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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。

[追いかけてイーキン4days](2001/02)
(しつこく)追いかけてイーキン・ その1 その2 その3

(しつこく)追いかけてイーキン・その2
ドラマエキストラ出演&パーティーツアーレポート

May 3, 2002

明けていよいよ4月21日(日)。世間では金像獎の話題でもちきりであろうが、 私を含むイーキンFANSにとっては、このツアーのメインイベント (というか、それしかない)ドラマ撮影&パーティーが行われる日である。 前日、午後1時半にホテルのロビーに集まるよう連絡があった。 実は当初のスケジュールでは2時集合。撮影の進み具合によって、 集合時間の変更があるかもと、あらかじめ伝えられていた。 集合時間が遅くなるということは、その後に行われるパーティーの時間が短くなることで、 ファンとしてはかんばしくない状況である。どうやら撮影は順調らしい。

日本からの参加者は94人と発表があったと思う。空港からホテルに来た時と同じく、 3台の観光バスに分乗して、撮影場所である香港理工大学へ向かう。 今日の撮影の内容がここで明かされた。 3時よりライブのシーンを4カット撮るとのことであった。 行きのバスの中で、会場での座席を決めるくじ引きが行われた。あわせて、 ファンクラブのオレンジジャンパーも配られた。話に聞いて想像していたより、 ずっと感じがよく、他の人はどう思ったかわからないが、私は気に入った。 少なくとも、日本ファンクラブ発足のときに購入したTシャツや、 香港のファンクラブ時代の帽子よりはよいと思う。さらに帰国後、会社のイベントで、 これまたオレンジのジャンパーを着用したのだが、それを見た後では、 かなりファンクラブジャンパーの株が上がったのだった。そのほか、 今回のエキストラ出演料として、金2000円(!)がテレビ東京より支払われるため、 その領収書書きも行きのバスの中で行われた。

そんなことをしているうち、2時10分ごろ香港理工大学に到着。 外にはすでに集合している香港ファンが同数ほど。日本人ファンも入り口付近で待機。 一応建物の陰で待っているのだが、やっぱり蒸し暑い。ボーッと立っていると、 香港人ファンが外階段に並んで記念撮影をしている。手に水色のボードを持ち、 元気がいい。次に日本人ファンもその後ろに並んでパチリ。 最後に日本人だけで写真を撮った。香港のファンクラブのスタッフが 精一杯もり立てようとするが、暑くて元気の出ない日本人ファン……申し訳ない。 撮影の後は、先ほど引いた座席の列ごとに並んで、ひたすら待機、待機、待機。

予定時間の3時になっても、さっぱり呼ばれる気配がないので、トイレに行くことにした。 ガイドの郭さんの脇を過ぎようとすると、郭さんが独り言なのか、 同僚に話しかけようとしたのか、「イーキン・チェン……」(なぜか日本語) とつぶやくのが聞こえた。その後に続く言葉を聞こうと立ち止まったら、 向こうも私に気付き、「いやいや何でもないですよ」と言葉を濁した。 何を言おうとしたのか結局教えてくれなかったところをみると、 よからぬ感想を言おうとしていたのだろうか。また、入場を待つ間、 イーキンのハンサム敏腕マネージャー・マイケルが外に出てきて、 ファンの熱い視線とフラッシュを浴びていた。

3時40分ごろ、ようやく建物の中へ。入り口でレモンティーの紙パックが配られる。 会場は想像以上に狭い。舞台に向かって右半分が日本人の席、左が香港ファンの席と 分けられていた。私は運良く前から4列目の席だった。 舞台の正面には白地に赤い文字で 「EKIN TOGETHER FANS PARTY 2002 伊健港日歌友會」と書いてある。 ミニコンサートと聞いていたが、ファンクラブの集いという設定らしい。 両脇のボードにはイーキンの写真のコピーがペタペタと貼りつけられている。 写真の上下にはピンクやブルーの輪の電飾。向かって右側は日本でのライブの写真、 左側はいつのものか不明。貼られた写真の中には、イーキンの耳や口のアップなど、 マニア向けと思われるチョイスもあった。舞台にはお約束の風船のふち飾り。 通路に面した客席には顔が描いてある風船がくくりつけられていた。 ファンシーなセッティングであるところはさすがに香港。 やっぱりイーキンはアイドルである。キャスト(薬師丸ひろこ、室井滋、山本未来) の3人の席は、前から6列目の真ん中のブロックの端に用意されていた。座席に着くと、 さっそくスタッフから「皆さん、持ってきたものを出してください」 と応援グッズのチェックを受ける。一応スタッフも用意してきており、 足りない人は言ってくださいと、後から後からボードや蛍光棒 (日本では工事現場で使われているビッグサイズのもの)が出てきた。 おかげでずいぶん場内は派手になったはずである。また オレンジジャンパーのファスナーをきっちり閉めるよう促される。

ここで現場のスタッフから説明が。これから撮影をするのは、 エンディングを占める非常に重要なシーンであると。エ、エンディング?  私の頭の中のストーリーでは、数々の困難(夫の無理解、姑の介護、周囲の冷たい視線、 旅費の工面等)を乗り越えて香港にやってきた主婦・ひろこ(仮名)が 「やっぱり香港に来てよかった」と感極まって涙するクライマックスが、 今回の撮影シーンであるはずだったのだ。当然のことながら、 ライブシーンも長く時間を割いてある。それがエンディングとは……儚い。 愕然としている私をよそに、説明はサクサク進んでいる。 イーキンの歌はすでに録音済みであること、1回目はリハーサル、2回目、 3回目はイーキンを撮るため観客は映らないこと、 4回目は舞台から客席を撮るので頑張るようにとのこと……etc。 最前列の人はスタッフから説明を受けている。 舞台下にセッティングされた筒状の装置から何かが出てくるらしい。

舞台上では着々と準備が進み、バンドやコーラスの女性たちもスタンバイ。 イーキンもそでに姿を現した。白シャツにベージュのパンツというさわやかルックだ。 「イーキン!」と自然にファンの間から声援がもれる。 日本の視聴者に拒絶されない格好でホッとしながらも、どこか寂しさを感じるファン心理。 そんなこんなでリハーサルが始まった。 曲はパーティーの名通り「TOGETHER」。親しみやすいいい曲で、 もちろん私もお気に入りだ。 今回のドラマでイーキンを初めて知る人が多いであろうことを考えると、 ベストな選曲であるとも思う。しかし一方で、3年前の歌だよとも思ったりする。 カメラが回ろうとそうでなかろうと、蛍光棒やボードを左右に振り 一緒に歌を口ずさむファンたち。 果たして女優陣はうまくこの中に溶け込めるのだろうか? 歌の途中で、 例の筒型装置から、ボンと大きな音とともに紙吹雪が飛び出した。 イーキンも一瞬驚いていた。確かしゃがみこんだように思う。私は蛍光棒を振りながら、 映画もいいけど、コンサートももっとやってもらいたい!と痛感した。 歌手として特別歌がうまいわけではないが、イーキンの声には人を引きつける何かがある。 イーキンにはいつまでも“歌星”でいてほしい。

(思いがけず長くなってしまったので、その3に続く)

イーキンファンクラブ オリジナルジャンパー イーキン・チェン

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(文・写真:まつした)
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