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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

日中友好芸能フェスティバル

公開録画 2002年10月8日 東京・NHKホール
放送 2002年10月26日BS−Hi 10月27日BS−2 11月9日総合テレビ

日中友好芸能フェスティバルは、日中国交正常化三十周年を記念して、日本のNHK、 中国側からは、中央電視台と上海東方電視台が加わり、3局の合同で、制作された番組で、 出演者も、音楽、舞踊、伝統芸能など、様々な分野から総勢23組が参加した。

公開録画の当日、NHKホールの入り口の前で、観客を観察していたのだが、やたらと北京語が聞こえてきて、かなり中国人密度が高かった。どうやら大半は招待された人達だったらしい。意外に多かったのが、五木ひろしのファンのおば様方。偶然、入り待ちしているのを見かけたが、かなりまとまった人数で、それなりに迫力を感じた。

ほぼ定刻に関係者の挨拶からスタート。司会を務めるのは、NHKから宮本隆治アナ、現在は中国中央電視台のアナウンサーで、日本でも活躍していた朱迅(ツー・シュン)、上海東方電視台の曹可凡(ツァオ・クーファン)の3人。

まずは日本側から谷村新司が登場。中国人にも馴染みの深い[]を、日本語と中国語で歌った。

谷村新司 スン・ナン

次は、孫楠(スン・ナン)が登場。1998年の映画『不見不散』(邦題『遥かな想い』)の主題歌[不見不散]を歌った。彼は日本ではあまり知られていないが、ベスト盤やサントラも含めて、すでに7枚ものアルバムをリリースしている人気歌手だ。日本に於ける『不見不散』の上映は、彩の国さいたま中国映画祭くらいのもので、その時には、主演女優の徐帆(シュイ・フォン)が来日していたとのこと。 シネマジャーナルでも、彼女にインタビューしている。もし、この作品を観たい場合、今のところVCDを入手するしかないようなので、何かの機会に、スクリーンで観ることが出来れば、と思う。

五輪真弓 シュー・ピンセイ

五輪真弓[恋人よ]に続き、青いドレスをまとった周冰倩(シュー・ピンセイ)が、白い二胡を持って登場。中華圏では[花心]として知られている[]を、日本語、中国語で歌い、二胡を演奏した。

セットが星空のような背景に変わり、民族歌謡の馮端麗(ファン・ルイリー)が [香格里拉](シャングリラ)を熱唱。オリエンタルな雰囲気の衣装が奇麗だった。

ファン・ルイリー ナー・イン

いよいよ那英(ナー・イン)の出番だ。客席からは手拍子が聞こえる。歌ったのは、彼女自身の作詞による[相見不如懐念]だった。那英は中国でもあまりライブをやらないので、むこうから日本に来て歌ってくれるのは貴重だ。もしかしたら、これが日本でナマ那英を拝める最初で最後のチャンス(?)かもしれない。 (そうならないことを祈りたいが…)

タンポポ MAX

タンポポの[BE HAPPY 恋のヤジロベエ]、MAXのハイパーヒットメドレーへと続き、東京放送合唱団がアニメソングメドレーを歌い終わったところで、谷村新司、五輪真弓、孫楠、那英らと、今回の最年少出演者である陸放(ルー・ファン)がステージ中央に歩みより、このイベントのために作られた[一衣帯水]の合唱となった。孫楠が中国の国旗を振りながら歌っている姿が、妙に印象に残った。

陸放ら ジャン・クーメイ

プログラムもそろそろ中盤にさしかかり、姜克美(ジャン・クーメイ)の、胡弓の一種で二胡よりも小さい京胡と呼ばれる楽器と、東京フェスティバルオーケストラとの共演で[夜深沈]が演奏された。

ここで、ビデオ・メッセージの時間。ステージ後方のスクリーンに、指揮者の小澤征爾、女優の栗原小巻の映像が、中国語の字幕付きで映し出された。実際の放送では、字幕の付いていない映像が流れたので、日本では会場にいた人達だけが、中文字幕付きの映像を見ることが出来たことになるのだろう。

市川笑也とジャン・チュン 市川笑也とジャン・チュン

セットも変わり、歌舞伎の市川笑也と昆劇の張軍(ジャン・チュン)のコラボレーションによる、昆曲[驚夢]が演じられた。とにかく、艶やかで美しかった。その後には中国の舞踏家、黄豆豆(ファン・トゥトゥ)の創作舞踊で[甲骨髄想]が演じられた。

ファン・トゥトゥ DA PUMP

再びビデオ・メッセージの時間。NHKのドラマ「大地の子」でおなじみで、日本では『紅い服の少女』『心の香り』『こころの湯』等の作品が公開されている、俳優の朱旭(チュウ・シュイ)の映像が流れる。コメントの最後の方に「もうすぐ日本に行きます」とあったのだが、 最新作で日中合作の映画『王様の漢方』の公開に合わせて、来日することになっていたのだ。続いて『芙蓉鎮』『乳泉村の子』『阿片戦争』等の監督である、謝晋(シェ・チン)からのメッセージが流された。

いよいよ後半、DA PUMP[RAIN OF PAIN]に続き、郭富城(アーロン・クォック)がステージに姿を表すと、ファンの凄い声援が飛んできた。日本語の[ときをこえて]を歌った後、 8人のバックダンサー達を従えて[Parapara Sakura]を歌い踊る。ファンも一緒に踊る。最後は、北京語のダンサブルな[動起來]で締めた。取材の写真撮影に関して、なぜかアーロンだけ撮影がNGだった。これまで、こういうことは滅多に無かったので、理由がわからず、不思議でならない。テレビで見ていた時、ふと、セクシー(?)なダンスの振り付けが、問題(?)にでもなったのかな? などと勝手な想像をしてしまった。

余談になるが、配られたパンフレットに書かれている曲順と、実際に演奏された曲順は、実は一部違っている。パンフでは、那英の後、DA PUMP、郭富城となっていたのだが、実際には、タンポポとMAXに入れかわっていた。

吉田兄弟 NBAバレエ団

吉田兄弟[津軽じょんがら節]の演奏、NBAバレエ団の[白鳥の湖]、広州雑技団の魏葆華(ウェイ・パオフォア)と呉正丹(ウー・ジョンダン)ペアによる [東方天鵝]へと移る。初めて雑技を見たが、アクロバティックな動きがにかくスゴイ! 思わず見入ってしまった。

ウェイ・パオフォア、ウー・ジョンダン ウェイ・パオフォア、ウー・ジョンダン

ついに、というかやっと、王菲(フェイ・ウォン)の出番が来た。本当に来るのか、正直なところ、少し心配していた。黒のノースリーブに白のスカートという衣装で出てきて [但願人長久](邦題[愛は永遠に])を歌うと、さっさと引っ込んでしまった。久々に見たフェイは、とてもキュートだった。やる気があるのか、ないのか、よくわからないところは相変わらずで、かえって彼女らしい。それとも、単に調子がよくなかっただけなのか?

フェイ・ウォン

そろそろ終盤。浜崎あゆみが黒のパンツスーツに身を包み[Independent]を歌い始めたが、出だしを間違えてしまう。やり直しはうまくいって、途中から白いワンショルダーのドレスに早変わりして[Dearest]と[Voyage]を続けて歌った。

浜崎あゆみ 浜崎あゆみ

中国側の最後の出演者は、宋祖英(ソン・ツーイン)。 山岳地方の民族衣装を思わせるコスチュームを着て [大地飛歌]を歌った。

ソン・ツーイン

トリは五木ひろし。中国語で“日本を代表する演歌歌手”と紹介されて、歌ったのは、まさに中国の山河をイメージした[山河]。周冰倩がバックで二胡を弾いていた。

最後に出演者全員がステージに登場してフィナーレへ。ほぼ中央に立っていたアーロンは、元気に客席に向かって手を振っている。やや上手側にいたフェイは、衣装の上からジャンパーを羽織り、とりあえず手を振ったり、振らなかったりしていた。とにかく、フェイとアーロンがやたらと気になり、視線が2人ばかり追い掛けてしまった。

フィナーレ フィナーレ フィナーレ

約2時間半の収録は終わった。さすがに疲れた。

タイトルに“芸能”と銘打っているだけあって、多様な分野の出演者がいた。しかし、雑多であいまいな印象が拭えず、どういう基準で選ばれたのか、今ひとつ理解に苦しむようなところもあり、もう少し出演者の数を絞っても良かったのでは、と思った。

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(文:菊野園子[フリーランス音楽ライター(の修業中)] 撮影:宮崎暁美)
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