女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
35号   pp.88 -- 91

黎明(リヨン)演唱會報告

そしてプラスアルファー

BY HAPPY RICE FIELD



去年のアンディ、夏の學友についで、この秋は黎明(ご存じ香港・四天王のひとり、 レオン・ライ、地元香港では『リヨン』と呼ばれる)の演唱會へ行ってしまいました。 HAC(Hong Kong Addict Club)主催のツアーです。主催者のMs.モニカ水田、 夏もいっしょだったW小姐・Y小姐、大黎明迷のS小姐など知った顔ばかり。 それにしても華仔ファンの多さときたら…、参加した9人のうち5人はそうなんだから(笑)。 〈リヨンツアーなのにね〉 でも、去年の私だったら、「私にとっては三天王」とうそぶき、リヨンは、限りなく キライに近い興味のなさだったのに…。パッと見派手なアンディやアーロン、 歌唱力では他の追随を許さない學友。比べてリヨンは、さっぱりしすぎて印象薄くて、 地味。それがいつからでしょうか、ジワジワと取り込まれ、ハマれば磁石に 引き寄せられるがごとくです。一種麻薬チックな魅力かも。鼻にかかった甘い低い声は ナイスだし、演技はさりげないし、たよりなげな風情が可愛い、とゲンキンなものです。 メキシコロケの「仙人掌」・教師役の「阿SIR早晨」(TVBのドラマ)は面白かった。 (他の出演作には話題の「堕落天使」「飛狐外傳」「都市情縁」「妖獣都市」等があり) 貴公子然としてる割には踊りがちょっとヘン(かなりヘン!?)なのは笑っちゃいますが、 それが愛嬌だよネ。と、前置きが長くなりましたが、演唱會の報告といきます。 11/2から、27日までの26日間にわたって(2度ほど追加が出たそうな)、 四天王恒例の香港コロシアムで開催。私たちは2日目にあたる11/3と4日目の 11/5の2回を観ました。センターステージじゃなくて、普通の三面のステージ、 握手タイムはなし、などの情報は聞いてたので心の準備はできてたのですが。 やっぱ、四天王は四面じゃなくちゃあねぇ、正面の席だったせいか平面的に見えちゃうのが 惜しいです(前回のLDのジャケットも三面だったけど、どうして?黎明は四面にしちゃ いけないわけでもあるのでしょうか?)それに、なんかダサイ。 唐草模様を彷彿とさせるような緑の布があちこちに張ってあったり、グルグルまわってる ライトはナイトクラブ系だったり。コンサート始まる直前にアリーナ席の人が 総立ちになるほどの騒ぎ、と思ったら観客席にヒョウ柄服の李嘉欣(ミッシェル・リー) が来て、みんないったい何を観にきているんだよー、リヨンに失礼じゃんと思うほどの 大騒ぎ。コンサートでは決して立ち上がらない香港人のくせに、全員総立ちなんだもん。 と、思うまもなくステージが始まります。これがメチャクチャかっこいい斬新な演出。 白の緞帳をスクリーン代わりにスタッフ名がテロップで流れ、例のポケベルのCMを 思わせる近未来チックな映像が5分ほど流れます。緊急事態発生!でガンダムスーツ みたいなのに身を包んだリヨンが、ロケットで打ち上げられてってとこで舞台と ドッキングという、ドキドキするような疾走感のある登場。でもそのロケットから 歌いながら出てくるのが、妙にスローではずしてくれます。曲は「Just For Fun」で (「Everybody Talk About LEON♪」リ・ヨ・ンと観客の声が重なります。 噂のリヨンコールが凄い!!) 表情は最初ちょっと固めかな。初日はメロメロだったっていうし、四天王といえども、 あがっているのかもね。で、2曲目は米米CLUBの「Shake Hip!」のカバー。 ナマでみると一段とおかしい味のあるダンスです。そして「しぃねま〜♪しぃごいま〜♪」 の「一生最愛就是」と続きます。踊りっぽい曲を一曲歌うと、 バラード2・3曲、衣装替えもかなりまめです。ダンサーが全員女性ってのも リヨンっぽい。舞台袖に引っ込んでは、(でも丸見えなんだけど)黒Tシャツのお兄さんに 汗を拭いてもらってる姿がおかしい。お金がたくさんかかっててそうな舞台装置は しかけもいろいろあって、飽きさせません。というか、なんか先が見えない構成で気を 抜けないといった方がいいでしょうか…クレーンに乗ってステージの上を移動したり、 大きなテレビモニターに映る女性モデルと踊ったり、またいろんな種類のアドバルーンの 写真が舞台の両脇に映し出されたりとか、リヨンの顔だけがやっぱりグルグル映されたりとか、 「???」となる演出もたくさん。アンディよりよっぽどディズニーランド入ってたし。 〈それも『ホーンテッド・マンション』(笑)〉私たちの間で最高に受けたのは、 ベンチャーズもどきの曲で、オレンジ色のギンガムチェックのスーツの中に紫の ラメのタンクトップを着込み、踊りまくるリヨン。ホント、圧巻としか言えません…。 この曲から次になるときあっと言う間に違う衣装で出てきて、最初早変わりかと 思ってたら、実はすり替えの人がいたってのがすぐ新聞に種明かしされてました。 (2回目、観たときにはそれを逆手にとって同時に出現)『堕落天使』の主題歌という ふれこみの「十字天使」の時はダンサーの女性2人と絡んでピカピカ光るシャツを 引き裂かれちゃって、目隠しされる大胆な演出。でも、あっと言う間にスモークの中に 消えてってしまいました。(ちぇっ)そして次の曲では白いスーツでバラードを 清々しく熱唱。すごい対比です。また、白いギターを片手に「最近習い始めたんだ」って、 たどたどしく弾き語りをしたり(ビギナーの登竜門「禁じられた遊び」)、 即興で「Today LaLaLa〜♪♪LaLaLa〜LaLaLa〜♪」なんて曲を作って(2日間とも)、 なかなかオチャメでした。そう、観る前まではこの人はちゃんと、MCとか できるんだろうかと心配してたけど、もう、なんともうれしそうにしゃべってて、 観客席に話しかけるわ(『君のために』っていうのしかわからないのが悲しい)、 大声出すわ、全然大丈夫でした。(2日目より4日目の方がまた、一段とリラックス モード)歌ってる声もすごいよく通って、上手いし。(うーん、低音の魅力。 とてもヘビースモーカーの人の声とは思えない艶やかな声!)それに 愛らしいっていうか、ビデオなんかで観てるよりずーっと若くって、幼い印象です。 (本当に可愛い、アーロンより年下というのもやっと信じられました、ハイ。) そして、アンコール一曲目の「月亮下求一吻」(「エロチカ・ セブン」のカバー曲)の器械体操のような踊りと来たら…空前絶後のおかしさ、W姐 名付けて「エロチカ・リヨン」。ホント目が釘付け状態。どうしてここまでしてくれるの、 リヨン。安全地帯の「恋の予感」のカバーに続きアンコール・ラストは、去年の 賞取り王曲「那有一天不想」で締めくくり。曲の終わりに、 上手・下手・センター席にぞれぞれ30秒は、深々とおじぎしている礼儀正しい姿が 凛々しいです。観終わったあとみんなでしみじみと、何か違う次元の面白さだったねぇ〜 と語り合ったものでした。そう、學友は大人のエンタテイメント、ワールドワイドに 楽しめるコンサートだったし(何しろ歌が上手い、ダンスも上手、世界のどこに出しても おかしくない!)四天王をはじめて観たアンディのときも、お子さまな作りと思いつつ、 でもドラマ有りアクション有りで、本人が超格好よかったから、私にとっては何と いってもベストワン。アーロンはナマで観てないのでいっしょにはできないけど、 LDで観た限りでは随分洗練されていましたよね。それらに比べるとあきらかに リヨンはいかにも香港って感じです。もうドメスティック、アナクロチック。 いったい、いつの時代のコンサートなんだって思いました。(でもコンサートLDは 學友より楽しみだったりして)そしてそれが不思議なことに、2回目観たときには そういう違和感が全く感じられなくなっていたんですよ。(なんででしょう…、 香港人の感覚に近付いたってことかなあ)リヨンはますますなごやかになってって、 握手タイムもあったりして、モミクチャ状態。隣のおばちゃんなんか、うちの 母より年上みたいなのに蛍光棒を振り回しうれしそう。やっぱ、2日間共、 2時間15分くらいの長さで、前の広東語CD「天地豪情」からの選曲が多いみたい。 観客は女性(それも幅広い年齢層)が多い印象、男性はカップルの連ればかり。 (連休にあたっていたせいか、日本人にもトータルで10人ほど会いました) ホントにリヨンは凄かったし。あ〜あ、終盤に向けて、リヨンはますます リラックスしてって可愛くなって、ステージも好くなっていくんだろうなと思うと、 ちょっとくやしい。(なんかクセになりますよ、リヨンって)



ここからはオマケです。爽やかなこの季節の香港ですが、映画は、時期が悪いからか、 ホントに映画界がドン底だからなのかわかりませんが、まるっきりの不作でした。 『堕落天使』は終わっていたし、観られたのは、金城武と呉奇隆、楊采[女尼]の 『新紮師兄追女仔』の一本のみです。平日の12:30PMの回だからでしょうか、 私たち以外には客も5人ほどしか入ってなくて、場内の寒さもひとしお。 あくまでも役の上ですが、正当派二枚目のニッキーと三枚目のタケちゃんが、 囮捜査で学生に化けて学校に潜入する刑事モノで、ストーリーはあらためて言うほどでは ありません。ただ、今が旬な美形の2人を観れただけでよしとしました。眼福、眼福。 映画の中で、上司にこの任務がいやだったら、ゲイクラブの捜査があるぞって何度も 言われるのですけど、そっちの話のほうがよかったなー。(笑)

ロケ地訪問第一弾、連れてってもらったのではっきりした住所が分からないですが、 (『別冊宝島』の最新版香港特集号に詳しいことが載っているはずです)『欲望の翼』 でアンディとマギーが語り合う、雨の電話ボックス(はないけど)の場所へ行ってきました。 中環のフェリー乗り場近くのバスターミナルで、13番のバスに乗って、終点近くのところです。 私たちは降りるタイミングを逃して、終点から引き返し15分ほど歩いてしまいました。 本当は自動車専用道路で人が入ってはイケナイので車が来るとわきに避難しながら、 大撮影大会となってしまいました。思ったより小さな場所ですが、風情がとても ありますよ。マギーがバスを待つところも、すぐ上です。 そしてまた、ロケ地訪問第二弾として、まだ記憶に新しい『烈火戦車』のバーにも 行って来ました。尖沙咀の新しくできたHMVのそば、アシュレイ Rd. (ネイザン Rd. と平行)にある、『Kingston』というのがそこです。(劉徳華の相棒役、銭嘉楽の お兄さんの銭小豪がオーナーだという話)私たちも夜中の12時頃に行ったのですが、 女性だけでもフラッと入れる健康的なお店です。(20人ぐらいでいっぱいになるくらいの 大きさ)打ちっぱなしっぽい内装や、小さなタイヤでできている椅子がオシャレです。 店内で、大阪から参加の2人のYさんたちと合流。4人で盛り上がってしまいました。 店にいた男の子に、この店は華仔の映画にでてきたんだよ、といっても、たぶん クリスマス映画なんでしょうね、公開前だから(金声戯院でポスター発見)わかって くれなかったみたい。

そして、今回の旅行のラストにとっても嬉しいことが…。私、S姐、Y姐の3人が空港の、 出国審査に並んでいるとき、私たちのすぐうしろに、なっなんと 趙文[王宣] (ウィンストン・チャオ『ウェディング・バンケット』の彼)がいたのです。 黒のタートルにグレンチェックのスーツ、なんかイメージぴったりのいでたち。 ひとりきりで、まるで一般人のようです。あと三人ぐらいで自分たちの番になるところで 気がついたので、もうあわてちゃって、舞い上がるわで、オタオタしましたが、 「是不是ウィンストン・チャオ?」と尋ねると、「Yes!」 と答えてくれた、ちょっとはにかんだ笑顔のそのチャーミングなことといったら! クラクラしてしまいました。手帳にサインをしてもらい、私だけしっかり握手までも。 (ごめんよ〜。二人は審査へ…)大きな暖かい手でした。 でも、台湾の俳優さんだからかナ〜、回りは誰も騒いでなかったのですよ。

本誌「シネマジャーナル」及びバックナンバーの問い合わせ:
order@cinemajournal.net
このHPに関するご意見など: info@cinemajournal.net
このサイトの画像・記事等の無断転載・無断使用はご遠慮下さい。
掲載画像・元写真の使用を希望される場合はご連絡下さい。