このページはJavaScriptが使われています。
女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

ジェイ・チョウ(周杰倫)・コンサートIN 台北&プレスカンファレンス

周杰倫(ジェイ・チョウ)香港コンサート

日本コンサート実現へむけて

9月の台湾でのコンサートレポをシネマジャーナルWEB特別記事(2002年)として掲載させていただいたが、 その後ライブVCDがでたり、12月の香港でコンサートを見た人が増えたりと、 この3カ月で日本でのジェイの評価が徐々にではあるが変わりつつある。 香港のコンサートあと、ジェイ本人にインタビューする機会があり、 本人の口から日本でのコンサートのニュースが飛び込んだ。 今回香港コンサートのレポと日本でのコンサートの実現に向けての、 いろいろな問題点を考えてみた。



9/28に台湾で3万人を集めて行った周杰倫の「THE ONE」コンサート。 12/12〜16香港を皮切りにワールドツアーに突入した。 12/25にはアメリカ・ラスベガス。1月はシンガポール、そして中国本土へと、 2003年もコンサートツアーが続きそうな感じだ。 香港ではスポンサーがかなりのチケットをにぎっていたこともあり、 当初の予定の3日間のコンサートチケットは30分で売り切れという状態に。 追加が前後日でて、結局5日間のコンサートになった。 そして香港コンサートなら必ず当日券というのが、でるのだが、 今回ジェイのコンサートでは当日券はでなかったのだ。 開催のBMGでさえも手に入らないという異例の「ホンモノの満席」となった。
実はその後、 台湾のアイドルグループF4も同じく香港コロシアムでコンサートを行ったのだが、 こちらは実はチケットが余っていたのだ。 しかし、香港のマスコミの対応を見ているとやはりF4の方が 取り上げ方が大きかったような気がする。

台湾では前回のレポートの通り、 1曲1曲を映画のように見て欲しいというジェイの言葉通り、 衣装から舞台装置を曲ごとに変えていた。 なので、見ているほうはその「間」が何とも言えず、 うーん…と思ったものだが、今回香港コンサートでは、 本人も「音楽性」を重視したというだけあって、 その構成はシンプルで、 しかしてんこ盛り大好きの香港人を満足させられる派手な演出部分も残しつつ、 上質のコンサートを作り上げていた。
5日間という日程から、日々少しづつ変化させていたのがピアノやギターの弾き語り部分。 一番変えやすいというところでもあるのだが、 またその部分が一番ジェイの音楽性をひきだせる部分でもあったように思う。
当初、風邪や腹痛やといううわさがでたので正直心配したが、 最後までしっかり歌っていたと思う。 9月にあったときに比べて、げっそり痩せていたのは、やはりそのせいなのかもしれない。 ジェイの声量があまりないというのは、よくいわれること。 だからライブはどうだろうと。 確かに声量のすごい歌手を聞いたときは「すごい!」と圧倒されることがあるが、 ジェイの声質は声量うんぬんではない、反対にその消え入りそうな声こそが、 命なのだと思う。

小さなコンサート会場(コロシアムをそう呼ぶ)だったせいもあり、 観客とのコミュニケーションもとり、最後には感動に持っていった演出はにくい。 私は初日を見逃したが、あとの4日間は見ることができた。 そして台湾から香港コンサートにかけて、 この23歳の青年は見事にやってのけたと称賛を送らずにいられない。 かなりレベルの高いものだったと思う。

最終日のあと、少しだけインタビューする時間をいただいた。 台湾の時と同じく、淡々とはしていたが、自国から離れていたせいもあるのか、 結構ラフな表情を見せていた。 のっけから「日本でコンサートする予定がある」なんていうもんだから、 思わず大喜びしてしまった。彼がいうところの小さい会場=4〜5000人で開きたいとか。 彼は前回も日本で自分の歌が受け入れられるのかとても心配している。 その大きな理由はやはり言葉だ。 私は、「大丈夫、あなたの曲を聞きさえすれば、みんなきっと好きになるから」というと、 「本当?」と聞き返して「ありがとう」と日本語で言った。 確かに今の日本のジェイファンは中国語のままで一向に構わないのだが……。 「そんなに喜んでくれるならすぐ行かなくちゃね、新年早々いくよ!」 といってくれた彼だが、さて本当に日本公演が実現するのか。

ジェイを喜ばせておきながら、実は問題点も同時に頭を巡った。 自分としては日本でコンサートをしてくれるなんて、ファンとしては嬉しいし、 ありがたい。しかし、現実に彼が言うところの4〜5000人を本当に集められるのだろうか。 今まで香港の歌手が大勢日本でコンサートを開いているが、 本当に人を集められるのはレスリー・チャン以外にいるのだろうか。 今のところ、アンディ・ラウ、フェイ・ウォン、 ジャッキー・チュンあたりはまずまずとして、 アーロン・クォック、ニコラス・ツェーなど、 現実にはチケットが売れなくて困っていたではないか。
製作費の回収目的にあまり大きな箱を考えると、とんでもなく失敗すると思う。 私はジェイの音楽性からも最初は渋谷のAX等の規模のスタンディングでやるべきだと思う。 国際フォーラムを使うケースが多いが、 あそこは希望の人数の箱だが満席になるのだろうか。 小さな箱でぎゅうぎゅう詰めの方がきっといいと思うのだ。

それから、きっとジェイには考えもつかないと思うのが日本のファンの年齢層の高さだ。 ニコラスが初めて日本のファンとのサイン会で固まった話は有名だ。 日本の中華ファンはやはり自分が香港や台湾を訪れた経験者が多い。 となると、お金のある層で、若年齢層は少なくなる。 台湾や香港のコンサートを見ているかぎり、 あのティーンたちの熱狂ぶりを日本で期待すると、かなりがっかりするのではと思う。
ではどうやってティーンたちにジェイの音楽を聴かせることができるのかと、 レコード会社じゃなくても考える。 それはアルファサイドでも考えているに違いないが、 BOAのように日本語でデビューする?  しかし彼女は別として、外国人の日本語はハッキリ言って、間抜けである。 周杰倫本人も、日本語は日本人に任せればいいと言っているくらいだし、 ファンも中国語で十分だと思っている。

しかし、しかしなのである。 例えば香港でレスリーの広東語曲を歌ったジェイを高く評価する。 やはり、文化交流はへたでも言葉であると私は信じている。 「寄り添う気持ち」があれば、へたでも通じる。 ジェイにはその「寄り添う気持ち」をほんのすこ〜し出してもらうと、 きっと日本での評価も変わると思うのだが。

ファンは日本でコンサートを開いて欲しい。しかし、自分だけが幸せでも ジェイのこれからの音楽活動に暗い影を落としてもらってはやはり困る。 日本公演の実現とそして日本進出を何より成功させて欲しいと、心底思っている。

(文・写真 永原めぐみ/ Memi)

http://www1.linkclub.or.jp/‾lovpeace/memi.com/

ライター、ミュージシャン
「喫茶ロック」ソニーミュージック編に収録の杏のメンバー、現在は杏_(AnzuUnderbar)として活動中
★4月「My song(杏物語)」リリース(タワーレコードなどで発売中)
★8/28 ソニーミュージックハウスより「Drive meets 喫茶ロック」
SABU監督作品映画「Drive」のサントラ 杏の曲が挿入歌になってます。

★レギュラー番組
J-wave「VIVA!ACCESS」のQUICK ACCESSのコーナー担当 月曜日12:05〜15
BSQR489 文化放送BSデジタルラジオ放送「楽音潮流」火曜日ナビゲーター 
火曜日13:00〜16:00 リピート土曜日14:00〜17:00
アジアンパラダイススタッフ

return to top

本誌「シネマジャーナル」及びバックナンバーの問い合わせ:
order@cinemajournal.net
このHPに関するご意見など: info@cinemajournal.net
このサイトの画像・記事等の無断転載・無断使用はご遠慮下さい。
掲載画像・元写真の使用を希望される場合はご連絡下さい。