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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

(2003.6.4掲載、6.8一部修正、6.27画像掲載)

『ブルー・エンカウンター/衛斯理 藍血人』

『ブルー・エンカウンター』チラシ
監督 アンドリュー・ラウ
製作 バリー・ウォン
出演 アンディ・ラウ ロザムンド・クワン スー・チー ロイ・チョン マーク・チェン

この作品は、香港の人気SF作家ニー・クワンの人気小説を原作にしているという。 衛斯理(ウェズリー)という登場人物が主人公のシリーズ作品で、 今までに『セブンス・カース』『冒険王』などが映画化されている。

今回、このウェズリーを演じたのはアンディ・ラウ。彼が演じたのは、 地球外生物を研究する国連の地球外生物分析局勤務の調査官。 ウェズリーの前に青い血を持つ美しい異星人(藍血人)/ロザムンド・クワンが現われる。 彼女は600年前に弟を探すために地球に飛来した。 彼女の起能力を利用しようとするFBI上層部、彼女が持つ聖典を奪おうとする他の星からの異星人、 彼女を助けようとするウェズリー、三つ巴のバトルが繰り広げられる。

『ブルー・エンカウンター』場面写真

実のところ、昨年4月、香港金像奬取材で番港に行った時、この作品を観た。行った日の前日で拡大興行が終わり、沙田か香港仔(アパディーン)の2つの映画館でしかやっていなくて究極の選択、アバディーンに行ったことがないからと、アバディーンまでこの作品を観に行った! 映画館のチケット売りの女性からは、わざわざこの映画をアバディーンまで観にきた物好きな日本人とあきれられてしまったし、一緒に行ったのがレスリーファンで、レスリーファンとアンディファンが一緒にこの映画を観にきたことにもびっくりしていた。

そして、ここで観た時点で、「よもやこの作品が日本で公開されることはあるまい」そう思ったんだけど、公開されるのですね。アンディのファンとしては、嬉しいような嬉しくないような複雑な気分。

アンディが地球外生物を研究する国連の職員?って設定も、なんだか無理があるし、シリアスなんだか、コメディなんだか。そして、藍血人だけならまだしも、変な怪物みたいな異星人は出てくるわ、蜘蛛みたいな異星人とアンディは闘っているわで、苦笑ものだった。

それでも、昨年のイースターに公開された作品の中では最も好成績だったというから、香港人ってどういう感覚しているの? と、思ってしまった私。

でも、やはり香港でこの作品を観て、シネマジャーナル56号にこの作品を紹介してくれたTさんはこう書いている。「観終わって、アンディ・ラウという1人の役者魂につくづく感心した。こういう、批評家には金輪際、評価されない珍映画にも出て、体を張っている。 香港映画に観客を呼ぶために何でもやるというのは、ある意味すごいことではないだろうか」

そうとも言えるけど、この作品が公開されることで、日本の評論家や映画会社の人たちのアンディヘの評価が下がってしまうのではないかと、心配してしまう私。

でも、日本語字幕があると、香港で観た時には理解できなかったところも判って、やはり嬉しい。それに、FBI上層部が、ウェズリーやFBI捜査官役のスー・チーとロイ・チョンを騙して、藍血人を捕まえ、超能力を利用しようとするシーンで、「アメリカは国連のことを無視して、自分の思う通りに事を進める」という意味の台詞がありドキっとした。私が試写で観た時はアメリカがイラクに攻撃をしかけた直後だったので、この台詞に思わず、“タイムリーな見解”と、感心してしまった。でも考えてみれば、香港では昨年公開された作品。先見の明があったということか。 おバカ映画の中にも批判精神を折り込む、バリー・ウォンの面目躍如。

ウーン、でもやっぱり、残念ながら日本人にはこの映画は評価されないだろうな。アンディヘの評価は、昨年末、香港で公開され大ヒットした『無間道』の、日本公開で挽回してもらうことにして、この作品を楽しむ(笑)しかないかな。

シネマジャーナル56号に香港で観た、 この作品のレポートが掲載されています。
作品紹介

『ブルー・エンカウンター』場面写真 『ブルー・エンカウンター』場面写真

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(文:宮崎暁美)
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