女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
31号(Dec. 1994)   pp. 87 -- 89


読者からのお便り

 秋の映画祭シーズンはやっばりいいですねぇ!
私は東京国際映画祭もファンタも咋年初めて行ったのですが、 その楽しい雰囲気がすっかり気に入り、今年も楽しみにしていました。 京都では、日程上見られなかった作品がいっぱいあって悔しい思いもしましたが、 楊徳昌の『独立時代』は期待以上に面白かったし、監督も間近で見られてよかった。 ファンタの方も、十月六日のアンディ・スペシャルは去年と比べるとかなり 寂しかったけれど、オールナイトで四本も未見の作品を見られたのでまあ満足です。 これで後はアジア・ミッドナイト・エクスプレスで『白髪魔女傳』 それに『いつも心のなかに』を見られれぱ…。なんて思ってたら十月二十二日に、 現代中国映画上映会で『春の河、東に流る』を上映すると知り、 また飛んで行きたくて居ても立ってもいられない状態です。 この映画、見たくてたまらなかったのに今迄どうしても機会をのがしてしまってたので、 今度こそ!と思うのですが…。経済状態が許すかどうか。

 最近、「映画に関しては、質・量共に東京が世界一だ」というような一文を あるエッセイの中に見つけました。それが本当かどうかは分かりませんが、 少なくとも中国、台湾、香港の映画に関しては当たっているのではないかと思います。 台湾映画は候孝賢に偏っているものの、とにかく三つの中国語圏の映画を かなり分け隔てなく見られるのが東京ではないでしょうか。 中国映画も台湾映画も香港映画も、分け隔てなく好きな私としては、 首都圏在住の方々が羨ましい限りです。 まぁ行こうと思えば行ける距離に住んでいるのですから、 それで良しとしなけれぱならないのかな。それにしても数年前迄は特に 映画好きという訳でもなく、新幹線に乗ってまで映画を見に行くなんて… と思っていた私が、今では毎月のように西へ東へと飛んで行くのですから、 中国語圏映画のパワーはやはりスゴイと身にしみて実感しています。

 思えば地元の上映会でみた『悲情城市』が始まりでした。 初めて見た台湾映画、おそらく一生忘れられない作品、なにしろ私はこの後一度も 『悲情城市』見ていないのです。何だかビデオで見てしまうと、 とらえられた魔力が消えてしまいそうで、映画館のスクリーンでなきゃ見たくない! などとヘンな意地をはってしまったためにたった一度見たきり…。 そして侯考賢作品を次々と見始めたのと、『いつの日かこの愛を』 で周潤發のファンになって、彼の出演作ビデオを片っ端から見始めたのと、 名古屋へ中国映画祭を見に行くようになったのとほぼ同時進行で私の中国語圏映画 (長い呼び名だけど、これが一番適当だと私は思います。中華電影という言い方には どうしても引っかかるし、ましてやアジア映画と呼んだら、トーゼン韓国、インド、 インドネシア、タイ、スリランカ、フィリピン、中央アジア…etcも 入らなければおかしい。)ファン歴は始まりました。ほんとにどこの映画も 比べることが出来ないくらいいいなぁと思います。 魅力的なスターがそれこそ星の数ほどいて娯楽パワーが炸裂する香港映画も大好きだし、 侯孝賢の描く映画世界も泣きたくなる程いいし、中国映画の大陸的な重厚さ、 思いがけない繊細さも心打つものがあります。中国映画はどうしても暗いとか泥臭いとか トロいとか、まだまだ悪いイメージがつきまとってますが、これから 第六世代以降の新しいタイプの監督の作品が世に出て来れば段々そのイメージも 変わっていくのではないでしょうか。中国映画を見に行くと、 観客の年代がグッと上で香港映画とのあまりのギャップに驚きます。 やはり両者の観客層はクッキリ分かれてしまっているのかなと、少々残念な気がします。 中・台・港の映画が集まる珠海映画祭が今年初めて開かれたことだし、 九七年の返還に向けて香港映画と中国映画が幸福な方向へ発展していくよう私は 願ってやみません。それにつけても最近の中国映画界の動向は気掛かりですが…。

 私も名古屋アジア文化交流祭に行きました! 張暖忻監督は、とても自信にあふれてて 堂々としていてカッコ良かった! そして、アクシデントのおかげで『青春祭』 が見られて本当にラッキーでした。 私はこの作品はここで初めて見たのですが新鮮で、宮崎さんも書かれていた通り 『瑞々しい映像』という言葉がピッタリで、何だか思いがけずキラキラ光る宝石を 探し当てたような気持ちにさせてくれました。何と言ってもヒロインの李純が良かった。 私は中国映画のヒロインに初めて共感と親しみを感じました(このこと、張監督に 言いたかったな)。初めのうち、タイ族の少女達の輪に入れなくて ポツンと一人で座っているところとか、おしゃれに目覚めて、水面に 自分の姿を映しながらダブダブのシャツをつまんでポーズをとってみるところとか…。 『雲南物語』のヒロインも魅力的で、女性の目から見ていいなと思えるヒロイン像を 描けるのはやはり張監督ならではの「手腕」というものなのかなと感心…しつつ 見てしまいました。次作でもぜひ素敵なヒロインを見せてほしいですね。

 それにしても中国映画は、本当に奥が深い…なんて言える程多くの作品を見ていない (見られない)のが残念。今年も中国映画祭が楽しみです。 名古屋のシネマスコーレは二本立てがうれしい。古い作品にもいっぱい 見たいものがありますが、最新作の上映はやはりワクワクします。 シネマジャーナルを読むと、こういう映画を好きな女の人だって、 たくさんいるんだわと励まされるような(?)気分になりつい元気づいてしまうんです。 特に最近の号の「ちょっとSHOT」を読んでると必ず二つ三つと「そうそうそう!」 とぶんぶん首をタテに振りたくなってしまう一言があるので、 いつも楽しませて頂いてます。ちなみにそれはどの一言かというと、 〈『戯夢人生』の主役の林強が李天禄老人の若い頃には見えなかった〉 私は『宝島』を見た翌日に『戯夢人生』を見たので、この事を誰かに訴えたくて 仕方なかった、 〈艾敬は鞏俐にとっても似ている〉 〈『さらばわが愛/覇王別姫』の原作本(日本語訳)はヒドイ〉 …私もまた何かどうしても訴えたいことができたら投書させてください。

(N. 藤岡さん)



30号の劉徳華特集につられてファンタの会場で買いました。 中華電影コーナーは面白くって皆さんの熱意が伝わって来るものでした。 女の人が作った本なのだということがとても気に入りました。 私は、フェミニズムのこととか、社会問題は気にしているつもりです。 ですからシネマジャーナルの姿勢はとても好きです。 今回の「女ざかり」をめぐる座談会も楽しく読めました。

それでは、これからも独自の視点で面白い雑誌を作って下さい。 (27・28号は、横浜女性フォーラムに通って読めました! 一応会員なのです あのそっくりさんコーナーおかしかった)

(R. 福田さん)



初めまして、私は劉徳華をこよなく愛す28才の主婦です。 初めて香港映画を観たのは、13才の時でした。ジャッキー・チェン全盛期の頃で なんとなくオモシロイと感じてから香港映画を少しづつ知っていきました。 のめり込んでしまったのは9年後の22才の時でした。周潤發の「男たちの挽歌」 を観て香港映画の底力みたいなものを感じました。その時「愛と復讐の挽歌」 で劉徳華を見付けたのです『あーこの人きっと売れる』と感じ大変印象に残る人でした。 「ゴッドギャンブラー」で、又、彼を見て想いは熱くなるばかりでした。

「いますぐ抱きしめたい」は激しくて、はかなくてとても大好きな作品です。 最近では数多く劉徳華の作品が入荷されてきましたがノワールものが多く、 「天長地久」など違った感じのビデオを取り扱っていないお店も少なくありません。

劉徳華の演唱会の記事を読んで大変うらやましかったです。 香港映画やアジアの音楽が沢山の人に知ってもらえると本当にいいなと思います。

(M. 三共さん)




◆屍と化した NIGHT HEAD◆

R. 松永

 本当に才能ある若い逸材がなかなか映画を撮れない状況の中で、 もしかしてその中の一人かも?と少しは期待していた監督の、この あまりにもおそまつな作品を見て、心底怒りが込み上げた。

 豊川悦司ファンでTV版も始めから見ていた私は、このカルトなシリーズが 結構気にいっていて、映画化が決まったときから楽しみにしていたが、 ものの見事に裏切られてしまった。

 薄っぺらな脚本、類型的な演出、斬新さのかけらもない映像と編集。 すべてが安直で、始まって十分で嫌気がさしてきたほど。 霧原兄弟の超能力者としての孤独や苦悩、使命を持って生まれてきた人間の崇高さなど、 この映画のテーマとなるべきものがみじんも感じ取れない。 前売りや初回の舞台挨拶のフィーバーぶりを聞くと、テーマはただの アイドル映画だったのかと思いたくなるほどだ。

 希に見るサクセスストーリーで映画化を手にしたというのに、 ここまで盛り上げたファンが幾ら中高生だとは言え、なめているとしか思えない。

 上映前前日からフジTVの深夜枠で「前夜祭」と名打って、申し分けのメイキングと、 昨年も放映したTV版のダイジェストの焼き直しを流しているのを見て、 そのあざとさに呆れたが、吸い尽すだけ吸い尽して最後に出来上がったのが 映画NlGHT・HEADの屍だったと言うことか。豊川さんが気の毒。

 映画館を出るときのあの寒々とした気持ちを思い出すと、叫ばずにいられない。



 ざけんなよ! NIGHT.HEAD!

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