女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

『フルタイムキラー』記者会見 2004年2月3日

司会 伊藤さとりさん 通訳 辻村哲郎さん

アンディ・ラウ、反町隆史さん、松竹映画部部長、彩プロ代表取締役と4人登場、着席。


=フォトセッション= 二人テーブルのところで(撮影:宮崎)

司会 ではお二人に、今回の映画の役どころとご挨拶をお願いいたします。

アンディ みなさんこんにちは、アンディ・ラウです。 今回、この映画では身体に欠陥のある殺し屋の役です。名前はトクといいます。

反町 みなさんこんにちは、反町です。 こんなに大勢の方にお集まりいただいて有難うございます。嬉しく思っています。 これは3年位前香港に2ヶ月間いて撮った作品です。なぜ香港映画か?ということですが、 僕はアクションに興味があり、 彼のアクションをやっている姿が好きでこの映画を引き受けさせてもらいました。 本場の香港映画のアクションを生で見られて嬉しく、一生懸命やった作品です。 みなさんにもぜひ協力していただきたく、よろしくお願いいたします。

司会 どうも有り難うございました。さっそく質疑応答に移ります。 もちろんプライベートな質問はなしで、よろしくお願いいたします。


Q  反町さん、役作りで苦労されたこと、撮影中に大変だったことは?

反町 殺し屋というのは今まで考えたこともなかった役です。 でも香港映画をみているとわりと多い設定ですね。僕は今まで感情を出す役が多かったのですが、 今度は感情を押し殺す冷静な役で、そのへんが難しかったです。

Q  普段ハッピーな生活を送られている反町さんが(場内くすくす笑) 殺し屋の役をするというのは、どうやって気分を変えるものですか?

反町 監督に相談し、 もちろんアンディが中心と映画ですから彼にも話を聞きながら撮影しました。

Q  奥様がご覧になってどんな感想をおっしゃっていましたか?

反町 いや、まだ観ていません。これからだと思います。

Q  あの、ファンの方が注目してるんで奥さんのオメデタ…

司会 すみません、プライベートな質問はなしというお約束ですのでこのへんで。   (食い下がる記者と司会のやりとりが続き、反町さん苦笑い)

司会 (記者へ)がんばっていただきまして有難うございました。   (場内爆笑)

Q  お二人それぞれ共演された印象は?

アンディ 撮影にかかった2ヶ月間、 反町さんの演技やアクションに対する要求は大変高かったです。 アクションはそんなにやったことがないと撮影前に聞いていましたが、 一生懸命にやってくれて結果もたいへん良かったと思います。

反町 アンディさんは僕の倍の倍の倍も映画を撮っていて、 これだけ経験があったら器用にこなすこともできると思うのですが、 感情を入れてひとつひとつのシーンをすごく大事に撮っていました。 そういうのがとても勉強になりました。

アンディ この映画の中で日本語のセリフがいっぱいあるので、 撮影前にかなり日本語の勉強をしました。自分ではかなりできるようになったと思っていたのに、 本番で反町さんに日本語のセリフを喋ったとき、 彼は僕が何を言っているのか全くわからなかったようです(笑)。 ですから反町さんとのからみのシーンにはかなり時間がかかりました。 今後反町さんとの共演の機会があれば、僕の日本語はもっと進歩していると思います。

司会 反町さん、アンディさんの日本語は聞いていかがでしたか?

反町 いや、上手でしたよ。(アンディ爆笑)

司会 アドバイスとか日本語教えたりとかは?

反町 彼にはちゃんと先生がついていましたから。

Q  反町さん長い間の撮影の間中の体調管理は?

反町 ホテル暮らしでしたし、 スタッフみんなとジムや食事に行ったりしていました。

Q  熱い男たちの戦いを描いた作品ですが、 香港映画のエネルギーというものをお二人はどう感じられたでしょうか?

アンディ ここ数年香港映画は静かになってしまったのですが、 香港映画の特長というのは全ての面においてとても大胆だということです。 最近は新しい局面を迎えてきて、他の国との合作、俳優との共演などが多くなってきました。 こういうことによって、アジア、世界に進出していけるよう願っています。

司会 昨年の『インファナル・アフェア』に続いて、 この『フルタイム・キラー』で来日してくださいましたが、 ファンの皆様の感触も変わってきたのではないですか?

アンディ 年々映画のキャンペーンで来る機会が増えてきました。 僕の映画もこのように少しずつみなさんに見ていただけるようになりました。 ファンのみなさん、これからも引き続き応援してください。

反町 まだ1作しか出ていないので、大きなことは言えませんが。 アクションが盛んというのが印象です。日本だとここからこの範囲は危ないと思うと、 大体スタントを使います。それが香港では自分でやる、僕は毎回びびりながらでした。 役者さんたちはみんなよくできる、ほんとにすごいなと思います。

Q  反町さん、今回はアクションシーンが多くて、 生傷が絶えなかったと聞きましたが。

反町 僕は肝が小さい人間なので、 2階から飛び降りろと言われてもなかなかちょっと…。 ところがアンディは40階だか50階のビルの上から銃を撃つシーンを、普通の顔をしてやってるんです。

司会 何かすごく大変だったエピソードはありますか?

反町 3階からバック転をして1階まで落ちるシーンがあります。 それがロープ1本で!言葉が通じないものですから不安になっちゃって、 「こんな命綱で大丈夫なの?」「大丈夫、大丈夫!」…(笑)
あんまりにも難しいんでリハーサルに1日かけたシーンもあります。

司会 それは実際飛び降りたんですよね。 やり終えた瞬間はどうでした?

反町 「やった!」と思ったら、監督が「もう一回」って。 さすがに「この監督は鬼だ!」と思いましたね(場内爆笑)。

Q  反町さんには初めての海外ロケで、食べ物など生活面でのエピソードは?

反町 基本的に中華料理をよく食べていました。 最初はがっついて食べるんですが、2週間も経つと日本食が恋しくなって、 ホテルにある日本食のレストランに行きました。

司会 アンディさんにどこか連れて行ってもらったりは?

反町 撮影の合間に…。まあこれも中華料理なんですけど(笑)。

アンディ やっぱり香港に来てもらったんだから中華料理がいいかなと。 まさかもう2週間で飽きてるとは知りませんでした(笑)。

Q  お二人が考えるこの映画の一番のテーマとはなんでしょう? 特にアンディさんはプロデュースもやってるということなので、そのへんも含めて。

アンディ この映画の主題は… 自分自身がなんでもコントロールできると思っているけれど、運命には逆らえないということ。 僕の役は殺し屋の?bPになりたいけれども、身体の欠陥があってそうはいかない。 反町さんの役柄も同様に穏やかな生活をしたいと思っているのに、殺し屋になってしまっていた、 そういった運命を背負っているということ。

反町 全くその通りだと思うんですけど。 僕の役はすごく冷静で穏やかに生活したい、だけど殺し屋をやっていてアンディと闘っていく。 二人の全く違った者同士が一つのものに向かって闘っていく姿だと思います。

Q  反町さん、先ほどから伺っていて、 観ると聞くでは大違いということかと思いますが、 実際に出演してから香港映画を観る目が変わったでしょうか?

反町 日本ではテストを何度も繰り返して本番に移るケースが多いと思うんですよね。 『フルタイムキラー』の現場ではテストを一回すると次は本番でした。 そのテンションというかスピードについていくのがやりやすかった点であるし、 難しかった点でもありました。 ただ出来上がったものをみるとしっかりした世界観があってそれが伝わってきました。 たとえば自分が演じた人間がちゃんとそこにいる、というような。
今いろいろな俳優さんが香港の映画に出演していますが、 全く違う環境で仕事をするのは自分自身の勉強にも自信にもなりますので、 これからもやっていきたいと思います。

Q  アンディさん、脚本を読まれて出演を決められると思いますが、 今一番興味を持って読まれている脚本や原作がありましたら、 次回作の構想も含めてお聞かせください。

アンディ この映画は原作を先に読んで、 とても素晴らしかったので映画化を考えました。 今までの作品ではあまりちゃんとした脚本がなかったので、 今回は反町さんに出ていただくためにパーフェクトな脚本を作り上げてからお話ししました。 かなり撮影は延びましたが、結果的に良いものができました。 将来、もっとアクションの多いものに反町さんをお呼びしたいです(笑)。
次の作品は未定ですが、僕はチャン・イーモウ監督の作品を終了したばかりで (8月日本で公開予定の『LOVERS』)、公開のときにまた皆さんにお目にかかれると思います。

司会 小説など読まれていますか?

アンディ 小説は、日本語ではなんというのかな 「ちゅうわん」(←ここよく聞こえず、不明) という中国のお化けの話を読んでいます。 とてもユニークなもので、映画に使えるかなと思っています。(また反町さんへプライベートな質問が飛びそうになり、会場にぎやかに)

アンディ 僕は大丈夫、奥さんいませんから(笑)。

Q  男性アクション映画に1人の女性(ケリー・リン)が登場しますが、 彼女とのからみの中でどこに注意して演じましたか?

アンディ 彼女はセクシーな旬の女優さんで、 純情なイメージをつけたかったのです。彼女とのシーンはおとなしい感じで撮りました。 彼女の出ているところはとてもユニークだと思います。

反町 3年前のことなので、間にいろんな作品に出ましたから… 思い出しながらですが…。彼女とは日本語で話す場面が多かったです。 日本語は微妙なニュアンスが難しく、それがちゃんとないと演技が成立しません。 なにしろ、日本語がわかるのは自分と通訳の人だけなので、 監督も何を言っているのかわからない状況なんです。 セリフを監督に説明しながら時間をかけてやりました。


=フォトセッション= 銃を構えてポーズ(撮影:阿媽)

(撮影:宮崎)

 反町君、アンディとも黒のスーツ。反町君は中にブルーのYシャツ、ノータイ。 髪は寝癖なの?と思うようなラフさ。逆にアンディは髪もメイクもばっちりキメて、 インナーは黒と赤のセーターの重ね着?私の席からは材質ははっきりわかりませんが、 身体にぴったり+衿がV字に大きくあいてセクシーこの上なし。 なにもしなくても充分セクシーな人なんですけど。スターのオーラがびしばし出ていました!!

 質問は上記でおわかりのように、現在おめでたかと噂の反町夫人(松嶋菜々子さん) になんとか話を持っていきたい民放記者と、司会との攻防がスリリングでありました。 聞いているこちらも、きたきたと思わずクスクス笑い。どの質問も笑ってかわす反町くんを見ながら、 茶々を入れるアンディ。彼も香港ではいつも笑ってノーコメントでしたっけ。

 終わり頃、私の不手際から録音テープが足りなくなりました。 慌てふためいてメモができなかった個所があり、話がつながりません。すみません。 後でわかりましたら追加訂正いたします。 映画公開が近づいていますので急ぎこのままご報告いたします。

注:「ちゅうわん」
「ちゅうわん」とは、香港のSF作家倪匡(ニー・クワン)の書いた「招魂」という本でした。 検索すると簡体字の小説にヒットします。 倪匡の作品では特に「衛斯理(ウェズリー)シリーズ」が人気で、 これを元に映画化されたのが、周潤發がウェズリーに扮した『セブンス・カース』、 金城武、李連杰の『冒険王』、劉徳華の『ブルー・エンカウンター』など。 香港のTVドラマ、黎明主演の「原振侠シリーズ」もこの人のもの。 古くは邵氏兄弟(ショウ・ブラザーズ)のアクションものの脚本も多数書いています。

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(取材・写真:宮崎、阿媽 まとめ:阿媽)

『フルタイム・キラー』 in JAPAN

 去年9月の『インファナル・アフェア』プロモーションで来日したばかりなのに、 又日本に来てくれる! それも上映館もずっと少なく、期間も恐らく短いだろう『フルタイム・キラー』のためになんて、 思いもよらなかった。来るって聞いた途端、まさかと思ったのは私だけではないはず。 日頃忙しいアンディが、それも本来なら貴重な旧正月の休暇中 (大きな休暇はこの時期と誕生日の時の年2回というのが通常)にわざわざ来日。 さらに川崎、東京、名古屋、大阪と舞台挨拶やイベントに出てくれるということで、 自らの会社が製作・プロデュースした映画の宣伝に頑張るアンディの意気込みを感じることができた。
 そして本当にアンディは2月1日来日、 ファンクラブパーティーを皮切りに4日間のプロモーションを行ったのだ。

 1日目はファンクラブパーティーを帝国ホテルで行い、翌日朝にはテレビ生出演。 これにはビックリ!取材カメラは空港にも来ていたが、まさか生出演をするなど予想もしないもの。 生は『ファイターズ・ブルース』で「笑っていいとも」に出て以来ではないだろうか。 通勤、通学前の多くの人が見ているこの番組に出たことによるインパクトは大きいぞ〜。 これはなんて幸先いいのだろう。 これならもっと色々なテレビ、媒体が取り上げてくれると期待は大きかったのだけれど・・・。
 今回、試写会は本当にチケットが手に入らず、多くのアンディ迷が当たらなかったと聞いている。 オークションでもかなりの高額になって、ますます手に入りにくい状態だったはず。 ところが実際会場に行ってみると、2日夜の川崎など7割くらいの入りでしかない。 天気が悪かったとは言え、この状況はどうなのだろう。 一目アンディを見たいと会場の周りにいたファンクラブ会員にチケットを配っても まだまだ空席は目立っていのだから悲しい。
 きっと登場した時会場を見回したアンディ自身もがっかりしたのではないだろうか。 でも前のほうに、何とかチケットを手に入れて座ったファンクラブ会員たちを見て 「知っている顔がたくさん」と喜んでくれていた。 マスコミ取材も、香港サイドのカメラが入っていたのと、 後は数人香港関係の雑誌のカメラがあっただけで淋しいものだった。 それでもアンディはご機嫌良く、覚えている映画の中のせりふを言ったり、 ファンとの掛け合いなど気さくな感じで会場を盛り上げてくれた。
 質問コーナーでは、会場から選ばれたファンが舞台に上がって質問したのだが、 その中に「彼の作品の中で好きな役柄は?」というものがあった。そのときアンディはすぐに 『痩身男女』のデブちゃんの役である「肥イ老」を挙げた。 会場からは「『大隻イ老』は?」という声もあがったのだが、 やはりアンディは肥イ老の方が好きだという。 この映画はデブ着ぐるみをつけて、ハンサムでかっこいいアンディとは正反対。 だけどやさしくて人のいい役柄を見事に演じ切って新境地を開いたものだから、 彼が好きだというのは納得できるかな(見慣れるまでファンにはちょっと辛いものがあったのだが)。

 翌3日に反町隆史氏と一緒に記者会見を行い(翌日のテレビは反町夫人のことばかり取り上げられて、 アンディに関してはほとんど無視だったのは残念)、夜には有楽町にて試写会が開かれた。 唯一反町氏が登場する舞台挨拶つきということもあり、こちらはほぼ満席。 ただラジオ局主催のためかテレビカメラもなく、取材も入らない淋しいものではあった。
 二人は申し合わせたかのように黒のスーツで登場。 反町氏は今まで感じていたイメージを覆すくらい爽やかな印象を与えてくれた。 背も高いし、すらっとしてかっこいいったらありゃしない。 いつも無愛想で偉そうな態度というイメージしか持ってなくてごめんなさいっていいたいくらい、 はにかみ屋でかわいいい青年だった。アンディファンも好印象を持った人は多いと思う。 司会者からの「互いの役柄についてあてはまるのはどちらか?」 というちょっとしたお遊びにも付き合って、 恥ずかしそうに手首だけを上げて答える姿なんか可愛すぎ。
 香港での撮影は彼にとってあまりいい思い出はないのか、香港での楽しかった点を質問されて、 答えに詰まった姿には笑わせてもらったけど。アンディも反町氏をさりげなく盛り立て、 それでいてファンに対するアピールもばっちり。 ファンから贈られた寄せ書きのハンカチを胸のポケットに入れてチーフにするなど、 気配りも忘れていなかった。もちろんかっこよさも負けていなかったのは言うまでもない。
 盛況だった東京での試写会だが、 舞台挨拶が終わった途端席を立っていくファンが少なくないのにはがっかり(川崎でもそうだった)。 特にこの東京の後、アンディは名古屋に行ってしまうので追いかけたくなる気もわかるのだが、 映画を見てもらいたくて舞台挨拶に来ている俳優に対してやはり失礼な気がする。 実際アンディは映画が終わるまで会場を出ていなかったのだから、 このことを知ったらどんな気分がするのやら。 95年の東京国際映画祭での同じような出来事を思い出してしまった。

 4日朝9時半にはファンとのイベントがあって、アンディは前日名古屋入り。平日にもかかわらず、 多くのファンが参加して会場も予定の1階のみでなく2階席まであけることになったという。 今回のイベントは映画館と中華CD等を扱うショップの主催とあって、 ファンサービスを重視した内容だった。
 『フルタイム・キラー』メイキングの一部を上映、 それに絡めてアンディに撮影秘話や質問をしていったのだが、司会者がかなり緊張していて、 受けを狙って緊張をほぐそうとするアンディの努力もちょっと空回りしていたのはご愛嬌。 「日本語のせりふで覚えているものは?」とまた聞かれ、 「土曜日映画に行こう」と川崎の時よりはうまく言えたが、「もう一つ覚えている日本語は?」 と聞かれた時、いつもの十八番「私は日本人ではありません」が出るかと思ったら、 「新婚生活はいかがですか?」という昔の映画『極道追踪』のせりふが出たのにはビックリさせられた。 さらに前に日本語で出したCD「もう一度抱きしめたい」のワンフレーズを歌ってくれた。
 その後のプレゼント大会もアンディの好きな数字を書いてもらい、 その整理番号の人が舞台に上がってアンディに質問もできる、 というファンの気持ちを取り入れたものだった。 「いつまでも若々しい」とか「本当に若く見える」という意見が結構出たのだが、 自分は実際まだそれほどの年だと思ってないのか、アンディがちょっと不満げだったのに会場は大笑い。 また「今年日本でコンサートを開いてくれるか」という問いには、 「やる予定」と答えて会場を沸かせた。このときもファン一人一人に気を配っている姿を見て、 本当にファンを大事にする人だと再確認させられた。
 全体的に見てもこのイベントが、本当にアンディを見たい人が集まって楽しんだもので、 アンディ自身(朝早くて目を充血させていたけど)きっと楽しめたのではないだろうか。 名古屋では黒のタートルセーターにパンツ。前髪を下ろして割とラフな格好だったのだが (3箇所で一番すてきだった)この日の夜の大阪では、 スーツ姿でネクタイも締めてばっちり決めていたという話。 写真も撮れたというから、行かなかったのはちょっと残念。

 あっという間に終わってしまったアンディのプロモーション。 まずなんと言ってもアンディ自身の思いやりあふれる、ファンを大事にする姿勢を目の当たりにして、 この人のファンは本当に幸せだなと思った。一方どんなにアジアで大スターであっても、 日本での一般的な扱いは、ハリウッドスターに比べて残念ながらまだまだなのだと実感した。
 チャン・イーモウ監督の『LOVERS』(十面埋伏)宣伝で、 今年の夏また日本に来てくれそうなことを言ったアンディ、 今度こそスーパースター劉徳華にふさわしい十分なプロモーションが思う存分できることを期待したい。

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(文:美波)

『フルタイム・キラー』紹介・鑑賞記

監督 ジョニ・トウ/ワイ・カーファイ
キャスト 劉徳華(アンディ・ラウ)、反町隆史、サイモン・ヤム、ケリー・リン、林雪
2004年2月21日公開
関東 東京 東劇 ワーナーマイカル板橋  川崎チネチッタ
関西 大阪 梅田ブルグ7  他にてロードショー

公式サイト http://www.fulltimekiller.net/


 反町隆史演じる凄腕の殺し屋O(オー)、 Oを追い落としNO1にのし上がろうとする殺し屋トク(劉徳華)。 二人の孤独な殺し屋の対決、死闘を描いた作品。二人の争いに巻き込まれる女性チン。 サイモン・ヤム演じる刑事が二人を追う。

 マレーシア、タイ、シンガポール、韓国、香港、日本と、目まぐるしく舞台を変え、 二人の仕事=殺人や対決が繰り広げられる。

 エドモンド・パンによる原作は1998年に刊行され、香港ではまずラジオ化され、 ラジオ版ではOの役をアンディが演じ、トクの役は謝霆鋒(ニコラス・ツェ)が演じた。 その後、2001年に映画化された。


 『フルタイム・キラー/全職殺手』を初めて観たのは、2001年8月の香港。
香港でのアンディのコンサートに行き、コンサートが終わった後、午夜城と言われる、 なんと夜中に始まる時間帯に尖東(チムトン)の華懋廣場にある映画館に行った。 映画が公開されてからしばらくたっていたし、夜中の0時過ぎに始まるような時間帯だったから、 あまり観る人も少ないかなと思っていたら、意外に人が入っていてびっくり。 香港ってやっぱり不夜城だ!と思ったのを覚えている。

 入口でチケットやちょっとした夜食を買い、中に入るとけっこう広い劇場で、 最初やはり人が少なく心細かったけど、始まる間際や、始まってからも(笑)ぞろぞろと人が入ってきた。 映画が始まっているのに、うろうろ動いている人はいるわ、電話は鳴るわで、 やっぱり落ち着きがない香港人。 アンディのコンサートの最中も、席を立って出たり入ったりしているし、 なんて落ち着きがない人たちなんだろうと思ったけど、香港人気質なのかな?(笑)  コンサートや映画をじっと座って観たり、聞いたりという習慣がないんだろうなと思った。 アンディも落ち着きないし(笑)。

 この時は、日本語以外の広東語のところは想像で観ていたし、 アンディの変な日本語が気になってしまった(ごめん、努力して覚えて話してはいたのだろうけど)。

 反町隆史演じる殺し屋Oの行動はなんとなく理解できたけど、 アメリカ大統領の覆面をして殺人を犯した後、覆面を取って顔がわかってしまうという、 アンディ演じるトクの目立ちたがり殺し屋の行動が理解出来ず、 殺し屋なのになんでこんな派手な目立つような行動を取るんだろうと、 狐につままれたような不思議な気分だった。原作がそうなんだろうけど、 やはり二人の殺し屋の違いを際立たせたかったのか。 それにしてもトクは、自分の仕事を初めて会う人に言っちゃうし、 殺し屋とは思えない大胆な行動をとる役柄だった。

 めまぐるしく、マレーシアやタイ、シンガポール、香港などのシーンがあったけど、 その中で一番印象に残っていたのは、やはり地下鉄のシーン。 地下鉄の線路に逃げ込んだアンディのすぐ傍を電車が走り抜けていくシーンは、 緊張感なしには観れなかった。 また、映画やTVでのアクション経験がない反町隆史が、警察に追われて3階から2階、 1階へと落ちるように降りていくシーンは、ハラハラさせられた。 やはりジョニー・トウ、ワイ・カーファイ、見所はちりばめてある。

 映画が終わった後、歩いてホテルまで帰ったけど、 それにしても夜8時から11時頃まで約3時間にわたるアンディのコンサート!の後、 映画を観にいくという荒業をやってしまった私たちの体力にもびっくり(笑)。 やっぱり、愛は勝つ?(笑) もちろん、ホテルに着いたら、バタンキューだった。


 この時から2年以上がたち、もう公開されないんじゃないかと思われたけど、 いよいよ日本でも公開される。日本公開が嬉しくもあり、反応が不安でもある。 願わくば、好評であってほしいファン心(笑)。

杜[王其]峰
ジョニー・トウ監督

杜[王其]峰
ジョニー・トウ監督

韋家輝
ワイ・カーファイ監督

『フルタイム・キラー』場面写真

『フルタイム・キラー』場面写真

『フルタイム・キラー』場面写真

『フルタイム・キラー』場面写真

『フルタイム・キラー』場面写真

『フルタイム・キラー』場面写真

『フルタイム・キラー』場面写真

『フルタイム・キラー』場面写真

『フルタイム・キラー』場面写真

『フルタイム・キラー』場面写真


写真:
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(文:宮崎 暁美)
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