅木 写真:Hong Kong Film Awards Association提供)

本誌「シネマジャーナル」及びバックナンバーの問い合わせ:
order@cinemajournal.net
このHPに関するご意見など: info@cinemajournal.net
このサイトの画像・記事等の無断転載・無断使用はご遠慮下さい。
掲載画像・元写真の使用を希望される場合はご連絡下さい。