女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
22号 (1992.04)  p. 52

横浜女性フォーラム
「女性がつくる映像、ジェーン・カンピオン」

飯島

女性フォーラムで、一日に一挙、ジェーン・カンピオンの映画を上映するという企画に行ってきました。 結局、短編の「ピール」、「キツツキはいない」を見損ねてしまい、 「彼女の時間割」と、最近シャンテで公開されていた 「エンジェル・アット・マイ・テーブル」の2本を観ました。 「彼女の時間割」は、思春期の女の子と、同世代の少年との性体験、妊娠の過程を追ったもので、 少女の繊細な心理描写が淡々と描かれていて、それが凄くリアルで、 女性監督の作品なんだなあという印象を受けた。 恋愛の過程を感情で追うのではなく、あくまでも儀式的な人間行動として、 真っ向うからカメラを向けているところに、衝撃を受けた。

その後に「エンジェル・アット・マイ・テーブル」を観たのですが、 こちらは人間の感情面、精神面に触れた作品で、ジェーン・カンピオンの才能を見たりという感。

ジャネット・フレイムという女流作家の数奇な半生を描いたこの作品は、 ベネチア映画祭等で賞を受け、最近、東京でも公開された作品。

ジャネットは感受性が極めて強く、ひどく内気な為に、周囲の理解が得られず、 精神病院に入れられたりしながら、やがて、大人として成長していくのだが、私は、 このジャネットにぐいぐいと感情が引きこまれてしまった。 私はジャネットの様に、ひどい対人恐怖も体験した事もないし、精神病院にも入った事はないが、 自分の内的な部分、自分自身を模索していく内に、 段々と自分を見失ってしまうその複雑な心理情況に、ひどく同感した。 そして、その心理情況を、細やかに描ききったジェーン・カンピオンに感銘。

更にこの映画のもっと素晴らしかったところは、 ジャネットがそのまま殻に閉じこもってしまうことなく、教師を、作家を目指しながら、 勇気をもって生きていくところにある。

カンピオン監督も大分、制作に関しては苦労したようだが、こういった、 女性であることを生かし、且つスケールの大きい映画をつくる女流監督が、 これからもどんどんと流出してくることでしょう。 日本でも近いうちに…(期待)。

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