女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
25号 (1993.04)   pp. 2 -- 19

1992年ベスト10


規定
  • 1992年に劇場でご覧になった作品。(新旧は問いません) 
  • 洋画邦画とりまぜてベスト10を選出してください。
  • 1〜10のランクづけは行いません。
  • 各作品にコメントをそえてください。
ご協力くださった皆さま本当にありがとうございました。
以下順不同で列挙してあります。



O. (大阪府・30代・女・高校講師)

髪結いの亭主
他愛のないある男の願望〜エロス〜を劇場用映画に仕上げてしまう手腕に脱帽。 女のエロスを描いた映画ない?

ポンヌフの恋人
迫力ある映像にただただうっとリ。ストーリーはいまいちだったけど、 映画を観たぞ!!という気分を堪能した。

ジャック・ドウミの少年期
ヴァルダ監督の愛が全編に満ち溢れていた。 久しぶりに"夢"というものの力について考えさせられた。

すてきなキャロル
おしやれ それにしても男ふたりと女ひとりという組み合せの映画は、最近のはやりかな。

ボンテージ
これは絶対日本の売春男に観てほしい映画。 金でSEXを売リ買いすることの寒々しさがよく描けていた。


S.(東京都・20代・男・学生)

シンプルメン
乾いた感覚が心地良かった。

ポンヌフの恋人
ドニ・ラヴァン演じるアレックスの恋が実って良かった。

仕立て屋の恋
官能と禁欲の不思議な融合。 いろいろな面でセンスのよい映画であった。

恋愛小説ができるまで
恋愛の甘い幻想が全く存在しないシニカルでお酒落な映画。楽しめました。

トト・ザ・ヒーロー
デビュー作とは思えない質の高い作品であった。

ボヴァリー夫人
クロード・シャブロル監督は、イザベル・ユペールを実に美しく撮っていた。

クロイツェル・ソナタ
人間のエゴイズムについて考えさせられました。映像が美しかった。

不思議惑星キン・ザ・ザ
笑いとシリアスな面とのバランスがいい。出会えて良かった作品。

三月のライオン
由良宣子がとってもキュートだった。

狼と赤ずきん
楽しい粘土細工のミュージカル・アニメーションであった。


M.(東京都・30代・男・公務員)

青春デンデケデケデケ
僕が十代の頃熱中した、D・パープルやG・ファンクなどで『青春ギューンギューン』 を観たいが無理だろうな。

寝盗られ宗介
日本映画でしか味わえない雰囲気をもった典型的作品といったら間違いだろうか。

死んでもいい
室田日出男を観ていたらかわいそうになり『人妻集団暴行致死事件』を思い出した。

きらきらひかる
松岡錠司監督には、なにか凄い才能を感じる。

シコふんじゃった。
どうも竹中直人のおかしさだけかと思ったらそうでもないようだ。もう一度観よう。

薄れゆく記憶のなかで
脚本をもって3年間、プロデューサーさがしに、 百人もの人に会って売リ込んだ熱意と根性には頭が下がります。

いつかギラギラする日
とても六十代の監督とは思えない。十年後にはどんな作品を観せてくれるだろうか。

プリティ・リーグ
同時上映の『フック』を期待していたら、ぐっすリ眠ってしまった。 そのせいでもないだろうが、素直に感動した。

おろしや国酔夢譚
もっと極寒での非情さを観たかった。

男はつらいよ・寅次郎の告白
泉役の後藤久美子が寅さんのことを「おじちゃま」と言うのには、 何度聞いてもしっくりこない。


M. (高知県・30代・女・教員)

髪結いの亭主
昨年夏、エジプトに行ったせいか、あの奇妙な踊りとアラブの音楽が心に残っている。 あんな生き方もいいし。

ボディガード
ケビン・コスナーにドキドキしている状態。ストーリーは単純だったけれど、 彼のぶっきらぼうなところがステキ。

美女と野獣
皆が泣いたよと言うとおり私も泣いた。ピュアな感じは伝わったが、涙と一緒に全て流れちゃった。

シコふんじゃった。
こんな面白い映画大好き。 モッくんだってだんだん相撲取りに見えてきたもんね。さわやかな映画だった。

プリティ・リーグ
女の人が元気よく生きる映画はうれしくなる。マドンナは今までで一番よかった。 よたっているのが魅力だね。

紅の豚
私の中ではやはリ『となりのトトロ』は越えられなかった感じだけど、 あの豚さんは私のタイプなのです。

愛人
思春期の生き方としては彼女の生き方は非常に強いと思った。 揺れる微妙さがなく、思いのままに真っすぐに。

ミンボーの女
初めは面白かったけれど、 だんだん暴力団に対するマニュアル映画のようでつまらなくなった。

橋のない川
杉本哲太の地味な感じがいい。前の映画の暗さは拭われてきたと思うが、 後半は啓蒙映画っぽさが見えた。

ぼくの美しい人だから
久々に私もあんなふうに愛されたいと思ったラブストーリーでした。 あまりありえないことだけど、うっとリ。


L. (広島県・30代・女・会社員)

欲望の翼
言葉では言い尽せない。全てのものが私の全てに語りかけ呼応して、 どっぷりつかリまくってしまった映画。

仕立て屋の恋
ムッシュ・イールの孤高の恋とアリスの孤独の残酷。 人は得てして幸せを退けてしまうものだ。わかっていても。

ハワーズ・エンド
英国人の鼻持ちならなさも優雅も全てを内包していて美しい。 繊細と機微と感情が見事に絡みあってまさに最高傑作。

美しき諍い女
あからさまにみせているようでみせてない賛沢なサービス精神。 眠気とか退屈の入るスキなどなくクギ付け。

裸のランチ
ゲテものなどでは断じてない。観れば観るほど心に迫る物書きの性(さが)。 心も身体も破壊しながら書いたバロウズの性。

愛人
原作にハマリ込んでいた私にも真っすぐに入ってきた。 ふたリの俳優の美しい肉体と、熱く気怠い肉体の愛と心。

フィッシャー・キング
こんな不器用で寂しい私でもパリーさえいてくれたら…と年甲斐もなく思わせる。 でも夢だけじゃないギリアム。

ポンヌフの恋人
愛(恥ずかしい!)なんて結局エゴのかたまり。でもそのエゴを剥き出し、ぶつけ、 受け止めた時にこそ花火は散る。

死んでもいい
どうして?よりも仕方ないなと思える止まらない思い。 死の存在なしには終わりも始まりもない。永瀬がいい。

ボーイズン・ザ・フッド
こういったものなんだ、の思いが胸をつく。声高でなく、そうなってしまった、 とならなかった苦悩を目撃する。


S. (東京都・30代・女・会社員)

SUPER FOLK SONG ピアノが愛した女
制作現場での矢野顕子を追うドキュメンタリー。 谷川さんや糸井さん、素敵な仲間に囲まれたアッコちゃん。

ホワイトファング
子供から大人まで安心して観ることができる一本です。 やはり、ディズニーピクチャーでした。

人生は琴の弦のように
陳凱歌作品を観るのはこれが初めて。他の作品もぜひ観てみたいと思う。 最近興味の出てきた分野です。

こうのとり、たちすさんで
マストロヤンニの静かな演技もよかったが。 G・カーのやるせない心情と苦悩する姿が私は気になりました。

グラン・ブルー
ダイバー必見の作品。 ロザンナ・アークエットの愛する人への正直な気持ちの表わし方がかわいらしいと思った。

グリーン・カード
久々に良い恋愛映画を観た。 アンディ・マクドゥエルの自然体の演技は、女性ファンを増やしたことだろう。

フィッシャー・キング
待望!ロビン・ウィリアムスの作品はいつでもハッピーにしてくれる。 期待を裏切らない役者である。

映写技師は見ていた
トム・ハルスのイノセントなまでの映写技師が悲劇だった。

パイナップル・ツアーズ
沖縄の天然の美はもとより勢いのある映画で面白かった。 笑築過激団の存在はこの映画では大きかったと思う。

うみ・そら・さんごのいいつたえ
中村征夫さんの撮る海と遊ぶ子供たちの映像がまぶしいくらいきれいでした。 椎名誠さんにも会えた感激の一本です。


S. (東京都・30代・男・フリーライター)

バットマン・リターンズ
今日(3月1日)に亡くなられた名匠・本多猪四郎の精神を受け継ぐ人は、 ティム・バートンだけですっ!

死んでもいい
大竹しのぶがこんなに魅力的な女優だったとは意外でした。 艶がありコクがあり体感が伝わってくる傑作。

寝盗られ宗介
風景の匂い、人と人が触れ合い、こすれあっていく味わい、 そして何よりも原田芳雄の男の色気の素晴らしさ。

パイナップル・ツアーズ
日本ならぬアジアから伝わってくる風の触感。 美味しくておかしくて、ホロッと苦い沖縄料理の味だ。

プリティ・リーグ
プロローグとエピローグの絶妙さ。セピア色のアメリカン・カントリーの土くさく、 人間くさい魅力的な女たち。

紅夢
『紅いコーリャン』『菊豆』に比べて、プロっぽくまとまりすぎたが、 やはリ女優コン・リーの妖艶さにつきる。

シコふんじゃった。
体育会系の男たちがこれほど愛らしくみえた映画があっただろうか。 女たちのキュートな魅力も素晴らしい。

ザ・中学教師
ニッポンのハードボイルド・ヒーローは長塚京三に決まリ。 「安っぽい感動する女はキライです」のセリフが良い。

青春デンデケデケデケ
ベンチヤーズ世代にとってはオープニングのニュースフィルムだけでウットリ。 しびれっぱなしのエレキの饗宴。

継承盃
不調続きの大森一樹久々のヒット(客は不入りだったけど)。 東映やくざ映画のポップな切り返しが効いている。


1992年のシネマジャーナルのベスト16は集計(以後のスタッフの選出も含め) の結果以下のようになりました。

プリティ・リーグ
ポンヌフの恋人
シコふんじゃった。
グラン・ブルー
フライド・グリーン・トマト
美女と野獣
きらきらひかる
青春デンデケデケデケ
寝盗られ宗介
10  ウルガ
10  ナイト・オン・ザ・プラネット
10  フィッシャー・キング
10  仕立て屋の恋
10  死んでもいい
10  橋のない川
10  阿賀に生きる
参考までに他誌のベスト10を挙げておきます。

〈キネマ旬報〉

シコふんじゃった。 美しき諍い女
青春デンデケデケデケ   [牛古]嶺街少年殺人事件
阿賀に生きる こうのとり、たちずさんで
紅の豚 仕立て屋の恋
死んでもいい バートン・フィンク
橋のない川 ウルガ
いつかギラギラする日 プリティ・リーグ
寝盗られ宗介 フライド・グリーン・トマト
[さんずい+墨東綺譚] JFK
10  きらきらひかる ナイト・オン・ザ・プラネット

〈びあ〉

美女と野獣
紅の豚
JFK
氷の微笑
ボディガード
フック
ホーム・アローン2
愛人
ツイン・ピークス ローラ〜
10  ミンボーの女




★★スタッフのベスト10


佐藤(東京都・40代・女・経理事務員)

百年の夢
『糧なき土地』というスペインの寒村のドキュメントを思い出した。 チェコの村の貧しい人々の暮らしに心が吸い寄せられる感じ。

フライド・グリーン・トマトディス・イズ・マイライフ
この二本は小誌のトークでその魅力を語ってしまっています。 こんな映画を観ると生きててよかったと思うのよ。

カティの愛した人
ドイツ・バイエルン地方というだけで観たくなってしまう。 ヒロインの素朴なファッションがいい。単に個入的な感覚に合っただけという気もするけど。

ウルガ
草の海がすごい。ファーっと映画の中に入りこんで、共に生活している気分にさせてくれる。 現代のモンゴルも垣間見せてくれてなかなかです。

シラノ・ド・ベルジュラック
名画座で観ました。久々にドラマの面白さを味わった。シラノの思いがジーンと伝わってくる。

寝盗られ宗介
我が愛しの原田さま。ドサ回りの心やさしい座長役は適役でした。 こういう味もだせる芳雄さんにこれからもキッチリと注目したいワ!!

ワースト

ヌーベルヴァーグ
題名に魅かれて足を運んだけど、昔のヌーヴェルヴァーグの映画のもつ新鮮さはなく、 アラン・ドロンがわびしいおじさんになっていただけだった。

サウス・キャロライナ
バーブラの魅力が活かされていない。 男も心に秘めた昔のことが重荷になることもあるのかということを知ってビックリ!!

赤と黒の接吻
題がひどいよ。黒というのは石炭を意味し、 フランスの炭坑町でのポーランド移民が受けた差別でシリアスな題材なのに 肩透かしをくわされた。 もう少しつっこみがほしかった。

ポンヌフの恋人
セーヌにかかるこの橋が好きなので、とても期待したのに全部セットで それがみえみえでもうガックリ。美術の懲りすぎで魅力が半減したワ。


中江(沖縄県・30代・女・主婦)


噂だけ聞いてもひとつも観ることのできなかったジャック・ベッケルの作品を初めて観た。 まっとうな映像の力強さに胸がワクワクした。あ〜『肉体の冠』が観たい。

ラヴィ・ド・ボエーム
昔の映画を観ているような錯覚を起こさせる絵作りが、却って新鮮で、 作品の普遍性を高めている。この映画はいつどこで観ても印象が変わることがないだろう、きっと。

Zombie ja Kummitusjuna (Zombie and The Ghost Train)
《ミカ・カウリスマキ監督/'91/フィンランド/日本未公開》
根が真面目なせいか暗いと言われて今いち一般に受け入れられないお兄さん。 けれどそれだけでは片付けられない何かがあるはず。 マッテイ・ペロンパはこれにも出ている。私が彼がとても好き。

ポンヌフの恋人
カラックスの作品の中で一番観やすい作品だけど、よく観るととっても恥ずかしい作品でもある。 これから彼はどうなるのだろう。楽しみなような、不安なような…。

グラマ島の誘惑
(川島雄三監督/'58)
内容のあまりのアブナさにぶっ飛んだ。 今、沖縄ではこの映画の噂が口伝に秘かに広まリつつある。 アブナ過ぎて多分もう二度と公開はされないんじゃないでしょうか。 (特に今はモノスゴク危ない) 興味のある方は浅草東宝のオールナイトをチェックして。 そう考えると浅草ってやっぱりすごい所。

阿賀に生きる
川を渡る風の匂い、田んぼの泥の匂い、つきたての餅の匂い、新しい船の木の匂い、 色々な匂いを感じながら、今は年老いた人々の日常会話の彼方に目を凝らせば、 失われた豊かな川の流れがみえてくる。

美しき諍い女
普通、映画はできるだけ省略をきかせて短くしたほうが歯切れがよくて面白く観られるのだが、 この映画に限っては 一枚の絵を描き上げるための試行錯誤の時間の長さに共感することのできる長いヴァージョンのほうがよかった。

ドイツ零年
('47/ロベルト・ロッセリーニ監督/イタリア)
ヌーヴェルヴァーグの作家たちがロッセリー二を師と仰いでいることはよく知られているけれど、 最近ロッセリー二をまとめて観て、あのタルコフスキーもそうだったに違いないと思った。 『僕の村は戦場だった』は、彼にとっての『ドイツ零年』だった。

スキンレスナイト
AVの監督が撮ったAVの監督を主入公にした映画という、 ごく私小説的な内容だけれどおぼれてはいないし、キワモノ的だが、 実はしっとりとした家族愛の物語である。

民族の祭典
美しいものをみたいと思うのは人間の自然な欲求だけれど、 美しいものを求めるあまり醜いものを排除しようとする思想は危険だが、 危険な思想ほど映画にとって魅力的であったりするから映画は恐ろしいが、面白い。


飯島(神奈川県・20代・女・会社員)

シコふんじゃった。
文句なしに楽しませてもらいました。個性的な役者陣もさることながら、 おおたか静流さんの音楽も印象的。

寝盗られ宗介
総合的にみるとそれほどではないのですが、あの原田芳雄さんの「愛の讃歌」の絶唱でベスト1O入り。

阿賀に生きる
水俣病という思いテーマでありながら、説教じみたところがなく、 人と自然の共存を教えてくれた作品。

きらきらひかる
なんといっても、豊川悦司と筒井道隆が光っておりました。 世俗離れした世界がなんだかよかったなあ。

橋のない川
情景シーンの美しさが印象的。水平社結成の集合シーンは感動的だった、 感情が高まって、涙がどうどう出た。

仕立て屋の恋
せつなかった。恋する人の哀しさを絶妙に描いていた作品。 ミシェル・ブランははまりすぎ。怖かった。

デリカテッセン
とにかく奇想天外で、不思議な映画だった。くぎづけになってしまって、終ってみればすっかり住人気分。

ポンヌフの恋人
ジュリエット・ビノシュが好きなので入れました。 なんでこの人はこんなにチャーミングなんだろう。

美女と野獣
動画ならではのおもしろさ、夢があって、わくわくどきどきして、 純粋な心を一時取り戻したような気がした。

青春デンデケデケデケ
最後にして悩んだのですが音楽をやる人間として、思い入れがあるため選びました。
のけぞって笑ってたということでこれ。


出海(東京都・40代・女・自由業)

美女と野獣
美女と野獣が惹かれあっていく過程がよくわかり、ストレスなくストーリーに溶け込める。 ディズニー黄金期再び到来、子供と共に楽しみたい。

シコふんじゃった。
なんといっても、相僕をトレンディにしてしまった功績は大きい。 モッくんのセクシーなこと、それに快い笑いを作リ出す監督の力量はスゴイ です。

きらきらひかる
薬師丸ひろ子が美しかった。 神経症的女性が多いストレス社会、セクシーな男とのセックスレス同棲が女の理想かも…。 そして睦月は疲れた女たちの救世主となるか…。

グラン・ブルー
この監督はスゴイ!!

ワースト

ナースコール
長崎監督の少女趣味にはついていけない。キリスト教系の病院でもないのに、 延々と続くキャロリング〜、 サッカー青年が再びボールを蹴りだすまでのサッカー場で走るシーン、 ムシズがはしって観ていられませんでしたよ。

椿寒
どうしてこのような映画ができるのでしょうか。観たがる男性がいるからです…と答える方々、 観たがらない女も同じくらいいることも忘れないでね。

パテオ
日本映画の企画力のなさ。 『ツイン・ピークス』を真似すればいいってわけないでしょう。 『ルパン三世・カリオストロの城』とは格段の差。 喜び勇んででかけた中一の娘も「観るだけムダね」の一言。


おまけのベスト20

勝間

ジャングル・フィーバー(スパイク・リー/米・91)
12人の優しい日本人(中原俊/日・91)
恋恋風塵(侯孝賢/台・87)
JFK(オリバー・ストーン/米・91)
ポンヌフの恋人(レオス・カラックス/仏・91)
ナイト・オン・ザ・プラネット(ジム・ジャームッシュ/米・91)
紅夢(張芸謀/香&中・91)
グラン・ブルー(リュック・ベッソン/仏・88)
紅いコーリャン(張芸謀/中・87)
ハイジャック—台湾海峡緊急指令(張芸謀/中・88)
ウディ・アレンの影と霧(ウディ・アレン/米・92)
黄色い大地(陳凱歌/中・84)
大閲兵(陳凱歌/中・85)
阮玲玉(スタンリー・クワン/香・91)
プリティ・リーグ(ペニー・マーシャル/米・92)
噂の女(溝口健二/日・54)
私の20世紀(イルディコ・エンエディ/ハンガリー・89)
ボディガード(ミック・ジャクソン/米・92)
血祭りの朝(李少紅/中・90)
美女と野獣(ゲイリー・トゥルースデイル&カーク・ワイズ/米・91)

ワースト
ケープ・フィアー(マーチン・スコセッシ/米・91)
[しつこい!デニーロは最盛期を過ぎたなーと思う。最近 よくやるフツーのおじさん役も嫌いだ]
傾城之恋(アン・ホイ/香・84)
[24号の山本さんと同意見です]
人生は琴の弦のように(陳凱歌/中・91)
[なんだか陳凱歌は勘違いしている。海外受けばかり狙わないで 『黄色い大地』の頃の原点に帰ってほしい]
アトランティス(リュック・ベッソン/仏・91)
[海と人間を描いた『グラン・ブルー』には心を打たれたが、 魚を撮って音楽つけて編集したこちらはつまらなかった]
ドラキュラ(フランシス・F・コッポラ/米692)
[期待し過ぎた私がバカだったのか。ウィノナの美貌以外に見所なし]

女優
ジュリエット・ビノシュ/『ポンヌフの恋人』
リサ・ヤン/『[牛古]嶺街少年殺人事件』
メアリー・スチュアート・マスターソン/ 『フライド・グリーン・トマト』
シャロン・ストーン/『氷の微笑』
マギー・チャン/『阮玲玉』

男優
ウェズリー・スナイプス/『ジャングル・フィーバー』
ジョー・ペシ&ゲイリー・オールドマン/『JFK』
ジャン=マルク・バール/『グラン・ブルー』
トニー・レオン/『ハード・ボイルド』

以上劇場(ロードショー、映画祭)または試写会で見た50本より、日付順

『欲望の翼』は、既に91年の東京国際映画祭で見て、 91年のベスト20に入れたので今回は外しました。 今回ベスト20から漏れざるを得なかったのは、『パイナップル・ツアーズ』(ごめんなさい!)、 『[牛古]嶺街少年殺人事件』、『ハード・ボイルド』など。

またワーストからは、スクリーンで見たのではない 『寒椿』を外した。今回のワーストには錚々たる顔触れの監督が並んでいる。 ベスト20に顔を出している監督が二人、同じく91年のベスト20に居た人も一人(アン・ホイ)。 これはたいへん残念なこと。いい作品を前に見ているので、期待して見に行ったらコケた、 ということで、『寒椿』とはまた違う意味でのワーストであります。

そうそう、劇場版『TP』にも頭にきたぜ。 ルーシーやネイディーンは出ないし、ドナ役はララ・フリン・ボイルじゃないし、 全然問題は解決されず、新たな謎を並べるし、D・ボウイはステージ衣装のままFBI演ってるし…。

去年は旧作(特に中国映画)をよく見て、 ベスト20にもそれらが顔を出している。 『黄色い大地』は私の映画鑑賞人生に残るであろう作品。なんと去年初めて見たのだった。 『ハイジャック』はなかなかの珍作という意味で入れてしまった。三百人劇場に感謝!

同じく旧作の『噂の女』は、 私の大好きな歌舞伎俳優の中村雀右衛門さん[私めの(雀)はお名前から勝手に一字拝借しているのだ] が昔、大谷友右衛門という名前の時に出た作品ということで見に行った。 友右衛門さんはなかなかイヤな男の役で、現在の若々しく艶やかな女形の舞台とのギャップに驚いた。ただの二枚目でないところがニクイ。また、田中絹代が上手く、久我美子が結麗で感動した。

前記のように、三百人劇場の《中国映画の全貌》 には何回か通ったのに、テアトル新宿の《中国映画祭》には『血祭りの朝』しか行かれなかった。 『心の香り』はロードショーも未だに見てないし、 何より『黄色い大地』のヒロイン薛白の『少女香雪』を見逃したのが痛い。 でも、この『血祭り…』の李監督は力強く、要チェック。 中国や香港にはドラマを撮れる女流監督が沢山いるのに、どうして日本では育たないのだろう。

女優では、 なんといってもJ・ビノシュとマギー・チャンに圧倒された。 ストーリーには疑問が残るが(なんであの警察、犯人がわからないの?)、 『氷の微笑』のS・ストーンの堂々とした悪女ぶりはあとから考えるとけっこうコワかった。 ほかには名前を挙げなかったけれど、『影と霧』の娼婦トリオ(キャシー・ベイツ、 リリー・トムリン、ジョディ・フォスター)の豪華さも忘れ難し。 私もあの娼館に遊びに行ってみたい。

男優はジョー・ペシの怪演がすごい。 また、オズワルド役のG・オールドマンが映画館へ歩いて行く場面、 私は一瞬実写フィルムかと錯覚してしまった。そんなフィルムあるわけないのにね。 カメレオンみたいな奴! その後『プリック・アップ』を見る機会があり、 こちらも妖しげな役で私はすっかりオールドマン贔屓になっったのに、 ドラキュラは似合わない! あの老人メイクはまるで『ディック・トレイシー』 のゲスト出演みたいで笑ったよ。トニー・レオンは、 『非情城市』の誠実な聾唖の青年とは別人のようなダンディな役柄。

去年の 俳優は、またしてもケビン・コスナー。 『ボディガード』はストーリーは二の次で、とにかく彼に見とれてた。

見逃しベスト10は、前記の中国の2作品と 『美しき諍い女』『歌舞伎役者・片岡仁左衛門』『仕立屋の恋』『七小福』『ザ・中学教師』 『青春デンデケデケデケ』『ジャック・ドゥミの少年期』『シンプルメン」。

ビデオで見て面白かった初見の作品は、 『エイリアン2』『ゆきゆきて、神軍』『バックドラフト』『俺たちに明日はない』 (『バグジー』はヤだけど、このW・ビーティはセクシー)『ガープの世界』 (グレン・クローズとジョン・リスゴーが最高!)。


宮崎暁美

フライド・グリーン・トマト(ジョン・アヴネット/91/米)
白い豹の影(トムローシュ・オケーエフ/84/ソ連キルギス)
教えられなかった戦争(高岩仁/92/日本)
太陽山(呉子牛/92/中国)
ある老女の物語(ポール・コックス/91/豪)
ウルガ(ニキータ・ミハルコフ/91/仏)
心の香り(孫周/92/中国) *ドクター(ランダ・ヘインズ/91/米)
ヒンドとカミリアの夢(ムハマンド・力ーン/88/エジプト)
プリティ・リーグ(ペニー・マーシャル/92/米)
ディス・イズ・マイライフ(ノーラ・エフロン/92/米)
ホワイト・バッジ(鄭智泳/92/韓国)
バード(リム・チャンポン/92/朝鮮民主主義人民共和国)
籠民(ジェイコブ・C・L・チャン/92/香港)
[牛古]嶺街少年殺人事件(楊徳昌/91/台湾)
地球交響曲ガイアシンフォニー(龍村仁/92/日本)
きらきらひかる(松岡錠司/92/日本)
阿賀に生きる(佐藤真/92/日本)
主婦マリーがしたこと(クロード・シャプロル/88/仏)
ゴッドギャンブラー〈賭神〉(バリー・ウォン/89/香港)

一九九二年は一三五本の映画を見た。一年に一三五本もの映画を見たのは初めて。 五年前までは年に十本ぐらいしか見ていなかったのにこののめり込みよう。 世間一般の映画離れと逆行しているけど、映画を見ていると発見があるから興味が尽きない。 知らない国のことを知る大きなきっかけにもなる。 キネマ旬報ベストテン特集号で映画評論家の内海陽子さんが 「映画を見る快楽というのは、生きることのしんどさを抱えつつ、 りりしさを保とうとする人間を見ること。」と書いていたが、 私が映画にのめり込んでいったのもこのことだったのかもしれないと思った。

去年は日本映画に良い作品がけっこうあって、例年より日本映画を多く見た。 日本映画に期待したい私にとって嬉しい収穫の年だった。特に『教えられなかった戦争』 『阿賀に生きる』『地球交響曲ガイアシンフォニー』 などドキュメンタリー作品に心に響く良質なものがあった。 もちろん商業的な作品にも心に残る作品があった。 『あふれる熱い涙』『ナンミンロード』『橋のない川』『うみ・そら・さんごのいいつたえ』など、 アジアと日本の関係、今も続く部落問題、 自然の環境を守っていくことの大切さを伝えてくれるような作品など、 一種社会的なテーマを持った作品も多く公開されたように思う。 他にも『きらきらひかる』や『シコふんじやった』 など今の日本の雰囲気を伝える映画も話題になった。

去年は国際環境年ということもあってか、 日本ばかりでなく外国の映画にも自然とのふれあいや関わり方を考えたり、自然と文明、 進歩と自然など、地球環境を考える映画が多かった。 その中でも人間の欲がけっきょく人間を滅ぽしかねないという警告を発していたキルギスの映画 『白い豹の影』がとても印象に残った。天山山脈の雪崩のシーンでは、 自然の威力の前に人間は無力であるとつくづく感じたし、 中央アジアも民族のルツボなんだと発見した。 山に住む狩猟民の白豹族や山麓の民もパオに暮らすモンゴル系の民族だったけど、 その山麓の村の祭りに集まってきた人々の中には朝鮮族やトルコ系の民族の人がいたりと、 多彩な民族が交じりあって暮らしているのだと思った。 民族紛争が頻発している昨今の世界事情の中で民族の共存ということも考えさせられた映画だった。

民族といえば去年はモンゴルやモンゴル族をテーマやキーワードにした映画が何点か公開された。 『チンギスハーン』は見ていないけど、『ウルガ』 では小さな女の子が自分の身長の半分くらいもあるアコーディオンを上手に弾いていたのが印象的だった。 田壮壮の『狩り場の捉』は見なくてもいいかなと思っていたけど、 大牟礼さんが絶賛していたのでやっぱり見ておこうと思って、 わざわざ休みを取って見にいったのだけど、前作の『盗馬賊』同様、寝てしまった。 私はどうやら田壮壮作品とは相性が悪いらしい。

映画評論家や映画通の人たちは田壮壮、陳凱歌、張芸謀など中国第五世代の監督たちのこと絶賛するけど、 私はそんなに良いとは思わない。陳凱歌の『人生は琴の弦のように』など、 なんだかよくわからなかった。ただ黄土高原の広さが印象に残っただけだった。 何年も前から期待していたのに見てがっかりしてしまった。しかし、 この映画で盲目の老師匠をやった劉仲元も出演していた『太陽山』 は同じ第五世代の呉子牛作品でも心に残る作品だった。 この映画の中に台湾に行ったまま帰ってこない夫が帰るのを願って、 夫が好きだった山もも酒を毎年作るというシーンがあって、「山もも酒」が効果的に使われていた。 果実酒つくりが趣味の私としては中国でも山もも酒があるんだという発見があった。 家に帰って我家の山もも酒を久しぶりに開けて飲んだ私って、ほんとに影響されやすい! また張芸謀の『紅夢』は前二作と同じように、金持ちの年寄りに金で買われていく若い女性が主人公。 そして最後は悲劇というパターンで、このパターンなんとかしてくれないかなと思ってしまった。 でも彼の色彩感覚は最高。色彩の魔術師だ。

中国映画で思い出したけど、去年の中国映画祭には中国からの代表団が来なかった。 毎年楽しみにしていたのにとても残念だった。今まで十六回の中で初めてのことだという。 聞くところによると、去年の東京国際映画祭で「台湾」の名前を使用したことに原因があるらしい。 台湾の映画は三本上映された。その前の年の『ファイブ・ガールズ・エンド・ア・ロープ』 の出品国は香港。『[牛古]嶺街少年殺人事件』はアメリカになっていてナンか変と思っていたから、 ちゃんと台湾と表記されていてよかったと私は思っていたけど、中国側が反発をしたらしい。 当初上映する予定だった張芸謀の『秋菊』もそれでひっこめたのかな。 シネマジャーナル、一昨年の第四回東京国際映画祭特集号で「中国と台湾の良い関係を願っている」 と書いた私にとって、とても残念なことだった。

女の友情を描いた映画にもすばらしい作品があった。『フライド・グリーン・トマト』 はもちろんのこと、アラブ映画祭で上映されたエジプトの作品『ヒンドとカミリアの夢』 もカイロの街で生きる家政婦の女性二人の友情を描いていて、 私のイスラム圏に対する認識を少し変えさせるものだった。 イスラム圏の女たちはあまり大きな声で話さず、 いつも男の後にひっそりと暮らしているのかと思っていたけど カイロでは力強くて元気な女たちがいるらしい。 チャドルもかぶっていなかったし威勢もよかった。これがイランやイラクでは全然違うのだろう。 イスラムの世界も変わっているのだろうけど、チャドルをかぶるのを強要したり、 夫や父親の許可がないと車の運転もできなかったりと私にはどうも納得のいかない世界だ。

去年の映画の挿入歌や主題曲にはアイルランドのエンヤの曲が多く使われた。 TVの番組でも随分流れていた。彼女の歌や曲は人々の心や魂を揺さぶる何かがある。 『遥かなる大地』ではアイルランドの荒涼とした風景と彼女の曲がマッチしていた。 『地球交響曲』では彼女自身が出演して、 自分の作品の創造力の原点であるケルト民族のことを話していたのが印象に残った。


山本

ボーイズン・ザ・フッド(ジョン・シングルトン/91/米)
フィッシャー・キング(テリー・ギリアム/91/米)
愛人(ジャン=ジャック・アノー/92/仏・米)
[さんずい墨]東綺譚(新藤兼人/92/日)
ポンヌフの恋人(レオス・カラックス/91/仏)
橋のない川(東陽一/92/日)
フライド・グリーン・トマト(ジョン・アヴネット/91/米)
裸のランチ(デビッド・クローネンバーグ/91/英・カナダ)
美しき諍い女(ジャック・レヴェット/91/仏)
欲望の翼(ウォン・カーウァイ/90/香港)
"ジュース(アーネスト・テッカッソン/92/米)
ナイト・オン・ザ・プラネット(ジム・ジャームッシュ/91/米)
仕立て屋の恋(パトリス・ルコント/89/仏)
いつかギラギラする日(深作欣二/92/日)
死んでもいい(石井隆/92/日)
青春デンデケデケデケ(大林宣彦/92/日)
ひかりごけ(熊井啓/92/日)
ハワーズ・エンド("ジェイムズ・アイボリー/92/英・日)
王手(阪本順治/92/日)
こうのとりたちずさんで(テオ・アンゲオプロス/91/ギリシャ・伊・仏・スイス)

92劇場で観た映画のべ103本より日付順


《ワースト》
ゴジラVSモスラ
もっとバトルロイヤルなゴジラが観たい!
柔かい殻
このクラさ、救いのなさ、あざとさに気分が悪くなった
天国の大罪
小百合さん、ウきまくる
フック
大金つんで遊ぶ大人

《ベスト女優》
アマンダ・プラマー『フィツシャー・キング』
カリーナ・ラウ『欲望の翼』
廣田玲央名『王手』

《ベスト男優》
永瀬正敏『死んでもいい』
加藤雅也『王手』
大森嘉之『青春デンデケデケデケ』

ひとり暮らしの不規則生活が崇り、一昨年あたりから体調を崩すことが多くなってしまった私は、 92年もずいぶん"観逃し映画に唇を噛む"の図を演じてしまった。

『ザ・コミットメンツ』に始まり、2月の香港エンタテインメント映画祭、 『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー3』『ボイジャー』『クレールの膝』 『バートン・フインク』『夢の涯てまでも』『ヘンリー』、とどめが『ヒア・マイ・ソング』。

それでなくても観る数が少ない日本映画となると、1本逃すとダ メージが大きい!にも関わらず、1本で2本分というくらいの大物(逃すとよけいにそう感じる) 『シコふんじゃった』『寝盗られ宗介』を逃してしまった。ああ、ナンとゆー不覚…。 『魚からダイオキシン』は意気込んで観にいくともう終わっていたし(客が少ないため、 予定が変わったらしい)、『パイナップル・ツアーズ』『ザ・中学教師』 も体調を悪く観逃しの涙だった。

ま、いきなり観逃し映画から入ったのも情けないおハナシだが、 今年こそ体調を整えてバシバシきめようという心意気ととって下さい。

92年最大の思い入れはやはり9月の香港映画祭ということになりましょう。 周潤發から葉童まで多彩な6本。中でも『欲望の翼』の新鮮さは、サンザン書いた通りです。 若手俳優たちの揃いも揃った成長ぶりと素晴らしさには驚きました。 香港ってホントニに銀幕スター、役者の宝庫なんだ!  李修賢、金燕玲びいきは変わりませんが、国際スターになった梁家輝、 すっかり演技派の張曼玉にも再注目って感じ。 香港ではまた李修賢が見いだした新人(郭富城)がスターになっているようです。 (今や大人気の周星馳も確か李修賢の『震震先鋒』での助演がスターヘの足掛かりだったと思う。 李修賢は若手発掘の名手なのだ)

ここには、私の好きな監督が揃い踏んだ。クローネンバーグ、ギリアムはその最たるところ。 『裸のランチ』は本当にいい映画だった。 カラックスの『ポンヌフの恋人』からは監督のパワー、映画のパワーをたくさんもらったし、 『いつかギラギラする日』には久々にコーフンさせられた。

仏のジヤック・リヴェット、パトリス・ルコントには、堪能の時刻(とき)を過ごさせてもらって満足、 満足。ジェイムズ・アイボリイの『ハワーズ・エンド』は全く見事だった。 米映画では、初お目見えの監督が目立つ。黒人監督の2本と『フライド・グリーン・トマト』。 広島ではこの作品が上映中"フライド・グリーン・トマトを食べさせてくれる店" という貼り紙があったが行かれず残念だった。 ジャームッシュには期待通りいつも通り楽しませてもらった。

日本映画では何たって阪本監督!『王手』は笑った。面白かった。 (笑い声でアンタが来とるとわかった、と言われた)そして、加藤雅也がよかった。 彼は2のセンよりこっちのほうが絶対的にいい! 『鉄拳』も大好きだが、やっぱり3本ともイイ! 阪本監督は私にとって相米監督同様、 失望させられない数少ない監督だ。(『お引っ越し』が楽しみ)

最後に入れられなかった『[牛古]嶺街少年殺人事件』。 絶対いいと確信し期待して観に行ったにも関わらず、疲労に負けてああ、ナンと寝てしまったのだ。 それでも良かった〜のだけれど。何となく良心が痛むのであえて入れなかった。 ぜひもう一度しっかり見直したい。

ベスト男優『青春デンテケデケデケ』のボーズは最高! 私の周りでも92年の人気NO.1だった。

さて93年観初めは『ロシュフォールの恋人たち』ミュージカル。 苦手の私も夢中になるほど酒落ていて楽しかった。いい出足!  今年はどんな映画に出会うだろう?

映画は休まない。私も何とかついて行きたい.


地畑寧子

グラン・ブルー(リュック・ベッソン/仏・88)
ウルガ(ニキータ・ミハルコフ/仏・91)
希望の街(ジョン・セイルズ/米・91)
グランド・ツアー(デビッド・トゥーイ/米・91)
サウス・キャロライナ(バーブラ・ストライサンド/米・91)
ジャングル・フィーバー(スパイク・リー/米・91)
黄昏のかなたに(ジェイコブ・チャン/香港・89)
ドクター(ランダ・ヘインズ/仏・91)
ナイト・オン・ザ・プラネット(ジム・ジャームッシュ/米・91)
バートン・フィンク(イーサン・コーエン/米・91)
フイッシャー・キング(テリー・ギリアム/米・91)
フライド・グリーン・トマト(ジョン・アヴネット/米・91)
プリティ・リーグ(ペニー・マーシャル/米・92)
ヘンリー(ジョン・マクノートン/米・86)
ボーイズ'ン・ザ・フッド(ジョン・シングルトン/米・91)
リトルマン・テイト(ジョディ・フォスター/米・91)
欲望の翼(ウォン・カーウァイ/香港・90)
ロングタイム・コンパニオン(ノーマン・ルネ/米・90)
シコふんじゃった。(周防正行/日・92)
ザ・中学教師(平山秀幸/日・92)

★以上92年劇場で観たもの約100本よリ

《ワースト》
幻想のPARIS
喜多郎の十五少女漂流記
天国の大罪
ピアニスト(あっこれはフランス映画だったんじゃないかな)

女優
シャロン・ストーン
[一番ガンバった人。おかげで昔の珍作も続々ビデオ化]
エリザベス・パーキンス
[シガニー・ウィーバーだけじゃないよ。 この人もスキンヘッドで『ドクター』で泣かせ力づけてくれました]
ジュデイ・デービス
[『バートン・フィンク』『裸のランチ』でどっちでも病的]
そして『プリティ・リーグ』に出てた女優さん全員


男優
ラリー・フィッシュバーン
[『ディープ・カバー』もあるけど、やっぱり『ボーイズ'ン・ザ・フッド』のお父さん。 『ハート・オブ・ダークネス』を観て彼の芸歴の長さにびっくりしたので]
ニック・ノルティ
[今までマッチョなおじさんだと思っていたけど『サウス・キャロライナ』 を観て実にチャーミングな人だとわかったので]

・かわいそうだった人…マイケル・ダグラス
[『氷の微笑』ってこの人が主演なんじゃない?]

・不気味だった人…プリシラ・プレスリー
[いくら縞麗でもちっとも歳をとらないのはねえ]


昨年は女性監督の作品の公開がぐっと増えて自然とベスト10に多数顔を出すようになっていい状況になったなあと思います。 それもエンタテイメントな作品。この中には入っていない『愛に翼を』 『ペットセメタリー2』『ウエインズ・ワールド』など探せばかなりあるようです。 また監督だけでなく、製作者や脚本でいい作品を送リ出している人、 女優業から監督業に進出した人などこれからの活躍も期待したいです。

昨年の作品で特に印象的だったのは、まず『ヘンリー』。 これほど衝撃的な作品には生涯会えないと思います。 どんな特殊技術を用してもこんな恐怖はきっと生まれないでしょう。 極端な殺戮場面があるじゃなし、登場人物は3人だけという設定でどうしてかわかりません。 実話ということも手伝っているとはいえ、ひとえに並々ならぬ監督の力だと感服しています。

次に『ロングタイム・コンパニオン』。エイズが社会問題になっているわりには、 日本では地味に終わってしまった作品。作品の完成度もハイレベルだし、 エイズを真正面から扱ってきちんとした現実をふまえつつ、 感動的なドラマになっているのがなにより嬉しかったです。 同性愛者が婉曲に社会から遠ざけられる実態やゲイ健康救済教会の活動、 エイズの発病の仕方など知識になることも多く含まれていたけれど、やはり核になるのは、 彼らがこの不治の病で倒れていく仲間を通して生きることの偉大さや無償の奉仕を学びとっていく姿だと思います。 特にエイズに倒れた恋人を"生涯の伴侶"として自宅介護に踏み切る中年カップルの姿には思わず涙。

昨年は、半年ほどビデオ雑誌の仕事についていたせいもあって、頭痛をもよおすほどの数を観ました。その中には自腹をきらなくてもひどく苛立った作品もありました。

その筆頭が『幻想のPARIS』。監督は俳優・声優の森山周一郎氏。 わざわざパリまで出掛けていって画面はほとんど曇り空。 おまけに出てくる女優さんが必要以上に脱ぐわ脱ぐわ。一応復讐劇になってるんだけど、 パリといえばファッションと画家なんていう妙な固定観念もあって始終苦笑のしっぱなし。 あらを探したら限りがない。感動したっていう人がいたら聞いてみたいものだという代物でした。 (その後この作品に出ていた桜樹ルイのパリで撮影したという18禁ものが発売されたと知って、 なんてセコい商売してるんだろうと呆れてしまった)

あとの邦画二作品は大々的な宣伝にそぐわない雑な作品で、特に『天国の大罪』 は内外ともに大俳優を配したのになんとも残念な作品だったとだけいっておきましょう。 (そういえば『いつかどこかで』も観たんだけど、これは音楽ビデオと考えていいと思います)

とはいえ、観た観たといっても話題の大作のいくつかを見逃しているので、 総括はできないけれどどうも製作者側の真意を無視した洋画の宣伝が目立っていたのに辟易したのは確か。 まあ『氷の微笑』はいいとしても、 『愛人』とか『美しき諍い女』をただエッチ度何パーセントで売るなんてさっぱりわからない。 ビデオ業界を垣間見て、落ち目といってもAVに頼ざるをえをえないビデオ店の現状をみたら 一概に批判はできないけれど、やっぱり悲しい現実だと思います。 以前、カンヌ国際映画祭のときに外国人の映画のバイヤーが、 "日本のビデオ会社は裸がたくさんでているとか変なタイトルのついている作品ばかり買っていって、 芸術性のかけらもない"と批判していたのも一理。 買う側も商売だからなるべく売れそうなものを買うのは道理。 いきつくところは映像を芸術といかないまでも娯楽ではなく、 単なる暇つぶしの道具くらいとしか思っていない人が結構いるということじゃないかと思う。 たかが映画というけれど、やっぱりされど映画。もっと明るく映画を観たいです。本当に。



コラム(p.35)
ベスト20からもらしたけどこんな作品もありました

フォー・ザ・ボーイズ
クリストファー・ライデルはかっこよかったけど『血と砂』に出てるとはショック (雀)
壁の中に誰かがいる
ピーカー必見。エド&ネイディーン不気味度増強 (Y)
こうのとり、たちずさんで
眠くなった (雀)
ミッドナイト・チェイサー
面白かっだけど、クリストファー・ウォーケンが主役じゃないぞ (Y)
リトルマン・テイト
それほどでもない (雀)
奇跡の山・さよなら名犬平治
娘・中江、父・渡瀬、祖父・文太、ちょっと無理がある親子 (Y)
ストレート・アウト・オブ・ブルックリン
渇いた日常があまりにリアルでホロッ (Y)
七小福
時の流れは残酷だ。でも良き師に恵まれた子ほど幸腹な子供はいない。 (Y)
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