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『おぎゃあ。』〜仲里花、19才、独身、現在出産修行中〜

『おぎゃあ。』とは何ともインパクトのあるタイトルだ。 文字通り赤ちゃんが生まれるまでの物語なのだが 普通に結婚して子供が産まれて・・・という話ではない。

花（岡本綾）は、たった一人の身よりだった祖母を亡くし、 死んだと聞かされていた母が生きていて沖縄にいると知る。 ＢＦハヤト（比留間由哲）の子を妊娠しているが、そのハヤトは行方がわからない。 そんな時、ハヤトから沖縄にいるとハガキが届き、彼を探しに沖縄へ行くことにする。 祖母のお骨を託すため、15年ぶりに会った母親（余貴美子）は3人目の夫（藤木勇人） と暮らしており、花とは父親違いの妹まりぃ（阿久根裕子）もいた。 長居する気はなかったのに、ハヤトがなかなか見つからず、 お腹の子はどんどん育ってしまう・・・。

花はたった19才の女の子。どうしていいかわからず何となく中絶しようと思っていたが、 恋人は見つからないし、自分を捨てた母親に今さら頼る気もない。 日に日に育っていく子供を実感し、浜比嘉での生活の中で、産もうと決心する。 親切な産婦人科医（萩原聖人）に母親になる心構えを聞き、その日に備える花。 かたくなに避けていた母親の事も少しは受け入れられるようになっていた。

花の母親がキョーレツで、むきだしの生を感じさせる女性なのだが、 自分に正直に一生懸命生きてきたことがわかる。 母親より恋人を選んだまりぃを追っていく時の必死さには泣けた。 そしてそんな彼女を理解している今のダンナがとってもイイ味を出していた。 しかし、花にはダンナがいない。ひとりで産んで育てなければいけない。 母親になろうとがんばっている中で不安にくれる時もあったが、 全部を受け入れた花がとってもすがすがしくて、「私も子供欲しいなあ」 と思ったのだった。

私が「この映画好きだな」と思ったのは、生きてるっていいなと思わせる雰囲気があったこと （それは沖縄、浜比嘉の雰囲気がそうなのかもしれない）・ ありがちな出産シーンがなかったこと・ 産婦人科医と恋仲にならなかったこと、それからラストシーンだった。

これからの花の物語も観てみたいと思う、そんな映画だった。

7/6〜シネマ・下北沢にて公開    http://www.cinekita.co.jp/

『おぎゃあ。』はシネマジャーナル本誌55号 「南島映画通信(14)」でも取り上げられています。

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