女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
31号(Dec.1994)   pp.83--86

映画 LIVE HOUSE “この映画をチェック”


  『ビバリーヒルズ・コップ3』
  『ショート・カッツ』
  『ブローン・アウェイ 復讐の序曲』
  『トゥルー・ライズ』
  『エース・ベンチュラ』
  『あなたに降る夢』
  『パルプ・フィクション』



このコーナーでは、配給会社が眉にツバつけて(?)売ろうとがんばった(ている)映画を その映画のキャッチコピー(茶色表示)もつけて わたしたちが独断と偏見でチェックします。

思わず涙してしまう感動ものあり、頭にくる映画あり、どうにかしてくれ〜としか いえない映画あり。

あなたのチェック度はいかがですか?

ご意見・参加をお待ちしています!!!!!




ビバリーヒルズ・コップ3

命がけのおもしろサ

 パート2から7年。前2作ほどでないけどエディ・マーフィ物では久しぷりの面白さで、 少なくとも『48時間PART2/帰ってきたふたり』のように失望することはありませんでした。 89年代の寵児だったエディ・マーフィはあっという間に90年代からおいてきぼりを くらった感じだけど、そのもがいている彼をジョン・ランディス監督が 助けてあげたという感じがなきにしもあらず。 ランディス自身辛酸を舐めた時期(『トワイライト・ゾーン』でビック・モローを 死なせてしまったあの事件)があるから、お友達(ジョージ・ルーカスなどの映画人) 総動員でかつての仲間のカムバックに一肌脱いだのかもしれませんね。

 マーフィーとランディスはイキの合ったコンビで『大逆転』も 『星の王子ニューヨークヘ行く』も私は大好き。この二人、一時は犬猿の仲だったそうな。 ついでに相変わらずオマヌケなローズウッド君(ジャッジ・ラインホールド) も好きなんだワ。せっかく部長刑事になったのにどうやら窓際っぽいのが彼らしくてステキ。

 この映画のために作った遊園地“ワンダー・ワールド”のゴージャスさに、 どうせならデッカくやろう的ハリウッドシステムが感じられるのも嬉しいところ、 エディ・マーフィーが小品佳作でいい味出してる、なんてせせこましくて 彼には似合わないと思いません?

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(ジョン・ランディス監督作品)




ショート・カッツ

昨日になかった短い切り傷

 いくら短篇を一つにつないだからといっても、3時間9分は長すぎる。 だったら『欽ちゃんのシネマジャック』の方がお得だったかもしれないな、 と思ってしまったのは、あまりに拍子抜けしたラストを観せられてしまったから。 あそこまで一癖も二癖もある登場人物を揃えておいて、 いつもながらのアルトマン風大団円を楽しみにしていたんだけど、 いったいどうしちゃったの? 次回作『プレタポルテ』はもうちょっと うまくまとめてネ。

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(ロバート・アルトマン監督作品)




ブローン・アウェイ 復讐の序曲

この秋アメリカは眠れない

 オスカー受賞前に契約をいっぱいしたのか、続々公開される トミー・リー・ジョーンズの映画。 観たこともない(あったら困る)大がかりな時限爆弾の数々にお口アングリ。 こんな手のこんだ爆弾ばかり作られたんじゃ、ホント安心して眠れませんワ。 ドミノ倒し風時限爆弾なんぞは拍手モノ。

 対するジェフ・ブリッジスもややスリムになってアクションもバッチリ。 オトウチャンのロイド・ブリッジスも久々にシリアスな役をやってて 親子の仲の良さが伝わってくるよう。

 爆弾を作る側も処理側も頭の良さと機敏さを兼ね備えていなければダメなのネ。

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(スティーブン・ホプキンス監督作品)




トゥルー・ライズ

 こんなに壮大なホーム・ドラマなんて初めて。 さすがシュワ&キャメロン・コンビだと感心してしまいました。 もしも、ジェームズ・ボンドがマイホーム・パパだったら、 というオハナシだったわけね。冒頭、タキシード姿で雪山を走るシュワちゃんに、 ロジャー・ムーアがダブってしまった私。アクション・シーンのドハデさは文句なしです。

 でもさ、公費を使って夫婦改善なんかしちゃっていいわけ? なんて疑問が 出てきちゃうのよね。あんなに地味な妻役のジェイミー・リー・力ーチスが なぜか黒のTバックをはいているってのもヘンだしね。ま、 ここまではお遊びだからと許せるけれど、核爆発シーンはちょっとねェ。 閃光を見なければ安全だなんて、アメリカ人の核に対する考え方ってこんなに甘いの?  日本人なら誰もが爆風を浴びながらのキスシーンに怒りを覚えたんじゃないかしら?

 こんな許せないウソを差し引いても、94年を代表する娯楽超大作には問違いないけれど…。

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(ジェームズ・キャメロン監督作品)




エース・ベンチュラー

史上最強&世界唯一の〈ペット探偵〉

 本国ではかなり有名なコメディアンらしいけれど、日本ではぜんぜん無名の ジム・キャリーなる人。この映画をみれば、彼がどんなにすごい技をもっているか 分かります。彼の技はもちろんシャベリだけれど、その他になんと 顔技を持っているのです。その表情の豊かさといったら、どうやって あんなに面の皮をやわらかくしたのか聞いてみたいもの。とはいっても その昔ハヤっったくしゃおじさんではありません。彼はれっきとしたハンサム青年です。

 ストーリーは、とりたてて凄いものはありませんが、彼が 同棲している動物の数もすごければ、彼の貧乏ぶりもすごい。

 予告編で、なんで彼が窓から顔を出して運転している (すごくきつい体勢だと思うのですが)んだろうと思ってたら、ヒビが入った フロントガラスを直すお金がないからだったんですね。納得。

 そしてすごい人物といえば、プッツン女優ショーン・ヤング演じる女警部補。 後半彼女が出てくると必ず『クライング・ゲーム』がかかります。 それは観てのお楽しみということで、たぶんこんな役は、 ハリウッドの有名女優でやる人は彼女くらいのものでしょう。

 とりあえずは、この映画でジム・キャリーの魅力にハマってみて下さい。 来年はいよいよ『マスク』も公開されるそうな。こっちのハチャメチャぶりも楽しみです。

(Y)
(トム・シャドヤック監督作品)

P.S.
 この映画って日本の警察のポスターに使われてたんですね。 警察庁の上層部の人はこの作品観たのでしょうか?




あなたに降る夢

 この映画には、一応実話が元になっているのだけれど、 実際とは大きく話を変えてあるのは、主人公の二人が結ばれるということだそうです。

 お人好しすぎる警官を演じるニコラス・ケイジは、ファンなので当然 ファンの欲目で素敵に映ってしまったけれど、相手役のブリジット・フォンダも 彼女本来の魅力である育ちのいい品のよさが生きていて、いくらいい人ぶっても ちっとも嫌味になっていないのが、この映画のいいところでしょう。 「心根のいい、欲のない人こそ幸せを掴める」といった全くもって ホントのファンタジーで、なんだか心が温まります。ハードなアクションが流行る中で、 こんな古典的なお話が意外にもヒットする(日本ではどうだったのでしょうか?)のは、 やっぱり人間って優しさや温かさに飢えているんだろうななどとしんみり感じた次第です。

(Y)
(アンドリュー・バーグマン監督作品)




パルプ・フィクション

 この映画の他には、監督作がたったの一本しかないのに、 えらく有名になってしまったクエンティン・タランティーノ。 その一作目と続く脚本参加作品(『トゥルー・ロマンス』) でいつの間にかお手もち俳優をたくさんつかみ、彼らに加えて ジョン・トラボルタやブルース・ウィリスなど超豪華なキャストを迎えて作ったのが本作。

 あいかわらずのオタッキーぎりぎりのカルトぶりとテンポの良さと大いなる笑いで 文句なしに面白い作品ではあります。でもです、この作品がカンヌのグランプリを 獲るのに値する作品なのかは、疑間。審査員長がいくら クリント・イーストウッドだったからって…。 タランティーノ作品大好き人間の私だってこれだけは言いたくはなりますよ。

 とはいえ、少々ザツだろうが、ぶっパズレだろうが、面白いものはいいんです。 この作品で一躍回帰したのは、なんといってもジョン・トラボルタ。 エクササイズを怠っているせいなのか、彼のぶよぶよの裸体には驚きをこえて 悲しささえも感じてしまいましたが、抜群のダンステクニックはかわりません。 彼の『サタデーナイト・フィーバー』や『グリース』なんかを観て育った私と いたしましては、懐かしすぎて涙がでました!

 対するこの作品で数少ないシリアス演技でしんみりさせてくれたブルース・ウィリスは、 五分刈り頭も麗しくバッチリエクササイズを重ねたせいか、精悍なボディに大変身。 思わずウットリと魅入ってしまいました。

 それにしても、戦友の形見を長年お尻の穴に隠し通したクリストファー・ウォーケンに、 頑中ピアスの穴だらけのロザンナ・アークウェットには、恐れ入りました。 それに『アサシン』の当たり役を自分自身で大真面目にパロッて 平然と出てくるハーヴェイ・カイテルもすごい。これじゃまるで 香港映画の俳優じゃないですか。そんなこんなで、やけにカッコいいユマ・サーマンと 不気味にカマトトなマリア・デ・メディロスという全然接点のない 『ヘンリー&ジューン』コンビの登場やら、 『キリングゾーイ』のまんまこの映画にも出演してしまったみたいな エリック・ストルツ、見るからに神経質なアマンダ・プラマーに、 ダサイヘアースタイルをなんとかしてほしかったサミュエル・L・ジャクソンなどなど 言い出したらキリがないほど、み〜んな変でした。そんな中で一番マトモな いい役をもらっていたのが誰あろう、監督のタランティーノ。 なにかと自分の作品にでたがるスティーブン・キングみたいで ヘンなところで笑えた作品でした。

(Y)
(クエンティン・タランティーノ監督作品)

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