女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

『純愛中毒』イ・ビョンホン来日記者会見

仲の良い兄弟と兄嫁。家具アーティストの兄。新人カーレーサーの弟。 兄弟は、同時刻に事故にあい、二人は意識不明の状態になってしまった。 1年後、意識を取り戻した弟には兄の魂が宿っていた…。 「僕は弟テジンではない、君の夫ホジンだ」。 兄嫁は、夫と二人しか知らないはずの秘密を知っているテジンに、 兄と弟の魂が入れ替わったと思った。
しかし、真相は…。 後は見てのお楽しみ。 韓国映画得意のドンデン返しがあります。

監督は、パク・ヨンフン、この『純愛中毒』で監督デビュー。 パク・チョルス監督のもとで長いこと助監督を経験した。 助監督作品は『301 302』など。
弟テジン役には『JSA』『バンジージャンプする』などのイ・ビョンホン。 TVドラマ「美しき日々」「オール・イン」で、今や日本でもすっかり人気者になった。 兄嫁ウンスを演じるのは『黒水仙』『モーテル・カクタス』のイ・ミヨン。
兄ホジン役はイ・オル。『祝祭』『ワイキキ・ブラザーズ』『H』などに出演。

イ・ビョンホン来日記者会見

2004年2月25日

『純愛中毒』は、とうに始まっていますが、遅まきながら『純愛中毒』 のプロモーションで、イ・ビョンホンが来日した時の記者会見の模様を報告します。 たくさんの希望者の中から選ばれた250人のファンも参加しました。

記者会見場に入ってきたイ・ビョンホンは、 たくさんのマスコミによるカメラのフラッッシュに驚いた様子。 3年ぶり3度目の来日とのことだけど、会見最初のあいさつで 「多くの人に囲まれての記者会見、フラッシュの多さにびっくりし緊張した」 と語っていた。 3年前とは全然違う、マスコミやファンの対応にびっくりしたのだろう。 意外と低い声だった。


Q  以前と違い、多数のマスコミと、選ばれた250人のファンに囲まれての記者会見、 いかがでしょうか?

イ・ビョンホン(以後 イ)  『JSA』のプロモーションの時に初めて日本を訪れたのですが、 その時は他の文化を持った人たちが、私の作品をどのように見てくれるのか、 非常に気になって、胸の高鳴りを覚えたものでした。
今回は、『純愛中毒』のプロモーションとしての来日ですが、 空港にたくさんの人が出迎えてくれてびっくりしました。 本日のファンの集い、そしてこの記者会見、 こんなにもたくさんのみなさんが私のことを応援してくれて、 駆けつけてくれたということに新たに責任感を感じています。

Q  『純愛中毒』では事故をきっかけに兄の魂が宿ったとして、義理の姉と接する、 いわば兄弟2役を演じるわけですが、役作りはどのように?

イ  この作品では、私は一人二役と同じ役どころで、多くの人から大変ではないですか? と聞かれました。演技をするというのは誰かになりきるということで、 その人物の感情を出すということです。それよりも大変だったのは、 私が演じたテジンという人物を自分自身理解して、受け入れて演技をすることでした。 その点においては時聞がかかりましたし、精神的にも苦労しました。

Q  今回、『純愛中毒』というタイトルですが、イ・ビョンホンさんは純愛なさっていますか?  また、ビョンホンさんが思う純愛とはどういうものでしょう。

イ  私は個人的なお話より映画の話をさせていただきたいと思います。 この『純愛中毒』に描かれている愛の形というのは、純粋な愛というよりは、 絶対的な愛、あるいは狂気にに近い愛という表現の方が近いのではないかと思います。

イ・ビョンホン イ・ビョンホン

Q  「BS大好き」 藤原勝也です(ファンの間から拍手が!)。 うちの番組に、「イ・ビョンホンさんにこんな質問を」 というハガキがこんなにたくさん(厚み15センチくらいありました!)来ましたが、 その中で、一番多かった質問をさせていただきます。
それは、「今回も難しい役柄だったと思いますが、 今後演じてみたい役はどんな役ですか」という質問です。

イ  俳優というのは、いつも作品が終わると次にどんなキャラクター、 どんな役をやってみたいかと、聞かれることが多いのですが、 私は特に次はこんな役をやってみたいということは考えないようにしています。 つまり、自分を空白にして、まっさらな形にしておくということです。 来たシナリオを読んで、その中で引かれるものがあったら、 それを演じるという形でやっています。

Q  今回、二役ということで、撮影の順番によっては、兄の役だったり、 弟の役になったり、いろいろ使い分けなければならなかったと思うのですが、 その気持ちの入れ方というかリセットの仕方、苦労話を聞かせてください。

イ  僕優にとっては順番に撮っていくのが感情の流れを作って行く上でもありがたいのですが、 今回、幸い順序通り撮ることができました。 詳しく見ていただくとわかると思うのですが、 私が兄の気持ちになって演じている時は髪の毛が短くなっています。 つまり最初に事故の前のシーンを撮ってしまって、事故のシーンを撮り終えた後、 髪を短く切って、その後の撮影に望みました。

Q  今後の活躍について。どのような予定がありますか?

イ  アジア各国から、特にドラマヘの出演依頼がたくさん来ていますが、 私個人としては映画を中心とした活動を行なっていきたいと考えています。 今、検討中ですが、中国の作品であれ、日本の作品であれ、 オープンな気持ちでいますので、いい作品にめぐりあえれば出演したいと思っています。

Q  テジンの役を理解して受け入れるのが大変だったということですが、 逆に共感できたところはどんなところですか?

イ  共感を感じたのはいつまでも変わらない愛、その点に共感を感じました。 私がこの作品への出演を決めた大きな魅力というのは人物のキャラクターというのがありましたが、 新しいジャンルの作品だと思ったからです。この作品は心が痛くなる部分もあれば、 涙を流すラブストーリーでもありますが、スリラーの性格をもった作品だと思いました。 こういった作品は、新しいジャンルの作品だと思って、魅力を感じたので、 出演を決めたわけです。
私はテジンという人物を演じたわけですが、 俳優というのはどんな時でもその人物を理解してなりきろうと思うものだと思います。 私自身この役になりきるのに今回はかなり時間がかかったのですが、 常に私だったらどうするだろうかと考えながら演じていました。

Q  過去2回来日してしていますが、日本のファン印象は?

イ  特別な事件があったとか、特別印象に残ったということはありませんが、 日本のファンの方たちはまじめな印象を受けました。 私が話している時に静かに耳を傾け話を聞こうとする、 そのへんに文化の違いを感じました。韓国へ日本のファンの方たちが来た時も、 私が登場してから退場するまで一言ももらさず聞こうという姿勢を感じました。 そして、私が去った後に歓声が聞こえたのが印象的でした。(笑)

イ・ビョンホン イ・ビョンホン

Q  今、ファンの方たちのいい点をおっしゃたのですが、 逆にこれだけはしてほしくないということがあれば…

イ  これだははしてほしくないということはありません。
(笑いながら)あえて、希望することを言えば、韓国のファンと中国、 日本のファンの人たちと比べると違う点がありますが、中国、台湾、 日本のファンの人たちは私が食べることが好きという情報をどこからか仕入れたようで、 しょっちゅう食物を差し入れしてくれます。 とても嬉しいことなのですが、できれば賞味期限の早いものではなく、 長く置いて食べれるものを差し入れていただけると嬉しいです。

Q  長いこと俳優をしてきたベテランの俳優さんですので、 たくさんの役を演じてきたと思いますが、俳優を始めた当初から現在まで、 俳優としての心構えとか考え方が変わった点などがあれば教えてください。

イ  私はこれまで、俳優として考え方が変わったかということについて 考えたことがなかったです。でも今、言えることは、俳優をスタートした時にくらべたら、 価値観が確立されつつあると思います。俳優の仕事を始めた頃は、 何か問題が起きた時に自分の判断は合っているだろうか?  別の方法のほうが良いのではないかと、なかなか確信が持てなかったのですが、 今は、いろいろな出来事にぶちあたっても、 これはきっとこうだろうと思えるようになりました。

司会  最後にイ・ビョンホンさん、日本公開にあたっての言葉をお願いします。

イ  この作品を見て、日本の方たちはどういう反応をするのか気になっています。 映画を見て、何も語られなかったり、論争が起こらないのは寂しいものです。 映画を見て、多くの人が、ぜひ「どうだった、こうだった」と、 いろいろなことを話してもらえるのを期待しています。

return to top

(まとめ・写真:宮崎暁美)
本誌「シネマジャーナル」及びバックナンバーの問い合わせ:
order@cinemajournal.net
このHPに関するご意見など: info@cinemajournal.net
このサイトの画像・記事等の無断転載・無断使用はご遠慮下さい。
掲載画像・元写真の使用を希望される場合はご連絡下さい。