女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

『雨鱒の川』

監督:磯村一路
原作:川上健一「雨鱒の川」(集英社刊)
音楽プロデュース:葉加瀬太郎
出演:玉木宏、綾瀬はるか、須賀健太、中谷美紀、阿部寛、柄本明、星由里子ほか

 川で魚を捕ることと、絵を描くことが大好きな8歳の心平は、身体は弱いが優しく美しい母と二人で、北海道の自然の中でのびのびと暮らしていた。仲良しの小百合は耳が聞こえないが、心平とだけは心が通じ合い、いつも一緒に遊んでいた。ある日、心平が描いた絵がパリ児童絵画展でグランプリを獲ったというニュースが届く。盛大な祝賀会が行われた夜、母が突然この世を去り、幸せな少年時代が終わりを告げる。
 22歳になった心平は、小百合の父・高倉が経営する酒蔵で働いているが、相変わらず絵に熱中していた。そんな心平に高倉は東京へ行くことを勧め、画廊を紹介する。小百合の「ずっと待っている」という言葉に後押しされて、心平は東京へ向かう。しかし高倉は娘に酒蔵を継いで欲しいがために、小百合を優秀な社員の英蔵と結婚させようと考えていたのだった。

テーマは「初恋」。ほとんどの人が実ることのない初恋を、純粋な心で結ばれた主人公二人がどのように守り通すかを見守って下さい。北海道の美しい風景に溶け込む、ファンタジックなお話です。

2004年/日本/113分/ヴィスタサイズ/DTSステレオ
配給:ミコット・エンド・バサラ/パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

★11/13(土)よりアミューズCQNほか全国順次ロードショー

公式 HP >> http://www.amemasu.net

『雨鱒の川』 磯村一路(いそむらかずみち)監督に聞く

磯村一路

[プロフィール]

 1950年生まれ、岐阜県出身。 早稲田大学卒業後、自主映画制作・上映活動を行う。若松孝二監督に師事、神代辰巳、崔洋一、高橋伴明家督らの下で多数の作品に関わる。
90年『ギャッビー/僕らはこの夏ネクタイをする!』で監督デビュー。93年、プロデューサーの桝井省志、周防正行監督らとアルタミラピクチャーズを設立した。

[主な映画作品]

91年『あさってDANCE』、93年『人間交差点/道』、96年『目を閉じて抱いて』、98年『がんばっていきまっしょい』、01年『群青の夜の羽毛布』、02年『船を降りたら彼女の島』、04年『解夏』

-- 今回の作品は監督のみで、脚本は別の方ですね。どちらもされる場合とどのように違いますか?

監督 今回はプロデューサーからこういう原作(注1)があると教えていただいて読みました。どういう作品を作りたいかというイメージがプロデューサーにあるわけです。そういう場合はライターと私と3人で話し合って作ります。
 自分で脚本も書く場合の良いことは、なにもかもわかっているということ。逆に悪いのは、思い込みが強くなって独りよがりになりやすいということです。『がんばっていきまっしょい』は自分ひとりで書いています。もちろん他の人の意見を聞かないというのではなく、プロデューサーやスタッフの意見は聞いて、監督一人の思い込みにならないよう、心がけてはいます。他の人の書いたものを客観的に観るのと、自分の思いで突っ走ろうというのとはやはり違いますね。

-- 思い入れのあるものは自分で書こう、ということになりますか?

監督 いえ、そうではなくてこういうタイプのは自分で書いたほうがいいだろうということです。前の作品の『群青の夜の羽毛布』は、玉木くん、本上まなみさんのラブストーリーで、どっちかというと女性が主人公の話ですから、これは女性のライターの方に女性の立場から書いてもらったほうがいい、と。どうしても男性よりの発想しかないんで。作品によりけりだと思います。
『がんばっていきまっしょい』のときは実は悩んだんです。女の子ばっかりの話でしょう。ただ僕は運動部(岐阜の高校で剣道部)だったので、その気持ちだけは良くわかるんです。だからこれは書ける、と。16,7の女の子のことは全くわからないので想像力が働く・・・。

-- 元女の子としては、気持ちが良く出てると思いました。

監督 いやー、女の子にはよく文句も言われましたよ。元も現も含めていろいろ取材しましてね、合宿では何をするんだ?と。恋占いはよくやったとか、告白しあったりするんだとか聞きました。そういうのを生かしたつもりです。

-- ご自身で書かれた場合は撮影の段階で徐々に変えていきますか?

監督 そうです。変えて行きます。他の方が書いたものは最終的にこの脚本で撮ります、と約束するんです。ただし「場合によっては変えてもいいですか」とお願いもしておくんです。現場に入ってからの条件や、場所の問題もありますから。私はシナリオライターだけの仕事も昔やっていたので・・・今はあんまり注文来ないんですが(笑)、自分で書いて他の監督が撮ったことがあるんです。やっぱり変えられるとすごく腹が立つ。酔っ払ってからんだりして(笑)「折角こういうつもりで書いたのになんで変えるんだ」と。だから両方の気持ちがわかります。変えて「ごめんなさい」って事になるんですけど。今回も現場でプロデューサーと相談しながら少し変えたところがありました。

-- この『雨鱒の川』も監督の子供時代と重なる場面がありましたか?

監督 ありましたね。原作の少年は東北の川で魚を取りますが、僕は岐阜市で、長良川で魚取りをしました。作者の方とあまり変わらない昭和30年代の田舎の子供でしたから、よくわかります。

-- 子供時代の後、大人になった心平のシーンが挿入されますが、どういう意図があったのですか?

監督 あれはシナリオの構成上そうなっているので、現場で変えたわけではないんです。最初にこんなに幸せな少年少女がいました、でも大人になったらもう不幸が始まっている、とそういうつながりなんですよ。ある種急速な転換ですね。そしてまた子供時代に戻って・・・観客には少し不親切かもしれないですけど。こういうのもいいんじゃないかとシナリオどおりに撮りました。

-- 子供時代の絵を誰が描いたのか気になっています。子供の絵と思えないんですが。

監督 あれは葉加瀬太郎さん本人が描かれたものです。子供時代のは全部そうで、大人になってからロフトで描いたものは葉加瀬さんの原画を元に美術さんが描きました。
 今回は音楽を担当してくださってるんですが、プロデューサーから葉加瀬さんが絵を描かれると聞きまして。子供のような自由奔放な絵も描かれるのです。心平は世界の絵画展で優勝する、言ってみれば天才です。そういう絵を探し出すのが大変。健太くん(子役)も描くんですが、普通の子供の絵ですし。

-- 中谷美紀さんをお母さんに起用されたのは?

監督 監督っていうのは面白い仕事で、人がやっていない事をやってもらいたんですよ。中谷さんはまだ若いし、子供もいないんですが。自分が心平だったら、あんな素敵なお母さんと丘の上でいられたらいいなぁという・・・。いかにもお母さんじゃないかもしれないですけど、若々しい感じも欲しかったんですね。
 最初はやってくれないかもと思ったんですよ。結婚もしてないのに子供がいて、それも未亡人だなんていやだわって言われるかもしれないって(笑)。でも逆に「やったことがないこういう役なら」と受けていただきました。

-- 男の子の思い出の中のお母さんって感じがしました。いつも白い服で綺麗にしていて、生活感がなくていいんだなと観ていました。

監督 そう、生活感から逃げたいっていうか(笑)。男の子はそういうのに憧れます。自分の母親は生活感いっぱいだけど、友達のお母さんは違うとか。中谷さんはトラクターも自分で運転するからと、練習したりずいぶん頑張ってくれました。

-- 家のセットですが、一旦作ってから壊していったんですか?

監督 あそこは牧場の中の一部なんです。家の基礎が残っている上に建てて、それから壊しました。煙突だけが残ってモニュメントいうか墓標のように見えるよう「美術的に」壊してもらったんです。
 近所の人には、記念に残したらなんて言われたんですが、更地に戻してお返しするという約束でしたので。結構お金もかかりましてもったいなかったですね。

-- お魚のCGがすごく上手かったですね。

監督 映画の中の魚は全部CGです。素材として魚を実写してそれを元にCGを作ります。だから魚撮りました、僕らが。動かないもの、少しだけ動くものとか。川に生簀を作ってね、大変でした。

-- 柄本さん一人渋かったですね。こちらもある人の初恋の相手という、いろんな形の初恋が描かれていました。

監督 初恋っていうのはまず成就しませんよね、しましたか?(監督、こっちにふらないでください) 心平と小百合を成就させるためにしなかったカップルを登場させました。それぞれに思いがあるんだけど、うまくいかなかった、でもこの二人はちょっとファンタジックにうまくいきました、と。

-- そうですね。○○○ですねぇ。なんで○○○なんでしょう?

監督 さっきも聞かれました(笑)。原作が船なんですよ。船だと情緒がないでしょう?いろいろ考えたんですけど、ファンタジーだからいいかなと。北海道では使わないよ、と言われました(笑)。あれ下るだけでも大変です。

-- 二人が海に向かったのは魚のイメージなんですか?

監督 そうです。雨鱒のイメージです。別に陸で逃げてもいいんですけど、やっぱり川を下ったほうがいい。

-- 原作は何割くらい生きているのでしょう?

監督 いわゆる骨格はその通りです。肝要な部分に関してはひとつも動かしていません。登場人物も、そんなに増えているわけではありませんし、大筋もストーリー展開も同じです。ただ原作ではお母さんが病に臥せっていますが、映画では元気に働いています。映画を機に文庫本が出ましたので、機会があったら比べていただいたらいいかと思います。

-- 玉木さんと2度目の合作ですが、どんな青年ですか? 今までの役柄では朴訥なイメージがあるのですが。

監督 都会の男の子ですよ。こういう要素もあるんじゃないかとお願いしました。とんでもなく純粋で素朴なイメージ、まあ一つの要素ですよ。まだまだ若いので、たぶんいろんな役ができる人だなぁと。いい青年ですよ。

-- 監督の始まりは別方面の映画でだんだん変わってきていますが、これからどういう映画を作りたいですか?

監督 最初は映画界がなかなか厳しくて、若松さんに拾われる前は自主映画を作っていました。映画はなんでも好きでしたから、いろんな大学の仲間と上映会をしていました。たまたまゲストに呼んだ監督が若松孝二さんでした。『愛のコリーダ』のプロデュースもされてましたね。若松さんに拾っていただいて最初にした仕事はピンク映画で、若松監督の助監督をしました。日活ロマンポルノですね。いろいろな映画を撮りたいんです。年はけっこう取ってるんですけど、気持ちは若いんです。まだまだいろいろ挑戦してみたいです。数年前に新人賞をいただきまして(注2)、新人なんだなぁと思って。もうずいぶん長いことやってるんですけどね。次はまだ企画段階です。もっとより具体的になったら皆さん書いてください。

(注1)川上健一氏「雨鱒の川」単行本は1990年刊。現在は集英社文庫で発売中。¥720

(注2)『がんばっていきまっしょい(’98)』で、第49回文化庁芸術選奨文部大臣新人賞受賞。

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(文:白石 写真:梅木)

特別試写会舞台挨拶

日時:10月26日(火) 19:00〜
会場:丸ビルホール
参加者:磯村一路監督、玉木宏、綾瀬はるか、須賀健太、中谷美紀 司会:今泉清保

中谷美紀、須賀健太、綾瀬はるか、玉木宏、磯村一路監督

 11/26の公開に先立ち、出演者の舞台挨拶付きの特別試写会が行われました。ここでは舞台挨拶の模様をお伝えします。玉木さんはこの映画の役とは全く違い、ハキハキと喋る都会的な若者の印象でした。綾瀬さんはちょっとポワンとした感じ。これから役者としても人間としても、そして美しさもどんどん磨かれていくことでしょう。中谷美紀さんは若くて美しいですが、それでも他3人の出演者と比べればベテランで、貫禄のようなものを備えていました。そして子役の須賀健太くんは、本当にかわいくて、しかも受け答えもしっかりしていて(でも内容は子供らしくかわいい)、観衆の注目を集めていました。

[一言ずつご挨拶]

監督:皆さん、こんばんわ。この映画を監督しました磯村です。あ、いいんですよ、ずっと向こう(俳優の方)見ていても(会場笑)。今日はあいにくの雨ですけど、本当に大勢来ていただいてありがとうございます。雨は仕方ないんですよね。『雨鱒の川』と言うぐらいでね。今日はゆっくり楽しんでください。

須賀:須賀健太です。よろしくお願いします。(会場からかわいいの声がもれる)

中谷:こんにちわ。本日は二人の心平の母親ですね。沙月を演じました中谷美紀です。監督が先ほどおっしゃったとおり、『雨鱒の川』と言うだけありまして、我々雨に苦しみました。台風でセットの橋が流されてしまったり、大変な思いをしましたけれども、初主演映画になる玉木君と綾瀬さんもがんばりまして、うちの息子、(須賀くんを見て)この子もがんばりましたので、是非皆さんご覧ください。

綾瀬:綾瀬はるかです。今日は雨の中ありがとうございます。楽しんでいってください。

玉木:皆さん、こんばんわ。大人の心平役をやらせていただきました、玉木宏です。この映画は日本でしかできない映画だと思っていて、北海道でロケをしたのですが、北海道の風景や心情は日本ならではの物と思うので、構えないで、じっくりゆっくり観てもらいたいと思っています。今日はありがとうございました。

磯村一路  須賀健太  中谷美紀

[司会者による質問]

司会:磯村監督にお聞きします。キャスト4人の撮影での印象は?

監督:いいですよね。今日、久々に揃ってお会いしたのですが、まずこちらの二人は恋人同士で、今日も二人並んでいるのを見ているだけでいいなぁと思います。中谷さんは、よくぞお母さんをやってくれたなと思います。こんなお母さんだったらいいなぁと思ってお願いしまして、本当は(須賀くんと)入れ替わりたいんですよ(笑)。自分が素敵だなと思っていた俳優さんに出ていただいたので、皆さんにも楽しんでもらえたらと思っています。

司会:中谷美紀さんがお母さん役というのに驚きましたが、初めてのお母さん役ですよね?

中谷:そうですね。きちんと子供と接するということでは、初めての母親役です。

司会:どうだったですか、演じてみて?

中谷:初めての母親役にして、須賀健太君という日本一の天才子役に恵まれ、役作りをする間もなく、この子にグイグイ引っ張られました。息子に対する愛情と言うよりも、恋人のような気持ちで演じさせていただきました。

中谷美紀、須賀健太

司会:(須賀くんに)恋人だって。撮影中も仲良く、コミュニケーションを取っていたのでしょうか?

中谷:そう、結構ラブラブだったと思うんですけど。

司会:(須賀くんに)ラブラブ?
(須賀くんはちょっと照れて、中谷さんの方を見る。中谷さんと見つめ合って、本当にラブラブな感じ)

司会:うらやましい(笑)。撮影の合間にどんなことをしていたんですか?

中谷:健太、教えて。

須賀:オンブしてもらったりとか。

司会:オンブしてもらったんだ。健太くんはこんなにきれいなお母さんで、どうでしたか?

須賀:優しくて、なんか本当のお母さんが二人いるみたいで、本当のお母さんと合体すればいいと思った(会場大うけ)。

司会:本当のお母さんがご飯作ってくれて、顔が中谷美紀さんとか(笑)。なかなか難しいけど、気持ちはわかりますよ。で、それもうらやましいんだけど、今回健太くんが大きくなると玉木さんてことになるのね。かっこいいよね。それはどうですか?

須賀:本当に僕が大きくなったら、玉木さんみたいにかっこよくならないと思う。

司会:どうして?

須賀:何となく。

司会:成りたいよね。

須賀:うん。はい。

司会:きっと成ってると思います。大きくなったら健太くんが楽しみですね。ありがとうございます。

綾瀬はるか 玉木宏

司会:綾瀬さん、今回は喋ることができない役でした。演じてみていかがでしたか?

綾瀬:最初はとまどいもあったのですが、実際に聾唖学校へ行って手話の勉強などをしていくと、喋れなくても感情の伝え方は一緒なんだと思って、大丈夫でした。

司会:では、特別に苦労したことは無かったですか?

綾瀬:そうですね。あまり無かったです。

司会:役作りでこういう点を考えたということはありますか?

綾瀬:生まれたときから聞こえないのはどういう感じなのだろうと考えて、耳を塞いだりして、音のない世界を想像してやりました。

司会:恋人役として玉木さんはどうでしたか?

綾瀬:普段ですか?

司会:普段でもいいですよ。普段の会話はどんな感じだったのですか?

玉木:最初はおしとやかなイメージを持っていたのですが、それはもうすぐに崩されました。ずーっと、笑ってましたね。映画の中ではしっとりとしていて、言葉はなかったのですが、撮影していないところでは笑ってました。北海道の自然の中でロケをしていたので、遊び道具とかはもちろん無かったのですが、川遊びなんかをしていました。

司会:どちらが笑わせてるのですか?

玉木:どっちもですね。

綾瀬:先日、北海道のラジオ番組で監督と三人で出たのですが、笑って喋れなくなって、、、

玉木:3人とも笑ってしまって、なかなか収録が進まなかったという。

司会:何がそんなにおもしろかったんでしょう?

玉木:理由は無いんですが、一人笑い出すと止まらなくなってしまって。

司会:箸が転んでもおかしい状態。

玉木:そうです。

司会:現場の雰囲気はとってもよかったんですね。

玉木:はい。和やかに撮影していました。

司会:今回の役は、小百合の心の声が聞こえる、でもダイレクトに気持ちを伝えるような人でも無かったですよね。すごくナイーブな役柄で。演じてみてどうでした?

玉木:心平自体の言葉数もそんなに多くはなくて、その中で純粋さや素直に好きな気持ちを出さなくてはならないのが難しくて、撮影に入る前はどうしたらいいかと考えていました。

司会:それは上手くできたという感じはご自分ではありますか?

玉木:というか、北海道でロケをしてみて自然とそういう物ができあがったようです。北海道の力が大きかったですね。

司会:監督にお聞きしますが、北海道のいろいろな場所で撮影して、撮影場所を探したり、撮影そのものも大変だったとお聞きしましたが。

監督:そうですね。特に健太くんが雨鱒と出会う川は、大体携帯電話は圏外です。なかなか連絡が取りずらい所なのですが、自然が残された川は是非見ていただきたいと思います。

司会:8月に台風が来て、、、

監督:そうなんです。先ほど中谷さんがおっしゃったように、橋が駄目になってしまい、橋だけじゃなくて流木がすごかったりして。今年は台風やら地震やらでお困りの方が大勢いらっしゃる。そんな時にもこの映画を観れば、何とか少しは明るい気持ちになれるかなと思っているのですが。

司会:宿に撮影隊の皆さんが足止めになって、道路も寸断されて孤立状態になったりする中、撮影が進められたそうです。ところでロケハンの時に、中谷さんは一緒に行かれたそうです。私は女優さんがロケハンに行ったとは聞いたことがないのですが、どうしてまた?

中谷:仕事が無くて暇だったので。オフが長かったんです。この作品に関わるに当たって、自分の中にくすぶっている意地悪な気持ちとか、映画を観たときにあら探しなんかしてしまうんですが、そういった気持ちを全部ぬぐい去りたいと思いまして。北海道の大自然と子役の心平くんにすべてを委ねて演じたいと思ったんです。その時にこの作品が撮影される場所をどうしても見たくて、行ってみました。

司会:さっき玉木さんが「北海道の力」とおっしゃっていましたが、中谷さんも北海道に行かれて自分の母親役がスーッとできあがったのでしょうか?

中谷:そうですね。とても小さなことに囚われていた自分が愚かに思えて、大きな気持ちで演じられたんじゃないかと思います。それは北海道の大きさとか、自然の美しさによるところが大きかったと思います。

司会:健太くん、北海道ロケはどうだったかな?川での撮影が結構あったよね。どうでしたか?

須賀:結構川の水が冷たくて、ちょっとそれが大変だったんですけど、、、

監督:すみません、申し訳ない。(会場笑)

司会:撮影は8月だったんですが、やっぱり北海道は8月でも寒いんですね。水冷たかった? セリフ喋るのとかどうだった?

監督:あんまり言わないでね。(会場笑)

司会:冷たかった?

須賀:はい。

司会:川へは皆さん入ってましたよね。どうでしたか?

玉木:僕はあんまり川には入っていないんですよ。撮影したのは10月だったんですけど、寒いは寒かったですね。スタッフの方は大変だったと思います。

司会:安全のためにライフセイバーの方が同行していたりして、大変な撮影だったんですね。そして、玉木さんと綾瀬さん、この作品のテーマが「初恋」ですが、お二人の初恋はどんなものでしたか?

綾瀬:よく覚えていないのですが、中学校の頃、先輩を屋上からグランドで体育とかをしているのを憧れて見ていたことはありました。

司会:その時の気持ちが小百合の気持ちと重なったりすることはあったのでしょうか?

綾瀬:いや、あんまり、、、

司会:そうですか、無かったですか(会場笑)。また別の気持ちで演じたそうです。では玉木さんは?

玉木:保育園の年長の時、6歳ですね。片思いのまま終わってしまったんですが。

司会:そのころの気持ちと、今回演じた初恋の気持ちってどうでしょうね?

玉木:心平はその初恋の気持ちを大人になるまで持ってる。それは出来そうでなかなか出来ないことですよね。すごいなと思います。初恋の人と結婚したいと誰もが一度は感じたことがあると思うので、うらやましさはありますけどね。

司会:お話楽しいですね。でもお時間がそろそろ無くなってきましたので、皆さんに最後に一言ずついただきましょう。

中谷:本当に美しい自然の中で描かれる美しいお話です。是非皆さんにご覧いただきたいです。そして主演の二人ももの凄くがんばっていますので、きちんと観てください。

須賀:僕の中の見所は、雨の日の夜にお母さんと雨鱒の話をするところなので、観てください。

綾瀬:心平と小百合は幼いときから想い合って、大人になっても想い合っているんですけど、その二人の想いがどう実っていくかを是非観てください。

玉木:初恋がテーマで心がジンと暖かくなる作品だと思うので、ゆっくりじっくり観ていただけたらと思っています。公開したときにもよろしくお願いします。

監督:私も子供の頃映画が好きで、いつも映画館を出ると誰か友達なりと一緒によく映画の話をしました。映画の楽しさというのは観終わった後も、誰かと映画の話をするのがより楽しい時間でもあります。是非、映画をご覧になった後、喫茶店でもお家ででも、初恋について思い出したり、お話をしたりしてもらえればと願っております。最後までゆっくりご覧ください。今日は本当のありがとうございます。

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(まとめ・写真:梅木)
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