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女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
Apr. 2, 2001 (Apr. 4, 若干の修正)

『花様年華』記者会見

ウォン・カーワイ、マギー・チャン、トニー・レオン
左から、ウォン監督、マギー、トニー。やけに楽し気。

2000/11/2 新宿パークハイアット

 3月31日(土)より、Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマにて公開中の 『花様年華』。もうご覧になった方もたくさんいらっしゃるでしょうね。 シネマ・ジャーナル51号では誌面の都合上、 記者会見のさわりしか紹介できませんでしたので、ここで紹介します。

カーワイ=ウォン・カーワイ監督、 マギー=マギー・チャン、 トニー=トニー・レオン

まずは、一言ずつ挨拶からスタート。

カーワイ: 大勢の方に御来場いただき、ありがとうございます。久しぶりに 東京に来ました。この映画は結構苦労して作りましたので、皆さんに気に入っていただけたら嬉しいです。

マギー: 皆さんにお会いできて嬉しいです。おととい取材の後、服を買いに行き、今日それを着てきました。この映画の美術監督に感謝しています。衣装に苦労したことでしょう。

トニー: 東京で皆さんに再会できて嬉しく思います。この映画で私は成熟した男性を演じました。うまく演じたと言われますが、監督とマギーのおかげです。賞は私だけでなく、現場のスタッフ全てに与えられるべきものです。


ー 金馬獎に13部門全てノミネートをいうのは余り例がないことですが、その感想を

カーワイ: 今朝聞いて、意外に思いました。もちろん嬉しいです。マギーにぜひ主演女優賞をとってほしい。本当にすばらしい女優です。

マギー: たった今聞いてびっくりしましたし、喜んでいます。監督にほめていただいて光栄です。今までにたくさん受賞しましたけど、それぞれに違う気持ちです。ぜひ受賞したいです。でも受賞できなくても、がっかりせずに再挑戦します。

トニー: 賞をとるのは大きな励みですから興奮しています。


ー 今の質問では13部門にノミネートということでしたが、私は9部門と聞いています。どちらが正しいのでしょうか? それから監督にですが、この2人を選んだ理由は?  お2人には、久しぶりに一緒に組んだ監督に、どのような変化や成長を感じましたか。

カーワイ: 私が聞いた限りでは9部門ですね。この作品の撮り方は普通とは違って、初めからこの2人でと決まっていました。1996年、パリで『天使の涙』のプロモーションをしていた時、マギーと一緒に食事をしながら『久しぶりに一緒に仕事をしない?』と誘いました。彼女とは時間をかけて話し、『男優は誰にしよう?』『トニーとは映画で一緒になったことがないから、彼はどう?』 ということになりました。2人とも外見は現代風だけど、内面は別の気質も感じられ、古風な役柄も似合う。こういう役者は香港では貴重です。この2人で1960年代を 舞台にした作品を撮ろうと決めました。基本的には2人に任せて展開しました。2人にはやりにくかっただろうけど、こうやって出てくる効果は素晴らしいものになるだろうと思っていました。でも、2人の組み合わせについては私が言うものではない、皆さんで判断してください。

マギー: お互いに成熟したと思います。監督は撮影にあたって、より慎重になりました。昔は思いついたらすぐ実行だったけど。

トニー: 監督とは長いつきあいで、5本出演しています。いろいろな分野で新しい試みをしていますが、この作品ではロングショットを試しています。


ー トニーさんに質問ですが、ピープル誌の『最もセクシーな男性50人』 に選ばれた感想は?

トニー: 嬉しいけど、どこがセクシーなんだろうと思います。私はアジアでは知られてきたけど、アメリカでは無名。これから知られていく楽しみがあります。


ー 決定的な一言が言えず別れてしまうという、もどかしい恋愛を描いていますが、どうご覧になりましたか?

マギー: 同じ設定なら1960年代と現代では結末が違うでしょうね。時代による制約、面子を重んじるという中国人の保守的な考えのために別れてしまったのだと思います。

トニー: 私の役で言えば、なぜ彼女に近付いたか。彼女の夫と自分の妻が不倫しているから、その復讐だったのかもしれない。しかし、そのうち本気で好きになってしまい、彼女にすまないという気持ちになり、結局別れるしかないと決めたのでしょう。


ー 監督に質問です。撮影に15ヶ月かかった最大の理由は?

カーワイ: いろいろな理由があります。例えば金融危機。それに香港の変化が速く、古い時代が舞台の映画を撮るのが難しいということもあります。主演2人だけではなく、時代の姿を描きたい、時代を浮き彫りにしたかったから。100メートル競走のつもりがマラソンになってしまったようなものです。


ー 映画の中に上海語がたくさん出てくるのは何故ですか? マギーとトニーは 上海語がしゃべれるのですか? そうでなければどうやってセリフ合わせをしたのですか。

カーワイ: 私自身が上海出身で、5歳で香港に来ました。その時の印象は強烈です。当時、大陸から香港に来た人の多くが上海系でした。言葉、文化、芸術、伝統の違いがありました。上海人と香港人の間に距離があったのです。現在では同化して区別がつきませんが。マギーが演じたのは2代目の上海人。彼女は上海語がわかるし話せます。トニーの役は広東人です。

マギー: 私は上海語が完全に聞きとれるけど、話すのは下手です。

トニー: 私は上海語はしゃべれないし、聞きとれません。


ー 木村拓哉さん主演の『2046』で彼が降板したと聞きましたが、オクラ入りになったんでしょうか

カーワイ: 初めの予定では『花様年華』を半年で完成させ、それから『2046』を撮るつもりでした。しかし『花様年華』が延びてしまい重なってしまいました。監督にとっては困難な状況で、まさに2人の女性を愛してしまったようなものです。この2作は元はひとつの話で、2通りの展開をしたのです。だから、この2つの作品には 共通点があるはず。帰ったら早速『2046』にとりかかります。私自身、この作品に期待しています。初めて未来を舞台にした作品で、大勢の役者が登場します。またマラソンになりそうだけど……。

マギー・チャン、トニー・レオン
ラフな格好でも美男美女の2人

 会見では中国・台湾・香港からの記者からの質問もあり、北京語と広東語、日本語が飛び交いました。最初は、北京語での質問を通訳さんがいちいち広東語に 訳していたのですが、みんな訳さなくても理解できるということで途中からなくなりました。さすが!!

 

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(取材:直  撮影&まとめ:まつした)
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